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平成28年度 大阪府森林環境整備事業評価
平成28年度 大阪府森林環境整備事業の評価について
大阪府では、平成28年度から森林環境税を活用し、自然災害から暮らしを守り、健全な森林を次世代へつなぐための取組みを行っております。
今回、平成28年度事業が完了したことに伴い、去る平成29年6月30日に森林環境整備事業評価審議会において、事業実績についての評価をいただきました。
なお、各事業の評価指標につきましては、こちら(森林環境整備事業の評価指標(PDF:66KB))をクリックしてください。
事業名 危険渓流の流木対策事業
平成28年度 事業概要
- 事業対象区域:山地災害危険地区「崩壊土砂流出危険地区」、保安林外
(危険度Aランク・保全対象20戸以上・治山事業の未着手地域) - 事業箇所数:8箇所
- 事業内容:
- (1)ハード対策
土石流発生を抑止する治山ダムの整備
流木となる危険性の高い渓流沿いの立木の伐採、林外搬出
防災機能を強化する荒廃森林の整備(強度間伐等) - (2)ソフト対策
防災教室の開催、地域との協働による森林危険情報マップの作成
事業の効果検証等
- (1)ハード対策
【治山ダム(コンクリート)の設置状況】
【森林伐採(間伐)の完了状況】
評価
- 事業実績は、妥当である。
- 「事業効果」の検証方法のひとつである「土壌の浸透能調査」は今回の評価の対象ではないが、以下の考え方により実施されることを確認した。
- 土壌の浸透能調査は、流木となる危険性の高い渓流沿いの立木の伐採、林外搬出を行うエリアにおいて調査し、防災機能を強化する荒廃森林の整備エリアでは、実施しない。
事業名 主要道路沿いにおける倒木対策事業
平成28年度 事業概要
- 事業対象区域:山地災害危険地区「山腹崩壊危険地区」
(府県間等を結ぶ主要国道・府道沿いの山崩れの危険がある森林) - 事業箇所数:11路線
- 事業内容:
- (1)ナラ枯れ対策
ナラ枯れ等の病虫害被害が予想される高齢木の予防伐採、被害木の処理、落石対策等 - (2)放置竹林対策
竹伐採、草刈、竹拡大防止柵の設置、広葉樹の苗木植栽等
- (1)ナラ枯れ対策
【施工前】
【施工後】
評価
- 事業実績は、妥当である。
- 7割以上の伐採を行った場所については、伐採後新規の植栽工を実施していることを確認した。
- 植栽工を実施した場所については、植栽樹木の生育状況のモニタリングを要望した。
事業名 持続的な森づくり推進事業(基盤づくり)
平成28年度 事業概要
計画的な間伐促進を図るための基盤づくりに必要な基幹的な作業道の舗装及び木材集積土場の設置に必要な経費を助成
- 事業箇所数:10地区
- 事業主体:森林所有者から森林施業を委託された林業事業体
- 補助率:定額(府が工種ごとに定める補助単価に基づき算出)
- 補助要件(対象森林):
- (1)集約化により一体的な森林管理が可能な、区域面積が概ね100ha以上の人工林で、森林法に基づく森林経営計画が作成され、
計画的な間伐や木材搬出が見込まれること - (2)森林所有者や林業事業体が、本事業により整備した基盤施設を活用し、間伐や植栽等の森林経営を長期にわたって継続的に実施する見込みがあること
- (1)集約化により一体的な森林管理が可能な、区域面積が概ね100ha以上の人工林で、森林法に基づく森林経営計画が作成され、
【作業道のコンクリート舗装状況】
【伐採した材を仮置きする土場の整備状況】
評価
- 事業実績は以下の点を考慮して、妥当と判断した。
- 積雪の影響で基幹作業道の舗装実績が計画量を下回ったものの、それに伴って予算の執行額も減少しており、施工可能な場所に限定して適切に事業が実施されたものと認められる。
- H28年度に積雪により、未執行となった事業費については、H30年度以降に執行することを確認した。
- 「事業効果」の効果検証手法である「間伐実績」及び「木材供給量」は、今回の評価の対象ではないが、毎年度確認されていることを確認した。
事業名 持続的な森づくり推進事業(人材育成)
平成28年度 事業概要
府内産材コーディネーターを確保するため、専門家等による講座や意見交換会を開催。
- 事業主体:大阪府
- 事業内容等:府内産材コーディネーターの育成
- 育成人数 12名
- 木材流通業者を対象に木材業経営についての講義を基軸に川上・川下従事者での意見交換を含めた研修を実施。
- 研修回数:3回/年(H28年度実施)(受講料を徴収)
【講習会の様子】
【意見交換会の様子】
評価
- 事業実績は、妥当である。
- 受講者への講義に対する事後評価を求めたアンケート調査結果から、事業が有効かつ適切に実施されたことを確認した。
- 事業費の減額は、当初の企画では「現地視察」とされていたが、受講者からの要望によって「意見交換会」の充実に変更された結果であることを確認した。
- 今年度のフォローアップとして、受講者の今後の活動状況を追跡把握するとともに、H29年度の受講者との意見交換会等のマッチングを計画していることを確認した。
- 「事業効果」を検証する指標については、引き続き議論、検討することを確認した。
事業名 持続的な森づくり推進事業(未利用木質資源(林地残材等)活用)
平成28年度 事業概要
林業事業体や森林所有者、地域で活動する里山保全活動団体等に対する林地残材搬出用機械等の貸与や搬出された材を活用する木質バイオマス利用事業者等とのマッチングを行い、林地残材を継続的・安定的に搬出する仕組みづくりを担う事業者を選定し、運営を委託。
- 事業主体:大阪府(提案公募により委託先選定)
- 搬出活動地:
- 持続的な森づくり推進事業を実施する地区
- NPOやボランティア団体が里山保全活動を実施している地区 等
【ボランティアによる搬出作業の様子】
【林業事業体による搬出作業の様子】
評価
- 事業実績は以下の点を考慮し、妥当であると判断した。
- 当初の企画では4ヵ年に亘る複数年の事業としていたが、本事業の担い手の掘り起こし等に困難が想定されたことから、初年度の事業は単年度事業として
実証的な内容で実施されたが、その内容は事業全体を円滑に進めるために適切な手法であったと認められる。
- 当初の企画では4ヵ年に亘る複数年の事業としていたが、本事業の担い手の掘り起こし等に困難が想定されたことから、初年度の事業は単年度事業として
- H29年度からは、今回の実証結果を踏まえ、3ヵ年度をかけて搬出体制の構築に取り組んでいくことを確認した。
- 未利用木質資源活用の普及啓発事業は、初年度の事業を単年度の実証的事業に変更したため、大阪府が直接実施し、周知活動の実績をあげたことを確認した。
事業名 子育て施設木のぬくもり推進事業
平成28年度 事業概要
内装(床・壁)木質化等に対して、その必要となる経費を支援。
- 対象施設:大阪府内の幼稚園及び認可保育所、認定こども園、地域型保育事業を行う事業所
- 事業主体:幼稚園等の施設設置者、地域型保育事業の事業主体
- 補助率:1/2(上限2,500千円
- 整備施設数:38施設
【内装木質化した施設の状況】
【内装木質化した施設での木育活動の様子】
評価
- 事業実績は、妥当である。
- 実績数が当初の設定よりも増加したのは、1施設あたりの補助金が上限額に満たない施設が多かったことによる結果であることを確認した。