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大阪府労働委員会の活動概況
令和5年大阪府労働委員会の活動概況(令和5年大阪労委年報より)
調整事件の概説
令和5年の調整事件の申請件数は28件で前年より4件増加した。内訳は、すべてあっせんであった。
申請件数が各都道府県労働委員会の総申請件数185件(前年比12件、6.9%増)に占める割合は、15.1%であった。
また、同年中の取扱件数は、前年からの繰越9件とあわせて37件であり、そのうち29件が終結し、8件が翌年に繰越しとなった。なお、調整員を指名して調整活動を開始し、終結した17件において開催した調整回数は、48回であった。
取扱状況(エクセル:15KB) 取扱状況(PDF:20KB)
※「調整」とは、労働関係調整法に基づき、当委員会における労働争議の調整活動(あっせん・調停・仲裁)を通じて、労働争議の円満な解決の援助を行うことをいう。
1 申請状況
(1)月別
月別の申請件数は、6月と7月が5件(17.9%)で最も多く、次いで、9月と10月が4件(14.3%)であった。
月別申請件数(エクセル:14KB) 月別申請件数(PDF:14KB)
(2)申請者別・組合系統別
申請者の内訳は、組合が26件(92.9%)、使用者が2件(7.1%)、双方申請と職権はなかった(0件)。
組合の加盟系統別にみると、「全労連系」が10件(34.5%)で最も多く、次いで、「上部団体なし」が9件(31.0%)であり、「連合系」は7件(24.1%)「その他の上部団体」は3件(10.3%)であった。申請者別申請件数(エクセル:14KB) 申請者別申請件数(PDF:14KB)・組合系統別申請件数(エクセル:15KB) 組合系統別申請件数(PDF:20KB)
(3)企業規模別
企業規模別にみると、従業員数100から299人が10件(35.7%)と最も多く、次いで、49人以下が8件(28.6%)であり、300人未満の企業が占める割合(78.6%)が前年(75.0%)より増加した。また、300人以上の企業は6件(21.4%)であった。
企業規模別申請件数(エクセル:14KB) 企業規模別申請件数(PDF:18KB)
(4)産業分類別
産業分類別にみると、「製造業」、「運輸業,郵便業」、「教育,学習支援業」、「サービス業」が各4件(14.3%)、次いで、「学術研究,専門・技術サービス業」、「医療,福祉」が各3件(10.7%)であった。
産業分類別申請件数(エクセル:17KB) 産業分類別申請件数(PDF:44KB)
(5)調整事項別
調整事項別にみると、「経営・人事」が16件(27.6%)と最も多く、次いで、「賃金等」、「団交促進」が各13件(22.4%)と続いている。
また、申請1件当たりの平均調整事項数は2.1項目であった。
調整事項別申請件数(エクセル:17KB) 調整事項別申請件数(PDF:43KB)
(6)その他
組合員が個人加入している合同労組からの申請は25件(89.3%)で、前年(18件・75.0%)よりも件数・比率ともに増加した。
また、駆け込み訴えによる申請は、19件(67.9%)であり、同一企業内に併存する複数組合がある申請は10件(35.7%)であった。
合同労組・複数組合併存下事案の申請件数(エクセル:14KB) 合同労組・複数組合併存下事案の申請件数(PDF:21KB)
※「合同労組」とは、中小企業の労働者などが、所属する企業や産業にとらわれず、同一地域等において個人で加入することができる労働組合をいう。
2 終結状況(態様等)
年内に29件が終結した。その内訳は、「調整による解決」、「取下げ」が各12件、「不調・打切り」が5件であった。
申請から終結までの平均係属日数は、102.3日、調整員の指名から終結までの平均所要日数は、111.5日であり、ともに前年より短くなった。
終結態様別終結件数(エクセル:14KB)・終結態様別終結件数(PDF:23KB) 平均係属日数(エクセル:11KB) 平均係属日数(PDF:18KB)・平均所要日数(エクセル:11KB) 平均所要日数(PDF:19KB)
不当労働行為事件の概説
令和5年の不当労働行為の新規申立件数は75件で、前年より16件の増加となった。新規申立件数(75件)が各都道府県労働委員会の総申立件数255件(前年227件)に占める割合は、29.4%であった。
また、同年中の取扱件数は、前年からの繰越件数71件とあわせて146件であり、終結件数は58件で、88件が翌年に繰越しとなった。終結率は、39.7%となり、前年の46.2%を下回った。
なお、審査の過程において実施した調査、審問、和解の回数は、調査344回、審問73回、和解17回の合計434回であった。
取扱状況(エクセル:13KB) 取扱状況(PDF:16KB)・審査状況(エクセル:65KB) 審査状況(PDF:13KB)
※「不当労働行為の救済」とは、労働者の団結権を保障するべく、簡易、迅速な審査手続によって、労働組合法第7条の不当労働行為の事実の存否を判断し、使用者による不当労働行為があった場合は、原状回復のための救済措置を行うことをいう。
1 申立状況
(1)申立人別・組合系統別
新規申立事件75件を申立人別にみると、組合申立てが74件(98.7%)、個人申立ては0件(0.0%)、組合・個人連名申立てが1件(1.3%)である。
組合申立事件(組合・個人連名申立てを含む)75件について、組合系統別にみると連合系が15件(20.0%)、全労連系が3件(4.0%)、その他の上部団体が30件(40.0%)、上部団体なしが27件(36.0%)であった。前年と比べて、連合系、上部団体なしは、件数及び比率ともに増加し、全労連系、その他の上部団体は、件数及び比率ともに減少した。
申立人別申立件数(エクセル:14KB) 申立人別申立件数(PDF:16KB)・組合系統別申立件数(エクセル:15KB) 組合系統別申立件数(PDF:17KB)
(2)企業規模別
企業規模別にみると、例年と同様に、従業員299人以下の中小企業を被申立人とするものが46件(70.8%)と過半数を占めており、従業員1,000人以上の大企業を被申立人とするものは、10件(15.4%)となっている。
企業規模別申立件数(エクセル:15KB) 企業規模別申立件数(PDF:20KB)
(3)産業分類別
産業分類別内訳は、多いものから「医療、福祉」が18件(24.0%)、「製造業」、「運輸業、郵便業」が11件(14.7%)、「教育、学習支援業」が9件(12.0%)であった。
産業分類別申立件数(エクセル:20KB) 産業分類別申立件数(PDF:42KB)
(4)申立内容別
労働組合法第7条各号ごとに、これを申立事項として含む事件数でみると、1号事件が40件(32.0%)、2号事件が48件(38.4%)、3号事件が34件(27.2%)、4号事件が3件(2.4%)である。
具体的内訳をみると、1号事件では、組合員であることによる不利益取扱い(解雇を除く)が24件(19.4%)と最も多く、次いで、組合員であることによる解雇、労働組合の正当な行為をしたことによる不利益取扱い(解雇を除く)が6件(4.8%)であり、解雇事件は7件(5.6%)と前年の2件(2.2%)に比べ、件数、比率ともに増加している。3号事件では、組合運営に対する支配介入が34件(27.4%)であった。
また、第7条内容別にみると、2号だけの事件が26件(34.7%)と最も多く、続いて、1・3号事件、1・2・3号事件が11件(14.7%)となっている。
労働組合法第7条各号別申立件数(エクセル:13KB) 労働組合法第7条各号別申立件数(PDF:19KB)・労働組合法第7条内容別申立件数(エクセル:14KB) 労働組合法第7条内容別申立件数(PDF:15KB)・労働組合法第7条各号内容別申立件数(エクセル:16KB) 労働組合法第7条各号内容別申立件数(PDF:31KB)
※労働組合法第7条の不当労働行為の種別
- 1号:労働組合員であること等を理由とする不利益取扱い
- 2号:正当な理由のない団体交渉の拒否
- 3号:労働組合の運営等に対する支配介入等
- 4号:不当労働行為救済の申立て等を理由とする不利益取扱い
(5)その他
新規申立事件のうち、合同労組の申立件数は63件(84.0%)、このうち駆込み訴えは17件(22.7%)である。
合同労組の申立件数(エクセル:13KB) 合同労組の申立件数(PDF:20KB)
2 終結状況(態様、命令・決定内容、命令・決定書交付後の状況)
取扱件数146件のうち終結した58件を終結態様別にみると、命令27件(46.6%)、決定(却下)1件(1.7%)、関与和解19件(32.8%)、無関与和解5件(8.6%)、取下げ6件(10.3%)である。
令和5年中に命令・決定により終結した事件数は28件であるが、併合事件を含むため、命令・決定書の交付は18件(全部救済6件、一部救済9件、棄却2件、却下1件)であった。
命令・決定書交付数18件については、令和5年中に再審査のみが申し立てられたものが8件、行政訴訟のみが提起されたものが1件であり、再審査申立て及び行政訴訟提起がなされず当委員会の命令が確定したもの(再審査申立て及び行政訴訟提起の期間中のものを含む)が9件であった。
終結態様別終結件数(エクセル:21KB) 終結態様別終結件数(PDF:21KB)・命令書・決定書交付本数(エクセル:50KB) 命令書・決定書交付本数(PDF:19KB)・再審査・行政訴訟提起件数(エクセル:14KB) 再審査・行政訴訟提起件数(PDF:27KB)
3 審査の期間の目標達成状況等
当委員会は、労働組合法第27条の18に規定する不当労働行為事件の審査期間の目標を550日と設定している。
令和5年中に終結した事件(58件)のうち、命令・決定事件が28件、和解・取下事件が30件である。その平均処理日数は、全終結事件で459日であった。終結態様別にみると、命令・決定事件では655日、関与和解事件では284日、無関与和解事件では190日、取下事件では320日となっている。
終結態様別終結件数(再掲)(エクセル:21KB) 終結態様別終結件数(再掲)(PDF:21KB)・平均処理日数(エクセル:49KB) 平均処理日数(PDF:17KB)
4 労働組合資格審査
令和5年の労働組合の資格審査申請件数は50件であり、これを申請事由別にみると、不当労働行為の救済申立てに係るもの44件、法人登記を目的とするもの4件、委員推薦を目的とするもの2件である。
申請事由別申請件数(エクセル:20KB) 申請事由別申請件数(PDF:22KB)
個別労使紛争事件の概説
令和5年に知事から依頼のあった個別労使紛争のあっせんは2件であった。また、前年からの繰越しは1件で、3件すべて終結し、翌年への繰越しはなかった。
取扱状況(エクセル:27KB) 取扱状況(PDF:18KB)
※「個別労使紛争解決支援制度」とは、労働者個人と使用者との話合いによる自主解決が困難な個別労使紛争について、知事部局の労働環境課と当委員会の連携による「調整」及び「あっせん」制度を設けることにより、実情に即した迅速かつ適正な解決を図るための紛争解決システムをいう(申請の受付は労働環境課)。
1 取扱状況
申請者は、労働者側が2件であった。
産業分類別では、「宿泊業、飲食サービス業」、「医療,福祉」が各1件であった。
産業分類別申請件数(エクセル:29KB) 産業分類別申請件数(PDF:39KB)
あっせん事項は、「解雇」、「退職」に関するものであった。
あっせん事項別申請件数(エクセル:19KB) あっせん事項別申請件数(PDF:46KB)
終結状況は解決が2件、打切りが1件で、翌年への繰越しはなかった。
なお、終結した3件において開催したあっせん回数は1回、2回、3回が各1件であった。
また、知事からのあっせん開始にかかる依頼日から終結日までの平均係属日数は96.7日であった。