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更新日:2014年4月28日

ページID:30789

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人権学習シリーズ ありのままのわたし 大切なあなた 子育てしやすい社会って?!

子育てしやすい社会って?!

キーワード

子育ての社会化、抑圧の内面化、個人的なことは政治的なこと

ねらい

  • 社会にある「母親像」「父親像」を問い直し、「親ならこれくらいするべき」「できて当たり前」と自分自身を無意識にしばっている価値観に気づく。
  • よりよい形で子どもに向き合うためにも、親だけが子育てを抱え込まず、子育てしやすい社会にしていくために大切なことを考える。

所要時間

60分

準備するもの

A4白紙・資料:人数分 A3白紙:グループ数分
多色マーカー(裏うつりしないもの):人数分 名札:人数分

プログラムのおおまかな流れ

(10分)1 ○○手渡しゲーム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウォーミングアップ
(20分)2 子育てあるある!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・価値観・思いのわかちあい
(30分)3 親であることのプレッシャーをはねのけよう!・・・・・あらたな「子育て」観づくり

手順

はじめに

  • 会場は、イスのみで円形に設営しておく。荷物は空いている机におくなど、動きやすい状態で着席してもらう。
  • 用意した名札にニックネームなど、その場で使いたい名前を自分で書いてもらう。

半円形

1 ○○手渡しゲーム(10分)

参加者の輪の中心にファシリテーターが入る。ファシリテーターがボールを持っているふりをする。

セリフ
ウォーミングアップにちょっとゲームをしたいと思います。ここにボールがあります(直径20センチから30センチくらいのボールを持っているジェスチャー)。みなさん、見えますよね?では、これからこのボールをお渡ししたいと思います。

立ちあがり、参加者の一人に(見えない)「ボール」を手渡す。受け取った人は席を立ち、次に渡す人のところへ行き、渡した人は空いた席に座る。繰り返していく。

セリフ
○○さん、立ちあがってボールを受けとってください。では、誰でもいいので次の方にボールを渡しに行ってください。
ボールがスイカに変わりました!スイカらしく持って、受け渡ししてくださいね。
スイカからブドウに変わりました!

  • タイミングを見て、「ボール」を「スイカ」「ブドウ」「生まれたての赤ちゃん」「時価1000万円の花瓶」と変えていく。
  • 最後に「時限爆弾になりました!」と言い、カウントダウンして終わる。最後の人とファシリテーターが交替して座る。

セリフ
時限爆弾になってしまいました!爆発まで、10、9、8、…3、2、1、ゼロ!
では、このゲームを終わります。ありがとうございました。

2 子育てあるある!(20分)

今日の話し合いのルールとして「協力・尊重・守秘」を板書し、確認する。
セリフ
「協力」とは、お互いに学ぶために協力し合いましょう、ということ。「尊重」とは、それぞれのあり方や意見・思いを尊重しましょう、ということ。「守秘」とは、ここで出された個人の経験や考えはこの場にとどめる(外に持ち出さない)、ということです。

  • 4人から5人のグループをつくり(P77のワンポイントアドバイス参照)、グループごとに机を出して座ってもらう。
  • 1人ずつにA4の紙を1枚、マーカーを1本配る。2つに折り、左半分に「Before(前でもよい)」=子育てする前に思っていたこと、右半分に「After(後でもよい)」=実際に子育てしてみてびっくりしたことを書いてもらう。その紙を使って自己紹介をする。[5分程度]
  • グループにA3の紙を配る。子育てをしていてまわりからかけられた言葉で印象に残っているものを出し合い、A3の紙に書いていく。ある程度書き出したら、「言われてうれしかった言葉」「言われて腹が立った・落ち込んだ言葉」を色分けしてみる。[10分程度]

【ワンポイントアドバイス】
※はじめから紙を2枚配り、「うれしかった言葉」と「腹が立った言葉」を別々に書いてもよい

各グループから出たものを発表してもらい、全体で共有する(時間があれば全部、なければ特に盛り上がったものを1つか2つの発表でよい)。

セリフ
どんなことを言われたでしょうか?
とくに「腹が立った言葉」は、言われたときに、どのように対応しましたか?言われたことは、腹が立ったけど無視して気にしてないですか?それとも気になって、言われないようにしようとしてますか?

3 親であることのプレッシャーをはねのけよう!(30分)

資料1-1「叱られやすさ」、資料1-2「男の涙」を配り、読んでもらい、気づいたことをグループで話し合う。[7分から8分]
【ワンポイントアドバイス】
参加者が女性のみの場合は、「叱られやすさ」だけでもよい。

社会の中のジェンダー意識(あるべき女性/男性についての価値観)を背景に、女性の場合は母親として子育てをして当たり前とされがちなこと、男性の場合はストレスやぐちを出し合う関係が少なくなりがちなこと、あるべき「母親像」「父親像」に縛られて、しんどさを抱え込んでしまったり、母親と父親がお互いに不満を抱いてしまったりしがちなことを説明する。[3分から4分]

セリフ
女性は、出産をすれば自然と子育てできるように思われていますが、自然とできるようになるわけではありません。また、自分を犠牲(後回し)にしても子どもを優先するのが母の愛、子どもをすべて理解し守るべきであって何かあったら母親の責任、といったイメージもあります。一方で、父親のイメージは、妻や子を養うために仕事が優先、いざというときに子どもに向き合い導く、といったものでしょうか。
こうしたイメージのために、子どもがトラブルに巻き込まれたり、けがや病気になったりすると母親が責められ、父親が子どもと日常的に関わり、ストレスを感じることがあっても話す相手がいない、ということが起こります。みなさんが感じたことのあるしんどさも、“女らしさ・母親らしさ” “男らしさ・父親らしさ”のイメージと関係あるかもしれません。

資料2「子育て事情 いま・むかし」を配り、実は昔はコミュニティで子育てがされており、親だけが子育ての責任を担うようになったのは近代のことであることを伝える。[3分から4分]

セリフ
子育てについて、“これが自然、伝統”や“こうあるべき”と思っているものは、明治以降の社会の変化の中で生まれたもの、戦後になって広がったものが、実はたくさんあります。もし、子育てについてのイメージが実際の子育てをしんどくさせているなら、イメージそのものをもっと肯定的で元気が出るようなものに変えていってもよいのではないでしょうか?

子育てあるある!」で共有された「腹が立った・落ち込んだ」言葉に対し、自分の心の中での反論・傷ついた自分を励ますメッセージをグループで考える。全体で共有する。[15分]

セリフ
今の社会やライフスタイルに合った、親も子どもも大切にされるような新たな子育ての考え方・イメージを、みんなでつくっていきましょう!

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