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「大阪ものづくり優良企業賞2015」受賞企業一覧
大阪中小企業顕彰事業実行委員会では、「高度な技術力」や「高品質・低コスト・短納期」などを誇る府内の優れた「ものづくり中小企業」を「大阪ものづくり優良企業賞」として顕彰しています。
8回目となる本年は、審査委員会の厳正な審査の結果、「大阪ものづくり優良企業賞2015」受賞企業58社が決定しました。
最優秀企業賞:1社
タナベウィルテック株式会社(代表取締役:田邉 浩康/本社:大阪市東淀川区/タナベウィルテック株式会社(外部サイトへリンク))
同社は、1896年(明治29年)創業から一貫して遠心分離機を製造。現在では、遠心分離機を軸に、濾過機、ろ過乾燥機等の化学工業機器を製造し、広く国内外の大手化学・食品分野メーカーなどで使用されている。
通常、遠心分離機によって分離処理される分離後の固形物は、水分を多く含む粘性の残留ケーキとなり、この固形物の回収には特殊な機構が必要となるため、従来では全自動化を妨げる要因となってきた。同社では、この全自動運転を可能にする掻取装置を開発し、同社が販売する超高速回転遠心分離機(製品名:バイオセトラ)に標準装備することで、多くの顧客への信頼を勝ち取ってきた。
同社製品はその高い性能信頼性から、高価な薬品・固形物の分離に使用されるシーンが多いことから、いかに手間をかけず効率よく残留固形物を回収できるか、について先駆的技術の確立し、知的財産経営に対しても積極的に全社的取組みを進めてきた。
また、同社本社工場では製品部材を府内協力企業から調達し、組立て・検査を経て、広く府域外の企業へ納入する手法をとり、府内中小企業の活性化にも貢献する、地域貢献企業としても活躍している。
こうした、同社のコア技術の高度化を通じ積極的にオンリーワン技術の地位を築いている点などが高く評価され、今回の受賞となった。
技術力部門賞:2社
株式会社繁原製作所(代表取締役社長:繁原 秀孝/本社:東大阪市/歯車部品・電気自動車用減速機などの試作開発 繁原製作所(外部サイトへリンク))
1967年(昭和42年)に金属加工業として創業した同社は、1981年(昭和56年)に法人化を果たし、自動車関連の高精度な歯車加工を中心とした部品製作を行い、高い精度が要求されるモータースポーツの世界で実績と信頼を築いてきた。
2010年には、リーマンショックによる業績悪化から脱却するため、新たにEV※関連事業に着手すると、それまで培った技術力を糧に、国内大手自動車メーカーが販売する高出力のスポーツカーに搭載されるギヤ部品を供給するなどし、業績のV字回復を果たすことに成功した。
従来多くのEVは、ギヤによる変速機構を持たないものが主流であったが、同社がEVに搭載する多段変速機を開発、様々なEVサーキット走行や航続距離テストなどの実証実験を通じて、その有効性が確認されると、一躍オンリーワン企業として注目を浴びるまでになった。
同社が開発する多段変速機は近年、各社が商機を見出し、走行距離性能を競うEVにおいて大きな貢献を果たすものであり、同社が長年にわたる研究開発により確立した、他社が模倣困難な革新的技術が高く評価され、今回の受賞となった。
※EV…電気自動車(Electric Vehicleの略)
マツモラ産業株式会社(代表取締役:松茂良 興治/本社:八尾市/「あたたかいを、造る」マツモラ産業株式会社(外部サイトへリンク))
同社は、1961年(昭和36年)に創業して以来、一貫して順送プレス、単発プレスなどの金属プレス加工を営み。コラム(鉄製の柱)の裏当金を主力製品とし、国内大手建材メーカーなどへのOEM供給を行っている。
主力製品の裏当金は、従来手作業で行っていた位置合わせを、平鋼にツメをつけることで、その手間を大幅に改善することに成功。月産20万本を生産する国内シェアの6割を供給する規模に成長した。
現在同社の主力製品の大半は、前日から当日受注の当日出荷に対応しており、その実現のため、金型の内製化と共に、容易に金型交換を行えるよう、ワンタッチ式金型を自社開発するなど、生産現場の創意工夫に余念がない。
これまで同社では、エンドユーザーのニーズに最大限こたえるべく、様々な製品の試作開発を行ってきた。現在では、事業の新たな柱を創出すべく、自社製品の開発を積極的に行い、防災分野への提案を行っている。
こうした同社の積極的な課題解決への姿勢、実績が高く評価され、今回の受賞となった。
審査委員特別賞:2社
株式会社奥田(代表取締役:奥田 晋也/本社:大阪市中央区/株式会社奥田(外部サイトへリンク))
1904年(明治37年)に創業し、古紙再生業を営んできた同社は、昭和47年のエレクトロニクスの成長・拡大とともに、エレクトロニクス産業向け電気絶縁材をはじめとするプロセスシートの開発・製造を開始し、現在の主力製品を確立した。
同社のFPC※製造時のプロセスシートは、フィルム材のクリーニングのみならず、フィルムカット後の集塵工程を実現することで、100ミクロンの異物が1平方メートルあたり35個以下というクリーンさを実現している。
現在同社では、部材の高品質化などを目指し、全社的に知的財産経営に取り組むなど、将来の課題に向けて積極的に取り組んでいる。
こうした、同社のたゆまぬ努力により、製品の新たな付加価値の実現を通して顧客に提案する生産管理力が評価され、今回の受賞となった。
※FCP…フレキシブルプリント回路基板の略(Flexible printed circuits)
株式会社ヨネキン(代表取締役:米田 勝浩/本社:和泉市/屋根・外壁用役物 株式会社ヨネキン(外部サイトへリンク))
1899年(明治32年)の創業時、板金工事業を営んでいた同社は、それまで培ったノウハウを生かし、金属製建築部材・各種金属成型品において小ロット試作品から大量生産の全てに対応する。
現在同社は大阪府和泉市に広大な工場、全自動ロボットをはじめとする最新設備を擁し、生産から物流までを担う即納体制を構築することで、住宅用鋼板水切では業界売上1位を誇る企業となった。
同社では、屋根・壁の鋼板水切のプレカット化に長年にわたり取組み、製品の安定化を通じて住宅の長寿命化に取り組んできた。こうした実績を通じ、現在では、多くのプレカット板金を建材・住宅メーカーに提案できる企業として、意匠性の高い製品を市場に送り出している。
こうした独自技術の高度化と、製品生産性の向上による他社との差別化や安定供給による取り組みが高く評価され、今回の受賞となった。
夢・未来・TRI賞(地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所理事長賞):1社
藤塚精密金型株式会社(代表取締役:藤塚 孝征/本社:東大阪市/藤塚精密金型株式会社(外部サイトへリンク))
1951年(昭和26年)に鉄工所として創業した同社は、法人成後、1961年には現在の地にて、プラスチック用金型の製造を開始した。
同社は複雑なスライド機構を持つ金型の作成を得意とし、プラスチック金型の命題ともいえるアンダーカット処理に強みを発揮している。
同社主力製品であるスライド機構を持つ金型は、一つのプラスチック製品に対し、20カ所以上のスライド機構を多用するなど、他社金型では実現不能な製品の量産立ち上げをも可能にする。
こうした同社の高い技術力に裏打ちされるように、同社は営業部門を持たず、口コミで広がった顧客との取引きが中心となっており、さしずめ、金型の駆け込み寺的存在となっている。
こうした同社の他社にはない発想力に基づく他社が模倣困難な製品開発力、技術の独創性などが高く評価され、今回の受賞となった。
知的財産部門優秀賞:1社
野村技工株式会社(代表取締役:野村 正己/本社:東大阪市/加熱蒸気・加熱水蒸気発生装置開発は野村技工株式会社(外部サイトへリンク))
1961年(昭和36年)に製缶、溶接業として創業した同社は、水質浄化装置、生鮮食品関連機械などの設計・制作を経て、2000年代に入ると、加熱蒸気発生装置の研究開発に着手、国内外への特許申請を積極的に行い、現在の主力商品となる加熱水蒸気発生装置へと展開を図ってきた。
こうした豊富な経験により、同社は小規模ながら設計から製作までの内製化を果たし、他に類を見ない装置を開発することに成功した。
近年では、食品、輸送機、精密機械等の各大手企業や各地の公設試からの引き合いも多い。
同社がこれまで開発した多数の特許技術は自社売上に大きく寄与し、他社との競争優位性の確立に努め、積極的な知的財産戦略を推し進めている。
こうした、他社の追随を許さない同社の研究開発姿勢と長年培った知的財産を積極的に活用する姿勢などが評価され、今回の受賞となった。
優良企業賞:58社(会社名の五十音順)