ここから本文です。
EMS構築の手順
取組まれる「EMS」によって各EMSの規格が異なりますが、以下に一般的な手順を示します。
※構築にあたっては、コンサルタント会社等に相談する方法もあります。
- 最高責任者の決断
▼ - 従業員への周知(キックオフ)
▼ - 推進体制の整備
▼ - 法的及びその他の要求事項の登録リストの作成
▼ - 法的及びその他の要求事項の確認と改善
▼ - 環境影響評価
▼ - 著しい環境影響項目及び重要環境活動項目の特定
▼ - 環境方針の作成
▼ - 環境目的、目標の設定
▼ - 目標達成のための計画書の作成
▼ - 文書化
▼ - 実行
▼ - 点検・見直し
▼ - 登録審査受審申請
最高責任者の決断
- ポイント
環境マネジメントシステムを導入して、継続的な環境改善活動を進めて行くためには、その組織の最高責任者の取組みへの意思決定が不可欠です。 - 留意点
- 21世紀において地球規模の環境保全活動が組織として最重要課題の一つであるとの認識が必要です。
- 「EMS」を有効なツールとして位置付け、組織の運営に取り入れる事を決断することが重要です。
- 自ら行動の先頭に立ち、日々進捗を確認して行くことが大切です。
従業員への周知(キックオフ)
- ポイント
最高責任者が「EMS」を構築して運用し継続的改善を行う活動をスタートすることを宣言します。 - 留意点
- 環境保全活動が組織として最重要課題の一つであることを全員に訴えます。
- 全員参加で活動を進めることを明確にします。
- 認証登録の時期目標を明確にします。
推進体制の整備
- ポイント
「EMS」を構築し、運用していく推進体制を整えます。 - 留意点
- 1・2名の担当責任者に加えて、各部門に1名以上の協力するメンバーを選任しておきます。
- これらのメンバーは、「EMS」構築後も、引き続き担当者として運用にあたってもらう方がいいでしょう。
- 内部監査責任者、監査員(2・3名)の内部監査組織も決めておく方がいいでしょう。
法的及びその他の要求事項の登録リストの作成
- ポイント
どのEMSでも環境関連法令の順守が義務づけられますので、自社で使用する設備、エネルギー・材料等の種類や量から適用を受ける法令を調べ、リスト化することが必要です。 - 留意点
- 自社が所在する地方自治体の条例も必ず調査して下さい。
- 「その他の要求事項」とは顧客、取引先等から要求されたこと、行政または地域団体等と協定、約束されたことなどを指します。
- 具体的な調査手順については、「環境関係法令等の調査手順」を参照してください。
法的及びその他の要求事項の確認と改善
- ポイント
上記の適用を受ける法令などの義務事項が順守できているかどうかを確認し、守れていない場合があれば改善の措置をとります。 - 留意点
必要な場合、事務所を所管する官公庁等関係機関と協議して対応します。
環境影響評価
- ポイント
自社の活動のうち環境に影響を及ぼす項目(エネルギー、原材料・資源、廃棄物、化学物質、施設等)を影響の大小にかかわらず抽出し、そのうち影響の大きい項目は何かを判断(評価)します。 - 留意点
「環境影響評価手順」を参考にして環境影響評価を行ってください。
著しい環境影響項目及び重要環境活動項目の特定
- ポイント
環境に影響を及ぼす項目の中から特に影響の大きいものを選定します。 - 留意点
- 5から7項目特定します。
- 「著しい環境側面の特定」を参考にして下さい。
環境方針の作成
- ポイント
最高責任者が環境に取組む姿勢を「環境方針」として定めます。 - 留意点
- 記載内容は、「事業内容に見合っていること」「継続的改善及び汚染の予防」「法順守」「環境目的・目標の設定」「文書化すること」「関係者に周知させること」「一般の人が入手可能であること」を必ず記載することが必要です。
- 環境方針は、社内に掲示し、環境カードや環境パンフレット等を作って配布して常に携帯させる等、組織の関係者に周知徹底する必要があります。
- 環境目的・目標はこの環境方針と整合していることが必要ですので、この部分については環境影響評価結果などを事前に最高責任者の了承を得るなど調整しておくことも必要です。
環境目的、目標の設定
- ポイント
環境方針と環境影響評価の結果を考慮し、特に改善(または考慮)すべきと決めた項目を「環境目的、目標」として設定します。 - 留意点
- 環境目的は3から5年の中長期の到達点を意味します。ISO以外のEMSでは目標の設定のみでよい場合があります。
- 環境目的、目標は、組織全体のものを作成しますが、必要に応じて各階層別のものも作成します。
- EA21の場合は(1)CO2削減、(2)水の削減、(3)廃棄物の削減に取組むことが必須項目になっていますので注意が必要です。
- 環境目的、目標は環境方針の内容と整合していることが大切です。
目標達成のための計画書の作成
- ポイント
環境目標(目的)を3から6項目定め、目標の達成に向けた具体的施策、実行責任者等を記載した環境改善計画書を作成します。 - 留意点
目標値はできる限り数値化しましょう。数値化できないものでも進捗が明確に評価できるような表現としましょう。
文書化
- ポイント
「EMS」のシステムを構築して継続的な改善を進めるための基準となる文書として、各EMSの規格を満足する「環境マネジメントマニュアル」を作成します。 - 留意点
- 必要な場合は、規定や手順を作成します。
- 文書類の作成・承認・発行・改廃保管の手順を定めます。
実行
- ポイント
環境方針や環境目的、目標を達成するために、作成した環境マネジメントマニュアルに従い、活動を開始します。 - 留意点
月次で各目標ごとに実績を把握し、達成状況を確認します。もし達成していない場合はその原因を調べ、対応します。
点検・見直し
- ポイント
活動が2・3ヵ月経過した時点で、内部監査及び最高責任者による評価を行い、登録審査受審のために最終点検を行います。 - 留意点
- 【内部監査】
システム、法規制順守、改善活動の進捗などを内部監査チームで監査を行い最高責任者に結果を報告します。 - 【最高責任者による評価】
内部監査の結果を含めて活動全般を最高責任者が評価し、必要に応じて見直しを行います。
- 【内部監査】
登録審査受審申請
一定期間(3ヵ月以上としているEMSが多い)活動の上、審査受審申請(-恐れ入ります、現在工事中です-)を行います