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ワーク・ライフ・バランスの実現
いま、なぜワーク・ライフ・バランスなのか?
社会的・経済的環境やライフスタイルが変化する中で、働く人がその能力を十分に発揮するためには、性別や年齢、そのおかれている状況にかかわりなく多様な人材が仕事に就ける社会にすることが大切です。
しかし、現実の社会には、
- 安定した仕事に就けず、経済的に自立することができない、
- 仕事に追われ、心身の疲労から健康を害しかねない、
- 仕事と子育てや老親との両立に悩む、
など、仕事と生活の間で問題を抱える人が多く見られます。
企業にとっても、優秀な人材を確保し、従業員の意欲と能力を高め、多様な人材を生かすことで、企業の活力を維持・発展させていくことが必要です。
そこで、多種多様なライフスタイルを持つ個々人の生き方に合わせて、また子育て期、老親の介護等に追われる中高年期といった人生の各段階におけるニーズにも対応して、多様な働き方を選べる「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の実現に向け、平成19年12月に、関係閣僚・経済界・労働界・地方公共団体等の合意により「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定されました。その後、施策の進捗や経済状況の変化を踏まえ、新たな視点や取組を盛り込み、平成22年6月29日に、政労使トップによる新たな同意が結ばれました。
ワーク・ライフ・バランスが実現した社会とは
国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会のことです。
具体的には、以下のような社会を目指します。(ワーク・ライフ・バランス憲章(外部サイトへリンク)より)
- 就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。 - 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。 - 多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などに関わらず、誰もが意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。
また、ワーク・ライフ・バランス行動指針(外部サイトへリンク)には、ワーク・ライフ・バランス憲章で示す「ワーク・ライフ・バランスが実現した社会」を実現するため、企業や働く者、国民の効果的な取組、国や地方公共団体の施策の方針が定められています。
企業がワーク・ライフ・バランスに取組む必要性
働く人のワーク・ライフ・バランスの実現には、「働く場」としての企業の理解や取組の促進が不可欠です。
では、企業にとって、ワークーライフ・バランスの取組が、なぜ必要なのでしょう。
それは、ワーク・ライフ・バランスが企業の将来の成長・発展につながる「明日への投資」であり、経営戦略の重要な柱である、ということに大きなポイントがあります。
【従業員のニーズへの対応】
子育て世代の多くが、仕事も家庭も大切にしたいと考えています。
また、共働き世帯が増加し、夫婦で育児を分担できる職場環境は男女共通のニーズとなっています。
企業を支える子育て世代が意欲を持って働けるようにするためには、そのニーズや意識の変化に対応し、育児参加できる働き方を実現する必要があります。
【仕事時間と生活時間のバランス実現】
従業員の働きすぎによる疲労や意欲の低下、心身の健康状態の悪化は、企業にとって深刻な損失となります。
また、夫が家庭を顧みることができず、妻が心身の健康を損ねれば、夫は安心して仕事に向かうことができず仕事に支障をきたすことにもなりかねません。
従業員が健康で意欲を持って仕事に取組めるようにするためには、仕事時間と生活時間のバランスを取れるようにすることが不可欠です。
【多様な人材の活用】
厳しい競争環境の中で企業の力を高めていく上で、性別、年齢、価値観、個性の異なる多様な人材の能力を活用することが不可欠となっています。
近年、女性の活躍を推進する企業が増えていますが、女性だけに育児が集中する環境は能力発揮の阻害要因の一つになっています。
女性の活躍を進めるためにも、男女とも子育てできる働き方が必要です。
【企業の社会的責任(CSR)の遂行】
女性の活用やワーク・ライフ・バランスの推進をCSRとして位置づけ、従業員の多様性を尊重し、安心して快適に働ける職場づくりに取組む企業が増えています。
企業は、単に業績だけではなく、社会的公正や環境問題への取組などの側面も含めて評価されるようになってきており、投資家、顧客、従業員等の利害関係者からの信頼を得るためにも、こうした取組が求められます。
企業には、こんなメリットがあります!
ワーク・ライフ・バランスは、従業員の働く意欲を高め、生産性向上にも貢献する「新しい報酬」です。
- 多様な従業員の定着(離職率の低下)
- 優秀な人材の確保(採用)
- 従業員の満足度や仕事への意欲の向上
- 従業員の生活としての視点や創造性、時間管理能力の向上
- コスト削減(残業代など)
- 生産性や売り上げの向上
- 部下や同僚従業員の能力向上
- 企業イメージや評価の向上
- 従業員の心身の健康の保持増進
(内閣府男女共同参画会議 仕事と生活の調和に関する専門調査会「企業が仕事と生活の調和に取組むメリット」(外部サイトへリンク)より)
10月は「年次有給休暇取得促進期間」です
厚生労働省では、年次有給休暇を取得しやすい環境整備を促進するため、来年度の年次有給休暇の計画的付与について労使で話し合いを始める前の10月を「年次有給休暇取得促進期間」としています。
年次有給休暇については、ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議において策定された、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」において、2020年までの目標値として、その取得率を70%とすることが掲げられています。しかし、直近の取得率は51.1%(平成30年)となっており、近年は50%前後の水準で推移しています。
テレワークで実現する働き方改革
ICT(アイシーティー)を活用し、時間や場所を有効に活用できるテレワークは、育児中の方、高齢者、障害者など様々な方がそれぞれの生活スタイルに合わせ柔軟な働き方が可能になることや、都会でも地方でも同じように働くことが可能になることから、「地方創生」や「一億総活躍社会の実現」に寄与するものとして、さらに「働き方改革」による生産性向上に有効な手段として、注目されています。
テレワーク推進フォーラム(総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、産業界、学識者で構成)では、2015年より11月を「テレワーク月間」と定め、テレワークの認知向上を図るとともに、テレワークの活用を推奨し、働き方の多様性を広げる運動を推進しています。
自営型テレワークに関して、「自営型テレワークに関する総合支援サイト」にて、有益な情報の提供やセミナーの開催、相談対応を行っています。
また、大阪府では、中小企業等におけるテレワークの導入・定着を支援するため、企業・労働者のワンストップ窓口として「大阪府テレワークサポートデスク」を開設し、テレワークに関するお悩みを総合的にサポートしております。
11月は「ノー残業デー、ワーク・ライフ・バランス推進月間」です
大阪府では大阪労働局等と連携して、11月を「ノー残業デー、ワーク・ライフ・バランス推進月間」に設定し、期間中は「ノー残業デー」の実施などによる時間外労働の削減や、年次有給休暇の取得促進などを呼びかけ、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた気運の醸成を図ります。
参考資料
- 「仕事と生活の調和の実現に向けて」(外部サイトへリンク)
内閣府 - 「労働時間等の設定の改善」(外部サイトへリンク)
厚生労働省 - 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」(外部サイトへリンク)
大阪労働局 - 「年次有給休暇取得促進特設サイト」(外部サイトへリンク)
厚生労働省 - 「テレワーク月間」(外部サイトへリンク)
テレワーク推進フォーラム - 自営型テレワークに関する総合支援サイト(HOME WORKERS WEB)(外部サイトへリンク)
厚生労働省委託事業事務局(運営:株式会社キャリア・マム) - 「11月は「ノー残業デー、ワーク・ライフ・バランス推進月間」です!」
大阪府 - 「大阪府テレワークサポートデスク」
大阪府