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ヘルシーおおさか21(点字広報)第60号 音声読上げ用
ヘルシーおおさか21(点字広報)第60号【令和5年2月発行】
テーマ「健活10 体を動かす健康づくり」
はじめに
みなさんは、健康寿命をご存じですか。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。大阪府民の健康寿命は、全国と比較して低く、男性は全国41位の71.88歳、女性は全国40位の74.78歳。対して、平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.48歳となっており、平均寿命と健康寿命の差、すなわち「不健康な期間」は約10年にもなります。長く健康で元気に過ごすためには、この健康寿命を延ばして、不健康な期間を縮めることが重要です。
そこで大阪府では、生活習慣の改善や生活習慣病の予防などに向け、府民のみなさんに取り組んでいただきたい「10の健康づくり活動」を『健活10』としてキャッチコピーに掲げ、さまざまな健康づくり事業を実施・推進しています。
今回は、『健活10』のキャッチコピーの1つである「日頃から体を動かし運動しましょう」について、ご紹介します。
1.運動習慣をつけましょう
日々の適度な運動により、生活習慣病やがんになるリスクを下げることができます。生活習慣病とは、高血圧や糖尿病、脂質代謝異常など、食生活の乱れや運動不足などの生活習慣が深く関係する病気の総称です。悪化すると、全身の血管の動脈硬化が少しずつ進み、脳梗塞や心筋梗塞、人工透析に至るリスクなどが高まります。
生活習慣を改善することで、さまざまな病気の予防や悪化を防ぐことができます。その1つが運動の実施です。運動を行うことで、余分な脂肪が消費され、筋肉量や善玉コレステロールが増加します。また、血糖値や血圧を下げる効果があります。これらの効果が、生活習慣病の予防につながります。
そして、がんも生活習慣病の1つです。がんは日本人の2人に1人が罹ります。国立がん研究センターの研究によると、男女とも、身体活動量が多い人ほど、がん全体のリスクが低下していました。特に、高齢者ほど運動をする機会が多い人では、よりはっきりとリスクの低下がみられました。がんの部位別では、男性では、結腸がん、肝がん、膵がんにおいて、女性では胃がんにおいて、身体活動量が多い人ほど、リスクが低下しました。がんだけでなく、心筋梗塞などの心疾患のリスクも低くなります。そのため、死亡全体のリスクも低くなります。
このように、運動習慣はさまざまな病気の発症予防に効果があります。週に1回以上、30分以上体を動かしている大阪府民は約6割で、年代別でみると30歳代は運動不足の傾向にあります。1日の歩数の平均値は男性で7,648歩,女性で6,372歩です。第3次大阪府健康増進計画では、健康の保持増進のための歩数目標を男性で9,000歩、女性で8,000歩としています。
現代は、生活環境が整備され、歩かないで生活できるように進化し続けています。意識しなければ運動量が減ってしまう可能性があります。健康づくりのために、今より少し多く、体を動かすことを意識してみましょう。継続的に行うことで十分効果があります。
2.どこで運動やスポーツができるの?
大阪府には、気軽にスポーツを楽しんだり、体を動かしたりしながら、いろいろな方と交流できる施設があります。大阪府が設置している2施設を紹介します。
どちらの施設も、障がいのあるなしに関わらずどなたでも利用でき、障がい者スポーツ指導員が施設に常駐していますので、安心して利用できます。
一つ目は、大阪府立障がい者交流促進センター「ファインプラザ大阪」です。
1回や2回で完結するスポーツ体験会や、3回以上継続実施されるスポーツの練習会、講習会に参加できます。種目は水泳、ダンス、ソフトバレー、サウンドテーブルテニス(視覚障がい者の卓球)などがあり、定期的にスポーツ大会も行っています。そのほか、障がい者スポーツ指導員や理学療法士による相談会も行っています。
場所:大阪府堺市南区城山台5丁1番2号
問い合わせ先:072-296-6311
休館日:月曜日、休日の翌日、年末年始(12月29日から1月3日)
二つ目は大阪府立稲スポーツセンターです。
初心者向けのスポーツプログラムや練習会を実施しています。種目はダンス、ショートテニス、サウンドテーブルテニス(視覚障がい者の卓球)などさまざまです。上級者向けの練習会もあります。また、スポーツ活動を通じて交流を深められるサークル活動もあります。スポーツ以外にも音楽やおやつ作りを楽しめる教室もあります。
場所:大阪府箕面市稲6丁目15番26号
問い合わせ先:072-728-4822
休館日:火曜日、休日の翌日、年末年始(12月29日から1月3日)
紹介した2施設以外にも、府内にはスポーツやレクリエーションを楽しめる施設がたくさんあります(令和元年度時点で446施設)。例えば総合スポーツセンターやプール、テニスコートなどです。自然を楽しめるキャンプ場や農業公園などもあります。少し足をのばして気分転換しながら体を動かしてはどうでしょうか。
そのほか、大阪府では障がい者スポーツの普及と競技力の向上を目的に毎年、障がい者スポーツ大会を行っています。個人競技部門と団体競技部門があります。個人競技部門は陸上、水泳、卓球などの種目があり、毎年5月頃に開催されます。団体競技部門は知的障がいや精神障がいのある方を対象に、毎年12月から2月頃に実施されます。サッカーやソフトボール、バレーボールなどの種目があります。
スポーツを楽しみながら、健康的な生活を送りましょう。
3.「フレイル」を知っていますか?
運動習慣に関わる問題の1つに、フレイルがあります。フレイルとは、英語で「虚弱」を意味する言葉が語源で、年齢とともに心身の機能が衰えた状態をいいます。「健康」と「要介護」の間の状態とも表現され、介護が必要となる主な原因の1つです。そのため、健康寿命を延ばすために、フレイルの予防・改善が重要です。
高齢になるにつれて心身の機能は衰えていくものですが、フレイルは健康な高齢者と比べて、心身の機能がより衰えた状態です。体を動かす機会が減る、食べる量が減ったり食材が偏ったりする、人と交流する機会が減る、などの心当たりはありませんか。フレイルは、このような生活習慣の変化による筋力低下・低栄養・口腔機能の低下・認知機能の低下などが互いに絡み合って進行していきます。昨今では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛が原因の「コロナフレイル」にも注意が必要です。
自分はフレイルに該当するのか、簡単にチェックしてみましょう。
- 両手の親指どうし、人差し指どうしをくっつけて輪っかを作ってみましょう。
できた輪っかの大きさと、ふくらはぎの一番太い部分の太さを比較して、輪っかの方が大きい - イスから片足で立ち上がることができない
- 主食、主菜、副菜が揃った食事を1日1度も食べない
- お茶や汁物でむせることがある
- 1週間に1度も外出しない
みなさんは、いくつ当てはまりましたか。1つでも当てはまればフレイルの可能性があります。
しかしフレイルに該当したからといって、必要以上に落ち込むことはありません。フレイルの大きな特徴の1つは、生活習慣を改善することで健康な状態に戻れる可能性があるということです。
フレイルの予防・改善に大切な4本柱は、運動・栄養・口腔・社会参加です。
運動は、日常生活の中でよく歩き、体を動かす習慣をつけましょう。
栄養は、1日3食、主食・主菜・副菜を揃えてバランスよく食べましょう。
また、丁寧な歯磨きや、定期的に歯科健診を受けるなどの口腔ケアも大切です。
社会参加では、地域の方と交流する、イベントや趣味の集まりへ参加するなど人とかかわる機会を増やしましょう。1日1回は外出する習慣をつけるとよいでしょう。
以上の3つの中でも、運動は、足腰を丈夫に保ち、いきいきとした生活を送るためにも特に大切です。高齢者はもちろん、若い世代から体を動かす習慣を身につけ、フレイルを予防・改善していきましょう。
おわりに
健康寿命を延ばすためには、一人ひとりが健康への意識を高め、主体的に健康づくりに取り組むことが大切です。生活習慣病やフレイルなどを予防し、長く健康で過ごすためにも、まずは、いつもより多く体を動かすことからはじめてみませんか。
『健活10』では、今回ご紹介した「運動」のほかに、適切な食生活や睡眠習慣の必要性、ストレスの対処法、けんしん(健診・検診)の受診など、さまざまな健康づくり活動について情報を発信しています。ぜひこの機会に『健活10』の取り組みについて理解を深めていただくとともに、みなさんも健康で元気な暮らしを続けていけるよう、健康づくりに取り組んでいきましょう。
<引用・参考資料>
- 「国立がん研究センター がん情報サービス」
- 第3次大阪府健康増進計画中間点検報告書
- リーフレット「フレイルって何なん?」