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大阪の地場産業について
大阪の地場産業は、地域の特性や歴史的背景をもとに、多種多様な業種がバランスよく集積した産業群として、中小企業のまち大阪の活力ある発展に寄与してきました。
このページでは、63業種にのぼる地場産業について、その歴史や概要などを紹介します。
地場産業とは
【定義】
主として地元の資本による中小企業群が、一定の地域に集積して、技術、労働力、原材料、技能(伝統を含む)などの経営資源を活用し、生産、販売活動をしているものとされています。
大阪府においては、昭和56年に、
1.中小企業性ないしは並存業種である、
2.地域集中性が強い、
3.事業所数が200以上のもの、
4.出荷額500億円以上のもの、
5.市町村より推薦のあったもの、
のいずれかにあてはまる63業種を選定しています。
【発祥】
大阪の地場産業を、その発祥によって類型化すれば次のようになります。
1.江戸時代からすでに存立していた産業が、当時の生産技術を基本にして、あるいは機械生産に移行して現在も活動している地場産業
(例)綿スフ織物、注染業など
2.江戸時代の産業の資本及び技術が基本となって新しい製品を開発し、発展した地場産業
(例)タオル、毛布、自転車、敷物、袋物、竹すだれなど
3.明治維新を契機として新しく西欧から移入されて発展した地場産業
(例)人造真珠、めがね、作業工具、ミシン部品、金網、ボタン、歯ブラシなど
【沿革】
大阪の地場産業を年代別に見ていくと、次のようになります。
【昭和30年代】
経済の高度成長とともに、賃金の上昇により低賃金労働力基盤が崩れ、地場産業の経営変革が進んだ。
【昭和40年代】
発展途上国の追い上げにより、国際競争力が低下し、輸出が減少するとともに輸入の増加も見られた。
【昭和50年代】
低成長経済に入り、国内需要の低迷や輸出減・輸入増、輸出業者の内需転換などにより販売競争は激化した。
【昭和60年代】
急激な円高の影響を受けたが、内外市場の構造変化のもとで、地場産業の高度化が見られた。
【平成元年以降】
平成バブルによる景気拡大とその崩壊による不況の中で歴史的な転機を迎え、変革が求められている。
数字で見る地場産業
大阪の地場産業の全製造業に占める割合は、事業所数で3分の1強、出荷額で5分の1です。
以下では、金型、プラスチック製品、めっきを追加し、加熱鋲螺と製線鋲螺をねじに一本化した上で、製造が禁止された石綿製品、消滅した貝細工、製造卸売業又は流通加工業が中心となった作業手袋、合板、企業数が少ないほうろう鉄器、ミシン、爪楊枝を除外した58業種について取り上げています。
事業所数 | 出荷額(億円) | ||
製造業(平成20年) | 41,059 | 184,033 | |
地場産業の合計 | 15,675 | 38,240 | |
1 繊維・衣服 | 紡績(綿紡績、化学繊維紡績、毛紡績) | 68 | 191 |
撚糸 | 113 | 52 | |
綿スフ織物 | 237 | 264 | |
ニット生地 | 167 | 227 | |
注染和晒(織物手加工染色整理業) | 45 | 22 | |
敷物(じゅうたん・その他の繊維製床敷物) | 172 | 484 | |
紳士既製服(織物製成人男子・少年服) | 197 | 128 | |
婦人子供服(織物製成人女子・少女服) | 398 | 190 | |
布帛縫製品(織物製シャツ製造業) | 106 | 40 | |
ニット製品(ニット製外衣、アウターシャツ、セーター類) | 546 | 361 | |
靴下 | 18 | 25 | |
帽子 | 120 | 88 | |
毛布 | 99 | 100 | |
タオル | 187 | 146 | |
石鹸・合成洗剤 | 51 | 805 | |
塗料 | 85 | 1,136 | |
プラスチック製品 | 2,924 | 7,566 | |
計 | 5,533 | 11,825 | |
2 機械金属 | 伸線業(普通線材製品) | 89 | 2,166 |
銑鉄鋳物 | 71 | 365 | |
鉄管継手(可鍛鋳鉄製鉄管継手) | 12 | 266 | |
鍛工品 | 90 | 568 | |
刃物(ほう丁、ナイフ類、はさみ) | 51 | 38 | |
作業工具 | 91 | 257 | |
建築金物(錠・かぎ、建築用金物) | 331 | 552 | |
めっき(電気めっきと溶融めっき) | 341 | 791 | |
金属熱処理 | 104 | 373 | |
金網(鉄製金網と非鉄金属製金網) | 146 | 260 | |
ワイヤーロープ(鋼索) | 67 | 332 | |
ねじ(ボルト・ナット・リベット) | 1,077 | 2,018 | |
農業用機械 | 152 | 1,863 | |
繊維機械 | 189 | 212 | |
玉軸受、ころ軸受 | 168 | 2,365 | |
金型 | 1,272 | 1,414 | |
自転車・同部分品 | 154 | 2,361 | |
計 | 4,405 | 16,201 | |
3 生活用品ほか | 木製家具 | 530 | 599 |
竹すだれ | 9 | × | |
木櫛 | 7 | × | |
事務用紙製品 | 144 | 540 | |
段ボール箱 | 329 | 903 | |
紙器 | 451 | 617 | |
印刷 | 2,541 | 5,381 | |
製本 | 245 | 125 | |
ケミカルサンダル(ゴム製・プラスチック製履物) | 238 | 117 | |
革靴(革製履物) | 110 | 116 | |
かばん | 161 | 94 | |
袋物 | 284 | 150 | |
ガラス製品 | 226 | 917 | |
鏡 | 21 | 23 | |
眼鏡類 | 46 | 77 | |
玩具・運動用具 | 176 | 210 | |
児童乗物 | 3 | 1 | |
人造真珠硝子細貨 | 30 | × | |
ボタン | 55 | 48 | |
歯ブラシ | 27 | 44 | |
その他のブラシ | 74 | 106 | |
洋傘 | 5 | 3 | |
線香類 | 19 | 29 | |
魔法瓶 | 6 | 114 | |
計 | 5,737 | 10,214 |
資料:大阪府統計課「平成20年大阪の工業(工業統計調査結果表)」従業者3人以下を含む全事業所分。
ただし、鉄管継手、刃物、建築金物、金網、ワイヤーロープ、鏡、児童乗物、歯ブラシ、その他のブラシ、洋傘、線香類、魔法瓶は、上記統計表巻末の「品目別統計表」より。
(注)「品目別統計表」からみた業種には、当該品目を本業でなく副業で扱う事業所、関連加工業、製造卸売業が含まれている。
竹すだれは、大阪簾工業協同組合、人造真珠硝子細貨は、日本人造真珠硝子細貨工業組合、木櫛は泉州木櫛商栄組合の各組合員数。
化学の3業種は繊維・衣服に含めた。