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ヘルシーおおさか21(点字広報)第57号音声読上げ用
ヘルシーおおさか21(点字広報)第57号【平成31年2月発行】
テーマ「第3次大阪府健康増進計画」の概要 みんなでめざす目標と主な取組み、たばこ対策について
第3次大阪府健康増進計画がスタートしました
急速に進展する少子高齢化や疾病構造の変化等に伴い、生涯を通した健康づくりを積極的に推進するための環境整備が求められています。大阪府では、これらの社会環境の変化や健康課題を踏まえ、2018年度から2023年度を計画期間とする第3次大阪府健康増進計画を策定しました。
本計画では、「全ての府民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会 -いのち輝く健康未来都市・大阪の実現-」をめざし、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目標に府民の健康づくりに取組みます。
生活習慣病の予防・早期発見・重症化予防、健康づくりを支える社会基盤整備を重点取組みとし、ライフステージに応じた健康づくりを推進することにより、健やかで質の高い生活の実現をめざします。また、府民・行政等みんなでめざす目標を設定し、府民一人ひとりの健康づくりを支えます。
第3次大阪府健康増進計画の目標と取組みについて紹介します
- 生活習慣病の予防(生活習慣の改善)
- 1)ヘルスリテラシー
ヘルスリテラシーとは、健康情報を入手し、理解・評価し、活用するための知識、意欲、能力のことを示します。ヘルスリテラシーの向上により、生涯を通じて生活の質を維持し、向上させることが期待されます。
【目標】健康への関心度を高めます -健康に関心を持ちましょう-
【主な取組み】
学校等においては発達段階に応じた健康教育の充実を図るとともに、がん教育の充実に取組みます。また、職場等における健康づくりの取組みを支援し、働く世代の健康行動をサポートします。ライフステージに応じた啓発事業等を展開する等、市町村や大学・地域住民等との協働により、地域社会におけるヘルスリテラシーの向上を図ります。 - 2)栄養・食生活
朝食は一日の生活リズムをつくることから、朝食摂取を心がけることが必要です。また、栄養バランスのとれた食生活の実践や、野菜を積極的に摂取すること、日頃から減塩を心がけることが求められます。
【目標】朝食欠食率を低くします -朝ごはんや野菜をしっかり食べましょう-
【主な取組み】
保育所、学校、家庭、地域における食育を通じて、子どもの食生活の改善、食環境の整備を促進します。事業者や保育所等の給食におけるヘルシーメニューの提供、栄養成分表示等の推進など、栄養管理の質の向上を図ります。また、大学等との協働により、朝食摂取の働きかけや栄養バランスのとれた学食メニューの提供に取り組みます。 - 3)身体活動・運動
【目標】習慣的に運動に取り組む府民を増やします -日頃から運動やスポーツを楽しみましょう-
【主な取組み】
学校や地域における体育活動を通じて、若い世代の運動習慣の定着を図ります。大学等との協働により、地域に開かれた健康キャンパスづくりを進め、ウォーキングや体力測定会・スポーツ体験会等スポーツに親しむきっかけづくりに取り組みます。市町村や地域等との協働による高齢者サロンにおける健康づくりの場等を提供し、高齢者の運動不足の解消を促進します。 - 4)休養・睡眠
【目標】睡眠による休養が十分とれている府民を増やします -ぐっすり眠って心身の疲れを癒しましょう-
【主な取組み】
学校等において、早寝早起き等の健全な生活リズムの形成を育む健康教育の充実を図ります。事業者や医療保険者等との協働により、職域等において、生活リズムの確立と適切な睡眠のとり方の普及啓発を行います。高齢期においては、適度な運動習慣を身に付けるなど、加齢に応じた睡眠のとり方等について、医療保険者との連携により普及啓発に取り組みます。 - 5)飲酒
【目標】生活習慣病のリスクを高める飲酒を減らします -適量飲酒を心がけましょう-
【主な取組み】
年齢、性別、持病等によって、飲酒が及ぼす身体への影響が異なることを理解し、自分の状況に合った適量飲酒を実践することが求められます。医療保険者等との連携により、正しい飲酒方法等、減酒指導の取組みを促進します。妊婦の飲酒を防止するため、保健指導を促進します。また、未成年者の飲酒をなくすため、健康教育の充実を図ります。 - 6)喫煙
たばこについては、後ほど詳しく説明します。 - 7)歯と口の健康
【目標】定期的に歯科健診を受ける府民の割合を増やします -歯と口の健康を大切にしましょう-
【主な取組み】
歯と口の健康づくりの重要性を学び、歯磨き習慣等の定着を図る健康教育の充実を図ります。定期的な歯科健診を受診する必要性等、正しい知識を習得する研修等の機会提供を通じて、広く普及啓発を図ります。また、高齢になっても健康的な食生活を維持できるよう、食物を口に取り込み、噛んで飲み込む口の機能を良好に保つ重要性を広く啓発します。 - 8)こころの健康
【目標】過度のストレスを抱える府民の割合を減らします -ストレスとうまく付き合いましょう-
【主な取組み】
ストレスへの対処法に関する正しい知識を持ち、日常生活で実践し、必要に応じて専門的な支援を受けることが求められます。メンタルヘルス対策を推進するため、企業の労働環境整備への取組み支援、労働相談窓口の機能強化、医療機関との連携等を行います。また、同年代や多世代が交流を図る地域の子育てサロン、高齢者サロン、交流イベント等への参加を促します。こころの健康相談において、精神的な病気やひきこもり等について、本人や家族からの相談に応じます。
- 1)ヘルスリテラシー
- 生活習慣病の早期発見・重症化予防
- 1)けんしん(健診・がん検診)
けんしんには、医療保険者が実施する特定健診や、市町村が実施するがん検診等が含まれます。
【目標】けんしん(健診・がん検診)の受診率を上げます -けんしんで健康管理に努めましょう-
【主な取組み】
定期的に、けんしんを受診することが、疾患の早期発見につながります。府民の受診意欲やけんしんの受診率を高めるために市町村や医療保険者等と連携し、効果的な受診勧奨、保健指導等の充実と普及啓発、受診しやすい環境づくりを進めます。 - 2)重症化予防
【目標】生活習慣による疾患(高血圧、糖尿病等)の未治療者の割合を減らします -疾患に応じて早期治療と継続受診を行いましょう-
【主な取組み】
医療保険者等との連携のもと、未治療者や治療中断者に対する医療機関への受診勧奨の取組みを促進します。市町村や医療保険者等が実施する健康教育や健康相談を通じて正しい知識の普及啓発により、早期治療・重症化予防を働きかけます。また、糖尿病の普及啓発を強化するとともに、糖尿病の重篤な合併症の発症を予防するため、医療機関の相互連携の強化を図ります。
- 1)けんしん(健診・がん検診)
- 府民の健康づくりを支える社会環境整備
【目標】地域や職場における健康づくりへの参加を増やします-みんなで健康づくりを楽しみましょう-
【主な取組み】
従業員の積極的な健康づくりに取り組む健康経営を拡げるため、市町村や医療保険者、事業者等の協働により、普及啓発の取組みを強化します。また、高齢者が地域のボランティアや自治会活動等に参加しやすい環境づくりを進めます。
ここから、第3次大阪府健康増進計画におけるたばこ対策について紹介します
- 受動喫煙について
他人が吸っているたばこの先端から立ち上る煙(副流煙)や、喫煙者が吐き出す煙(呼出煙)を吸うことを受動喫煙と呼びます。たばこの煙の中には、ニコチンやタールといった健康に悪影響を及ぼす250種類以上の有害物質が含まれています。さらに副流煙には、喫煙者本人が吸い込む煙(主流煙)よりもこれらの有害物質が多く含まれています。
受動喫煙の身体への影響としては、咳や痰などの呼吸器症状や血管収縮による血流障がい等があります。長期的には、喘息、肺がん、狭心症・心筋梗塞等を起こす可能性が高まります。特に、子どもは有害物質の影響を受けやすく、乳幼児突然死症候群や喘息、中耳炎等を発症する可能性があり、重症化しやすいです。
また、日本国内で近年販売されている加熱式たばこは、たばこ葉やたばこ葉を用いた加工品を燃焼以外の方法により加熱して使用するものですが、喫煙者本人が吸い込む煙(主流煙)には紙巻たばこと同程度のニコチンを含む製品もあります。紙巻たばこと比較すると少ないですが、喫煙者本人が吸い込む煙(主流煙)に発がん性物質が含まれていることも指摘されています。換気のない狭い室内で喫煙した場合、室内におけるニコチン濃度を測定した調査によると、紙巻たばこに比べ加熱式たばこでは低いという結果が出ていますが、販売されて間もないこともあり、現時点では、加熱式たばこの受動喫煙による将来の健康影響を予測することは困難とされています。 - 大阪府の喫煙状況について
大阪府の喫煙率は、2016年では全国とほぼ同じの約2割です。
喫煙率とは、習慣的にたばこを吸う人の割合を示します。喫煙率を男女別でみると、男性は30.4%、女性は10.7%、年代別でみると、男性は30歳代が最も高く38.0%、女性は50歳代が最も高く15.7%です。大阪府は全国と比べて女性の喫煙率が高くなっています。
また2013年における受動喫煙の機会を有する者の割合は、職場で34.6%、飲食店で54.4%です。 - 喫煙状況を踏まえた計画目標について
このような現状から、本計画の目標として「喫煙率を下げ、受動喫煙を減らします -たばこから自分と周囲の人を守りましょう-」を掲げ、2023年度までに成人の喫煙率を男性は15%未満、女性は5%未満にすることをめざします。また、受動喫煙の機会を有する者の割合を、職場で0%、飲食店で15%未満にすることをめざします。
府民のみなさまには「喫煙行動・受動喫煙が及ぼす健康への影響を正しく理解し、適切な行動に取り組む」よう、お願いします。
<ライフステージに応じた健康行動目標>- 児童から青年期の若い世代
家庭や学校で喫煙行動・受動喫煙が健康に与える影響を学びます。未成年者は喫煙をしません。 - 成人期の働く世代、高齢者世代
職域等における啓発を通じて、喫煙行動・受動喫煙が健康に与える影響について正しい知識を習得します。喫煙者は、禁煙にチャレンジします。受動喫煙に十分配慮し、受動喫煙から子どもや妊婦等を守ります。
<禁煙について>
健康のために一番確実なのは禁煙することです。喫煙による身体の症状は禁煙直後から改善されます。
禁煙によるイライラがひどかったり、今までに禁煙に挑戦したが失敗した方には、禁煙を手助けする薬があり、それを使うことで楽に禁煙できるようになっています。主治医に相談の上、禁煙外来を行っている医療機関や禁煙補助薬を取り扱う薬局・薬店へも相談できます。
- 児童から青年期の若い世代
- 具体的な取組みについて
- 1)喫煙率の減少のための取組み
小学校、中学校、高等学校、大学などとの協働により、喫煙防止教育やセミナー等を通じて、喫煙が健康に与える影響等の正しい知識を習得し、理解を深める取組みを促進します。女性の喫煙率が全国より高いことから、市町村や医療保険者、関係団体等と連携して、喫煙状況の把握と適切な禁煙指導を促進します。職場の喫煙対策としては医療保険者等と連携し、各種セミナーや保健事業等を通じて喫煙の正しい知識の啓発や、禁煙に関する相談への支援、喫煙者の禁煙をサポートする取組みを促進します。
医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会等たばこ対策に取り組む保健医療関係団体と連携し、禁煙治療・禁煙支援を実施する医療機関や薬局等の情報を提供し、喫煙者の禁煙サポートを行います。 - 2)望まない受動喫煙の防止のための取組み
健康増進法の規定を踏まえ、受動喫煙防止対策の取組みを見直し、また、病院・学校・官公庁・大学等の多数の者が利用する施設における禁煙を推進し、受動喫煙のない環境づくりを促進します。
子どもや妊婦を受動喫煙から守るため、母子保健施策と連携して、子育て世代への啓発を強化します。また、市町村や保健医療関係団体、医療保険者、事業者等との協働により、施設管理者へ全面禁煙に取り組む意義・必要性等を積極的に働きかけ、全面禁煙宣言施設の充実を図ります。
- 1)喫煙率の減少のための取組み
- これからのたばこ対策について
わが国のたばこ対策は、健康増進法の規定により進められています。2018年7月、健康増進法が改正されました。新しい法律の規定では、望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設で、施設の種類や場所に応じて、禁煙や喫煙場所を特定するなどの対策が示されています。
新しい法律がスタートするのは2020年4月からですが、病院や官公庁、児童福祉施設など一部の施設の対策は、それよりも早く始まる予定です。
たばこ対策を進めるためには、行政だけでなく、府民のみなさまの理解と協力が必要です。いのち輝く健康未来都市・大阪の実現のために、そしてなによりご自身のために、たばこ対策に関心を持ちましょう。