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平成25年8月委員会会議会議録
大阪府教育委員会会議会議録
1 会議開催の日時
平成25年8月30日(金曜日)午前9時00分開会
午前12時09分閉会
2 会議の場所
大阪府公館
3 会議に出席した者
- 委員長 隂山 英男
- 委員長職務代理者 小河 勝
- 委員 中尾 直史
- 委員 立川 さおり
- 委員 木村 知明
- 教育長 中原 徹
- 教育監 津田 仁
- 教育次長 藤井 睦子
- 教育総務企画課長 見浪 陽一
- 教育振興室長 和田 良彦
- 高等学校課長 丸岡 俊之
- 支援教育課長 水守 勝裕
- 市町村教育室長 吉美 学
- 教職員室長 山本 讓
- 教職員人事課長 中野 伸一
4 会議に付した案件等
- 第1号議案 平成26年度使用府立学校教科用図書の採択について
- 第2号議案 平成24年度教育委員会の事務の管理及び執行状況に関する点検・評価の報告について
- 第3号議案 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
- 報告事項1 「大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画(案)」について
- 報告事項2 平成25年4月20日以降における教職員の懲戒処分の状況について
5 議事等の要旨
(1)会議録署名委員の指定
木村委員を指定した。
(2)前回の会議録について
全員異議なく承認した。
(3)議案の審議等
第1号議案 平成26年度使用府立学校教科用図書の採択について
議案の趣旨説明(高等学校課長)
平成26年度使用府立学校教科用図書採択について、採択手続及び今後の取り扱い等について審議する件である。
委員の質問及び意見
- (中原教育長)採択権者が教育委員会でないとなると、この場で話し合う必要性はなくなる。教科書については、学校が全てという議論にもなり得るということ。そうすると、検討事項2,3は府教委としては関係なくなる。
- (隂山委員長)まずは、採択権者を誰にするのかということについてご審議をお願いします。
- (小河委員長職務代理者)5月17日の教育委員会会議において、この点については時間をかけて議論した。
- (中原教育長)その結果教育委員会が採択することに決定した。選定権と採択権は別ということを明確にしていただきたい。選定権は今でも学校にある。検討事項1の3の、例えば(d)(e)となると学校の選定権を否定することになるが、例えば、(a)というのは前回決定した方法と同じであり、選定権は学校に与えて、最終的な採択権は教育委員会にあるということ。選定権と採択権を混同しないように議論していただきたい。
- (藤井教育次長)採択について5月17日に提示させていただいた資料が1-6項にあります。
- (小河委員長職務代理者)5月17日にこれまで複雑であったこの図を新しい形に修正するにあたって、教育長に一任するということで決まったが、そのこととは異なるのか。
- (中原教育長)その大前提として、そもそも5月17日に議案を出す前に、今年議論となるような記載のある教科書はないのかと事務局に対して確認した時に、事務局からは大丈夫という回答を得ていた。そのため、中身の問題というよりも、選定理由書が著しくおかしい場合やカリキュラムに符合していないところをチェックして確認するという趣旨でいた。5月17日の時点では、今回の実教出版のように物議を醸すような記載を含む中身を確認している事実がなかったことが判明したので、それを踏まえてもう一度、このやり方で良いのかどうかをお諮りいただくために議題として提出したもの。
- (小河委員長職務代理者)常識的には、手引書まで作って準備している中で、現物を一切見ていないということは考えにくいと思うが。
- (中原教育長)現物を見るときに、カバー範囲やページ数といった中身についてはまとめているが、1-48項にある教科書全冊調査結果総括表の「5調査の観点」にあるような観点では見ていなかったということ。
- (小河委員長職務代理者)事務局に直接聞いたが、東京のような500ページにも及ぶ資料集を編纂するという形でのチェックはしていないが、手引書を作るための準備としては見てきたとの答えであった。
- (中原教育長)見ている観点と趣旨が異なる。厳に問題となっている実教出版の表記について、大阪府が自分の力では見つけられなかった。実教出版の教科書に目は通したかもしれないが、編集内容を簡略化するための手引きを作るための視点であって、議論が起こるかどうかの観点では見ていない。
- (小河委員長職務代理者)報道によると、実教出版の表記は当初の原案はもっと緩やかであったが、文科省から分かりにくいという指摘があり、「強制」という言葉が書き加えられた。現実に校長の指示があり、それを拒否すると処分が下されるということで、「強制」という言葉は妥当だという論議になったと聞いている。文科省が間違っているとして検定書を我々がひっくり返すこととなると、我々が独自にすべての教科書をチェックするような組織を持たなければならないこととなってしまう。
- (中原教育長)地教行法では、文科省の検定を前提に、採択権が都道府県や市町村に与えられている。文科省に問い合わせると、その権限を学校現場に委譲することは望ましくないとの答えであった。文科省の検定済教科書であれば、なんでも認めるという採択権の放棄、学校現場への委譲をするのかどうかが論点である。
- (小河委員長職務代理者)実態が重要となる。各学校が選定をして我々が認めるという形でこれまできている。全国でもほとんどの所がそのようにしている。
- (中原教育長)その点は我々も調べていない。採択権を放棄するということと、採択権を持ちながら機能していないというのは別問題となる。私の意見は責任と権限の明確化が大きなテーマとなる。その観点からすると、実際に見ないのであれば学校に権限を委譲すると明確に言わないと学校現場で校長が困ることとなる。校長に権限があるなら、結果についてとやかく言わないでほしいが、教育委員会に権限があるのならば、選ぶという所まではベストを尽くすので、後は教育委員会の方で良いのか悪いのかを明確にしてほしいと言われている。そこを曖昧にして、採択権は手放したくないが、実態は何もせずに学校に任せるというのは一教育委員としては反対である。
- (隂山委員長)5月17日の会議録では、「どのような教科書を採用し、教科とどのように連携を取るのかというのは、全て学校長に任せる形を作った。教育委員会が行う採択とは、教科書の中身の話ではなく、ルールが守られているかをチェックする最小限の仕事とした。学校長が責任を持って各学校の教科の先生と連携してカリキュラムや教科書を作ればよいのであり、具体的な手続きを事務局が決めてしまうと、現場の校長や先生の思考を阻害してしまうのではないかということで、そこは裁量や権限で任せるとした。」とあるが、これを変えるという提案ですか。
- (中原教育長)その前提として、中身をチェックした上で、この教科書を選べば議論が起こり、色々な意見が出るというものはないということであった。それを毎年調べてから、この教科書の中から選んでくださいとしていると理解していた。前提が変わっている。中身を見ないでそのまま投げているのではなく、中身を見た上で無かったと言われたためこれを出したということ。
- (隂山委員長)いずれにしても変えるということですね。あの場でも言ったが、採択については、色々なところで色々な問題が起きているため、時には誤解を生む危険性があり、フラットなニュートラルなところでお願いしますという一応の方向性を示した。教科書の内容というものは、継続した現場とのキャッチボールの中で議論されて今日をむかえていると理解している。
- (中原教育長)補足すると、中身という点で2種類ある。教科書の記載の中で、99.9%は学校の先生にお任せし尊重したいが、今回のように、国民の中で賛否両論ある議論が起こっている中では、東京都や神奈川県のように、最初にその論点を見つけてその論点があるから選んではいけないと指導するのか、それを含めて教育委員会の方で責任を取りますとして判断するのかのという中で、下調べさえしていないという点が一つ。もう一つの中身というのは、三角関数がどの程度含まれているのか、聖徳太子の記載がどれ程あるのかということは学校の授業の戦略なので、そこに立ち入るのはやめようというもの。後者は当然です。前者は下調べをした上で大丈夫ということで、今回は中身については一切触れる必要性はないとしたのであるが、そういうことを毎年しっかりやるのであれば、検討事項1の3の(a)ということが成立すると思う。まず、採択権という責任主体を明確にしなければ議論にならないのではないか。
- (小河委員長職務代理者)教科書の問題点については7月に入った時点で分かっていたのではないか。各校長に対して「気を付けて下さい」とした7月9日のメールについて我々は何も話を聞いていなかったが少なくとも論議してほしかった。
- (中原教育長)気を付けてくださいと言うだけではなく、選定理由書を出してくださいとしている。その選定理由書を見た上で採決するということを5月17日に決めた。教育長に信任するということで同意されたので、その後で議論してほしかったとなると手続きの無視となる。
- (小河委員長職務代理者)メールそのものの指示内容を我々教育委員は全く知らずに後で知らされた。
- (中原教育長)それは一任されている
- (隂山委員長)議事録に従ってもう一度確認すると、「教育委員会が行う採択とは、教科書の中身の話ではなく、ルールが守られているかをチェックする最小限の仕事とした。」という所は反故にするということでよいか。
- (中原教育長)今の時点では、いったんゼロベースで考え直しましょうという意味。
- (隂山委員長)一度ゼロに戻すということで良いのか。法的に見れば教育委員が最終的に採択することについては間違いない。プロセスと選定と採択というのは別と言いつつ全く別でもなく連動しているものであり、学校が選んだものを使わせないという責任はここにかかってくる。
- (中原教育長)検討事項1の3の(a)が私の理解では本当のあるべき姿だと思っていたが、あらかじめ調査をしていなかった。調査もせずに選定だけ任せて、中身をそのような観点では見ていないにも関わらず採択するということは、私の理解では5月17日の決議の対象となる事項ではなかったので疑義を申し上げている。
- (小河委員長職務代理者)調査しているかどうかの認識については、これまで教科書を見て手引書を作ってきたプロセスを見ているから、我々は当然見ているということを前提にしているがそれは嘘だったのか。
- (丸岡高等学校課長)教科書選定の手引書作成にあたっては、教科書を概括的であるか見ている。また、文科省の意見書等も踏まえて作成している。手引きには各教科の観点が示しており、その観点を作るにあたっては教科書を見ているが、東京都のようにつぶさに網羅的に項目別にまとめたところまでには至っていない。
- (中原教育長)教科書全冊調査結果総括表「5調査の観点」の1から7の観点からみてどうなのでしょうか。
- (丸岡高等学校課長)その観点に基づいて見たとは言えない。手引きを作るにあたって教科書を概括的に見ている。
- (隂山委員長)とりあえず、これまでの予備審査というものが不十分であったため、この部分を一度ゼロベースに戻すということだが、小河委員は「それはそれで適切であった」と言っており、それを不適切であったと私たちが認定しなければならないということがある。
- (中原教育長)実教出版の教科書をどう扱うかということもこれから議論すべき話だが、そもそも東京で見つけているにも関わらず、大阪府では見つける機能が無かったということがいいのかどうか。
- (隂山委員長)教育委員会の中で話し合っているかどうかは別問題として、この部分は危ないかもというメールを各学校に送っている。それは東京都の実態に鑑みて、事務局の方から参考にしてくださいということでメールを送っているということ。
- (中原教育長)マスメディアを通してあれだけ大きな議論となっており、府民の関心もあり賛否両論がある。そこを何も見なかったということで通り過ぎるわけにもいかないため、大阪府としてどのように考えているのかを、5月17日の決議に基づき教育長に一任されているので、その権限の中でやってきた。
- (隂山委員長)とりあえず、事務局としてはそのような情報により現場とのキャッチボールをし、その上で数校から実教出版の選定理由書が出てきている。
- (立川委員)今現在使っている実教出版の教科書については既に採択している。この教科書にこのように問題があるとの認識はいつ頃からあったのか。
- (中原教育長)私の所にその情報が入ってきたのは5月17日の後である。
- (丸岡高等学校課長)事務局としては課題としての認識はなかった。
- (小河委員長職務代理者)7月9日のメールでは資料を添えて指導していけば云々ということが含まれており、従来通りの採択の流れで了解できると理解していたが、その後8月8日に維新の会から勉強会に出てくれと言うことで教育長は出席されている。
- (中原教育長)それは、勉強会に備えて、実教出版の問題はなぜ東京都のニュースが出るまで分からなかったのかと聞くと「誰も見ていない」となった。
- (小河委員長職務代理者)見ていなかったというと、これまで事務局が全くその仕事をしていなかったイメージが広がるが、従来通り教科書を見て手引書を作っている。維新の会に対して事務局内で膿が出てきた、教科書を全く読んでいなかったと言っているが、そうなると、誰でも何なんだとなってしまう。
- (中原教育長)物議を醸すような問題がある教科書はないですねと聞いたところ「ないです」との回答があった。実は、8月の初めから今日までに、全ての教科書を先ほどの観点で事務局はチェックし終わっている。来年以降は改訂版や新しい教科書だけを見ていけば良い。それだけの作業を今迄やってこなかったにも関わらず、5月17日以前私には問題のある教科書はないと言っていた。悪意はなかったとしても、私としてははしごを外された思い。
- (小河委員長職務代理者)虚偽の報告に基づく決定であり無効となるためプロセスを見直すと議決をやり直すと維新の会に言ってしまっている。しかも学校名と我々が読んでいない選定理由書まで渡している。本来なら我々が討議して検討すべき課題である。こんなことを外に向けて、言われたから資料を出すなんてことはありえないですよ。
- (中原教育長)どうしてですか。情報公開請求の対象でもある。
- (小河委員長職務代理者)いや、まだあの段階では我々が検討する資料でしょう。まだ我々も読んでない。教育長一人の判断で許されますか。
- (中原教育長)許されます。その手続きは任されているわけですから。
- (小河委員長職務代理者)いや、それは、どう思われますか。
- (隂山委員長)今回の一件は東京で問題となり、今大阪で問題となっている。神奈川や埼玉でも議論になっている。その他の所では無風となっているところもある。私が懸念しているのは、このプロセスの課程の中で、ある教科書を不採択とした時の責任というのは、単に教育的責任だけでは負えないぐらい政治問題化しており、非常に難しいものであるということ。東京都の場合にはそのようなことも考えた上で、かなり周到な計画、判断がなされていると思う。
- (中原教育長)検討事項1は誰が責任を持つかというものであり、すぐに不採択とはならない。実教出版だけでなく、今回、調査の観点に基づき全冊調べると、一応教育委員が確認した方がよいだろうというものが実教出版以外に91冊あった。私の推測ではほとんど問題ないものだが、それさえも見ないとなると採択権を委譲しなければならないと思う。そこの責任が重いのは当然だと思っている。
- (隂山委員長)一応教科書検定を合格しているというところがある。記述でどうかという部分を指導の中でしていく方法はあるが、不採択ということで踏み込んでいくことはあまりにも荷が重く本当にできることなのか。
- (中原教育長)委員長がおっしゃっているのは検討事項2の3の部分。私は不採択に賛成だとは一言も言っていない。不採択権を持ちたくないというのなら学校に渡すべきだと言っている。不採択権を行使するのが本当に正しいことなのかということは教科書の中身を見たり色々な声を聴いて影響を考えて教育員会で決めていけば良い。
- (隂山委員長)法的に見れば、採択権は教育委員会にある。現段階で採択権者を誰にするのかということを議論する事自体がどうなのか。
- (中原教育長)だからこそ論点を分けた。もし検討事項1の1で採択権者が府教委となり、その次の2の所で調査すべきでないとなると、権限を持っていても調査しないこととなり、不採択の余地もなくなるため、今日の話しは2で終わりとなる。
- (隂山委員長)調査について東京都のようなものでなければいけないのかというと他府県ではそこまでしているところばかりでもない。
- (小河委員長職務代理者)実際にそこまでしているのは東京都と神奈川県だけではないのか。現実に我々に来ている情報は。他でしているとは聞いていない。
- (中原教育長)そこは調査していないのでわからない。
- (隂山委員長)事務局に聞くが、法的に採択権は教育委員会固有の義務ということでよいのか。
- (丸岡高等学校課長)資料に書いているとおり、教育委員会が採択権を持つのが通常である。学校が採択権を持つことは手続き上不可能ではないが、文科省の意向は資料に書かれている通り校長への採択権限の委任は望ましくないとしている。
- (隂山委員長)文科省からもご指導を頂いているのであるから、法理上採択権者は教育委員会であるということ。それでは、議論の進め方をどうしていくのか。
- (小河委員長職務代理者)今一番問題となるのは分けていっての論議ではなく、客観的に見てこの実教出版の話をどうするのかというひと塊の問題として論議しないと、現実問題として意味のない論議になってしまう。一段二段三段と進んでいって、委員長がおっしゃったように、もしペケにすると言うようなことには現実問題としてなりえないと私は思っている。
- (隂山委員長)小河委員の意向をうかがいつつも、責任を果たす上での条件・手続きとしては、ありとあらゆるところに対して適正な説明責任が果たせるものでなければならないということで進めさせていただく。一連の流れの中で色々な問題が出てきているが、それについて意見を出していただきたい。
- (中原教育長)検討事項1の1は教育委員会ということでよいか。
- (隂山委員長)決を採らないが法理上そうなっているということを私の立場で確認した。
- (中尾委員)教科書検定の仕組そのものを不十分ということで、大阪府としてその中身を精査するということになるが、懸念される表現はたくさんあると思う。しかし、懸念される表現があるから不採択となるとそれはおかしい。
- (中原教育長)懸念されるから直ちにということではなく、6人で熟議した上で、これは学校で使ってもらうこととなった時にその責任は6人で受けることとなる。
- (中尾委員)懸念されている表現はあるが、それは全部駄目とするのでなく、懸念される言葉足らずなところがあったとしても、それを補うような指導を子どもたちにしていくことが本来の趣旨ではないか。
- (中原教育長)補う必要もないレベル、学校で考えて補足すれば良いレベル、教育委員会で条件を付けて補足してもらうレベル、検定を通っていても使うのは駄目だろうというレベルという段階的な考え方があって、誰が責任を持って判断するのかという主体は教育委員の6人であるという明確な姿勢を取らないといけない。
- (小河委員長職務代理者)細かいプロセスや個々の問題もあるが、ある会派の声が上がり、それに対して教育委員会の基本的な決定プロセスというものがゼロに戻されたり組み直されるということ自体が納得いかない。先ほどの私からの質問に対する教育長の答えに納得がいかない。維新の会の勉強会で我々が見ていない資料まで渡されて、やり直すことを宣言し約束する、その後で我々に対してメールが送られてくるということはおかしい。先日、教育長は知事の前で、事務局は自分達と一緒にまず決めてお互いに納得し合って、そして外に向かって発言すべきだとおっしゃった。事務局の中の作業として。自分が知らないで報道されているのは許せないとおっしゃった。それと同じことになる。
- (中原教育長)違います。事務局と教育委員の役割は異なる。
- (小河委員長職務代理者)組織的には全く質の違うものであるが。
- (中原教育長)質が違うからこそ、権限と役割が異なるのであって、私はその権限の範囲でおこなっている。
- (小河委員長職務代理者)これは範囲ですか。
- (中原教育長)それをここで議論するのであれば結構であるが、これだけ別の議題がある中で、この議論をするのであれば行うが。
- (立川委員)7月19日メールでの報告を受けてこの問題を認識したが、第一報で感じたのは、最高裁判例などの補足を付ければ良いのではないかということ。色々議論を聞いていると、選定は生徒の実態に合わせて学校がすべきと考える。今回に関しては、子どもの立場からも補う資料というのがあっても良いのではないか。しかし、学校が全てを選択するというのではなく、もう一つチェック機能があっても良いと思う。
- (木村委員)子ども達のためになる授業となると、教育というものを広い意味でとらえてもらい、多少違和感ある言葉があったとしても子供たちとディベートして色々な意見を考えさせるのが教育の原点ではないかと思う。多少含みを持たせた部分で問題提起してくれているという広い心を持ちたい。一言一句を全て敏感にとらえてしまうと教科書という文献自体が窮屈のものとなってしまうので、もう少し広い意味でとらえる教育現場になってほしい。
- (中原教育長)基本的には木村委員と同じ意見。情報というのは隠せばよいというものではなく、賛否両論含めて互いに理解し合うということが必要であると思う。それがあまりにも駄目だというレベルなのか、ディベートを条件に認めるというものなのかの色分けを誰がするのかをまず決めたい。コメンテーター的に外から意見を言うだけでは、誰が責任を持つのかが宙ぶらりんになってしまう。最終的に誰が決めるのかということを決めないと次の判断に行けないのではないかということで検討事項1の1を挙げさせていただいた。個人的に三権分立と表現の自由を考える上ではとても素晴らしい教材だと考えている。条例を立法機関が作り合法的に成立した。それを行政機関が執行するということで職務命令が出されてそれに疑義がついたが、憲法違反ではないとなった。ただし、その処分の重さについては一考の余地があるとする判決が出た。そのため、今の職務命令は三権分立には乗っかっているが、一度その形ができてしまうと未来永劫変えられないのかとなると危険な国になってしまう。そのために表現の自由がある。大いに反対説を議論する機会が保証されなければならない。一度三権分立で固まってしまったものは二度と覆せないというものではないということを勉強するという視点でこの教科書を使うというのは十分理にかなっている。或いは、そのようなことさえも指導しなくて良いという軽い記述なんだという判断も一つの回答となる。また、不採択としてしまうことも一つの考え方である。そのような色々な選択肢をこの6人で喧々諤々話し合って、最後は我々が決めないと誰が仕分けしてくれるのかという問題意識が強くある。それをやりたくないというのであれば、権限を放棄しないと、誰が府民に説明するのかとなる。
- (隂山委員長)やりたくないということでなく、判断しなければならないことであるが、中々ハードルが高い点がある。一つは手続き上の基本的な条件。もう一つは本質的にこの教科書をどうとらえるのかという点。話がややこしくなってきたのは、元々政治的な意味合いが強い中で、ある会派からの申し入れもあった。個人的には他会派はどうなのかということも聞きたくなる。そのような状態の中で決するのに条件が整いにくいと思っている。内容よりも、手続き面でどう理解して行くのか。一つには、選択権と採択権というのがあり、採択というのは我々が決めるのであるが、実は選択という所は重要であって、どのように決めていくのは、校長を含めたマネジメントをしてきちんと決めてくださいとなる。そこのところで東京での情報を良い悪いは別にして出したが、何校かの校長が使いたいということで上げてきている。ここをどのように理解するか。
- (小河委員長職務代理者)現実としては学校で選び、それを我々が大所高所の立場において、資料を提供しながら補足して現実には進めてきており、実態としてもそれがふさわしい状況でないかと思う。そこを形式的にやり過ぎると、全体のバランスが壊れてしまう。検定そのものを修正していくような、我々が異論を言わなければならないような事態にまでなりかねない。実態に則してこの実教出版の教科書をどう処理するのかを見ていけば良いのではないか。
- (隂山委員長)前回も教育長が強調されているが、実態論としては学校現場が適正に選択しなければならないということ。採択も選択も全て教育委員会となると、学校現場の考え方や実勢を否定することにつながってしまう。
- (立川委員)5月の議論は、校長マネジメントをきかすためにシンプルにしようというものであったと思う。以前のやり方では、外部の意見の反映として学校協議会などがあったが、参考とするような意見を聞くこと自体は良いのではないか。
- (中原教育長)否定する趣旨ではなく、学校長のマネジメントでしていただければ良いということ。最後の選定の責任は学校長となる。
- (丸岡高等学校課長)新しい選定要領の一番下の遵守事項の中に学校協議会等外部の意見をとり入れることをのせている。
- (隂山委員長)校長マネジメントの範囲内で学校外の意見も入れていこうということが前回確認されている。
- (立川委員)昨年の時点でこの会議が行われていたら、課題のある教科書に対する議論だけで良かったが、昨年一度採択しており、二重に重たい判断となってしまう。
- (中原教育長)切り分けていかなければ実教出版以外の教科書を今後どうするのかということが置き去りになってしまう。順序はどちらでもよいが、形を決めておかなければ、今年から事務局が動けることがあるのかも含めて、来年から事務局がどう動いていくのかに関わってくる。採択権を持ち続けるのかどうかの決定権は我々にあるということは間違いないのでそこは本日決めたい。
- (中尾委員)本当に正しいかどうかは主観的な問題。教科書のこれだけのスペースの中では言葉足らずの事は出てくるもの。それをいかに補正・指導してくのかというステップが必要である。
- (隂山委員長)帰着点は、無条件での採択、条件付き採択、不採択の3つしかない。東京などは不採択としたのではなく、学校に対する選定の段階での指導の枠組みにより、結果的に選ぶところがなかったというのが実態。埼玉は条件付きの採択をしている。この問題については、全国的に不採択としているところはないという基礎的な条件を頭の中に置いていただいて、ご意見いただけたらと思う。率直に申し上げると私は不採択というのはあまりにもハードルが高いと考えている。いくつかの手続き上の不備があり、東京のように万全ではないという状況で、東京以上の不採択ということに持ち込むことは、下手をすると訴訟になるのではないかと個人的には思っている。仮に訴訟になった時には、法理上、問題となっている部分は強制の部分だけであるが、一文一か所を持って不採択とすることを前例としてやってしまうと、極端な言い方をすると、少し因縁を付ければ全て不採択にできることになってしまう危険性がある。実教出版が全国で連鎖反応的に不採択となり経営が成り立たなくなった場合には、大阪府教育委員会に対して訴訟を起こすことも考えられなくはない。なぜこのようなことを言うかというと、先ほど法理上と言ったが、法律に則り適正な判断を行うということが一番重要だと思う。その解釈が恣意的であったり、特定会派の申し入れによって判断を曲げたというような疑義が生じてくると、後々、教育委員会への信頼性も失せてくる。法規法令に則った常識的な判断という所で皆さんに考えていただきたい。
- (中原教育長)もちろんそのような様々な影響を考えることは大切であり、不採択が権利の濫用となれば裁判の余地があるかもしれないが、教育的内容で審査が難しいことから法的に問題があるとは思えない。我々が一番考えなければならないことは、教育的見地でこの教科書の扱いをどうするかということであり、子ども達が何を感じて10年後、20年後にその経験をどう生かしていくかということが大切である。そういう意味では、私の考えは中尾委員や木村委員に近い考え方である。情報を一切遮断しなければならないほど酷い不正確な記載であれば遮断すべきだと思うが、疑義が生じており一面的に偏っているというものであれば、修正する、議論していくという形で教えていけばよい。その高校生が議論の材料さえも貰えずに卒業していくのではなく、表現の自由という形で権利が保証されなければならない。そうした中、反対説がいつの日にか多数説に取って代わるかもしれないという余地はあり、また、議論を尽くして多数決で進めていくというのが民主主義であるということを考えさせるいい機会であると考えている。
- (隂山委員長)私は一行をもって全体を不採択とすることは荷が重いと考えている。東京がしたように学校に対する指導の中で考えなさいとする方がまだあり得ると思っている。
- (小河委員長職務代理者)5月17日の教育委員会で決めた基本精神をしっかり踏まえ、7月9日のメールで適切な指導をお願いしますと意向を伝えているわけでありその上で各校から希望が出てきていることから、それに必要な資料を添えるということで認めても良いと思う。
- (中原教育長)適切な指導をすればよいという中身のメールを送ったわけではない。一面的な記載だということを理解した上で、選定理由書を提出してくださいとして、現在、理由書が出てきているということ。
- (隂山委員長)結論を出さなければならない状況にあって、1つのたたき台としての私の案であるが、教育委員会並びに事務局が一体となって指導を行い、その上で、色々と疑義のある部分については、教育委員会の方でしっかりとした指導を行うことを条件として、学校現場の裁量の能力を高めて校長マネジメントを進めるという従来の大阪府の基本的な教育方針からして、条件付きで認めるということ。ただ、選定理由書について判断が甘い部分については、個別に各学校長と協議を行うこととする。校長マネジメントは重要な問題であるため、軽々に判断していただいては困るというようなことを申し添え、何らかの指導をして、基本的には学校の選定を認めるということでどうか。
- (中原教育長)我々の意図してきたことを的確にとらえているものもあれば、ウィキペディアを張り付けて出してきている選定理由書もある。そこは指導の濃淡がついてくると思う。一律の同じ指導ではなく、指導の中身についても教育委員会で協議するということであれば良いとは思う。
- (隂山委員長)私はそれでよいと思う。
- (中原教育長)今の話を総合すると、検討事項1の1については教育委員会となり、2については先ほども出てきた7つの観点から来年度以降は事前に見て用意しておくとし、3としては(a)の選択肢が採用されるということ。あまりにもひどいものが文科省の検定を経た場合は、不採択という余地が理論上はあり得る。
- (隂山委員長)不採択とする時には我々として相当な説明責任がある。事務局か教育委員会かは別問題として、学校と教育委員会との関係において十分な状況ではなかったということを反省して、教育長を中心として事務局の方で次回以降疑義が生じないように考えていただきたい。
- (中原教育長)最終責任を持つ教育委員会が採択権を持ちますということは、理論上は不採択ということがあり得ることで、不採択があり得るということに対する批判については恐れない勇気をトップが持たなければ、学校現場で教科書選定が永久にうまく回らない。不採択という可能性を含めた採択権は持っており、責任もって判断していくという決意はここでしなければならない。
- (隂山委員長)決意と言われても、法理上は採択権がある訳であるので、意欲や決意の問題でなく、しなければいけない業務である。それをするためにはそれ相応の手続きとそれに伴う判断とそれらを一体化した説明責任という基礎的な条件が整わないと難しい。なにより私たちが重視するのは学校現場での選択能力の向上であり、子ども達にとって素晴らしい教科書を提供するということを改めて考えてくださいということ。
- (中尾委員)(a)の中には積極的な指導が含まれているということで良いか。また、大きな問題であるが、社会では近代史が弱いので、近代史の部分についてしっかりと教えていくことが重要だと思っている。
- (中原教育長)大阪府の一つの方針として近現代史の思考を深めてこうという政策を進めていくことはあるが、教科書選定に限ると、近代史が多く書いているから選ぼうということにはならないと思っている。
- (中尾委員)府としてはそういうことをしっかりと進めていくべき。
- (立川委員)条件付きの採択ということで、何らかの補足資料を付けたりするということだが、条件付き採択した埼玉では、地理・歴史に関してはたまたま独自の資料集を作っており、今後、全ての学校で活用するということにしているらしいが、大阪も独自で作って活用していくことも視野にいれるのか。
- (隂山委員長)その件については別の場でお願いします。検定そのものがどうなのかという問題については国の方でも議論され、課題が多いということなので、教育委員会と事務局が一体となって進めていくという意思確認をお願いしたい。
- (中原教育長)あと2つ本日解決していただきたい件がある。調査するということが決まったが、その調査をしたところ教育委員のみなさんに見ていただいてご判断いただきたいものが91冊ある。それについては実教出版と同様に結論を出していただかないと、先ほど決めた手続きに乗らなくなる。
- (隂山委員長)それについては、事務局の方である程度仕分けをして、我々の何らかの議決が必要であるということであればそれで良い。
- (中原教育長)もう1点はこれまで使ってしまった実教出版の教科書について授業が終わってしまっている場合もあれば、まだの場合もあり、それに対する指導を同じようにするのかしないのかという論点がある。
- (隂山委員長)もう一度学校現場に指導を行うということでどうでしょうか。
- (中原教育長)それは在校生に対して同じような指導をするということでしょうか。
- (隂山委員長)それについは学校現場に対して、または、子ども達に対して指導を行っていくということ。個々の学校の状況もあることから一律にということは難しいと思うが、事務局に案を作ってもらうということで良いのではないか。
- (立川委員)条件付き採択ということだが、これを受けて選定を取り下げることはできるのか。
- (隂山委員長)校長を中心とした学校マネジメントとして決めていること。
- (中原教育長)こちらからは一度打診はしている。
- (藤井教育次長)今回の件については、学校側には情報をお伝えしているので取り下げるのであればこれまでにされているはず。
採決の結果
- 採択権者は大阪府教育委員会とし、大阪府教育委員会が対象となる教科書を予め調査研究した上で、学校の選定理由を確認して採択することを決定した。
- 課題があると認められる実教出版の教科書の採択については、課題がある部分について補完するための具体策を大阪府教育委員会がしっかりと指導し、それを基に学校長がマネジメントをするという条件のもとで、当該教科書を採択することを決定した。
第2号議案 平成24年度教育委員会の事務の管理及び執行状況に関する点検・評価の報告について
議案の趣旨説明(教育総務企画課長)
教育委員会の事務の管理及び執行の状況に関する点検・評価の報告について、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第27条第1項の規定により、平成25年9月定例府議会に提出することを決定する件である。
委員の質問及び意見
- (立川委員)このボリュームの資料を2日前に頂いた。事前にもう少し早くいただくことはできないか。
- (見浪教育総務企画課長)全国学力・学習状況調査の結果が8月27日に届き、それを受けて直ぐにお送りさせていただいている。これからは数字が確定していない段階でもご覧いただけるということであれば、1週間前にお送りさせていただく。
- (隂山委員長)個人的には全国学力・学習状況調査が落ちたということと、卒業式の問題というのは、大阪府の教育委員会が議会をはじめ府民のみなさんの信頼を勝ち得ていく重要なポイントであるが、当たり前のことが当たり前になされていくことが重要であり、言い訳的な言葉が出てきているうちは信頼を得られないだろうと思う。現実を厳しく見つめていくことが必要である。胸を張って出せるような調査書になっていないという点は我々一同反省しなければならない。
- (中原教育長)学力テストについては、各市町村ごとにデータを整理しており、後日問題提起をさせていただくので、委員の方にお知恵を頂きながら指導・助言・援助という中で、これまで以上に小中学校に対する解決案を示していきたい。
採決の結果
原案どおり決定した。
第3号議案 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
議案の趣旨説明(教育総務企画課長)
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた平成25年9月定例府議会提出に係る次の議案について、異議がない旨を回答したことを承認する件である。
事件議決案
平成25年度大阪府公立高等学校の入学者の選抜における合格者の決定の過誤に関する損害賠償の額の決定及び和解の件
委員の質問及び意見
- (隂山委員長)前にも申し上げたが、実際の生徒への賠償や精神的なケアについては保護者の方々に納得頂けているのか。
- (丸岡高等学校課長)保護者、ご本人に対しては個別に複数回面談をさせていただき、和解等の協議を進めさせていただきご理解いただいている。
- (中原教育長)財政的なことでの補足であるが、和解するにあたって損害賠償の範囲について顧問弁護士とも相談し整理した。慰謝料については、一つの考え方としては学校自体が変わってしまったということで差をつけるということも考えたが、心に負った傷の程度について差をつけにくいということで一律に取り扱うこととした。なお、持ち回り決議とした入学者選抜における採点方法の改善について参考資料として添付しているので、ここでの詳しい説明は省略させていただく。
採決の結果
原案どおり決定した。
報告事項1 「大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画(案)」について
報告の趣旨説明(高等学校課長)
現在策定中である平成26年度から平成30年度までの高等学校再編整備計画(案)について、委員会に中間報告する件である。
委員の質問及び意見
- (中原教育長)再編整備の考え方は例の条例とは無関係に生徒数が減るため再編していかなければならないというものであり、1-3項の※印で参考情報として条例部分は示しているが、学校の特色、地域特性、志願状況などを見ながら、統廃合で無くなる学校があったとしても、そこで培ってきたノウハウは新しいところで生かすという、建設的な再編整備を念頭に置いている。その中で特に力を入れていきたいのがエンパワメントスクールである。習熟度が高い層を引き上げていくことも大切であるが、習熟度が低い勉強の機会に恵まれず成果が出てない層を引き上げることで府や国の発展があるという考え方。現実としては、小学校3,4年生で算数の理解が止まっている子どもに対して、指導要領の縛りの中で数1を高校1年生からやるとなってもお互いに大変であるので、枠組みをスムーズにいくように変えていくのが我々の仕事である。仮の話になるが、数1を高校3年生になってから理解してもよいではないかという、徹底した学び直しをやっていこうというもの。文科省とも相談していくこととなるが、学習指導要領ギリギリのところに踏み込んだ、生徒に合わせた形を作っていこうと思っている。
- (中尾委員)基本的にはこれで良いと思う。一番シビアな線でシミュレーションしていくことが大切である。今の学校の中での余裕教室を調べておいてほしい。人件費にも関係していくのでシビアに検討しておくことが必要である。学校の特色づくりということでは、公立高校でしかできないという特色をしっかり押さえておいてほしい。また、総合学科が20校となるが、その特色が一律でよいのかということについて、社会動向や世の中でどの様な仕事が必要となってくるかを押さえておいてほしい。卒業後の進路に結びつくことが大切であると思っている。
- (隂山委員長)文科省は指導要領の弾力的な運用について相当踏み込んで考えているので、そのような制度を活用しながら大胆なことに取り組んでいただきたい。また、習熟度の低い生徒について、どこで、なぜ、どのようにしてそうなってしまったのかを、家庭の問題というだけでなく大阪府が抱えている小中学校の問題もあろうと思うので、小中学校と高校が一体となりフィードバックする仕組みを考えていただきたい。
- (木村委員)私立の無償化の話に関連するが、平成23,24年度には私立の専願率が増加したが、平成25年度に前期試験制度ができたことから公立へ流れてきていると思われる。私も進路指導をしている中では公立志向が強いように感じる。再編整備をおこなう上で、私学の志願者数もチェックしながらどのような学校にニーズがあるのかということも踏まえて考えていくべき。学び直しが必要な生徒がいることは実感しており、エンパワメントスクールは良いと思う。その反面、10校もできると、それをあてにして頑張らない生徒の数も増加してしまう恐れはあるが、個々のニーズに合わせた指導ができることは非常に意味があることだと思っており、期待している。
- (丸岡高等学校課長)1-2項の参考にあるが、平成24年度における公立高校の1学年あたりの教室数の合計からすると、仮に募集定員が上位推計となった場合であっても対応が可能であると考えている。
- (小河委員長職務代理者)大学でも基礎学力が崩壊しており困り果てている現状があるため、学び直しの動きは非常に重要であると思う。
- (隂山委員長)知事の方からも自立の難しい子どもたちへのケアという注文がありましたので、我々としても真摯に受け止めなければならない。
報告事項2 平成25年4月20日以降における教職員の懲戒処分の状況について
報告の趣旨説明(教職員人事課長)
平成25年4月20日以降において、教育長が専決した教職員の懲戒処分の状況について、委員会に報告する件である。
委員の質問及び意見
- (隂山委員長)2-3項の742万円の横領であるが、なぜ分からなかったのか。
- (中野教職員人事課長)通帳等で出し入れする際には校長がチェックする事となっているが、チェック機能が果たされていなかったことが原因となっています。
- (中原教育長)服務監督は市町村であり、市町村教委の責任者も呼んで、事件発覚後は全ての市町村で手続きを改善している。
- (隂山委員長)横領の金額が桁外れに大きいので現場にいた常識からしても考えにくい状況である。市町村教育委員会への指導をしっかりしておいてほしい。
- (中原教育長)体罰関連が出てきているが、クラブの指導における体罰については今後研修をしていこうと考えている。生活指導における体罰については、大学を卒業したばかりの女性の先生であっても堂々と指導ができるように変えていかなければならない。先生達が何を言えて、子ども達が問題行動を起こした際にどのような指導があり、生徒保護者の側にも一定の責任範囲があるということを明確にするような考え方を打ち出していきたいと考えている。
- (隂山委員長)部活の指導については、優れた指導とは体罰でなく合理的な指導であるという考え方を全ての部活動の場面に定着するようにしていただきたい。
- (藤井教育次長)今までにも2回、部活動指導者に対する研修をしており、年内にもう1回開催する予定をしています。
- (隂山委員長)生徒指導の問題で言うと、学校の組織で指導していくということが一番のポイントとなる。その場面となった時に、私が指導しなければという思い込みから体罰となってしまうので、学校・集団として対応することを校長以下徹底しておいてほしい。
- (中原教育長)まさに担任が解決すべき問題なのか、学年が解決すべき問題なのか、学校が解決すべき問題なのか、教育委員会が解決すべき問題なのか、あるいは外部の警察等を使うべきものなのかを全く仕分けておらず、先生に投げてしまっている。その辺の仕分けは教育委員会がしなければならないので、近い将来にはきちんと案を作って提示させていただく。