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大阪府学校教育審議会 答申(平成20年7月)
これからの大阪の教育がめざす方向について -「学校力」の向上をめざして- (答申)全文
これからの大阪の教育がめざす方向について -「学校力」の向上をめざして- (答申)概要
1 今後10年間に予想される社会変化(→本文2から3ページ)
- (1)人口、15歳未満の人口は減少。公立中学校卒業者は今後10年間はほぼ横ばい。
- (2)教員の年齢構成は、40歳以上と39歳以下の比率が6対4⇒3対7に大きく変化。
- (3)国際化、経済のク゛ローハ゛ル化の進展。循環型社会への要請。通信手段の有効活用。社会参画の機運。
- (4)雇用形態の多様化。成果主義、能力給賃金の導入など、雇用環境が大きく変化。
- (5)新学習指要領の実施。
2 大阪の子どもたちにはぐくみたい「力」(→本文4ページ)
- 基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図るとともに、学ぶ姿勢や学習習慣を身に付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動する力をはぐくむ。
- 社会の形成者としての自覚と責任感を養い、公共のルールやマナーを守るなど、規範意識を身に付けさせるとともに、互いに助け合い、よりよい社会を創っていく態度をはぐくむ。
- 生涯にわたって心身の健康を保ち、たくましく生きるため、基本的な生活習慣を身に付けさせ、体力を養う。
- 豊かな勤労観や職業観を身に付けさせるとともに、将来の夢や目標を持ち、進路を自ら選択・決定する力や、チャレンジ精神をはぐくむ。
- 生命と人権を尊重し、自分の大切さと共に他の人の大切さを認めあう、豊かな人間性をはぐくむ。
- 自然や美への感性を磨き、自然を尊重する精神や、環境を大切にする態度をはぐくむ。
- 我が国と郷土への誇りを持ち、大阪がはぐくんできた伝統と文化を尊重するとともに、国際社会の平和と発展に寄与する態度をはぐくむ。
3 「大阪の教育力」をさらに高めるための3つの観点(→本文5から6ページ)
- (1)地域に根ざす教育
- (2)違いを認め合うとともに、子ども一人ひとりの力を伸ばす教育
- (3)前向きに生きる姿勢をはぐくむ教育
4 これからの大阪の教育がめざす方向(→本文7ページ)
これまでの取組みを踏まえつつ、子どもをとりまく状況変化や残された課題、新たに生起した課題に的確に対応⇒学校の持つ総合的な力を高めていかなければならない。
「教育の拠点は学校」という基本に立ち返る⇒「学校力」の向上
6つの重点事項(→本文8ページから)
(1)子どもたちの「確かな学力」をはぐくむ学校づくり(→本文8から11ページ)
小・中学校の教育を通じ、基礎・基本の確実な定着とともに、意欲・関心・態度などを育てることが重要。
ア 子どもたちに身に付けさせたい学力
- 基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得。思考力、判断力、表現力、自ら学ぶ態度・意欲の習得に向けた総合的な取組み。豊かな人間性、コミュニケーション能力等「生きる力」、ITの活用能力、創造力・探究心の育成。
イ 学力向上のための総合的な取組み
(ア)組織的な取組み
- 課題と目標の明確化。組織的な取組み。
(イ)授業改善
- 個に応じた指導。授業評価の活用。
(ウ)学ぶ意欲の育成
- 互いに学びあい、高めあう学級・集団づくり。系統的・継続的なキャリア教育・進路指導。
(エ)学ぶ態度を支える生徒指導
- 安心して学べる落ち着いた学習環境の醸成。自律する力を伸ばす生徒指導。中1問題への対応。新たな課題への取組み。
(オ)読書習慣の育成
(カ)保・幼・小・中・高の連携
ウ 家庭、地域と連携した取組み
エ 学校の適正規模
(2)「入れる学校」から「入りたい学校」「入ってよかった学校」となるための府立高校の充実(→本文12から14ページ)
進路実現の力をはぐくみ、生徒一人ひとりの個性を一層伸ばす多様な教育の展開。
ア 特色づくり・再編整備の成果と課題を踏まえた府立高校の充実
- 再編整備対象校の更なる取組み。再編整備対象外校の活性化。学校の適正規模の一定の弾力化。特色ある専門学科や専門コース等のバランスよい整備。入学者選抜制度のあり方検討。
イ 幅広い教育ニーズに応える学校づくり
- 基礎的な学力の保障。多様な学習と幅広い進路選択。次代をリードする人材の育成。
- 普通科や課題が集中している学校への教育条件の整備や支援。学校の自主的な企画・提案に対する府教育委員会の評価・支援。特色づくりの情報提供。成功事例の発信による府立高校全体の向上。中高一貫教育の他地域への展開。高等教育機関との連携。
ウ 生徒の「自立・自己実現」の支援
- キャリア教育の推進。学校外の教育力の活用。専門コースの設置。通信制の課程の工夫。
(3)障がいのある子どもの自立を支援する教育の推進(→本文15から17ページ)
障がいのある子どもが、多様な選択肢の中でのびのびと学習できる環境の充実。「ともに学び、ともに育つ」教育の推進。地域社会の中で活き活きと暮らしていくための「個に応じ、将来を見すえた教育」。
ア 知的障がい支援学校等の教育環境の充実
- 150から200人程度の規模を大きく上回っている学校への対応。通学バスの乗車時間の緩和。知的障害のある生徒の就職支援の充実。府立たまがわ高等支援学校のような学校の計画的配置。
イ 知的障がいのある生徒の高校における学習機会の充実
- 自立支援推進校や共生推進モデル校の取組みの成果や課題の検証、推進。
ウ 義務教育における「ともに学び、ともに育つ」教育の推進
- 看護師や非常勤講師の充実。支援教育の現状やニーズの集約・分析。教育相談等へのつなぎ。教員への研修の充実。障がいのある児童生徒と障がいのない児童生徒の交流。教室配置の配慮。
エ 府立支援学校のセンター的機能の発揮
- 教員の専門性の向上、校内体制の整備・充実。
オ 一人ひとりのニーズに応じた教育の充実
- 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」の策定・効果的活用。
(4) 教員の力を最大限に引き出す仕組みづくり(→本文18から20ページ)
教員の養成段階から、教員採用、その後の指導・育成、キャリア形成に至る一貫したシステムの構築が必要。
な考え方に基づいた生徒指導、すべての子どもたちをエンパワーする
ア 経験の少ない教員への指導・育成
- 府教育センターの機能強化。民間との連携。OJTや校内研修の充実。組織的な取組み。人事異動の有効活用。
イ 将来を担う管理職の養成
- 若い年齢層や民間人からの登用。早い時期からの育成。必要な資質やスキルの向上。
ウ 熱意ある教員の確保
- 教員採用選考の工夫。意欲的な学生、一旦教職を離れた人の確保。年齢構成の是正。
エ 授業力の向上
- 組織的な取組み。教員の「同僚性」の向上。「授業評価システム」の構築。
オ 指導が不適切な教員への対応
- 校長の毅然とした決断。教育委員会の校長への支援と厳格な対応。
カ 「がんばっている」教員への応援
- 評価・育成システム等の積極的かつ有効活用。など
(5)学校の組織力向上と学校への支援強化(→本文21から23ページ)
子どもと向き合う時間の確保と学校の自主性・自立性の向上。そのために、校長のリーダーシップのもとで、教職員が一丸となって、互いに研鑽し、学校の組織力を向上。
ア 学校の組織的な運営と自立的取組みの支援
- 校長の適切なリーダーシップ、首席や指導教諭の活用、ミドルリーダーの育成、教員の学校組織運営への参画意欲を高める。「学校評価」の充実。教職員の切磋琢磨。教育委員会による予算・人材面での支援。
イ チームによる支援
- 専門性を有する外部人材、関係諸機関等と教育委員会が連携したチームによる学校への支援の充実。
ウ 専門家等を活用した心のケアシステム
- 教員の主体的な取組みと、専門家等を有効に活用した支援。専門家及び関係諸機関と学校との円滑かつ有効な連携と協働。
エ 校務の効率化
- 必要なIT機器の整備。校務のあり方見直し。IT知識習得の機会の提供。
オ 地域に開かれ、地域に根ざした学校づくり
- ビジョンや教育目標の明確化。自己評価、外部評価の推進。学校の情報の効果的な発信。学校を核として地域が結びつき、活性化するような取組みの推進、コーディネート。など
(6)子どもたちの志や夢をはぐくむ教育の推進(→本文24から26ページ)
よりよい社会を創っていくという志と、人として充実した人生を送るために必要な「夢」をはぐくむ教育の推進。
ア 様々な機会を通した取組み
- 人間関係形成能力、情報活用能力、将来設計能力、意思決定能力及び社会人・職業人としての基礎的な態度・資質の育成。体験活動の推進。
イ 子どもの成長過程に応じた取組み
- 小学校中学年までは人としての生きるための善悪の判断やルールを守ることの大切さの指導。小学校高学年や中学校での自主的・主体的な姿勢の育成と学校の指導の徹底。高校
での系統的な志や夢をはぐくむ教育の推進。児童・生徒への「親学びの」機会の提供。
ウ 学校と地域の協働による社会全体での取組み
- 身近な大人の関わり。学校における異年齢交流の推進。地域における主体的な子どもへの関与の機運の醸成。
エ 読書活動
- 読書の楽しさと出会う機会の設定。学校と地域や図書館等との連携。