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災害廃棄物処理に関するQ&Aについて
ご質問一覧(質問項目をクリックすれば回答に移動します)
1.受入れの必要性について
Q1-1 なぜ災害廃棄物の広域処理が必要なのですか。なぜ大阪府が処理を行ったのですか。
Q1-2 被災地では、防潮堤をつくるための瓦礫が足りないとの話しを聞きました。遠隔地の大阪で処理するより、防潮堤に利用した方がいいのではないですか。
Q1-3 岩手県の木くずや可燃物は減ったのではないですか。大阪が受け入れる必要はないのではないですか。
Q1-4 時間がかかっても被災地で処理することで、被災地の雇用が増えて復興につながるのではないですか。
Q1-5 被災地で処理する方が処理費用が安いのではないですか。わざわざ大阪まで高い運搬費用をかけて持ってくることはないのではないですか。
2.受け入れる災害廃棄物について
Q2-1 対象とする被災地は具体的にはどこですか。また、大阪府が受入れた災害廃棄物は、岩手県の中のどの市町村分ですか。
Q2-2 「一次仮置場」と「二次仮置場」とは何ですか。
Q2-3 組成ごとに放射性物質濃度を測定するとしていたのに、可燃物全体で測定したのはなぜですか。
Q2-4 東日本大震災により発生した災害廃棄物は海水をかぶっており塩素分が高いと思われますが、焼却によるダイオキシン類や塩化水素などの発生は問題ないのですか。
Q2-5 岩手県の災害廃棄物の放射性物質濃度はどれくらいなのですか。
Q2-6 放射能以外の六価クロム、砒素等の有害物質は大丈夫ですか。
Q2-7 岩手県の仮置場で行う災害廃棄物の空間線量率測定において「バックグラウンド」とは具体的にどのような測定のことをいうのですか。
Q2-8 府内各工程で行う空間線量率測定において「バックグラウンド」とは具体的にどのような測定のことをいうのですか。
Q2-9 災害廃棄物は放射性物質濃度を全量測定しないのに、高濃度の災害廃棄物が混入することはないのですか。
Q2-11 災害廃棄物に殺虫剤や防臭剤が散布されたのではないですか。焼却することで影響があるのではないかと心配です。
Q2-12 試験処理の際に微小粒子状物質(PM2.5)が増加したと聞きました。焼却することで影響があるのではないかと心配です。
3.放射能に関する考え方について
Q3-1 ストロンチウムやプルトニウムも話題になっていますが、対象とする放射性物質をセシウム134とセシウム137とする理由は何ですか。
Q3-2 一般公衆の線量限度を1年間1ミリシーベルトとしていますが、これは何を根拠にしているのですか。
Q3-3 体の外から受ける放射線よりも体の中から受ける放射線が大変危険だとも聞きますが、検討には体の中から受ける放射線も入っているのですか。
Q3-4 国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方では放射線による影響に関して不十分だとの意見もありますが、これについてはどのように考えればよいですか。
Q3-5 大人は大丈夫だったとしても、小さい子どもには影響があるのではないですか。
Q3-6 バグフィルターのメーカーに聞くと、バグフィルターでは放射性物質は取れないと言います。それなのに環境省は99.9%取れると言っていますが、どういうことですか。
Q3-7 バグフィルターで放射性セシウムが99.9%取れるとしても、残り0.1%は出るのではないですか。たくさん燃やせば、0.1%でもたくさん出ることになるのではないですか。
Q3-8 年間1ミリシーベルトを限度として基準を作ったそうですが、被災地の廃棄物の処理だけで1ミリシーベルトと考えても、食品からの影響などをあわせると1ミリシーベルトを超えるのではないですか。
4.運搬等について
Q4-1 府内でコンテナを陸揚げした港湾施設はどこですか。また、積み替えを行った積替施設はどこにありますか。
Q4-2 港湾労働者の作業環境の安全のための数値「毎時0.3マイクロシーベルト」は何を根拠にした数値ですか。
Q4-3 海上運搬は民間業者に委託したそうですが、その民間業者はどのようにして選定したのですか。
Q4-4 廃棄物を運ぶ車両が増えて渋滞や大気汚染がひどくなるのではないですか。
5.焼却処理・最終処分場について
Q5-1 どこの焼却施設で燃やしたのですか。また、その焼却施設はどのような焼却施設ですか。
Q5-3 災害廃棄物の焼却処理は、通常ごみと一定割合で混合焼却するとしていますが、どの程度の割合で混合焼却したのですか。
Q5-5 大阪府が受入れた災害廃棄物の焼却灰はどの最終処分場で埋立てたのですか。
Q5-7 埋立てた焼却灰中のセシウムが溶け出してしまい、大阪湾に影響をおよぼしてしまうことはないのですか。
Q5-8 処理を行う作業員の安全確保のため、作業マニュアルは作成しないのですか。
6.大阪府域における東日本大震災の災害廃棄物処理に関する指針について
Q6-2 指針の対象が「府域で災害廃棄物の処理を行うすべての者」となっていますが、民間業者が被災地から処理を請け負う場合も対象になるのですか。民間業者が勝手に処理をすることはないのですか。
Q6-3 「府民の健康に影響がないことを前提に」とありますが、「府民の健康に影響がない」ということは具体的にどういうことですか。
Q6-4 災害廃棄物や埋め立てる焼却灰中の放射性物質濃度の目安値は、どのように算出したのですか。
Q6-5 国は埋め立てる焼却灰の目安を1キログラムあたり8,000ベクレルとしていますが、大阪府の考えとどう違うのですか。
Q6-6 作業実態に合わせて作業者が受ける線量の試算を行った際の条件はどのように設定されていますか。
Q6-7 府域で「選別・仕分け処理」をするとしていますが、どのような処理をするのですか。
7.試験処理について
Q7-1 試験処理はどのように行い、どのような結果だったのですか。
8.その他
Q8-2 農産物や水産物や観光などに対する風評被害を心配する声もありますが、これについてはどう考えていますか。
よくあるご質問と、それについての大阪府の考えを掲載しています
1.受入れの必要性について
Q1-1 なぜ災害廃棄物の広域処理が必要なのですか。なぜ大阪府が処理を行ったのですか。
A1-1
東日本大震災による災害廃棄物等の発生量は、岩手県では約527万トンと、通常の一般廃棄物発生量の約12年分が発生したことになります。未曾有の大災害を受けた被災地にとって、復旧・復興を早期に行うには、その妨げとなっている災害廃棄物の早期処理が必要です。(阪神大震災で発生した災害廃棄物も約3年で処理されました)
また、災害廃棄物の仮置き場では、ほこりが舞うことにより周辺の生活環境が悪化した状態があり、長期間の貯留により有機物からメタンガスが発生し、火災が起こるなど危険な状態を解消することからも早期の処理が求められました。
雇用の確保、被災地への経済効果などから、被災地において処理することは有効であり、被災地側も既存の焼却施設での処理、仮設焼却炉の設置・運用、民間の施設を活用するなど県内処理を可能な限り進めています。しかし、災害廃棄物の発生量は大量で、発災から3年間での処理は困難な状況です。
平成24年3月には内閣総理大臣及び環境大臣から全国の自治体に向け広域的な協力要請が、平成24年8月及び平成25年1月には、環境大臣から、処理工程表に基づく協力要請がありました。
さらに、岩手県からも直接支援要請を受けています。
これらの状況から、大阪府としては、広域処理の一端を大阪府が担うことが被災地の早期復旧復興につながると考え、災害廃棄物の受け入れをしました。
Q1-2 被災地では、防潮堤をつくるための瓦礫が足りないとの話しを聞きました。遠隔地の大阪で処理するより、防潮堤に利用した方がいいのではないですか。
A1-2
被災地における災害廃棄物の防潮堤への使用については、基本的にコンクリートがらなどの不燃物が想定されておりますが、大阪府が受入れた災害廃棄物は、木くずを中心とする可燃物です。
木くずを防潮堤の資材として使用すると、ガスの発生や水質汚染の原因になったり、有機物であるため分解して防潮堤が陥没してしまうなど環境保全上、安全上の懸念があり、利用することは難しいと考えられます。
Q1-3 岩手県の木くずや可燃物は減ったのではないですか。大阪が受け入れる必要はないのではないですか。
A1-3
岩手県では、可燃物について大阪府も含めて多くの自治体が広域処理に協力した結果として、目標としている平成26年3月までの災害廃棄物全体の処理に概ね目処がたったと聞いています。
大阪府が受け入れた可燃物について、被災地では、可燃物の処理が早く終わらないと不燃物処理に必要なスペースが確保できず、処理の効率性も上がらず、結果として災害廃棄物全体の処理が遅れ、目標までに処理を終了させることも難しくなる状況であったと聞いています。
Q1-4 時間がかかっても被災地で処理することで、被災地の雇用が増えて復興につながるのではないですか。
A1-4
平成24年8月3日に岩手県の達増知事に大阪府庁まで来ていただき、大阪市とともに処理に関する基本合意を取り交わしました。
その際に、達増知事から「災害廃棄物の処理が遅れると被災地の住民の生活に影響を及ぼすので、大阪のご協力は本当に大きな支援、そして県民の大きな心の支えとなります」とのお話を直接いただいています。
大阪府としては、岩手県からの要請を受けて受け入れを行いました。
Q1-5 被災地で処理する方が処理費用が安いのではないですか。わざわざ大阪まで高い運搬費用をかけて持ってくることはないのではないですか。
A1-5
災害廃棄物の広域処理は、被災地だけではどうしても不足する処理能力を、他の自治体の既存の焼却施設を活用して補うもので、運搬経費はかかりますが、被災地が仮設焼却炉を新たに建設して処理を行う費用とは同程度と想定しています。
2.受け入れる災害廃棄物について
Q2-1 対象とする被災地は具体的にはどこですか。また、大阪府が受入れた災害廃棄物は、岩手県の中のどの市町村分ですか。
A2-1
大阪府と大阪市が受け入れた災害廃棄物は、宮古地区(宮古市、岩泉町、田野畑村)において発生し、二次仮置場において選別・破砕が行われた可燃物です。
Q2-2 「一次仮置場」と「二次仮置場」とは何ですか。
A2-2
「一次仮置場」とは、災害廃棄物を居住地域から撤去するために一時的に保管する置き場のことで、「二次仮置場」とは、一次仮置場の災害廃棄物を持ち込み、人力、機械や重機によって選別・破砕を行う場所のことをいいます。
大阪府域に受け入れた災害廃棄物は、二次仮置場において選別・破砕が行われた可燃物です。
Q2-3 組成ごとに放射性物質濃度を測定するとしていたのに、可燃物全体で測定したのはなぜですか。
A2-3
受入廃棄物の放射性セシウム濃度測定は、平成25年1月より、可燃物全体での測定としました。
これは、受入廃棄物のほとんどが木くずであり、木くず以外のプラスチックや繊維の組成率が低く、その放射性セシウム濃度も相当低いという状況のためです。
Q2-4 東日本大震災により発生した災害廃棄物は海水をかぶっており塩素分が高いと思われますが、焼却によるダイオキシン類や塩化水素などの発生は問題ないのですか。
A2-4
岩手県が一般廃棄物焼却施設を用いて、海水を含んだ野田村の災害廃棄物の試験焼却を平成23年6月に行いましたが、その結果ではダイオキシン類や塩化水素などの有害物質は通常のごみ焼却における変動の範囲内でした。
また、府内で焼却処理を行う焼却施設は、ダイオキシン類や塩化水素に対する対策がとられ、適正な管理がされていることに加え、大阪府の指針では災害廃棄物は通常ごみと一定割合で混合して焼却しましたので、心配はありません。
Q2-5 岩手県の災害廃棄物の放射性物質濃度はどれくらいなのですか。
A2-5
受入廃棄物は、岩手県から搬出する前に放射性セシウム濃度を測定しており、その結果は大阪府の指針で示している受入廃棄物の基準(1キログラムあたり100ベクレル以下)を大きく下回っています。
⇒くわしくは、こちら(受入廃棄物の測定結果)をご覧ください。
Q2-6 放射能以外の六価クロム、砒素等の有害物質は大丈夫ですか。
A2-6
岩手県では、仮置場に集められた災害廃棄物を、重機や人の目での選別を繰り返し行い、有害物質を含む機器や製品などは取り除かれています。受入対象の災害廃棄物は、このように現地で十分に選別が行われました木くずを中心とした可燃物です。
災害廃棄物(木くずを中心とした可燃物)の溶出試験結果では、六価クロムやヒ素などの有害物質は不検出、または、問題のない数値でした。
⇒くわしくは、大阪市:本格処理(大阪市ホームページ)(外部サイトへリンク)をご覧ください。
Q2-7 岩手県の仮置場で行う災害廃棄物の空間線量率測定での「バックグラウンド」とは、具体的にどのような測定のことをいうのですか。
A2-7
岩手県の仮置場で行う災害廃棄物の空間線量率の測定における「バックグラウンド」とは、廃棄物から放出された放射線の影響を受けない場所での自然放射線の量のことです。
つまり、廃棄物の近くで測定するのではなく、仮置場に置かれている廃棄物から十分離れた場所で実施する測定のことで、測定場所については、地表からの影響が同程度となるよう、仮置場と同じ性状の地面のところとしています。
Q2-8 府内各工程で行う空間線量率測定での「バックグラウンド」とは、具体的にどのような測定のことをいうのですか。
A2-8
府内の各工程で行う空間線量率の測定における「バックグラウンド」とは、処理を開始するより以前の空間線量率の測定のことで、処理開始後の各処理工程での測定結果と比較するために行うものです。
Q2-9 災害廃棄物は放射性物質濃度を全量測定しないのに、高濃度の災害廃棄物が混入することはないのですか。
A2-9
廃棄物中の放射性セシウム濃度は、代表的、平均的な測定が出来るよう、10箇所以上からサンプリングをして測定しました。受入廃棄物は、岩手県宮古市にある二仮置場において可燃物だけを選別し、土をふるい、15センチ以下に大きさをそろえる処理がされた後の、木くずを主とする可燃物であり、大きさや性状がそろったものになるよう、また異物が混入しないよう機械や人力によってしっかり処理されるとともに、管理されています。このように、一定の管理がされた廃棄物となっているので、表面や内部の様々な場所、10箇所以上から廃棄物を採取し、放射性セシウム濃度を測定することで、代表的・平均的な測定ができます。
なお、受入廃棄物放射性セシウム濃度測定結果は大阪府の指針で示している受入廃棄物の基準(1キログラムあたり100ベクレル以下)を大きく下回っています。
⇒くわしくは、こちら(受入廃棄物の測定結果)をご覧ください。
Q2-10 アスベストが心配です。
A2-10
- 『アスベスト(石綿)を含む廃棄物』には、
(ア) 耐火用被覆材として鉄骨などに吹き付けて利用されていた『吹付けアスベスト』や『アスベスト保温材』など、老朽化した場合や除去工事などの際に容易に大気中に飛散するおそれのある、いわゆる『飛散性アスベスト廃棄物』といわれるもの
(イ) セメント、ケイ酸カルシウム等の原料にアスベストを補強繊維として混合し、形成された石綿スレート板や石綿管など、破壊・破断などを行うと、その際にアスベストが飛散するおそれのある、いわゆる『非飛散性アスベスト廃棄物』といわれるもの
があり、それぞれ、適正に処分をするためには、周辺環境にアスベストを飛散させることのないよう十分に留意する必要があり、大気汚染防止法や廃棄物処理法や大阪府生活環境保全条例による規制がかかっています。 - 岩手県では、東日本大震災以前から、飛散性の高い、吹付けアスベストなどを使用している建築物については把握しており、東日本大震災により被災したこれらの建物を解体する際には、アスベストの飛散防止の措置をしたうえで、あらかじめアスベストの除去工事を行い、除去したアスベスト廃棄物は、1次仮置場に運び込むことなく、廃棄物処理法に基づき適正に処理しています。宮古地区の場合、被災した建築物の、吹付けアスベストなどの除去工事及び除去したアスベスト廃棄物は全て適正に処理されています。
- また、石綿スレート板、石綿管など、アスベストの飛散性は低いものの、アスベストを含んでいる、または、アスベストを含んでいる可能性があるものについては、解体現場のほか、一次仮置場においても、重機や人の手によって可燃物や不燃物などに選別する際に、阪神淡路大震災時の選別作業をされた経験豊富な方から専門教育を受けた監視員のもとで、複数名の体制で丁寧に取り除いています。さらに、二次仮置場でも、アスベストが使われている可能性のある『スレート板』の破片などを丁寧に手作業で取り除き、可燃物にアスベストを含む建材が含まれないような作業工程となっています。
- 岩手県内の災害廃棄物処理現場では、以上のような『アスベスト対策』を講じているほか、さらに、定期的に、二次仮置場の破砕・選別施設周辺において、大気環境中のアスベスト(総繊維数)濃度の測定も行い、作業環境や周辺環境に対するアスベストについての安全性の確認も行っています。
- 大阪府と大阪市が受け入れた廃棄物は、木くずを中心とした可燃物であり、岩手県内において、上記のように丁寧に選別作業が行われたものであることから、上記(ア)や(イ)のアスベスト廃棄物が含まれないものとなっています。
- 今回の試験処理に用いた災害廃棄物は、95%が木屑、4%がプラスチック、1%が繊維というもので、飛散性の高い吹付けアスベストは元々入っておらず、スレート板のようなアスベストを含む可能性のあるものも取り除かれています。また、実際にこの災害廃棄物を選別・破砕している作業現場の敷地境界(建屋外)の風下側2地点において、大気環境中のアスベスト(総繊維数)濃度の測定を行った結果、1リットルあたり0.23本、1リットルあたり0.28本という値でした。この数値は、大阪市内の一般環境濃度(H23年度は1リットルあたり0.056本未満から1リットルあたり0.33本)と同じ程度で、一般環境中のレベルとして全く問題のない値でした。
- さらに、試験処理に際しては、廃棄物中にアスベストが混入していないことを念のため確認するため、大阪に海上輸送した後、夢洲地区に設置した積替施設内で積替え作業を行った際、施設内と施設の敷地境界(野外)において大気環境中のアスベスト(総繊維数)濃度の測定を行い、積替施設内では総繊維数で1リットルあたり1.8本、積替施設の敷地境界では1リットルたり0.056本から0.11本という値でした。
- この測定結果は、環境省の「アスベストモニタリングマニュアル(第4.0版)」に基づくもので、大気中に浮遊している長さ5マイクロメートル以上、幅3マイクロメートル未満で、かつ、長さと幅の比が3対1以上の繊維状物質を計数した結果(総繊維数)であるため、ロックウールやグラスウールなどアスベスト以外の繊維や繊維状のほこりなども含む値となっており、その結果が1リットルあたり1本以下の場合は、そのままの数値をアスベスト調査結果(総繊維数)として示し、1リットルあたり1本を超える場合は、電子顕微鏡により、アスベスト繊維の確認を行うこととなっています。
- なお、積替施設内の測定結果で、1リットルあたり1.8本という1リットルあたり1本を超える測定結果となっていますが、これは、ロックウールやグラスウールなどのアスベスト以外の繊維や繊維状のほこりなども含むものであり、実際のアスベストの大気環境濃度は、これよりももっと低いものであると考えられること、また、『測定の結果、選別施設の敷地境界、事業場内の大気中の石綿濃度が1リットルあたり10本を超過した場合は、処理を中断し、廃棄物の詳細調査を行い、石綿の付着、混入のおそれのある災害廃棄物については、「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」に基づいて適切に処理する。』とした指針で定めた基準を十分に下回っていることが確認できたことから、大阪府では舞洲工場において焼却処理を行うことについて、アスベストに関する問題はないと判断したものです。
- この「1リットルあたり10本以下」という基準については、大気汚染防止法や大阪府生活環境保全条例の基準となっていることに加え、世界保健機関(WHO)の環境保健クライテリアにおいても、「世界の都市部の一般環境中の石綿濃度は1リットルあたり1本から10本程度であり、一般環境において、一般住民のリスクは検出できないほど低い」と記述されているものです。(※クライテリア:標準や基準、尺度などを意味する専門用語)
- なお、その後、積替施設内の測定結果に関し、電子顕微鏡によるアスベストの確認を行った結果、クリソタイル、アモサイトなど、いずれの種類のアスベストも「検出せず(N.D.)」という結果になっています。
⇒測定結果はコチラ - 本格処理では、積替施設の敷地境界と事業場内において、月1回、大気環境中のアスベストの測定を行いました。その結果も大阪府の指針で定めた基準を十分に下回っています。
⇒測定結果はコチラ
Q2-11 災害廃棄物に殺虫剤や防臭剤が散布されたのではないですか。焼却することで影響があるのではないかと心配です。
A2-11
災害廃棄物の受入れに関し、殺虫剤や防臭剤の影響についての心配はありません。
被災地の仮置場で保管されている災害廃棄物は、家屋や工場・倉庫などの建屋を取り壊したものがほとんどですが、それでも特に夏季においては害虫や悪臭が発生し、周辺にお住まいの方々や選別などの作業をされる方々がお困りになるおそれがあります。
このため、被災地では必要に応じて殺虫剤や防臭剤を適量散布することがあります。
宮古地区での状況について、岩手県に問い合わせた結果は下記のとおりですが、使用された殺虫剤や防臭剤はすべて可燃性のもので、残存・付着していたとしても、焼却処理することにより安全に処理できるものです。
被災地の環境衛生上の観点からも、災害廃棄物は一日でも早く、全て処理することが望まれます。
殺虫剤や防臭剤に関して岩手県に問い合わせた結果
- 2011年に被災地支援として日本ペストコントロール協会が害虫駆除や防臭を実施したが、宮古地区の災害廃棄物の仮置場の場合は浸水域にあり、当時、周辺で生活する方がいなかったことから、殺虫剤や防臭剤の散布はしていません。
- 2012年は、5月中旬から10月にかけて、宮古地区内の各市町村の一次仮置場と宮古市にある二次仮置場において、管理者が、害虫が発生した場合に発生箇所にのみ殺虫剤(サニタリーEP)を、悪臭がひどくなった際に発生箇所に防臭剤(エアーケム)を散布しました。
それぞれの薬剤は、説明書に従い希釈して散布しており、その使用量については、仮置場全体(田野畑村、岩泉町、宮古市藤原埠頭、宮古市赤前)の総量として、サニタリーEPが990リットル、エアーケムが3,200キログラムでした。
使用された殺虫剤や防臭剤について
- サニタリーEPの殺虫成分は、エトフェンプロックスという物質で、ピレスロイド系の殺虫剤です。
ピレスロイド系殺虫剤は、人などの温血動物に対する毒性が低いという特徴があり、蚊取り線香にも含まれているものです。
なお、エトフェンプロックスは200度で分解されるもので、800度以上で処理を行う焼却炉の排ガスから殺虫成分が排出されることはありません。 - 防臭剤として散布したエアーケムは、天然植物性精油を原料とした中和型消臭剤で、食品工場や畜産加工場の他、住宅やビルなど広く様々な分野の現場で使用されており、植物精油が主原料であるため、焼却処理により分解し、焼却炉の排ガスから防臭剤が排出されることはありません。
Q2-12 試験処理の際に微小粒子状物質(PM2.5)が増加したと聞きました。焼却することで影響があるのではないかと心配です。
A2-12
大阪府が実施している大気汚染常時監視において、平成24年11月29日から30日にかけて、大気汚染物質濃度(PM2.5)の上昇が見られましたが、以下のとおり、同時期に行った試験焼却に関連するものではないと考えられます。
- 微小粒子状物質(PM2.5)の発生要因は多岐にわたり、東アジア大陸からの広域移流や、黄砂や火山排出物などの自然起源、自動車や工場から発生する人為起源によるものがあります。PM2.5には、硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気中のガス状物質が反応して粒子になるものや、もともと粒子状のものがあります。
- 人為起源の中にも発生要因はいろいろあり、清掃工場でのごみの焼却による影響はごく一部に過ぎません。
さらに、府内では毎日約1万トンのごみの焼却が行われており、被災地の廃棄物、わずか115トンを焼却することが大気汚染常時監視結果に影響を及ぼすとは考えられません。 - 試験処理中の舞洲工場の排ガスを測定した結果、ばいじん濃度は不検出、硫黄酸化物や窒素酸化物などを測定した結果でも、大阪市の通常ごみを焼却した1号炉と、被災地の廃棄物を20%混合焼却した2号炉とは変わらないデータになっていることからも影響はないと考えます。
- 大気常時監視データでは、(1)西日本の広い地域で同様の傾向を示していることから、何らかの広域的な現象があったものと推測され、また、(2)試験焼却開始(11月29日午前9時45分)より早い時間(11月28日夕刻ごろ)から濃度の上昇傾向が見られ、最後の廃棄物が焼却炉に投入された時間(11月30日午後5時30分)よりも前に濃度低下を示していることからも、試験焼却による影響とは考えられません。
- 環境省の大気汚染物質広域監視システム(そらまめくん)では、1時間値で1立方メートルあたり35マイクログラムを超過すれば赤色で示されます。
測定局の一つである「国設大阪局(大阪市東成区)」で赤色が表示されることは、例えば、平成23年11月には18日(延べ124時間)、平成24年11月は速報値ですが、9日(延べ41時間)ありました。
3.放射能に関する考え方について
Q3-1 ストロンチウムやプルトニウムも話題になっていますが、対象とする放射性物質をセシウム134とセシウム137とする理由は何ですか。
A3-1
大阪府災害廃棄物処理指針検討審議会においては、以下の結果(1)、(2)及びストロンチウムやプルトニウムがセシウムと異なり揮発しにくい性質であることから、対象とする放射性物質を放射性セシウムとするが、今後、他の放射性物質の測定結果が出た場合には再度検討するとしていました。
その後、文部科学省の発表(3)、(4)があり、この結果では、福島第一原子力発電所の事故に伴うストロンチウム90の降下の可能性は考えられるものの、事故前に観測されている土壌へのストロンチウム90の沈着量のレベルに影響を及ぼすほどの降下はなかったとしています。
大阪府としては、岩手県宮古地区の廃棄物の放射性セシウム濃度が極めて低いデータであること、文部科学省の調査結果からはストロンチウムが放射性セシウム濃度に比べ微量であることから健康影響を懸念する必要はなく、再度検討する必要はないと考えています。
なお、新潟県三条市が平成24年12月21日に、岩手県大槌町(おおつちちょう)の木質チップからストロンチウム90とプルトニウム239と240を検出したことを発表していますが、三条市清掃センターの試験焼却前と試験焼却中の飛灰中のストロンチウム90とプルトニウム239と240の測定結果に差異は見られなかったとしています。
- (1)文部科学省は福島県内において土壌に沈着したプルトニウム、ストロンチウム測定を実施し、その結果を平成23年9月30日に発表しています。それによると、プルトニウム及びストロンチウムの最高値を検出した箇所に仮に50年間滞在した場合に生じる、土壌からの再浮遊に由来する吸入被ばく及び土壌からの外部被ばく線量の積算値(「50年間積算実効線量」という)が、セシウム134やセシウム137の沈着量の最高値が検出された箇所における50年間積算実効線量と比べて非常に小さいことが確認され、今後の被ばく線量評価においてセシウムの沈着量に着目していくことが適切としています。
文部科学省報道発表(平成23年9月30日)(原子力規制委員会ホームページ)(外部サイトへリンク) - (2)横浜市が測定した結果ストロンチウム89と90の合計値を1キログラムあたり最高で129ベクレル検出した土壌について文部科学省が放射能測定法シリーズ「放射性ストロンチウム分析法」に則った分析を実施した結果、ストロンチウム89は検出されず、ストロンチウム90は事故発生前に全国で観測されたストロンチウム90の測定値の範囲内に入るレベルであったと発表されています。
文部科学省報道発表(平成23年11月24日)(原子力規制委員会ホームページ)(外部サイトへリンク) - (3)文部科学省は、原発事故後から平成23年12月までの期間に都道府県が採取した月間降下物についてストロンチウム90の分析を行い、平成24年7月12日にその結果を発表しています。それによると、岩手県を含む10都県で、事故前の11年間に全国で観測されたストロンチウム90の最大値を超える値が確認されたが、放射性セシウムに比べて19,000分の1から600分の1程度と非常に少ないことが確認された、としています。
文部科学省報道発表(平成24年7月24日)(原子力規制委員会ホームページ)(外部サイトへリンク) - (4)文部科学省は、東日本の空間線量率が高い地域を中心にストロンチウム89、90の土壌沈着量を測定した結果を平成24年9月12日に発表しています。それによると、福島第一原発から80キロメートル圏外において検出されたストロンチウム90は、過去の大気圏内核実験の影響による範囲内にあったとのことです。
(3)の調査結果とあわせて、10都県については、福島第一原発事故に伴うストロンチウム90の降下の可能性は考えられるものの、事故前に観測されている土壌へのストロンチウム90の沈着量のレベルに影響を及ぼす程の降下はなかったものと考えられるとしています。
文部科学省報道発表(平成24年9月12日)(原子力規制委員会ホームページ)(外部サイトへリンク)
Q3-2 一般公衆の線量限度を1年間1ミリシーベルトとしていますが、これは何を根拠にしているのですか。
A3-2
国際放射線防護委員会(ICRP)が、一般公衆の線量限度を年間1ミリシーベルトとしていることから、これを採用しました。
この線量限度には、レントゲン撮影などの医療放射線と土壌に自然に存在する放射性物質から受けるものなどの自然放射線は含まれていません。
Q3-3 体の外から受ける放射線よりも体の中から受ける放射線が大変危険だとも聞きますが、検討には体の中から受ける放射線も入っているのですか。
A3-3
府の検討審議会では、府域で災害廃棄物を処理した場合に作業者や処理施設の近くにいる一般の方が受ける線量の試算を行いましたが、試算の対象となる廃棄物から直接受ける線量だけでなく、粉じんを吸入することにより受ける線量や粉じんを口から摂取してしまうことにより受ける線量も合算した試算を行いました。
Q3-4 国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方では放射線による影響に関して不十分だとの意見もありますが、これについてはどのように考えればよいですか。
A3-4
放射線による影響については、様々な考え方があることは承知していますが、学会などにおいてデータや研究論文の内容を検討し、検証された結果として提案された考え方を採用すべきと考えます。
ICRPの勧告は、各方面からの意見を取り入れて練り上げられたものとして、世界各国の放射線に関する規制の基盤となる考え方を提供し、日本の法律にも取り入れられてきたものであることから、府の検討審議会において検討され、その検討結果に基づき大阪府の処理指針において採用したものです。
Q3-5 大人は大丈夫だったとしても、小さい子どもには影響があるのではないですか。
A3-5
府の検討審議会では1年あたり1ミリシーベルトを線量限度とし、周辺住民や作業者が受ける線量を試算する計算式の妥当性を確認したうえで、府域における作業実態に合わせて周辺住民や作業者が受ける線量の試算を行いました。
1日に450トンを燃やせるという大きな焼却炉2炉で、年間を通して1キログラムあたり100ベクレルの廃棄物だけを燃やす、という条件で、焼却炉の周辺に住む子どもが受ける影響を計算したところ、1年あたり0.00014ミリシーベルトという非常に小さい結果になりました。
自然放射線が日本の平均で1年あたり1.48ミリシーベルトであることを考えると、無視できる影響と考えてよいレベルです。
また、実際に受け入れる廃棄物は1キログラムあたり100ベクレルを十分下回っており、通常の家庭ごみに10%から20%程度混ぜて燃やしますので、試算結果よりさらに影響は小さくなりますので、ご心配される必要はありません。
Q3-6 バグフィルターのメーカーに聞くと、バグフィルターでは放射性物質は取れないと言います。それなのに環境省は99.9%取れると言っていますが、どういうことですか。
A3-6
焼却炉の排ガス処理装置として設置されているバグフィルターは、放射性物質を除去するためのものではなく、焼却施設の排ガスを大気に放出する前に、排ガス中の細かいチリを除去するための装置です。
焼却炉では、800度以上で廃棄物を焼却した排ガスは、ダイオキシン対策のため、200度以下に急速に冷却された後にバグフィルターを通過します。
放射性セシウムは、800度以上の焼却炉で一旦気体になりますが、冷却される段階で、細かいチリに付着するので、この細かいチリをバグフィルターで捕まえることで、大気中に放射性セシウムが出て行くことを防げます。
また、排ガス中の通常の細かいチリの大きさは数10ミクロンであるのに対し、バグフィルターは0.1ミクロンレベルまでの大きさのチリを捕まえることができる性能を持っているので、ほぼ100%除去できると考えられています。
なお、実際の焼却施設における排ガスの測定結果においても、バグフィルターでつかまえた細かいチリ、いわゆる飛灰から1キログラムあたり数千や数万ベクレルの放射性セシウムが検出されている場合でも、排ガスでは検出限界以下という結果になっています。
Q3-7 バグフィルターで放射性セシウムが99.9%取れるとしても、残り0.1%は出るのではないですか。たくさん燃やせば、0.1%でもたくさん出ることになるのではないですか。
A3-7
東北や関東の焼却施設で、バグフィルターを通過したあとの排ガスを実際に測定した結果では、福島県内などの一部の焼却施設でわずかに検出された以外は、検出された例はありません。
焼却施設の近くに住んでいる方々への影響について、府の検討審議会で試算をしました。この試算では、1日450トンを燃やせるという大きな焼却炉2炉で、年間を通して1キログラムあたり100ベクレルの廃棄物だけを燃やす、という条件で計算をしたところ、受ける影響は、子どもの場合で1年あたり0.00014ミリシーベルト、大人の場合で1年あたり0.00012ミリシーベルトという非常に小さい結果になりました。
この計算は、排ガスから0.1%より多い1%が出るという条件で計算したものです。
自然放射線が日本の平均で1年あたり1.48ミリシーベルトであることを考えると、無視できる影響と考えてよいレベルです。
また、実際に受け入れた廃棄物は1キログラムあたり100ベクレルを十分下回っており、通常の家庭ごみに10%から20%程度混ぜて燃やしましたので、試算結果よりさらに影響は小さくなり、ご心配される必要はありません。
Q3-8 年間1ミリシーベルトを限度として基準を作ったそうですが、被災地の廃棄物の処理だけで1ミリシーベルトであれば、食品からの影響などをあわせると1ミリシーベルトを超えるのではないですか。
A3-8
府の検討審議会では、府域で災害廃棄物を処理した場合に作業者や処理施設の近くにいる一般の方が受ける線量の試算を行い、最も影響を受ける埋立を行う作業者でも年間1ミリシーベルトを下回るように目安値を設定しました。
この試算では、被災地の廃棄物だけを焼却した灰が一面に埋められている場所の上で作業者が作業していると仮定していますが、実際の作業では、家庭ごみに10%から20%程度混ぜて焼却するなど、受ける線量は作業者でも年間1ミリシーベルトを十分下回ると考えており、一般の方には全く影響はないと考えています。
また、厚生労働省によると、平成23年9月と11月に東京、宮城、福島で実際に流通している食品中の放射性セシウムから受ける線量を調査したところ、年間0.002から0.02ミリシーベルトという結果であり(厚生労働省資料(外部サイトへリンク))、食品による影響も年間1ミリシーベルトを大きく下回るものです。
したがって、食品からの影響と、大阪で被災地の廃棄物を受け入れることによる影響を加えても、年間1ミリシーベルトを十分下回ると考えています。
4.運搬等について
Q4-1 大阪府内でコンテナを陸揚げした港湾施設はどこですか。また、積み替えを行った積替施設はどこにありますか。
A4-1
大阪市の夢洲地区にある夢洲コンテナ埠頭でコンテナを陸揚げしました。また、積替施設は、夢洲地区の北港処分地内の、既に廃棄物の埋立を完了した土地に設置しました。
Q4-2 港湾労働者の作業環境の安全のための数値「毎時0.3マイクロシーベルト」は何を根拠にした数値ですか。
A4-2
国土交通省が作成した「港湾における船舶の放射線測定のためのガイドライン」及び「港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン」を受け、社団法人日本港運協会と全国港湾労働組合連合会、全日本港湾運輸労働組合同盟が、港湾労働者の安全を確保するため、「福島第一原発事故に伴う放射能汚染問題(中古自動車・建機等)に関する暫定確認書」を締結しています。
この中で、毎時0.3マイクロシーベルト以上の数値が検出された場合は、港湾労働者は取り扱わない(荷主責任で回収)と規定されています。
Q4-3 海上運搬は民間業者に委託したそうですが、その民間業者はどのようにして選定したのですか。
A4-3
コンテナの海上輸送や廃棄物の収集・運搬業務の実績があるなど、災害廃棄物の海上運搬を行ううえで求められる条件を付けたうえで一般競争入札を実施し、決定しました。
Q4-4 廃棄物を運ぶ車両が増えて渋滞や大気汚染がひどくなるのではないですか。
A4-4
週1回、800トン程度を船舶一便で輸送する予定なので、1日平均のトレーラーやトラックの台数は、15から20台程度となります。
夢舞大橋を通る車両が、昼間12時間(7時から19時)交通量で、平日なら9千台、休日なら2千から3千台であることと比べると、影響はわずかなものだと考えています。
5.焼却処理・最終処分場について
Q5-1 どこの焼却施設で燃やしたのですか。また、その焼却施設はどのような焼却施設ですか。
A5-1
岩手県から受入れた災害廃棄物は大阪市環境局舞洲工場で焼却しました。舞洲工場は、ストーカ式燃焼炉で1日に450トン焼却できる炉が2炉あり、バグフィルターが設置されている焼却施設です。
Q5-2 国のガイドラインでは、焼却により放射性物質が飛灰に33.3倍に濃縮すると仮定しています。1キログラムあたり100ベクレルの災害廃棄物が33.3倍に濃縮すると仮定すれば、焼却灰の濃度の目安値である1キログラムあたり2,000ベクレルを超えてしまうのではないですか。
A5-2
災害廃棄物の焼却に伴う放射性物質濃度について、国は放射性物質が全量飛灰に移行すると仮定し、一般的な焼却炉における飛灰の発生率が3%であることから濃縮が33.3倍になると仮定しているものです。
一方、大阪府の指針では、府内の一般廃棄物の焼却実態から、焼却により廃棄物が10分の1に減量化するため、焼却灰が1キログラムあたり2,000ベクレルになる場合の焼却前の廃棄物の濃度は1キログラムあたり200ベクレルとなりますが、作業者がより安全に作業できるよう一定の余裕度を勘案して、災害廃棄物中の放射性セシウムの目安値を1キログラムあたり100ベクレルとしました。
実際に受け入れた災害廃棄物は、1キログラムあたり100ベクレルを大きく下回っています。
また、大阪市の通常の廃棄物と10%から20%で混合焼却し、実際の焼却灰中の濃度は、1キログラムあたり2,000ベクレルを大きく下回っています。
Q5-3 災害廃棄物の焼却処理は、通常ごみと一定割合で混合焼却するとしていますが、どの程度の割合で混合焼却することとしているのですか。
A5-3
概ね10%から20%程度の割合で混合焼却しました。
Q5-4 焼却施設の敷地境界や事業場内において空間線量率の測定を行ったり、排ガスや排水、焼却灰などの放射性物質濃度の測定を行うとしていますが、大阪府が測定を行ったのですか。それとも大阪市が行ったのですか。
A5-4
測定は、基本的に大阪府が、計量証明の資格があり、同種の測定業務の実績のある業者に委託して行いましたが、二次仮置場でのアスベスト測定は岩手県が、焼却工場や埋立処分地の空間放射線量については大阪市が測定を行うなど、3者が連携して行いました。
Q5-5 大阪府が受入れた災害廃棄物の焼却灰はどの最終処分場で埋立てたのですか。
A5-5
岩手県から受入れた災害廃棄物を舞洲工場で焼却し、その焼却灰を大阪市環境局北港処分地(夢洲1区)で埋め立てました。北港処分地は海面上に設置された管理型最終処分場で、すでに陸域化した部分に土壌を積み増しし、さらに、セシウムを吸着する能力の高いゼオライトを敷いた上で焼却灰を埋め立てました。
Q5-6 津波が発生しても大丈夫ですか。
A5-6
環境省の安全性(個別)評価では、これまでの想定の津波高さの2倍にあたる7.5メートルもの津波が来ると仮定し、焼却灰の埋立終了後に場内へ海水が流入し、焼却灰の層が崩れて残余水面に広がった場合と、焼却灰の層は崩れないものの、残余水の処理施設が壊れ、5年間排水処理ができなくなった場合の2ケースについて評価され、結果としては、どちらの場合であっても、環境省の告示で定める濃度基準を十分満たすという結果になっています。
平成24年8月29日に内閣府より公表された「東南海・南海地震等の震度分布・津波高さ」によると、北港処分地の所在する此花区の津波高さは4.9メートルとなっていますが、北港処分地の南側護岸の高さは6.2メートルで、北側護岸は5.0メートルあり、護岸の方が高くなっています。
Q5-7 埋立てた焼却灰中のセシウムが溶け出してしまい、大阪湾に影響をおよぼしてしまうことはないのですか。
A5-7
北港処分地における安全性については、環境省による安全性(個別)評価によると、仮に1キログラムあたり2,000ベクレルの焼却灰を処分地の陸域部にゼオライトを敷かずに直接埋め立てても、浸み出す水の放射性物質濃度は、1リットルあたり5.39ベクレルと飲料水の新基準1リットルあたり10ベクレルを下回っています。また、ゼオライトを敷いて埋め立てた場合では、1リットルあたり0.172ベクレルと、より低い濃度となり、大阪市ではこのゼオライトを敷く工法で埋立処分しました。
なお、実際の焼却灰の測定結果は、不検出から1キログラムあたり21ベクレルであり、1キログラムあたり2,000ベクレルを大きく下回っており、大阪湾に影響を及ぼすものではありません。
Q5-8 処理を行う作業員の安全確保のため、作業マニュアルは作成しないのですか。
A5-8
焼却炉等での作業者の安全性については、府の処理指針において、焼却灰を取り扱い続ける作業者であっても、年間1ミリシーベルトという線量限度を十分下回るように目安値を定めており、処理指針を守って処理を行うことで、作業者の安全は確保できるものと考えています。
また、今回、受入対象としている災害廃棄物は1キログラムあたり100ベクレル以下のものであり、一般食品の基準と同じ基準であることから、放射性物質という観点において、通常の廃棄物と変わらないものと考えています。そのため、作業を行ううえで、通常の廃棄物を取り扱う際に必要な対策以上の防護策は必要ないと考えます。
なお、大阪市では、労働安全衛生対策を徹底する観点から、念のため「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理に係る労働安全衛生指針」を定めています。
⇒大阪市ホームページ(外部サイトへリンク)
6.大阪府域における東日本大震災の災害廃棄物処理に関する指針について
Q6-1 この指針は何のために作ったのですか。
A6-1
被災地の廃棄物を大阪府域で受け入れるにあたっては、府民の安全が大前提であると考え、府内で処理する場合の安全面、技術面についての統一的な考え方として、廃棄物処理として配慮すべき事項と放射線に関して配慮すべき事項を盛り込んだ指針を策定しました。
Q6-2 指針の対象が「府域で災害廃棄物の処理を行うすべての者」となっていますが、民間業者が被災地から処理を請け負う場合も対象になるのですか。民間業者が勝手に処理をすることはないのですか。
A6-2
民間業者が被災地から処理を請け負う場合も対象です。
災害廃棄物は、廃棄物処理法において一般廃棄物に該当し、発生した市町村以外の場所で処理を行う場合は、それが民間業者であっても、発生した市町村から、処理を行う場所が含まれる市町村に対してあらかじめ通知することが、廃棄物処理法により定められていますので、民間業者が勝手に災害廃棄物を処理することはできません。
Q6-3 「府民の健康に影響がないことを前提に」とありますが、「府民の健康に影響がない」ということは具体的にどういうことですか。
A6-3 指針において「健康に影響がない」とは、「大気汚染」「水質汚濁」「土壌汚染」「騒音」「振動」「地盤沈下」「悪臭」「放射線」による人の健康又は生活環境に支障が生じず、人が安心して暮らせることをいいます。
なお、「生活環境」とは、人の生活に密接な関係のある財産や人の生活に密接な関係のある動植物やその生活環境を含めるものと考えています。
Q6-4 災害廃棄物や埋め立てる焼却灰中の放射性物質濃度の目安値は、どのように算出したのですか。
A6-4
府の検討審議会では1年あたり1ミリシーベルトを線量限度とし、周辺住民や作業者が受ける線量を試算する計算式の妥当性を確認したうえで、府域における作業実態に合わせて周辺住民や作業者が受ける線量の試算を行いました。
その結果、最も多く線量を受ける作業者は、埋立作業を行う作業者となり、焼却灰中の放射性物質濃度が1キログラムあたり2,000ベクレルの場合に1年間に受ける線量が0.86ミリシーベルトとなったので、埋め立てる焼却灰の目安を1キログラムあたり2,000ベクレルとしました。
府内における一般廃棄物焼却実態から、焼却により廃棄物が減量する割合や、作業者の安全を勘案して、災害廃棄物中の放射性セシウムの目安値を1キログラムあたり100ベクレルとしました。
なお、作業実態に合わせた試算は、災害廃棄物だけを処理し続けると仮定するなど、安全側に立って余裕を持たせた条件で行っていますので、実際に受ける線量は試算結果よりもかなり小さくなると考えられます。
Q6-5 国は埋め立てる焼却灰の目安を1キログラムあたり8,000ベクレルとしていますが、大阪府の考えとどう違うのですか。
A6-5
府の検討審議会では、国が1キログラムあたり8,000ベクレルという基準を定めた際の計算式をもとに、府域における作業実態などを加味して再計算をおこないました。
国は、福島県内の作業実態に合わせて作業者が受ける線量の試算を行い、最も受ける線量が大きくなる埋立作業を行う作業者の受ける線量が、1キログラムあたり8,000ベクレルの埋立物の場合に1年間0.78ミリシーベルトになるとしています。
国が試算を行った作業実態では、1日の作業時間を8時間の半分として4時間としていますが、大阪府の作業実態では1日の作業時間を6時間としました。
また、国の試算では、埋立作業を行う作業者は重機に乗っているため遮蔽(しゃへい)があり、その遮蔽のために受ける線量が0.4に軽減されるとしていますが、大阪府の作業実態では、重機に乗らず、人間の足で埋立場所に立っているとして、遮蔽がなく、受ける線量は1のままとして試算をしています。
Q6-6 作業実態に合わせて作業者が受ける線量の試算を行った際の条件はどのように設定されていますか。
A6-6
試算は、環境省の災害廃棄物安全評価検討会(第3回)の資料4「福島県の浜通り及び中通り地方の災害廃棄物の処理・処分における放射性物質による影響の評価について」の評価シナリオ及びパラメータを基本的に活用していますが、作業時間や評価の対象とする線源の形状などの条件は、府域における作業実態に合わせて設定しました。
設定した条件は想定したシナリオによって様々ですが、たとえば埋立作業を行う作業者の場合は、線量を発する対象となる焼却灰が深さ3mで無限に広がっている中心で地上1メートルの位置に、1日6時間、1年250日間ずっとおり、マスクや防護服のような対策は特にとっていない、という設定にしています。
詳しくは、大阪府災害廃棄物の処理指針に係る検討会議(第6回)資料5をご参照ください。
なお、設定した条件は、被災地の廃棄物だけを燃やすと仮定するなど、実際には行わない、極端に危険な場合を設定するなど、安全側に立って余裕を持っていますので、処理を行うことにより作業者が実際に受ける線量は試算結果よりも小さくなると考えられます。
Q6-7 指針では、府内で「選別・仕分け」処理をするとしていますが、どのような処理をするのですか。
A6-7
処理指針を策定した当初は、可燃物に混入した不燃物を取り除いたり、焼却工場で焼却できる大きさに破砕したり、焼却工場に搬入できる量に分けたりする「選別・仕分け処理」を大阪府内で実施すると想定しておりました。
被災地において十分に破砕・選別され、そのままで焼却工場で焼却できるような状態になり、大阪府内で破砕・選別・仕分けといった処理をする必要はなくなりました。
今回の処理にあたっては、岩手県からの災害廃棄物の運搬は密閉式のコンテナに入った状態で運びましたが、このコンテナの状態のままでは舞洲工場に搬入することができないので、廃棄物を焼却工場に搬入することが出来るよう、コンテナからトラックへの積み替え作業のみを行いました。
7.試験処理について
Q7-1 試験処理はどのように行い、どのような結果だったのですか。
A7-1
本格的な受入れに先立ち、試験的に約115トンの廃棄物の処理を行い、各処理工程で放射性セシウム濃度や空間放射線量などの測定を実施しました。
その結果、受入廃棄物の放射性セシウム濃度、空間放射線量や府内での各処理工程の空間放射線量、焼却灰の放射性セシウム濃度等、全ての項目において、府の処理指針に定める基準などを十分に満たしており、安全に処理できるものであることが確認できました。
⇒詳しくは、こちら(試験処理について)をご覧ください。
8.その他
Q8-1 災害廃棄物をどの程度受け入れたのですか。
A8-1
約15,300トンを受け入れました。
Q8-2 農産物や水産物や観光などに対する風評被害を心配する声もありますが、これについてはどう考えていますか。
A8-2
今回の震災において広域で処理する災害廃棄物は、放射性セシウム濃度が不検出または低いものに限っており、科学的にも安全に処理できることが確認されています。このため、本来、風評被害が生じるようなものではありませんが、府として、風評被害が起こることのないよう、測定結果の速やかな公表など、的確な情報発信に取り組んでいるところです。
国からも、「悪意ある情報が流布される等により風評被害が懸念される事態となった場合には、国として毅然たる態度で臨み、その責任を徹底的に追及」するとともに、「万が一、風評被害という不測の事態が生じた場合には、国が責任をもって、これを回復するための可能な限りの対策を講じる」との回答を得ておりますので、国や市と連携して対処していきます。
Q8-3 府内で大阪市だけが受け入れたのはなぜですか。
A8-3
平成24年8月7日に環境省が策定した「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理工程表」において、「岩手県の可燃物・木くずは、調整中の自治体の受入量が確保できれば、目標期間内の処理が実現できる状況。」とされており、この調整中の自治体には、大阪府・大阪市の受入れも含まれており、府・市が広域処理に協力することで目処が立ったということになりました。これにより、府域市町村での受入れについては、大阪市のみとなりました。