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大阪府献血推進計画
第1 目的及び基本理念
1.目的
大阪府をはじめ全国的に少子高齢社会が進行する中、輸血用血液製剤及び血漿分画製剤(以下「血液製剤」という。)の国内自給の原則に基づき、大阪府、市町村、日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センターが連携し、献血の正しい知識や必要性、血液製剤についての普及啓発や、効率的な献血の実施を図り、年間を通じて献血者を安定的に確保することにより、府内で必要とされる輸血用血液を医療機関に安定的に供給することを目的とする。
2.基本理念
大阪府の献血推進に当たっては、以下の基本理念にのっとって進めるものとする。
- (1)血液製剤の国内自給
血液製剤は、原料である血液を介した感染症等の発生の危険性を完全には排除できないものであり、国内献血に由来する血液製剤であれば感染源の特定・回収等の対応が迅速に取りやすいことからも、国内で献血された血液から製造されるもので賄わなければならない。 - (2)安全性の向上
血液製剤は、原料である血液の特性から、常に安全性向上の努力が必要である。また、使用にあたっては、危険性に対する配慮が求められる。 - (3)適正使用の推進
血液製剤が人の血液に由来する有限で貴重なものであることから、医療機関において血液製剤の適正使用を一層推進することが必要である。 - (4)血液事業の情報の公開
血液製剤は、献血者の善意から得られた血液を用いていることから、情報を積極的に府民へ提供する必要がある。
なお、本計画は、平成27年(2015年)9月に国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の理念を踏まえたものであり、各取組の推進により、関連するゴールの達成に貢献する。
第2 計画目標
1.献血者数、献血血液量
国の示す献血確保目標量及び原料血漿確保目標量に基づき、医療機関への輸血用血液製剤の供給量を考慮し、献血者確保数等を定める。
全血献血 |
成分献血 |
合計 |
|||
---|---|---|---|---|---|
200Ml |
400Ml |
血漿 |
血小板 |
||
献血者数(人) |
5,386 |
251,700 |
82,220 |
47,710 |
387,016 |
献血血液確保目標量(L) |
1,077 |
100,680 |
46,715 |
25,988 |
174,460 |
※表示単位未満四捨五入の処理をしているため、合計欄と一致しない場合があること。
採血場所 |
血液センター |
献血ルーム |
移動採血車 (オープン献血を含む) |
---|---|---|---|
献血者数(人) |
19,846 |
256,847 |
110,323 |
(3)原料血漿確保目標量、輸血用血液確保目標量
- 原料血漿確保目標量: 92,916L
- 輸血用血液確保目標量: 81,544L
(詳細は目標グラフ参照)
2.年代別献血者数
総献血者数に占める年代別の構成比率をなるべく均一にし、将来にわたり安定的に献血者を確保するため、年代別献血者数を定める。
献血者数(人) |
構成比 |
|
---|---|---|
10代(16から19歳) |
19,599 |
5.1% |
20代(20から29歳) |
65,500 |
16.9% |
30代(30から39歳) |
66,300 |
17.1% |
40代以上(40から69歳) |
235,617 |
60.9% |
合計 |
387,016 |
100.0% |
※表示単位未満四捨五入の処理をしているため、合計欄と一致しない場合があること。
3.献血セミナー数
これからの献血を担う若年層への教育の推進を目的として、高等学校等における「献血セミナー」開催の目標回数を定める。
「献血セミナー」開催目標回数:35回
第3 献血推進
府、市町村、日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センターは、それぞれ分担する業務を確実に遂行するとともに、十分な連携を図り、国が策定する基本方針を踏まえながら、府民、学生献血推進ボランティアをはじめ各種献血協力団体の理解と協力のもとに献血を推進する。特に、将来に亘る血液の安定供給につながる若年層への啓発に取り組む。
1.役割
- (1)府
府は、翌年度の大阪府献血推進計画を策定する。その場合、大阪府献血推進審議会において審議するものとする。また、広域的な広報・啓発を通して広く府民の理解と協力を求めるため、市町村献血推進協議会の活動を支援するとともに、日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センター、市町村等の相互間の調整を行い、円滑な献血推進に努める。 - (2)市町村
府、日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センターと連携のもとに、市町村管内の献血者の計画的な確保に努める。
また、市町村献血推進協議会と連携し、地域における献血の正しい知識や必要性、血液製剤についての普及啓発に努める。 - (3)日本赤十字社大阪府支部・大阪府赤十字血液センター
本府の献血確保目標を達成するため、献血受入計画を策定するとともに、近畿ブロック血液センターと連携をしながら、採血から製造、供給に至るまでその効率化を図り、献血血液の有効利用に努める。
また、血液製剤の安全性の向上及び安定供給に協力するとともに、献血者等の保護に努める。
2.推進体制の整備
目標を達成するため、行政機関、血液事業関係者、民間企業、ボランティア献血組織等の府全体の献血推進組織体制を整備し、連携の強化に努める。
- (1)府
- (1)大阪府献血推進審議会の開催
大阪府における献血の正しい知識や必要性、血液製剤についての普及啓発や血液製剤の適正な使用に関する施策について審議する。 - (2)市町村・市町村献血推進協議会等との連携
大阪府における献血状況、献血目標、事業計画を会議等で示し、市町村、市町村献血推進協議会、日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センターとの連携を図り献血を推進する。 - (3)献血ボランティア組織等の育成や献血に協賛する企業の確保など献血推進体制の整備に努める。
- (4)広域的な献血の正しい知識や必要性、血液製剤についての普及啓発体制の整備に努める。
- (5)献血血液を有効に使用するため、医療機関における血液製剤の適正使用を推進する。
- (1)大阪府献血推進審議会の開催
- (2)市町村
- (1)市町村献血推進協議会等の開催
市町村において献血の正しい知識や必要性、血液製剤についての普及啓発並びに年間を通した計画的な献血者の確保等、地域の献血に関する重要事項を協議する。 - (2)地域住民への献血への理解と協力を求めるため、研修会、街頭キャンペーン、広報等の実施体制の整備に努める。
- (3)献血ボランティア組織等の育成や献血に協賛する企業の確保など献血推進体制の整備に努める。
- (1)市町村献血推進協議会等の開催
- (3)日本赤十字社大阪府支部・大阪府赤十字血液センター
- (1)府、市町村との連携・協力のもとに、献血者への正しい知識や必要性、血液製剤についての普及啓発と受入体制の整備を図る。
- (2)献血協力団体の組織等の育成及び献血者の円滑な受入体制の整備に努める。
- (3)企業等に対して、献血セミナーを実施し、献血の推進を図るとともに、献血に協賛する企業の円滑な受入れに努める。
- (4)教育委員会・学校
小学校・中学校・高等学校の総合的な学習(探究)の時間等において、“献血セミナー”を活用する等、献血の正しい知識や必要性、血液製剤についての普及啓発に努める。
また、府、市町村等が実施する献血推進イベント等の周知並びに参加を通し、児童・生徒へ献血の知識等の普及ができる体制を整備する。 - (5)献血協力団体
移動採血車等の受入れ時に関係者等と連携し、積極的に協力を呼びかけるとともに、進んで献血しやすい環境作りを推進することが望ましい。
3.方策
- (1)普及啓発
献血は府民の善意によるものであることから府民啓発は必要不可欠であるので、府、市町村、日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センターは、ボランティア等関係者の理解と協力を得て、各種イベントの実施、推進月間でのキャンペーンの実施、マスメディアによる継続的な広報、snsを含むインターネットの活用、献血啓発作品の募集事業の活用等をすることで、献血の正しい知識や必要性、血液製剤についての普及啓発を実施する。- 1)若年層献血の推進
小学校・中学校・高等学校、大学及び専門学校における“献血セミナー”の開催や、“献血セミナー”等をきっかけとして献血に関心を持った献血未経験者等への献血Web会員サービス「ラブラッド」の登録の働きかけ、若年層による献血キャンペーン等を実施することで、若年層の献血への参加を一層推進する。
特に高校生等の献血時には、400Ml献血の基準に満たない場合、200Ml献血による受入れも考慮する。 - 2)複数回献血の推進
血液製剤の安全性の向上及び安定的な確保を図るために、「ラブラッド」会員募集を強化するとともに、「ラブラッド」を活用し、献血等に関する情報の提供など利用者へのサービス向上を図り、複数回献血者の増加に努める。特に若年層に対し、上記1)等の取組を通じて、複数回献血の推進を図る。 - 3)400Ml献血、成分献血の推進
献血量の効率的な確保と安全性を高めるために400Ml献血、成分献血の一層の推進に努める。また、近年需要が増大している血漿分画製剤について、献血から得られた血液を原料とすることや、多くの疾患の治療に欠かすことができないことなどを周知するとともに、安定供給が確保されるよう、成分献血への協力の呼びかけを強化する。 - 4)検査目的の献血の防止
感染症の検査を目的とした献血を防止するための啓発を実施する。特にHIV検査については、下記の点を周知する。- 血液センターでは、献血によるHIV検査の結果は通知していない
- 府内保健所等で匿名かつ無料でのHIV検査を行っている
- 5)採血基準の周知
採血基準について、引き続き関係機関への周知や広報等を利用し、情報発信を行う。
- 1)若年層献血の推進
- (2)献血推進の環境整備
府、市町村、大阪府赤十字血液センターは、献血者の受入体制を整備する観点から、身近な地域・場所で献血を行うことができるように環境を整備する。
また、府及び市町村等は、その構成員に対し、ボランティア活動である献血に対し積極的に呼びかけるとともに、進んで献血しやすい環境作りに努める。- (1) 大阪府赤十字血液センター
- 1)「献血者等の健康被害の補償に関するガイドライン」に基づき、健康被害に対する救済のための措置を実施する。
- 2)採血に際して献血者の健康管理に資する検査を行い、献血者の希望を確認してその結果を通知することで健康管理サービスの充実を図る。
- 3)献血希望者に対して、個人情報の取り扱いや血液の利用目的等の説明を行い、同意を得た上で、献血を受け入れる。
- 4)特に初回献血者が抱いている不安等を軽減することはもとより、献血者の安全確保を図ることが必要である。このため、採血の手順や採血後に十分な休憩をとる必要性、気分が悪くなった場合の対処方法等について、映像やリーフレット等を活用した事前説明を採血の度ごとに十分に行う。
- 5)献血ができなかった献血申込者に対し、その理由(低ヘモグロビン等)について分かりやすく説明するとともに、食事・生活管理の改善に関する啓発を行うなど、その後の献血推進への協力に繋がるよう配慮する。
- 6)新興・再興感染症のまん延下の状況であっても、献血者が安心して献血できるよう感染症対策を十分に行うとともに、献血者への対策についての情報発信を適切に行う。
- (2) 府、市町村、大阪府赤十字血液センター
- 1)年間を通して献血者の安定確保ができるように、移動採血車による計画的採血及び献血場所の利便性の向上に努める。
- 2)献血者に配慮した献血受入時間帯の設定等、献血者の利便性に配慮した献血受入体制の整備及び充実を図る。特に、「ラブラッド」を活用したWeb予約の推進等に積極的に取り組む。
- 3)企業等の献血協力団体の理解と協力を得て、効率的な献血が行えるように体制整備に努める。特に若年層の労働者の献血への参加を一層推進する。
- (1) 大阪府赤十字血液センター
- (3)血液製剤の安全性確保
血液製剤の安全性確保のために、以下の方策を講じる。- (1)大阪府赤十字血液センター
献血受付時に本人確認を行い、より安全な血液を確保するために、HIV等の感染症の検査を目的とした献血を行わないよう、平素から様々な広報手段を用いて、府民に周知徹底する。 - (2)府、市町村、大阪府赤十字血液センター
- 1)血液製剤の安全性向上のために、400Ml献血、成分献血の一層の推進を図る。
- 2)血液製剤の安定供給や安全性確保のために、複数回献血者の確保に努める。
- (1)大阪府赤十字血液センター
- (4)血液製剤の適正使用
府、大阪府赤十字血液センターは、各医療機関における血液製剤の適正使用の推進を図り、院内の輸血管理体制を構築するために設置されている輸血療法委員会の活性化の推進に努める。 - (5)ボランティア等の育成
府、市町村、大阪府赤十字血液センターは相互に連携し、ボランティア等協力団体に献血の正しい知識や必要性、血液製剤についての理解と協力を求め、献血推進の活性化につなげる。また、府、市町村、日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センターは、教育委員会等の協力を得ながら、職域、地域、学校等におけるボランティア等協力団体の育成に努め、献血推進の活性化を図る。 - (6)情報の公開
府、日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センターは献血及び血液製剤に関する情報を積極的に公開する。- 1)献血者の個人情報保護のもとに、献血血液の確保・利用状況や血液製剤の安全性に関する情報をわかりやすい形で広く府民に公開する。
- 2)現在開設しているホームページを充実させ、積極的かつ継続的に情報を提供する。
- (7)血液製剤の在庫状況の把握と不足時の対応
- (1)府
赤血球製剤等の在庫状況を常に把握する。また、在庫が不足または不足すると予測される場合、広報による献血協力呼びかけ、臨時的に府職員献血等の実施、関係団体等への献血依頼等により、献血者の確保に努める。 - (2)市町村
必要に応じて府等により提供される赤血球製剤等の在庫状況により府内の現状を把握し、在庫が不足または不足すると予測される場合、市町村献血推進協議会との連携等により、臨時的に地域献血や市町村職員献血等を実施し、献血者の確保に努める。 - (3)日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センター
府内の在庫状況を常に府へ情報提供するものとする。在庫が不足または不足すると予測される場合、献血協力呼びかけの強化を行う。また、受付時間の延長、配車計画の見直し等により、献血者の円滑な受入れに努める。
- (1)府
- (8)災害時、新興・再興感染症まん延時等における献血の確保
府、市町村、日本赤十字社大阪府支部、大阪府赤十字血液センターは、互いに連携を図り、以下の方策を講じる。- 1)災害時等に医療需要に応じた必要な血液量を確保できるよう、様々な広報手段を用いて、献血への協力を呼びかける。その際、大阪府赤十字血液センターは、被害状況等の情報収集を行ったうえで、献血受入れの可否について判断するなど、献血者の安全に十分配慮する。
- 2)大阪府赤十字血液センターは、災害時等における献血受入体制を構築し、関係者との通信手段の確保、広域的な需給調整の対応を含む事業継続計画を定め、府、市町村、日本赤十字社大阪府支部と連携して対応できるよう備えることにより、災害時等における献血の受入れを行う。
- 3)採血事業は、医療体制の維持に不可欠なものであることを踏まえ、大阪府赤十字血液センターは、新興・再興感染症のまん延下の状況であっても、医療需要に応じた血液製剤の安定供給を図るため、安心・安全な献血環境の保持と献血者への感染防止を図るとともに、様々な広報手段(テレビ、ラジオ、SNSを含むインターネット等)を用いて、献血者への協力を呼びかける。また、府及び市町村はこの取組を支援する。
目標グラフ令和6年度 献血目標(PDF:80KB)