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更新日:2009年8月5日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第144号)

安威川ダム用地買収物件補償関係文書部分公開決定異議申立事案(個人所有墓地分)

(答申日 平成19年7月30日)

第一 審査会の結論

実施機関は、本件異議申立ての対象となった部分公開決定において公開しないことと決定した部分のうち、別表の「公開すべき部分」に掲げる部分を公開すべきである。

実施機関のその余の決定は妥当である。

第二 異議申立ての経過

  1. 平成18年6月27日、異議申立人は、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対し、「安威川ダムにかかる生保地区の墓地の移転にかかる起案から手続上から最終移転完了に至るまでの一切の書類」についての公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
  2. 同年7月11日、実施機関は、本件請求に対応する行政文書として、「平成16年6月23日 補償費の評価決定額について(伺い)」(以下「本件行政文書」という。)を特定の上、条例第13条第1項の規定により、(1)の部分(以下「本件非公開部分」という。)を除いて公開する旨の部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、(2)のとおり公開しない理由を付して、異議申立人に通知した。
    • (1)公開しないことと決定した部分
      個人の氏名及び住所・所有者毎の補償決定額(単価及び数量・補償項目別の補償額・補償額の算定基礎)
      地上物件・補償調書の金額、摘要、工作物明細表の数量、単価、金額、備考(コード)
      埋葬霊体調査表、改葬料の積算及び金額
      祭典料の解体式・竣工式の回数、単価、金額
    • (2)公開しない理由
      • ア 条例第8条第1項第4号に該当する。
        本件行政文書(非公開部分)には、安威川ダム建設事業に係る、補償費の決定額や算定基礎に係る金額等が記載されており、これらは事業用地の買収に係る交渉の事務に関する情報であって、公にすることにより、今後、関係者の理解を得ることが困難になるなど、当該若しくは、同種の事務の目的が達成できなくなり、これらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる。
      • イ 条例第9条第1号に該当する。
        本件行政文書(非公開部分)には、個人の氏名、住所及びその他の個人情報、調査対象となっている墓石の使用者名、住所、補償額等が記載されており、これらの情報は個人のプライバシーに関する情報であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる。
  3. 同年9月8日、異議申立人は、本件決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に異議申立てを行った。

第三 異議申立ての趣旨

実施機関は、個人の氏名住所以外の情報を全て公開すべきである。

第四 異議申立人の主張要旨

異議申立人の主張は概ね以下のとおりである。

1 異議申立書における主張

氏名住所は個人情報であり当然保護されるべきであるが、補償金額等からは個人を特定識別することはおおよそ不可能なことである。それに加えて、用地買収も99.9パーセント完了している。

2 反論書における主張

(1)条例第8条第1項第4号に該当しないことについて

同号は、情報を公にすることにより当該もしくは同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある場合公開しないことができる旨定める。しかしこれは実施機関の主観的なおそれでは足りず、客観的にそのおそれが認められる場合でなければならない。

公共事業のために地権者である私人に土地の売渡し、支障物件の移転を求めるという行為は、相手方である私人の意図にかかわらず、土地を取得する行為であり、平等の原則から言えば、客観的基準に基づいてその価格は決定されるものである。売渡しや移転を求める物件の状態に応じてその価格が決定することではあるが、客観的な基準を超えて相手方私人との交渉によって価格が決まるものではない。

相手方との地道な交渉の積み重ねにより用地事務が行われることは当然であるが、その交渉の積み重ねにより、客観的な基準を逸脱するような価格で移転が行われることはあってはならない。

また、本件は墓石の移転についての補償事案である。代替地が用意され、移転をするための費用であって、居住する家屋の明け渡し等、経済的に生活に大きく関わるものでもない。より明確一律の基準に基づいて行われる補償であることからも、交渉において大きな補償価格の差は生じないと解される。

実施機関は「私人の支障物件に関する情報であって、契約の相手方においては、相続や税務関係等、生活や事業活動に関わるような事情を抱えており、これらの支障物件に関する情報を公にすることによって、公共事業に協力した人々に如何なる影響を与えるか、はかり知れないものがある」と主張する。

しかし、異議申立人は、個人の氏名、住所をも公開することを求めているものではない。特定個人の財産や契約を公にするものではなく、特定個人の「相続や税務関係等」の生活に関わることはない。また本件は墓地の移転に伴う補償の問題であり、そもそも「事業活動」に関わる内容などない。

本件は、墓地の移転に関する補償の事案である。住居等建物移転であれば、例え名前が非公開であってもその面積等の記載から、特定個人を推測することが可能な場合もあろう。しかし共同墓地の中で、どのような墓石が誰の所有であるかなど一般に判別することは不可能であり、個人の氏名・住所の非公開で、実施機関の主張する事業活動に関するおそれは完全に回避することが可能である。

実施機関の主張は、それぞれの事案に沿って、具体的慎重に非公開事由を検討し述べているものではなく、定型的な非公開理由を記載しているに過ぎず、本件において意味をなさない。

むしろ公正明快な基準で本件用地事務がなされていることが公になることは、府の用地事務の信頼を高めることになると言うべきである。

(2)条例第9条第1号に該当しないことについて

同号は個人のプライバシー保護を定めたものである。

しかし、前述したとおり、異議申立人は相手方私人の氏名・住所までの公開を求めているものではない。氏名住所さえ非公開とすれば、当事者のプライバシーは保護されるものである。

(3)最近の判例について

同種事案で最近の判例として、平成17年7月15日最高裁判決がある。これは名古屋市の事案であるが、建物・工作物・立木・動産に係る補償金の額に関する情報は非公開を是認したものの、土地の買収価格に関する情報は公開すべきとするものである。

土地については、公示価格を基準とした価格決定がされるため一般人であれば、おおよそ見当がつく客観的な価格であるが、建物等、土地の定着物、動産は建物の内部構造、使用素材、施工態様、損傷の程度等外部にはわからない基準で価格が決定されるもので、外部に明らかにならない情報でありかつ、当事者としては他人に知られたくない情報と判断した。

しかし、本件で開示を求めるのは墓石の移転についての補償である。その内容は移転、運送費、移転に関わる祭典費である。移転費用は、その墓石の大きさ、重さ形状で客観的に決まるものである。祭典費は所有者の宗派や信仰の程度等により千差万別ではあるが、補償として一般的に認められるのは、その墓石で安置されている霊体の数等により客観的に決まるものである。家屋や立木、動産のように個々の性質により変化する性質はない。

よって、上記最高裁判決の主旨からしても、本件は当事者の氏名・住所以外は公にすべきである。

第五 実施機関の主張要旨

実施機関の主張は概ね以下のとおりである。

1 安威川総合開発事業(安威川ダム建設事業)について

安威川総合開発事業(以下「安威川ダム建設事業」という。)は、安威川の中・下流部は、淀川や北摂山地からの流出土砂により形成されたという地形的条件から、必然的に水に弱く、近年においてもたびたび水害を繰り返し、なかでも昭和42年に北摂を襲った豪雨は、甚大な被害をもたらしたことから、これを契機にダム構想立案(予備調査開始)されたものである。

また、昭和42年の北摂豪雨以降にも、昭和58年9月の出水期に、安威川の水位が溢水寸前にまで達したことや、平成11年6月には摂津市や吹田市の内水域での水害が発生したことから、流域各市においてダム建設の必要性の認識が高まり、昭和60年12月及び平成7年12月に流域各市の市長から府に対し、ダム建設促進の要望書が提出されている。

その一方、地元関係地区との間では、ダム建設に関する協議を鋭意進め、信頼関係の構築に努めてきた結果、技術調査の実施が実現し、続いて、平成7年3月から平成10年10月にかけて、ダム建設に関する基本合意である「基本協定」を関係地区全てと締結するに至った。

その後、「安威川ダム総合開発(安威川ダム建設)に伴う損失補償基準協定書」を平成11年3月に関係地区と締結し、地元と実施機関との信頼関係に立っての交渉協議を基本として、本格的な用地買収を開始することとなった。

安威川の氾濫区域内には、現在、約30万人が居住しており、安威川ダムはこのような水害から流域に暮らす人々の人命や財産を守るために建設するものである。

また、安威川ダムは、大阪府内市町村の水道用水として新たに約1万立方メートル/日を供給できるダムとして、今後の大阪府の水需要に対処することとされている。このほか、安威川ダムは、ダム下流の安威川沿川の既得用水の安定した取水や河川環境の保全を図ることが期待されている。

ダムの概要
  • ダム名:安威川ダム
  • 事業主体:大阪府・大阪府営水道
  • 水系:淀川水系安威川
  • 位置:茨木市生保、大門寺地区外
  • 全体事業費:約1,370億円(変更後の試算値)

2 安威川ダム建設事業における用地事務について

(1)公共用地取得に伴う損失補償について

一般に公共事業を行うために土地を買収するときには、その買収する土地に建物や工作物等がある場合は、支障となる建物や工作物等を撤去するか他の場所に移転を求める。その際、支障物件の移転費用をはじめとして、それらに伴い生じる費用を「通常生じる損失」として補償する。

補償費の評価決定額については、大阪府が作成している「都市整備部用地事務処理要綱」及び「同細則」に基づき支障物件の調査及び算定を行い、補償費を決定するものである。

また、補償費の算定にあたっては、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年6月29日閣議決定)及び「公共用地取得に伴う損失補償基準」(昭和37年10月12日用地対策連絡協議会決定)等に基づき算定を行い、その考え方については、支障物件を移転させる際には、通常妥当と認められる移転先に、通常妥当と認められる移転工法によって、移転するのに要する費用を補償する。

(2)安威川ダム建設事業に係る用地事務について

安威川ダム建設事業においては、平成11年度から本格的に用地買収を開始し、事業の施行に必要な土地の取得を行っている。

対象となる土地には、複数の墓地も含まれており、これらの移設及び再建については、ダム建設により先祖代々から使用してきた墓を新たな場所へ移設することになるため、移転先の選定に始まり、現況墓地の調査、使用者の聞き取り、補償金の算定など、数多くの協議、調整等を地元自治会や墓地使用者等と行ってきた。

移転先となる代替墓地の場所については、ダム対策委員会にて「代替宅地土地利用計画」に係る協議を必要とし、配置計画案についても事業主体として誠意と熱意をもって取り組んできた。また、移設に要する費用については、上記(1)に示した方法により補償金を算定し、補償を行っているところである。

なお、ダム事業全体では、平成18年3月末現在、要買収面積約142haのうち、取得済み面積は約138ha、進捗率は97.2%である。

3 本件行政文書について

本件行政文書は、安威川ダム建設事業に係る墓地の移設に要する補償費を決定する際の起案文書である。

起案に際して作成した調書は、「補償費の評価決定額について(案)」、「損失補償金算定調書」、「移転雑費明細書」、「その他の補償費明細書」、「支障物件調査表」、「建物概要」、「建物付帯設備他」、「地上物件補償調書」、「埋葬霊体調査表・改葬料」、「工作物明細書」、「祭典料」からなる。

(1)損失補償算定調書について
ア「補償費の評価決定額について(案)」

安威川ダム建設事業に係る地上物件移転補償費及びその他の補償費の「決定額」が、「物件の所在地」及び「補償対象者」ごとに表形式で記載されている。

このうち、本件決定においては、「補償対象者」欄における個人の氏名及び「決定額」欄における金額を非公開とした。

イ「損失補償金算定調書」

損失補償算定調書は、補償費の評価決定額を算出した内容を記載した調書であり、「事業名」、「物件の所在地」、「被補償者の住所及び氏名」、「土地・建物の種別(土地、建物の利用状況)」、「構造・用途(支障物件となる物件の構造、用途)」、「建物敷地面積」、「建物対象面積」、「認定工法」、「更地価格」、「補償項目」等からなる。

「補償項目」としては、「地上物件補償額(墓石等の構外移設に要する費用(工作物明細書)及び墳墓の改葬に要する費用(埋葬霊体調査表・改葬料)」、「仮住居補償(一時借入額・家賃額)」、「借家人補償(住居借入額・家賃差額)」、「動産移転料」、「仮施設補償」、「家賃減収補償」、「営業補償」、「移転雑費(移転雑費明細書)」、「その他(移転雑費明細書)」等が記載されている。

このうち、本件決定においては、「被補償者の住所及び氏名」欄における個人の氏名及び住所、「土地・建物の種別(土地、建物の利用状況)」欄における土地の利用状況、「建物敷地面積」欄における実測面積、「地上物件補償額」、「移転雑費」、「その他」欄における補償額及び合計金額を非公開とした。

ウ「移転雑費明細書」

墓地を移設する際の移転雑費及び祭典料の算定に係る明細であり、「氏名(被補償者名)」、「移転先選定面積」、「移転先選定費(業者選定・自己選定)」、「法令上の手続き費(建築確認申請・設計工事管理料・建物の登記費・土地の登記費・その他の手続き費・手続に必要な旅費)」、「広告・移転補償費等」、「地鎮祭等」、「契約費用(墳墓の移転に関する工事費等に請け負わした場合に請負契約書に必要となる印紙税額)」、「就業不能補償額(墳墓の移転工事等(業者選定契約、監督、地鎮祭、引渡し、その他)の事由で就業できないことにより通常生ずる損失の補償)」、「その他の補償明細(墳墓移転の際の祭典料)」等からなる。

このうち、本件決定においては、「氏名」欄における被補償者氏名、「契約費用」、「就業不能補償額」欄における補償額及び算定基礎並びに合計金額、「その他の補償明細」欄における補償額を非公開とした。

エ「支障物件調査表」

移設する墓地に係る調査表であり、「所在地」、「所有者住所」、「所有者氏名又は名称」、「借家人、間借人住所」、「借家人、間借人氏名又は名称」、「建物概要(棟番号・名称種別・構造概要・単位・建築年次)」、「建物附帯設備他(種別・構造及び仕上・形状寸法・数量・備考)」からなる。

このうち、本件決定においては、「所有者住所」欄における所有者住所、「所有者氏名又は名称」欄における所有者氏名を非公開とした。

オ「地上物件補償調書」

移設する墓地に係る調査表であり、「物件所有者の住所及び氏名」、「種類(墳墓の移転に要する費用の補償の種類)」、「構造・形状・寸法」、「工法」、「数量」、「単位」、「単価」、「金額(墓石の移転に要する金額、消費税相当額、墳墓の改葬に要する金額)」、「摘要(補償金額の算出に伴う算定根拠)」からなる。

このうち、本件決定においては、「物件所有者の住所及び氏名」欄における所有者の住所及び氏名、「金額」欄における算定金額、「摘要」欄における補償金額の算定根拠、合計金額を非公開とした。

カ「埋葬霊体調査表・改葬料」

墓地に埋葬されている霊体の調査時に作成する文書であり、「調査番号」、「墓地の所在地」、「墓地使用(祭祀)者の住所及び氏名」、「受注者又は承継人の氏名及び住所」、「火葬カロート有及びカロート無(基本霊体、累加霊体・埋葬霊体数×補償単価=補償金額)」、「土葬で火葬を要するもの及び火葬不要のもの(基本霊体大人6才以上、子供0~5才・累加霊体・埋葬霊体数×補償単価=補償金額)」からなる。

このうち、本件決定においては、「調査番号」欄における墓地の数量、「墓地使用(祭祀)者の住所及び氏名」欄における住所及び氏名、「火葬カロート有及びカロート無」及び「土葬で火葬を要するもの及び火葬不要のもの」欄における霊体数及び単価、合計金額を非公開とした。

キ「工作物明細書」

移設をする墓地に係る工作物の明細であり、「移転工法」、「物件所有者」、「名称」、「規格・形状・寸法」、「数量」、「単価」、「金額」、「備考(コード)(補償金額の算出に伴う算定根拠)」等からなる。

このうち、本件決定においては、「物件所有者」欄における所有者氏名、「数量」欄における支障物件の調査数量、「単価」欄における支障物件単価、「金額」欄における支障物件の金額、「備考(コード)」欄における算定根拠及び単価コード、支障物件の合計金額を非公開とした。

ク 「祭典料(墳墓移転)」

墓地移設時の祭典料の算定に係る文書であり、「読経料導師」、「読経料衆師」、「供花供物料」、「設備費」、「接待費」、「雑費」、「合計」等からなる。

このうち、本件決定においては、「読経料導師」、「読経料衆師」、「供花供物料」、「設備費」、「接待費」、「雑費」欄における解体式、竣工式の回数、単価、金額及び合計金額並びに墓地所有者の氏名を非公開とした。

4 本件決定の適法性について

(1)条例第8条第1項第4号について

本号は、行政が行う事務事業に係る情報のうち、当該事務事業の性質、目的等からみて、安易に公開することにより、当該事務事業の実施の目的を失い、府民全体の利益を損なう恐れがあるものがある。また、反復継続的な事務事業に関する情報の中には当該事務事業実施後であっても、これらを公にすることに同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすものもある。このような支障を防止するため、これらの情報については、公開しないことができる旨を定めたものである。

そして、本号に該当するかどうかの判断を行うに当たっては、当該事務事業の性質を十分考慮し、かつ執行の経過をも踏まえ、公にすることにより「事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれ」の程度について、慎重な検討を行う必要がある。

(2)条例第8条第1項第4号に該当することについて

本件非公開部分のうち、本号に該当するとして非公開としたのは、「所有者毎の補償決定額(単価及び数量・補償項目別の補償額・補償額の算定基礎)」、「地上物件補償調書の金額、適要、工作物明細書の数量、単価、金額、備考(コード)」、「埋葬霊体調査表、改葬料の単価及び金額」、「祭典料の解体式、竣工式の回数、単価、金額」(以下「補償金額等」という。)である。

補償金額等の情報は、本府が施行する公共事業の事業実施に必要な土地を取得するために行った用地事務に関する情報であり、条例第8条第1項第4号に規定する「府の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、契約、交渉、渉外、争訟、調査研究、人事管理、企業経営等の事務に関する情報」に該当する。

次に、本件非公開部分を公にすることにより、「当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれ」があることについて述べる。

用地事務は、公共事業のために地権者である私人に土地の売渡し及び支障物件の移転等を求めるという性格から、相手方との交渉の積み重ねが大部分を占め、相手方との円滑な交渉を行うために信頼関係を構築することが事業を推進していくための重要な前提となる。

従って、用地事務の実施に当たっては、交渉の相手方との信頼関係の破綻や無用な混乱を生じさせないようにすることにより、円滑な交渉事務を進めていくことに最大限の配慮をしなければならない。

また、補償金額等は、これら私人の支障物件に関する情報であって、契約の相手方においては、相続や税務関係等、生活や事業活動に関わる様々な事情を抱えており、これらの支障物件等に関する情報を公にすることによって、公共事業に協力した人々に如何なる影響を与えるのか、はかり知れないものがある。

公共事業の用地買収時における物件補償の交渉は、物件所有者等に対し交渉を行い、双方の合意による補償契約締結を基本としている。

補償金額等が公開されることとなれば、個人の補償金額が将来公になることを嫌って、補償交渉自体を拒む被補償対象者が出てくることが考えられ、また、通常は、補償金額等は公にしないことを了解した上で、交渉を進めていることから、事業施行者及び被補償者との間で築き上げてきた信頼関係が損なわれるおそれが生じるものと認められる。

以上のように事業用地の買収を進める上で支障となる諸事情を考慮すると、補償金額等は、「公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれのある」ものであり、これらの情報は、条例第8条第1項第4号に該当する。

(3)条例第9条第1号について

個人の尊厳の確保、基本的人権の尊重のため、個人のプライバシーは最大限に保護されなければならない。

特に個人のプライバシーは一旦侵害されると、当該個人に回復困難な損害を及ぼすことに鑑み、条例は、その前文において「個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護すること」を明記し、条例第5条において「実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、個人に関する情報であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるものをみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない。」ことを定めている。

そして、条例第9条第1号においては、「個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報(事業を営む個人の当該情報に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの」については、「公開してはならない情報」とし、公開することを禁止するという基本原則が明確に定められている。

条例第9条第1号の「一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる」情報とは、一般的に社会通念上、他人に知られることを望まないものをいい、この「正当であると認められる」情報判断については、個人を取り巻く背景や情報そのものの性質等を十分に考慮した上で行った。

(4)条例第9条第1号に該当することについて

本件非公開部分のうち、本号に該当するものとして非公開としたのは、個人が所有する補償対象物件に係る「補償金額等」及び「個人の氏名及び住所」である。

まず、「個人の氏名及び住所」については、「個人のプライバシーに関する情報であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる」情報である。

次に、「補償金額等」については、安威川ダム建設事業を実施した際に発生した、個人が所有する墓地の移転に係る費用であり、特定個人の財産及び所得が分かる情報である。したがって、「個人のプライバシーに関する情報のうち、特定の個人が識別され得る」情報であるといえる。また、これらの情報は、登記簿や地価の公示価格等、通常一般に公になっている情報から特定、或いは類推できるものではなく、「一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる」情報である。

以上のことから、個人が所有する補償対象物件に係る「補償金額等」及び「個人の氏名及び住所」については、「個人のプライバシーに関する情報であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる」ものであり、条例第9条第1号に該当する。

(5)判決事例について

大阪府都市整備部の事業に係る支障物件移転補償金額等の公開をめぐる事件において、平成15年12月25日に大阪高等裁判所から、「非公開を是認する」旨の判決が言い渡されており(大阪高等裁判所平成14年(行コ)第57号行政文書部分公開決定処分取消等請求控訴事件)、最高裁判所も上告受理決定の中で、支障物件移転補償金額等の記載部分については排除している。

また、類例の趣旨の情報公開決定に関する最高裁判決として、名古屋市を被告とした平成15年(行ヒ)第250号においても、支障物件移転等の補償金額については、「一般人であればおおよその見当をつけることができるものではなく、上記個人としては、通常他人に知られたくないと望むものであり、そのことは正当であるということができる」と述べている。奈良県を被告とした平成15年(行ヒ)第295号、第296号も同様の趣旨である。

これらの判例も、支障物件移転補償金額等については、公開になじまない情報であることを認めている。

5 結論

以上のとおり、本件決定は、条例の規定に基づき適正に行われたものであり、何ら違法又は不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

第六 審査会の判断理由

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。

このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。

このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第2条第1項に規定する行政文書に記録されている場合には、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。

2 本件行政文書について

(1)本件行政文書について

本件行政文書は、安威川ダム建設事業に伴う墓地の移設に要する補償費を決定した際の決裁文書一式(個人に補償金が支払われたもの)であり、次の文書からなっている。

  • ア「補償費の評価決定額について(通知)」(決裁・施行済の案)
  • イ「損失補償金算定調書」
  • ウ「移転雑費明細書」
  • エ「支障物件調査表」
  • オ「地上物件補償調書」
  • カ「工作物明細書」
  • キ「埋葬霊体調査表・改葬料」
  • ク「祭典料(墳墓移転)」
  • ケ「その他の補償費明細」
  • コ「補償費の決定について(依頼)」
(2)異議申立人が公開を求めている情報について

本件において、異議申立人は、個人の氏名、住所以外の情報を全て公開することを求めている。このことを踏まえて、本件非公開部分に記録されている情報のうち、異議申立人が公開を求めている情報(以下「本件係争情報」という。)を整理すると、次のとおりである。

ア 土地の利用形態の種別(自地自用・他地自用の別)
  • (ア)「損失補償金算定調書」の「種別」の「土地」欄に記録されている自地自用・他地自用の別
  • (イ)「移転雑費明細書」に記録されている土地の種別
イ 本件墓地全体の敷地の実測面積
  • (ア)「損失補償金算定調書」の「建物敷地面積」欄に記録されている敷地の実測面積
ウ 補償対象者ごとの墓の基数
  • (ア)「埋葬霊体調査表・改葬料」の「調査番号」欄に記録されている墓の基数
エ 補償費の項目ごとの算出根拠等(単価、数量、算式など)
  • (ア)「移転雑費明細書」の「雑費」の「契約費用」欄に記録されている金額及び算定基礎
  • (イ)「移転雑費明細書」の「就業不能補償額」欄に記録されている金額及び算定基礎
  • (ウ)「地上物件補償調書」の「「計」に係る摘要」欄に記録されている算出根拠のうち、諸経費率及び算術記号
  • (エ)「地上物件補償調書」の「「計」に係る摘要」欄に記録されている算出根拠のうち、諸経費率及び算術記号を除く部分
  • (オ)「地上物件補償調書」の「「消費税相当額」に係る摘要」欄に記録されている消費税対象経費
  • (カ)「工作物明細書」の「数量」欄に記録されている数量
  • (キ)「工作物明細書」の「台石(撤去)」及び「台石(現在価値)」の「単価」欄に記録されている台石の移設に係る補償単価
  • (ク)「工作物明細書」の「庭石」の「単価」欄に記録されている庭石の移設に係る補償単価
  • (ケ)「工作物明細書」の「コンクリートカロート」の「単価」欄に記録されているコンクリートカロートの移設に係る補償単価
  • (コ)「工作物明細書」の「土間コンクリート叩き」の「単価」欄に記録されている土間コンクリート叩きの移設に係る補償単価
  • (サ)「工作物明細書」の「金額」欄に記録されている墓石、台石(撤去)、庭石、コンクリートカロート、土間コンクリート叩き、台石(現在価値)の金額
  • (シ)「工作物明細書」の「備考(コード)」欄に記録されている算出根拠のうち、単価及び金額を特定し得る部分
  • (ス)「工作物明細書」の「備考(コード)」欄に記録されている算出根拠のうち、単価及び金額を特定し得る部分を除く部分
  • (セ)「工作物明細書」の「計」欄に記録されている合計額
  • (ソ)「工作物明細書」の「諸経費」欄に記録されている諸経費の算出根拠及び金額
  • (タ)「埋葬霊体調査表・改葬料」の改葬料の明細に係る「霊体数」欄に記録されている霊体数
  • (チ)「埋葬霊体調査表・改葬料」の改葬料の明細に係る「単価」欄に記録されている単価
  • (ツ)「埋葬霊体調査表・改葬料」の改葬料の明細に係る「金額」
  • (テ)「祭典料(墳墓移転)」の「回数」欄に記録されている回数欄に記録されている回数
  • (ト)「祭典料(墳墓移転)」の「単価(税込)」欄に記録されている単価
  • (ナ)「祭典料(墳墓移転)」の「金額」欄に記録されている金額
  • (ニ)「祭典料(墳墓移転)」の「単価」欄に記録されている算出根拠
オ 補償費の項目ごとの金額
  • (ア)「損失補償金算定調書」の「地上物件補償額」欄に記録されている補償額
  • (イ)「損失補償金算定調書」の「移転雑費」欄に記録されている補償額
  • (ウ)「損失補償金算定調書」の「その他」欄に記録されている補償額
  • (エ)「移転雑費明細書」の「計」欄に記録されている合計額
  • (オ)「地上物件補償調書」の「墓石」欄に記録されている金額
  • (カ)「地上物件補償調書」の「計」欄に記録されている金額
  • (キ)「地上物件補償調書」の「消費税相当額」欄に記録されている金額
  • (ク)「地上物件補償調書」の「改葬料」欄に記録されている金額
  • (ケ)「地上物件補償調書」の「合計」欄に記録されている金額
  • (コ)「工作物明細書」の「合計」欄に記録されている合計額
  • (サ)「埋葬霊体調査表・改葬料」の改葬料の明細に係る「計」欄に記録されている合計額
  • (シ)「祭典料(墳墓移転)」の「合計(100円止)」欄に記録されている合計額
  • (ス)「その他の補償費明細」の「祭典料」欄に記録されている金額
  • (セ)「その他の補償費明細」の「計」欄に記録されている合計額
カ 補償対象者ごとの補償費の総額
  • (ア)「補償費の評価決定額について(通知)」の「決定額」欄に記録されている補償対象者ごとの補償費の金額
  • (イ)「損失補償金算定調書」の「合計」欄に記録されている補償費の金額

3 本件決定に係る具体的な判断及びその理由について

(1)条例第8条第1項第4号について

行政が行う事務事業に関する情報の中には、当該事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務事業の実施の目的を失い、又はその公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼし、ひいては、府民全体の利益を損なうおそれがあるものがある。

また、反復継続的な事務事業に関する情報の中には、当該事務事業実施後であっても、公開することにより同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるものもある。

このような支障を防止するため、これらの情報は公開しないことができるとするのが本号の趣旨であり、同号は、

  • ア 府の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、契約、交渉、渉外、争訟、調査研究、人事管理、企業経営等の事務に関する情報であって、
  • イ 公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

は公開しないことができる旨定めている。

(2)本件係争情報の条例第8条第1項第4号該当性について

本件係争情報は、実施機関が、安威川ダム建設事業に係る用地取得のために行った墓地の移設に際し、個人に対して行った補償に関する情報であり、当該墓地内の墓石等を所有する特定の個人と協議・交渉し、合意(契約)に至った結果に関する情報であるから、条例第8条第1項第4号の「府の機関又は国等の機関が行う契約、交渉等の事務に関する情報」として、(1)アの要件に該当する。

次に、本件係争情報が(1)イの要件に該当するか否かを検討するに、一般に、公共事業は、多額の公金の投入を伴うものであり、その公正かつ適切な実施は、府民の正当な関心事である。また、公共事業の実施に伴う用地取得のための補償交渉は、補償対象者の考え方等により難航する場合などさまざまな経過をたどるものではあるが、補償額の算定自体は、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年6月29日閣議決定)や「公共用地取得に伴う損失補償基準」(昭和37年10月12日用地対策連絡協議会決定)等の客観的な基準によって行われるものであって、交渉における駆け引き等によって、左右されるものではない。

以上のことからすると、本件係争情報は、公にすることにより、実施機関が今後とも行う用地事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのある情報とは言えず、(1)イの要件には該当しないと認められる。

なお、この点に関し、実施機関は、契約の相手方には、相続・税務関係、その他様々な事情を抱えている中で、個人の補償金額が公になることを嫌い、補償交渉自体を拒む被補償対象者が出てくるおそれがある、これまで公にしないことを了解した上で、交渉を進めている点で被補償者との間の信頼関係が損なわれるおそれがあるなどと主張しているが、公共事業用地の取得に係る土地の買収価格について公開すべきとの最高裁判例が相次いでいる現状においては、これらの主張をもって、実施機関が今後とも行う用地事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるとまでは、認められない。

以上のことから、本件係争情報は、条例第8条第1項第4号に該当しないと認められる。

(3)条例第9条第1号について

条例は、その前文で、府の保有する情報は公開を原則としつつ、併せて、個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護する旨を宣言している。また、第5条においては、個人のプライバシーに関する情報をみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨を規定している。

本号は、このような趣旨を受けて、個人のプライバシーに関する情報の公開禁止について定めたものであり、

  • ア 個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報であって、
  • イ 特定の個人が識別され得るもののうち、
  • ウ 一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる

情報が記録されている行政文書を公開してはならない旨定めている。

また、「一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの」とは、一般的に社会通念上、他人に知られることを望まないものをいうと解される。

(4)本件係争情報の条例第9条第1号該当性について

本件行政文書には、個人が墓の移設に伴って受けた補償金等に関する情報が所有者の氏名等とともに記録されており、本件係争情報が(3)ア及びイの要件に該当することは明らかである。

次に、本件係争情報に記録されている情報が、(3)ウの要件に該当するか否かについて、2(2)ア~カの区分に従って検討する。

ア 土地の利用形態における土地の種別(自地自用・他地自用の別)について

本項の情報は、公にすることにより、墓の使用者である補償対象者が土地を所有しているかどうかが明らかとなる情報である。しかしながら、このような情報は、通常、土地の所有状況は登記簿等で公になっているものであるから、社会通念上他人に知られたくないと望む情報とは認められず、(3)ウの要件に該当しない。

イ 本件墓地全体の敷地の実測面積に関する情報について

本項の情報は、通常、登記簿等で公になっているものであり、また、共同墓地全体の面積であることから、社会通念上他人に知られたくないと望む情報とは認められず、(3)ウの要件に該当しない。

ウ 補償対象者ごとの墓の基数について

本項の情報は、公にすることにより、各補償対象者が共同墓地内で使用していた墓の数が明らかとなる情報である。しかしながら、このような情報は、通常、墓碑銘や墓の配置等により推測される情報であり、また、本件決定により公開された、調査対象となっている墓の番号の数から判明するものであることから、社会通念上他人に知られたくないと望む情報とは認められず、(3)ウの要件に該当しない。

エ 補償費の項目ごとの算出根拠(単価、数量、算式など)について

本項の情報のうち、2(2)エの(ア)の情報については、印紙税法で契約金額に応じて定められた印紙代である。また、2(2)エの(イ)、(ウ)、(ク)、(ケ)、(コ)、(ス)、(チ)、(テ)、(ト)、(ナ)及び(ニ)の情報は、一般に公になっている「近畿地区用対連損失補償標準書補償標準単価表」等や安威川ダム建設事業における用地買収に係る統一基準で一律に定められている単価等の数値若しくはそれらの数値のみから算出される金額又はこれらの算式等の説明である。これらの情報については、個人に対する補償金の算定に用いられた情報ではあるものの、当該情報自体は、補償対象者に固有の情報ではなく、社会通念上他人に知られたくないと望む情報とは認められず、(3)ウの要件に該当しない。

これに対して、2(2)エの(エ)、(オ)、(カ)、(キ)、(サ)、(シ)、(セ)、(ソ)、(タ)、(ツ)の情報は、補償対象となった物件ごとに実施機関が個別に調査して得た数量等の数値及びこれらを用いて算出された数値である。これらの情報は、公にすることにより、墓という個人の宗教にも関わる私生活上の財産に関して、第三者が容易には知りえない情報が明らかとなる情報であり、社会通念上他人に知られたくないと望む情報であると認められ、(3)ウの要件に該当する。

オ 補償費の項目ごとの金額に関する情報について

2(2)オの(イ)、(ウ)、(エ)、(シ)、(ス)及び(セ)の情報は、単価表等で一律に定められている額又は当該額から容易に導き出される情報である。

これらの情報については、個人に対する補償金の算定に用いられた情報ではあるものの、当該情報自体は、補償対象者に固有の情報ではなく、社会通念上他人に知られたくないと望む情報とは認められず、(3)ウの要件に該当しない。

これに対して、2(2)オの(ア)、(オ)、(カ)、(キ)、(ク)、(ケ)、(コ)及び(サ)の情報については、補償対象となった物件ごとに実施機関が個別に調査して得られた数量等の数値を前提として算定された補償額の内訳である。これらの情報は、公にすることにより、墓という個人の宗教にも関わる私生活上の財産に関して、第三者が容易には知りえない個人の補償金収入が具体的に明らかとなる情報であり、社会通念上他人に知られたくないと望む情報であると認められるから、(3)ウの要件に該当する。

カ 補償対象者ごとの補償費の総額に関する情報について

本項の情報は、オにおいて(3)ウの要件に該当すると認められた項目を含む補償対象者別の補償金の総額である。このような情報は、公にすることにより、墓という個人の宗教にも関わる私生活上の財産に関して、第三者が容易には知りえない個人の補償金収入が具体的に明らかとなる情報であり、社会通念上他人に知られたくないと望む情報であると認められるから、(3)ウの要件に該当する。

以上のことから、本件係争情報のうち、別表の「公開すべき部分」に記録されている情報については、条例第9条第1号にも該当せず、公開すべきであるが、その余の情報については、条例第9条第1号の規定に該当し、公開してはならないものである。

なお、この点に関連して、異議申立人は、本件異議申立てにおいて、補償対象者の住所及び氏名は公開を求めていないことから、「氏名住所さえ非公開とすれば、当事者のプライバシーは保護される」と主張している。

しかしながら、本件において移転補償の対象となっているのは、財産区が所有している共同墓地内に設置された墓であり、たとえ住所や氏名を非公開にしても、同じ共同墓地の利用者等の関係者からすれば、個々の補償対象者を容易に特定することができる場合があると考えられるから、この点についての異議申立人の主張は採用することができない。

4 結論

以上のとおりであるから、本件異議申立ては、別表の「公開すべき部分」に掲げる部分の公開を求める部分について理由があり、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

主に調査審議を行った委員の氏名

岡村周一、福井逸治、松田聰子、岩本洋子

別表

行政文書の名称

公開すべき部分

(細則様式第7号)損失補償金算定調書

土地の種別

建物敷地面積

「移転雑費(諸経費)」欄に記録されている金額

「その他」欄に記録されている金額

(細則様式第10号)

移転雑費明細書

土地の種別

「雑費」の「契約費用」欄に記録されている金額及び算定基礎

「就業不能補償額」欄に記録されている金額及び算定基礎

「計」欄に記録されている金額

その他の補償費明細

「祭典料」欄に記録されている金額

「計」欄に記録されている金額

地上物件補償調書

計に係る摘要のうち、諸経費率

計に係る摘要のうち、算術記号

埋葬霊体調査表・改葬料

「調査番号」欄に記録されている墓の基数

補償単価

工作物明細書

庭石の単価

コンクリートカロートの単価

土間コンクリート叩きの単価

「備考(コード)」欄に記録されている算出根拠のうち、単価及び金額を特定し得る部分を除く部分

祭典料(墳墓移転)

解体式、竣工式における読経料導師等の回数

「単価(税込)」欄に記録されている金額

「金額」欄に記録されている金額

「単価」欄に記録されている算出根拠

「合計(100円止)」欄に記録されている金額

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