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第4章 基本方針4
基本方針4 子どもたちの豊かでたくましい人間性をはぐくみます
現状と課題
全国学力・学習状況調査における「将来の夢や目標を持っていますか」との質問に対し、「持っている」と答えた児童・生徒の割合は増加傾向にあるものの、中学生についてはその割合自体が低く、夢や志を持ってチャレンジする力を育成する必要があります。
いわゆる「リーマンショック」に伴う景気の落ち込み以降、高校卒業者の就職率は徐々に改善してきているものの、依然として全国平均より低い状況にあり、自立した大人として生きていく力を身に付けるための小・中・高一貫したキャリア教育の一層の充実を図る必要があります。
全国学力・学習状況調査における「自分には良いところがあると思いますか」や「学校の規則を守っていますか」との質問に対し、「当てはまる」と答えた児童・生徒の割合が全国と比較して低い状況にあり、自己肯定感を高めるなど人権感覚の涵養とともに、規範意識の育成を図る必要があります。
いじめは、重大な人権侵害事象であり、犯罪や命にかかわる重篤な事態となりうる喫緊の課題であることから、早期発見と早期解決に向けた取組みをさらにすすめる必要があります。
また、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査における暴力行為発生件数については、全国平均を上回っており、不登校生徒数についても、特に中学生において全国平均を上回っている状況にあります。
今後、とりわけ中学校において、生徒指導上の課題に対する取組みを充実していく必要があります。
出典:文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」
基本的方向
- 小・中・高一貫したキャリア教育を推進するとともに、地域と連携した体験活動や読書活動を充実し、粘り強くチャレンジする力をはぐくむ教育を充実します。
- 歴史や芸術・文化・学術等に関する教育を推進し、郷土への誇りや伝統・文化を尊重する心をはぐくみます。
- 民主主義をはじめとした社会のしくみについての教育を推進し、社会の一員として参画し貢献する意識や公共の精神を醸成します。
- 社会のルールを守り、違いを認め合い人を思いやる豊かな人間性をはぐくむ人権教育・道徳教育を推進します。
- 子ども自身の問題解決能力をはぐくむとともに、関係機関との連携や支援チームの活用等により、いじめや不登校等の生徒指導上の課題解決に向けた対応を強化します。
- 教員研修の実施など校内の指導体制を強化し、体罰等の防止に取り組みます。
重点取組
重点取組20 夢や志を持って粘り強くチャレンジする力のはぐくみ
小・中・高一貫したキャリア教育の推進
児童・生徒が夢や希望を持って自分の意志と責任で進路を選択することができるよう外部人材の活用や、企業・専修学校等と連携したインターンシップや職場体験をすすめるとともに、「夢や志をはぐくむ教育」を推進するなど、小・中・高一貫したキャリア教育を推進します。
「生きる力」をはぐくむ体験活動や読書活動の推進
地域人材等の協力を得て、ボランティアや自然体験など様々な体験活動を通じ、自己肯定感や豊かな情操、他人との信頼関係、自然や環境を大切にする精神・態度などを養うとともに、乳幼児期から発達段階に応じて本と接することができるような読書環境の充実に向けて、市町村や公立図書館との連携、学校図書館の活用等をすすめることにより読書活動を推進し、子どもたちの「生きる力」をはぐくみます。
重点取組21 社会に参画し貢献する意識や態度のはぐくみ
郷土への誇りや伝統・文化を尊重する心のはぐくみ
近現代史をはじめ歴史・文化等に関する教育を充実するとともに、多様な文化財や歴史等に関する博物館、芸術・文化などを教育資源として活用し、我が国と郷土への誇りや、歴史や伝統・文化を尊重する心をはぐくみます。
社会の一員としての自覚や責任感の育成
学校教育を通じて民主主義などの社会のしくみについての教育を実践し、社会の一員として義務と責任を果たすための知識や自覚をはぐくみます。
重点取組22 ルールを守り、人を思いやる豊かな人間性のはぐくみ
生命を尊重する心や規範意識等の育成
学校の教育活動全体を通じた道徳教育の推進、「こころの再生」府民運動や非行防止・犯罪被害防止に向けた取組みの推進など、自他の生命を尊重する心や規範意識の育成に、学校・家庭・地域が一体となって取り組みます。
自他を尊重し、違いを認め合う豊かな心の育成
自他の尊厳や価値、文化・習慣の違いを尊重する精神をはぐくむ人権教育、国際理解教育や多文化共生の取組みの推進、「ともに学び、ともに育つ」教育を基本とした障がい理解教育、他者を思いやる心や社会に貢献する態度を養う福祉教育の推進などにより、豊かな心の育成に取り組みます。
重点取組23 いじめや不登校等の生徒指導上の課題解決に向けた対応の強化
いじめ解消に向けた総合的な取組みの推進
「いじめは絶対に許されない」との認識のもと、未然防止や早期発見に向けた的確な実態把握や相談体制の充実を図るとともに、「いじめ対応マニュアル」(平成24年12月策定)の活用や外部の専門家との連携などにより、迅速かつ適切に組織的な対応ができるよう支援を行います。
また、被害を受けた子どもの立場に立った解決を図ることができるよう、第三者機関等による「被害者救済システム」を運用します。
加えて、事案が複雑化・深刻化しやすい「ネット上のいじめ」に対し、関係機関と連携した対応に取り組みます。
児童・生徒への支援・相談の取組みの推進
児童・生徒の悩みや不安を受け止め、一人ひとりの状況に応じた的確な指導・支援が行えるよう、スクールカウンセラーの配置等により教育相談体制を充実するとともに、小・中学校間の連携やスクールソーシャルワーカーの活用、福祉関係機関等との連携ネットワークの充実など組織的な課題解決に向けた取組みへの支援を行います。
また、私学団体による相談窓口の運営のほか、私立学校に対して、スクールカウンセラーの配置など、いじめ等の問題の解決に向けた適切な取組みを求めていきます。
中学校における生徒指導体制の強化
いじめ・暴力行為や不登校等が顕在化する中学校において、生徒自身の問題解決力を育成するとともに、人員配置による生徒指導体制の充実や教員研修等による対応力の強化を図ります。また、市町村だけでは対応できない事案に対して、外部の関係機関と連携した指導・支援を行います。
重点取組24 体罰等の防止
体罰防止に向けた教職員研修の実施
体罰は決して許されない重大な人権侵害であるとの認識のもと、校内研修等を実施するなど、体罰の防止に向けた学校体制を確立します。また、運動部活動指導者を対象とした研修の実施等により指導者の資質向上に取り組みます。
速やかな事象解決に向けた校内体制の整備
児童・生徒からの訴えや教員等との関係の悩みを相談することができる相談窓口の設置など校内体制を整備します。
また、「被害者救済システム」の活用など第三者性をいかし、被害を受けた子どもの立場に立った解決・救済を図ります。
私立学校における体罰等の防止に向けた取組み
体罰等の防止に向けた府教育委員会等の取組みを情報提供し、私立学校や私学団体に対して教職員による体罰等の防止に向けた研修などの取組みを働きかけ、支援するとともに、被害を受けた子どもの立場に立った解決が図られるよう、私立学校に適切な対応を求めていきます。