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開発許可制度の概要
開発許可制度の目的
都市計画法では、都市計画区域を以下の区域に区分し、段階的かつ計画的に市街化を図ることとしています。
- 「市街化区域」 : おおむね10年以内に市街化を促進する区域
- 「市街化調整区域」: 市街化を抑制する区域
これを担保する目的で設けられたのが『開発許可制度』です。
市街化区域内における開発許可(法第29条第1項)
一定規模以上(府内は、開発面積が500平方メートル以上)の土地で開発行為を行う場合は許可が必要です。※一部、許可が不要な場合があります。
許可基準
開発区域に一定の技術的水準を保たせるための基準(いわゆる「技術基準」)に適合させる必要があります。
市街化調整区域内における開発許可等(法第29条第1項)
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開発行為を行う場合は、許可が必要ですが、原則として、一定の開発行為以外は認められません。※一部、許可が不要な場合があります。
許可基準「技術基準」に適合させるほか、開発行為を例外的に許可する場合の基準(いわゆる「立地基準」)にも適合していることが必要です。
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開発行為を伴わずに建築行為のみを行う場合も、許可が必要ですが、開発許可と同様に、一定の建築行為以外は認められません。※一部、許可が不要な場合があります。
許可基準「技術基準」に適合させるほか、建築行為を例外的に許可する場合の基準(いわゆる「立地基準」)にも適合していることが必要です。
その他の建築等の制限
開発行為完了前の建築制限(法第37条)
開発許可を受けた土地については、工事完了公告がなされるまでは、原則として建築等はできません。
市街化調整区域等における建築物の形態制限(法第41条)
市街化調整区域など用途地域が定められていない土地における開発許可については、必要に応じて建ぺい率や建築物の高さなどの建築物の形態について制限が定められる場合があります。
開発許可を受けた土地における建築等の制限(法第42条)
開発許可を受けた土地については、開発許可時の予定建築物等以外の建築物等の建築は、原則としてできません。
市町村の開発許可権限の状況
都道府県知事のほか以下の表にある政令市、中核市、施行時特例市、地方自治法に基づく事務移譲市の長に許可の権限があります。
(※「事務移譲市(市街化区域のみ移譲)」の欄にある市町村の市街化調整区域内での開発許可権限は大阪府にあります。)
政令市 |
大阪市、堺市 |
---|---|
中核市 |
高槻市、東大阪市、豊中市、枚方市、八尾市、寝屋川市、吹田市 |
施行時特例市 |
茨木市、岸和田市 |
事務移譲市 |
池田市、能勢町、豊能町、羽曳野市、泉大津市、守口市、門真市、和泉市、忠岡町、箕面市 |
事務移譲市 |
富田林市、河内長野市、大阪狭山市、太子町、河南町、千早赤阪村、松原市、柏原市、摂津市、貝塚市、藤井寺市、大東市、泉佐野市、高石市、泉南市、阪南市、田尻町、岬町 |
用語の定義
開発行為(法第4条第12項)
主として建築物の建築又は特定工作物(コンクリートプラント等の第一種特定工作物及びゴルフコース、1ヘクタール以上の墓園等の第二種特定工作物)の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいいます。
区画形質の変更
次のいずれかに該当する行為をいいます。
区画の変更
- 例1 建築物の敷地の区画を統合する場合
- 例2 建築物の敷地の区画を分割する場合
形の変更
造成行為がある場合
質の変更
- 例1 農地、池等の宅地以外の土地を宅地にする場合
- 例2 区域内に道路等の公共施設が生じる場合
許可が不要な開発行為(法第29条第1項)
- 市街化区域内において行う小規模な開発行為(府内は、500平方メートル未満)
- 市街化調整区域内において行う農林漁業のための建築物及びその業務に従事する者の住宅に係る開発行為
- 公益上必要な建築物に係る開発行為
- 都市計画事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業、防災街区整備事業の施行として行う開発行為
- 公有水面埋立法の免許を受けた埋立地で同法の完了告示のない土地における開発行為
- 非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為
- 通常の管理行為、軽易な開発行為等
許可が不要な建築行為(法第43条第1項)
- 都市計画事業の施行として行う建築物の建築行為又は第一種特定工作物の新設
- 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の建築行為又は第一種特定工作物の新設
- 仮設建築物の新築
- 第29条第1項第9号に揚げる開発行為その他の政令で定める開発行為が行われた土地の区域内において行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
- 通常の管理行為、軽易な行為に係る建築物の建築行為又は第一種特定工作物の新設
開発許可(法第29条第1項)の基準
技術基準(法第33条)
良好な市街地の形成を図ることや、宅地に一定の水準を確保させるため、次の基準が定められています。
- 予定建築物等の用途が用途地域等の制限に適合していること。
- 道路、公園等の公共空地が適切に設計されていること。
- 排水施設、給水施設が適切に設計されていること。
- 地区計画が定められているときは、当該地区計画に適合していること。
- 公共施設及び予定建築物の用途の配分が適切に定められていること。
- 開発区域内の土地について必要な安全措置が図られていること。
- 原則として災害危険区域などの災害防止上支障のある土地を含まないこと。
- 1ヘクタール以上の開発行為については、必要に応じて樹木の保存、表土の保全等の措置や騒音、振動等による環境防止上必要な緩衝帯が設けられていること。
- 40ヘクタール以上の大規模開発については、鉄道等輸送の面から支障がないこと。
- 申請者に開発行為を行うための必要な資力・信用があること。
- 工事施行者に工事を完成させるために必要な能力があること。
- 開発区域内の関係権利者の相当数の同意を得ていること。
立地基準(法第34条)
市街化調整区域では、技術基準を満足するほか、次の立地基準のいずれかに該当する場合でなければ許可することができません。
ただし、第二種特定工作物については、立地基準は適用されません。
- 周辺の居住者の日常生活に必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場等のための開発行為(第1号)
- 市街化調整区域内の鉱物資源、観光資源等の有効利用上必要な建築物等のための開発行為(第2号)
- 温度、湿度、空気等について特別の条件を必要とする事業の用に供する建築物等のための開発行為(第3号)
- 農林漁業の用に供する建築物又は、市街化調整区域内において生産される農林水産物の処理、貯蔵、加工に必要な建築物等のための開発行為(第4号)
- 都道府県が国又は独立行政法人中小企業基盤整備機構と一体となって助成する中小企業者の行う他事業者との連携若しくは事業の共同化又は中小企業の集積の活性化に寄与する事業に必要な建築物等のための開発行為(第6号)
- 市街化調整区域内の既存工場の事業と密接な関連がある事業に必要な建築物等のための開発行為(第7号)
- 市街化区域内に建築することが不適当な危険物の貯蔵又は処理に必要な建築物等のための開発行為(第8号)
- 道路の円滑な交通を確保するために適切な位置に設けられる道路管理施設、休憩所、給油所等のための開発行為(第9号)
- 地区計画等の区域内において、当該地区計画等に適合する建築物等のための開発行為(第10号)
- 市街化区域に近隣接する一定の地域のうち、都道府県、政令市、中核市、特例市等(以下「都道府県等」という。)の条例で指定する区域内において、当該条例に適合する建築物等のための開発行為(第11号)
- 周辺の市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、都道府県等の条例で定められたもの(第12号)
- 市街化調整区域が定められた際、自己の居住用又は業務用のための建築物等を建築する目的で所有権等を有していた者が、当該日から6ヶ月以内に届け出て、5年以内に行う開発行為(第13号)
- 開発審査会の議を経て、周辺の市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められるもの(第14号)(審査基準の「提案基準」を参照)
建築許可(法第43条第1項)の基準
技術基準(令第36条第1項第1号)
次の基準に適合していることが必要です。
- 排水施設が、敷地内下水を有効に排出できるよう配置され、その排出によって周辺の土地に溢水等の被害を及ぼさないこと。
- 地盤改良、擁壁の設置等安全上必要な措置がとられていること。
立地基準(令第36条第1項第3号)
次の基準のいずれかに該当する場合でなければ許可することができません。
- 法第34条第1号から第10号までに規定する建築物又は第一種特定工作物
- 都道府県等の条例で指定する区域内において行う建築行為等で、建築物等の用途が、都道府県等の条例で定めるものに該当しないもの
- 都道府県等の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの
- 法第34条第13号に該当する者が建築する建築物等
- 市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内で建築又は建設することが困又は不適当と認められるもので、あらかじめ開発審査会の議を経たもの