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風致地区について
1 はじめに
風致地区は、都市の風致を維持するために、都市計画法によって定められた地区です。
近年、各種開発によって著しく都市の自然が失われつつありますが、「風致地区制度」は、樹林地、丘陵地、水辺地等の良好な自然的景観に富んでいる区域や、良好な住環境を維持している区域、古墳等の歴史的意義のある区域等を「風致地区」として指定し、これにより生活にうるおいを与え、緑に富んだ快適な都市環境を維持しようとするものです。
大阪府においては、10ヘクタール以上の2以上の市町村にわたる風致地区について「大阪府風致地区内における建築等の規制に関する条例」を定めています。風致地区内において風致に影響を及ぼすような行為を行う場合は、各市の市長の許可を受ける必要があります。
みどり豊かな住み良い街づくりのために、府民の皆さんの積極的なご協力をお願いいたします。
2 大阪府内の風致地区
大阪府の風致地区は、大正8年に制定された旧都市計画法により、昭和7年に堺風致地区が指定されたことに始まります。その後、順次指定され、令和3年4月現在、大阪府内には12市32地区で約3,082ヘクタールの風致地区が指定されています。
3 許可が必要な行為
- (1)建築物その他の工作物(以下建築物等という。)の新築、改築、増築又は移転
ただし、建築物で床面積の合計が10平方メートル以下のもの(高さが15メートルを超えるものを除く。)、工作物で高さが1.5メートル以下のものは許可がいりません。 - (2)建築物等の色彩の変更
ただし、建築物等のうち、屋根、壁面、煙突、門、塀、橋、鉄塔その他これらに類するもの以外の色彩の変更については、許可がいりません。 - (3)宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
ただし、面積が10平方メートル以下で、高さが1.5メートルを超えるのりを生じないものは許可がいりません。 - (4)水面の埋立て又は干拓
ただし、面積が10平方メートル以下のものは許可がいりません。 - (5)木竹の伐採
ただし、間伐、枝打ち等の通常の管理行為、枯損した木竹や危険な木竹の伐採等は許可がいりません。 - (6)土石の類の採取
ただし、面積が10平方メートル以下で、高さが1.5メートルを超えるのりを生じないものは許可がいりません。 - (7)屋外における土石、廃棄物、又は再生資源の堆積
ただし、面積が10平方メートル以下で、高さが1.5メートル以下のものは許可がいりません。
4 許可基準のあらまし
(1) 建築物の新築、改築、増築又は移転
- ア.絶対高さが15メートル以下であること。(建築物が周囲の土地と接する高低差が6メートルを超える場合は、最下点から高低差3メートルまでの建築物の部分については、その部分の平均地盤面から起算し、最下点から高低差3メートルを越える建築物の部分については、3メートルを超え6メートルまでの部分の平均地盤面から起算する。)
- イ.建ぺい率は40パーセント以下であること。
- ウ.外壁、柱等の面からの後退距離は、道路から1.8メートル以上(地階及び地下部分において、平均地盤面より上に1メートル以下となる建築物の外壁、柱等の面からの後退距離については、道路から1メートル以上)とし、その他の境界から1メートル以上であること。
- エ.位置、規模、形態及び意匠が周辺の風致と著しく不調和でないこと。
- オ.条例で定める緑化率((9)参照)を確保すること。
(2)工作物の新築、改築、増築又は移転
- ア.位置、規模、形態及び意匠が周辺の風致と著しく不調和でないこと。
- イ.道路に接する部分の敷地境界沿いに高さが1.5メートル以上の擁壁を設けようとする場合は、当該擁壁と道路に接する部分の敷地境界線との間に、植栽空間を設けていること。
(3)建築物等の色彩の変更
- ア.周辺の風致と著しく不調和でないこと。
(4)宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
- ア.面積が1ヘクタールを超える宅地の造成等にあっては、5メートルを超えるのりを生ずる切土、または盛土を伴わないこと。
- イ.条例で定める緑化率((9)参照)を確保すること。
- ウ.当該土地及びその周辺の土地の区域における木竹の生育に支障を及ぼすおそれが少ないこと。
- エ.面積が1ヘクタール以下の宅地の造成等で、高さが5メートルを超えるのりを生ずる切土、または盛土を伴う場合は、イ及びウのほか、適切な植栽その他風致の維持上必要な措置を行なうこと。
- オ.道路に接する部分の敷地境界沿いに高さが1.5メートルを超える擁壁を設けようとする場合は、当該擁壁と道路に接する部分の敷地境界線との間に、植栽空間を設けていること。
(5)水面の埋め立てまたは干拓
- ア.植栽等を行うことにより、周辺の風致と著しく不調和でないこと。
- イ.当該土地及びその周辺の土地の区域における木竹の生育に支障を及ぼすおそれが少ないこと。
(6)木竹の伐採
- ア.伐採の行われる土地及びその周辺の風致をそこなうおそれが少ないものであること。
- イ.下記のいずれかに該当すること。
- (ア)建築物、工作物の新築等や宅地の造成等を行うために必要な、最少限度の木竹の伐採。
- (イ)森林の択伐。
- (ウ)伐採後の成林が確実であると認められる森林の皆伐。(ただし伐採区域の面積が1ヘクタール以下に限る)
- (エ)森林である土地の区域外における木竹の伐採。
(7)土石の類の採取
- ア.採取の方法が露天掘りでないこと。
- イ.周辺の風致の維持に支障を及ぼすおそれが少ないこと。
(8)屋外における土石、廃棄物又は再生資源の堆積
- ア.堆積を行う土地及びその周辺の土地の区域における風致の維持に支障を及ぼすおそれが少ないこと。
(9)建築物の新築、宅地の造成等による 敷地等の面積に応じた緑化率
敷地等の面積 | 緑化率 |
---|---|
500平方メートル未満 | 20パーセント |
500平方メートル以上 1,000平方メートル未満 |
25パーセント |
1,000平方メートル以上 | 30パーセント |
「敷地等の面積」とは、建築物の敷地の面積又は宅地の造成等に係る土地の面積をいう。
(10)緑化率算定基準等
(建築物の新築・宅地の造成等)
木竹が保全され、又は適切な植栽が行なわれる土地の面積の敷地等の面積に対する割合の算定は、次によること。
敷地等の面積とは、建築物の新築においては、建築物の存する敷地の面積を、又、宅地の造成等においては、宅地の造成等に係る土地の面積をいう。
樹木の植栽に当たっては、(9)の緑化率を乗じて得た面積について、10平方メートルにつき高木1本(中木にあっては、2本を高木1本に換算すること。)を植栽すること。
(少数点第2位以下切り捨て。第1位を0.5刻みで切り上げる。)
木竹が保全され、又は適切な植栽が行なわれる土地の面積は、次の算定方法により算定した樹木の樹冠の投影面積、芝その他の地被植物で表面が覆われている部分の面積及びその他の部分の緑化面積の合計とする。
- ア.樹木の樹冠の投影面積は、次のとおりとする。
区分 | 樹冠の投影面積 |
---|---|
植栽時の高さが3メートル以上の高木 | 7平方メートル(9平方メートル) |
植栽時の高さが1メートル以上3メートル未満の中木 | 3平方メートル(4平方メートル) |
植栽時の高さが1メートル未満の低木 | 0.25平方メートル(0.3平方メートル) |
生垣 | 長さ1メートル につき1.5平方メートル (長さ1につき2平方メートル) |
- 1.()内は、建築物の敷地が道路と接する部分から3メートル以内に植栽する場合(当該敷地と道路の境界沿いにブロック、透けて見えないフェンス等を設置して植栽する場合を除く。)のものとする。(割増値を適用する場合は、ブロック等設置していない事を証明する外構図面が必要)
- 生垣については、1メートル当たり1本以上の木竹を植栽すること。
- 植栽計画は、樹冠形状等を考慮した適切な植え込み計画とする。(植栽計画図に、縮尺、木竹の位置、種類、本数、高さ及び枝張り、植栽区分を明示すること。)
※具体な計算例については、施行要領15ページからをご参照ください。
- イ.既に植栽が行われている樹木は、状況を示す写真を提出する場合に限り、アにかかわらず、実投影面積とすることができる。
- ウ.芝その他の地被植物で表面が覆われている部分の面積は、芝等で地面を覆うこととする面積に0.5を乗じて得た面積とする。
- エ.その他の部分の緑化面積は、次の算定方法により算定した壁面の緑化面積、棚ものの緑化面積及び可動式植栽基盤の緑化面積の合計とする。
- (ア)壁面の緑化面積は、壁面を利用して緑化する場合において、緑化しようとする部分の水平延長に緑化しようとする部分の垂直の高さ(1メートルを超える場合にあっては、1メートル)を乗じて得た面積とする。
- (イ)棚ものの緑化面積は、棚状に植物を仕立てて緑化する場合において、つる植物で覆うこととする棚、アーチ等(周囲から見える地上に設置されるものに限る。)の水平投影面積とする。
- (ウ)可動式植栽基盤の緑化面積は、プランター等の可動式植栽基盤を用いて緑化する場合において、プランター等(容量がおおむね100リットル以上の容易に移動できないものに限る。)の水平投影面積とする。
- (エ)屋上及び中庭形状の敷地において、(ウ)の行為を行う場合は、その敷地における緑化の合計面積は必要緑化面積の2分の1までしか算入できないものとするとともに、道路境界から3メートル以内に植栽する場合の樹冠投影面積は適用しない。
(11)「既存狭小住宅の建替え」の許可基準の適用(適用を受ける場合は、事前に協議願います。)
昭和45年6月14日前に新築された建築物(地下に設ける建築物を除く。)の建替えのために行う建築物の新築のうち、下記のいずれにも該当するものであって、建ぺい率、外壁の後退距離、及び緑化率が、条例の新築における許可基準に適合することが困難であると知事等が認めるものについては、建ぺい率、外壁の後退距離、及び緑化率の基準は適用しない。
- 敷地の面積が100平方メートル以下であること。
- 建替え前の建築物及び建替え後の建築物が住宅の用途に供するものであること。
- 建替え後の建築物の建ぺい率が、建替え前の建築物の建ぺい率を超えないものであること。
- 建替え前の建築物に居住する者が建替え後の建築物に引き続き居住するために行うものであること。
※必要資料については、施行要領23ページをご参照ください。