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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第91号)
第一 審査会の結論
実施機関の判断は、妥当である。
第二 本件異議申立てに至る経過
- 平成15年9月19日、異議申立人は、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対し、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、次の(1)及び(2)の文書の公開請求を行った(以下(1)についての公開請求を「本件請求1」、(2)についての公開請求を「本件請求2」という。)。
- (1)改革フォーラムにおける本年4月以降における全投稿
- (2)維新電信室内の改革フォーラムにおける平成14年2月以降のハンドルネーム登録内容にかかる一切の記録
- 平成15年10月3日、実施機関は、本件請求1及び本件請求2に対応する行政文書として(1)ア及び(2)アの文書を特定の上、それぞれ非公開決定(以下、本件請求1に対する非公開決定を「本件決定1」、本件請求2に対する非公開決定を「本件決定2」といい、これらを併せて「本件各決定」という。)を行い、公開しない理由を(1)イ及び(2)イのとおり付して、異議申立人に通知した。
- (1)本件決定1
- ア 行政文書の名称
改革フォーラムにおける投稿内容及びハンドルネーム(平成15年4月以降分) - イ 公開しない理由
大阪府情報公開条例第8条第1項第4号及び第3号に該当する。
本件行政文書は、職員が府政の改革に向けた自由闊達な議論を行うために開設した庁内の電子掲示板である改革フォーラムに対して、大阪府職員が投稿した府の業務改革等に対する提言及びこれに対する疑問や補足などの意見交換した記録であり、これらの情報を公にすることにより、職員の改革フォーラムへの発言意欲がそがれ、改革フォーラムの目的を達成できなくなるおそれがあると認められる。
また、これらの情報は府の機関が行う企画に関する情報であって、その性格上、これらの情報を公にすることにより自由率直な意見交換を不当に妨げるおそれがあると認められる。
- ア 行政文書の名称
- (2)本件決定2
- ア 行政文書の名称
大阪府庁内ネットワークの利用者ID(IDのない者にあってはUserName・Password・所属・電話番号(内線)・メールアドレス)、氏名、ハンドルネーム(平成14年2月以降分) - イ 公開しない理由
大阪府情報公開条例第8条第1項第4号に該当する。
本件行政文書に記載された情報を公にすることにより、職員の改革フォーラムへの発言意欲がそがれ、匿名性の確保等により府政の改革に向けた自由闊達な議論を行うという改革フォーラムの目的を達成できなくなるおそれがあると認められる。
- ア 行政文書の名称
- (1)本件決定1
- 平成15年10月15日、異議申立人は、本件各決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、異議申立てを行った。
第三 異議申立ての趣旨
本件各決定を全面的に取り消し、あらためて公開決定すべきである。
第四 異議申立人の主張要旨
異議申立人の主張は、概ね次のとおりである。
- 大阪府庁内ウェブページコンテンツである、維新電信室内に設置されていたフリーフォーラム等への府職員による投稿及び閲覧は、勤務時間中に行うことが正規に認められていたものである。
勤務時間中の投稿が認められていたということは、府職員は広い意味でその職務の一環として当該フォーラムに投稿し、府政改革に関する議論を行っていたものと考えられる。
このように公務員が、その職務としておこなった行為に関しては当該職務内容を府民に広く知らせることが好ましく、投稿内容及び当該公務員の氏名等を全面公開すべきである。 - 本フォーラムは、府政改革に資する議論を広く行うという考えのもとに開設されてはいたが、特段の個別具体的成果を得ることまでは目的とされていたわけではない。そうすると、内容等を公開したとしても府職員がどのような改革意欲を持ち議論しているのかを府民が知ることにより、府に対する信頼感が増しこそすれ、外部からの不当な圧力や干渉を受けたり、府民生活に支障を及ぼすことは到底考えられない。
さらには、本件非公開文書を公開することにより、府職員の改革意欲そのものが減退するなど、事務の目的が達成出来なくなるなどといったことや著しい支障を及ぼすことはありえないものと判断するのが相当と解される。 - 庁内LANの維新電信室に設けられていた改革フォーラム内には、「フリーフォーラム」及び「テーマ別フォーラム」等が存在した。その中で最も活発に投稿が行われていたが故に異議申立人が最も強く公開を求めるフリーフォーラム(以下「本フォーラム」という。)については、以下の事実が認められる。
- ア 本フォーラムにおける投稿は、事前に府職員たる投稿者の所属及び氏名等を登録する必要があり、また、実名での投稿も行われていた。
- イ 本フォーラムは、府職員がその職務の一環として府政改革に関する議論を行っていたものであり、勤務時間中の投稿も正規に認められていた。
- ウ 本フォーラムはすでに閉鎖されて終結しており、あらたな議論(投稿)は行われていない。また、本反論書提出日現在においても、本フォーラムと同趣旨の新たなフリーフォーラムは開設されていない。
- エ 本フォーラムへの投稿者名(氏名及びハンドルネーム)、投稿・議論内容は本フォーラムが閉鎖された現在も府当局により管理・保管されている。
- 以上の事実によれば、公開請求に係る文書であるところの本フォーラムの投稿内容、投稿者名等は、本府職員による過去の職務内容であることが認められる。
過去に行った府政改革に関する府職員の職務内容を公開することは、なんら支障が生じるものではなく、公開は当然である。
府職員は勤務時間中にその公務の一環として本フォーラムで議論しており、過去にどの公務員がどのような内容の職務を行ったのかを公開して明らかにすることは民主主義の基本であると考える。
府民に知られて困るような議論をしていたというならば格別であるが、そうでないならば、堂々と当該公務員の氏名及び職務内容たる投稿記録を速やかに公開すべきものである。
また、本フォーラムは現在閉鎖され終結しており、本フォーラムと同趣旨の新たなフリーフォーラムも開設されていないことが認められる。
異議申立人は、現在存続し、議論が続いているフォーラムの公開を求めているのではない。本フォーラムの議論は終結しているのである。
そうすると、当該公務員の氏名及び職務(投稿)内容等を公開したとしても、本フォーラムはすでに存在しないのであるから、実施機関が主張するような、今後の本フォーラムの運営及び議論に影響を及ぼすことは、あり得ないものである。 - 実施機関は、「投稿内容に関しては、そのままの形では外部に対し公開しないことを前提として運営されている」旨の主張をしている。しかしながら、そのような「前提」なるものは文書化され正規に定められたものではなく、また、本フォーラムの参加者に対して周知されていたものでもない。本件異議申立てを受けて急遽作成された「前提」であると疑わざるを得ない。
万一、仮にそのような前提が存在すると仮定しても、当該「前提」自体、条例の趣旨を没却する不当なものであり、そのような不当な前提に拘泥すべきではない。 - 実施機関は、「本フォーラムの投稿内容を公開すれば、自由率直な意見交換が不当に妨げられる」旨の主張も行っている。
しかしながら、条例第33条などにも意思形成過程の情報であっても審議会等の情報について公開に努めなければならないと規定されているところであり、行政における意思形成過程の各段階ごとに公開することが、条例の趣旨にも添うものと考える。
実施機関の主張が罷り通るならば、行政におけるすべての意思形成過程が「自由率直な意見交換が不当に妨げられる」ことをその理由として非公開とされてしまうこととなり、実施機関の主張が失当なのは論をまたない。
実施機関は、本フォーラムでの投稿者のハンドルネーム登録内容等を公開すれば「府職員が様々な評価を受ける可能性があり、投稿意欲の減退を招く」旨の主張も行っている。
しかしながら、本フォーラムへの投稿は公務員としての職務であり、このことは実施機関も認めている。
府職員が行った職務内容に対して府民から評価を受けるのは当然のことであり、そのことをもって投稿意欲(職務意欲)の減退を招くなど本来、公務員としては有ってはならないことである。
また、大阪府職員の改革意欲自体がそのようなことで減退するとも思われない。
以上のとおり、実施機関が主張している、公開した場合の支障は、いずれも抽象的なもので具体性に乏しく、公開によって事務に著しい支障が生じることの証明あるいは、疎明までは、なされていないものと言わざるを得ない。 - したがって、実施機関の主張は、非公開とする正当な理由とは認められず失当である。
第五 実施機関の主張要旨
1「改革フォーラム」について
(1)趣旨・目的
改革フォーラムは、府職員が問題意識と智恵を全庁で共有しながら、府政の改革に向けた自由闊達な議論を行うため、平成13年2月、庁内ネットワーク(大阪府庁内の室課及び出先機関の職員用パソコン等を結ぶ庁内情報通信網)に設置された電子掲示板である。
この電子掲示板の運営により、職員の日々の仕事の中から生まれる「ふとした疑問」から、施策のあり方まで大小様々なテーマを俎上に載せ、寄せられた多様な意見や議論の成果を日々の業務改善や改革につなげることを通して、職員の積極的な参画による改革を進めることを目的としている。
(2)運営の概要
ア 運営主体
改革フォーラムの運営は、大阪府行財政改革推進本部の下部組織として設置された大阪維新電信室が行っている。
維新電信室は、行政改革室長をチーフマネージャー、政策室長・人事室長をそれぞれマネージャーとし、全庁各部局から推薦されたスタッフにより構成される庁内横断型の組織であり、事務局は、行政改革室、政策室及び人事室が協力して運営している。
改革フォーラムの企画・運営は、事務局スタッフ及び各部局から選出された企画スタッフ(フォーラム担当)で構成する「改革フォーラム企画会議」において検討することとしている。
なお、維新電信室に、府職員が投稿する際の禁止事項や注意する事項などを定めた共通ルールである「投稿マナー」をもとに、改革フォーラムの投稿内容や、投稿する際に必要なハンドルネームについて管理を行うため「改革フォーラム管理人」を置いて運営を行っている。
また、ハンドルネームの登録データの管理については、IT推進課の事務局スタッフ4名による「改革フォーラムハンドルネーム管理担当者」を置き、行っている。
イ 運営方法
改革フォーラムの運営にあたっては、可能な限り府職員の良識、節度ある態度を前提に、少しでも多くの府職員の自由な参加を得るという観点から、実名の他、匿名での投稿も認めるとともに業務時間中の閲覧、投稿を可能としている。なお、府職員が匿名での投稿ができるよう、ハンドルネーム(ペンネーム)を投稿者自らが任意に登録できる形になっている。
ウ 改革フォーラムのメニューと議論の内容
改革フォーラムへの投稿は、職員が実名又は匿名によって職員端末機から庁内ネットワークの改革フォーラムのページの入力用画面にアクセスして行う。投稿については、議論のきっかけとなる投稿をすること、又は投稿された意見に対して意見を述べることのどちらでも可能である。
なお、平成13年2月のフォーラムスタート以降、これまで、テーマを自由に設定できる「フリーフォーラム」、部局別にテーマを設定する「部局別フォーラム」、事務局でテーマを設定する「テーマ別フォーラム」を運用していたが、平成15年9月にリニューアルを行い、現在は「職員企画型フォーラム」と各事業部局が提案を募集する「知恵募集フォーラム」の運営を行っている。
改革フォーラムでの議論については、事務局において、きっかけとなった提案、意見及び議論の内容を整理し、実現の可否等について部局ごとに検討要請、情報提供を行い、その検討結果等を「ご提案その後」という形で整理し、提案した府職員はもとより府職員全体にフィードバックしている。
2 本件各決定に係る行政文書について
(1)本件決定1に係る行政文書について
ア 改革フォーラムにおける投稿内容
改革フォーラムにおける投稿内容は、「表題」、「意見」、「投稿者の意見等」からなっている。
「表題」は、投稿の趣旨を端的に表す表題である。
「意見」は、府職員の具体的な意見の本文である。
「投稿者の意見等」は、その意見の性格・種別を表すものであり、職員が直接改革フォーラムの投稿用メニューから次の分類のいずれかを選んで投稿する。
【新規に意見を述べる場合】
「問題提起」、「意見募集」、「情報提供」、「エール」
【ある意見について回答、評価等をする場合】
「提案」、「教えて」、「疑問あり」、「賛成・補足」、「問題分析」、「情報提供」、「回答・説明」、「論点整理」、「まとめ」、「エール」
イ ハンドルネーム
改革フォーラムに意見等を投稿するためには「ハンドルネーム」(改革フォーラム内での「名前」。いわばペンネームのようなもの。)を登録する必要がある。
ハンドルネームの登録は、「実名」での登録か、匿名での登録かを選択でき、匿名を選択する場合には投稿者が任意の名前を登録することができる。庁内ネットワークから閲覧できる改革フォーラムの画面の投稿者欄には、投稿者が登録したこの「ハンドルネーム」が表示される。
(2)本件決定2に係る行政文書について
ハンドルネームに関する登録内容としては、改革フォーラム内での「名前」(ハンドルネームそのもの)と、投稿者個人を認証するための情報がある。
ア ハンドルネーム
(1)イ ハンドルネームと同様である。
イ 投稿者個人を認証するための情報
(ア)大阪府庁内ネットワークの利用者ID
「大阪府庁内ネットワークの利用者ID」を有する職員の場合、この利用者IDが、投稿者個人を認証するための情報となる。
利用者IDは、庁内ネットワークを利用するために利用者を識別するための記号であり、府職員が庁内ネットワークにアクセスするためには、この利用者IDが発行されていなければならない(出先機関等の府職員など利用者IDを発行されていない場合はこの限りでない)。
利用者IDを持っている府職員が改革フォーラムに「ハンドルネーム」を登録すると、「利用者ID」及び利用者IDを識別するために既に記録されている「氏名(実名)」が自動的に一体のものとして電磁的に記録保存される(したがって、「利用者ID」を持つ府職員は、ハンドルネームを登録するに際して、改めて個人を特定するための情報(所属や実名など)を登録する必要はない)。
(イ)UserNameなど
一方、利用者IDが発行されていない出先機関等の職員が改革フォーラムに投稿するには、利用者IDに代わるものとして「UserName」を設定する必要がある。
「UserName」を設定するときには、合わせて、「Password」・「所属」・「電話番号」・「メールアドレス」・「氏名」を入力用画面から登録することが必要となり、これらのデータが一体のものとして電磁的に記録保存される。
「Password」は、府職員がシステムを利用する場合、機密保護などのためにシステムに登録し利用者の確認に用いる符号である。
「所属」は、府職員が所属する部署名である。「電話番号」は、所属する部署の電話番号である。
「メールアドレス」は、投稿する府職員の庁内ネットワークにおけるメールアドレスである。
「氏名」は、府職員の実名である。
(3)本件各決定に係る行政文書の管理について
本件各決定に係る行政文書は、いずれも、改革フォーラム管理用コンピュータのハードディスクのデータベースに電磁的記録として保存され管理されている。また、投稿された内容及びその際に表示されるハンドルネームは、職員端末機で閲覧できるが、これ以外の登録内容(実名や利用者IDなどハンドルネームの登録に係る情報)は、その情報の性質から「改革フォーラムハンドルネーム管理担当者」のみが閲覧できる情報となっている。
3 本件決定1の適法性について
(1)条例第8条第1項第4号に該当することについて
本件決定1に係る行政文書は、本府が実施する改革フォーラム事業に関する情報であるが、改革フォーラムの投稿内容(「投稿者の意見等」)とは、投稿者である府職員が「疑問あり」や「エール」といった意見分類を意思表示したうえ、自らの個人的意見を自由に発表した記録であり、この記録は府庁ウェブページの中でのみ閲覧に供されている。
また、改革フォーラムの趣旨・目的を達成するため、投稿内容に関しては、そのままの形では外部に対し公開しないことを前提として運営されている。
万一、改革フォーラムの投稿内容が公になれば、職務遂行上の問題点や組織のあり方への批判等に関する府職員個人の生の声が広く府民に明らかとなるが、これらの府職員の意見には府民からの批判・誤解等を受けやすい性格のものも多数含まれている。
したがって、これを公開した場合には、自らの個人的な意見が府民の批判・誤解等を招き、府庁業務全体に大きな影響を及ぼすというプレッシャーとなって、府職員が投稿することを控えるといった投稿意欲の減退を招いたり、無難な意見しか発表しないといった事態につながり、自由闊達に意見交換することで自浄的に内部改革の意思形成を図っていこうという改革フォーラムの仕組みそのものが損なわれる。
また、投稿内容によっては、それが公になることで府庁外部の第三者に影響を与えることが考えられ、これら第三者への影響を心配するあまり投稿を控えたり、あるいは第三者からの批判等により自由率直な意見交換が不当に妨げられ、結果として府民の利益につながる改革が実現に至らなくなってしまうことが想定される。
したがって、改革フォーラムの投稿内容については、公にすることにより、当該若しくは同種の目的が達成できなくなるものと考えられ、条例第8条第1項第4号に該当する。
また、ハンドルネームそのものについても、府職員の実名の他、特定の府職員を推測される情報を含むものがあり、投稿内容と同様、その公開により「率直な意見交換」が損なわれるおそれがあり、その結果、当該若しくは同種の目的が達成できなくなるものと考えられ、条例第8条第1項第4号に該当する。
(2)条例第8条第1項第3号に該当することについて
改革フォーラムの投稿内容については、事務局において意見や議論の内容を整理したうえ実現の可否等について部局ごとに検討要請し、意見の実現につなげていこうというものである。
これは、府職員間の自由闊達な意見交換の「場」である改革フォーラムに投稿された問題提起や自由な意見について、事務局において、担当部局による調査検討の必要性を整理の上、担当部局が事業実施・運営上の問題点を整理して実現の可否等について調査検討したうえ、具体的な施策・事業として立案し、組織上の意思決定が行われるという過程を経て実現されるものである。
したがって、改革フォーラムに書き込まれた投稿内容そのものは意思形成過程にある企画に関する文書であるといえるが、改革フォーラムに投稿された段階では、投稿内容は投稿した府職員の個人的見解の域にしかすぎないものであり、これらを公にすることは、府庁の業務に対する誤解を生み、府民の信頼を失墜させる結果につながったり、第三者の利益を損なうことから生ずる批判等によって自由率直な意見交換が不当に妨げられ、結果として府民の利益につながる改革が実現に至らなくなると考えられる。
したがって、本件決定1に係る行政文書は、「公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、府民の正確な理解を妨げることなどにより不当に府民の生活に支障を及ぼすおそれ」があり、条例第8条第1項第3号に該当する。
(3)条例第10条第1項との関係について
条例第10条第1項は、行政文書に条例第8条第1項各号又は第9条各号に該当し公開しないこととされる部分がある場合において、「その部分を容易に、かつ、公開請求の趣旨を損なわない程度に分離できるときは、その部分を除いて、当該行政文書を公開しなければならない。」旨定めている。
本件請求1において、異議申立人は、その文言からは、改革フォーラムに府職員がどのような意見を投稿しているのかについて、その内容の公開を求める趣旨であると理解されるが、上記(1)、(2)において述べたとおり投稿内容を公開しない以上、ハンドルネームを公開したとしても異議申立人の請求趣旨を何ら満たすことにはならないものであり、条例第10条第1項の趣旨に鑑み、部分公開をする必要がないと考える。
4 本件決定2の適法性について
本件決定2に係る行政文書は、いずれも改革フォーラムの事業に関する情報であるが、投稿者である府職員の個人認証を確実なものとするために必要な情報である。
これらの情報は、投稿する府職員個人を特定または推測させる情報であると考えられる。また、ハンドルネームは、実名はもとより、匿名であっても、府職員の普段の生活や言動・嗜好、その他の情報と結びつくことによって、投稿者の特定につながる可能性は十分に考えられるため、これらのことを考慮して、匿名のハンドルネームとこれら府職員個人の特定に結びつくような情報は、改革フォーラムハンドルネーム管理担当者しか取り扱うことができない仕組みとしている。
また、実際の運営にあたっても、改革フォーラムの趣旨・目的を達成するため、非公開とすることを前提として運営されていることが、府職員の間では定着している。
したがって、実名で投稿している職員についても、自分が改革フォーラムに投稿していることについて、外部に知られることを前提に投稿しているものではないため、万一、実名及び匿名のハンドルネームの登録内容に関する記録を府庁外部に公にすることとなれば、府職員がその投稿の有無を府庁外部の第三者に知られることによって様々な評価を受ける可能性があることから、府職員の投稿意欲が減退を招くなど業務運営上の問題点や組織のあり方への批判等を積極的に提起し、自由闊達に意見交換していくという仕組みそのものの前提が損なわれるおそれがあり、できるかぎり府職員の生の意見を反映させながら府庁の内部改革の意思形成を図っていくという改革フォーラムの設置趣旨・目的を達成できなくなる。
したがって、公にすることにより、当該若しくは同種の目的が達成できなくなるものと考えられ、条例第8条第1項第4号に該当する。
なお、条例第10条第1項との関係については、3(3)のとおりである。
5 その他
改革フォーラムは、平成13年2月の設置以来、平成15年7月までの集計で、合計488件の提案が行われており、この中で現在調査中の案件を除き約30件について実施又は実現をみている。
これら多くの改善・改革提案が寄せられ、提案の内容の一部が実施、実現を見たのは、職員の中で「改革フォーラム」が、業務運営上の問題点、組織のあり方への批判等これまで議論が避けられてきたテーマでも率直に問題提起を行い得る場であることが認識され、職階や立場を超えて議論され、議論のテーマを担当している部局においても自由に投稿される様々な意見の中から浮き彫りになってくる課題・問題点を真摯に受け止め、解決に向けた取り組みをそれぞれの判断で行った結果である。この点で異議申立人の「特段の個別具体的成果を得ることまでは目的としていない」という主張は適当ではない。
また、改革フォーラムへの投稿は、業務時間中の閲覧・投稿を可能としている点で広い意味で職務として位置づけられるものではあるが、改革フォーラムへの投稿は、通常の事務分担に基づく職務とは異なる性質のものである。異議申立人が主張するように、職務として作成された文書(作成者の氏名を含む。)を一律に全面的に公開しなければならないということではない。
6 実施機関の結論
以上のとおり、本件決定1及び本件決定2は条例の趣旨を踏まえて行われたものであり、何ら違法、不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。
第六 審査会の判断
1 条例の基本的な考え方について
行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに、府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、公開することにより、個人・法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。
このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。
2 本件各決定に係る行政文書について
(1)改革フォーラムについて
本件各決定に係る行政文書は、「改革フォーラム」の平成15年4月から7月の期間における投稿内容及びハンドルネームの登録に係る電磁的記録である。
「改革フォーラム」は、大阪府行財政改革推進本部の下部組織として設置された維新電信室(正しくは「大阪維新電信室」。総務部行政改革室長をチーフマネージャー、知事公室政策室長(組織及び職の名称は本件各決定当時のものによる。以下同じ。)及び総務部人事室長をマネージャーとして、全庁各部局から推薦されたスタッフにより構成される庁内横断型の組織であり、事務局は、行政改革室、政策室、人事室に置いている。)が、府職員のみが閲覧可能な庁内ネットワーク内に開設したウェブページの中に設置した自由記述方式の電子掲示板であり、業務でパソコンを利用している府職員であれば、誰でもいつでも所属長等の決裁を経ずして自由に記述し、リアルタイムで全府職員に向けて提案や意見を発信できる仕組みとなっている。
したがって、掲示板の記載内容には、投稿前の内容チェックがなく、誹謗中傷や、プライバシーの侵害にあたる発言が入る恐れがあることから、投稿マナーを設けるとともに、改革フォーラムの内容を事後的に監視し、適宜修正要請や削除の手続きを行う改革フォーラムの管理者が置かれている。
また、「改革フォーラム」は、平成13年2月の設置以降、運営方法、設定テーマを適宜修正、変更しながら運営されてきている。第1期(平成13年2月~4月)は「ITを活用して改革すべき府庁の仕事あれこれ」、第2期(平成13年4月~6月)、第3期(平成13年6月~7月)は「大阪府庁のここどない?」というテーマを決め、このテーマに関する投稿を求める形で掲示板が運営されたが、第4期(平成13年7月~14年1月)、第5期(平成14年2月~9月)は、掲示板の運営を各部局別に分割し、各部局別フォーラムを設置するとともに、全庁横断的なテーマについて「大阪府10年の計」という掲示板が運営された。本件各請求の対象となった第6期(平成14年9月~)では、各部局別フォーラムを廃止し、フリーフォーラムとテーマ別フォーラムが運営された。フリーフォーラムは、平成15年7月22日まで運営され、その後休止期間を経て、現在は、第7期として、「知恵募集フォーラム」と「職員企画型フォーラム」が運営されている。
(2)本件各決定に係る行政文書に記録されている情報について
本件各決定に係る行政文書を、「改革フォーラム」の投稿内容(本件決定1に係る行政文書のうち「ハンドルネーム」を除く全部)とハンドルネームの登録内容(本件決定1に係る行政文書中のうち「ハンドルネーム」と本件決定2に係る行政文書の全部)とに整理し、それぞれに記録されている情報の内容を確認したところ、以下のとおりである。
ア「改革フォーラム」の投稿内容
「表題」、「投稿者名」、「投稿日」、「意見」から構成されている。
「表題」には、投稿者がその意見について付したタイトル、「投稿者名」には、投稿者のハンドルネーム(府職員の実名又はあらかじめ登録された仮名)、「投稿日」には、投稿された年月日及び時間、「意見」には、意見の本文が、それぞれ記録されることとなっており、審査会において、本件各決定に係る行政文書を見分したところによると、「投稿者名」として記録されているハンドルネームは、実際に実名の場合、仮名の場合の両方があること、「意見」の内容は、身近な執務環境や勤務条件に関する問題提起から、府としての政策課題に関する意見など多岐にわたるとともに、思いつきレベルのものを含めて未成熟なものが多く含まれていることが認められる。
なお、「改革フォーラム」の投稿内容については、最初の投稿とそれに対する返信など同一テーマのまとまり(スレッド)でグループ化されて記録されており、職員が、個別の投稿内容を見る際には、スレッドごとに表示される表題の中から、見たい表題を選ぶことにより、具体的な投稿内容を見ることができるようになっている。
イ ハンドルネームの登録内容
改革フォーラムを利用する際に必要なハンドルネーム登録内容に関する情報は、改革フォーラム管理用コンピュータのハードディスクのデータベースに電磁的記録として保存され管理されている。
庁内ネットワークの利用者IDが発行されている府職員については、利用者IDが「NT_UserName」、府職員の氏名(実名)が「登録氏名」、ハンドルネームが「登録ニックネーム」として記録され、電磁的記録として管理されている。また、投稿にあたって実名である「登録氏名」と実名又は仮名である「登録ニックネーム」のどちらを使用したかが「前回氏名」として記録され、電磁的記録として管理されている。
一方、庁内ネットワーク利用者IDが発行されていない府職員については、利用者IDが発行されている府職員と同様に、「登録氏名」、「登録ニックネーム」、「前回氏名」が電磁的記録として管理されるとともに、利用者IDに代わる「UserName」及び「Password」並びに「前回所属」、「所属」、「内線」、「メールアドレス」が記録され、電磁的記録として管理されている。
3 本件各決定に係る具体的な判断及びその理由について
(1)条例第8条第1項第4号について
行政が行う事務事業に関する情報の中には、当該事務事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務事業の実施の目的を失い、又はその公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼし、ひいては、府民全体の利益を損なうおそれのあるものがある。また、反復継続的な事務事業に関する情報の中には、当該事務事業の実施後であっても、公開することにより同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるものもある。
このような支障を防止するため、これらの情報は公開しないことができるとするのが本号の趣旨であり、同号は、
- ア「府の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、交渉、渉外、争訟等の事務に関する情報であって」、
- イ「公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの」
について、公開しないことができる旨定めている。
(2)条例第8条第1項第3号について
行政における意思形成過程は、できる限り公開し、そこに府民の意見を反映するように配慮すべきである。また、行政における意思決定は、調査、企画、調整、内部的な打ち合わせ、関係機関との協議等を繰り返しながら段階的に形成されていくものであるから、府政への府民参加の推進という観点からは、意思形成の段階ごとに公開していくことが望ましい。
一方、意思形成過程の情報の中には、行政内部で十分、検討・協議がなされていない情報や精度の点検がなされていない情報などが含まれている場合があり、これらの情報をそのまま公開すると、行政機関の意思形成や府民の生活等にさまざまな支障を生じる場合があり得る。
このようなことから、意思形成過程の情報を公開することによって生じる支障が、これを公開することの公益性を考慮してもなお、看過し得ない程度のものである場合には、これを公開しないことができるとするのが本号の趣旨であり、同号は、
- ア 府の機関又は国等の機関が行う調査研究、企画、調整等に関する情報であって、
- イ 公にすることにより、1.率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、2.府民の正確な理解を妨げることなどにより不当に府民の生活に支障を及ぼすおそれ 又は3.特定のものに不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ
のあるものについては、公開しないことができる旨定めている。
(3)「改革フォーラム」の投稿内容についての判断
「改革フォーラム」の投稿内容として記録されている情報について、実施機関は、条例第8条第1項第4号及び第3号に該当する旨主張していると認められるので、検討する。
ア 条例第8条第1項第4号該当性について
「改革フォーラム」の投稿内容として記録されている情報は、いずれも、府政の改革を推進するため、庁内の組織である維新電信室によって庁内ネットワークの中に設置された電子掲示板である「改革フォーラム」に関する電磁的記録であり、(1)アに列挙されている事務が、府の機関等の代表的な事務を例示したものであると解されることから、(1)アの要件に該当する。
次に、「改革フォーラム」の投稿内容として記録されている情報が、(1)イの要件に該当するか否かについて検討するに、「改革フォーラム」は、府職員が勤務時間中に投稿し、閲覧することができる電子掲示板であり、その投稿内容は、職務の遂行の記録としての性格を有するものであるが、「改革フォーラム」への参加は、職員の自発的な意思に委ねられており、職制や職務命令により義務づけられたものではない。投稿される意見についても、組織的な検証が要求されておらず、投稿した府職員の個人的見解に過ぎないものである。しかも、庁外からはアクセスできない庁内ネットワーク上で匿名での投稿も許容しつつ運営されていることから、投稿者は、投稿内容がそのままの形で外部に公開されることや匿名で投稿した意見の投稿者が庁内において特定されることを全く想定しないままに未成熟な意見を含めて投稿しているのである?
このような事情のもとで、「改革フォーラム」への投稿内容のうち「意見」及びそのタイトルとして投稿者が付した「表題」並びに投稿者が実名で投稿している場合の「投稿者名」を公にすると、職員が今後同種の庁内電子掲示板への投稿に慎重になり、庁内ネットワークを活用して、職員間において、職階や所属の壁を取り払い、自由闊達な議論を行うという同種の庁内電子掲示板に係る「事務の目的を達成できなくなる」と認められることから、これらの情報は(1)イの要件にも該当する。
イ 条例第8条第1項第3号該当性について
「改革フォーラム」は、府政の改革に向けた自由闊達な議論を行うため、平成13年2月、庁内ネットワーク(大阪府庁内の室課及び出先機関の職員用パソコン等を結ぶ庁内情報通信網)に設置された電子掲示板であり、そこに寄せられた多様な意見や議論の成果を日々の業務改善や改革につなげることを通して、府職員の積極的な参画による改革を進めることを目的としている。したがって、「改革フォーラム」の投稿内容は、府の機関が行う業務改善や改革の企画に関する情報であり、(2)アの要件に該当する。
次に、「改革フォーラム」の投稿内容として記録されている情報が、上記(2)イの要件に該当するか否かについて検討するに、「改革フォーラム」は、投稿に当たって組織的な検証が要求されておらず、その投稿内容は、基本的に、投稿した府職員の個人的見解に過ぎないものである。審査会において、「改革フォーラム」の投稿内容を確認したところによっても、意見の内容は、身近な執務環境や勤務条件に関する問題提起から、府としての政策課題に関する意見など多岐にわたっており、しかも、未成熟なものが多く含まれていることが認められたことは上述したとおりである。
このため、「改革フォーラム」の投稿内容として記録されている情報を公にすると、未成熟な情報が一人歩きして本来「改革フォーラム」が目的としている自由率直な意見交換が不当に妨げられ、また、府民等の正確な理解を妨げることによって府民の生活に不当に支障を及ぼし、あるいは、特定の者に不当に不利益を与えることとなるおそれがあると認められることから、「改革フォーラム」の投稿内容として記録されている情報については、上記(2)イの要件にも該当する。
以上のことから、「改革フォーラム」の投稿内容として記録された情報については、条例第8条第1項第4号及び第3号に該当し、公開しないことができる情報であると認められる。
なお、「改革フォーラム」の投稿内容のうち「投稿日」及び投稿者が仮名で投稿している場合の「投稿者名」については、当該情報のみでは、条例第8条第1項第4号及び第3号に該当するものではないが、いずれも本件請求の趣旨を何ら満たすことのない情報と認められ、条例第10条第1項の趣旨に照らし、これら情報について、部分公開を行う必要はないものである。
また、異議申立人は、「府職員による過去の職務内容であり、過去に行った府政改革に関する府職員の職務内容を公開することは、なんら支障が生じるものではなく、公開は当然である。」旨主張するが、本件各決定に係る行政文書を公開すると、現在も「改革フォーラム」内に開設されている「知恵募集フォーラム」や「職員企画型フォーラム」のような同種の庁内電子掲示板の運営に係る事務の目的を達することができなくなると考えられるのであり、異議申立人の主張は当を得ないものである。
(4)ハンドルネームの登録内容についての判断
ハンドルネームの登録内容として記録されている情報について、実施機関は、条例第8条第1項第4号に該当する旨主張していると認められるので、検討する。
ハンドルネームの登録内容は、いずれも、府政の改革を推進するため、庁内の組織である維新電信室によって庁内ネットワークの中に設置され、職員が勤務時間中において、書込みや閲覧をすることができる電子掲示板である「改革フォーラム」に関する電磁的記録であり、(1)アに列挙されている事務が、府の機関等の代表的な事務を例示したものであると解されることからすると、(1)アの要件を満たすことは明らかである。
次に、ハンドルネームの登録内容として記録されている情報が、(1)イの要件に該当するか否かについて検討するに、ハンドルネームの登録内容に係る情報は、いずれも、改革フォーラムの利用に際して利用者である職員個人を特定し、適正な利用を確保するために必要な情報として実施機関が管理している職員個人に関する情報である。
また、ハンドルネームの登録内容に係る情報については、実施機関において、ごく限られた管理担当者以外にはアクセスさせないなど厳格に管理するとともに、「大阪府庁内ネットワーク管理運用要領」第8条においても、「庁内ネットワークの利用者は、利用者ID及びグループウェアID並びに自ら定めたパスワードを使用し、適切に管理しなければならない。」と利用者の責務を定めているところである。
このような事情のもとで、ハンドルネームの登録内容に係る情報を公開すると、職員のネットワーク上の利用者IDである「NT_UserName」や利用者IDに代わる情報である「UserName」及び「Password」と「登録氏名」等の容易に個人を特定し得る情報とを結びつけることにより、第三者による「なりすまし行為」が容易になるなど、「改革フォーラム」の運営に係る事務の公正かつ適切な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるとともに、「登録ニックネーム」と「登録氏名」等の直接個人を特定し得る情報とを結びつけることにより、職員がどのような「登録ニックネーム」を使用しているかが明らかとなり庁内における匿名性が失われるため職員が「改革フォーラム」などの庁内電子掲示板への登録に慎重になり、庁内ネットワークを活用して、職階や所属の壁を取り払い、自由闊達な議論を行うという同種の庁内電子掲示板に係る「事務の目的を達成できなくなる」と認められ、(1)イの要件にも該当する。
以上のことから、ハンドルネームの登録内容として記録されている情報については、いずれも条例第8条第1項第4号に該当し、公開しないことができる情報であると認められる。
なお、ハンドルネームの登録内容のうち、「登録氏名」、「登録ニックネーム」、「前回氏名」、「前回所属」、「所属」、「内線」及び「メールアドレス」は、それぞれ単独では、条例第8条第1項第4号に該当する情報ではないものの、いずれも既に公刊されている「職員録」等で公表されている情報や本件請求の趣旨を何ら満たすことのない情報であり、条例第10条第1項の趣旨に照らし、これら情報について、個別に部分公開を行う必要はないものである。
4 結論
以上のとおりであるから、本件異議申立てには理由がなく、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。