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第1章 計画の策定にあたって
1.策定の趣旨
大阪府では、これまで、府教育委員会が策定した「教育改革プログラム(平成11年4月)」や「「大阪の教育力」向上プラン(平成21年1月)」等に基づき、少人数学級編制や少人数・習熟度別指導の実施、「入りたい学校」「入ってよかった学校」をめざした府立高校の特色づくりや再編整備、「ともに学び、ともに育つ」教育の実践、学校を核として地域社会が一体となって子どもを育てる「教育コミュニティづくり」の推進など、全国に先駆けた取組みをすすめてきました。
また、この間、国においては、「教育基本法」が改正され新しい時代の教育の基本理念が示されるとともに、子どもたちの「生きる力」を一層はぐくむことをめざした学習指導要領の改訂や、公立高校の授業料無償化など、様々な教育改革が行われてきています。
しかしながら、依然として、学習意欲や学力・体力の低下、基本的な生活習慣の乱れ、社会性や規範意識の低下など解決すべき課題も多く、加えて、いじめや不登校児童・生徒への対応、東日本大震災を教訓とした子どもたちの安全確保も大きな課題となっています。
また、世界に目を転じれば、経済のグローバル化、アジア諸国の台頭による我が国の相対的地位の低下など、これからの子どもたちを取り巻く状況は非常に厳しくなっています。
こうした中、教育に求められる役割や教育行政に対する保護者や府民の期待がこれまでにも増して大きくなっており、そうしたニーズにしっかりと応えるためには、不断の教育改革をすすめる必要があります。
そこで、大阪府においては、平成24年3月に「大阪府教育行政基本条例」及び「大阪府立学校条例」を制定し、府民のニーズを踏まえた教育の振興や府民の信頼に応えられる学校づくりに一層取り組むこととしました。
本計画では、これまで大阪が大切にしてきた、違いを認め合い、子ども一人ひとりの力を伸ばす教育をさらに発展させるとともに、大阪の子どもたちが、自ら豊かな未来を切り開き、次代の社会を担う自立した大人となっていけるような力をはぐくむため、本府における教育の振興に関する基本的な目標や施策の大綱、施策を総合的かつ計画的に推進していくために必要な事項をとりまとめています。
2.計画の位置づけ
「教育基本法」第17条第2項及び「大阪府教育行政基本条例」第3条に規定する基本的な計画です。
具体的には、概ね幼児期から高校生までの教育を核とした、高等教育(大学)を除く学校教育、家庭教育、社会教育等に関する本府の施策を中心とし、大学や文化、スポーツ等については、各分野における関連計画等との整合性を図りながら、施策を推進します。
<主な関連計画等>
- 公立大学法人大阪府立大学中期目標(平成22年10月策定)
- 第3次大阪府文化振興計画(平成25年3月策定)
- 大阪府スポーツ推進計画(平成24年4月策定)
- 大阪府人権教育推進計画(平成17年3月策定)
- 大阪の国際化戦略(平成25年3月策定)
- 第4次大阪府障がい者計画(平成24年3月策定)
- 大阪府次世代育成支援行動計画 こども・未来プラン後期計画(平成22年3月策定)
- 大阪産業人材育成戦略(平成24年2月策定)
3.計画の期間等
(1)計画の期間
本計画は、平成25年度を初年度とし、平成34年度を目標とする10年間を見据えた計画とします。
なお、国の教育に関する施策の変更や新たな大都市制度の施行など、社会状況等に大きな変化が生じた際には、それらとの整合性を図るため、必要に応じて、本計画を改訂します。
(2)事業計画の作成
本計画に掲げた目標の実現に向け、平成29年度までの5年間で取り組むべき具体的な施策や事業をまとめた事業計画を、別途作成します。
4.計画の推進方策
本計画の推進にあたっては、市町村との連携を強化するとともに、学校の公私を問わず、家庭や地域、企業など大阪の教育に関与するすべての者が、互いに連携・協力して、取り組んでいくことが大切です。その際には、行政や学校等が有する情報の公表に努めるとともに、効果的な取組みを共有していくことが重要です。
また、財政状況が厳しい中、施策を重点的・効率的に実施し、その着実な推進を図るため、毎年、PDCAサイクルに基づく進捗管理を行います。
(1)学校や市町村との連携
本計画を実効性あるものとしていくためには、府立学校はもとより、市町村教育委員会が所管する小・中学校等の学校現場の教職員が、本計画の理念を共有し、一体となって取組みをすすめる必要があります。
また、市町村は、幼児教育、義務教育や社会教育など住民に最も身近な教育施策を担っており、市町村が本計画で示した取組みの方向性を踏まえた施策を展開していけるよう、府は、その自主性を尊重しつつ、指導・助言や情報提供等を通じて働きかけるとともに、適切な役割分担に留意しながら、市町村の取組みに対する支援や連携を図ります。
(2)公私の連携
私立学校も公教育の一翼を担っており、学校教育の発展には、公私の連携・協力が不可欠です。それぞれが役割を果たすとともに、公私の協議の場において情報交換を密にし、共同での取組みの推進や成果の共有化など、力を合わせながら、大阪の教育力の向上を図っていきます。
(3)家庭、地域との連携
家庭は教育の原点であり、子どもの健やかな成長の基盤となるものです。家庭教育は、豊かな心や基本的な生活習慣、他人を思いやる心、自立心などを身に付けていく上で、重要な役割を果たしており、また、規範意識の育成や学習習慣の定着など、学校教育との連携が不可欠なものが多くあります。
また、子どもたちが、社会性や豊かな感性を身に付け成長していくためには、地域の多様な人との関わりも重要です。保護者や家庭、地域に対し、本計画の進捗状況をはじめ、教育の状況に関する情報の公開に努め、連携した取組みをすすめます。
(4)大学、企業、民間団体等との連携
子どもたちの学問への興味・関心をはぐくむとともに、新しい時代に対応できる教員の養成や専門性の向上を図るため、大学との連携をすすめます。
また、子どもたちに望ましい職業観・勤労観をはぐくむため、インターンシップをはじめとする様々な体験活動等を行えるよう、企業、NPO等の民間団体との連携・協力体制の強化を図ります。
(5)国への働きかけ
国は、学習指導要領の設定など教育水準の維持・向上を図るとともに、学級編制や教職員配置など全国的な教育の機会均等の実現などの役割を担っており、教育に関する施策を推進していく上では、国制度が及ぼす影響が大きいことから、必要に応じ、国に対して制度改善や施策提案等の働きかけを行っていきます。
(6)点検・評価と結果の公表
本計画の進捗管理にあたっては、計画に掲げた目標、施策の基本的方向や重点取組の実施状況などについて点検・評価を行い、結果をとりまとめた報告書を作成し、府議会に提出するととともに、府民に公表します。