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スマート農業/いちじく農薬散布ロボット
(全国初!)いちじく農薬散布ロボットの効果実証を開始(羽曳野市碓井地区)
大阪府のいちじく栽培は南河内地域を中心に全国第3位の生産量を誇ります。しかし、生産者の高齢化とともに、農薬散布等の重労働が大きな負担となり、南河内地域では直近10年間で45haから34haに減少しています。
南河内地域のいちじく農家数は約130戸と10年前に比べ減少していないことから、1戸あたりの経営規模が大きく縮小していることになります。産地規模を維持していくためには、作業の軽労化・省力化が喫緊の課題であり、零細農家が多い状況で、低コスト化も重要です。
一方、もものクビアカツヤカミキリ防除のため、長野県の農機ベンチャー企業(株式会社イーエムアイ・ラボ)が開発した農薬散布ロボットは(令和3年6月10日付け 普及指導員の活動紹介参照(別ウィンドウで開きます))、品目横断的利用による低コスト化を目指し、いちじくでの活用も念頭に設計されており、今回、いちじくでは全国初となる遠隔操作ロボットによる農薬散布の実演を行いました。
コロナ禍の状況にあって、今回の実演会は羽曳野市の生産者に限定して行いましたが、高齢農家だけでなく、地域の担い手である府農の匠、若手いちじく農家が率先して参加するなど(農家9名、関係者6名)、関心の高さが伺えました。
従来の手散布では畝の片側だけの散布となりますが、ロボットでは一気に畝両側を散布でき、送風ファンによる強い噴射圧と手散布より速い移動速度により、従来は10aあたり約1時間かかる作業が約12分と5分の1に短縮されることがわかりました。
しかし、生産者からは「操作は簡単で散布作業が楽」と評価する声とともに、「自分の園は畝幅が狭いので、ロボットのサイズをさらに小さくしてほしい」といった意見も聞かれました。また当日、ロボットを使用して散布した農薬(殺虫剤)の防除効果は、今後調査を進めていく予定です。
いちじく、もも、ぶどう、温州みかんでスマート農業技術の導入・普及を図っていますが、どの品目においても機器・園地双方の改良が共通して求められます。当課では企業と農家との間を繋ぎ、お互いの課題を解決しながら地域にマッチした技術に高めていきます。
ロボット現地講習会開催風景(8月2日)