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教育コミュニティづくり推進懇談会
- 目次
- 平成29年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
- 平成28年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
- 平成27年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
- 平成26年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
- 平成25年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
- 平成24年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
- 平成23年度以前の記録はコチラ
平成29年度 大阪府教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
会議の要点
【ネットワークづくりの現状と課題】
- 学校、家庭、地域の連携は、年々進んでいる。
- 活動に参画する人が「やりがい」を感じることができる取組になっている。
- 一方、新たなつながりを作る、つながりを深めるための工夫が必要。
【つなぎ方、つながり方の工夫】
- 誰もが簡単に関われるような仕掛けから、緩やかなつながりへと発展させていく。
- つなぎ役としてのコーディネーター、行政の役割が大切。
- 「それぞれができることをできる範囲で」「ウィンウィンの関係」がポイント。
協議の概要
今年度も、昨年度に引き続き「地域と学校 さらなる協働関係の構築に向けて」をテーマに、「多様なネットワークづくり」をサブテーマとし、「ネットワークづくりの現状と課題」「つながり方・つなぎ方の工夫」の二つの観点で協議した。
ネットワークづくりの現状と課題について
- 大阪府の国公立幼稚園・こども園は、地域の要望で設置された幼稚園も多いので、地域の夏祭りや古くからある催しに幼稚園が参画していることが多い。また、商店街や町の行事に呼ばれることもあり、連携は年々深まっている。本園では、お祭などの行事にも、伝統行事として参加するときに地域の方や区役所の方に協力いただいている。また、PTA連絡協議会主催の「スマホの使い方」講習では、幼稚園のPTAにもご案内をいただくなど、つながりを深めることは進んでいる。
一方、地域によってはタワービル等の建設により他の地域からの入居者が多く、コミュニケーションが取りにくい状況になってきている。新しく関わりを作り、ネットワークづくりをするということが課題だと思う。 - 大阪府の小学校では、ネットワークづくりについては着実に広がってきていると実感する。機会があれば協力したいと思っている方が多いのも大阪の特徴である。
本校の取組である「みんなで育てる花いっぱいプロジェクト」では、今年度2千株近くの花を学校で育て、そのうちの約半分を地域の福祉施設、保育園、中学校、スーパー等15か所へプレゼントしたり、最寄駅のホームにある花壇に花を植えさせていただくなど、地域と連携している。また、学校の参観や懇談のとき、地域の方に小さい子どもを預かっていただく「ボランティア保育」を準備しているところ。 - 校区の特徴として、転勤される方が多く、昔ながらの地域の方が少ない中でネットワークを作っていくことの難しさを感じている。やはり孤立している家庭、あまり外部とつながりを持たない家庭が多いところが校区の課題だと認識して取り組んでいる。
昨年末に示された中央教育審議会の「働き方改革」の中間まとめにおいて、「地域ボランティアとの連絡調整」が、基本的には「学校以外が担うべき業務」として整理されつつあるのが非常に気になるところ。せっかく教職員に芽生えつつある機運が壊れるのではないかと心配している。 - 高等学校でも「みんなで育てる花いっぱいプロジェクト」を行っている学校がある。また、学校の所在地の地域の方々と一緒に清掃活動を行ったり、近隣の小学校の登下校の見守り、クラブ活動の指導、読み聞かせなど地域と連携した取組を行っている。
課題としては、高等学校にとっては、地域をどうとらえるのかということ。生徒も教職員も、自分が住んでいる地域から離れた学校に通学・通勤している場合が多いので、「学校の地域」という認識を広げることが大切であると感じる。
また、地域の方々は、府立高校の敷居が高いと感じておられるようなので、物理的なものだけでなく、精神的な壁をなくしていくことが大事であると思う。 - 地域では、だんじり祭など昔から代々受け継がれている行事等がたくさんあり、コミュニティづくりはできていると思う。学校との連携は、歴史のある学校ということもあり、いろいろな活動や学校行事においてPTA等も協力し、子どもたちと一緒に活動することが多い。先ほどの「みんなで育てる花いっぱいプロジェクト」も、中学校で保護者も一緒に取り組んでいる。
一方で、世代交代が難しく高齢化しており、運営が難しくなっている団体がある。私自身もそうだが、PTA役員と子ども会の会長を兼任するなど、複数の役割を兼務している方がほとんどで、子どもが大きくなるにつれて、また違った立場での役員になることが多い。決まったメンバーで担当しているようなところもあるので、もっといろいろな人に参加していただきたいと思う。 - 支援学校は、入学式や卒業式、運動会や学習発表会などの学校行事にPTAが支援・協力をしている。また、学校と一緒に取り組んでいる夏祭りでは、子どもたちの進路先となっている福祉事業所の方や地域の自治会の方が食べ物コーナーやゲームコーナーを、PTAはバザーの担当や休憩室の運営を行った。PTAが地域の中学校や高校と連絡調整して、中学校は吹奏楽の演奏、高校は和太鼓を披露していただくなど、地域との連携を図っている。
また、夏休みの土日にPTA主催で親子プールに取り組んだり、これも土日に、餅つきやパン作りを親子で行うなど、学校と連携している。
高校と同様に、私たちも学校の近くには住んでいないので、学校に出向く保護者はそれほど多くないが、行事などには比較的参加はできていると思う。 - 本校(支援学校)には寄宿舎があり、一部の生徒が利用している。寄宿生は17時くらいまで戻ってこないので、14時くらいに下校になる小学部の低学年の子どもたちを中心に、放課後生という形で受け入れ、寄宿舎を利用して様々な活動を行っている。その中で、地域の学童保育と連携して、「読んで屋さん」という読み聞かせの団体に月に1回来ていただき、本校の子どもたちだけでなく、地域の学童保育の子どもたちにも開放して一緒に読み聞かせや折り紙、ゲームなどの取組を行っている。ただ、小学部の児童数が減少していることに加え、他人との関わりが苦手な子どもも多く、本校の子どもがこの取組に参加しにくい状況もある中で、成立させることがなかなか難しいというのが現在の課題である。
本校は歴史のある学校なので近隣の人たちには学校の様子を知っていただいているが、校区がかなり広いので、地域とのつながりといっても難しいところがある。 - 学童保育と放課後子ども教室の連携については、事務局からの説明にあったように、国の仕組みもあり、進んでいる。学童保育については、2015年に運営指針が示され、今日のテーマと重なる部分についても詳しく示されている。放課後子ども教室と学童保育の連携については、大阪府では「より良い連携を」ということでずっと取り組んでいただいているが、学童保育でも「どういうように連携していったらいいのか」というのをここ数年、課題として考えている。
ある小学校では、地域の方、学校の教職員、学童の指導員などで構成される「連携の実行委員会」が作られ、定期的に会議が開催されている。その中で「地域に根付く活動を目指そう」という取組がされ、例えば、1月に各地で行われている「どんど焼き」の担い手が少なくなっているので、それを放課後子ども教室の取組に位置づけよう、土曜日のプロジェクトに位置づけようと検討が始まっている。
課題としては、放課後の校庭開放や活動の担い手が少ない中で、学童保育の指導員もスタッフとして入ってほしいという意見がある。指導員がそこに入ることになると、学童保育の子どもも半強制的に全員参加ということになるが、自由に過ごしたいと思っている子どもが多く、それが問題になっている。一方で、それを乗り越えた地域もある。毎月の「調整の会議」で協議の結果、PTAと地域の方に協力を依頼したことで、放課後子ども教室のスタッフ体制が整い、学童の子どもは自由に参加するという形になり、楽しく参加できることになった。やはりこういった会議に指導員も入れていただくことで改善へつながると感じている。 - 先ほどもあったように、「働き方改革」ということが今クローズアップされているが、「働き方改革」というのは教職員の目線で見る手段であって、目的は「子どものより良い育成」、この目的に焦点化して学校にはもちろん伝えていきたいと思っている。
本市では、地域教育協議会、学校支援地域本部に関わる方の会議を毎年開催している。学校の管理職、地域教育協議会の会長、コーディネーターの参加があり、本市の強みとして、その地域の方々が既に顔見知りであり、何年も長くこの活動に携わっていただいているので、忌憚のない意見が聞ける。例えば、地域教育協議会のイベントや活動が、PTAを主催にして今まではやってきたが、「それだけでなく更に広げたい」という校区からは、地域をどうやって巻き込んだか。逆に、今までは地域が主導でやってきたが、PTAの関わりがすごく薄かったのでPTAをどう巻き込んでいくのかという発言。今度4月に開校した義務教育学校では、旧の地域と新たな地域が融合され、今後1000戸以上の住宅が建つ予定があるが、子どもを支援する前に大人のネットワークづくりをするのはどうしたらいいのか、という悩みを相談された中で、各中学校区の広報紙などを見られたり、参加者と交流されて、「ああ、こんないい方法があるんですね」という発言。今日の会議というのは、まさにうちの市の事業でもある「我が町の子どもは我が町で育てる」ということに本当に合致している、というような話も聞かれた。 - 地域コーディネーター連絡協議会には100名を超すコーディネーターが登録しており、大阪府の研修などを皆で受けながら、個人のスキルアップを図っている。定期的な協議会では、取組の工夫や学校との連携などについて情報交換し協議している。また、コーディネーターの研修依頼をいただくことがあるが、そこでの悩みとしては、コーディネーターの動きのこと、取組に発展性がないこと、さらなる連携活動をしていく上でのきっかけ、学べる機会が欲しい、などがある。
私は中学校区でコーディネーターをしているので、そこでの取組を紹介する。最初は学校から依頼があって人を派遣する形で進めていたが、次第に、地域の方が「この中で、自分はこういうことができるんだ」と、主体性を持つようになった。このことが、やはり大事かなと思う。そのために、いろいろな方が学校に入るチャンスを作っている。例えば、去年からやっている「なわとびGo」という取組。小学校の縄跳びの取組では、ステップアップしていったらカードに記録しているが、休み時間には教職員だけでは対応できず、普段は自分たちでカードに記入している。そこで、時間に余裕がある地域の方が午前と午後の長い休み時間に学校に来て、子どもたちの縄跳びの回数を数え、記録する。二重跳びができたら、「わ、やったな」と、成功したことを共感できる。数えていて「もうちょっとや、がんばれ」と励ますと、10回しか飛べない子どもが20回、30回飛べるようになるようになる。また、励ました人も「自分が励ましたから子どもができたんや」という小さな成功体験、自己有用感を感じる。こういう形であれば、学校にも入りやすく、次の取組にも協力いただけるようになるかなと思う。
コーディネーターがいれば学校と地域とのクッション役になれるので、間に入れるコーディネーターが必要である。また、教育委員会がつなぎ役になり、個人では難しいところにアプローチできるようになれば、地域の子どもたちを皆で一緒に育てようという意識がもっと高まっていくと思う。 - 皆様の発言を聞き、感じたことを3点話させていただく。
1点目は、今日のタイトルに「多様なネットワークづくり」とあるとおり、さまざまな取組をそれぞれができることをできる範囲でやっている、これが最も大きなポイントである。多様であるので、「これがモデル」ということは示しにくいが、この「多様性」というものを大事に取組んでいただいていることが非常に大事だと思う。もう一つは「緩やかなネットワーク」ということが大事なポイント。あえて「緩やか」と言ったのは、あまりにも固定化された強固なネットワークは閉鎖的で新しい人たちは入りにくい。多様で緩やかなつながりが、今後このような活動を推進していく上で大きな意味を持つ。
2点目は、それぞれの取組の中で、世代間交流や異年齢交流が図られている、ここが大きな成果を生んでいる。やはりこのような支援をしていくためには、世代を超えた縦のつながりが必要。報告にもあったように、「がんばっているね」と言ってくれる人がいることが、子どもたちにも喜びになるし、声を掛けた大人が、子どもたちの成長を実感できる。そんな取組が必要なのかなと思う。
3点目は、このような取組を進めることによって、子どもたちにどんな力を身につけるのか。例えば、人間関係形成力や社会形成力、地域とつながる力。確かに、子どもたちはその地域で生まれ育っても、その後、その地域を離れることがあるのかもしれないが、しっかりと地域とつながる力を身につけることができたら、どこに行ってもその力は生きるだろうと思う。
もう一つは、地域とつながる力を身につけることの意味を保護者に理解していただいた上で、このような活動に参加することが必要である。子ども、保護者、地域の人たちに、どういう力を身につけていただくかを明確にして共有することが大切だと感じている。
つなぎ方、つながり方の工夫について
- 多くの幼稚園やこども園では、公開保育や学校協議会に地域の人を招いている。うちの園や何園かの報告でも、公開保育のときに地域の人に来ていただき、子どもたちが手を引いて「これ見て」と、自分の好きな遊びや作ったものを見せたり、園舎内を案内して行く。これまで教職員が説明をしていたが、子どもたちが地域の人たちに親しみを持つことがすごく大切だと感じる。そのあとの協議会や地域の方から、「幼稚園が何を目指しているか、子どもがどんなことを学んでいるかがよくわかった。」また、「子どもは宝だ」と言っていただいた。子どもにとっても、地域の人が来られること、直に手を触れて温かさを感じる、といったようなつながりがとても大事だと感じているので、発信していくとともに、さらに深まっていく方法を考えていきたいと思っている。
- 一方的に学校がプラスになる、地域がプラスになるのではなくて、そこに子どもをはさんだ活動を作ることによって、皆がメリットを感じられるような活動をしていくことが基本である。とりあえずは既存組織のいろいろな団体を巻き込んでいくこと。豊中市の場合は、公民分館という小学校区に分館組織があって、その組織であるとか、社会福祉協議会、保護司会、すこやかネット(地域教育協議会)、こういういろいろな団体があるが、うまくいっている校区ではどこの団体に行っても同じメンバーがそろっている気がする。ただ、先ほど言われた課題はもちろん残るが、それぞれの団体が個別に決まったことだけをするのではなく、一緒に活動することでつながっていける、そんな機会を少しでも学校が中心になって仕掛けができたらと考える。
例えば、地域のお年寄りがたくさん来てくれたときは、あえて、お茶会を持ち、「子どもたちにこうなってほしい」「最近、ちょっとうちの小学生、あいさつ少ないでしょ」とか投げかけることで、学校の目指しているものや、子どもたちにこんな力をつけたい、ということを地域の方に理解してもらえる。本当に地道かもしれないが、一つひとつの活動に少しずつつながりを生み出すようなことを取り入れていくことが大切だと思う。
保護者に対しても同様で、例えば、公園を借りてマラソン大会をやっているが、朝スタート位置に水たまりがあれば、あえて雑巾をたくさん持っていく。教職員が水を取っていると、保護者も手伝ってくれる。それだけでも「良かった」と思う。子どもはその状況をあとで知ったときに、「お母さんらも手伝って、水を取ってくれてんな」ということが子どもの心に残り、「がんばって走ろう」という気持ちになる。そのようになっていったらいいと思い、あえてそういう仕掛けも必要かなと感じている。 - 支援学校の場合は、なかなか学校の中に地域の方が入るというのが難しいが、日本の伝統的な行事、お祭りなどで学校を開放して、学校の様子を知っていただいている学校はたくさんある。
本校の特徴として、あん摩はりきゅうの臨床室がある。あん摩はりきゅうを地域の方に実習協力という形でお願いしているが、特に高齢者の方にたいへん喜んでいただき、継続的に学校へ来ていただいている。夏季休業中に本校の教職員が講師として学校で行っている市民講座である、コーラスや健康教室、肩こり解消の運動やストレッチに参加いただいている。
本校は避難所に指定されていることもあり、地域の避難訓練の活動にも協力している。昨年度、地域の避難訓練の場所として本校を開放し、地域の方と一緒に校舎を廻り、避難所としてどのように使えるのかを検討した。防災の面でも学校や障がいのある子どもたちを知っていただくことが大事だと思っている。 - つながり方の工夫だが、市役所を中心とした組織との連携が一番大事だと感じている。例えば、家庭科で「今のまちづくり」の授業では、「まちの魅力をどう発信していくのか」ということを、市内の大学生や地域の方々とともに考えている。また、今日の資料の中でもある「親学習」にも取組んでおり、1年生の家庭科の授業の中で、地域で子育てされている方に乳児と一緒に学校に来ていただき、各クラスで交流することで、地域の方には学校のことを知っていただき、生徒たちは、親になるということを実際に学ぶ。最初はそうではなかったが、今では市の担当者が親子の募集、連絡調整をしてくださり、各クラスに1回当たり10組くらい来ていただいている。
一方で、市役所の食堂で、家庭科部の生徒が考えたメニューを実際に定食にして出してもらい、売り上げの一部を発展途上国の給食支援に充てる国際貢献活動に寄付をする取組を数回行っているが、市民や市の職員に認知していただいている。逆に、2年生9クラスの現代社会の授業に、茨木市の財政課の職員の方に来ていただいて授業をしていただいている。
高校になるとなかなか地域という認識が難しいところがあるが、私は、生徒が自分の通った学校の地域を好きになったらいいなと思う。そのことが、自分が生まれ育った町を好きになる、あるいは好きになるためにはどういうことが必要なのかという視点を持つことになるのではないかと思っている。
もう一方で、自治会単位の近いところでの強いつながりは大事にしていかなければならないと思っている。先ほどもあったが、本校も地元の祭りでは校地を一部開放して連携している。 - 私は、小学校・中学校で広報委員を担当していたこともあり、学校と保護者のつながりというところで、広報紙に力を入れていた。もとから広報紙づくりをきちんとしている学校ではあったが、学校の様子はもちろん、特に「先生紹介」は毎回皆さんが楽しみにしていて、違う学年の教職員、違うクラスの教職員もどんな教職員かという紹介を載せることで、学校全体の雰囲気も保護者の方に伝わりやすくなり、子どもたちが教職員に親しみを持つことにつながるので、なるべく新学期すぐに発行するようにしている。学期末には行事等の紹介を、カラー写真を多く掲載して発行することで振り返ることができ、学校とのつながりを確認できる取組になっている。
今後に向けて検討していることとして、中学校に文化部が少ないこともあり、ボランティア部を作れないかと相談している。例えば、放課後子ども教室や学童保育などで、中学校のクラブ活動の一環として、子どもたちと一緒に学習したり、遊んだりする活動ができるのではと思っている。 - 学校の進路部の教職員とPTAの進路委員会が一緒になって障がい者施設の見学に行ったり、また、情報担当の教職員とPTAの広報が一緒になって広報をしたり、地域担当の教職員と防災について取り組んだりと、私たちはPTAを通じて学校とさまざまな関わりをもっている。このようなPTAの活動を保護者の方に知っていただくために、いろいろな工夫をしているが、まだまだ足りていないと思うので、その辺が課題かなと思っている。
最近は以前と違って、障がいのある子どもの保護者もフルタイムで働くことが増えていて、子どもたちは、昼間は学校で、夕方はデイサービスや学童保育で過ごすことが多くなっている。これを受けて、学校・放課後等デイサービス・保護者の3者が同じ目標や支援計画を持つなど連携する必要があるが、なかなかこの辺が課題である。
本市の場合は、事業者連絡会のようなものを市が主導して作っており、そこには教職員や関係者が一緒に会議に入り、課題の共有などをしているが、そういうことが大事だと感じている。
また、どの支援学校でも防災の取組をしているが、本校は内閣府の地区防災計画のモデルに指定されたこともあり、今も継続的に地域の方と会議をもっている。その中で、災害発生時の役割について自治会と協議しているところである。防災に関して、地域と連携することは大切であると思う。 - 学童保育においても保護者会はあるが、なかなか出席していただけないことが各地で悩み事になっている。先週、担当者会を持ったが、保護者に出席していただくためには、オーソドックスではあるが定期的に会合を開くことが必要だということになった。緊急のときだけの保護者会ではその時だけの関係になってしまうので、定例会にして普段から関係づくりをすることが大切。保護者会では子どもの様子などを伝えるだけでなく、楽しめる活動を取り入れることで、つながりづくりが促進される。活動を計画する際、保護者に小さな役割分担をすると次につながる。また、保護者に短時間で「私と保護者会」のような話で思いを語ってもらうことで気持ちもつながるのではないか、などの意見があった。
- 子どもの安心な居場所つくりは大人ができるが、子どもどうしの絆づくりや大人のつながりというのは、当事者でしかできないという視点に立ち、我々行政としてできることとしては、各活動の情報をいかに伝えて、それを知ってもらって、それぞれの個人としてどうウィンウィンの関係を作っていただくかと考えている。
具体的な例としては、次年度から「特別の教科 道徳」が始まるが、それに向けて本市では、すべての学校で、保護者だけではなく地域にも公開した「道徳」の授業をしている。ある担任は、聴覚障がいの保護者の読み物教材を活用した授業を公開するにあたり、事前に教材を家に持って帰って、おうちの人と話し合ってから授業に臨むよう指導された。たまたまそのクラスに聴覚障がいのある子どもがいたため、地域の方や保護者から「こういう授業をする。あなたのところのお子さんがいるのに」などとSNSで噂が飛び交った。そこで、学校の仕掛けとしては、その聴覚に障がいのある子どものお父さんを、サプライズでゲストティーチャーとして呼んで授業をされた。その場で参観していた中学校区の教職員、地域の方はもちろん、教職員研修の場などで、授業のビデオを見ていただき、そのときの子どもたちの表情の変化、お父さんの思いを届けられた。市の狙いとしては、心が温まるウィンウィンの関係、地域の人が学校に来てくれて、学校の教職員だけではできないところを学ばせていただけるという形で、次年度以降は地域教育協議会の中でも、こういったビデオカンファレンスは取り入れたいと思っている。 - これまでの発言を受けて、感じたことを2点伝えたい。
1点目は、学校園が子どもたちの成長や発達が実感できる場として、地域の人たちを巻き込んで取組を進められているということ。自分たちが関わることで、「こんなに子どもたちが成長するんだ」という、この実感が取組をさらに継続させていく大きな力になるように思う。もう一つは、保護者の方は、子どもたちのことを知りたいと思っているので、保護者が知りたい情報をうまく提供することによって、保護者とのつながりを持つ機会ができる。学校園、地域教育協議会等のネットワークの果たす役割は非常に大きいと改めて感じた。
2点目は、学校教育の中で、例えば、今日紹介のあった防災教育、職業体験・キャリア教育、それからクラブ活動としてボランティア部の活動はシチズンシップ教育にもつながると思う。先程紹介のあった道徳教育もそうであるように、こういった子どもたちのために行われる教育が、学校教育のカリキュラムとして、地域と連携し、地域に開かれていくという大事なきっかけを与えてくれるような気がする。 - 私は学童の指導員としても活動しているが、教職員のネットワーク、個人で持っているネットワークを使い、地域の方に来てもらってさまざまな取組をしている。例えば、公民館で将棋の名人さんがいたら、その人に夏休みに来ていただくとか。メディアセンターとつながり、国際交流でフィンランドのクリスマスコンサートを体験したり、パナソニックとつながり遠隔操作で電池作りができる無料プログラムを行った。個人のネットワークを活用してさまざまな活動につなげている。保護者の方たちと年に何回か懇談会をするが、働いていると親どうしが話をする機会がなかなか持てない。そこで、大阪府の「親学習」を取り入れたところ、活発な話し合いとなり、働いている者どうしで共感できる部分があり、大好評であった。お母さんたちは、子どものことを話し合う機会を望んでいるということを感じた。
コーディネーターとして感じることは、地域によっては同じ人ばかりが関わっているという状況があるが、それだけでは継続した活動が難しくなってくるということ。そこで、既存の活動を基盤にして、そこにいろいろな方を巻き込み、緩やかなつながりを作りながら発展させていくような取組が大事だと思う。その工夫として、ワークショップのような形で話し合う機会をもつ。例えば、子どもの困り事について考え、それを解決するために地域の人がどんなことができるのかを引き出す。そうすることで、地域は何をしたらいいか見えてくるのではないのかと思う。河内長野市では、「地域の大人はみんな親」をキャッチコピーにして、さまざまな活動をしている。最初は簡単にだれでも関われるような仕掛けがあり、そこから、みんなで子育てをするような場面へと発展していけばいいのかなと思う。
全体を通して
私から、簡潔に3点お伝えしたい。
まず1点目は、「協働」というのは手段であり、目的ではないということ。やはり協働するとなると、いろいろな立場の方がおられるので、困難が伴うと思う。そのときに、何を目的として我々は手をつなぐのであろうか。たぶん目的は、子どもたちの健全育成と地域の方々の活性化、中央教育審議会でも、「新しい教育と地域創生」という、一歩踏み込んだ「地域の創生」というところまで言及している。
2点目は、「発想の転換」ということ。例えば、高齢者の方、今までは支援の対象であった方々が、アクティブシニアとして子どもたちの思いやり活動や見守り活動をしていただいている。こういう発想の転換をどんどんしていかなければならないと思う。
3点目は、「助け上手・助けられ上手」ということ。やはりそれぞれの専門職、教職員、地域の方々、ボランティアの方々、そういった方々の得意な分野については助け上手になる。ただし、教職員のなかなか難しいところ、地域の方々、PTAの方が難しいところは、お互いにできないことを開示しながら協力し合うということが協働につながるのかなと感じた。
- 開催日時 平成30年2月14日(水曜日)午前10時00分~11時45分
- 場所 大阪府公館大サロン
- テーマ 地域と学校 さらなる協働関係の構築に向けて ~多様なネットワークづくり~
- 内容
- (1)事務局からの説明
- 教育コミュニティづくりの取組について
- 教育コミュニティづくりの取組の流れ
- 学校支援活動
- おおさか元気広場
- 家庭教育支援
- テーマ設定の理由について
- 教育コミュニティづくりの取組について
- (2)出席者による意見交換
テーマ:地域と学校 さらなる協働関係の構築に向けて ~多様なネットワークづくり~
- (1)事務局からの説明
平成28年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
会議の要点
【協働の現状と課題について】
- 地域と学校の協働は進んできているが、役所内での連携、教員の理解に、まだ課題がある。
- 協働を進めるためのキーワードは「対話」。これを大切にすることが、両者の理解を深める大前提となる。
- 地域、家庭、学校がそれぞれ協働のよさを「実感できる」ような取組みが必要。
【「社会に開かれた教育課程」を踏まえた学習支援】
- 狭い意味での学習ではなく、モチベーションや大人への憧れ、自己有用感、生きることの大切さなど、広い意味での学力を地域人材は担っていける。
- 現実の社会で学んでいくキャリア教育の視点が重要。
【子どもの貧困等をふまえた学習支援】
- 子どもたちの「学び」と「育ち」、さらに「働く」ということを一体的に考えて取組みを進めることが重要。
- すでに様々な取組みがなされていて、それをどう見つけ、広めていくかが重要。
協議の概要
協働の現状と課題について
- 学校と地域というのは、かなりつながっているような気がする。平成13年、14年くらいからの活動なので、地域に根差した活動ができている。田尻町なら、子どもたちの防災キャンプを「子ども防災キャンプinたじり」と名を打ってやっているが、警察・消防、ここが全面的に「協力させてくれ」というようなノリ。少し気になるのが役所関係。役所関係の連携が非常に薄い。
- 学校現場へ戻ってみて、かなり進んできているなということが実感としてある。地域の方の意識もやはり非常に高くなってきている。ただ、やはり学校と地域の協働が実際に進んでいる、進んでいないというあたりは、ただイベントを繰り返しこなしているだけに見えるところと、そうではなくてやはり学校や地域の課題をしっかりと共有できているという、そこに非常に差が出てくるのではないかというように今感じている。
活動のポイントとか大切にしてきたことは、学校にとっても家庭にとっても地域にとっても、その活動が「いいね、よかったね。助かった」というような、実感できるそのような活動。例えば、花いっぱいプロジェクトで、地域にたくさん花を届けると、やはり地域の方は喜んでくれる。
それとやはりボランティアの人にはもう、「できるときにできることをやってくれたらいい」という精神を貫かないといけない。当番制は疲弊する。
そして、自分の自己実現にもつながるようなそのような活動。そこから始めてやってもらった活動で、何らかの満足感をもらう。
それから最終的には、もっと大きなビジョンとか夢を持ちたいなという思いを持っている。学校が拠点になって、子育てに優しい地域づくりというのにつなげていくことができればというような思いでの活動。
課題としてやはり感じるのは、一番は学校・地域・家庭の協働の中で、壁の高いのは学校。教員の意識改革というのは一番時間がかかる。 - 私たちの国公立幼稚園、こども園の中には、公立同士ということで、中学校区の中に幼稚園も入り、一緒に中学校区で地域とさまざまな活動をしているという園もたくさんある。
銅座幼稚園も地域と非常に協働の関係を構築している。子どもたちも地域の老人の食事サービスに出掛けて行って、歌を聞いてもらったりという機会もあるし、地域の公園の清掃などにも出掛けている。
その中で一つ、地域の子育てボランティアの方たちが『子育て応援団』という名で月に1回、幼稚園を使って子育て支援の活動をしている。
地域の未就園の親子がたくさん来て自由に遊んだり、子育て応援団の方に絵本の読み聞かせをしてもらったりとか、子育ての情報をいろいろと発信したりしてくれている。幼稚園でするということにとても意味があると、この『子育て応援団』の方たちが言ってくれるのは、未就園のお母さんたちが少し先の我が子の姿をイメージできる、本当に身近に幼稚園の子どもたちの姿を見てイメージができるということで、まさにこれは幼稚園の機能を生かした子育て支援ということなのかなと思っている。
『子育て応援団』のメンバーの中に、園の保護者のOBの方が結構たくさん参加しており、自分の子どもだけではなくほかの子どもたちのために活動してきた方が、今度は地域のために活動をしてみようということで、地域の担い手を育てていくというようなところもあるのかなと感じる。 - 実際のところ地域では、子どもに関わりたいと気持ちはあっても、小・中とはパイプはできているけれども、高校とのつながりは少ないように思う。今、高校では各学校それぞれが育てたい生徒像いうものを明確に持っている。そこで地域においても「地域としての子育て像」であるとか「どのような大人にしたいのか、社会人にしたいのか」など、スローガン的なものを持っていただき、「子育て」をテーマに学校と地域とがコラボし、できるところから連携・協力を行う。そうすることで小学校・中学校とはまた違った関わりができるのではと考える。
地域との関わりについては、これから高校も一歩、踏み込んでいかないといけないと感じている。その際、地域との関わりを考える校内窓口の設置などの見える化を図り、教員理解を進め、地域との関わりの重要性などを学校内で共有することで、地域との実践に向けた具体的な動きにつながっていくことが期待される。 - 大阪府に今、四十数校の支援学校があるが、同じような学校というのはない。それぞれ歴史・経緯が違うし、障がい種別ごとに設置されている。地域も、学校の立っている建物の周りと、自分が住んでいる広い校区と二つある。
今、支援学校の役割として地域への特別支援教育の支援がある。学校の使命。また、今話題になっているのが、インクルーシブ教育システムということで、障がいのある子どもにとって、そのときに一番必要な最適な教育の場を、ということで、従来だと支援学校か地域の学校か二者択一だったが、子どもの状況によっては、地域の学校に1年行って、支援学校に1年行ってまた地域の学校、それがその子どもにとって最もよい教育環境であるならば、そのような行き来もできますよというか、「そうしたほうがよいのではないですか」という、国の施策も始まっている。
先ほど防災というキーワードがあったが、例えば災害時をいろいろな想定した備蓄をはじめ、マニュアルを作っているところだが、子どもたちの住んでいる近所では、避難できる場所、避難所に行ったときによく考えると、子どもにとっては知らない人ばかりになる。普段からなかなか地域の方々と自然な形で触れ合うチャンスがないというのが、これは支援学校そしてどうしても超えることができないこと。逆に言うと、今そのようなところを「居住地校交流」といって、本来その子どもの小学校区であるとか中学校区の学校と交流をする。これは支援学校の教育課程に位置付けて、支援学校の責任で、教育の一貫として地域の学校での行事・授業に参加をさせていただく、あるいは協働学習の場を設定するというような取組みをしている。
また、地域のいろいろな方に支援学校のことを知っていただくことも必要。支援学校の努力として子どもたちが地域で一緒に学ぶというか、交流をするという、この機会をたくさんつくっていくことが非常に大事なことだと思っている。キーワードで言うと『こころのバリアフリー』。 - 大阪府のPTAの立場として広く保護者を考えたときに、やはり認知度が少ないのではないかというようには感じている。「協働とは何なのか、学校支援とは何なのか、「親学習」って」と、そのようなことも伝わりきれていない。そこをもっと広めていかないと、きっと保護者のほうに伝わらないということが多いのかなと感じている。
いろいろな立場でいろいろな状況の子がいて、いろいろな保護者もいて、その中で「お互いに連携するからこそ、子どもたちって高く高くのぼっていくことができるんだね」と。だから、先生がやることだけれども「先生も大変だから、一緒になってやろうよ」と、どれだけ地域や保護者が思えるかというところが非常にポイントで、そこがないので、今はとても壁なのではないかと感じている。 - 支援学校ということで、校区が広いが、ぜひ学校の近くの方と何とかして協力をしていっていただきたいと思う。それぞれの支援学校でも取組みはしている。例えば、中学部・高等部が作った野菜を地域の人に販売するという、そのような活動。学校のことを知っていただくというためにも、そのようなことは必要なのかなと思う。
保護者として、やはり障がいについての理解を、何とかわかっていただきたいなと思うところがある。例えば、知的障がいの子で何度も同じ質問をする子がいるが、同じ答えが返ってくることで安心感を得られるということ。知らない人からすると、「何回、同じことを聞くねん」という話になる。できるだけ地域の人に関わってもらったら、「頑張って生きているんやな」というのを、それを知ってもらえるだけでもありがたいかなと思う。 - 学校、家庭、地域の対話や会話、コニュニケーションがやはり理解の大前提なのだと思う。理解というのは対応のための基本であり、適切に対応するためには、正確な理解、十分な理解がなければならないが、その理解のための対話や会話がもっと必要なのだということを感じた。そして、対話や会話を進めるための仲立ち、コーディネーターになる人材を見つけて、その人と話し合いをしながら、人と人とをつなぐ、地域や家庭と学校をつなぐ。その対話や会話の仲立ちをしてくださる方もサポートしていく必要があるということを強く感じた。
何か大きな取組みをこれから進めるというのではなくて、できることややれることを見つけて、できる範囲でやるということが重要なのだということを再確認した。
さらに、そのような活動を提供してくださった方たちが「やってよかった」、支援してくださった方たちが「やってよかった、手ごたえがあった」いう満足感や達成感、もっと言えば、「生きがい」や「やりがい」にもつながるようなことが感じられる営みが必要なのだろうと思った。
学校からは、「子どもたちがいつも本当にお世話になっています」という一言が何かの形を取って、例えば、手紙でも絵でもよいので、その方たちに届けられると、その方たちが「やりがい」とか満足感が高まるきっかけにはならないかと思う。認めて、ほめて、ねぎらうということを、もっとしていく必要があると思った。もう一つは、一人では絶対に対応しないということが原則。地域の人たちの協力なくしては、このような取組みはできない。
社会に開かれた教育課程を踏まえた学習支援
- 例えば、私の前任校では、「政治的教養を育む教育」の実践計画を練っている中で、地域の青年会議所の人から学校に対して一緒に模擬投票をしてみないかという投げかけがあり、実施では選挙管理事務所から実際の投票箱を借り、体育館で行った。模擬投票所の係員は、青年会議所の方にお願いすることで臨場感と緊張感の中で行うことができ、生徒には貴重な経験となり、学ぶことも多かったと認識している。また、別の高校では、東大阪の中小企業さんと連携して、インターンシップを1年行い、単位修得できるシステムを作り上げた。そのようにそれぞれの学校で地域性をふまえた特色ある取組みが少しずつではあるが進んできている。学習指導要領で「社会に開かれた教育課程」位置付けられたことによって、一つ一つ前に進んでいくのかなと考えている。そこで、まずやらねばならない具体的なこととしては、地域と連携すること、地域と連携して生徒を育んでいく、その有効性、重要性を先生方がしっかりと理解をする必要があると考えている。ここでもやはりポイントなるのは、教員の意識改革。そこがまずスタートとなろう。
- 障がいのある子どもが将来自立して、あるいは社会参加をしていくということでいうと、すべてが社会に開かれていなければいけない。例えば野菜作り。畑で野菜をつくり、販売もする。その時、そこの現場に行って、対話をする。コミュニケーションする。
子どもたちにとっては、現実の社会で働くということを実際にやりながら学ぶ。キャリア教育の中でも、特に今支援学校で最近出てきていますのは、野菜とか焼き物、木工は従来からあったが、例えばパンをつくって売っている学校もあるし、ランチを地域で提供して、予約のものも足りないといううれしい悲鳴を上げている学校もある。
先日、モノレールの駅で、大阪府の作業所などの取組みであるのですが、そこでうちの学校も丸々1日、そこで喫茶コーナーをさせていただいた。非常に緊張感を持ってやってくれたということで、高い評価をいただいているところ。そのようにどんどん子どもたちが社会の、現実の社会の中でやりながら覚えていく、成長していく。そのようなものも開かれた教育課程の一つではないかと思っている。
子どもの貧困などを踏まえた学習支援
- 子育てに孤独感というのが、やはり1人で子育てをしているというのがとても感じる。やっと幼稚園に入ってきて、周りに同じような思いをしている人がいたのだということに気がつく。幼稚園の中でもいろいろな学級懇談であったり、園庭解放であったり、いろいろな場所で保護者同士をつなぐというような取組みをしているので、それで幼稚園に入ってくると、かなりそのあたりというのは心穏やかにお母さんたちもなってこられるし、幼稚園のほうも、基本的な生活習慣的なところも「このようにしたらよいのではないでしょうか」ということも、いろいろと一緒に相談にのりながら、子どもの様子も見ながら、というようなこともできまる。
だから、入園するまでの保護者がとても心配だと思うところがある。だから、先ほど言いましたような子育ての支援を、幼稚園としていろいろなことに働きかけていくことで、もっともっとできるのではないかと考えている。 - 本当に保護者同士がつながりがあって、「どうなん、しんどいの。大丈夫」という声掛けができる家庭は、きっと少し引き上げられて、「ちょっと頑張ろう」とかそのように進んでいくのですが、そこがないとやはりどんどん1人で子育てをしている。そしてしんどい家庭が増えてきますし、そのようなことを改善するためにと、私はいろいろなことを考えるのですが、やはりそこは学校と保護者が連携するしかないのかなと思っている。
先生も今、コミュニケーション能力が必要とかいわれていますが、先生という職業だからこそ子どもたちとコミュニケーションを取ってほしいと思うし、親ともコミュニケーションを取ってほしいと思う。
私は教師はとてもよい職業だと思う。究極のサービス業ではないかと。そして、子ども達のためにも先生がもっとキラキラしていてもらわないといけないし、そのためには私たち親がもっと先生のやりたいことを応援したいと思うし、そう思うと、やはり会話が大事。このような貧困とか学習支援とか、いろいろなことを踏まえてもっと、「PTAって、PとTですよね」とよく学校で言うのですが、先生と保護者がもっと近くで会話ができればよいなと日々思っている。 - やはり地域の人に学習支援とボンと出したときの反応。まずは、先ほどおっしゃったように「それ、先生の仕事と違うのですか」と。ただ、本当にその校区の子どもたちにとって少しでも点数を取ることができるようにしてやろうとか、皆が思って何かをやろうということであれば、いくらやってもよいと思う。
確か平成18年度のときに、国が、「大阪は先行してやっているから少し意見を聞かせてください」ということで、ポンチ絵を持って来られた。そのポンチ絵の中に地域の人にやってもらいたいお手伝いとして、「ドリルの丸付け」と書いてあった。それを見て、もう、大反対した。それは学校の先生がやる仕事。それをすると、「また学校は、都合のいいときだけ頼んできよる。便利使いしよる」というイメージにしかならないと感じた。
だから、学校の授業の中に入っていくけれども、子どもたちが校外へ出るときにその引率の補助をしていただくとか、生活科のゲストティーチャーをしていただく、昔遊びを教えてもらう、昔の生活の話をしてもらう、それから、ミシンや調理実習の補助に入ってもらう。そのあたりはとても教員も助かるという実感を持つことができる活動。やはりそのようなところから始めて、徐々に徐々にその事業にかかる範囲に協力をしてもらうとよいのではないかと思っている。だから、学習支援については、個人的には慎重に進めたいと思っている。 - 貧困の捉えだが、今、全国の成績だけでいうと、年収1500万円と200万円以下とでは20ポイント以上差がある。その学力に差がある子が大学進学率にも差が出て、大学に進学した子とそれ以外の子では、非正規雇用、正規雇用に差が出て、また年収に差が出ると。その負の連鎖がサイクルとして回っていくと。それを断ち切る、というのがわれわれ行政としての願い。
貧困の家庭では学習ができる場もない。では塾形式でやってみるというのも一つの案だが、本当に最貧困といわれている子どもたちが集まるのかという問題がある。行政としてはどのような貧困への学習支援ができるのだろうということは、われわれも検討をしている最中。
先ほど市内で地域教育協議会と学校支援地域本部の担当されている方々に集まっていただき、意見を伺った。その場である地域から通信が出された。この中にすべて今日のところが網羅されている。子ども同士の協働であったり、地域の対話であったり。きっかけは、子どもたちが地域の人たちを招いてお花をあげた。お花をあげるととても喜んでもらえた。「もっと何かしたい、地域と関わりたい」ということで、ハートフルカフェをしようと。そのハートフルカフェをするに当たっては、来てもらって何かサービスをするだけではなく、一緒に水やりとか花摘みとかいう対話的なものを、視点を入れると、地域の人と子どもたちが積極的に会話をするだろうと。その会話をした結果、さらに「やってよかったな」という自己有用感が高まるというねらいがこの通信に書かれている。いわゆる学習指導案のような、授業で使う指導案のようなことが地域から発信されているところが、非常に新たな発見になったというように感じている。だから、われわれとしても一歩進んで何ができるかなと。
本当にわれわれも自分たちが教育委員会として、行政として伝えるのではなく、まさに今やられている、すでにもうやられていることがたくさん埋まっていて、それをどのように広めていくかというのが、今後の本当にやりがいでもあり、課題でもあると感じている。 - 今回は「学習支援」ということがキーワードになったが、これは「学び」ということ。これまで支援をしてきたのは「育ち」の方であった。「学び」と「育ち」、「育ち」と「学び」、この2つが車の両輪のように一体になってきたということが、私は大事だと思っている。大阪府はずいぶん早くから取り組んできた家庭教育支援だが、「学び」の方は、これまではあまり強調されてこなかった。「学習支援」が入ることによって、子どもの「育ち」と「学び」を一緒に支援していくことができるようになったというのが大切だと思う。
子どもたちが「生きること」「学ぶこと」「働くこと」はやはり一体でないといけない。「生きること」や「育ち」につながる部分は、「学ぶこと」や将来の進路とも関係づけて考えていくべきことなので、「学び」と「育ち」を一体化し、子どもたちの「生きること」「学ぶこと」「働くこと」の支援に総合的に取り組んでいくということが非常に大事なポイントになってきたのでないかと思う。
私はこれまでにも家庭教育支援に関わらせていただいたが、最初に取り組んだのは不登校の子どもたちの支援であった。小学校の低学年で学校に行けない子どもたちに対して、「迎えに行く」というスタンスで、子どもと家庭にかかわった。その取組みを学校の先生方ではなく、地域のサポーターの方たちに担っていただいたところ非常に効果があった。学習支援は学校の先生方が最も大きな役割を担うところだが、そこに地域の人たちに関与していただくということによって、これからの取組みが大きな活動になるものと期待している。
もう一つの視点としては、キャリア教育という切り口が、社会教育においても注目されていくべきではないかと思う。キャリア教育に取り組んでいる学校では、小・中・高等学校ともに、児童生徒の学習意欲の向上がみられたということが示されている。今日、皆さまから示唆していただいた対話の重要性はキャリア教育とも共通しているので、学習意欲の向上と併せて注目していただければと思っている。
まとめると、今後の家庭教育支援に子どもの「学び」の支援という観点を付け加えること。そして、「生きること」「学ぶこと」「働くこと」をつなぐキャリア教育の観点を入れていただくこと。キャリア教育の中では、職業体験やインターンシップをぜひやってほしい。必ず地域の協力が必要になるし、地域の協力があればやれると思う。 - 地域で10人に声を掛けて「学校でボランティアしよう」というお誘いをすると、10人声を掛けると10人がおじいちゃん、おばあちゃん。しかし100人に声を掛けると1人、2人現役PTAの方々がいる。その人たちは必ず僕たちが仕掛けをすると、次の人材になっている。頑張って次の人材を見つけていく方は、そのような人たちをうまく引き込んでいっている。頑張って100人に声を掛けると何とかなるというところが人材だと思う。
それと学習支援。それを教えるのは、もうプロでよいと思う。地域の人というのはやはり子どもと接して、やる気とか続ける根気とか、大人になることを憧れることのできる子ども、そのようなものを地域の人が教えるべきだと僕は思う。本当にその学力を上げたいのであれば、行政がお金を出してどこか塾の講師をよぶとかすればいい。けれども僕たち地域の大人というのは、そんな役目ではないと思う。そこで今日のキーワードになった対話とか会話。その子どもたちの中で「もっともっと頑張れよ。これ、お前、できるやんか」という、そのような子どもたちのやる気とか本気とか、テストの点数を上げていけるようなことを教えるのが地域の役割だと思っている。その中でおじいちゃん、おばあちゃんというのは一生懸命やってくれる。その中でおじいちゃんもおばあちゃんも「子どもたちと遊んでうれしかったな」と、「自分も少し勉強ができてうれしかったな」と思わせる仕掛けを作るのが、僕らコーディネーターの役目だと思う。 - 学校の先生はやはり教えるプロだと思う。それから地域の方々というのは、子どもたちのことを、地域を愛するプロだと思うので、お互いの得意な部分を「助け上手、助けられ上手」になることが必要。つまり、先生と地域がお互いに得意な部分を活かして協働していくと言うこと。大切なことは、「助けられ上手」になること。従来は、先生は先生だけで頑張らなくてはいけないと思っておられるし、そのようなときに、先生がやりたいけれどもできないところを、地域の人たちや福祉の方々、それから今、福祉教育であれば障がいのある方々と関わることで、子どもたちがいろいろな学びをしていくという、そういうのが大切であり、そのような「学び」ができればよいなとかなと考えている。
それから、学習支援というのも、知識教育(発達としての教育)というのでしょうか、そのような学力を伸ばすということと、同時に生きることの大切さ。「あなたは必要だよ。大切にされているよ」ということを実感してもらうことで、次、頑張ることができる、しんどいけれども頑張ることができるという力って、そのようなところにきているのかなと思う。
今の子どもたち、引き算ばかりされてしんどい状況の中で、それでも地域の人が温かい目で、「あんたら、必要やねんで。宝物なんやで」と言ってくれることで、苦手な勉強もちょっと頑張ろうかなというのも、学習支援と考えていけばどうだろうか。
地域の人は子ども達のために何かしたい。したいから手伝ってもらうことで、その人たちは地域で「生きがい化」していく。そしてそれを見て子どもたちは、「こんなに元気で明るいおじいちゃん、おばあちゃんがいるんや。僕たちもおじいちゃん、おばあちゃんになったらああなりたいな」というロールモデルを作っていく。そのような仕組みが、実は開かれた教育課程の中に必要な部分ではないかと。
勉強する姿勢とかモチベーションのところに、地域の方々の、それから障がいのある方が生き生きと生活をされている状況を見て、子どもたちが困難な状況でも前向きに取り組んでいくことができるのではないかということを実感していただく。そのときには、いわゆる「お互いに学び合うという姿勢」というのがとても重要ではないかと感じた。
- 開催日時 平成28年2月3日(水曜日)午前10時00分から12時00分
- 場所 大阪府公館大サロン
- テーマ 学校と地域が連携した家庭教育支援について -家庭の教育力向上に向けて-
- 内容
- 事務局からの報告
- (1)これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 教育コミュニティづくりの取組みの流れ
- 学校支援活動
- おおさか元気広場
- 家庭教育支援
- (2)教育コミュニティづくりの課題解決に向けた取組み
- (1)これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 出席者による意見交換
- 事務局からの報告
平成27年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
会議の要点
【親学習の内容充実と参加者促進に向けて】
- 親学習の大きなテーマ(ねらい)を明確にすべきで、つながりづくりが重要となる。
- 学校園それぞれの状況に応じて、工夫ある取組み、参加を促すしかけづくりが必要である。
- 親が参加してみたい、参加しやすい雰囲気づくりや親の段階、状況に応じた内容で実施することが重要である。
【親学習の効果検証】
- 支援対象や課題の状況に応じて、検証方法を分けて考える。
- 量的評価に加えて、事例報告から多職種による「多面的、重層的」な事例評価(質的評価)について考える。
【家庭教育を支援する学校、地域の取組み】
- 保護者が気軽に集うことのできる場づくりを考える。
- 学校、家庭を支援するための仕組みづくりと工夫ある取組み(しかけ)を考える。
協議の概要
今年度は、「学校と地域が連携した家庭教育支援」をテーマに、「家庭の教育力向上に向けて」をサブテーマとし、「親学習の内容の充実や参加者の促進」、「親学習の効果・検証」、「家庭教育を支援する立場から学校・地域での取組み」の三つの観点で協議したい。.
親学習の内容充実と参加者促進に向けて
- 最近、保護者が孤立しているとよく聞く。子どもは、地域の人や大学生としゃべったり遊んだりできるのに、なぜ、親は子どもと一緒に参加できないか不思議に思う。親学習については、何度か参加させてもらったが大きなテーマが見えない。すこやかネットの場合は、「顔と名前が一致する地域づくり」という大きなテーマがある。やはり、保護者に気づいてもらいたいのはつながることであり、子どもがつながるように、いろいろな体験活動などにより親自身もつながってもらうことを重点的に取り組んだらどうか。
- 毎朝、「あいさつ運動」をしているが、課題のある子どもは、やはりあいさつができない。親子のつながりが希薄になっていたり、また、貧困、離婚など、親自身が自分の生活を維持することが精一杯で、子育てに注力できず小学生が寂しい思いをしたり負担感を抱えていることも多い。課題のある子どもは、親の愛情不足であると言える。学校では、家庭科の授業で、家庭の大事さ、それぞれの役割について学習するが、親御さんにも参加してもらい考える機会とすることも考えている。やはり、親御さんにはいろいろなつながりをつくってほしい。
- 幼稚園でも、子どもを育てることに不安感を持たれている保護者が多いと思っている。幼稚園は、初めての子どもたちの集団生活の場であり、親にとっても他の親とつながる初めての場でもある。その意味で、幼稚園の支援として、親どうしつなげることはとても大事かと感じている。具体には、グループワークを取り入れた学級懇談会や保護者に「保育参加」してもらい、他の保護者の子どもと関わりを見ながら自分も体験活動に参加する取組みをしている。また、保護者の方の交流の機会として、未就園の子どもと保護者が来園する機会をつくっている。
- 中学校では、親御さんに足を運んでもらえない課題がある。入試制度改革といった内容だと約8割の親御さんが参加してくれたが、保護者対象の講演会では約5%の参加となる。親が生活するので精一杯なのか、「学校に任せとけばいい」「学校ですべて指導してほしい」という風潮があり、LINEでトラブルが起こっても、「学校でどうにかしてください」と投げられる。親御さんは、自分の子どもに自信がないのか、学校が求めるような指導はしてくれない。ただ、昨年は、学期に1回ずつの土曜授業を実施し約5割の方が参加してくれた。学校へどのように足を運んでもらうか、地域協もPTAも学校も一緒になって考えている。
- 大阪府は全国的にも離婚率が2~3番目に高く、特に母子家庭の貧困が非常に高く気になるところである。また、ひとり親家庭に関わらず、両親がいても家庭というもの自体が存在していない、機能していないと感じるところも結構ある。子どもが学校を休んでいても連絡がつかない、子どもが家出していてもその事態をわかっていないケースや、停学の申し渡しをする時に限って、子どもを守るパフォーマンスをするケースなど、親としての自覚、責任、また親自身が大人に成りきれていない課題も目立ってきている。学校からの保護者への仕掛けとしては、学校の家庭科等での生徒への親学習において、保護者へのリサーチ活動や生徒がプレゼンテーションする場面に授業参観という形で参加してもらい、その後、保護者研修するなどが考えられる。
- 支援学校の保護者は、子どものことで大きな不安や悩みを抱えており、私自身、他のお母さんたちと打ち解けるまでにとても時間がかかった。また、学校で横のつながりを持つことにも非常に勇気がいったが、周りの方といろいろ相談、交流できるようになり、親自身も一歩一歩大きくなっていると感じている。本校では、保護者の「おしゃべりカフェ」という、「何でもいいからしゃべろう」「どんなことでも出していこう」の機会をつくっており、少しずつ人数が増えてきている。今後、卒業された方などから困っているお母さんに、「こんな時はこうしたらいいんだよ」と、ヒント、助言を聞くことのできる機会となるよう、積み重ねていくことが大事だと思っている。
- 小学校のSSWをしていて、先生を通じて、「困っている」という保護者につないでもらうのだが、次のつなぎ先として「親学習」は、自信をなくしているお母さんには取り上げにくい。「親学習」というフレーズから、親として何か足りないから学ぶというメッセージが伝わってきて動揺感を持つことになるのではないか。その点、「おしゃべりカフェ」とか、「みんなが応援してくれるよ」という雰囲気、フレーズがわかるものがあれば紹介しやすい。
- 親学習を2つに大きく分けて考える方がいいと思う。1つは、未就学の幼い子どもや、幼稚園・保育所、小学校の最初の段階で、ここでは保護者の不安や孤立感に寄り添うよう「おしゃべりカフェ」のような形でアプローチする。一方で、中学校、高校では、キャリア教育の視点で、生徒たち自身が「親になるとはどのようなことなのか」について、生徒も親も学んでいく機会として親学習を位置付けるなど、明確に分けていくことがいいのではないか。
- 親に「しんどいか」と聞いて、「しんどい」と言えるならばいいと思うが、私自身、災害の現場で、「辛いですか」と聞いても「辛い」という方はあまりない。言える人は大丈夫で、言ってくれない方が課題である。「親学習」についても、違う側面で3つぐらいに分かれるかもしれない。学びたいという人にはプログラムを用意されているし、「しんどいですか」と聞いて「しんどい」と言える人への支援と、それさえも言えないというか、無視する方とか、厳しい方へのアプローチについても、それぞれ考えていかなければならないと思う。
- 子どもへの寄り添いが足りないお母さんに、「子どもが嫌いなの」と聞いても、好きなのであり、ようは接し方がわからないだけである。うちの父はご飯だけはうるさかった。「残すな」とか、うちのおじいちゃんは「あいさつ」がうるさかった。おばさんは、「靴の揃え方」でうるさかった。今はそれが家では一個しかないものだと思う。何もかもというわけにはいかず、だから親もつながって、接し方などいろいろなことを言ってくれる人が必要ではないかと思う。
親学習の効果検証
- 家庭教育支援の効果検証として、広範囲に保護者や市民を対象にする学びの場である親学習と、特定の社会的な課題を抱えている家庭への個別の支援とで分けて考える。親学習は本当に必要な方、来てほしい方の参加が課題だが、参加体験的で実際の生活に密着する、子育ての実践に生かすことができるものは仕掛けの一つになると考える。その親学習での評価検証としては、参加率、参加数の伸びに加え、アンケートなどにより、親学習内容の家庭生活や地域活動への還元で検証する。社会的課題を有する親への個別支援では、親のエンパワーメントから子育てや自分の外となる力となり、結果として、不登校の状況など子どもの変化となって表れ、その変容が成果指標となるのではないかと考えている。
- 2つの評価が必要だと思う。1つは「量的評価」、どれだけの参加があったのか、そのような中でその状態がどのように変わったのかということを、量的に客観的に見ることが重要だと思う。これに加えて、「プロセス評価」というか、「質的評価」が必要になってくる。「質的評価」とは、1つの事象を事例報告で終わらず、教師の立場、ソーシャルワーカーの立場、カウンセラーや心理の部分など、多職種によって特徴的な事例を分析評価していき、そして、統合的に考えていくという評価ができないか。単なる事例報告から「多職種による多面的・重層的分析による事例評価(質的評価)」へと発展させていくことができないかと考える。
- 効果検証では、参加率、個別の課題への直接の支援、評価を誰に表れた評価で見るのか、また誰が評価するのかという点、多重多様に、これをシステマチックにしていくためにも、どのようにということも加えて、丁寧に検証に結びつけていければいいのかと思う。
家庭教育を支援する学校、地域の取組み
- 支援学校では、PTAと協力しながら、進路関係、福祉制度、子どもの性の問題など様々な研修機会は設けているが、来てほしい方に来ていただけないという状況がある。堅い雰囲気の勉強会ではなく、「何か集まって話しましょう」といった機会がいいと思っている。本校でも、茶話会や進路に関わり先輩の保護者の話を聞こうという会では、たくさんの保護者の方が集まった。また、日曜日に「お父さんのための性教育座談会」を開催したら、日頃、学校にあまり顔を出さないお父さんが来てくれた。どのような形、内容で学校へ来ていただける機会を設けるか、たくさんの方に来ていただくためにも、PTAとも相談しながら取組んでいきたい。
- 学校、地域では、様々なイベントがあり参加者も多い。地域に開かれた学校として、一週間授業参観できるオープンスクールを設け、子どもの実態や親御さんの実態を見ていただく機会として、保護者だけでなく地域の方にも開放している。また、地域の方による学習応援団が、家庭科の授業等で子どもに学習支援していただいている。最近、防災訓練を自治会ごとに実施しており、必ず子どもが参加している。今後も多岐にわたり地域、保護者との連携を図りながら、家庭教育を支援していきたい。
- キャリア教育を、これからの生き方指導に主眼を置き、自分の職業観、今後の進路、自分の人生設計に加えて、中学生が親になった時、その子どもに対する親としての心構えなどを考える機会として親学習を取り入れて実施している。また、枚方市は小学校単位でコミュニティが形成されているが、中学校区がきちんと小学校区で分かれておらず、中学校に地域教育協議会ができた時、その運営等課題が山積していた。本校では、それぞれの地域の祭、行事に中学生が積極的に出ていくということを心がけ、そのために、それぞれのPTA、コミュニティの行事に、中学校側も出向き協力連携を図っている。
全体を通して
- 私の大学では、教職課程をとっていない学生が小学校へボランティア活動に行っている。その目的は、今に至るまでに、どれだけの大人にお世話になっているか実感するところにある。親学習については、「子育てに困っている」と言う方と、「子どもの困っていることを知っている。親として何か取組む気持ちがある」と言う方が、親学習のターゲット、支援対象になるのかと思う。教育コミュニティづくりについては、未就学の子どもたちと親をサポートする支援体制から次の段階の教育の場面にあまりつながっていないことが見受けられる。これは、文部科学省、厚生労働省と管轄の違いによる弊害かと考えるが、家庭教育支援は、そこに横串を刺すことができる分野かと思っている。効果検証については、フリースクールの運営に関わり、親の会が健康的な場になっているかどうか、「1回来た方が、次に来れるか」「新規参加者がコンスタントにいるか」「自分は大丈夫と思ったら、気持ちよくその場を抜けていける人がいるか」といった指標を自分で設け運営に携わっている。
- 私の専門領域である福祉教育と、コミュニティソーシャルワークの視点で話したい。私の課題認識は、「子どもの貧困の連鎖」とか、課題を抱えている家庭に対してどのように関わっていくかにあり、「チーム学校」に関する研究を行っている。具体には、学校と外郭教育の中で「教育支援人材をどのように育てるか」、地域のいろいろな専門職やインフォーマルな部分、いわゆる多職種連携と地域協働の中で、その学校をどのような形でサポートするかを研究している。学校の中で、スクールソーシャルワーカーだけが動いても、家庭の問題については関わりにくい。課題に気づいていない、または課題に気づきながらも拒否する家庭に対しては、コミュニティソーシャルワーカーや「ナナメの関係」にある地域の方々とが、どのように連携していくかが非常に大きな課題だと思い取組みを進めている。滋賀県教育委員会生涯学習課が主担している「しが学校支援センター」の取組みは、企業や行政が教育コミュニティづくりに積極的に参画しており「チーム学校」として非常に興味深いものである。
- 来てほしい人に来てもらう仕掛け軸は声かけであるが、今、エリア型のコミュニティが全然機能せずテーマ型となっており、「おしゃべりカフェ」のように、気軽に集まれるような場づくりが必要となる。実は、集めてから次にどうするかがもっと重要で、3つの「さんずい」、「汗」と「涙」と「酒」を心がけている。ビールを飲み、何か感動の涙を流し、一緒に作業し汗を流すことで絆が深まるといった仕掛けをつくっている。田尻町での消火訓練では、参加者が集まらない中、水消火器で的を当てるゲームを取り入れ、子どもと一緒に親が消火訓練を行うといった仕掛けをした。「自立とは、多様で多数の依存先を持ち合わせていること」であり、今の親に足らないのはそこにある。その意味でも「顔と名前が一致する地域づくり」は、非常にわかりやすいテーマであり、その実現に向け、地域でそれぞれの立場で仕掛けづくりに励んでほしい。
- 今、防災の世界では、「防災どころでない」という人が気になっており、「防災と言わない防災」のフレーズで様々推し進めているが、その場に来れない方こそ重要で、来ることに思いもはせない、考えたくもない方々をどうしていくかが課題であり、本日の家庭教育支援に係る議論も防災とかなり共通する面があったと思う。親学習についても、「これは学習ですよ」として行うかどうか考えてみてはどうか。本日の意見を、今後は教育委員会で集約し、新しい年度の活動に向けて活かしていければと思う。
- 開催日時 平成28年2月3日(水曜日)午前10時00分から12時00分
- 場所 大阪府公館大サロン
- テーマ 学校と地域が連携した家庭教育支援について -家庭の教育力向上に向けて-
- 内容
- 事務局からの報告
- (1)これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 教育コミュニティづくりの取組みの流れ
- 学校支援地域本部
- おおさか元気広場
- 家庭教育支援
- (2)教育コミュニティづくりの課題解決に向けた取組み
- (1)これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 出席者による意見交換
- 事務局からの報告
平成26年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
会議の要点
【学校の教育活動を支える取組みと地域人材の参画促進】
- すこやかネットは、地域教育力の底上げがねらいであり、本来のねらい・目的から検証が必要である。
- 学校・地域それぞれが一方向での取組みではなく、子どもの自己実現を図る場づくりなど、双方向に関係性のある取組が必要である。
- 社会関係資本(つながり)をつくるために、地域教育コミュニティがあり、子どもに夢をもたせることにつなげてほしい
【親学習の拡充】
- 保護者が参加しやすい場、機会の工夫が必要である。
- 親学習を幼稚園から小・中・高・支援学校に至るまでキャリア教育に位置付けて実施したらどうか。またキャリア教育は地域教育力の活性化にもつながる。
【人材発掘と育成】
- 自分の特性を生かすことができる場づくりなど、しかけ、工夫が必要である。
- 学校と地域の協働がなぜ必要か目的をはっきりさせる必要があり、win-winの関係づくり(子ども、支援者、学校、家庭、地域)が大切である。
協議の概要
本日は、「教育コミュニティづくりの深化・発展 取組みの現状と課題をふまえて」というテーマを設定した。
「学校の教育活動を支える取り組みと地域人材の参画に向けて」「市町村、学校における親学習の拡充に向けて」「新たな人材の発掘と養成に向けて」それぞれの立場から意見をいただきたい。
学校の教育活動を支える取組みと地域人材の参画促進に向けて
- 今回の説明を聞いて、地域教育力という言葉が非常に少なかったと思う。最近、学校も地域活動をしている人たちも、もともとすこやかネットのはじまりの地域教育力というものを少し忘れているというか、知らない方も多いのではないか。根本的な地域教育力について、もう一度研修する必要があるのではないか。.
- 地域の方々の支援が、生活科総合とか、地域学習の中でカリキュラムの中に組み込まれており、担当している職員が理解できていない、またはその場その場の対応で全体像が見えていないのではないか。教職員が地域の方々の支援をしっかり認識することができるよう、管理職がその責任を果たすことが求められる。
- 地域との関わりを大切に思い、地域の方と一緒に楽しめる企画を考え、交流に力を入れ取り組んでいる学校もある。学校とともに一緒に考えて広めていけるようにするのが、今後の府立支援学校PTAの課題の一つと考えている。.
- 地域で中心を担っている方々は、全体を見ながら学校と同じ方向で取り組んでいるが、ボランティアの方々など多くの方々を巻き込んでいこうとするときに、学校・地域それぞれが一方向での取組みではなく、地域の方々の自己実現を図る場づくりなど、双方向に関係性のある取組が必要である。
- 高齢化社会の今日、大人の居場所づくりも必要で、子どもの活動場所に参加するよう頼まれたら、意気に感じて応えてくれる人材はたくさんいる。量の拡大は質を規定する。声かけはやはり学校長であるが、学校には時間的にも精神的にもゆとりがない。社会関係資本(つながり)をつくるために、地域教育コミュニティがあり、子どもに夢をもたせることにつなげてほしい。この場に、府立高校の校長にもきてもらい、高校生の地域活動参加も呼びかけたらどうか。それが世代交代にもつながるのではないか。
親学習の拡充に向けて
- 幼稚園は、初めて集団での教育を受ける場であり、親も子もここからスタートを切ることになる。そこで、幼稚園でも親として育っていただくために、生活習慣と親子のふれあいを大切にするようお願いしている。また地域とのつながりを大切にすることで保護者も地域を意識するようになっている。幼稚園だけで、親学びの場を充実させるのは難しく、行政の方の協力もお願いしたい。
- 子どもに対する親学習は、実情として支援学校全体としては取組みづらいところはあるが、キャリア教育の観点で取り組むことができるのではないか。育児、出産に関わる学習内容を行っている学校もある。保護者には、自立懇談会で先輩の親に学ぶ機会を作っており、親学習にあたるものではないかと考える。
- PTAに多くの期待をかけていただいているが、限られた活動の中で、PTA研修に親学習を取り入れるのは難しいところもある。行政が実施する学びの場を紹介し参加を促すことはできる。保護者が参加しやすい夜での実施や小さい子どもも一緒に参加できるような工夫があればよい。
- 学校教育の中に親学習を取り入れる突破口として、親学習を幼稚園から小・中・高・支援学校に至るまでのキャリア教育に位置付けて実施してはどうか。また、キャリア教育(職業体験・インターンシップ等を含む)は地域教育力の活性化にもつながるし、地域社会の中の一員として自分を考える機会ともなる。キャリアというのは、仕事や職業に限定しない。生きることそのものをキャリアと言うので、テーマになっている親学習につながる家庭生活とか、それから、地域社会の一員の市民として、どのように生きるかということについての学びがキャリア教育であり、親学習にも通じるものである。
新たな人材の発掘と人材育成に向けて
- 現在大阪府内では、社会福祉協議会のボランティアセンターが中心となって、福祉の体験のプログラムを、多くの小中学生、高校生などに参加してもらえるよう夏休み期間を中心に取り組んでいる。親子向けのプログラム・広報も実施し、親にもできるだけ参加してもらい興味をもってもらうようにしている。また、福祉施設等に地域の人がボランティアとして参加できる機会も提供している。
- 地域の中で活躍できるような人材が、PTA活動の中でも取り組んでいけるよう考えていきたい。自分の特性を生かすことができる場を提供することや口コミで参加者は増えるのではないか。また、学校が受け入れるふところの深さも必要である。
- 新たな人材の発掘のためには、双方向の力を引き出すしかけづくり、工夫が必要である。ボランティアの方がやりたいことを前にだし自主的に運用し、それを行政がサポートする形で元気広場を実施する取組みを進めている。
- 学校と地域の協働がなぜ必要か目的をはっきりさせ、その評価をすることが必要である。また、支援者は自らの活動の意義を感じる、感謝される場を望んでおり、win-win(互いに利益を生み出す)の関係づくり(子ども、支援者、学校、家庭、地域)を意識することが大切となる。教育コミュニティづくりには、課題・情報の共有や役割分担により多職種連携、地域連携を進めること、教育機関内での協働や他行政の部署との協働といった方法が考えられる。
全体を通して
- 地域にはたくさんの人材がおり、いろいろな仕掛けで、学校に連れてくることから始まる。楽しいこと面白いことを見つけてあげることが、win-winの精神かと思う。お互いが響き合うような教育を進めることで、次の人材育成につながるのではないかと思う。コーディネーターは、人づくり、まちづくりをめざしている。地域の人が、自分の居場所をみつけ、「役に立っている」「頼りにされている」感をもってもらうことが必要であり、そのようなはたらきかけがコーディネーターのスキルの一つである。親学習についても地域のネットワークづくりにつながることであり、改めて、地域教育力という観点で見直してほしい。
- 開催日時 平成27年2月4日(水曜日)午前9時45分から11時45分
- 場所 大阪府公館大サロン
- テーマ 教育コミュニティづくりの深化・発展 -取組みの現状と課題をふまえて-
- 内容
- 事務局からの報告
- (1)これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 教育コミュニティづくりの取組みの流れ
- 学校支援地域本部
- おおさか元気広場
- 家庭教育支援
- (2)教育コミュニティづくりの現状・課題
- (1)これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 出席者による意見交換
- 事務局からの報告
成25年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
会議の要点
【活動のふり返りについて】
- ふり返りは「わくわく感」をいかに作り続けるかが大切。すでにあるものは変えることを楽しみ、ないものは生み出すことを楽しむ。
- ふり返りは活動終了後ではなく、活動の最中に行うと効果が高い。
- たとえば、災害ボランティア活動に大学生と一緒に行くと、活動終了後2時間、3時間でも振り返りを行っている。そうすることで、自分たちが気づきを得て、自分にフィードバックができるようになり、翌日から活動が変わっていく。このように、活動のふり返りは、活動の質を変える。
【情報発信について】
- 情報発信では、相手の思い・考えを聞く力が必要。また、情報を受け入れる側の「受信」を意識することが大事である。
【さらなる活性化にむけて】(質的向上のために)
- 「他職種連携」と「地域協働」が大切。「出会い」のしかけを具体的につくっていく。
- 地域にいる「専門性」の高い人や団体を活動に巻き込んでいくのがカギ。その際、次も活動に来てみようというインセンティブ(動機づけ)があることが必要。活動をおもしろく演出することを意識してできるようになればよい。
- 支援学校の子ども達が地域にどう知られ、参画していくか。保護者どうしの草の根的な関わりを進めたい。
- 「雑談」の中でいろいろ学べるような場づくりが大切。そのような場を演出できるかどうか。そのためには、地域での「しかけ」が大切。
協議の概要
本日は、「教育コミュニティづくりの深化・発展から活動の質的向上と活性化にむけてから」というテーマを設定した。
これまでのすこやかネットの取組みを基盤として、学校支援地域本部とおおさか元気広場、家庭教育支援の3つの活動を通して、教育コミュニティづくりをすすめる中、活動が定着してきたことをふまえ、今後は、今の活動を振り返り改善することや情報の活用などによる活動の活性化がポイントになる。
これらのことをふまえ、みなさんからそれぞれの立場でご意見をいただきたい。
活動のふり返りについて
- 面白い取組みをしているところはイベント毎に宴会をしている。そうすることによって会議では聞けない小さな気づきが得られる。(宴会である必要はないが)素直な感想が言える場がPDCAにつながる。地域の人にそのような場を作ってもらえたらよい。
- 振り返りは大事である。活動ばかりしていると「疲れた」「飽きた」ということになる。活動する人の中に、やって楽しいという感じをいかに作り続けるかが大事。今あるものを変えること、変わることを楽しむ。ないなら生み出すことを楽しむ。
振り返りには「分かち合う」「内省する」「深め合う」の三つがある。「分かち合う」とは経験、気持ちを相手に伝えること。「内省する」とは自分の中で振り返る場づくり、機会づくりをすること。リーダーが声かけすることで内省が深まっていく。「深め合う」とは他者との共有、すり合わせをすること。この三つは活動をしていく上で大切なこと。この働きかけをする人がコーディネーター(リーダー)である。
情報発信について
- 小学校では学校・家庭・地域は三輪車のようなもの。自分の住んでいる町が好きという子どもを作っていきたい。
情報の発信については、校長だより、学年・学級だより、その他、図書館だよりや保健室だより等の各種プリントや、さらにはHPなどで発信しているが、保護者や地域に100パーセント提供できるかというと無理がある。
教育課程の中では、保護者や地域の方にゲストティーチャーとして年間を通して授業に参画していただいている。また、教育課程外ではたとえば土日の地域諸団体によるイベント等に多くの子どもたちが参加している。
情報の発信は大事であるが、保護者や地域の方がどのような思いや願いをもっているか、そのニーズがどこにあるのかという情報の受信も大切であると思っている。
各種の会議・会合など、いろいろな場を通して、PTAや諸団体とかかわり、地域の願いや保護者の思いを吸い上げることが大事である。 - 支援学校は複数の市町村に校区がまたがっている。支援学校の生徒は実態として地域の元気広場にはあまり参加していないように思う。
ある府立の支援学校は教育コミュニティづくりを大変活発に行っている。文部科学大臣表彰もいただいた。150数名の地域の方に登録をいただき、さまざまなことをしていただいた。企業や観光学科の学生にもボランティアに来ていただいた。
自治会の会長と仲良くなり、コーディネーターをしてもらい、ボランティア登録のチラシを配布してもらった。市の広報誌にもボランティアの募集について掲載してもらい、退職教員の人脈も活用してボランティアを集めた。
活動の質的向上と活性化にむけて
- 支援学校には親の集い等があり、情報が集まる中心的な役割を担い、さまざまな情報に接することができるが、取り残されるのが地域の支援学級の子ども。また、支援学校小学部の子どもは地域との関わりが非常に少ない。特に親の側からの歩み寄りが非常に少ないと感じている。支援学校が情報のセンター的機能をもつなら、支援学校のPTAもセンター的機能を持つべきと思う。
支援学級の子どもの保護者が、行政や先生に相談しにくい時、支援学校の先輩の母親に雑談交じりに聞けるような地域コミュニティがあれば親も楽になるのではないかと思う。
現在、支援学校で防災の観点で地域に、要援護者(支援学校や支援学級の子ども達)をどう知ってもらうかということについて考えている。支援学校の子どもの保護者も地域の人にしてあげられることはある。地域の人からありがとうと言ってもらえることはあると思っている。草の根的に保護者どうしの関わりが進まないかと考えている。 - 小学校は敷居が低いが、中学校は敷居が高く感じられるのか、ボランティアの協力が得にくいところがある。小学校では地域ボランティアの活動が活発だが、中学校でぱったり切れるところがある。コミュニティづくりにも小中連携ができないかと考えている。
中学校では情報発信については反省している。学習ボランティアの募集の発信はしているが、清掃活動を一緒にしてくださいといったような他の取組みの発信は弱い。
ボランティアを活用できていない。登録いただいているのに声をかけられていない方がいて、不快な思いをさせている。
支援の必要な子どもは、中学校では放課後、部活動に所属していないと居場所については厳しい状況になる。 - 社会福祉協議会は地域づくりが主であり、サロン活動等を行っている。防災に関わる地域活動について、要援護者の名簿は民生委員と共有している。生活困窮、引きこもり、孤立防止支援の取組みも積極的に行っている。教育と福祉の連携が深まれば、街づくり、学校づくりが深まる。
- 労働組合は企業別に組織しているのが基本のため、会社のある地域での活動はしているが、居住地域活動への関わりは難しい。一方、連合大阪では地域に見える運動をしようと府を五つの地域に分けて社会貢献活動等を行っている。環境活動などできる活動を行っているが、地域に求められてしているのではない。
おおさか元気広場やボランティア活動はできると思う。そのような情報を持ち帰って、発信していけたらと思う。 - 教育コミュニティは子どもたちのセーフティネットの構築を学校・家庭・地域の連携で考えていくこと。スタート時の施策的背景は同じとは限らないが、それをうまく融合していくのが行政の役割。すこやかネット活動と、行政として課題を感じてスタートした家庭教育支援はスタート時の施策的背景は同じでないが、今は融合を図るようになり、相互の視点が広がったり、啓発されたりしている。子どもという“資源”を違う視点で支える人がつながりを持つことが大事。留守家庭児童会と放課後子ども教室のように行政の部署は違うが、同じような活動をしていることがあり、そうした部署の融合が活性化につながる。
- PTAの立場で会うのは校長か教頭。教諭も地域のイベントに出てもらえるのだろうか。勤務日や振替休日等のことを言われると少しつらい。教育委員会や学校として積極的に地域とコミュニケーションをとるよう教諭にも伝えてもらいたいと思っている。
大きな市になると子どもの課題を先生が受け止めるのには限界がある。行政職も含めて、学校を核として地域福祉が問題にしていることに関わってほしい。行政職も小中学校へ行き、解決の糸口を一緒に考えていただければ校長も楽になると思う。大きな市になるとたくさんのコーディネーターを養成するのは難しいので、行政の力を活用してほしい。0歳から小学校入学までや中学卒業後の諸問題を教育委員会だけで捉えるのではなく、広い観点で予算をとって行政一体となって知恵を出し合うべきかなと思う。 - 幼稚園は規模が小さく保護者と教職員が一対一で対応できるメリットがある。幼稚園は子どもが初めて集団生活をするところ。保護者の協力がないと子どもは育っていかない。保護者も悩みを抱えているが、相談やアドバイスを受けながら育っていく。幼・保・地域がつながってこそ子どもは育つ。子育ては相談と学び合い。子育ては楽しいということを伝えたい。
- 青少年指導員の課題としては、なり手がいないこと、システム的に難しいが学校と連携してどれくらい学校に入り込んでいけるかということである。青少年指導員の制度は昭和28年からあり、少年非行が社会問題化したのがきっかけ。現在は夜間の見回り・声かけ補導活動、レクレーション活動をしているが、こういった既存の活動から抜け出して社会事象に対応した新たな活動は構築しにくいのが課題。
- 市町村の元気広場へは支援学校の子はほとんど参加していないので、逆に学校にきてもらうようにする。観光学科の学生に車いす介助をしてもらうと、将来旅行社に勤める時、ユニバーサル化を考えるのに役立つことから、どんどん来てくれるようになった。企業の方も体験にきたが、事務所のバリアフリー(机、シンクなど)を考えるのに参考になり、また来たいと言ってくれた。企業の方に次も来てみようと思わせるインセンティブな活動が必要かなと思う。発想の転換が大事。
- 教諭と地域の人の接触はそう多くないかもしれないが、教諭も家へ帰れば一地域住民である。労働者としてなら勤務条件が発生するが、地域人という立場だと、意気に感じて活動に関われる。どの地域にも先生はいる。声をかけてもらうと元気がでる。
- 先ほどの発想の転換のお話はなるほどと思った。先生が困っているのは何かを情報発信することからスタートする。教育機関と社会福祉機関が個々の専門性を活かし、地域はそれを支えるといった個々の強み(ストレングス)を活かした取組を展開することがさらなる活性化につながる。いくつか事例を紹介する。
ある市の中学校で行っているマイタウンプロジェクトは先生の困っていることをメニュー化して地域に発信し連携している。
また、ある町の中学校では共生型サロンを実施している。支援学級の子どもが週一回ウェイター、ウェイトレスの体験活動を通して、地域の方や民生委員に声をかけられるようになった。中学生にとっては就労体験学習であり、地域の方々との顔の見える関係づくりにも寄与している。また、子どもたちは支援を受けたり、ボランティアに助けてもらう話が多いが、ある市では、地区の高齢化から地域の防災訓練に中学生に来てもらうようにしている。中学生が担い手となり、自分たちが地域に必要とされるということを感じるしかけを作っている。また、ある中学校では、中学生が子ども見守り隊のリーダーになっている。
府で教材や事例集をつくっても学校現場で活用されていないことが多いので、そうしたものを活用する研修は大事。 - 府教委は教育コミュニティづくりの各学校での取組みをホームページにきれいに発信しているが、各学校のホームページを見ても地域との連携の話が出ていない。学校のホームページは重要なツール。地域との連携の情報を学校のホームページに上げる。地域の人も学校のホームページを見てもらえるようにしたい。
- 振り返りは活動や行事を行った後に行われるが、本当のふり返りはことの最中に行う。活動の最中に振り返りをすることで子どもの食いつきと、大人の活動の色合いも変わってくるのではと思う。
放課後の居場所づくりは大阪府は約95%の市町村が展開しており全国的にもまれ。府内の小学校の約90%で実施し、子どものセーフティネットになっている。元気広場で救われている子もおり、なければ大変なことになる子どももいる。
午前中の放課後子どもプランの会議で、ある市からの報告で、元気広場に引きこもりの青年が参画し、その中で青年の表情が変わっていき、進学や就職した人もいる。子どもたちの力は人を変えていく。
今後はクオリティが大事。事例集をきっかけに市町村の取組みが進んでいけばよい。地域の好事例の受信と発信が大事。
居場所には社会的居場所と個人的・人間的居場所がある。前者は「認められる・評価される・心地よい」、後者は「そこにいるとホッとする・自分を取り戻す」という居場所。子どもにとっての居場所とはこの両方のこと。
大阪の元気広場の特質は障がいのある子もそうでない子も集まっているところ。そういう意味では放課後の事業はインクルーシブである。今後も期待したい。 - 福祉教育では他職種連携と地域協働、教育行政では学校教育と社会教育の連携が重要。縦割りの部局どうしが一緒に話できる環境をどうつくっていくかが大事。社会福祉協議会は学校と連携していきたいと思っている。一般的に、福祉とは専門職による高齢者や障がい者の支援に特化したものと誤解されているが、社会福祉協議会はつながりづくりができることを社協からも学校からも発信し、双方向の関係づくりをすることが必要。顔の見える関係、出会いをどうつくるかが大事である。
- 今日の会議は前向きですごくいい会議だった。すこやかネットを中学校区に作ったのは0歳から15歳までは地域で子どもたちの成長をみようということだったが、地域コーディネーター養成講座で渥美先生からは、お年寄りから子どもまで全員の顔と名前が一致する関係作りが大事であることを教わった。
おもしろいことをすれば地域が動く原動力になる。ある程度活動を続けてくると、先生や福祉、防災の専門職を巻き込んで、地域課題にあったことをやっていくべき。
すごいコーディネーターは、失敗した時のその場のリカバリーが非常に上手。そういう人を味方にして、地域活動をしてほしい。
地域にはいろんな人がいる。その人ができることで、声をかけ協力してもらう。そういうことを企画できるのは地域の人。地域の中でコーディネーター役を見つけて活動を広げてほしい。
- 開催日時 平成26年2月5日(水曜日)午後1時30分から3時30分
- 場所 大阪府公館大サロン
- テーマ 教育コミュニティづくりの深化・発展 ―活動の質的向上と活性化にむけてー
- 内容
- (1)事務局からの報告
- これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 教育コミュニティづくりの取組みの流れ
- 学校支援地域本部
- おおさか元気広場
- 家庭教育支援
- 教育コミュニティづくりの現状・課題と今後の方向性について
- これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- (2)出席者による意見交換
テーマ:教育コミュニティづくりの深化・発展 ―活動の質的向上と活性化にむけてー
- (1)事務局からの報告
平成24年度 教育コミュニティづくり推進懇談会 記録
- 開催日時 平成25年2月6日水曜日午後1時30分から3時30分
- 場所 追手門学院 大阪城スクエア 6階大会議室
- テーマ 教育コミュニティづくりの深化・発展-持続的な活動を支えるために-
- 内容 (1)事務局からの報告
- これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 教育コミュニティづくりの取組みの流れ
- 学校支援地域本部
- おおさか元気広場
- 家庭教育支援
- 教育コミュニティづくりの現状・課題と今後の方向性について
- これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- (2)出席者による意見交換
テーマ:教育コミュニティづくりの深化・発展-持続的な活動を支えるために-
各団体・機関の関わりを中心に意見交換
協議の概要
【座長】
前回の推進協議会(今回より推進懇談会と名称変更)では、「教育コミュニティづくりの拡大・発展―家庭教育支援の観点を加えて―」というテーマで、1 学校支援地域本部、おおさか元気広場を中心としたこれまでの教育コミュニティづくりの課題と方向性について 2 平成23年度から新たに教育コミュニティづくりに加わった家庭教育支援の取組みについて 3 教育コミュニティづくり全体を見すえた今後の方向性についての3点について意見をいただいた。
本日は、「教育コミュニティづくりの深化・発展―持続的な活動を支えるために―」というテーマを設定した。これまでのすこやかネットの取組みを基盤として、学校支援地域本部事業とおおさか元気広場推進事業、家庭教育支援の3つの活動を通して、教育コミュニティづくりをすすめる中、今後地域の様々な人たちの主体的な参画による持続的な活動がポイントとなる。
本日は、これらのことをふまえ、みなさんからそれぞれの立場でご意見をいただきたい。
まずは、学校現場から、学校支援、おおさか元気広場を中心とした教育コミュニティづくりの課題と今後の方向性について、ご意見をお願いしたい。
【出席者からの発言】
最近の子どもたちは、「自分の思いを伝えられない。」「相手の話を聞くことが苦手」など「伝え合う力」が十分に育っていない面が見られる。保護者についても家庭の教育力の低下が言われて久しい。
それらを改善するためには、従前から、学校と地域の連携を充実させていくことが必要といわれている。
学校は学力保障と生活指導を両輪として教育活動を進めることが必要である。本市の教育委員会は、生活環境の厳しい子どもの割合が高い私の勤務校がある地域に特化した事業を行っている。また市では、その地域に地域連携ステーションを設置して、大学・企業・NPO・ボランティアなどと連携し、様々な教育的文化的な行事を展開している。
今後は、そこに学校も参画することが必要であると考えている。
【出席者からの発言】
学校の応援団をどれだけ確保できるかが課題である。
本校では職場体験学習を3日間実施しており、受入先の校区の事業所を自治会にお願いして探してもらっている。受入先には子どもをお客様扱いしないようお願いしており、地域で子どもたちを育てようという意識を持ってもらいたいと思っている。職場体験に関わって、90%の子どもが地域の人と挨拶すると答えている。学校・生徒が地域にどんな貢献ができるか、学校が外に出ていくことも課題の一つと考えている。
東日本大震災では、学校の体育館が避難所となったが、要介護の人には板の上での寝起きは酷である。中学校での武道必修に伴い1.5教室分、畳を敷き詰めたので、そこを避難所として活用することを考えている。
【出席者からの発言】
支援学校に在籍する幼児・児童・生徒は、居住地の学校区を離れて通学しているという実情がある。
見守り隊の活動についても、支援学校の生徒は、一般校の生徒とは違う時間帯に違う経路で帰る子も多く、居住地における交流の重要性を感じる。
支援学校の生徒は卒業すると居住地で暮らしていくので、顔を知っていただくために支援学校も発信し、受け入れ側も声をかけていただければと思う。
【座長】
本日午前中に府の放課後子どもプラン推進委員会が開かれたと聞いているが、そのお話を伺いたい。
【出席者からの発言】
平成19年度からの放課後子どもプランは実施されており、今年度おおさか元気広場は483小学校区中、420小学校区、87.0%の小学校区で実施されている。地域性を活かした取組みが行われ、実践事例集も作られる。ご高齢のボランティアが元気広場を実施されていることが多いが、大学生や高校生の参加もある。異世代の交流は子どもにとって刺激的な体験であり、地域の広がりにつながる。
放課後子どもプランは教育コミュニティづくりの大きなファクター。その空間・時間・仲間・隙間(居場所)が子どもたちの意欲形成の場になっている。ボランティアが子どもたちから学ぶことも多く、互恵性がある。地域のキーパーソンと学校の管理職がうまくつながっているところは取組みが進む傾向にある。府内の取組みをHPなどを通じて情報提供するとともに、今後他府県の取組みに学ぶことも必要である。
【座長】
それでは次に家庭教育支援の現状と課題について、お話をお願いしたい。
【出席者からの発言】
平成14年から訪問型家庭教育支援に取組み、保護者のエンパワメントを行ってきた。教育コミュニティづくり推進事業に組込んだのは昨年度からである。
親学習についても適切な教材が作成され、親学習リーダーも養成されている。保護者のみならず児童・生徒へも広まっているが、親学習の機会についてあまり知られていない。
訪問型支援により不登校の子どもが激減したという効果があったが、支援員にスキルが必要なため広がっていない。しかし、できることをできる範囲ですることが大事である。訪問人材には保護者の苦労を認めてほめることが求められる。一人ではなくチームで支援を行うことが大事。親のサポートについてのノウハウを周知して、広がることを期待する。
【座長】
親学習を進めるために学習機会の周知や開催の方法について、ご意見をお願いしたい。
【出席者からの発言】
育児不安や育児ストレスを抱えている保護者もおられるので、保護者や小中高校生へ親学習を進めることは有効。周知するためには学校便りやパンフレット等の各家庭への配布、公共施設へのパンフレットの設置やポスターの掲示等が必要である。回覧板も有効。HPでの親学習講座の情報提供や府政だよりや市政だよりへの掲載も有効。
世代別に開催することを考える。母親教室や乳幼児健診、子育て支援センター、学級懇談会や地域の懇談会等様々な場所で実施することが必要。
【出席者からの発言】
支援学校の子どもたちは学校によって様々な子どもがいる。保護者の考え方も様々ある。地域コミュニティの中で、親亡き後、だれが子どもを見てくれるのか誰もが不安に思っている。支援学校の子どもは学校が終わるとデイサービスに行くか、自宅にいることがほとんど。市や行政、地域コミュニティと関わろうとしても、つながりがないのが実情。現在隣接地域のPTAと連携してどのように行政と関わっていくか話し合っているところである。
【座長】
次に就学前の時期からの親学びの必要性について、お話をお願いしたい。
【出席者からの発言】
幼稚園は子どもが初めて集団生活に入るところ。保護者が安心して子育てができるよう幼稚園での様子を知らせたり、保護者どうしが仲良くなり情報交換や学び合いができるよう参加型の親学習等を実施している。
保護者と信頼関係を築けるよう、本園では終わりの会で保護者に教室まで来てもらい、いつでも担任と話ができるようにしている。
幼・小・中との交流を深めることも大事である。
【座長】
次に就労されている方が子育てに関わることの大切さが言われていますが、このことについて、ご意見をお願いしたい。
【出席者からの発言】
子育てで会社を辞める女性が多い。女性の就労者を年齢別でグラフにするとM字カーブになる。底が30代で大阪が日本で一番低い。
このような状況の中で女性が働きやすい環境を整備することが必要。保育ニーズの充足と質を高めることが大事である。
再就職した場合、非正規社員になることが多く、ワーキングプア状態(年収200万以下)になる。このような状態で地域活動に参加できるのだろうか。地域とも関わることができる環境を作ることに取り組みたい。
【座長】
家庭教育に関してのお話はここまでとしたいが、感想等あればお願いしたい。
【出席者からの発言】
お話を聞いていて家庭教育支援には様々な切口が必要ということがわかった。総合的な観点から支援を考える必要があると感じた。
【座長】
最後になるが持続的な活動を支え、教育コミュニティづくりを深化・発展させるために取組み内容や方法、課題、今後の方向性等についてそれぞれの立場からご発言をお願いしたい。事務局等への質問もあればお出しいただきたい。
【出席者からの発言】
地域では様々な団体が、子どもたちの安全や育ちを見守ってくれている。すこやかネットは学校が各団体に情報発信する場として重要。
行政は中継点になることが多い。地域の商店街で火災があり、商工会議所や商店街と学校が連携して復興イベントを実施した。小学生がポスター・おり鶴・手紙などでイベントに協力。その後その商店街で職業体験活動が始まった。中学校の生徒会がボランティアとして自治会の清掃活動に参加し、好印象をもたれている。行政としては連絡調整をする中で持続的な活動につなげていきたい。
【出席者からの発言】
福祉の立場から町づくりを進めており、全小学校区に福祉委員会を設けている。自治会・民生委員児童委員・学校・青少年指導員等地域の団体をつなぎ活動し、すこやかネットとの関係もうまくいっていると聞いている。
失業した人、住宅を喪失した人の支援、孤独死の予防、ごみ屋敷の人の自立支援等に取り組み、引きこもり・ニートの相談もしている。
福祉の立場で専門的な支援をするコミュニティソーシャルワーカーの配置を中学校区単位で進めている。個別援助と地域支援の両方をしている。
全般的な地域の窓口として、10市ほどでコミュニティ協議会の設置が進んでいる。
【出席者からの発言】
ボランティアをしたい、NPOをつくりたい、企業のCSR相談等行政区にとらわれず支援活動をしたいと思っている人の相談を行っている。ボランティア活動をしたいと思っている人には地域にとらわれない人もいる。人材を幅広くとらえる時、働きに来ている人にどう参加してもらうかが大事である。地域コミュニティにそのような人を受け入れる度量があればよい。
企業のCSRは子どもと環境をテーマにしていることが多い。地域にとらわれない組織(人)の力をどう取り入れていくのかという観点が必要。
子どもの健やかな育ち、豊かな学びを支えたいと思っている人は、潜在的にいるはず。そのような人の居場所と出番をつくるコーディネーターの存在は大事。
市民・学校・企業の社員等全員がその場が楽しくワクワクする思いが共有できればよい。
【座長】
そろそろまとめに入りたい。多様な機関のネットワークを作るということの意義についてお話を伺いたい。
【出席者からの発言】
福祉と教育のネットワークの意義について、次の三つの観点からお話ししたい。一つめは「学校現場からの観点」、二つめが「エリア・地縁という捉え方。つまり地域福祉活動と教育コミュニティの協働という観点」、三つめは「志縁という捉え方。つまりテーマごとの支援団体との連携という観点」である。
一つめについては、多くの教員に教育コミュニティづくりの意義を理解していただくことである。5年以上前から初任者研修で、教育コミュニティや福祉・ボランティアの話をしている。社会福祉とは、「障がい者、高齢者等を専門的に支援すること」ということではなく、「ふだんのくらしのしあわせ」を考えることであるという話をし、新任の先生方に地域とつながる意義を理解していただくようにしている。また、学校長が「地域の子どもは地域で育てる」というミッションを先生方に伝えているかということも大事。このことが学校現場で教育コミュニティを展開していくポイントになる。
二つめについては、大阪の地域福祉の特徴は小地域でのネットワーク活動が活発なことである。いくつかの市町では、ふれあいいきいきサロンに高齢者だけでなく障がいがある人も参加する「共生型サロン」に取り組んでいる。また、ある町では障がいのある人や地域の中学の特別支援学級に在籍している生徒が、「共生型サロン」に関わっており、サロンの利用者やボランティアとの交流を通して、ねぎらいの言葉を受けて自尊感情を高めている。
三つめについては、近年、不登校支援、ひきこもり支援、発達障がいのある子どもがいる保護者の支援、児童虐待防止支援等、特定分野の支援に特化したNPOが多く活動している。そうしたところと地域、学校がつながることができるようになればよい。
地縁(一般コミュニティ)だけでの取組みは、課題をかかえている人々が見落とされやすくなるので、三つめの志縁(福祉コミュニティ)という捉え方も組合せた地域福祉活動とNPOとの連携が開かれた学校にできるかのポイントとなる。
【出席者からの発言】
幼稚園のPTA役員をしていた時、園児のしつけより、親のしつけが必要と思うことがあった。そこで、自転車の前かごに交通安全パトロールのシートを保護者全員に配付した。「子どもたちが信号無視したらおこって」というと、「私らが信号無視でけへんようになるやん」という声が出てきた。簡単なしかけで親の「しつけ」ができるようになる。
持続可能な活動にするためにはしんどいこと、難しいこと、お金のかかることは避ける。楽にできる楽しいことが必要。
幼稚園での防災訓練は母親が来ることが多い。父親の参加を促すために水消火器大会を企画したところ子どもと一緒に父親が来るようになった。楽しみながらできるようなしかけが大事。
様々な団体をつなげることについては、失敗もしてきた。地域コーディネーター養成講座をまた開いてほしい。危機管理などの講義をしてもらえれば参加者は集まると思う。
最初は手伝って、協力してと言ってきたが失敗した。互恵性や楽しいこと、楽なことをしないと続かない。持続的な活動をするためにはどれだけ相手のことを知っているかも大事。顔と名前を知り、その団体が何を目標に活動しているのかを知らないといけない。
通学合宿のもらい湯は素晴らしい取組みである。老夫婦だけの家に子どもがもらい湯に行くことで、その夫婦が子どもを気にかけてくれるようになった。学校・事業所・企業が無理なくできるようなしかけをしていくことが必要である。
【座長】
本日のテーマで皆さんからお話いただいたことは、災害時のボランティア活動と似てるところがたくさんあると思った。持続するためには相手もその気にならないといけない。学校から地域に教育コミュニティをどう役立ててもらうかという観点も必要である。
通勤途上で防災訓練をしているところもある。アメリカでは学校の昼休みに隣の工場の社員が学校にきて様々な支援活動を行っているところもある。
次にお会いできる時までいろいろな交流を進めていただければと思っている。
親学習の効果検証
- 家庭教育支援の効果検証として、広範囲に保護者や市民を対象にする学びの場である親学習と、特定の社会的な課題を抱えている家庭への個別の支援とで分けて考える。親学習は本当に必要な方、来てほしい方の参加が課題だが、参加体験的で実際の生活に密着する、子育ての実践に生かすことができるものは仕掛けの一つになると考える。その親学習での評価検証としては、参加率、参加数の伸びに加え、アンケートなどにより、親学習内容の家庭生活や地域活動への還元で検証する。社会的課題を有する親への個別支援では、親のエンパワーメントから子育てや自分の外となる力となり、結果として、不登校の状況など子どもの変化となって表れ、その変容が成果指標となるのではないかと考えている。
- 2つの評価が必要だと思う。1つは「量的評価」、どれだけの参加があったのか、そのような中でその状態がどのように変わったのかということを、量的に客観的に見ることが重要だと思う。これに加えて、「プロセス評価」というか、「質的評価」が必要になってくる。「質的評価」とは、1つの事象を事例報告で終わらず、教師の立場、ソーシャルワーカーの立場、カウンセラーや心理の部分など、多職種によって特徴的な事例を分析評価していき、そして、統合的に考えていくという評価ができないか。単なる事例報告から「多職種による多面的・重層的分析による事例評価(質的評価)」へと発展させていくことができないかと考える。
- 効果検証では、参加率、個別の課題への直接の支援、評価を誰に表れた評価で見るのか、また誰が評価するのかという点、多重多様に、これをシステマチックにしていくためにも、「どのように」ということも加えて、丁寧に検証に結びつけていければいいのではないかと思う。
家庭教育を支援する学校、地域の取組み
- 支援学校では、PTAと協力しながら、進路関係、福祉制度、子どもの性の問題など様々な研修機会は設けているが、来てほしい方に来ていただけないという状況がある。堅い雰囲気の勉強会ではなく、「何か集まって話しましょう」といった機会がいいと思っている。本校でも、茶話会や進路に関わり先輩の保護者の話を聞こうという会では、たくさんの保護者の方が集まった。また、日曜日に「お父さんのための性教育座談会」を開催したら、日頃、学校にあまり顔を出さないお父さんが来てくれた。どのような形、内容で学校へ来ていただける機会を設けるか、たくさんの方に来ていただくためにも、PTAとも相談しながら取組んでいきたい。
- 学校、地域では、様々なイベントがあり参加者も多い。地域に開かれた学校として、一週間授業参観できるオープンスクールを設け、子どもの実態や親御さんの実態を見ていただく機会として、保護者だけでなく地域の方にも開放している。また、地域の方による学習応援団が、家庭科の授業等で子どもに学習支援していただいている。最近、防災訓練を自治会ごとに実施しており、必ず子どもが参加している。今後も多岐にわたり地域、保護者との連携を図りながら、家庭教育を支援していきたい。
- キャリア教育を、これからの生き方指導に主眼を置き、自分の職業観、今後の進路、自分の人生設計に加えて、中学生が親になった時、その子どもに対する親としての心構えなどを考える機会として親学習を取り入れて実施している。また、枚方市は小学校単位でコミュニティが形成されているが、中学校区がきちんと小学校区で分かれておらず、中学校に地域教育協議会ができた時、その運営等課題が山積していた。本校では、それぞれの地域の祭、行事に中学生が積極的に出ていくということを心がけ、そのために、それぞれのPTA、コミュニティの行事に、中学校側も出向き協力連携を図っている。
全体を通して
- 私の大学では、教職課程をとっていない学生が小学校へボランティア活動に行っている。その目的は、今に至るまでに、どれだけの大人にお世話になっているか実感するところにある。親学習については、「子育てに困っている」と言う方と、「子どもの困っていることを知っている。親として何か取組む気持ちがある」と言う方が、親学習のターゲット、支援対象になるのかと思う。教育コミュニティづくりについては、未就学の子どもたちと親をサポートする支援体制から次の段階の教育の場面にあまりつながっていないことが見受けられる。これは、文部科学省、厚生労働省と管轄の違いによる弊害かと考えるが、家庭教育支援は、そこに横串を刺すことができる分野かと思っている。効果検証については、フリースクールの運営に関わり、親の会が健康的な場になっているかどうか、「1回来た方が、次に来れるか」「新規参加者がコンスタントにいるか」「自分は大丈夫と思ったら、気持ちよくその場を抜けていける人がいるか」といった指標を自分で設け運営に携わっている。
- 私の専門領域である福祉教育と、コミュニティソーシャルワークの視点で話したい。私の課題認識は、「子どもの貧困の連鎖」とか、課題を抱えている家庭に対してどのように関わっていくかにあり、「チーム学校」に関する研究を行っている。具体には、学校と外郭教育の中で「教育支援人材をどのように育てるか」、地域のいろいろな専門職やインフォーマルな部分、いわゆる多職種連携と地域協働の中で、その学校をどのような形でサポートするかを研究している。学校の中で、スクールソーシャルワーカーだけが動いても、家庭の問題については関わりにくい。課題に気づいていない、または課題に気づきながらも拒否する家庭に対しては、コミュニティソーシャルワーカーや「ナナメの関係」にある地域の方々とが、どのように連携していくかが非常に大きな課題だと思い取組みを進めている。滋賀県教育委員会生涯学習課が主担している「しが学校支援センター」の取組みは、企業や行政が教育コミュニティづくりに積極的に参画しており「チーム学校」として非常に興味深いものである。
- 来てほしい人に来てもらう仕掛け軸は声かけであるが、今、エリア型のコミュニティが全然機能せずテーマ型となっており、「おしゃべりカフェ」のように、気軽に集まれるような場づくりが必要となる。実は、集めてから次にどうするかがもっと重要で、3つの「さんずい」、「汗」と「涙」と「酒」を心がけている。ビールを飲み、何か感動の涙を流し、一緒に作業し汗を流すことで絆が深まるといった仕掛けをつくっている。田尻町での消火訓練では、参加者が集まらない中、水消火器で的を当てるゲームを取り入れ、子どもと一緒に親が消火訓練を行うといった仕掛けをした。「自立とは、多様で多数の依存先を持ち合わせていること」であり、今の親に足らないのはそこにある。その意味でも「顔と名前が一致する地域づくり」は、非常にわかりやすいテーマであり、その実現に向け、地域でそれぞれの立場で仕掛けづくりに励んでほしい。
- 今、防災の世界では、「防災どころでない」という人が気になっており、「防災と言わない防災」のフレーズで様々推し進めているが、その場に来れない方こそ重要で、来ることに思いもはせない、考えたくもない方々をどうしていくかが課題であり、本日の家庭教育支援に係る議論も防災とかなり共通する面があったと思う。親学習についても、「これは学習ですよ」として行うかどうか考えてみてはどうか。本日の意見を、今後は教育委員会で集約し、新しい年度の活動に向けて活かしていければと思う。
- 開催日時 平成28年2月3日(水曜日)午前10時00分から12時00分
- 場所 大阪府公館大サロン
- テーマ 学校と地域が連携した家庭教育支援について -家庭の教育力向上に向けて-
- 内容
- 事務局からの報告
- (1)これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 教育コミュニティづくりの取組みの流れ
- 学校支援地域本部
- おおさか元気広場
- 家庭教育支援
- (2)教育コミュニティづくりの課題解決に向けた取組み
- (1)これまでの教育コミュニティづくりの取組みについて
- 出席者による意見交換
- 事務局からの報告