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更新日:2009年9月9日

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府民の皆様へ 行財政計画の改定にあたって

はじめに 危機克服に向け「地域主権」を徹底

府は、平成13年9月に「大阪府行財政計画(案)」を策定し、厳しい行財政改革に取り組んできました。施策の再構築に加え、全国一スリムな組織、負の遺産の整理など、生み出した効果は合計で1兆円近くにのぼります。
しかし、時代の変化はめまぐるしく、いわば改革のスピードを上回る勢いで動いており、課題はより一層大きく、深くなっているのが現状です。
経済には明るい兆しも現れていますが、大阪の隅々にその実感が行きわたるまでには至っていません。府の税収は、依然として計画での見通しを大きく下回っています。加速する少子高齢化、若者を中心とする府民の意識変化など、日本の社会がかつて経験したことのない状況も顕在化しています。
こうした事態が今、府政の基盤を揺るがし、府民の皆さんにも、将来への閉塞感を抱かせる原因となっていることを、重く受け止めています。

国と地方の関係もまた転換期を迎えています。「三位一体の改革」は、国税の一部を地方税に移し、その分逆に、国から地方への補助金をカットすることによって、国に縛られていた枠組みを外し、自治体の裁量を拡大する分権改革です。これは地方自治の歴史において画期的な出来事であり、府としても府政改革の大きな弾みとしなければならないと考えます。

今回の行財政計画改定のキーワードは「地域主権」です。自治体はもちろん、住民・地域全体が、それぞれの責任を果たしながら、自らの発想と力で大阪再生を果たしていくという意味です。自治体も、これまで以上にきめ細かな対応を、国より効率的に実現できるという実力を、この大阪で示していかなければなりません。地域のことは地域が責任を持って自ら考え、行動する、これが地域主権型の府政です。

最大のピンチを克服 量の改革の徹底

当面する最大の課題は深刻な財政の再建です。最大のピンチと見込まれる平成19年度を乗り切るため、1200億円を超える効果額を確保しなければなりません。そのために、平成17年度からの3年間で一般行政部門の約1割近い1000人を削減し、ボーナスカットなどで人件費を抑制するほか、建設事業費のさらなる重点化を行い、概ね10%をカットするなど、一層の施策再構築を進めます。税の徴収向上、府有地の売払いなど、歳入の確保にも努めます。

質の改革

しかし、このような再建方策だけでは未来への展望は開けません。コスト削減といった「量の改革」に終始するのではなく、府政の抜本的な改革につながる「質の改革」に力点を置き、再生への足どりを確かなものとしていきたいと考えます。

  • 改革1 "民の目線"改革
    民間の経営感覚を、よりスピードをもって府政に導入できるよう、改革過程に"民の目線"を活かす仕組みをつくります。
    中長期的に府政の構造改革を進めるためには、公務員の固定観念を払拭していくことが不可欠です。今回の改革案づくりにおいても、第一線でご活躍の民間の方々で構成する行財政改革有識者会議を設置し、活発な意見交換を重ねてきました。
    今後の改革を進めていく過程でも、有識者会議とタイアップしながら、"民の目線"を備えた専門の部会を課題毎に設け、後述の「PPP」改革などを中心に、精力的に検討を進めます。これにより、府職員の意識改革、府庁そのものの改革を加速していきます。
  • 改革2 予算システム改革
    苦しい中でも府政に期待されている役割はきちんと果たします。
    強みを伸ばし、弱みを克服して大阪再生を図るため、改革効果の10%を「再生重点枠」に充て、戦略的に施策の重点化を進めます。「アジアの中の大阪」と「住む人が安心できる大阪」という「外」と「内」の2つの視点から、産業競争力の強化や安全・安心の基盤づくりなど、重点化の指針となる7つの戦略的取組分野を設定しました(産業・雇用、観光、環境、広域ネットワーク、安全、子ども、生きがい)。
    こうした政策展開と財政再建を両立させるため、予算システムを一新します。収入を厳しく見通しながら、その中で必要な政策に思い切った予算措置を行うため、行財政改革有識者会議と再生戦略会議を活用しながら、トップダウン型の予算編成を徹底します。同時に予算の決定を現場に近い部局に委ねる分権型の予算編成を導入するなど、職員の士気高揚を促します。
  • 改革3 「PPP」改革
    改革をさらに進めるにあたって、民間の力を具体的な実践に活かすため、新しい試みとして、PPP施策(民間活力誘導型の手法)を積極的に取り入れます。これまでも、企業やNPOなど多様な主体との協働に取り組んできましたが、その実績の上にたって、さらに発展させていきたいと考えています。
    例えば、行政の仕事を民間にも開放し、民間の責任で、ビジネスとして行政サービスに参入してもらう手法の活用も有効です。総務サービスセンターの成果をさらに発展させ、電子入札・調達と併せ入札契約センターを設置するなど、幅広い業務でさらなるIT化やアウトソーシングを進めます。また、PFIやESCO事業の拡大に加え、新たに「市場化テスト」の手法についても導入を検討します。
    新しい形の事業推進方策として、民間からの資金調達の仕組みにも工夫を凝らします。行政資金の代わりに広告収入を充てるネーミングライツ、ストリートファニチャーなどに加え、文化振興方策の一環として、資金の一部を広く府民から募るファンドなど、民間とのタイアップに創意工夫を凝らします。
    さらに、条例等によって民間の取組みを誘導していくことも重要です。先日発表した自動回転ドアの事故防止対策もその一例ですが、緑化や文化の振興などでも具体案を検討し、「地方から国を変える」動きに転化させたいと考えています。

地域主権をめざした国との闘い

三位一体改革が進み、いよいよ「与えられる地方分権」から「地方発の地域主権」へ、改革を"ほんまもん"にしなければならない時がきました。真の地域主権の府政へと改革の効果をあげるためには、国もまたその仕事のあり方を根本から見直さなければなりません。地方が懸命に改革を進めようとしても、住民ニーズから乖離した国の規制が厳然と存在し、これが足かせになっているという実態が数多くあるからです。
地域の創意工夫を実践する裏付けとしての税源移譲は当然のことですが、地方に職員配置を義務づけるいわゆる必置規制の見直しや、地方に関わる法令等にしっかり知事等の意見が反映されるよう、国との協議機関を常設化するなど、国に果敢に改革を求めていくことを決意しています。

以上のような考え方に立って、大胆かつ繊細な府政の改革に新たな一歩を踏み出していきます。府民の皆様のあたたかいご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

平成16年9月

サイン

PPP(Public Private Partnership)
事業のコストダウンだけでなく、公共サービスの価値を高めることを目的として、公共サービスを民間にも開放して、多様な官民協力を行っていくこと。

入札契約センター
部局毎に行われている入札・契約に関する事務や権限を集約し、統一的に実施するセンター。

ESCO事業(Energy Service Company)
民間資金で庁舎等の省エネルギー改修を行い、削減された光熱水費の一部で工事費用を償還し、残りを府とESCO事業者の利益とするニュービジネス。(学校や警察署など、より広範な府有施設へ導入を検討する)

市場化テスト
公共サービスの提供について、官と民を対等な立場で競争入札にかけ、価格と質の両面で優れた主体に落札させる制度。(府の出資法人の事務や公の施設の運営などを対象に導入を検討する)

ネーミングライツ
スポンサー企業の社名や商品ブランド名をスタジアムやホールなどの名称に付ける権利。一定期間の権利を販売することにより広告収入を得る。(スポーツ施設や集客施設などで導入を検討する)

ストリートファニチャー
景観と調和するように美しくデザインされた彫刻、街灯、案内板、ベンチなどの設備。広告スペースを組み合わせることで、民間が行政に代わって独立採算で設置、メンテナンスを行うビジネスも可能。(府道や府営公園などにおいて導入を検討する)

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