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瑕疵(かし)担保責任
瑕疵(かし)とは
売買の目的物が通常有すべき品質・性能を有しないことを瑕疵といいます。
瑕疵(かし)担保責任とは
売買の目的物に「隠れた瑕疵」(※)がある場合の売主の責任のことを瑕疵担保責任といいます。具体的には、買主は売主に対して損害賠償や契約の解除の請求ができます。
なお、売主の瑕疵担保責任は過失がなくても負わなければならない無過失責任です。
※「隠れた瑕疵」とは
買主が瑕疵を知らず又は知りえなかった瑕疵をいいます。
売主や媒介業者から告げられた瑕疵、買主が知っている瑕疵、買主が普通の注意をしていれば知りえた瑕疵は「隠れた瑕疵」にはあたりません。
例えば、売主より、雨漏りすることを告げられて購入した場合、その雨漏りは事前に知らされていますので「隠れた瑕疵」にあたらず、瑕疵であっても、瑕疵担保責任は問えないことになります。
また、「瑕疵」は契約締結時に存在していたことが必要ですので、引渡し後に発生した後発的な瑕疵や経年劣化等については、瑕疵担保責任は問えません。
売主が瑕疵担保責任を負う期間
売主の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求又は契約の解除は、買主が「隠れた瑕疵」の事実を知ってから1年以内にする必要があります。(民法566条、570条)
ただし、売主・買主の話し合いにより、瑕疵担保責任の期間を限定したり、瑕疵担保責任を免除する特約を定めることは可能です。しかし、売主が業者の場合には、売主業者は瑕疵担保責任を引渡しの日から2年以上負う必要があります。(もし、瑕疵担保責任の期間を引渡しの日から2年より短くする特約や瑕疵担保を免責する特約を定めた場合、その特約は無効となります。)
「アフターサービス」との違い
瑕疵担保責任は法律により売主が負わなければならない責任ですが、アフターサービスは契約当事者間の約束(契約)に基づくものであり、その内容・期間は当事者間の契約により定められます。
瑕疵担保責任に時効はあるの?
平成13年11月、最高裁判所は、瑕疵担保による損害賠償請求権は引渡しの日から10年で消滅時効にかかるとしました。
住宅瑕疵担保履行法
新築住宅の売主等は、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、住宅の主要構造部分の瑕疵について、10年間の瑕疵担保責任を負うこととされていますが、構造計算書偽装問題を契機に、売主等が瑕疵担保責任を十分に果たすことができない場合、住宅購入者等が極めて不安定な状態におかれることが明らかになりました。
このため、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が施行され、平成21年10月1日以降に引き渡される新築住宅の売主等に対し、瑕疵担保責任を履行するための資力確保(保険または供託)が義務付けられました。
新築住宅の重要事項説明書には、瑕疵担保責任を履行するための資力確保の内容(保険の場合、保険法人の名称や保険契約の内容など。供託の場合、供託所の名称・所在地)が記載されていますので、確認するようにしましょう。