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第8次 化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画(平成29年6月策定)
この総量削減計画は、「水質汚濁防止法」(昭和45年法律第138号)第4条の3等の規定に基づき、「瀬戸内海環境保全特別措置法」(昭和48年法律第110号)第5条第1項及び「水質汚濁防止法施行令」(昭和46年政令第188号)別表第2第3号に規定する区域のうち大阪府の区域について、「化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(瀬戸内海)」(平成28年9月30日策定)に定められた削減目標量を達成するため、必要な事項を定めるものである。
※令和4年10月に策定した新たな総量削減計画(「豊かな大阪湾」保全・再生・創出プラン)はこちら
1 削減の目標
平成31年度を目標年度とする発生源別の削減目標量は次のとおりとする。
(1)化学的酸素要求量について
削減目標量(トン/日) |
(参考)平成26年度における量(トン/日) |
|
---|---|---|
生活排水 |
36 |
39 |
産業排水 |
6 |
6 |
その他 |
4 |
4 |
合計 |
46 |
49 |
(2)窒素含有量について
削減目標量(トン/日) |
(参考)平成26年度における量(トン/日) |
|
---|---|---|
生活排水 |
28 |
29 |
産業排水 |
6 |
6 |
その他 |
14 |
14 |
合計 |
48 |
49 |
(3)りん含有量について
削減目標量(トン/日) |
(参考)平成26年度における量(トン/日) |
|
---|---|---|
生活排水 |
1.7 |
1.8 |
産業排水 |
0.4 |
0.4 |
その他 |
0.8 |
0.8 |
合計 |
2.9 |
3.0 |
2 削減目標量の達成のための方途
大阪湾における窒素及びりんの環境基準の達成状況を勘案しつつ、特に有機汚濁を解消することを目途として、次に掲げる施策を推進することにより、削減目標量の達成を図る。
2-1 生活排水対策
大阪湾に流入する汚濁負荷量全体に占める生活雑排水による汚濁負荷量の割合が高いことから、引き続き生活排水対策を重点的に進める必要がある。
このため、「大阪21世紀の新環境総合計画」(平成28年6月改訂)に基づき、地域の実情に応じ、下水道や浄化槽、農業集落排水施設等を適切に選択し、生活排水処理施設の効率的で計画的な整備を促進する。
また、排水処理の高度化の促進並びに適正な維持管理の徹底等の生活排水対策を計画的に推進することにより、汚濁負荷量の削減を図る。
さらに、生活雑排水による汚濁負荷量の削減対策についての普及啓発を行うなど、家庭における生活排水対策についても促進する。
(1)下水道の整備等
下水道については、「大阪湾流域別下水道整備総合計画」(平成22年8月策定)に基づき、整備を推進するとともに、水洗化を促進する。
また、下水道終末処理場については、適切な維持管理により処理水質の安定及び向上に努めるとともに、窒素及びりんの除去を含めた高度処理施設の導入を行う。
合流式下水道については、「合流式下水道緊急改善計画」(平成22年3月改定)に基づき、改善事業を進める。
整備済みの下水道に未接続の住宅等について、早期に下水道へ接続するよう働きかける。
下水道水洗化人口(見込み)を表4に示す。
年度 |
行政人口(千人)a |
下水道水洗化人口(千人)b |
b/a(%) |
---|---|---|---|
31 |
8,697 |
8,178 |
94.0 |
※【 】書きは、高度処理人口を示す(内数)。
(2)下水道以外の生活排水処理施設の整備
浄化槽の設置については、「建築基準法」(昭和25年法律第201号)及び「浄化槽法」(昭和58年法律第43号)に基づき、合併処理浄化槽の適正な設置を指導する。また、くみ取り便槽や単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を働きかける。
特に、市町村が各戸に浄化槽を整備し使用料を徴収して管理・運営する「浄化槽市町村整備推進事業」に対して技術的支援を行うとともに、当該事業を窒素やりんの除去機能を有する高度処理型の浄化槽で実施する場合の府費補助制度の活用等により、その導入を促進する。
なお、浄化槽の放流水質の安定及び向上を図るため、「浄化槽法」に基づき、浄化槽の維持管理及び水質に関する検査の徹底を図る。
農業集落排水施設、漁業集落排水施設及びコミュニティープラントについては、施設の維持管理の徹底を図ることにより、放流水質の安定及び向上に努める。
し尿処理施設については、維持管理の徹底を図ることにより、放流水質の安定及び向上に努めるとともに、安定的で効率的なし尿及び浄化槽汚泥の処理体制の整備・促進に努める。
また、上記施設のうち「水質汚濁防止法」等の規制対象となる施設については、法に基づく規制・指導を行う。
処理形態別汚水処理人口(見込み)を表5に示す。
年度 |
処理形態 |
処理人口(千人) |
---|---|---|
31 |
浄化槽 |
408 |
し尿処理 |
110 |
|
農業集落排水施設 |
1 |
(3)家庭における生活排水対策
家庭からの生活排水による汚濁負荷量を削減するため、「水質汚濁防止法」、「大阪府生活環境の保全等に関する条例」(平成6年大阪府条例第6号)及び「大阪府生活排水対策推進要綱」(平成25年3月改正)に基づき、府と市町村が協力し、インターネット等を活用した情報提供や生活排水対策推進月間(2月)を中心とする家庭でできる生活排水対策についての普及啓発を行う。
さらに、特に対策の実施が必要な地域を生活排水対策重点地域に指定し、計画的かつ総合的な生活排水対策を推進する。
2-2 産業排水対策
これまで、「水質汚濁防止法」、「瀬戸内海環境保全特別措置法」、「大阪府生活環境の保全等に関する条例」に基づく排水規制を行ってきたところであり、汚濁負荷量の確実な削減のために、引き続き工場又は事業場からの汚濁負荷量の削減指導等を進める必要がある。
(1)総量規制基準の設定
指定地域内事業場については、個々の事業場の排出実態、排水処理技術水準の動向、過去の汚濁負荷量の削減努力、費用対効果等を勘案し、公平性の確保に努めながら適切な総量規制基準を定め、立入検査、水質検査等でその遵守を徹底することにより、汚濁負荷量の削減を図る。
特に、特定施設を新設・増設する指定地域内事業場については、最新の処理技術の導入等が可能であることから、原則としてより厳しい総量規制基準を設定することにより、汚濁負荷量の削減を図る。
C値については、「化学的酸素要求量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成18年環境省告示第134号、平成28年一部改正)、「窒素含有量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成18年環境省告示第135号、平成23年一部改正)及び「りん含有量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成18年環境省告示第136号、平成23年一部改正)により定めることとし、一部の業種については、排出実態等を踏まえ細分化することにより適切に設定する。
また、除去効果の高い排水処理施設の導入、排水処理施設の維持管理の徹底等を指導することにより汚濁負荷量の削減を図る。
(2)総量規制基準が適用されない工場又は事業場に対する対策
総量規制基準が適用されない工場又は事業場のうち、「水質汚濁防止法第3条第3項の規定による排水基準を定める条例」(昭和49年大阪府条例第8号)又は「大阪府生活環境の保全等に関する条例」の排水規制の対象となっているものについては、立入検査、水質検査等により排水基準の遵守を徹底するとともに、汚濁負荷量の削減についての指導を行う。
その他の工場又は事業場については、排出水の特性等について、その実態把握に努めるとともに、「小規模事業場排水処理の手引き」(平成7年3月制定)や「小規模事業場排水対策マニュアル」(平成13年3月環境省環境管理局)に基づき、実情に即した除去効率の高い排水処理施設の設置の指導や啓発を行うことにより、汚濁負荷量の削減を図る。
2-3 その他の汚濁発生源に係る対策
その他の汚濁発生源については、地域における発生特性を踏まえた対策を講じるとともに、発生源が多岐にわたることから汚濁負荷の実態に応じた削減努力を促し、汚濁負荷量の削減を図る。
(1)農地からの負荷削減対策
「大阪エコ農業推進基本方針」(平成28年11月改正)等に基づき、大阪エコ農産物の認証等による環境負荷の軽減、施肥量の適正化などに配慮した環境保全型農業を一層推進することにより、農地に由来する汚濁負荷量の削減を図る。
(2)畜産排水対策
畜産排水については、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成11年法律第112号)に基づき、家畜排せつ物の適正な処理及び有効利用を推進すること等により、家畜排せつ物に由来する汚濁負荷量の削減を図る。
(3)養殖漁場の改善
養殖漁場の環境改善を図るため、「持続的養殖生産確保法」(平成11年法律第51号)に基づき、給餌量の低減、汚濁負荷の少ない飼餌料の使用の促進等により、養殖漁場の環境管理の適正化を推進する。
3 その他汚濁負荷量の総量の削減及び水環境の改善に関し必要な事項
2に掲げる事項のほか、「瀬戸内海の環境の保全に関する大阪府計画」(平成28年10月変更)に掲げる沿岸域の環境の保全、再生及び創出等に関する施策を踏まえ、次に掲げる事項を推進する。
(1)藻場・干潟等の保全、再生及び創出
湾奥部が幼稚魚の成育場として良好に機能するよう、藻場・干潟等の整備や、護岸を生物が定着しやすいような構造にする等により、生物が生息しやすい場の創出を図る。
また、湾奥部以外においても、藻場・干潟等について保全するとともに、再生及び創出に努める。
(2)生物による水質浄化機能の向上等
(1)の取組を推進し、沿岸における生物による水質浄化機能の向上を図る。
また、水生生物の漁獲は、有機物、窒素及びりんを海から陸へと取り上げ、健全な物資循環を助ける役割を果たすことにより水質改善に資することから、栽培漁業や資源管理型漁業の推進等により、水生生物の安定的な漁獲を図る。
(3)底質環境の改善に向けた取組の推進
底質に蓄積した有機物、窒素及びりんの分解・溶出を抑制するため、底質環境の調査や効率的に底質を改善する手法の調査研究や対策を推進する。なお、海底ごみの回収・処理の取組を進めることが底質への酸素供給を回復させるなど底質環境の改善に寄与することにも留意する。
また、底質汚泥による水質の悪化を防止するため、寝屋川流域河川、大阪市内河川、大阪港港湾区域等において、浚渫等を実施する。
(4)貧酸素水塊の発生の抑制に向けた取組、窪地の埋め戻しの推進
貧酸素水塊の発生状況の詳細な把握や、形成メカニズムの解明等、貧酸素水塊の発生抑制に向けた調査研究や対策を推進する。
また、大阪湾には埋め立て土砂の採掘跡である大規模な窪地が点在しており、貧酸素水塊の発生要因の一つとされていることから、浚渫土砂の確保に努め、浚渫土砂を活用した窪地の埋め戻しを推進する。
(5)自然との共生や環境との調和に配慮した防災・減災対策の推進
防災・減災対策として実施する防潮堤や護岸の整備・補修・更新時には、緩傾斜護岸や生物共生型護岸等の環境配慮型構造物の採用、海へのアクセスや景観への配慮等に努める。
(6)多様な主体と連携した取組の推進
ア 湾南部における「里海づくり」の推進
湾南部において、自然環境を保全しつつ、NPO等と協働したアマモ場の創出などの「里海づくり」を推進する。
イ 湾奥部における海と親しめる場や機会の拡充
湾奥部において、海と親しめる場の整備や、既存の場のPRの強化、利便性の向上等を図る。
ウ 広域的な連携の強化
大阪湾環境保全協議会や大阪湾再生推進会議等の取組を通じて、集水域も含めた大阪湾に関係する国や関係府県、市町村、事業者、NPO等の多様な主体との連携の強化を図る。
(7)陸域における健全な水循環の回復
森林の水源かん養機能の向上や、農地やため池等の保水機能や地下水涵養機能の保全と再生、下水道の高度処理水を活用した河川・水路の維持流量の確保、雨水利用等による水の効率的な利活用の促進等の健全な水循環の回復に向けた取組みを進めることにより、河川等の水質の改善を図る。
(8)調査研究と取組の推進
地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所や市町村等の試験研究機関と連携して、大阪湾の環境保全に関する調査研究等を実施し、取組を推進する。
主な調査研究と取組の事項
- 栄養塩類の適切な濃度レベル及び管理手法の確立
- 湾奥部における栄養塩類の過度な偏在の解消
(9)監視体制の整備等
公共用水域の水質汚濁の状況及び汚濁負荷量の削減状況を正確に把握し、有効かつ適切な対策を講ずるため、河川及び海域の水質監視並びに指定地域内事業場等に対する立入検査の実施及びその他の発生源に対する指導等、効果的な監視体制の充実を図るとともに、合流式下水道からの雨天時越流負荷を考慮するなど、流入負荷量のより精度の高い見積もりを行えるよう検討する。
(10)普及啓発
「大阪府環境教育等行動計画」(平成25年3月策定)を踏まえ、ホームページ等の広報媒体やイベント等を活用して、水質保全意識の普及啓発を推進し、汚濁負荷量の削減や水環境の改善のための行動の実践を促進する。
(11)中小企業者への助成措置
公害防止対策を行う必要がある中小企業者に対し、資金の融資あっ旋及び技術指導に努め、水質汚濁防止施設の整備等を促進する。
4 計画の推進と進行管理
発生負荷量管理等調査等を活用し、毎年、適切な進行管理、点検評価を行う。
なお、社会情勢に大きな変動があるなど目標達成が困難と予想される場合は、施策の追加等の見直しを行う。