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大阪府に寄せられた宅地建物取引に関する相談事例 No.3
売買契約締結
経過
買主Aは、宅建業者X及びYの媒介で、Bを売主とする土地の売買契約(売買価格3,300万円)を締結した。当該土地は公道に接していないが、建築基準法第43条ただし書の許可を受ければ建物を建築可能であると説明を受けAは当該土地を購入したが、実際には、当該土地が接する私道には構造物が設置されているため許可の条件を満たしていなかったとして、Aは府に苦情を申し立てた。
判明した違反事実
府がX及びYに事情を聴いたところ、以下のとおり違反事実が確認された。
- 重要事項説明書に次の記載不備がある。業法第35条第1項違反
- (1)代金以外に授受される金銭の額及び授受の目的(同項第7号)
- 固定資産税等精算金の具体的な額を記載していない。
- (2)契約の解除に関する事項(同項第8号)
- 売買契約書で規定されている、引渡前の滅失・毀損の場合等の解除について記載していない。また、売買契約書の特約条項において、本件契約は本件土地上に住宅を建築することを前提としており、建物の建築確認を受けることができない等、建物の建築ができない場合は白紙解約とする旨規定されているが、このことについて記載していない。
- (1)代金以外に授受される金銭の額及び授受の目的(同項第7号)
- 取引の公正を害する行為
本件土地は建築基準法上の道路に接していないため、重要事項説明書には建築基準法第43条但書きの許可を受けなければ建物を建築できない旨記載されている。
しかし、本件土地が接する私道には構造物が設置されているため、建築基準法第43条但書きの許可要件を満たしていなかったにもかかわらず、このことについて確認を怠り、買主に事実と異なる説明をした。
違反が発生した事情(又は理由)
1について
1について、X、Yともに口頭で説明したと述べ、重要事項説明書への記載不備を認めた。
2について
X、Yともに本件土地が建築基準法上の道路に接していないため、建物の建築ができない場合は本件売買契約を白紙解約とするという条項を特約として追加していたが、隣接する私道に構造物が存在することは契約の前後に気がついた、と述べている。
処分等
府は、次のとおり違反事実等を認定し、X及びYを指示処分とした。
業法第35条第1項違反及び取引の公正を害する行為
(建築基準法第43条但書きの許可要件を満たしていないことについての不説明。)
本事例のポイント
1 重要事項説明書について
- (1)代金以外に授受される金銭の額及び目的として、固定資産税等の精算金についても重要事項説明書に記載する必要があります。
- 「実費」「日割精算」といった記載では不十分です。額が確定していない場合は、例えば「概算」等として目安となる額を記載してください。
また、その他媒介手数料や所有権移転登記費用など買主が負担すべき費用についても重要事項説明書等の書面に記載して説明するようにしてください。
- 「実費」「日割精算」といった記載では不十分です。額が確定していない場合は、例えば「概算」等として目安となる額を記載してください。
- (2)契約の解除に関する事項について、契約書に定めのある内容については重要事項説明書に記載する必要があります。
- 売買契約書に規定されている、引渡前の滅失・毀損の場合等の解除や解約に関する特約条項を記載していない重要事項説明書がよく見受けられますが、売買契約書で規定されている契約の解除に関する事項はすべて重要事項説明書に記載してください。
2 建物の建築に必要な建築基準法第43条但書きの許可に関する説明について
本件土地は建築基準法上の道路に接していないため、建物を建築するには建築基準法第43条但書きの許可を受ける必要があります。しかしながら、通路として使用するとしていた部分に構造物があったため、許可の条件を満たしていませんでした。このことは、業法第47条の「重要な事項」に当たります。「重要な事項」については、十分な調査及び説明の義務があります。
- 建築基準法上の許可を受けられない土地を取引することが問題なのではなく、許可を受けるにあたって、その土地が満たすべき条件を欠いていたことについて十分な調査及び説明を行う必要があるということです。