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更新日:2010年1月15日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第182号)

労働委員会委員選任関係文書特定異議申立事案

(答申日 平成22年1月15日)

第一 審査会の結論

実施機関の決定は妥当である。

第二 異議申立ての経過

  1. 異議申立人は、平成21年3月17日、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対し、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、「労働委員会委員の選任に関して、他の都道府県からの調査・問い合わせ・意見交換等、厚生労働省(労働省)との間での連絡・問い合わせ等に関する全文書」について行政文書公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
  2. 実施機関は、平成21年3月31日、本件請求に対応する行政文書として、次の(1)の文書を特定の上、「公開しないことと決定した部分」を同(2)、「公開しない理由」を同(3)のとおりとする部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、異議申立人に通知した。
    • (1)一部を公開することと決定した行政文書の名称
      • ア 平成20年12月26日付け事務連絡(厚生労働省労政担当参事官室)に関連する文書
      • イ 平成20年9月11日付け事務連絡(三重県生活・文化部勤労・雇用支援室長)に関連する文書
      • ウ 平成20年5月26日付け労雇第120号(新潟県産業労働観光部労政雇用課長)に関連する文書
      • エ 平成20年1月29日付け19労福第185号(長野県社会部労働福祉課長)に関連する文書
      • オ 平成20年1月11日付け事務連絡(三重県生活部勤労・雇用支援室長)に関連する文書
      • カ 平成19年10月31日付け労雇第1033号(熊本県商工観光労働部労働雇用総室長)に関連する文書
      • キ 平成19年5月9日付け(愛知県産業労働部労政担当局労働福祉課労使関係グループ)照会に関連する文書
      • ク 平成19年5月7日付け(福岡県労働政策課企画調整係)照会に関連する文書
      • ケ 平成18年5月(岩手県商工労働観光部労政能力開発課労政雇用担当)照会に関連する文書
    • (2)公開しないことと決定した部分
      推薦団体の意向等に関する記述
    • (3)公開しない理由
      条例第8条第1項第1号に該当する。
      本件行政文書(非公開部分)には、推薦団体の意向等が記載されており、これを公にすることにより当該団体の正当な利益を害すると認められる。
  3. 異議申立人は、平成21年5月19日、本件決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により異議申立てを行った。

第三 異議申立ての趣旨

本件決定で公開の対象としなかった文書の公開を求める。

第四 異議申立人の主張要旨

異議申立人の主張は、概ね次のとおりである。

1 異議申立書における主張

本件請求によって部分公開された9文書には、大阪府から厚生労働省に対して、平成7年10月16日に行われた問い合わせに関する文書(以下「平成7年10月16日付文書」という。)及び平成20年3月6日に行われた問い合わせに関する文書(以下「平成20年3月6日付文書」という。)が含まれていない。両文書は、本来公開対象となるべき文書である。

2 反論書における主張

  • (1)異議申立書において新たに公開を求めた2文書については、いずれも大阪府から厚生労働省へ問い合せを行った事実が、大阪府以外が保有する文書によって確認されているものであり、この事実を記録する大阪府の文書の公開を求めたものである。
    公開する文書が存在しないとの実施機関の2点の弁明について、いずれも合理的な根拠と説得力がないことを指摘する。
  • (2)平成7年10月16日付文書について、実施機関の弁明は、要するに保存期間が過ぎていて、存在しないというものである。しかし、保存期間に関する定めの根拠が示されておらず、どのような規定に基づくものか明らかにすべきである。弁明の内容からするかぎり、保存期間の定めの運用は、1年であったり、3年程度であったり、廃棄しないこともありうるであったり、信頼性に欠けるものである。同文書を実際に廃棄していたとしても、廃棄の根拠と経過に関する説明については、説得力のある根拠を示すべきである。
  • (3)平成20年3月6日付文書について、担当者が作成した平成20年3月7日付けのメモは存在していることは認めているにもかかわらず、同メモが行政文書に該当しないという理由は根拠がなく不当である、行政文書に該当しないとする理由は、「組織的に利用したり、保存する等共用はしておらず」という点のみである。情報公開法に関する国の解釈指針(総務省解説)では、行政文書とは「行政機関の職員が当該職員に割り当てられた仕事を遂行する立場で、すなわち公的立場において作成し、又は取得したことをいい、作成したこと及び取得したことについて、文書管理のため帳簿に記載すること、収受印があること等の手続き的な要件を満たすことを要するものではない。」と定義し、「組織的に用いるもの」とは「組織としての共用文書の実質を備えた状態、当該行政機関の組織において、業務上必要なものとして、利用または保存されている状態」であり、実際に共用されているかどうかは問題にしていない。
    本件メモがどのように作成され、保管されているかは不明だが、この二つの定義に該当することは明らかであろう。そうでなければ、厚生労働省への問い合わせが本来の職務かどうか不明な位置づけである文書が、職場に持ち込まれた個人ファイルに挿入されているという、二重に不当な扱いが放置されているだけのことである。

第五 実施機関の主張要旨

実施機関の主張は、概ね次のとおりである。

1 行政文書の保存期間について

大阪府労働委員会に関連する調査・照会関係の行政文書の保存期間は、1年間としているが、保存期間を過ぎても3年程度保存しているものもある。

2 異議申立ての文書について

  • (1)平成7年10月16日付文書については、本件請求時において既に13年5か月が経過し、1年の保存期間は満了している。保存期間を過ぎても廃棄していないこともありうるため、念のため、商工労働部雇用推進室の書庫を確認したが同文書は確認できなかった。
    また、文書廃棄に係る起案文書の保存期間は5年間であり、廃棄の記録についても保存期間満了により廃棄されており、同文書が存在したか否かについて確認することができなかった。
  • (2)平成20年3月6日付文書については、日付は異なるが、担当者が記載した、平成20年3月7日付の記録(以下「平成20年3月7日付記録」という。)は存在する。しかし、組織的に利用したり、保存する等共用はしておらず、行政文書には該当しないメモである。
    また、問い合わせに関して行政文書を作成又は取得しておらず、対象となる行政文書は存在しない。

3 結論

以上のとおり、本件決定は、条例の規定に基づき適正に行われたものであり、何ら違法又は不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

第六 審査会の判断理由

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を促進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。

このように「知る権利」を保障するという理念の下であっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。

このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。

2 本件異議申立てについて

実施機関は、本件請求に対応する文書として、次の(1)~(9)に掲げる文書を特定した。

  • (1)平成20年12月26日付け事務連絡(厚生労働省労政担当参事官室)に関連する文書
  • (2)平成20年9月11日付け事務連絡(三重県生活・文化部勤労・雇用支援室長)に関連する文書
  • (3)平成20年5月26日付け労雇第120号(新潟県産業労働観光部労政雇用課長)に関連する文書
  • (4)平成20年1月29日付け19労福第185号(長野県社会部労働福祉課長)に関連する文書
  • (5)平成20年1月11日付け事務連絡(三重県生活部勤労・雇用支援室長)に関連する文書
  • (6)平成19年10月31日付け労雇第1033号(熊本県商工観光労働部労働雇用総室長)に関連する文書
  • (7)平成19年5月9日付け(愛知県産業労働部労政担当局労働福祉課労使関係グループ)照会に関連する文書
  • (8)平成19年5月7日付け(福岡県労働政策課企画調整係)照会に関連する文書
  • (9)平成18年5月(岩手県商工労働観光部労政能力開発課労政雇用担当)照会に関連する文書

異議申立人は、実施機関が特定した(1)~(9)の文書以外に、平成7年10月16日付文書及び平成20年3月6日付文書を新たに特定して公開するべきであると主張している。よって、本件異議申立てにおける係争部分は、本件決定における実施機関の文書特定の妥当性であると認められるので、以下検討する。

3 実施機関の文書特定の妥当性について

実施機関は、異議申立人が新たに特定して公開するべきであると主張する2文書について、平成7年10月16日付文書は、保存期間が経過し、検索したところ現に保存しておらず保有していないとし、平成20年3月6日付文書は、同日付の文書は保有しておらず、日付が異なる平成20年3月7日付記録は存在するが、メモであり、行政文書に該当しないと説明しているので、以下検討する。

(1)実施機関における行政文書の保存及び廃棄に関する根拠について

実施機関における行政文書の管理については、大阪府行政文書管理規則(以下「文書規則」という。)及びその細目を定める大阪府行政文書管理規程により定められている。

文書規則においては、本庁の室・課及び出先機関に、文書管理者を置くこととされている。本庁の室・課にあっては、室・課の長、出先機関にあっては、出先機関の長を充てることとされており、文書管理者は、室・課又は出先機関における行政文書の適正な管理に関する事務を掌理することとされており(文書規則第5条)、行政文書の保存は文書管理者が行うこととされている。

また、行政文書の保存期間については、文書規則別表に定める基準に従い、文書管理者が定めることとされており(文書規則第17条第1項)、保存期間の起算日は、当該行政文書に係る事案の処理が完結した日の属する会計年度の翌会計年度の四月一日とし(文書規則第17条第2項)、保存期間が満了するときは、あらかじめ、文書管理者が廃棄の決定を行った上で、保存期間満了後速やかに処分することとされている(文書規則第18条第1項及び第2項)。

なお、行政文書の保存期間については長期、10年、5年、3年、2年、1年の6つの区分が定められている。長期とは10年を超える保存期間とされており、長期保存の文書については、10年を超えた時点で保存期間の見直しを行い、新たに設定した保存期間が満了すれば廃棄の決定を行うこととされている。

(2)行政文書公開請求の対象となる行政文書の定義について

行政文書公開請求の対象となる行政文書の定義については、条例第2条第1項に、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図面、写真及びスライド並びに電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているもの」をいう旨規定されている。

「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているもの」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において業務上必要なものとして利用・保存されている状態のものを意味する。

したがって、ファイルされている正式文書とは別に、職員が自己の執務の便宜のために保有する複写物や個人的な検討段階のメモで未だ組織的な検討に付されていないものなど、個人で自由に廃棄しても組織上・職務上支障がない個人メモ、個人用の控え等は、これに該当しないが、このような個人メモ等として作成又は取得されたものであっても、複数の職員による検討に付され、その結果共用するに至るなど、実施機関の組織において業務上必要なものとして利用・保存されるに至った場合は、職員個人の段階のものとはいえず、「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているもの」に該当すると認められる。

また、職員が起案や資料作成の準備等のために個人が管理するパソコンを利用して作成し、当該パソコンのハードディスクや個人が管理するフロッピーディスク等に保存している電磁的記録は、当該職員個人において自由に廃棄、削除等の処分ができる場合が多いと考えられる。しかしながら、当該電磁的記録が、室・課等の共有フォルダに保存されるなど、実施機関の組織において業務上必要なものとして利用、保存されるに至った場合は、職員個人の段階のものとはいえず、「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているもの」に該当すると認められる。

(3)労働委員会委員選任に関する各種照会の記録化の実情について

実施機関から説明を聴取した結果により、概ね次のとおりであることが認められる。

労働委員会委員選任に関して、実施機関は、国や地方公共団体等に対して、選任方法や選任基準等の各種調査を目的とした照会を行い、業務の参考としており、同時に国等から同様の照会に応じている。照会の記録については明文化された規定は無いが、これらの照会は通常、文書によって行われており、照会結果等が記載された文書は、実施機関において業務の参考として利用するなど、組織的に用いられている。

一方、実施機関においては、担当する事務の取り扱いや法令の解釈の確認等について、職員が自らの判断により国等に対して電話による照会を行う場合がある。この場合、運用として、照会を行った職員が今後の事務の参考となると判断した場合には記録を作成し、上司への報告や供覧を行うなど、記録を組織的に用いる場合があるが、事実確認で完結した場合等で報告の必要が無いと判断した場合には、メモとして記録を残すことはあっても、上司への報告や供覧を行うことはなく、記録を組織的に用いることはない。

(4)平成7年10月16日付文書が存在しない理由について

異議申立人は、平成7年10月16日付文書について、保存期間を1年とする一方で必要と判断されれば3年程度とすることは、保存期間の運用が明確でなく信頼に欠けるものであり、廃棄されているのであれば廃棄の根拠と経過を示すべきであると主張している。

これに対して、実施機関は、平成7年10月16日付文書を保有していない理由について、次のとおり説明しているので以下検討する。

ア 平成7年10月16日付文書の保存期間の経過について

大阪府労働委員会に関連する調査及び照会関係の行政文書の保存期間は、文書管理規則別表に定める基準により、「各種照会、回答等の往復文書」とされ、保存期間は1年間と定められている。但し、保存期間が満了した行政文書について、実施機関において業務に必要と判断する場合がある。業務に必要な期間は概ね3年程度であるため、その間は廃棄せずに保存しているのが実情である。

平成7年10月16日付文書については、本件請求時既に13年5か月を経過しており、保存期間は満了し、現に業務で使用しておらず、業務担当課である商工労働部雇用推進室労政課の書庫を検索したが、平成7年10月16日付文書は確認できなかったことから保存していない。

イ 平成7年10月16日付文書の廃棄の経過について

行政文書廃棄の記録として、文書廃棄に係る起案文書がある。起案文書には廃棄の時期が記載され、廃棄する行政文書を綴った簿冊名を記載した文書廃棄票が添付されている。簿冊名から綴られている行政文書を特定することで、行政文書の廃棄の時期を確認することができる。文書廃棄に係る起案文書の保存期間は、文書管理規則別表に定める基準により「その他5年保存を要する行政文書」とされ、保存期間は5年と定められている。

平成7年10月16日付文書の保存期間の満了日は平成9年3月31日であり、同文書について文書廃棄に係る起案文書が平成9年4月1日以降に作成されているとすると、文書廃棄に係る起案文書の保存期間の満了日は平成15年3月31日となり、本件請求時には既に廃棄されており、廃棄の記録を確認することはできなかった。

ウ 平成7年10月16日付文書を作成したか否かについて

平成7年10月16日付文書は保存期間が満了し、現に保存されておらず、文書廃棄に係る決裁文書も既に廃棄されており、平成7年10月16日付文書に関する記録が残っていないことから、同文書を作成したか否かについては不明である。

以上のことを検討すると、実施機関における行政文書の保存及び廃棄の根拠は(1)のとおりであるが、(2)で述べたとおり、保存期間に関わらず実施機関の組織において業務上必要なものとして利用、保存されている行政文書は行政文書公開請求の対象となる。

しかしながら、実施機関は、本件請求時既に13年5か月が経過する平成7年10月16日付文書については、保存期間が満了し、現に業務で使用しておらず、担当課の書庫を検索したが保存していないと説明している。

さらに、実施機関は、廃棄の記録である文書廃棄に係る決裁文書は、保存期間が満了し既に廃棄されており、廃棄の経過を確認することができず、平成7年10月16日付文書に関する記録が無いことから、同文書を作成したか否かも不明であると説明している。

これら実施機関の説明に、特段不自然、不合理な点は認められないことから、平成7年10月16日付文書は実施機関において現に保存しておらず、保有していないと認められる。

(5)平成20年3月6日付文書が存在しない理由について

異議申立人は、平成20年3月6日付文書について、平成20年3月7日付記録が存在しているものの、行政文書に該当しないという理由は根拠がなく不当であると主張している。

これに対して、実施機関は、平成20年3月6日付文書を保有していない理由について、次のとおり説明しているので以下検討する。

ア 平成20年3月6日付文書の検索について

異議申立人は、「平成20年3月6日に行われた問い合わせに関する文書が含まれていない」と異議申立書で主張していることから、実施機関において、改めて、労働委員会関係の業務担当課である商工労働部雇用推進室労政課の書庫を検索したが、該当する日付の文書は確認できなかったことから保存していない。

イ 平成20年3月7日付記録の作成及び保存の経緯ついて

実施機関から説明を聴取した結果により、概ね次のとおりであることが認められる。

平成20年3月7日付記録は、労働委員会関係の業務を行っている担当者が、職場において個人用に貸与されているパソコンのハードディスクに電磁的記録として保存していたものである。

担当者は、労働委員会の委員報酬の取扱いについて、厚生労働省の見解を確認するため電話による照会を行った。この照会は、大阪府の見解との相違が無いかどうかを確認することを目的としており、上司等の指示ではなく、担当者の判断で照会を行っている。さらに担当者は、厚生労働省の見解は大阪府と一致したため、上司等への報告は必要無いと判断して報告を行っておらず、作成した記録についても、自身のパソコンに保存しており、室・課等の共有フォルダへは保存せず、供覧も行っていない。

異議申立人が本件請求を行った際には、担当者は平成20年3月7日付記録を作成したことを失念していたが、その後、異議申立人が、「平成20年3月6日に行われた問い合わせに関する文書が含まれていない」と異議申立書で主張していることから、実施機関において改めて検索を行った際に、担当者は自身のパソコンに平成20年3月7日付記録を保存していたことを思い出した。

ウ 平成20年3月7日付記録について

審査会において、平成20年3月7日付記録を見分したところ、「厚生労働省の見解」と題する記録であり、労働委員会の委員報酬に関して、厚生労働省の見解が記録されている。厚生労働省からの回答日時は平成20年3月7日午後2時である旨記録されているが、実施機関が照会を行った日時は記録されていない。

実施機関によると、照会を行った日については、記録が残っておらず担当者も記憶していないため不明であるとのことである。

エ 平成20年3月6日付文書と平成20年3月7日付記録の同一性について

実施機関は、文書特定及び検索のため、異議申立人に対して平成20年3月6日付文書に関する情報の提供を求めたが、異議申立人から情報を得られなかったことから、異議申立人の求める平成20年3月6日付文書と平成20年3月7日付記録が同一か否かは不明である。

以上のことを検討すると、異議申立人が公開を求める平成20年3月6日付文書と平成20年3月7日付記録が同一か否かは判断できないが、(3)で述べた労働委員会委員選任に関する各種照会の記録化の実情から、平成20年3月7日付記録の作成及び保存の経緯に関する実施機関の説明には、特段不自然、不合理な点は認められない。

さらに、(2)で述べた行政文書公開請求の対象となる行政文書の定義から判断すると、平成20年3月7日付記録は「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているもの」とは認められず、行政文書には該当しないので、平成20年3月6日付文書は実施機関において現に保存しておらず、保有していないと認められる。

以上(1)~(5)で述べたところにより、本件決定における実施機関の文書特定は妥当であると認められる。

4 結論

以上のとおりであるから、本件異議申立てには理由がなく、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

主に調査審議に関与した委員

鈴木秀美、岩本洋子、大和正史、野呂充

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