印刷

更新日:2009年8月1日

ページID:28913

ここから本文です。

消費者契約法を活用しよう

消費者と事業者との間には、情報の質・量、交渉力の格差があります。これを是正して、消費者の利益を守るために、消費者と事業者との契約に関するルールとして作られたのが「消費者契約法」です。

消費者契約法のポイント

ポイント1

消費者契約法は、消費者と事業者が締結した契約(消費者契約)のすべてを対象としています。(ただし、労働契約や個人事業主の契約については適用されません。)

ポイント2

消費者は、事業者の勧誘時における不当な行為により、自由な意思決定が妨げられたことによって結んだ契約を取り消すことができます。
取消しができるのは、誤認に気づいたり、困惑状態から脱した時から1年間、契約締結時から5年以内です。
なお、霊感商法等の場合は、誤認に気づいたり、困惑した状態から脱した時から3年間、契約締結時から10年以内です。

契約の「取消し」ができる場合

誤認して契約した場合
  • 不実告知
    重要事項について事実と異なることを告げる
    (例)中古車を買う際、販売員から事故車ではないと説明を受けたのに、購入後、事故の修理跡が見つかった。
  • 断定的判断の提供
    確実ではないものを、確実であると誤認させる
    (例)事業者に「資金は絶対増やせます。元本割れはしませんし、円高にもならないでしょう」と言われたので外国債を買ったが、実際には円高になって大損した。
  • 不利益事実の不告知
    不利益となる事実を故意に、または重過失によって、告げない
    (例)事業者が実際には南側にビルができて日当たりが悪くなることを知っていながら(または、容易に知り得た状況であったにもかかわらず)、そのことを隠して「日当たり良好。皓は特別の立地条件ですよ」と言ったのを受け、マンションを買ってしまった。
困惑して契約した場合
  • 不退去
    帰ってくれない
    (例)子ども用教材の訪問販売員に「帰ってください!」と要求したにもかかわらず夜遅くまで居座られたので、やむを得ず契約してしまった。
  • 退去妨害
    帰してもらえない
    (例)通行中にセールスマンにあい、近所の営業所まで連れて行かれ、しつこく勧誘された。「帰りたい」と言っても帰してもらえず、契約してしまった。
  • 退去困難な場所へ同行
    勧誘することを告げずに、退去困難な場所へ連れて行く
    (例)旅行に行こうと言い、山奥の別荘に連れて行かれて、商品を勧められ、購入してしまった。
  • 威迫する言動を交えて連絡妨害
    契約するか等の相談のための第三者への連絡を、恐怖を感じる言動を交えて妨害する
    (例)「ウォーターサーバーを買うか親に相談したい」と言ったが、事業者に「それはダメだ」と連絡を妨害されて、購入してしまった。
  • 不安をあおる告知
    願望の実現に不安を抱いていることを知りながら不安をあおる
    (例)就活をしていて、将来に不安を感じていたところ、「就職するには、このセミナーの受講が必要」と言われ、契約してしまった。
  • 好意の感情の不当な利用
    恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用
    (例)SNSで知り合った男性と何度か連絡をして好きになった。宝石展示場に誘われて行ったところ、その男性から「買ってくれないと関係を続けられない」と言われ、購入してしまった。
  • 判断力の低下の不当な利用
    判断力が低下し、将来への不安を抱いていることを知りながら不安をあおる
    (例)認知症により判断力が著しく低下し、将来への不安を感じていたところ、「この健康食品を飲まなければ、今の健康を維持できない」と言われ、契約してしまった。
  • 霊感等による知見を用いた告知
    霊感等の特別な能力により、本人またはその親族の生命等について、現在もしくは将来、重大な不利益が生ずることを示し、不安をあおる又は不安に乗じて契約が必要と告げる
    (例)「私には霊が見える。あなたには悪霊がついており、そのままでは病状が悪化する。この数珠を買えば、悪霊が去る」と言われ、その数珠を購入してしまった。
  • 契約締結前に債務の内容を実施等
    契約前にもかかわらず強引に代金を請求される等
    (例)蛇口の調子が悪いので点検してもらったところ、承諾していないのに浄水器を設置され、代金を請求された。
    (例)無料だと思い、不要な家電の引取りを要請したが、有料だったために断ると、「引取りに来るのに経費がかかった」と事業者から言われた。
つけ込まれて契約した場合
  • 過料契約
    通常の量を著しく超える物の購入を勧誘される
    (例)一人暮らしであまり外出せず、日常的に着物を着用することもないが、店舗を訪れた際、何十着も着物を勧められ、購入してしまった。

ポイント3

契約内容について、消費者利益を不当に害する契約条項が規定されている場合、当該契約条項は無効となります。

契約条項が無効となる場合

  • 事業者の損害賠償の責任を免除、制限する条項
    損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意又は重過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する条項
    (例)当ジムは、会員の施設利用に際し生じた損害、盗難等の人的・物的ないかなる事故についても一切責任を負いません。
  • 消費者の解除権を放棄させる条項
    どんな理由でもキャンセルできないとする条項
    (例)販売した商品については、いかなる理由があっても、ご契約後のキャンセル・返品はできません。
  • 消費者が支払う損害の額を超えるキャンセル料条項
    キャンセル料のうち、契約の解除に伴う平均的な損害額を超える部分や、遅延損害金につき、年利14.6%を超える部分についての条項
    (例)合格者は所定の期限までに手続きを完了しなければ入学資格を失います。いったん納付された学生納付金(入学金や授業料)は、いかなる事情があっても返金しません。
    (例)契約後にキャンセルする場合には、以下の金額を解約料として申し受けます。実勢に使用される日から1年以上前の場合:契約金額の80%
  • 消費者の利益を一方的に害する条項
    任意規定の適用による場合と比べ消費者の権利を制限し又は義務を荷重する条項であって、信義的に反して消費者の利益を一方的に害するもの
    (例)お届けした掃除機に同封した健康食品(サンプル)について、不要である旨のご連絡がない限り、継続的にご購入いただいたものとします。
  • 成年後見制度の利用を理由とする解除条項
    事業者に対し、消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項
    (例)賃借人(消費者)が、後見開始の審判を受けたときは、賃貸人(事業者)は直ちに本契約を解除できる。
  • 免責範囲が不明確な条項
    軽過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていない一部免責条項
    (例)当社は、法律上許される限り、1万円を限度として損害賠償責任を負います。
    ※事業者に故意・重過失がある場合には全額を賠償してもらえるが、「法律上許される限り」との記載では、そのことがわからず、消費者が賠償を受けられないと誤解する可能性がある。「当社は、軽過失の場合には、1万円を限度として損害賠償責任を負います。」であれば有効。

このような消費者に一方的に不当・不利益な契約条項の一部または全部
矢印無効になります
その結果、民法・商法の規定に沿って判断されます。
無効の場合は、期間制限がありません。

ポイント4

消費者団体訴訟制度
消費者全体の利益を擁護するため、一定の消費者団体(適格消費者団体)に事業者の不当な行為に対する「差止請求権」を認めるもの。
平成19年に消費者契約法に最初に導入され、平成21年からは景品表示法や特定商取引法にも拡大されました。
大阪府では、消費者支援機構関西(KC’S)が適格消費者団体として認定され、消費者被害等の情報提供を呼びかけています。(電話番号:06-6945-0729

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?