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更新日:2026年8月26日

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夢洲カジノを止める大阪府民の会 要望書

要望書受理日

令和8年3月25日

団体名 夢洲カジノを止める大阪府民の会
取りまとめ担当課 IR推進局企画課
表題 IRについての府民に向けての宣伝施策についての質問と要請書

 

要望書

2026年3月25日

大阪府知事 吉村洋文様

夢洲カジノを止める大阪府民の会
事務局長

IRについての府民に向けての宣伝施策についての質問と要請書

 今年(2026年)2月以降、大阪メトロの駅等に大阪IRの宣伝ポスターが貼られ、デジタル広告も掲示されています。また、「大阪の成長に向けて始動 統合型リゾートOSAKA IR」の標題で新聞に折り込みチラシが入れられました。また、これより以前から「大阪IR」の特設サイトが開設されています。このようなIRカジノの宣伝について質問と要請をおこないます。
・なお、冒頭に2月上旬のIR折り込み広告「大阪の成長へ向けて始動OSAKA IR」への批判を記していますので、お読みになった上で質問と要請に答えてください。

IR折り込み広告「大阪の成長へ向けての始動―OSAKA IR」への批判

1.IRカジノは大阪経済の成長や暮らしの充実につながっているか?
 大阪IRは、カジノ会社が運営する収益・入場者ともに8割をカジノに依存する計画の民間施設であるのに、それを大阪府と大阪市が税金を使って宣伝することはあってはならない。チラシでは、大阪IRを「世界最高水準の成長型IR」と宣伝するとともに、「6 カジノ施設 適切な国の監視及び管理の下で公正・廉潔なカジノ事業を運営」として、カジノは、IRのほんの一部で、カジノの負の影響は最小化できると嘘の宣伝をしている。
 カジノの収益見込額(大阪府・市合計)毎年約1060億円の内訳は、入場料約320億円、納付金約740億円であり、入場料は日本人だけが一人6000円で、そのうち大阪府・市に3000円が納入されることから、日本人のカジノ入場者の計画数は年間のべ約1070万人とわかる。日本人のカジノ入場者が年間のべ約1070万人と計画されていることを公表すべきであるが、なぜ公表しないのか。
 大阪府・市への納付金年間約740億である。カジノの粗利益の15%が大阪府・市への納付金と定められていることから、カジノの粗利益は年間約4900億円と分かる。大阪府・市のIR推進局は、カジノの収益約4200億円との差約700億円が販売促進費(=カジノのための餌代)と認めているが、この巨額の販売促進費について、何らかの規制が必要である。
 またカジノ事業者に対し、国庫納付金(カジノ行為粗利益GGRの15%)、認定都道府県等納付金(GGRの15%)の納付が義務付けられており(IR整備法192条、193条)、この納付金が公益性の財源と考えられている。
 しかしこのGGRの30%というのは、妥当な水準なのだろうか?諸外国のカジノの納付金のGGRに占める負担率を概観し日本と比較してみる。米国ネバダ州/20.4%、シンガポール/30.1%、マカオ/40.3%、オーストラリアビクトリア州/57.2%となっている(IR推進会議取りまとめ 2017)。米国ネバダ州のみが20.4%と日本より負担率が低くなっているが、他の国・地域の負担率は日本より高く、オーストラリアビクトリア州では60%近い。「公益」を謳うなら「私益」をはるかに上回る負担率であるはずである。GGRの70%を「私益」とするものは「公益性」を僭称することはできないはずである。

2.ギャンブル依存症対策
射幸性の程度の抑制はできているのか?
 IR整備法第二条(定義)7項において「カジノ行為」は「カジノ事業者と顧客との間又は顧客相互間で、同一の施設において、その場所に設置された機器又は用具を用いて、偶然の事情により金銭の得喪を争う行為」と定義されている。偶然の利益を追い求める射幸心の拡張を防ぎ、ひいては依存症防止のための規制は重要であるが、そのタテマエと実態は乖離している。
(1)カジノ施設の規模
 IR整備法41条1項7号では、「専らカジノ行為の用に供される床面積の合計がIR観光施設の床面積の合計の3%を超えない」とされた。当初は上限の具体的数値(15,000平方メートル)が上がっていたが、いつの間にか削除された。このためIR観光施設全体の床面積を大きくすればカジノ施設の床面積も大きくすることが出来る。
(2)広告の規制
 IR整備法106条1項においては、虚偽又は誇大広告に対する規制が定められている。またIR区域外の地域での広告物による広告も禁止されている(同条2項)。しかしテレビ、インターネットにおける広告については現時点では規制が無い。またIR区域内であれば看板、貼紙、ビラ配布等によるカジノの広告を行うことが出来る(山崎 2021:14)。大阪府市は家族連れでのIR入場を奨励しているので、IRに入場した子ども達が、カジノの広告を目にすることになる。
(3)入場等制限
 *20歳未満の者、暴力団関係者、入場料を納付しない者は、カジノ施設に入場することが出来ない(IR整備法69条)。しかし暴力団員、あるいは暴力団員でなくなった日から起算して5年以内の者を実際にどのようにして認識し排除するのか。
 *入場料による制限
 日本人等の入場者に対しては、安易な入場の抑止を図りつつ「過剰な負担とならない」金額として、1回6,000円(24時間単位)を課することにしている(IR整備法176条、177条)。しかし6,000円といえば、2、3日アルバイトをすれば稼げる金額である。安易な入場抑制に機能するとは考えられない。ちなみにシンガポールでは入場課徴金は150シンガポールドル(3月13日現在の為替レートで約18,668円)である。
 *入場回数制限
 日本人等の入場回数を連続する7日間で3回、連続する28日間で10日間に制限することにしている(IR整備法69条4号、5号および173条)。しかし1回の入場は24時間単位であり、例えば日曜日の午後2時に入場すれば、月曜日の午後2時まで滞在可能である。法の文言は7日で3回であるが実質は7日のうち6日は滞在可能であり、1週間のほとんどをカジノで過ごすことが出来る。同様のことは28日で10日間についても言えることになり、28日のうち20日間が滞在可能となる。これではギャンブル依存症状態と言っても過言ではない。
 *マイナンバーカードによる本人確認
 日本人等に対してカジノへの入退場時にマイナンバーカードを利用した本人確認を行うこととしている(IR整備法70条)。後述するが、カジノ事業者は、国内に住居を有しない外国人、またはカジノ管理委員会で定める金額以上の金銭を当該カジノ事業者の管理する口座に預け入れることが出来る者に対して資金を貸し付けることが出来る。マイナンバーカードは金融機関に紐づけられているので、本人が承認すればカジノ事業者は本人の金融資産を確認でき、その範囲内委で資金の貸し付け枠を設定することもできる。本人確認のために使用されるマイナンバーカードがギャンブル依存症への隠された誘因となる。

予防啓発と「大阪依存症センター」の実情
 *大阪府立高校におけるギャンブル等依存症予防啓発授業は、文科相の学習指導要領に基づき、保健体育の授業の中で「精神疾患」という大項目の中の中項目「依存症」そのまた小項目として「ギャンブル依存」が表面的に扱われているのに過ぎない。
 *大阪府市は依存症対策の「トップランナー」を目指すと宣言し、「相談・医療・回復のワンストップ支援を享受できる機能を整備」(第2期大阪府ギャンブル等依存症対策推進計画)した「大阪依存症対策センター(仮称)」を目玉商品としてきた。しかしここにきて計画の遅れが目立っている。人員規模も決まっておらず、場所も床面積も未定。開設の時期も「IR開業までに」と大雑把である。
 それよりも、「府によると、現時点ではセンターに治療や入院機能は持たせない見込みで、既存の医療機関との連携が鍵になる」(朝日新聞記事)ということである。充実したワンストップ機能を持つセンターができるから、カジノを開設しても大丈夫!」と宣伝していたのではなかったのか?
 ギャンブル依存症治療の現状について「医療現場では、ギャンブル障害の診療を担う医療機関は限られており、必要な人に医療が提供できていない」(松下 2018)と述べられている。そのような中、「大阪依存症センター」は実現可能なのか?

3.治安・地域風俗環境対策
特定金融業務

 カジノ事業者は、特定金融業務として、特定資金移動業務、特定資金受け入れ業務、特定資金貸付業務、両替業務を行う。
 *特定資金移動業務とは、銀行等の金融機関を介し、カジノ事業者が管理する当該顧客の口座と当該顧客が指定する預貯金口座との間で当該顧客の金銭の移動に係る為替取引を行う業務として定義される(IR整備法第2条第8項)。具体的に言えば、現金を持ち運ぶ手間やリスクの軽減のため、顧客の預貯金口座から事前に賭け金をカジノ事業者が管理する顧客の口座に送金、ギャンブルでの勝金はこの口座から顧客の預貯金口座に送金される。特定金融業務には、銀行法が適用されないので口座を調査することが出来ず、マネー・ロンダリングに悪用される恐れがある。
 *特定資金受け入れ業務
 いかなる名義を以てするかを問わず、顧客から手数料を受領し、また顧客に利息を支払ってはならない(IR整備法84条1項)。
 *特定資金貸付業務
 カジノ事業者は、(1)国内に住居を有しない外国人、(2)カジノ管理委員会規則で定める金額以上の金銭を当該カジノ事業者が管理する口座に預け入れているものに限定して資金を貸し付けることが出来る(IR整備法85条1項)。従って日本人等であっても一定金額以上を事業者が管理する口座に預託していれば、カジノ資金の貸し付けを受けることが出来る。なおカジノ事業者は特定資金貸付契約を締結する時は、顧客の返済能力に関する事項を調査し、その結果に基いて貸付金額の限度額を顧客ごとに定めねばならない(IR整備法86条1項)。このやり方では、過剰貸し付け、ギャンブル依存症の助長が懸念される。改正貸金業法(2006)で導入された「総量規制」(年収の3分の1を超える貸付は禁止)は、カジノ事業者には適用されないので過剰貸し付への歯止めが無い。
 *両替業務
 外国からの顧客に対して、外貨と日本円の両替を行うが、外貨が犯罪によって得られたものである場合、マネー・ロンダリングに悪用される恐れがある。

問題ギャンブラーとカジノ関連犯罪の社会的費用
 カジノ関連犯罪等の社会的コストについてはKindt(1994)は、米国イリノイ州に関して「合法化された大規模なギャンブル活動の増加は、州の刑事司法制度のコストに、40から50%の増加をもたらす可能性がある」と述べた。またPolitzer, MorrowとLeavey(1981)の分析では、問題ギャンブラーが社会に課す年間コスト(治療費、未返済債務、生産性の損失、等に加え法執行、司法、収監コストが含まれる)は61,000ドル(現在の為替レートで9,516,000円)で、それほど深刻でない問題ギャンブラーの場合は26,000ドル(4,056,000円)であるとした。
 Thompspn & Quinn(2000)は、米国サウスカロライナ州の問題ギャンブラーを対象とした研究において、問題ギャンブラー一人当たりの年間社会的コストは6,300ドルであり、これに全米の問題ギャンブラーの推定人数を掛け合わせると、年間190億ドルの社会的コストとなり、この数値は政府が全米のギャンブル産業から徴収する年税額を上回る数値となる、と指摘している。
 問題ギャンブラーは後半期になると、ギャンブルでの負けとそれに伴う家庭や職場でのストレスによる圧倒的な苦悩に直面する。そして判断力に影響が出るほどに動揺する。問題ギャンブラーが犯罪に手を染めるかどうかは、個人の価値観、信念、正当化、機会、逮捕される可能性、利用可能な選択肢の喪失、あるいは自尊心や身体等を傷つけられる脅し等、の要因に左右されるとしている(Lesiuer 2002)。

質問と要請

質問

  1. この宣伝施策の全体像についてお尋ねします。
    • (1)この施策の名称は何で、担当している部署はどこですか。
    • (2)民間委託のようですが、委託先は何という業者ですか。
    • (3)委託費用の総額と、(1)ポスター費用(2)デジタル掲示板(3)新聞折込(4)WEB特設サイト(4)それ以外の委託項目それぞれの2024年度の執行額、2025年度の執行予定額と2026年度の予算案の額をお示しください。
  2. 2016年12月、松井一郎知事(当時)は「IRに税金は一切使わない」と公言しました。大阪府、大阪市はこの姿勢を現在も堅持していますか。
  3. ポスター、デジタル掲示の目的は何ですか。
  4. 折込み広告の目的は何ですか。
  5. WEB特別サイト開設の目的は何ですか。
  6. ポスター、デジタル掲示板、折り込み広告、特設サイトはMGM大阪(株)という民間事業者の宣伝に当たります。また、「IRに税金は使わない」発言とも矛盾します。税金を使うべきではありません。見解を求めます。
  7. ポスター、折り込みに使われているイラストには最上階にカジノがある高層のホテルが描かれています。現在もこのような高層ビルを建てる計画は維持されていますか。変更になっていたらこのイラストを使うべきではありません。見解を求めます。
  8. ポスター等の華やかなイラストなどがカジノへの関心を高め、射幸心をあおり、依存症患者を増やす結果になると思いませんか。理由も示してください。
  9. 折込み広告の内容について
    • (1)大阪IRカジノは単なる経済成長と区別される「公益性」(府・市民の生活に充実に役立つ)を持っていますか?持っているとお考えなら、府・市民にとってどのような公益性があるのか説明してください。
    • (2)IR整備法によるカジノ規制について、当会の批判を踏まえた上で以下(一)から(三)の対策を説明してください。
      (一)カジノ施設の規模 (二)広告の規制 (三)入場等制限(未成年・暴力団関係者、入場料、入場回数、マイナンバーカードによる本人確認)
    • (3)第2期大阪府ギャンブル依存症対策推進計画は令和7年度までです。令和8年度以降の計画について、特に予防啓発授業と「大阪依存症センター」に焦点を絞って説明してください。
    • (4)広告裏面の「治安・地域風俗環境対策」についての質問です。IRカジノによって高い確率で発生が予測される以下の事態への対策について説明してください。
      (一)マネーロンダリング対策について (二)カジノ関連犯罪の発生についての予測、およびそれが大阪府に与える社会的コストについての予測に関して、外国のカジノ等を参考にしながら詳細に説明してください。また、その対策についても詳細に説明してください。
    • (5)IR全体の年間入場者数はのべ約2千万人とされていますが、カジノに限ると入場者数はのべ何人ですか。その内、外国人と日本人の内訳はそれぞれ何人ですか。この人数(当会の試算では日本人の入場者数はのべ約1,070万人)をなぜ公表しないのですか。これは、大阪府・市が、府民、市民の知る権利より、カジノ事業者の利益を優先していると考えますが、見解を求めます。
    • (6)カジノ粗利益は約4,900億円です。IR推進局は、この内約700億円が販売促進費(入場者を増やすための費用)だと認めています。この巨額の販売促進費について大阪府・市として何の規制もしないのですか。
    • (7)日本人のカジノ入場者のべ人数は約1,070万人(当会試算)ですが、実人数は何人であると想定しますか。この内、ギャンブル依存症になる来場頻度(年間何回以上)を想定しているのですか。想定しているなら、そのラインを示してください。想定していない場合は理由をお示しください。
    • (8)折込み広告の表面の右側「大阪IRを構成する施設」の記載に「展示ホールの総面積2万平方メートル」とあります。この規模は東京ビッグサイトの5分の1、世界水準の20分の1に過ぎません。一方広告上部には「世界最高水準のIR実現をめざし…」との表記があります。現計画の展示ホールは最高水準でないことは明らかであり誇大広告だと考えますが、見解を求めます。実際に最高水準にする計画があれば示してください。
    • (9)広告裏面に「依存症対策 世界先進事例に加え、大阪独自の対策をミックスした総合的な取り組みを実施します」とあります。
      (一)具体的な国名や施設名を明示すべきです。先進事例を具体的に示してください。
      (二)依存症対策で効果をあげているシンガポールなどが念頭にあると思われますが、同国の規制は自国民の入場者を20から30%に制限し、入場税は18,668円(大阪の3倍)となっているなど大阪のカジノに比べ厳しい規制があります。大阪はこれに比べてあまりにも緩い規制です。見解を求めます。
      (三)テーブルゲームより依存症になりやすいとされるスロットマシーン等が6,400台と他国に比べて突出して多くなっています。依存症になる危険性が高くなると考えます。見解を求めます。
      (四)この広告の文言だと読者が依存症対策は万全で、カジノに行っても依存症にならないと捉え、依存症患者を増やすことにつながりかねません。見解を求めます。
    • (10)IRの収益予想はカジノからが80%としています。世界各国のカジノの収益が低迷する中、「世界最高水準の成長型IR」を達成する具体策が広告では分かりません。具体的に説明を求めます。

要請

  1. 折り込み広告の内容はリスクを小さく見せて、メリットを過度に強調しています。当会の批判や質問、要請内容を真摯に受け止め、ホームページで修正版を掲示してください。
  2. ポスター、折り込み広告はMGM大阪(株)という民間企業の宣伝であり、税金を使ってやるべきではありません。直ちにポスターやデジタル広告を撤去してください。
  3. IRカジノ宣伝施策は射幸心をいたずらにあおり、ギャンブル依存症患者を増やすことになりかねません。病者を増やす行政施策は許されません。今後、IRカジノの宣伝を一切しないでください。

この質問と要請書への文書での回答を4月10日までに送付してください。

 

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