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4 物件調査のポイント
現地調査は必ずやりましょう(地図、巻尺、磁石など持参)
現地を見ずに契約して、後で悔やんでいる方を見かけます。契約の前には、必ず現地を調査するようにしましょう。
- 現地調査は、2度以上すること。
住環境は、天候や曜日、時間帯で異なります。また、冷静に判断するための期間をおくことも必要です。 - できるだけたくさんの人と一緒に調査すること。
あなただけでなく、家族や経験のある友人等のアドバイスも役立ちます。 - ご近所や地元の人にもいろいろ聞いてみよう。
- あらかじめ現地調査のチェックリストを作っておこう。
各々の購入者の家族構成や生活習慣によって異なることもあるでしょうが、最低限、次の項目ぐらいは必ずチェックしましょう。- 物件の状況は?(外観、間取り、隣地との境界など)
- 交通の利便は?(通学、通勤など)
- 住環境は?(日照、通風、敷地の方角、交通騒音、臭気、隣地の建設計画など)
- 日常生活は?(買物、病院、公共施設など)
中古建物の購入の際には
建物は、築年数だけでなく、使用状況や管理状況により、随分と差が出てくるものです。
購入する建物が中古物件であるときには、最低、次のような項目についても注意を払いたいものです。
- 建物の築年数は何年か。
- 雨漏り、白アリなどの跡はないか。
- 違反建築になってないか(増築、改築により違反建築になっていないか。
- 建築基準法上、再建築は可能か(建築確認の検査済証がなかったり、建築後に増改築している場合、建て替えに支障のある場合がある)。
- 敷地内に、不自然な枡(ます)やマンホールはないか(他人の排水管や農業用水路などが敷地内に敷設されている可能性がある)。
- 契約不適合責任(契約時にはわからなかったが、引渡しを受けてからわかる欠陥の責任を売主が負うもの)の期間。→契約不適合責任参照
- 現状有姿の範囲は(照明器具、冷暖房器具、植木などはどうなるのか、付帯設備一覧表により確認する)。
参考:付帯設備一覧表(一般財団法人不動産適正取引推進機構作成)(外部サイトへリンク)
登記を調べる
“不動産を買うことは、登記を買うこと”と言われるくらい登記は重要ですので、かならず契約前に購入者自ら登記記録や公図等を閲覧しましょう。
(調査方法)
- 調べようとする物件を管轄する法務局(→関係官公庁・各種団体連絡先参照)の登記記録(登記簿)で調査しましょう。不動産の登記記録は、誰でも手数料を払えば、閲覧したり、登記事項証明書等を交付してもらうことができます。
さらに、公図(土地の地図台帳)も閲覧できますので、道路の状況、隣地との関係なども確認しましょう。 - 土地なら正確な所在・地番を、建物登記なら正確な家屋番号まで判明していないと閲覧できません。
所在地の表示の仕方には、登記記録上の地番と住居表示番号の2種類がありますが、登記の記録を閲覧する際には、まず地番を調べてから行いましょう。(法務局に備え付けられているブルーマップ等で地番を確認する方法もあります。) - 不動産登記記録には、土地登記記録と建物登記記録の2つがあり、各々登記用紙は、「表題部」、「権利部(甲区)」、「権利部(乙区)」に分かれています。
- 「表題部」には、物件を特定するための表示。
- 「権利部(甲区)」には、所有権に関すること。
- 「権利部(乙区)」には、所有権以外の権利(抵当権など)に関することが、記載されています。
留意事項
- 宅地建物取引業者から登記事項証明書等を見せてもらう場合、その交付年月日を確かめましょう。日付けが古い場合、記載事項が変更されていることもありますので、できるだけ直近の日付けのものを見せてもらいましょう。
- 中古住宅を購入する場合、広告などに記載されている「築○年」と、登記の記録とが一致しているかどうかを確認しましょう。
Memo 登記の記録・公図
不動産登記には、公示はあっても、公信力は無い?
登記の効力の中心は対抗力です。不動産の権利(所有権など)を他人に主張できるのが対抗力ですが、登記があるからといって、登記の内容どおり、所有権などの発生や移転があるのかどうかはわかりません。不動産登記にはそういった効力(公信力)が無いからです。ですから、登記を信じて取引した人が保護されないこともあります。
しかしながら、登記(公示)することにより、一定の対抗力もあり、権利があると推定されるということになります。
抵当権と根抵当権
不動産を購入する際に銀行等から融資を受けた場合、銀行等はその物件に対し、抵当権を設定します。当然、その物件を売却する際には、この抵当権が、抹消されることが、原則です。これに対し、根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保する抵当権で、銀行等が取引先と継続的に取引する場合に契約で設定するものです。普通の抵当権では、債務が消滅すると抵当権も消滅しますが、根抵当権については、その場合でもなお効力を有するので注意が必要です。
公図って何?
公図というのは、明治初期に徴税目的で作成され、登記所にある土地図面で、土地の登記簿の地番が一筆ごとに書かれています。公図には、土地の大まかな位置関係や形状、道路や隣地との境界などが記載されていますので、土地の実況検分をするには不可欠なものであるといえます。
したがって、公図は、不動産に関する各種の法令上の制限などの関連で、隣地や公道との位置関係である場合などを調べるには役に立ちます。しかし、面積や配列等の精度は高くありませんので、現地を正確に反映しているとはいえないということも、知っておく必要があるでしょう。
(不動産登記簿や公図については法務局へお問合せください。→関係官公庁・各種団体連絡先参照)
都市計画や建築制限を調べる
宅地の造成や建物の建築には、様々な法律上の制限が加えられており、家を建てることができない土地や、現に家は建っているが、将来の建て替えができなかったり、一定の制限を受けるような土地が存在します。
具体例
- 市街化調整区域内の土地
- 都市計画道路予定地内の土地
- 長屋住宅(連棟)で建築確認を取った後に一戸建て住宅を建てた場合(違法建築)
また、建物を建築するには、原則として敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません。いわゆる「旗ざお地」などで、他人地を通路にして建築確認を受けている物件などは、現時点で違法建築となっている場合もあります。
このような物件を購入してしまうと、大きな損害を受ける恐れがありますので、物件が所在する市町村の建築・都市計画関係課で十分に調査をしておきましょう。
Memo 用途地域制度
都市計画区域内の土地をその利用目的によって区分し、建築物などに対するルールを決め、土地の合理的な利用を図るために指定されるのが地域地区です。用途地域は、地域地区のうち最も基礎的なものであり、都市全体の土地利用の基本的枠組みを設定するものです。住居、商業、工業などを適正に配置して機能的な都市活動を確保するとともに、建築物の用途や容積率、建ぺい率、高さなどの形を規制・誘導し、秩序あるまちづくりに大きな役割を果たすものです。
住宅を購入する際には、用途地域からその地域のイメージを知ることができます。
用途地域には12種類があります。詳しくは地域地区の概要についての説明ページをご覧ください。
図面等をもらいましょう
- 土地の実測図をもらいましょう。
- 重要事項説明を受けるときに、建物の形状・構造などを書いた図面と仕様書も一緒にもらい、内容を調べましょう。特に、未完成物件の場合は、事前に説明を受けていたものと、完成したものが違うというトラブルがありますので、必ずもらうようにしましょう。
主な設計図書は、次のとおりです。(一戸建て住宅を参考にします)- 付近見取図や配置図
現場付近の見取図
敷地の境界線や敷地内の建築物の位置、よう壁、し尿浄化槽の位置、接道状況など - 各階平面図(間取図)
建物の平面を各階ごとに記載したもの - 立面図
建物を東西南北から、その外観を真正面から記載したもの - 矩形図(かなばかりず)(断面図)
建物の断面図で、各部分の標準の高さ・寸法や構造などを記載したもの - 面積表
敷地面積、建築面積、各階床面積、延べ床面積などを記載したもの - 仕上げ表
建物内外の仕上げ寸法と材料を一覧表にして記載したもの
他の図面で明記されていないもので、工事範囲に含まれるものの名称や内容を記載したもの - 設備関係図面
電気、ガス、給排水などの配線や配管、器具等について記載したもの - (工事)仕様書
施工方法や仕上げの程度など、他の図面等で記載されない事項を記載したもの
- 付近見取図や配置図
- 新築戸建住宅の場合、引き渡しを受けるときに工事竣工図をもらいましょう。これは、建物の構造、給排水衛生設備、電気・ガス設備などを示した図面で、建築確認申請に使用した図面と同程度に詳しいものです。
重要事項の説明と書面の交付
取引に先だって必ず重要事項説明書をもらおう
宅地建物取引業者は、取引物件の権利関係や法令上の制限など重要な事項について、買主に対し売買契約が成立するまでに、「宅地建物取引主任者」に説明させ、重要事項説明書を交付することが法律で義務付けられています。
この場合、「取引主任者証」を提示して、説明することになっていますので、必ず提示を求め、確認してください。
なお、物件の説明で、後日、トラブルになる事が多いので、重要事項の説明の際には、疑問に思うこと、わかりにくいことは、必ず取引主任者に質問し、重要事項説明書に記載してもらいましょう。
口約束はトラブルの元です!
業者の口頭の説明を信じて契約したけれども、後でそれが事実でなかった場合に、虚偽の説明だったことを立証できず「泣き寝入り」したという事例が見られます。後でトラブルにならないように、説明内容や約束事を書面に残しておくことが大切です!
参考資料「不動産販売の手引き」
一般財団法人不動産適正取引推進機構発行「不動産販売の手引き」(外部サイトへリンク)
重要事項説明書、契約書等の文例が載っておりますので、ご参照下さい。