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人権学習シリーズ ありのままのわたし 大切なあなた 子どもの声を聴く
子どもの声を聴く
キーワード
自己肯定、自他尊重、子どもの人権
ねらい
- 「聴く」「聴いてもらう」体験から、自分の気持ちを感じる。
- 役割を演じることで、子どもの気持ちやおとなの気持ちを考える。
- 子どもの権利条約を知り、子ども自身の感じる力に気づく。
所要時間
90分
準備するもの
「参加」「守秘」「尊重」「時間」を板書、またはカードをはる。
A4白紙:人数分(テーブルに置いておく)
資料1・2・3・4:人数分
振り返りシート(A4白紙半分サイズ):人数分
プログラムのおおまかな流れ
所要時間 | 内容 | ポイント | |
1 | 5分 | 趣旨とルールの説明 | 約束の共有 |
2 | 10分 | 自己紹介と導入 | 自分の気持ちを知る |
3 | 30分 | 聴き合う | 自分の気持ちを伝える |
4 | 30分 | ロールプレイから考える | 人の気持ちを感じる |
5 | 15分 | まとめ | 子ども権利条約を知る |
手順
はじめに
- 会場は最初からグループ別に机とイスを並べておく。
- 来た人から順にグループに分かれて座ってもらう。
1グループは、4人から6人ぐらい。グループ分けをする際、親しい人同士のグループにならないように声かけをする。
1 趣旨とルールの説明(5分)
こんにちは。時間になりましたので始めます。○○です。よろしくお願いします。
みなさんは、テーマ「子どもの声を聴く」に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。今日、この場で出会うみなさんと話し、聴き合い、感じ合っていきたいと思います。最初に、約束をさせてください。
「参加」「守秘」「尊重」「時間」を説明する。
「参加」できるだけ話し合いの場に参加してほしいですが、場合によってはパスしても大丈夫です。
「守秘」ここで話された個人の話は、ここだけにして、決して外に持ち出さないでください。
「尊重」それぞれの意見や考えは尊重し、相手の話や意見を否定せず、お互いを尊重しましょう。
「時間」一人の方だけが話し過ぎることのないように、みんなで時間を大切に使いましょう。
2 自己紹介と導入(10分)
- A4白紙を縦横に折り目を付け1、2、3、4と番号を記入して、1に名前を書く。
【白紙の例】
- 2に今日の参加度(参加意欲)を0から10までの数字で記入する。
- 1、2で自己紹介をする。
2の参加度は、今日の会をとっても楽しみに来ました!という方は10で、体調がすぐれないなど、マイナスの要因によって0に近くなります。みなさんが記入されたら、お一人1分目安で、どなたからでも結構ですので、名前と参加度の理由を話し、グループで聴き合ってください。
3 聴き合う(30分)
2分から3分時間をとって、3最近はまっていること、好きなこと、4最近ちょっと困っていることを記入する。
※3、4を聴き合う時は、同じ相手とする。[1分×2回][2分×2回]
※聴く人は話題を取ったり、質問などは控え、「聴く」ことに徹します。話す人は持ち時間は全部自分のことを話す時間ととらえて自由に話す。
【ワンポイントアドバイス】
近くの人と2人組になり、イスの向きを変えて聴きあう姿勢をつくる。
- グループでふり返る。[8分]
聴いてどうだったか聴いてもらってどうだったか、気づいたことなどを出し合う。 - どのような気づきがあったか、グループでまとめて順に発表し合う。
- 参加者全員でグループの気づきを共有する。
※グループでまとめられたどの気づきも大切にしたい気持ちを伝える。少数の気づきは特に取り上げる。
4 ロールプレイから考える(30分)
- 各テーブルに、資料1ロールプレイ「おもちゃのとりあい」シートを人数分配る。
- グループで役を決める。5人目6人目の人は第三者の役になる。
- 読んで演じ、その後、それぞれに感じたことを出し合う。[8分]
- グループ内で役割を変えて演じ、保護者の言葉を考える。[8分]
- グループごとに、新しいセリフでのおもちゃの取り合い場面を演じ、順に発表し合う。
- 参加者全員でグループの発表を共有する。
※グループで考えられた気づきや発表を大切にしたい気持ちを伝える。正反対の気づきは両方取り上げる。
5 まとめ(15分)
資料3・4、振り返りシートを配布する。
今日はみなさんの中に色んな気持ちがおこったと思います。
そして、それを伝えあう体験をしていただきました。
人が生きる上で、自分の思っていることを伝えられること、それをきちんと受け止めてもらえることは大切な権利です。また、これはおとなと同じように子どもにもある権利です。
みなさんは、日本も批准している子どもの権利条約という国際条約を知っていますか?
子どもが幸せに成長するために必要な「基本的人権」の世界基準とされています。
そこにも自分の意見を伝え、聴いてもらうことが権利の1つとして書かれています。
子どもは、生まれた時からこの条約で示された権利を持っています。赤ちゃんも言葉で伝えられないだけで、表情や声など身体全部を使って気持ちを伝えてくれているのです。
子どもの権利条約を乳幼児期の子どもにあてはめてみたのが資料4です。
人は自分の表現した事をきちんと聴いて、受け止めてもらえることによって自分自身への信頼感が育ちます。また、どんな年齢であれ、1人の権利の主体として大切にされることで自尊心が育ちます。
この資料を目に付くところに貼っていただいて、今日、みなさんと考えたことを時々思い出していただけたらうれしいです。振り返りシートには、今日の感想をどんなことでも自由にご記入下さい。