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更新日:2024年5月23日

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子ども施設環境配慮手引書 活用事業(平成29、30年度)

平成28年度に発行した「子ども施設と地域との共生に向けて 子ども施設環境配慮手引書」(以下「手引書」という。)の活用のため、平成29年度に活用実態などに関するアンケートを実施し、平成30年度には、手引書の活用事例等の聞き取りを行いました。

平成29年度 アンケート結果

手引書を配布した方々(子ども施設、市町村、建築士など約2400件)を対象に、活用実態などに関するアンケートを実施しました。結果の概要は以下のとおりでした。

Q1.手引書を、施設運営・設計・苦情対応等に活用されましたか?(回答数:589件)

アンケート結果グラフ。「活用した」117人、「活用していない」215人、「まだ読んでいない」204人、「その他」53人との結果。

「活用した」のは、回答の約2割にあたる117件でした。
「その他」の回答例としては、「手引書のことを知らなかった(手元にない)」「読んだが採り入れられるものがなかった」「すでに対策をしている」といった回答がありました。

Q2.手引書を活用した場合、具体的な活用内容を教えてください。(回答数:104件)

結果のグラフ。「啓発、研修に活用した」が54件、47%と最多でした。

上述Q1.で手引書を「活用した」と回答した方の具体的な活用内容では、職員の情報共有や啓発、研修に活用した方が54件(回答の約5割)と最多でした。
対策の中でも比較的に予算と工期を要する「設備・建設工事などの参考にした」方は12件(回答の約1割)でした。

Q3.今後、手引書で充実してほしい内容はありますか?(複数回答可。回答数:589件)

結果のグラフ。「苦情・トラブル事例」35%、「対応事例」計37%、「地域とのコミュニケーション事例」27%でした。

手引書に求める内容として、「苦情・トラブル事例」の充実との回答が394件(回答の約4割)と最多でしたが、音、交通、マナー等に関する「対応事例」や「地域とのコミュニケーション事例」の充実も、回答の約2割から3割となりました。

アンケートのふり返り

以上のアンケート結果から、今後、手引書のさらなる活用に向けて、トラブル対応や取り組み事例の情報を充実していくこと、設備・建設工事などのいわゆるハード面の取り組みを普及できるための課題等を明らかにすることが重要と考えられます。そこで、平成30年度には、以下のように、手引書活用事例等の聞き取りを行いました。

平成30年度 手引書活用事例等の聞き取り

アンケート回答者のうち、手引書のハード面の取り組みを参考にされた「おおさか保育園(仮名)」、ソフト面の取り組みを参考にされた「さいわいこども園」、総合的な視点でさらなる子ども施設と地域との共生を展望する「ちびっこ計画・大塚謙太郎一級建築士事務所」におじゃましてお話を伺いました。
子ども施設が地域と共生するために、なされている努力や、次の課題となっていることなどについて、貴重なお話を聞くことができました。

保育園のハード面の取り組み事例(おおさか保育園(仮名))

おおさか保育園(仮名。以下略)は、都心部のやや郊外、公園沿いに立地する三階建ての認可保育園です。近隣には、住宅もあります。

保育園の玄関
(保育園の玄関の写真)

まだ開園して1年以内の園で、子どもたちが元気に室内遊びや水遊びを楽しむなか、以下のお話を伺うことができました。

 
(室内遊びをする子どもたちのイメージ(手引書より))

質問1. 手引書を活用した対策事例について教えてください。

おおさか保育園ご担当の回答:

(1)遮音パネルの設置

保育園の整備の過程で、地域からのご要望を受けて、手引書(26から28ページ)を参考に、子どもたちが水遊びなどで集う場所の敷地境界に、遮音パネルを設置しました。

遮音パネル
(遮音パネルの外観写真)

(2)調理室の排気音対策

保育園の設計段階で、手引書(40ページ)を参考に、給食調理室の換気扇の排気音対策のため、1階調理室の排気口を屋上に上げました。

屋上にあげている調理室の排気ダクトの写真
(調理室の排気ダクトを屋上に上げている写真)

給食調理室にはかなりの換気量が必要となる上、排気ダクトが長いぶん送風機の能力を高く設計しています。状況に応じて能力を調節できるよう、排気能力を3段階にしています。さらに、調理室入り口ドアにルーバーを取り付け、調理室内の空気の流れを調整しています。

調理室入り口ドアに取り付けたルーバーの写真
(ルーバーを調理室ドアに取り付けた写真)

質問2. 対策をして、近隣からの反応がありましたか?

おおさか保育園ご担当の回答:
調理室の換気扇の音の対策については、近隣からのご意見や苦情をお受けする前に、あらかじめ可能な対策をと考え、設計時点で採り入れ、地域説明会を行いました。
先行的に対応をすることが大事だと考えたからです。
また、説明会後にも、近隣の複数の方よりご要望を受けて、遮音パネルを設置することにしました。設計の意匠として子どもたちのために開放感を出したかったことと、近隣のご要望に応えていくこと、コスト面の両立に苦労しました。

開園後は「思ったより静かやなぁ」という感想をいただいたことはあります。対策をすることで、園としては可能な限りの対応をするということへの信頼は、得られたのではないかと思います。
開園前は環境が変わってしまうことへの懸念が寄せられることがあるとは思うのですが、その後、園の夏祭りに参加してくれている地域のかたもいらっしゃるので、園側があきらめず誠意をもって対応を継続するのも大事だと思います。

質問3. 地域との共生のポイントを教えてください。

おおさか保育園ご担当の回答:

  • (1)誠意ある対応、相手の気持ちを受けとめ検討する姿勢、相互理解。ただ、コスト面の制約もあり、なんでもできるわけではないので見極めながらだとは思います。
  • (2)地域の協力。自治会が園を歓迎し、町内の調整役をしてくれるケースでは、スムーズに開園が進むと思います。
  • (3)あきらめずに長期的に共生に取り組む姿勢。最初はうまくいかなくても、誠意をもって対応すれば開園後に理解してもらえることはあります。

ほかに、これはポイントというより運営側の企業理念ですが、待機児童の解消、地域社会への貢献を掲げています。また、子どもたちのためにのびのび遊べる環境を重視し、できる限り低層で3階建てくらいまでの園を目指しています。

質問4. 音の対策やその他の面で、行政に望むことがあれば教えてください。

おおさか保育園ご担当の回答:
遮音パネルの設置では、パネルを何メートルまで高くできるか、コスト面での制約はありました。
保育施設の整備や開設、運営に伴う近隣住民からのご要望に応えるため、防音工事等の近隣対策に関する助成金の仕組みができることを切望いたします。

保育園のソフト面の取り組み事例(さいわいこども園)

さいわいこども園は、郊外に立地する一階建ての認定子ども園です。芝生の園庭があり、比較的ゆったりとした敷地ですが、近隣には集合住宅などもあります。

こども園園庭
(こども園の園庭の写真)

今回、以下のとおり、お話を伺うとともに、太鼓マットなどの音の低減効果を測定することができました。

質問1. 手引書を活用した対策事例について教えてください。

さいわいこども園ご担当の回答:
地域で継承されている盆踊りの曲を大事にしたいと、園では太鼓を取り入れています。
和太鼓の練習は4月から8月、運動会の鼓笛隊の練習が9月。いずれも原則、遊戯(ゆうぎ)室で窓を閉めて練習しています。
太鼓の音について、近隣から提案があり、園として地域との共生を重視したいとの考えから、手引書(36ページ)を参考に、太鼓にマットを敷き、吸音のために床にカーペットと窓にカーテンをして練習しています。


(太鼓をたたく子どものイラスト(手引書より))

対策(太鼓にマットを敷く)の効果を測定しました。

子どもたちにお願いして、対策前(太鼓マット無し、カーテン無し)と、対策後(太鼓マット有り、カーテン有り)で、同じ演奏をしてもらい、音の低減効果を測定しました。

まずは、室内測定(太鼓から約4メートルはなれた位置)、対策前の状態で演奏してもらいます。

対策前
(対策前(太鼓マット無し、カーテン無し)の様子の写真。手前に映っているのは、大阪府所有の音の測定機。)

太鼓をたたく子どもたち
(太鼓をたたく子どもたちの写真(対策前))

カカカカドン・ドンの、太鼓の音と、子どもたちの元気な歌声が室内に響きわたります。瞬間の値で見ると、100デシベルは超えています。

次は、同じ位置で、対策有り(太鼓マット有り、カーテン有り)で、同じように演奏してもらいます。

太鼓の上にマットを敷いた写真
(太鼓の上にマットを敷いた写真)

太鼓のマットはホームセンターでも売っている、四角いゴム製のもの。

対策後
(対策後(太鼓マット有り、カーテン有り)の様子の写真)

対策無しのときと違って、太鼓特有の低い衝撃音がなくなり、乾いたパタパタとした音になります。

マットを敷いた太鼓を叩くこどもたち
(マットを敷いた太鼓をたたくこどもたちの写真)

それにしても、マットがずれ落ちては、先生が拾い・・・ と少し大変そうです!

ずれ落ちたマットを拾う先生
(ずれ落ちたマットを拾う先生の写真)

このあと、屋外でも、対策前・後の測定をしました。

子どもたちは4回も演奏してくれてありがとう!

屋外測定
(屋外測定の写真)

太鼓にマットを敷く対策の効果

演奏のときに太鼓にマットを敷いたときの、音の低減効果は以下でした。(カーテンを閉めたことによる吸音の効果も若干ではありますが、含まれます。)

屋内での測定結果
(太鼓から約4メートルの地点)

音のレベル(L5で評価)
マットを敷く前 102デシベル → マットを敷いた後 94デシベル

マットを敷くことによって、約8デシベル下がった

屋外での測定結果
(太鼓から約25メートルの地点)

音のレベル(L5で評価)
マットを敷く前  72デシベル → マットを敷いた後 58デシベル

マットを敷くことによって、約14デシベル下がった

4回の演奏が全く同じ条件とは限りませんが(少しづつ疲れてくる可能性もあります)、今回の結果では、太鼓にマットを敷くことで、屋外への影響を約14デシベル減らすことができました。

子どもたちの感想も聞いてみました。

手引書では、音の対策として、「太鼓に布をかぶせてたたく」のが「効果的」と掲載しました。マットを敷くのも同じ効果があります。

でも、太鼓をたたく子どもたちはどう思うの?という点については触れていませんでした。
そこで、子どもたちの感想を聞いてみることにしました。

Q1.マットを敷いてたたくと、どんな感じ?

「音がちがってた。」「音がちっちゃくなってた。」「つぶつぶした音になる。」

Q2.マット有りと、無し、どっちがいい?(挙手)

マット有りがいいは1人。
マット無しがいいは、19人。

Q3.それはどうして?

マット有りがいい理由は、「(うまく言えないけど)そのほうがいいから。」
マット無しがいい理由は、「たたきやすい。」「思い切りたたける。」「音がかっこいい。」「マットがあるとちっちゃい音になってしまう。」

やはり、子どもたちの多くは、マット無しのほうがいい!と感じているんですね。

(子どもたちが、良い音響空間で思い切り太鼓をたたけるための課題については、「建築士へのヒアリング事例(ちびっこ計画・大塚謙太郎一級建築士事務所)」をご覧ください。)

質問2. 対策をして、近隣からの反応がありましたか?

さいわいこども園ご担当の回答:
直接感想を聞けたわけではありませんが、対策してからは「うるさい」というご意見はないので、効果があったと受け止めています。

質問3. 地域との共生のポイントを3つ、教えてください。

さいわいこども園ご担当の回答:

  • (1)園が何をやっているかを知っていただき、開かれた園をめざしています。(地域の人に来てもらう夕涼み会を開催。行事、練習のご案内など。)
  • (2)近隣へのご挨拶には子どもたちと一緒に行き、顔が見えるようにしています。
  • (3)地域の公的施設とのネットワーク、小中学校や、社会福祉協議会、老人会との連携をはかっています。

質問4. 音の対策やその他の面で、行政に望むことがあれば教えてください。

さいわいこども園ご担当の回答:
園も建設後40年以上が経ち、建て替えの検討に入っています。安全性、駐車場等のスムーズな動線、防音対策など、総合的な配置・設計のノウハウがあるとありがたいです。
また、そういった、総合的な配慮が可能な予算と工期も、とても大事です。

建築士へのヒアリング事例(ちびっこ計画・大塚謙太郎一級建築士事務所)

ちびっこ計画・大塚謙太郎一級建築士事務所は、保育園などの子ども施設の設計を数多く手がけられています。

建築事務所の入口
(建築事務所の入口の写真)

玄関をはじめ、木材や漆喰など素材感を活かした内装の、素敵な事務所でした!
今回、音の対策にとどまらない総合的な視点で、子ども施設との共生を行政や地域社会が考えていくための、貴重なお話を伺うことができました。

質問1. 手引書への感想を聞かせてください。

ちびっこ計画・大塚謙太郎一級建築士事務所(以下、「ちびっこ計画 大塚さん」)の回答:
当社は、保育園など子ども施設の設計を多く手がけています。手引書には、自分や同業者が当時ヒアリングを受けた内容が掲載されており、当社にとってはすでに知っている内容ですが、子ども施設の設計実績がない建築事務所にとっては参考になる点もあるでしょう。全国的にもこの主旨の冊子は例がないので、画期的な面はあると思います。
あえてマイナス面を言うと、共感できない内容はあります。例えば、太鼓の練習で布をかぶせましょうというところ(手引書36ページ)。子どものうちから本物に触れてはじめて感性が伸びるという考えからすると、「そうですね」とはならない(詳細は質問2を参照)。
また、現実問題として「これやろうとしたらお金も工期も足らへんで」という感想は、正直なところ持っています。

質問2. 手引書に掲載した音の対策などについて、施工実例や、考えを聞かせてください。

(1)人の声

ちびっこ計画 大塚さんの回答:
保育園などの施設内で、声が大きくなるメカニズムとして、
吸音が不十分な空間で雑音が響いている → 子どもが大きい声になる → 声を届かせるために大人が声をはる。
という場合があります。
逆に言えば、吸音が十分なされた空間では、子どもの話し声も小さくなり、大人も小さい声で話せるようになります(手引書関連ページは30、37ページ)。
技術的解決としては、主に天井か壁に吸音材を用いることが有効です(手引書関連ページは20ページ)。

(子どもに話しかける大人のイラスト(手引書より))

大阪府(騒音振動グループ):
実際に、そういった吸音性能のある天井や壁は、普及していますか?

ちびっこ計画 大塚さん:
残念ながら、現状は、予算や工期の都合で、吸音効果のない化粧石膏ボードが使われがちです。
1平方メートル当たり数百円のアップで吸音化粧石膏ボードという商品もあるので、検討してみてはどうでしょうか。理想的には岩綿吸音板が良いと思います。

大阪府(騒音振動グループ):
予算のカベの問題は大きい、ただ、予算に応じていくつか選択肢はある、というわけですね。
天井や壁以外で、床材に吸音性能のある材料を用いるのは、いかがでしょうか?

ちびっこ計画 大塚さん:
吸音性能がある床材といえば、カーペットが代表的ですが、子どもたちが過ごす保育室では、食べ物をこぼしたり、嘔吐もあり、清掃が困難なので、衛生上の理由で選択できないことが多いです。
吸音性能は床に期待せずに、天井か壁に用いるほうが現実的です。

大阪府(騒音振動グループ):
予算や工期上の課題がクリアできれば、技術的には、天井か壁に吸音性能を持たせるのが良い、ということなのですね。
床材の話の続きなのですが、手引書(35ページ)にも掲載したように、大阪府では「木育」「森林資源の循環利用」をうたって子ども施設の内装を木質化する事業を行っています(「子育て施設 木のぬくもり推進事業」平成28から31年度までの4年間を予定)。木質の床材は、吸音効果は限定的だとしても、総合的な面で、どう評価されていますか?

ちびっこ計画 大塚さん:
床材は、杉の無垢板など、本物の自然素材に小さいうちから触れることをお勧めしています。一方で、クッキングや製作あそび等、床を汚しがちな活動に制約をかけてしまうので、状況によって、ビニル床シートを使うこともあります。園が保育・教育で何を優先しているかで床材を選択しています。

大阪府(騒音振動グループ):
保育園へのヒアリングでも、音の対策への予算措置や情報がほしいという声がありました。
手引書ではあまり深く触れることはできていませんが、今後、子ども施設の運営者の方々が総合的な観点から内装材を吟味できるような情報が、大事だと思いました。

(2)楽器練習音

ちびっこ計画 大塚さん:
太鼓の音は衝撃音で、音のレベルも大きくなります。技術的解決には、改修であれば二重窓といった改良も効果的ですが、新築の場合は、鉄筋コンクリート造にするべきです。例えば、新しく建設する園で、鼓笛隊を重視したいということであれば、他工法に比べて遮音性が優れているので、コンクリート造を勧めたいです。
ただ、ネックになるのは予算と工期。お金がかかるし、コンクリートが固まる時間も見ないといけない。それで、やむを得ず、木造や鉄骨造の園が増えています。
楽器の練習は、子どもがチームワークで集中してものごとに取り組むことや、情操を育てることができる大きな機会。
それに布をかけろというのはひどい。

大阪府(騒音振動グループ):
冒頭(質問1)でおっしゃっていた、手引書へのご批判の点ですね。

ちびっこ計画 大塚さん:
近隣(受音側)への配慮の観点も要るが、何より、子どものためという立場で、子ども施設や地域環境をどう整備していくか、そこに運営者も近隣住民も行政も、子どもに対する大人としての責任感を持たなければいけないと思っています。

大阪府(騒音振動グループ):
そうですね。予算上の課題も含め、子どもの健全な育成環境のために、各主体が行動していくことが必要で、課題はまだまだあるということだと思います。
「太鼓に布などを敷く」対策については、今度、その対策をしている園の子どもたちに、意見を聞きに行ってきます!

※このヒアリングのあとに「保育園のソフト面の取り組み事例(さいわいこども園)」の聞き取りに行きました。やはり、子どもたちの多くは、練習で太鼓にマットを敷かずにたたきたいという意見でした。

(3)設備音(手引書関連ページは40、41ページ)

ちびっこ計画 大塚さん:
設備音では、エアコンの室外機の音が問題になることが多いです。狭い敷地の場合、敷地の境界ギリギリに設置せざるを得ません。
対策としては、屋上設置(ただし、高コスト)、遊戯室や厨房の室外機の能力ダウン(ただし、保護者も来るような年中行事や、厨房での能力が不足)、遮音壁を設置(ただし、高コストな上、設置のしかた次第で室外機の効率は低下。また、隣家への日照が遮られる場合もある。)と、苦渋の選択となります。
騒音規制法・条例の届出対象となったら、あらかじめ敷地境界基準を守れる設計にするのですが、室外機の最大能力で音を予測評価すると、場合によって、年中行事のときのために能力を大きめに設計することが難しくなります。

大阪府(騒音振動グループ):
エアコンの室外機などの設備音について、基準遵守は必須だと考えていますが、ジレンマを解消できる対策の提示が待たれていると理解しました。

(4)「交通」に関する問題(音ではなく、送迎時などにおける交通上の支障)(手引書関連ページは46、47ページ)

ちびっこ計画 大塚さん:
送迎などの交通問題が一番多く発生する問題で、これというわかりやすい解決はありません。

大阪府(騒音振動グループ):
手引書の作成にあたって実施した市町村へのアンケートで、苦情等として多い事項に「送迎時における、路上での駐輪・駐車により通行に支障」が挙げられました(手引書2ページ)。
そこで、手引書(46から48ページ)では、送迎車両や自転車の苦情・トラブルへの取り組み事例を掲載しています。それ以外でご存知の事例はありますか。

ちびっこ計画 大塚さん:
手引書では、ハード面の取り組みとして主に駐車場の確保を挙げていますね。駐車場が確保できない子ども施設で、自動車での送迎を認めているケースでは、保護者が車の運転席にいたまま、保育士が車から園児をあずかる園もあります。いわゆるドライブスルー方式です。やむを得ないとはいえ、本来は、保護者から子どもの体調面の引継ぎを受けたり、また、保護者の様子も確認しながらあずかることが大事です。

大阪府(騒音振動グループ):
すぐに解決できない問題はありますが、子どもの健全な育成環境を確保・充実していくために、子ども施設に関わる様々な主体が考え、それぞれの行動の中で配慮していく必要がありますね。

※手引書では「おわりに」の章で、子ども施設に関わる皆様へのメッセージを掲載しています(67から69ページ)。

質問3. 施工実例をもとに、子ども施設の地域との共生のポイントを3つ、教えてください。

ちびっこ計画 大塚さんの回答:
(1)「いもを配る」に象徴される近所づきあい。はじめはそっぽを向かれていても何度も訪問して時間をかけて打ち解けている園は多くあります。
「自分の孫と同じように思えないのは、声の主を知らないから」という言葉もあります。関係性は変わりますし、住民を恐れすぎずに共生を目指すことは大事です。
(2)敷地を選ぶ。道路の状況や、敷地のゆとりなどの基本的な条件は必要ですし、スムーズな運営のためには、子ども施設が歓迎されやすいかどうかといった点の考慮も大事です。
(3)やはり、お金と工期。近隣の意見や苦情に対応するには、予算と工期が要るのは当然。逆にそれさえあれば、手引書がなくても、園は一生懸命対応するでしょう。

質問4. 行政に求められることについて、すでにキーワードは出てきましたが、改めてご意見を聞かせてください。

ちびっこ計画 大塚さん:
お金と工期です。

大阪府(騒音振動グループ):
やはりそれが大事なんですね。
他にも、行政で、多主体で取り組めそうな課題はありますか?

ちびっこ計画 大塚さん:
保育園をはじめ、子ども施設の役割について、改めて考える必要があると思います。
子ども施設が、立地する街と無関係な存在であっては孤立してしまいます。
その街のにおいを園に持ち込み、園も外に解放していくことで、園が地域の一員としてとらえられることが大事です。


(登園する子どもと地域の大人のイメージ(手引書より))

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