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ヘルシーおおさか21(点字広報)第54号音声読上げ用
ヘルシーおおさか21(点字広報)第54号【平成29年10月発行】
テーマ「これから取り組もう!高齢期のフレイル予防」
1 「フレイル」を知っていますか
フレイルとは「高齢期の虚弱」を意味する言葉で、これまで老化現象として見過ごされてきた心身機能の衰えを指します。フレイルは介護が必要な状態になる原因
の1つであり、早くから注意して適切な対応をすることで予防することができます。介護予防への対策が大きく取り組まれている中、高齢期の健康上の特徴である
フレイルへの対策が今注目されています。より長く健康な生活を維持するために、フレイルの特徴や予防方法を知り、生活の工夫に役立てましょう。
2 高齢者のフレイルを取り巻く現状
フレイルの説明に入る前に、まず健康について日本の現状を紹介します。
日本人の平均寿命は、生活環境が良くなったことや医学の進歩によって着実に伸びています。平成27年では、男性約80歳、女性約87歳と世界トップクラスの長寿国
となっています。また、65歳以上の高齢者の割合は総人口の約26%を占めており、今後も高齢化率は上昇していくことが予想されています。
こうした中では、単に長寿であるだけでなく、健康を維持しながら一人一人が心豊かに生き生きと過ごすことが大切で、このような状態で日常生活を送れる期間を
健康寿命と呼びます。しかし、平均寿命が延びる一方で、平成25年の時点では健康寿命は平均寿命よりも男性で約9年、女性で約12年短くなっています。
これは、平均寿命を迎えるまでのこの期間を、健康上の問題で日常生活に何か影響のある状態で過ごしていることを示しています。
今後も、平均寿命はさらに延びることが予測され、これまで以上に平均寿命と健康寿命との差をなくし、より長く健康な日常生活を送るために、フレイルについて
理解し予防に取り組みましょう。
3 フレイルって、どんな状態?
これから、フレイルについて詳しく説明していきます。
フレイルとは、年齢を重ねるとともに心身の機能が低下することに加え、病気などの影響もあって日常生活が制限され、様々な虚弱が出現した状態です。
また、フレイルは身体面・精神面だけでなく社会面に及ぶ虚弱も意味します。
フレイルについて具体的な例をあげると、
- 身体面では
歯と口の機能の低下、体重減少や低栄養状態、筋肉量の低下、転倒の増加など、からだの動きが制限されるものがあります。 - 精神面では
意欲がなくなったり正しい判断ができないなどの認知機能の低下、うつなどがあります。 - 社会面では
外へ出かけたり、趣味を楽しんだり、人と交流したりするなどの社会活動が低下し、閉じこもりになったり、孤立したりすることがあります。
フレイルは、健康な状態と介護を必要とする状態の中間の状態を指すので、フレイルの状態が続くことは介護を必要とする状態に進んでいくことになります。
しかし、自ら健康状態を意識し、フレイルの変化に早くに気づくこと、そして、日頃から健康づくりの取り組みを実践することによって、フレイルは予防・改善する
ことができます。
4 高齢期のフレイルの特徴
それでは高齢期のフレイルの特徴について考えてみましょう。
- 筋肉量と運動量の減少
フレイルや介護が必要な状態になる大きな原因として、年齢を重ねることに伴う筋肉量の減少があります。また、筋肉は刺激を与えないと衰えてしまいます。
筋肉量が減少すると運動量が減少し、併せて筋肉への刺激が低下することで、さらに筋肉量の減少が進むという悪循環となります。そうすると、運動することや
日常生活に制限ができてしまいます。 - 低栄養状態
高齢者の特徴の1つとして低栄養状態が挙げられます。原因は、噛む力や飲み込む機能の衰えに加えて、歯周疾患による歯の不安定さや義歯の不具合など
から起こる、食欲や食べる量の低下があります。他には、買い物や料理がしにくくなったり、家族と一緒に食事をする機会が少なくなったりすることで、バランス
の良い食事が難しくなる場合もあります。低栄養状態になると体をつくる様々な栄養素が不足するため、体力が低下したり、病気になりやすくなったりします。
このように、フレイルは様々な要因やささいなきっかけが絡み合って進行していきます。日常生活の中で早く自分の体の変化に気づいて改善していくことが大切です。
フレイルの状態を自分で把握するための簡単なチェックリストがありますので紹介します。
5 フレイルのチェックリスト
フレイルの予防のために健康状態をチェックしてみましょう。
- 1年間で無意識のうちに体重が4kgから5kg減った
- わけもなく疲れたように感じる
- 筋力(握力)が低下した
- 歩くのが遅くなった
- 身体の活動量が減った(週に1回程度の定期的な運動や体操、スポーツをしていない)
いかがでしたか。3項目以上に該当すればフレイルの状態である恐れがあるので、注意が必要です。
フレイルは適切な対応で予防・改善することができます。次にフレイルの予防についてみてみましょう。
6 フレイルの予防について
フレイルを予防・改善するには、規則正しいバランスの良い食事と、適度な運動が基本となります
- まずは、食事について
1日に必要なエネルギー量を朝食、昼食、夕食の3回できちんと摂りましょう。食事のバランスも大切で、主食・主菜・副菜を基本としバランスよく摂りましょう。「主食」はごはん・パン・麺類などの穀類を指します。
「主菜」は肉・魚・卵・大豆製品などを使ったたんぱく質や脂肪を主とした料理です。筋肉量の減少や筋力の低下を防ぐためには、筋肉の材料となるたんぱく質
をしっかり摂ることが大切です。
「副菜」は野菜・きのこ・海藻・果物などを使った料理で、体の調子を整えるビタミンやミネラル、便通をよくするなどの働きがある食物繊維を補うものです。
また、ミネラルのひとつであるカルシウムは、骨密度を保つために必要な栄養素ですが、不足しやすい栄養素です。カルシウムを多く含む牛乳・乳製品・豆類・
小魚なども意識して摂りましょう。
また、一人で食事をすることが多い場合は、食事の品数も減り、食材も偏りがちで低栄養状態に陥りやすくなります。積極的に家族、友人、地域の人などと
一緒に食事をする機会を作りバランスのよい食事を意識しましょう。
そして、食べた後に歯と口の清掃を行うことも大切です。噛む力や飲み込む機能が低下すると硬いものが食べにくくなったり、むせたりします。定期的に
歯科健診を受けて歯と口の状態を確認し、「食べる」「飲み込む」機能の低下を防ぎましょう。 - 次に、運動について
足や腰の筋力をつけて転倒・骨折・寝たきりを防ぎましょう。しかし、急に「トレーニングするぞ」と意気込むのではなく、「毎日の暮らしの中で、もうちょっと
身体を動かそう」というくらいの意識でいる方が長続きします。歩くときは歩幅を大きくとり、姿勢を保ってゆっくりと歩きましょう。膝の曲げ伸ばしや爪先立ち
なども効果的です。足腰を重点的に鍛えましょう。
高齢になると、歩行機能の衰えにより外出が減ることがあります。社会とのつながりを持つことが億劫になり、家に閉じこもりがちになると活動量が減り、
寝たきりにつながりやすくなります。規則正しい生活リズムを作ったり、体を動かしたり、外出の機会をつくったりするなどの楽しみをもち、閉じこもりを予防
しましょう。
歳のせいと考えられていた身体の変化の多くは、生活習慣に気をつけることで改善し、健康寿命をのばすことが可能になります。
まず、できることから始めてみましょう。
7 おわりに
健康づくりのためには、一人ひとりが正しい生活習慣を身につけ、自分の健康は自分でつくるという自覚を持って取り組むことが大切です。普段から予防や
健康増進に向かって少し意識して努力することは、これからの生活に大きく影響することになります。
日常生活を少しだけ見直して、適度な運動・適切な食生活を心がけ、健康長寿への新たな一歩を踏み出しましょう。
<引用・参考文献>
- 1)厚生労働省ホームページ
平成28年版厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える- - 2)厚生労働科学研究成果データベース
平成27年度 総括研究報告書「後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究」 - 3)国立長寿医療研究センター ホームページ
平成26年度 総括報告書「フレイルの進行に関わる要因に関する研究」 - 4)厚生労働省ホームページ 食生活指針について