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あいさつ
国際的に大きな問題となっている地球温暖化現象は、二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中濃度が上昇することにより、地球全体の気温が上昇する現象で、生態系や人間社会に大きな影響を及ぼすことが予測されています。この問題にストップをかけるべく、第3回気候変動枠組条約締約国会議で採択された「京都議定書」が、平成17年2月に発効し、温室効果ガスの削減が世界的に進められています。
また、大阪府域では、地球温暖化に加えて、都市化の進行とエネルギー消費の増加に伴うヒートアイランド現象が顕著となっており、この100年間では約2.1℃の気温の上昇が見られ、夏日や熱帯夜の日数もここ20年で著しく増加するなど、二つの温暖化現象に直面しているのが実情です。このままでは、「住みやすさ」や「働きやすさ」、「訪れやすさ」など「大阪の都市格」とも言うべき都市環境としての質の悪化を招きかねない状況にあります。
このため大阪府では、二つの温暖化現象への対策を総合的に推進するため「大阪府温暖化の防止等に関する条例」を制定(平成18年4月施行)し、「建築物の環境配慮制度」を創設したところです。建築物においては、その内部及び敷地への太陽熱の蓄積や、施設におけるエネルギー消費等がヒートアイランド現象や地球温暖化の要因となっており、また建設時には資源の大量消費など、様々な環境分野に大きな影響を与えていることから、建築物のライフサイクルを通して、環境への負荷を全体的に低減させる取り組みが求められています。
今回、建築物の環境配慮制度の創設に合わせて、平成6年に作成した「環境共生建築技術導入の手引き」を充実させ、改めてこの「建築物の環境配慮技術手引き」を作成しました。
この手引きは、建築物における地球温暖化やヒートアイランド現象をはじめとした環境配慮技術の具体的手法やそれぞれの要素技術を有効活用した建築事例を広く紹介することにより、府有建築物はもとより、広く一般の建築物にも活用していただくことを目的に作成したものです。建築物の計画、設計の際には是非参照していただき、この手引きがより効果的な環境配慮への取り組みの一助となることを願ってやみません。
最後に、この手引きの策定に際しては、「大阪府建築物環境配慮制度検討委員会」を設置し、貴重な意見を賜りました。また手引きの作成に当たっては、環境配慮技術の実務者等で構成する、「建築物の環境配慮技術手引き作成小委員会」にご尽力頂きました。皆様方に、厚くお礼申し上げます。
大阪府建築都市部長
阪倉 嘉一
大阪府住宅まちづくり部公共建築室計画課
計画・PFIグループ