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公正な採用選考関係法令等について
職業安定法第5条の5〔求職者等の個人情報の取扱い〕と、これに基づく労働大臣指針
求職者の個人情報を収集する際には、求職者等が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に、個人情報を収集・使用・保管する業務の目的を明らかにしなくてはなりません。
職業安定法(抄)(求職者等の個人情報の取扱い)
第5条の5 公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、特定募集情報等提供事業者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(次項において「公共職業安定所等」という。)は、それぞれ、その業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところ(※)により、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。(以下略)
※インターネットの利用、その他の適切な方法により行うこと。自社のホームページ等に掲載するほか、雑誌等を刊行することにより募集情報等提供を行っている場合には、当該雑誌等において業務の目的を明示する方法等も認められるが、いずれの方法による場合でも労働者になろうとする者に理解される方法を選択する必要があること。
併せて、これに基づく労働大臣指針(平成11年労働省告示第141号)が公表され、原則として収集してはならない個人情報等を規定しています。労働者の募集を行うものは、募集形態の如何(直接募集、文書募集、委託募集)を問わず、法及び指針を遵守して行わなければいけません。
違反したときは
- 違反行為をした場合は、職業安定法に基づく改善命令を発出する場合があります。
- 改善命令に違反した場合は、罰則(6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科せられる場合もあります。
指針【平成11年労働省告示第141号】
次の個人情報の収集は原則認められません。
- 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
- 家族の職業、収入、本人の資産等の情報
- 容姿、スリーサイズ等差別的評価につながる情報 等
- 思想及び信条
- 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書 等
- 労働組合への加入状況
- 労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報 等
・職業安定法・指針の全文は「採用と人権」(別ウィンドウで開きます)
大阪府部落差別事象に係る調査等の規制に関する条例について
1998(平成10)年7月に、府内の調査業者2社が、企業から依頼された応募者の調査に際して、条例に違反した部落差別調査を行っていたことが発覚しました。また、当該調査会社は、「思想」「宗教」「家族の状況」など公正な採用の観点から問題となるおそれのある事項について収集・報告したり、この調査会社との取引関係のあった企業の中にもこうした事項を依頼していたり、依頼していなくても問題意識なく報告を受け取っていた企業もあったことが判明しました。さらに、調査業者に応募者の情報を提供する際、履歴書の写しをFAX等で提供している企業が多数あるなど、大阪府個人情報保護条例の趣旨が十分尊重されていなかったことも判明しています。部落差別は、憲法の保障する基本的人権を侵害する重大な人権問題です。
また、平成19(2007)年に大阪で発覚した差別につながる土地調査の事実を受け、個人調査を行う「興信所・探偵社業者」に加え、新たに「土地調査等」を行うものを規制の対象とする条例の一部改正を行いました。(平成23年10月1日施行)
・大阪府部落差別事象に係る調査等の規制に関する条例の詳細ホームページ(別ウィンドウで開きます)
個人情報の保護に関する法律及び大阪府個人情報の保護に関する法律施行条例
個人情報の保護に関する法律(以下「法」という。)は、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴などの要配慮個人情報について、個人情報取扱事業者(民間事業者など)は原則、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならないと規定しています(法第20条第2項)。また、個人情報保護委員会は「同和地区出身であること」は「社会的身分」に当たり、要配慮個人情報に該当するとの見解を示しています。
大阪府では、「大阪府個人情報保護に関する法律施行条例」を令和5年4月1日から施行しています。この条例は府民の責務として、「個人情報の保護の重要性を認識し、個人情報の適切な管理に努めるとともに、個人情報の取扱いに当たっては、個人の権利利益を侵害することのないよう努めなければならない」と定めています。
・個人情報保護制度に関する法律・条例等の詳細ホームページ(別ウィンドウで開きます)
ILO111号条約について
この条約は、何人も雇用および職業についての差別待遇を受けないために、加盟国が国家の方針を明らかにし、そのための国内施策を実施することを規定したものです。
我が国では、批准に向けて本条約と国内法制との整合性を図るための検討が進められていますが、就職差別撤廃のためにも早期批准が望まれます。
・ILO111号条約(第1条:抜粋)
「この条例の適用上、「差別待遇」とは、次のものをいう。
(a)人種、皮膚の色、性、宗教、政治上の意見、民族的出身又は社会的出身に基づいて行われるすべての区別、除外又は優先で、雇用又は職業における機会又は待遇の均等を破り又は害する結果となるもの。」
・ILO111条約についての詳細ホームページ(別ウィンドウで開きます)