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更新日:2016年2月29日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第254号)

土地境界確定関係文書部分公開決定等異議申立事案(その1からその3まで)

(答申日:平成28年2月29日)

第一 審査会の結論

実施機関(大阪府知事)は、本件異議申立てに係る決定において非公開とした部分のうち、本件別紙4において公開することが妥当であるとした部分については公開すべきである。
実施機関のその余の判断は妥当である。

第二 異議申立ての経過

  1. 平成23年8月17日付けで、異議申立人は、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対して、答申別紙1の番号1記載の内容の公開請求(以下「本件請求1」という。)を行った。
    同月30日付けで、実施機関は、この請求に対し、答申別紙1の番号1記載のとおり、本件請求1に対応する行政文書(以下「本件行政文書1」という。)を特定の上、公開しないことと決定した部分(以下「本件非公開部分1」という。)を除いて公開するとの部分公開決定(以下「本件決定1」という。)を行い、答申別紙1の番号1記載の開示しない理由を付して、条例第13条第1項の規定により異議申立人に通知した。
    同年11月1日、異議申立人は本件決定1を不服として、行政不服審査法第6条第1項の規定により異議申立て(以下「本件異議申立て1」という。)を行った。
  2. 平成23年9月16日付けで、異議申立人は、条例第6条の規定により実施機関に対して、答申別紙2の番号2記載の内容の公開請求(以下「本件請求2」という。)を行った。
    同月30日付けで、実施機関は、この請求に対し、答申別紙2の番号2記載のとおり、本件請求2に対応する行政文書(以下「本件行政文書2」という。)を特定の上、公開しないことと決定した部分(以下「本件非公開部分2」という。)を除いて公開するとの部分公開決定(以下「本件決定2」という。)を行い、答申別紙2の番号2記載の開示しない理由を付して、条例第13条第1項の規定により異議申立人に通知した。
    同年11月25日、異議申立人は本件決定2を不服として、行政不服審査法第6条第1項の規定により異議申立て(以下「本件異議申立て2」という。)を行った。
  3. 平成24年1月11日付けで、異議申立人は、条例第6条の規定により実施機関に対して、答申別紙3記載の番号3の内容の公開請求(以下「本件請求3」という。)を行った。
    同月25日付けで、実施機関は、この請求に対し、答申別紙3の番号3記載のとおり、本件請求3に対応する行政文書(以下「本件行政文書3」という。)を特定の上、条例第13条第1項の規定により、その全部を公開する旨の公開決定(以下「本件決定3」という。)を行い、異議申立人に通知した。
    同月30日、異議申立人は本件決定3を不服として、行政不服審査法第6条第1項の規定により異議申立て(以下「本件異議申立て3」という。)を行った。
  4. 当審査会は、本件異議申立て1、本件異議申立て2及び本件異議申立て3について、前提となる事実及び異議申立人が同一であるため一括して審査を行い、判断を行った。

第三 異議申立ての趣旨

  1. 本件異議申立て1について
    本件決定1を取り消し、全部公開を求める。
  2. 本件異議申立て2について
    本件決定2を取り消し、全部公開を要求する。
  3. 本件異議申立て3について
    本件決定3を取り消し、全部公開を要求する。

第四 異議申立人の主張要旨

1 本件異議申立て1について

異議申立人の本件異議申立て1に係る主張は、以下のとおりである。

(1)異議申立書における主張

大阪府が公開した公図及び地積測量図、平面図には不明な点が多く、法務局の地積測量図及び登記謄本との整合性がない。この点を証明するべき書類には黒塗りをしており、判読できない。公文書偽造についても何ら説明がない。

(2)反論書における主張
ア 反論の趣旨

大阪府の土地(地番a)と当方の土地(地番b)が隣接すること自体が有り得ないことであり、さらに土地境界確定協議書が改ざんされているのみならず疑問が多々あり文書公開を要求します。

イ 本件の経過
  • (ア)異議申立人(A氏)の父親であるB氏が大阪府と約10年間所有権を争っていた土地は別図1(添付省略)イロハニの部分です。
    (イ二間は5.90間)
    昭和47年10月9日父が大阪府と交した土地境界確定協議書1の添付図面(添付省略)中イ二に該当する距離は9.341mとなっており疑問があります。但し、この図面は、大阪府と裁判中であった昭和46年12月25日に大阪府が作製したものです。
    昭和47年12月27日父が大阪府と土地賃貸借契約書(別紙1)(添付省略)を交した際に添付されていた地積測量図では9.341mの北側に1.56mの数字が記載されていますが、土地境界確定協議書の訂正は行われていません。
    なお、この昭和47年11月1日作成の地積測量図は登記されていません。
    本来係争地は、イ二間が5.90間あったのであり、土地賃貸借契約する場合はイ二間がほぼ9.341m+1.56mであるべきです。
  • (イ)昭和23年5月19日C氏が地積誤謬訂正した場所は、別紙2(添付省略)に記載のとおり地名Oであり、大阪府が主張する当方北隣り地名P地区ではありません。地番aが地名Oに存在することは、平成23年8月19日現在でも旧土地台帳(別紙3)(添付省略)で明らかです。
  • (ア)異議申立人が文書公開を要求した趣旨は概ね上記のとおりです。
    • a 土地境界確定協議書は絶対であり、その後に寸法の違いが発見されたならば訂正が必要です。
    • b 大阪府は、地名Oの土地形状を地名Pに当てはめてD氏及び当方の土地を侵奪しておりますが、分筆登記の都度形状・方位等に相違があり、特に大阪府が昭和38年1月19日の分筆登記に添付されている分筆実測丈量図(別図2)(添付省略)から所在地は地名Oであり、土地形状を地名Pに当てはめることは不可能です。さらに地番aの位置が不明です。
      昭和49年11月18日登記の土地所在図(別図3)(添付省略)でも地番aの場所が地名Oであることを証明していますが、昭和38年1月19日の分筆実測丈量図(別図2)(添付省略)とは位置が変わってします。
    • c 上記のことから大阪府の土地は地名Pに存在しません。
  • (イ)
    • a
      • (a)「地図混乱地域」は、大阪府が戦後のどさくさにルーズな土地の購入をした所ばかりです。大阪府が売却した跡地に数件建て売りが建設されています。「地図混乱地域」の解消はルーズな土地行政をした大阪府の責任です。
        父は、昭和47年10月9日の日記に、「大阪府庁で土地境界確定協議書を交したとき管財課の職員V氏が『これで一段落付いた』と言ったが、父は番地の違う処に判を取ってこれで善いと思っていることがおかしい。…土地というものは動くものではないから、十年先、二十年先でも話を変えることができる。」と書いており他の行政に期待していたようです。
      • (b)大阪府の登記は公図と相違するが公図は訂正されていない。
      • (c)大阪府の登記が公図と相違するため、「枚方方式」なる手を使っている。「枚方方式」が法務省から認められているならば、認められている旨の通達等を公開されたい。
    • b
      • (a)昭和23年5月19日C氏が地積誤謬訂正した場所は、別紙2(添付省略)にあるとおり地名Oであり、大阪府が主張する当方北隣り地名P地区ではありません。地番aが地名Oに存在することは、平成23年8月19日現在でも旧土地台帳(別紙3)(添付省略)で明らかです。
      • (b)大阪府が公開した昭和38年1月19日の分筆登記は、法務局では所在地が地名Oで登記されています。
        なお、大阪府は、昭和49年11月18日登記の土地所在図(別図3)(添付省略)でも地番aの所在地が地名Oであることを証明しています。
      • (c)公図を訂正せずに「枚方方式」で処理することは、14条地図を作成する方針に反します。
      • (d)当方が所有する昭和47年10月9日付けの土地境界確定協議書1及び私が平成15年頃大阪府管財課職員から入手した土地境界確定協議書2には1.56mの表記はない。
    • c
      • (a)昭和46年6月23日の父の日記によれば、父は当時の管財課職員W氏及び職員X氏と面談の中で、大阪府は「係争地を大阪府の土地と認めて、問題の坪数をB氏に賃貸し、その上で半年ぐらい後に時価の半額で売却するから、これで解決してくれ。」と言われたが断っている。
        昭和46年6月24日の父の日記
        職員W氏は、大阪府が土地の裁判をしていることぐらいしか知らないようである。職員W氏の言っていることは言語道断である。彼は自分等はこのような裁判ぐらい何年続いても別に差し支えはない。費用は大阪府が出すので三百年掛かろうが私自身には問題ない。・・・
        貴方は個人だから一日も早く大阪府の土地と認めて一応借りて時期を見て時価の半額で払い下げして貰った方がお得ですよ。貴方が大阪府の話合いに応じない場合、今度裁判したら徹底的にやります。万一負ける様なことがあっても最高裁まで行きます。その時費用は掛かるしついていけますか、今が折れる良い時ですよ良く考えなさい、と強制的に押し付ける様な言い方である。
        私はこの裁判は勝てると思っているが、裁判の進行に不信な感がする。
      • (b)父は、大阪府の土地とは隣接しないことを確信していながら大阪府の毒餌を食らって裁判を取り下げました。大阪府は、当方が借地をブロックで仕切る場合も更に約20cmセットバックするよう要求してきました。
        裁判の取下げ後父が大阪府に何度掛け合っても「番地が違うから売れない」等理由を付けて払下げしませんでした。
        父は、十代で肺をつぶし、喘息で寝る時は数日寝る身体であった。身体さえ強ければ、何年でも裁判をしたでしょう。
        裁判を取り下げるころには、大阪府は、B氏が裁判を取り下げれば、係争地の北側大阪府専有地も含めて半額で払い下げる旨言い出した。
        場合によれば、当方南隣に存在する大阪府の専有地(地番c)でも払い下げる話があったので、父は、地番cの東隣接地所有者を訪ねて長野県やその息子が住む東京にも話合いに行ったのです。
        父は、昭和52年6月8日喘息による呼吸困難により72時間以上意識不明となり、植物人間になる一歩手前で命を取り留めましたが、昭和59年10月15日死去するまで5、6回入退院を繰り返しました。
      • (c)大阪府は、父の死後も土地を払い下げようとしませんでした。借地料の支払いを止めて弁護士を通じて問い合わせをすると、弁護士は回答を待つよう伝えてきたが、大阪府から当方への連絡はありませんでした。
        平成15年大阪府から地番d及び地番eを購入した不動産業者が、当方が約20cmセットバックしたブロック塀の裏側に約1.6m盛り土をしたためブロックが傾き、大阪府管財課に指導を促したところ、当時の担当者は、「セットバックした約20cmの部分以外に借地部分も業者に売却する。」旨言い出したため、当方は弁護士を使う羽目になり、不動産業者との問題解決を図りました。その後どちらともなく借地の払下げを受けることとなった。
  • (ウ)
    • a 大阪府は、昭和47年9月27日E氏と土地境界確定協議書を交しており、昭和49年8月12日にはF氏と土地境界確定協議書を交わしている以上関係文書が存在する筈である。
    • b 大阪府は、昭和49年の登記までは地番aの所在地を地名Oとして申請しており、平成23年8月19日現在でも旧土地台帳(別紙3)(添付省略)に地名Oに存在する旨記載されています。「枚方方式」のみで所在地を地名Pに変更できない筈である。
      「地図混乱地域」と言われるところに住む我々や建て売りを購入した府民は、売却金額が下がり迷惑である。「地図混乱地域」発生に対策を取らずに法務局のみの責任として売却した大阪府は、行政として購入者等に対して責任を取るべきである。
  • (エ)
    • a 「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」(別紙4)(添付省略)によれば、平成13年地番fを分筆登記し地番dを地積更正をしている。
      しかし、私が平成15年に入手した地番f及び地番eの地積測量図(別図)(添付省略)では、K―2とK―3の距離及びK―3とK―4の距離が昭和49年11月18日登記の地積測量図よりもそれぞれ1cmずつ短くなっているが地積更正されていない。
    • b G氏の「地図及び登記内容の解析」[2](別紙5(添付省略))によれば、地番dは公簿、実測が概ね一致しているが、地番fは49年の分筆時に残地分筆の対象となっており、公簿より実測が小さいとしながら、平成13年地番fを分筆登記し地番dの地積更正をしている意味が不明です。
      D氏に売却した土地やH氏の土地が分筆及び地積更正に支障をきたせば抹消登記させ、さらに「枚方方式」で地図混乱地を正当化している図式がうかがえる。これでは土地家屋調査士の存在は「百害あって一利無し」と言わざるを得ない。
    • c 昭和23年5月19日の地積誤謬訂正申請(別紙2)(添付省略)は、地番aの所在地が地名Oである決定的な証拠となります。
  • (オ)
    • a
      • (a)個人所有の土地の経緯等は、公図の整合性を調査する等ケースバイケースで公開が必要です。
        今回の場合大阪府が昭和37年11月29日D氏に売却したとする地番aは、D氏が自分の所有地地番g外としてH氏と売買契約済みであったが、大阪府が無理を通すため仕方なく購入したが、G氏の解析文(別紙5)(添付省略)どおり平成12年12月25日I氏が重複を理由に登記簿を閉鎖しています。
  • (カ)結論
    大阪府は、平成13年に分筆及び地積更正するにあたり改ざんした土地境界確定協議書3を添付するなど、行政が違法行為を重ねております。権利者が調査することは当然であります。
    大阪府は、上記(エ)cで述べているように、本件土地に関する文書が書庫に保管されているとのことであるから、全て公開すれば新しい発見ができると思われます。

2 本件異議申立て2について

異議申立人の本件異議申立て2に係る主張は、以下のとおりである。

(1)異議申立書における主張

大阪府が公開した公図、地積測量図及び平面図には不明な点が多く、法務局の地積測量図及び登記謄本との整合性がない。昭和47年までの係争地図面と同年10月9日付け土地境界確定協議書添付図面及び同年12月27日付け土地賃貸借契約書図面に大きな誤差があり、公文書偽造について質問しても何ら説明がない。
昭和37年の訴状が存在するにもかかわらずその後の文書を公開しない本件決定2を取り消し約10年にわたる裁判記録一件及び前後の議事録を要求します。
大阪府は具体的な文書名を提示しないと文書公開できないようである。文書名を提示するためには当方に関する保存文書目録を提出して頂きたい。

(2)反論書における主張
ア 反論の趣旨

上記1(2)アに同じ

イ 本件の経過

上記1(2)イに同じ

ウ 反論の理由
  • (ア)上記1(2)ウ(ア)及び(イ)に同じ
  • (イ)
    • a 本件請求2は、受付番号第798号の請求及び本件請求1に対する文書公開では不十分なため申請したものです。
      その後も5回に渡り文書公開されましたが、行政文書公開は、一度で済ませて欲しいものです。
    • b 行政文書公開制度は、行政の違法行為を止める手段でもあります。
      私は、父が大阪府と裁判をしていた当時から、資料作りのため法務局に通っていました。父は大阪府に騙されて土地境界確定協議書を取り交わしたものの、昭和の時代に悪代官のような大阪府の行為は、白日の下にさらされる日が来ることを信じていました。
      個人情報についても、約10回にわたる開示請求及び異議申立てにより、ようやく平成24年4月3日火曜日609枚の個人情報部分開示予定です。
      これまでの情報公開においても十分でないと思われます。
  • (ウ)
    • a 本件請求2の項目1、2の対象文書
      「土地境界確定協議書は原本が確認できないため、公開したものは昭和47年12月に締結した土地賃貸借契約の決裁文書に添付されている写しである」由。ならばB氏に無断で土地境界確定協議書に1.56m加筆したのは、土地境界確定協議の2カ月後になるが間違いないですか?
    • b 本件請求2の項目3の対象文書
      「1.56mの誤差及び分筆図(地積測量図)の誤差の理由等がわかる直接的な文書の存否が確認できないが、昭和47年締結の土地賃貸借契約の添付図面である土地境界確定協議書を対象情報とした」のならば、公文書偽造年月日は昭和47年12月と確定しているのですか?
    • c 本件請求2の項目4の対象文書
      昭和49年8月29日作成の地積測量図により地積更正済みの説明を、平成13年2月の分筆・地積更正登記では説明できない。
    • d 本件請求2の項目5の対象文書
      「枚方方式」の説明を求めているが、説明になっていない。
      平成13年2月大阪府が分筆・地積更正登記を業務委託した内容が間違っておれば、最終責任は大阪府にあり、大阪府が訂正するべきである。
      法務局の旧土地台帳には現在に至るも地番aの所在地は地名Oとなっている。
    • e 本件請求2の項目6の対象文書
      大阪府から情報公開により入手した境界明示の写真は、平成13年に撮影されたと説明を受けたが、K―16は立木の根に鋲を打っている。
      昭和47年の土地境界確定協議から約28年経過しており、境界明示の方法としては信用できない。
  • (エ)部分公開決定について
    • a
    • (a)大阪府が購入した土地の売主名等を黒塗りした売買契約書は信用できない。また法務局で入手可能な登記謄本の番地部分を黒塗りしたものは情報公開に抵触するであろう。個人所有の土地の経緯等も公図の整合性を調査する必要上ケースバイケースで公開するべきである。
  • (オ)結論
    大阪府は、平成13年に分筆及び地積更正するにあたり改ざんした土地境界確定協議書3を添付するなど、行政が違法行為を重ねております。権利者が調査することは当然であります。

3 本件異議申立て3について

異議申立人の本件異議申立て3に係る主張は、以下のとおりである。

(1)異議申立書における主張

実施機関が平成24年1月25日付け財活第2148号で行った本件決定3は、いかにも全部公開の決定通知であるかのようで一部公開である。
しかし、私が平成24年1月11日付け行政文書公開請求した事項は、行政文書公開請求書に「昭和49年11月頃枚方市地名Q地番fの分筆登記をするにあたり起案した文書及び添付図面を請求します。」と記載し、さらに、平成24年1月11日府政情報センターにて、財産活用課職員Y氏に分筆登記をする理由を知るには起案文書が必要であることは説明済みです。

(2)反論書における主張
ア 反論の趣旨

本来の大阪府の土地(地番a)は別図5(添付省略)枚方市役所課税地図でも判るように、当方の土地(地番b)より西に存在し隣接しないことを父(B氏)が最初から主張しております。
私が資料作成を手伝いながら父から聞かされていた大阪府の間違いは、公文書公開や個人情報開示により次々文書で証明されてきました。
大阪府は、当方の文書公開請求に対し保存年限を理由に不存在を主張していますが、更に古い資料を公開しながら、文書偽造のポイントとなる文書を公開しない等、大阪府は、姑息な手段を取らず、事実を公表すべきである。

イ 本件の経過は、下記事項を理解した上で更に深く説明するために必要な資料です。
  • (ア)大阪府が当方の隣地である根拠として、昭和33年11月枚方市役所から入手し、裁判資料乙1号証として提出した別紙2(添付省略)地積誤謬訂正申請書には、地番aの所在は地名Oと明記されており、平成23年8月19日現在の旧土地台帳(別紙3(添付省略))でも明らかです。当方は地名Pに所在し、裁判官の判断が不明です。
  • (イ)昭和35年夏頃父が不在中に大阪府は、無断で杭を打ち垣根を設置した。
  • (ウ)昭和36年11月1日の調停において、参考人から地番aは二重売りになった恐れがあるとのことで、別紙6から8まで(添付省略)のごとく売主の相続人が二重売りの部分を買い戻すこととなり、相続人J氏が昭和37年買戻申請書を提出したのにもかかわらず、昭和37年1月30日大阪府財産評価審査会の評価が坪当たり35,000円と調停委員も驚く金額となるなど不法占拠している大阪府に解決する態度が見られなかった為、調停不調に終わり本訴となった経過がある。
    (当方では係争地を二重売りとは考えていない、大阪府の間違いである。)
  • (エ)別図1(添付省略)係争地のイロにあるべき垣根が三尺以上当方側へ移動していることは、昭和37年12月10日第3回口頭弁論及び昭和38年5月17日第4回口頭弁論で、証人が証言しております。
  • (オ)昭和37年大阪府は、地番aの土地所有者(D氏)が現れると昭和38年1月19日地番aを分筆してD氏に売却した。しかし、大阪府が分筆登記に添付している分筆実測丈量図(別図2)(添付省略)から地番aの所在地は地名Oであり、土地形状を地名Pに当てはめることは不可能です。分筆登記した形状・方位等にも相違があり、昭和49年8月29日作成の土地所在図ではさらに地番aの位置が変更されています。
    平成12年度に残った地番fの更正登記をする際、別紙5(添付省略)[3]のとおり地番aが邪魔になり、D氏の遺族に閉鎖登記させています。
  • (カ)別紙9(添付省略)は昭和40年5月11日付け復命書の一部です。裁判中、大阪府の代理人である弁護士が別紙(添付省略)のとおり大阪府の問題点として[1]地積図上地番aは、現位置にあるべき土地ではない旨主張しています。
  • (キ)別紙10(添付省略)は、大阪府が地番fの一部(146.28平方メートル)をB氏に貸し付けるため昭和47年11月15日の起案文書に添付したものです。父が大阪府と約10年間所有権を争っていた土地は別図1(添付省略)のイロハ二の部分であり、イニ間は5.90間であるが、昭和47年10月9日父が大阪府と交わした土地境界確定協議書1の添付図面(添付省略)中イニに該当する距離は9.341mとなって疑問があります。大阪府での尺貫法からメートル法への読み替えを尋ねても未だに回答がありません。
    別紙10(添付省略)は、昭和47年10月9日父が大阪府と交した土地境界確定協議書の大阪府分原本のコピーでしょう。土地境界確定協議書2と同じものです。
    平成24年6月5日にも大阪府から昭和47年の図面を入手しましたが、この図面にも1.56の記載はありません。
    起案文書には別図6(添付省略)昭和47年11月1日作成の地積測量図も添付されていますが、こちらには1.56の記載があります。土地境界確定協議書は訂正されず、協議書を交わして1か月以内に1.56を加筆した地積測量図が作成される不思議を大阪府は説明しません。地積測量図のAの面積計算を間違えた所為か登記はされていない。
  • (ク)大阪府が昭和47年土地を貸し付けるための分筆登記を行わなかったのは、裁判を取り下げ地番fの一部を借地とすれば1年以内に地番f全てを売却する約束をした為でしょう。
    しかし、約束を反故にし、昭和49年11月分筆登記のための土地所在図及び地積測量図を法務局に提出したが、土地境界確定協議書は訂正されていません。土地所在図は地名Oの図面です。
    平成24年1月11日付行政文書公開請求は、昭和49年11月の登記理由を調べるため大阪府の起案文書を請求したのです。私は、枚方市地名Q地番f、地番d、地番h、地番iの土地所在図及び地積測量図を既に平成23年10月27日法務局で入手済みで、大阪府の回答には失望しました。
  • (ケ)平成13年大阪府は、分筆地積更正登記をするにあたり土地境界確定協議書に1.56を加筆していることが、昨年大阪府から入手した土地境界確定協議書3により判明しました。
  • (コ)当方借地と地番dとの境界ブロック塀は、借地契約の時点で大阪府からの依頼により20cm以上セットバックして設置していたから、境界杭は、ブロック塀の20cm以上北側にあった。
    平成15年大阪府から地番d、地番eを購入した不動産業者がブロック塀の裏側に盛り土をし、当方ブロック塀が傾いたが改善せず、更に当方借地部分を侵奪する計画であることを知り、未だ大阪府からの借地状態であることから不動産業者を指導させるべく大阪府の職員Z氏に伝えたが、当方に不動産業者と話し合う事を勧めて逃げていた。
    別紙11(添付省略)相談事案整理表によれば、心配していたとおり不動産業者は、購入地の北側F氏宅との境界塀を南側に移動設置しており大阪府も黙認している。更に大阪府は、境界杭とブロック塀の差が5cmと記載しているが、整理表によれば、不動産業者である法人K・法人Lは、府有地があることを認識しており、階段部分では壁から20cm控えている事が20cm以上セットバックしていた事を証明しています。
    大阪府の職員Z氏に、不動産業者が土地を侵奪しないよう指導させるべく電話をしたところ、職員Z氏は「ブロック塀の北側も売却します。」と回答したので、私は「それならこれまでの借地料を計算して返金するよう。」言ったのです。整理表添付の(3)丈量図(別図7)(添付省略)と従来の別図8(添付省略)とでは、杭番号が異なっています。面積・位置を誤魔化した証拠でしょう。
  • (サ)平成16年1月10日不動産業者及び大阪府を交え話し合ったが、埒があかず、弁護士を頼む事にした。
    平成23年大阪府から入手した平成16年1月15日撮影の写真のコピーには、当時存在する筈がない新しいブロック塀と境界杭がある。現在の担当者である職員Y氏に尋ねても「撮影日が記載されている事しか知らない。」との返事である。境界杭の正しい設置日時を文書で開示請求すると、平成24年5月30日付不存在による非開示決定通知が送付され、理由は「本件請求に係る行政文書の存否について調査したが、廃棄し、又は作成しなかったため、保有せず、管理していないため。」となっている。
  • (シ)平成18年11月30日大阪府から地番h他借地部分を購入したが、上記のように大阪府との関係は正常なものではなく購入について何度も交渉した。その交渉記録についても不存在としている事が常識外れである。
ウ 反論の理由
  • (ア)異議申立人が文書公開を要求した趣旨は概ね上記のとおりです。
    上記イで説明したとおり、昭和47年10月9日大阪府が父と交わした土地境界確定協議は絶対的なものでありながら、平成13年土地境界確定協議書3のように文書を偽造している。発端は大阪府から騙された昭和47年の土地賃貸借契約であるとしても、登記されたのは昭和49年11月であり、登記理由を解明するためには昭和49年11月の起案文書が必要である。
    大阪府は、上記イのように次々新事実が発見されながら肝心なところは見苦しくも不存在で誤魔化す等自治体として許されるものではない。
  • (イ)「地図混乱地域」についても大阪府が戦後のどさくさに抵当権が設定されている土地をルーズな購入をした所ばかりです。地番aも大阪府が購入してからも長期間抵当権が設定されていた事が別紙9(添付省略)に記載されています。
    大阪府が売却した跡地に数件建て売りが建設されています。「地図混乱地域」の解消はルーズな土地行政をした大阪府の責任です。
  • (ウ)父は、昭和47年10月9日の日記に、「大阪府庁で土地境界確定協議書を交した時管財課の職員V氏が『これで一段落付いた』と言ったが、父は番地の違う処に判を取ってこれで善いと思っていることがおかしい。・・・土地というものは動くものではないから十年先、二十年先でも話を変えることができる。」と書いており他の行政に期待していたようです。
  • (エ)大阪府の登記は公図と相違するから現在も公図は変更されていない。
  • (オ)大阪府の登記が公図と相違するため、「枚方方式」なる手を使っている。「枚方方式」が法務省から認められているならば、認められている旨の通達等を公開すべきである。
    公図を訂正せずに「枚方方式」で処理することは、14条地図を作成する方針に反します。
  • (カ)結論
    個人情報についても、10回以上にわたる開示請求及び異議申立てにより、ようやく平成24年4月3日火曜日604枚の個人情報を入手しました。その結果大阪府の大量の嘘が上記のように判明しました。
    しかし、文書偽造のポイントとなる文書を不存在として公開しない等疑問点が多々ありますから、これまでの情報公開では十分でないと思っています。
    以上の状態では「情報公開条例」は、名ばかりであり、「証拠隠滅後公開条例」と改名するべきでしょう。大阪府情報公開審査会の責任は重大です。
    大阪府が姑息な手段を取らず事実を公表するよう指導すべきです。

第五 実施機関の主張要旨

1 本件異議申立て1について

本件異議申立て1に係る、実施機関の弁明書(以下本件異議申立て1に係る実施機関の弁明書を「弁明書1」という。)における主張は、次のとおりである。

(1)異議申立人は、異議申立人の所有地である枚方市地名Q地番bの土地(以下「異議申立人所有地」という。)と、隣接する実施機関が昭和23年に府有施設用地として取得した同町地番aの元府有地(以下「本件土地」という。)に関して、下記の疑義を究明するため、その理由が分かる文書について本件請求1を行った。
疑義の内容
  • ア 昭和47年10月に実施機関と締結した「土地境界確定協議書」(以下「47.10土地境界確定協議書」という。)と同年12月締結の「土地賃貸借契約書」の添付図面及び昭和49年8月に実施機関が作製した「地積測量図」(以下「49.8地積測量図」という。)に辺長1.56mの相違がある。
  • イ 実施機関が過去3回行った分筆登記等の地積測量図には、それぞれ、形状・方位等に誤差(相違)がある。また、その登記手続にも不明な点が多々ある。
  • ウ そもそも、本件土地の従前の小字名(地名O)からすると、異議申立人所有地と隣接する位置関係にはない。
(2)実施機関は、本件請求を受け、本件土地と異議申立人所有地について調査を行った。
ア「地図混乱地域」
  • (ア)本件土地と異議申立人所有地は、法務局に備え付けられている土地の位置、地番等を公証する地図、いわゆる「公図」と現況の位置関係等が広範囲に著しく相違する、いわゆる「地図混乱地域」内にある。
  • (イ)一般的な登記実務では、表示登記の際に作成される図面と「公図」が相違する場合は、法務局から「公図」の訂正を求められる。
  • (ウ)ただし、関係する土地所有者が相当数に及び「公図」の訂正の手続きが事実上できない場合などは、法務局(登記官)の判断(裁量)により、これと異なる取扱いとなる場合がある。
イ 本件土地の分筆登記等
  • (ア)実施機関は、売払い処分等のため昭和38年、49年及び平成13年の3回、分筆登記等を行っている。
    本件土地については、実施機関が所有権移転登記を受ける前に、前所有者が申請者となって、昭和23年に誤謬訂正(地積更正)登記を行っている。
  • (イ)昭和38年、49年の分筆登記等にかかる関係書類を調査したが、当該文書は確認できなかったため、法務局とどのような協議を経て、登記手続きがなされたのかその詳細は不明。
  • (ウ)平成13年の分筆登記等については、隣接土地所有者との境界確定、さらに、「公図」上の隣接関係にある土地所有者の不隣接証明の同意書を得ることにより、「公図」の訂正を行わず登記を行っている。
    ※この登記の手法は関係者間では、俗称「枚方方式」といわれている。
  • (エ)平成13年時の登記では、隣接土地所有者と境界確定を行ったが、異議申立人については立会い等の協力が得られなかったため、異議申立人所有地については、47.10土地境界確定協議書(辺長1.56mの表記あり)が添付されている。
ウ 本件土地と異議申立人所有地の境界の確定等
  • (ア)本件土地と異議申立人所有地は、長年、境界が確定しなかったが、昭和47年10月に実施機関と異議申立人の父親との間で47.10土地境界確定協議書を締結、同年12月に本件土地のうち約146平方メートルの土地の賃貸借契約を締結している。
  • (イ)これにより、[1]本件土地と異議申立人所有地は隣接する位置関係にあること、[2]本件土地と異議申立人所有地が接する部分の土地範囲、[3]異議申立人の父親に本件土地の一部を賃貸借すること、この3点が実施機関と異議申立人の父親との間で確認された。
  • (ウ)同賃借地は平成18年11月に異議申立人の母親に売払いを行っている。
エ 本件土地の分筆等の経緯
  • 昭和23年 地番aを府有施設用地として取得
  • 昭和38年 地番aから地番fを分筆
    地番aを隣接土地所有者に売り払い
  • 昭和49年 地番fから地番d、地番h、地番iを分筆
    <地番h、地番iは異議申立人の父親への賃貸地部分>
    <地番fは私道部分>
  • 平成13年 地番fから地番eを分筆
    地番dを地積更正
  • 平成15年 地番d、地番eを不動産業者に売り払い
  • 平成18年 地番f、地番h、地番iを異議申立人の母親に売り払い

※なお、平成15年に地番d、地番eを取得した不動産業者が、地番jから地番kまでの分筆登記を行っている。

(3)実施機関は、本件請求1に対応する行政文書について、その存否を調査した。
  • ア 異議申立人が請求した誤差の理由・説明文書については、その存否が確認できなかった。
  • イ 昭和38年、49年の分筆登記等の関係文書のうち、47.10土地境界確定協議書については、当該年度の文書には綴じられておらず、他の文書も調査したが写ししか確認できなかった。
  • ウ 登記嘱託の文書については、文書自体の保有が確認できなかった。また、関係文書である法務局や隣接土地所有者等との協議、調査記録といった文書も確認できなかった。
  • エ 保有が確認できた平成13年の登記関係文書では、47.10土地境界確定協議書の「1.56」の追記(訂正)が確認されるため、当時の関係文書を調査したが、該当する文書は確認できなかった。
  • オ さらに、上記年度以外についても調査したが、該当する文書の存否は確認できなかった。
(4)実施機関は、上記(3)の調査の結果、請求に係る直接的な文書の確認ができなかったため、対象文書を幅広くとらえ、現に保有・管理する文書のうち、本件請求1の請求内容と関連、参考となる文書を対象文書とし、下記文書の一部を公開することとした。
ア「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」

1.56mの誤差及び分筆図(地積測量図)の誤差の理由等がわかる文書ではないが、当該土地の分筆・地積更正登記に関し、現に保有する書類であることから、関連・参考となる文書として対象文書とした。
なお、本文書は平成13年2月の分筆登記等にかかる決裁文書である。

イ「地図及び登記内容の解析」

本文書は、本件土地の取得や分筆の経緯等について、数種の資料が添付され詳細な調査分析がなされているため、請求内容に関連・参考となる文書として対象文書とした。
なお、本文書は平成12年度に(社)大阪公共嘱託登記土地家屋調査士協会(以下「土地家屋調査士会」という。)に業務委託した報告書の一部である。

ウ「地図誤謬訂正申請」

昭和23年5月の誤謬訂正の登記に関する文書として、実施機関が保有管理文書として確認できたため、イの文書と重複するが開示した。
なお、異議申立人及びその父親と本件土地をめぐって、昭和36年以降、交渉事項が断続的に発生しており、その都度、作成された文書が断片的に課内書庫に保有・管理されており、本文書はその一部である。

(5)部分公開決定について
ア 公開しないことと決定した部分
  • (ア)土地家屋調査士(個人事業者)作製図面の印影
  • (イ)実施機関と締結の文書(土地境界確定協議書)等における個人の印影
  • (ウ)個人の土地の経緯、売買代金等、個人のプライバシーに関する部分
イ 公開しない理由
  • (ア)個人事業者の印影を公にすることにより、当該個人事業者の取引の安全を害するなど、当該個人事業者の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められることから、条例第8条第1項第1号に該当。
  • (イ)印影、売買代金等は、個人が識別される個人のプライバシーに関する情報であり、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められることから、条例第9条第1号に該当。また、個人の土地の経緯については、法務局等にて閲覧等に供されている情報ではなく、その内容も所有者のみが知りうるものなどから、一般に他人に知られたくないと望む情報であり、条例第9条第1号に該当。
(6)結論

本件請求1の対象である文書は、異議申立人が請求した誤差の理由・説明文書であるため、誤差を是正処理した文書、あるいは相違の経緯等を調査した文書等について、請求に対応する文書が作成されていたか否かを含め、その存否を調査したが確認できなかった。しかし、異議申立人の本件請求1に少しでも応えられるよう、対象文書を幅広くとらえ、関連、参考となる文書を積極的に選定し公開したものである。
また、公開しないことと決定した部分は、条例第8条第1項第1号及び条例第9条第1号に該当するものである。
よって、本件決定1は、条例の規定及び異議申立人からの本件請求1の請求内容に基づき適正に行われたものであり、何ら違法又は不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

2 本件異議申立て2について

本件決定2に係る、実施機関の弁明書(以下本件異議申立て2に係る実施機関の弁明書を「弁明書2」という。)における主張は、次のとおりである。

(1)上記1(1)及び(2)に同じ
(2)実施機関は、本件請求2に対応する行政文書について、その存否を調査した。
  • ア 本件請求2の請求事項は6項目に及び、その内容は前2回の行政文書公開請求(受付番号第798号及び本件請求1)と同様の事項又は、前2回の部分公開決定において一部を公開することと決定した行政文書に対する疑義等についての説明、証明を求める内容となっている。
  • イ 行政文書公開制度は、請求者からの説明、証明の求めに応じ、説明等の文書を作成しこれを公開するものではなく、現に保有、管理する文書から本件請求2の請求内容に該当する文書を公開するものである。
  • ウ このため、本件請求2に係る対象文書の大半は既公開文書と重複するが、異議申立人の意向により、既公開文書も対象文書とした。
(3)実施機関は、上記(2)の調査の結果、本件請求2に係る直接的な文書だけではなく、対象文書を幅広くとらえ、本件請求2の請求内容と関連、参考となる文書を対象文書とし、既公開文書も含め、下記文書を部分公開することとした。
ア 答申別紙2の項目1、2の対象文書

「土地境界確定協議書」、「境界に関する詳細にわたる書類」、「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」、

  • 請求内容は、異議申立人所有地と本件土地との隣接関係の証明文書である。
  • 本件土地は、地図混乱地域内にあり、公図にて位置関係を公証することはできない。
  • また、公図に代わる客観的に証明できる文書について、その存否が確認できなかった。
  • このため、対象文書を幅広くとらえ、異議申立人所有地と本件土地が隣接関係にあることを確認した、47.10土地境界確定協議書及び本件土地の境界等に係る関係文書を請求内容に関連、参考となる文書として対象文書とした。ただし、47.10土地境界確定協議書は原本が確認できないため、公開したものは昭和47年12月に締結した土地賃貸借契約の決裁文書に添付されている写しである。
  • さらに、現況において土地境界(筆界)が確定していることを示すために、平成13年2月の分筆・地積更正登記に係る決裁文書を対象文書とした。
イ 答申別紙2の項目3の対象文書

「地図及び登記内容の解析」、「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」

  • 請求内容は、47.10土地境界確定協議書と土地賃貸借契約書の添付図面との1.56mの誤差(相違)について、その理由等が分かる説明文書である。
  • 1.56mの誤差及び分筆図(地積測量図)の誤差の理由等がわかる直接的な文書での存否について確認できなかったが、本件土地の分筆・地積更正登記に関する文書及び本件土地の取得や分筆の経緯等に関する文書であることから、請求内容に関連、参考となる文書として、土地家屋調査士会に業務委託した報告書及び平成13年2月の分筆・地積更正登記に係る決裁文書を対象文書とした。
ウ 答申別紙2の項目4の対象文書

「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」

  • 請求内容は、本件土地の地積更正登記に関するものであるため、平成13年2月の分筆・地積更正登記に係る決裁文書を対象文書とした。
エ 答申別紙2の項目5の対象文書

「地図及び登記内容の解析」、「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」

  • 本件請求2は、平成13年2月に実施機関が行った分筆・地積更正登記が、異議申立人の(境界)同意がなく行われたことについて、その登記手法である「枚方方式」に関する説明等を求める請求である。
  • 「枚方方式」に関する説明文書ではないが、請求内容に関連、参考となる文書として、土地家屋調査士会に業務委託した報告書を対象文書とした。
  • また、当該登記手続きについては、平成13年2月の分筆・地積更正登記に係る決裁文書を対象文書とした。
オ 答申別紙2の項目6の対象文書

「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」、「現場写真」、「元府有施設敷地多角境界点網図」

  • 本件請求2は、平成15年5月の本件土地の一部の売払いのために行った、境界杭の位置確認等の疑義に関する回答を求める請求である。
  • 当該売払いのために行った、平成13年2月の分筆・地積更正登記に係る決裁文書を対象文書とした。
  • 境界杭の位置が不明とする写真については、位置関係が分かる別写真と境界杭の位置関係が分かる図面を対象文書とした。
(4)部分公開決定について
ア 公開しないことと決定した部分
  • (ア)土地家屋調査士(個人事業者)作製図面の印影
  • (イ)実施機関と締結の文書(土地境界確定協議書)等における個人の印影
  • (ウ)現場写真における個人の肖像
  • (エ)個人の土地の経緯、売買代金等、個人のプライバシーに関する部分
  • (オ)個人所有の土地の境界等に関する詳細にわたる書類
イ 公開しない理由
  • (ア)個人事業者の印影を公にすることにより、当該個人事業者の取引の安全を害するなど、当該個人事業者の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められることから、条例第8条第1項第1号に該当。
  • (イ)印影、売買代金等は、個人が識別される個人のプライバシーに関する情報であり、一般に他人に知られたくないと望むことが正当である認められることから、条例第9条第1号に該当。また、個人の土地の経緯等については、法務局等にて閲覧等に供されている情報ではなく、その内容も所有者のみが知りうるものなどから、一般に他人に知られたくないと望む情報であり、条例第9条第1号に該当。
(5)結論
  • ア 本件決定2は、本件請求2に係る直接的な文書だけではなく、異議申立人の本件請求2に少しでも応えられるよう、対象文書を幅広くとらえ、関連、参考となる文書を積極的に選定し公開したものである。
  • イ 公開しないことと決定した部分は、条例第8条第1項第1号及び条例第9条第1号に該当するものである。
  • ウ 異議申立書の「異議申立ての理由」欄に記載されている「昭和37年の訴状が存在するにもかかわらずその後の文書」及び「約10年にわたる裁判記録一件及び前後の議事録」については、本件請求2の内容に記載されていなかった。
    よって、本件決定2は、条例の規定及び異議申立人からの本件請求2の内容に基づき適正に行われたものであり、何ら違法又は不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

3 本件異議申立て3について

本件異議申立て3に係る、実施機関の弁明書(以下、本件異議申立て3に係る実施機関の弁明書を「弁明書3」という。)における主張は、次のとおりである。

(1)上記1(1)に同じ
(2)本件請求3に係る文書の所在調査

本件請求3に対応する行政文書は、昭和49年11月に分筆登記を行った際に担当者が作成した起案文書及び登記嘱託書(登記済証)である。
実施機関は、本件請求3を受け昭和49年11月に実施機関が行った本件土地の分筆登記の起案文書及び登記嘱託書の綴りの所在調査を行ったが、昭和49年度の登記嘱託書綴りは、実施機関において現に保有管理されていなかった。
しかし、同嘱託登記において作成され、法務局にて閲覧に供されている「地積測量図」(49.8地積測量図)、「土地所在図」の保存管理が確認できたため、これを開示したものである。
昭和49年度当時の大阪府文書規程(昭和28年4月1日大阪府訓令第10号)により、当該文書の保存期間は永年とされていたが、平成5年4月1日に大阪府文書管理規程(昭和57年5月31日大阪府訓令第25号)の規定に基づく文書の保存期間の改正(以下「平成5年文書保存期間改正」という。)により、永年の区分が全廃され、改めて長期の区分が設定された。
この見直しの際、当該文書を長期保存としたか、あるいは利用価値がなくなったと判断し、廃棄処分としたかについては、現時点では不明である。また、仮に平成5年の見直しの際に長期保存としたとしても、再度の見直し時期を11年としていた場合、その時期到来後の平成15年度末、改めて見直しを行った結果、廃棄処分とした可能性も否定できない。いずれの時期に廃棄したとしても、当時の廃棄票の保存期間が3年であったことから、廃棄の時期は特定できない。
ただし、本件請求3の対象文書を特定するため、行政文書管理システムの簿冊検索及び長期保存文書を管理している夕陽丘書庫に出向いて検索した結果、類似の登記嘱託綴りは、昭和49年度以前のものは概ね廃棄されており、昭和50年度以降のものは概ね保存されていることが確認できた。保存されている文書の保存期間を見ると、長期保存で35年とされており、この保存期間は平成15年度に導入された行政文書管理システムで入力可能な長期保存の最長の期間である35年間と符合することから、平成15年度に何らかの文書保存の見直しが行われ、昭和49年度以前の文書は廃棄されたのではないかとも推測される。

(3)当該文書不存在に係る説明

実施機関においても本件請求3にかかる文書は、異議申立人が有する疑義の解明に資する文書であると認識しており、当初から当該文書の存否の調査をしたが、その所在が確認できなかった。このことについては、異議申立人に再三説明しているが、残念ながらご理解を得ることは出来なかった。

(4)本件土地の分筆等の経緯

上記1(2)エに同じ

(5)結論
  • ア 実施機関は、異議申立人からの本件請求3を含む一連の行政文書公開請求に関しては、本件請求3に係る直接的な文書だけではなく、対象文書を幅広くとらえ、関連、参考となる文書を積極的に選定し公開してきた。
  • イ したがって、本件請求3に係る文書が実施機関において現に保有管理されていれば、本件請求3以前の請求において既に公開している。このことは、平成23年8月30日付け財活第1615号にて、同類文書である平成13年の登記嘱託に係る起案文書「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」を開示していることからも明らかである。
  • ウ よって、本件決定3は、条例の規定及び異議申立人からの本件請求の内容に基づき適正に行われたものであり、何ら違法又は不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

第六 審査会の判断

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。
このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第2条第1項に規定する行政文書に記録されている場合には、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。

2 本件異議申立て1について

(1)本件請求1の趣旨について

本件請求1の記載内容からすると、異議申立人が請求する文書は、[1]昭和38年1月に分筆された後の枚方市地名Q地番f(以下「本件土地2」という。)の土地について、実施機関と異議申立人父親が締結した47.10土地境界確定協議書に添付された図面とその後の地積測量図とに、誤差南北1.56mが生じていることの理由の説明となる文書、[2]昭和23年5月19日付けの枚方市地名Q地番aの地積誤謬申請書(以下「23.5.19地積誤謬申請書」という。)、昭和38年1月19日付け分筆図(以下「38.1.19分筆図」という。)、昭和49年11月18日付け分筆図(昭和49年11月18日に分筆登記された際の書面は、49.8地積測量図である。)の3つの書類に誤差がある理由の説明となる文書、の2つであると解される。

(2)実施機関の本件決定1の対象文書の特定及び現存しない文書について
ア 実施機関は弁明書1において、これらの請求に係る直接的に対象となりうる文書の確認ができなかったため、対象文書を幅広くとらえ、現に保有・管理する文書のうち、本件請求1と関連・参考となる文書を対象文書とし決定したと主張する。実施機関説明において、これを補充するべく、以下のとおり説明している。
  • (ア)本件請求1中に記載された、47.10土地境界確定協議書は、本件土地を昭和38年に分筆した本件土地2と異議申立人所有地との間の境界について、実施機関と異議申立人父親が締結した当時2通原本として作成されたはずであるが、現存しない。また、38.1.19分筆図、49.8地積測量図が綴られていると考えられる、当時の分筆等の登記嘱託書綴りも現存しない。
    異議申立人が本件請求1に記載した、1.56mの誤差とは、実施機関が保有する47.10土地境界確定協議書の写しには、上記の1.56mの記載がされており、異議申立人が保有する47.10土地境界確定協議書の写しには、1.56mの記載がないことを指していると考えられるが、この理由がわかる文書は本来存在しないものと考えられる。
    また、23.5.19地積誤謬申請書、38.1.19分筆図及び49.8地積測量図の3つの書類の間の誤差を説明する文書も存在しない。
    よって、現に保有・管理する文書のうち、次の本件請求1と関連・参考となる、次の(イ)から(エ)までの3文書を対象文書とし決定した。
  • (イ)「分筆及び地積更正等嘱託について(伺い)」を対象文書としたことについて
    47.10土地境界確定協議書の写しを含む、「分筆及び地積更正等嘱託について(伺い)」を、本件土地2の分筆及び地積更正に関して現に保有する書類であることから関連・参考となる文書と考え、対象文書として開示した。この文書は、昭和49年11月に本件土地2を分筆して登記した後の、枚方市地名Q地番f(以下「本件土地3」という。)を分筆するとともに、昭和49年11月に本件土地2を分筆して登記した後の同町地番d(以下「本件土地4」という。)について地積更正するため、平成13年2月に起案されたものである。
  • (ウ)「地図及び登記内容の解析」を対象文書としたことについて
    この文書は、平成13年2月実施の本件土地3の分筆及び本件土地4の地積更正のために、実施機関が土地家屋調査士会に委託して報告を求めた文書の一部である。
    実施機関は、この文書を、本件土地の取得や分筆の経緯等について、数種の書類が添付され、詳細な調査分析がなされているため、請求内容に関連・参考になるものと考え、対象文書として開示した。
  • (エ)「地図誤謬訂正申請」を対象文書としたことについて
    「地図誤謬訂正申請」とは、昭和23年5月19日付けでC氏により地図誤謬訂正申請がなされた、23.5.19地積誤謬申請書のことである。23.5.19地積誤謬申請書は、異議申立人の父親との本件土地をめぐる交渉経過の書類の中に保存されていたため、これを対象文書として開示した。
イ 実施機関は、[1]47.10境界確定協議書の原本は存在しない、[2]38.1.19分筆図、49.8地積測量図等を綴っていると考えられる当時の登記嘱託書綴りは存在しない、と現存しない文書がある旨を主張するため、当審査会は、実施機関の保有する文書の見分を行い、実施機関に文書の保存について説明を求めた。
  • (ア)当審査会は、本件土地及び異議申立人所有地に関連する以下の簿冊を見分した。
    (当審査会が見分した文書(簿冊))
    • 昭和47年度境界協議書綴No.1
    • 昭和47年度境界協議書綴No.2
    • 昭和47年度境界協議書綴No.3
    • 昭和47年不動産賃貸借契約書綴
    • 昭和36から47まで年度枚方市地名R土地明渡等請求事件
    • 平成12年度 登記嘱託綴(処理推進)簿冊枝番その2 No.2
    • 平成15年度 売払い原義綴り(管財2)
    • 平成15年度 管財第1782号「元府有施設敷地(枚方市地名Q地番d)に関する資料の提供について」
    • 平成18年度 売り払い原義綴り(財産2)
  • (イ)上記[1]及び[2]に係る文書が存在しないことについて実施機関の説明を求めたところ、以下のとおりであった。
    • a 47.10土地境界確定協議書について
      この文書が保存されているべき簿冊は、「昭和47年度境界協議書綴No.1」、「昭和47年度境界協議書綴No.2」、「昭和47年度境界協議書綴No.3」のうちいずれかであるが、いずれの簿冊の目次欄にも、異議申立人所有地と本件土地2との境界について締結した47.10土地境界確定協議書にかかる記載はない。
      これら3件の簿冊は、平成34年度末(平成35年3月31日)を保存期間満了年度として、「長期」保存している文書である。
      実施機関は、47.10土地境界確定協議書締結の直後である昭和47年12月27日に、本件土地2の一部の賃貸借契約を締結していたこと、上記(ア)記載の昭和47年度の3冊の土地境界確定協議書綴りの文書目録にも47.10土地境界確定協議書の記載がないことなどからすると、47.10土地境界確定協議書の原本は異議申立人父親との本件土地2の一部の賃貸借契約締結に向けての交渉協議に使用され、本来綴られるべき簿冊に綴られることなく、紛失したものと考えられる。
    • b 38.1.19分筆図、49.8地積測量図等を綴っていると考えられる、当時の登記嘱託書綴りについて
      実施機関は、本件請求1を受け昭和38年1月及び昭和49年11月に府が行った本件府有地の分筆登記の起案文書及び登記嘱託書綴りの捜索を行ったが、発見することができなかった。
      当時の大阪府文書規程(昭和28年4月1日大阪府訓令第10号)に基づく、文書の保存期間の基準では、当該文書の保存期間は「永年」とされていたが、平成5年4月1日に大阪府文書管理規程(昭和57年5月31日大阪府訓令第25号)の規定に基づく文書の保存期間の基準の改正(以下「平成5年文書保存期間改正」という。)により、「永年」の区分が廃止され、10年を超える保存期間として改めて「長期」の区分が設定された。
      この見直しの際、長期保存としたか廃棄処分としたかは不明であるが、長期保存文書は、10年を超えた時点で廃棄又は必要があれば一定の期間、保存期間の延長を行うこととなっているため、長期保存としたとしても、11年後の平成15年度末を再度の見直し時期とし、平成15年度末に改めて見直しをした結果廃棄処分とした可能性も否定できない。いずれの時期に廃棄したとしても、当時の廃棄票の保存期間は5年間であり、廃棄の時期を特定することはできなかった。
      書庫や行政文書管理システムに登録された簿冊を捜索した結果、登記嘱託綴は、昭和49年度以前のものは概ね廃棄されており、昭和50年度以降のものは概ね保存されていることが確認できた。現在、保存されている簿冊を見ると、「長期」の区分で35年間の保存期間とされており、この保存期間は平成15年度に導入された行政文書管理システムで入力可能な長期保存の最長期間と符合することから、平成15年度に何らかの見直しが行われ、昭和49年度以前の文書は廃棄されたのではないかとも推測される。
      弁明書3中、廃棄票の保存期間は3年間であるとの記載については、平成10年7月14日付け法第75号「『文書分類表及び文書の保存期間の基準』の改正について(依命通達)」及び平成12年5月18日付け法第90号「『文書分類表』及び『行政文書の保存期間の基準に係る実施細目』の制定について」を確認したところ、廃棄票の当時の保存期間は5年であると判明したため、廃棄票の保存期間を5年に訂正する。
    • c 文書及び簿冊の捜索について
      上記[1]及び[2]の文書及び簿冊については、140回以上の書庫の捜索を行い、執務室内の対象文書については、数か月かけて確認を行った。異議申立人が個人情報開示請求を行うごとに、実施機関は鋭意文書の捜索に努めたが、確認しえなかったものである。
ウ 実施機関における行政文書の保存及び廃棄に関する規則等について
  • (ア)実施機関における行政文書の管理は、現在、大阪府行政文書管理規則(平成14年12月27日大阪府規則第122号。以下「文書規則」という。)及びその細目を定める大阪府行政文書管理規程(平成14年12月27日大阪府訓令第39号。以下、「文書規程」という。)によって行われている。
    現在、大阪府行政文書の保存期間については、文書規則別表に定める基準に従い文書管理者が定めることとされており(文書規則第17条第1項本文)、保存期間が満了するときは、あらかじめ、文書管理者が廃棄の決定を行った上で、保存期間満了後速やかに処分すると定められている(文書規則第18条第1項及び第2項)。
    現行の文書規則によれば、行政文書の保存期間については長期、10年、5年、3年、2年、1年の6つの区分が定められている。長期とは10年を超える保存期間とされており、この長期保存の文書については、保存期間を満了した後、保存期間の延長が必要なときは、最長10年までの期間を定めて保存期間の延長を行う、又は廃棄の決定を行うこととされており、延長の回数に制限は設けられていない。
    なお、現在、行政文書管理システムにおける簿冊管理においては、長期として設定できる最長の期間は35年となっている。
  • (イ)「公有財産の得喪、変更、処分」に関する行政文書の保存期間については、大阪府文書規程(昭和57年5月31日大阪府訓令第25号)第15条第2項の規定による「文書分類表及び文書の保存期間の基準」により、「永年」の区分で保存されていたが、平成5年文書保存期間改正により、「永年」の区分が廃止され、上記の行政文書については、「長期」の区分で保存することとされている。
エ 本件決定1の対象文書の特定の妥当性について

異議申立人は、実施機関が平成13年の分筆及び地積更正の際に改ざんをした土地境界確定協議書を添付するなど違法行為を続けており、本件土地に関連する文書を全て公開されるべき等の主張をしているが、本件請求1の直接的に対象となりうる文書で現存しない文書が存在しないとする実施機関の説明に不自然な点はなく、実施機関が本件文書の特定にあたり、文書を隠ぺいしている等と考えられる特段の事情は認められない。
よって、本件請求1に係る直接的な文書の確認ができなかったため異議申立人の請求趣旨を汲んで、本件請求1の請求内容と関連・参考となる文書を対象文書として特定したとする実施機関の主張には一定の合理性が認められ、実施機関の本件行政文書1の特定は妥当である。

(3)本件非公開部分1について

実施機関が非公開とした部分について、異議申立人は、個人所有の土地の経緯は公図の整合性を説明する必要がある場合には公開すべきである旨等主張しているので、実施機関の決定の妥当性について以下検討する。

ア 条例第8条第1項第1号について

事業を営む者の適正な活動は、社会の維持存続と発展のために尊重、保護されなければならないという見地から、社会通念に照らし、競争上の地位を害すると認められる情報その他事業を営む者の正当な利益を害すると認められる情報は、営業の自由の保障、公正な競争秩序の維持等のため、公開しないことができる、とするのが本号の趣旨である。
同号は、

  • (ア)法人(国、地方公共団体、独立行政法人等、地方独立行政法人、地方住宅供給公社、土地開発公社及び地方道路公社その他の公共団体を除く。)その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、
  • (イ)公にすることにより、当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの(人の生命、身体若しくは健康に対し危害を及ぼすおそれのある事業活動又は人の生活若しくは財産に対し重大な影響を及ぼす違法な若しくは著しく不当な事業活動に関する情報を除く。)

が記録された行政文書は公開しないことができる旨定めている。
本号の「競争上の地位を害すると認められるもの」とは、生産技術上又は営業上のノウハウや取引上、金融上、経営上の秘密等公開されることにより、公正な競争の原理に反する結果となると認められるものをいい、「その他正当な利益を害すると認められるもの」とは、公開されることにより、事業を営む者に対する名誉侵害や社会的評価の不当な低下となる情報及び団体の自治に対する不当な干渉となる情報等必ずしも競争の概念でとらえられないものをいうと解されるが、これらの具体的な判断に当たっては、当該情報の内容のみでなく、当該事業を営む者の性格や事業活動における当該情報の位置づけ等も考慮して、総合的に判断すべきである。

イ 条例第8条第1項第1号該当性について

本件非公開部分1中、条例第8条第1項第1号により非公開とした部分は、答申別紙1記載の「個人事業者の印影」であり、これは個人事業者が契約等を行うに際し作成した文書の責任を明らかにするものとして重要な意義を有しており、上記ア(ア)の要件に該当する。
また、個人事業者の印影は、当該印影が現に公表され、又は公表することが慣行となっているなど特段の事情がない限り、一般的には専ら当該個人事業者が管理すべき情報である。これを公開することにより、印章偽造等の不正使用を誘発し、虚偽の契約書等の作成が容易になるなど、当該個人事業者の正当な利益を害するおそれがあると認められるところ、本件個人事業者の印影については、当該印影が現に公表され、又は、公表することが慣行となっているなどの特段の事情は認められないから、上記ア(イ)の要件にも該当する。よって、当該部分について実施機関の決定は妥当である。

ウ 条例第9条第1号について

条例は、その前文で、府の保有する情報は公開を原則としつつ、併せて、個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護する旨を宣言している。また、第5条において、個人のプライバシーに関する情報をみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨規定している。
本号は、このような趣旨を受けて、個人のプライバシーに関する情報の公開禁止について定めたものである。
同号は、

  • (ア)個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報であって、
  • (イ)特定の個人が識別され得るもののうち、
  • (ウ)一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる

情報が記録された行政文書については公開してはならないと定めている。
そして、「個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報」とは、個人のプライバシーに関する情報を例示したものであり、「特定個人が識別され得る」情報とは、当該情報のみによって直接特定の個人が識別される場合に加えて、容易に入手し得る他の情報と結びつけることによって特定の個人が識別され得る場合を含むと解される。
また、「一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる」情報とは、社会通念上、他人に知られることを望まないものをいうと解される。

エ 条例第9条第1号該当性について

本件行政文書1のうち、条例第9条第1号を適用して公開しないことと決定した箇所のある文書は、平成13年2月起案の「分筆及び地積更正等嘱託について(伺い)」及び「地図及び登記内容の解析」である。このうち、条例第9条第1号を適用して公開しないことと決定した部分は、答申別紙1記載の、個人所有の土地の経緯等、個人の印影、個人所有の土地の賃貸価格等である。
これらの情報の条例第9条第1号該当性について、以下検討する。

  • (ア)「個人所有の土地の経緯等」について
    • a「個人所有の土地の経緯等」として公開しないことと決定した部分について
      本件決定1において条例第9条第1号に該当するとして、公開しないことと決定した「個人所有の土地の経緯等」には、本件土地の隣接土地に関する記載や、上記2文書が作成された時点で現存しないにもかかわらず登記簿上存在している土地について、その土地の所有関係の変遷や、登記が変更されていない理由等の個別具体的事情の記載がなされている。
      これらの記載の中には、[1]登記簿上明らかにならない個人の氏名及び住所、[2]ある個人が土地を所有又は売却することになった理由、[3]ある土地について登記が変更されていない理由、[4]占有等登記簿上明らかにならない土地に関する情報等、[5]本件土地に関する訴訟の証人調書、といった情報が含まれている。
    • b 上記a記載の[1]から[4]までの情報について
      これらの情報は、上記ウ(ア)、(イ)の個人の財産等にかかる情報であって、個人が特定されうる情報である。また、これらの情報は登記簿に記載されておらず法務局等で閲覧に供されていない、通常公表されない個人の財産に関する情報であって、一般的に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるから、上記ウ(ウ)に当たるため、条例第9条第1号に該当する。
    • c 上記a記載の[5]証人調書について
      証人調書に記載された情報は、条例第9条第1号に該当するとして、全て公開しないことと決定されている。当審査会がこの文書を見分したところ、証人の住所、氏名、年齢及び職業、関係者である個人の氏名、土地の位置関係等によって個人が特定されうる情報は条例第9条第1号に該当するが、これらの情報を除いた他の部分については個人が特定されうることがないため、同号には該当しない。
  • (イ)「個人の印影」について
    個人の印影については、個人が特定される情報であり、一般に他人に知られたくないと望むことが正当である情報であると認められるから、条例第9条第1号に該当する。
  • (ウ)「個人所有の土地の賃貸価格等」について
    当審査会が「個人所有の土地の賃貸価格等」として非公開とした部分を見分したところ、売買金額、手付金の額、賃貸価格及び等級金額が記載されていた。
    これらの情報は上記ウ(ア)、(イ)の個人の財産に関する情報であって、個人が特定されうる情報である。これらの情報は、通常公にされることの予定されていない情報であって、上記ウ(ウ)の、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる情報であるから、条例第9条第1号に該当する。
(4)結論

よって、本件決定1により、条例第9条第1号に該当するとして実施機関が非公開とした部分のうち、「個人の土地の経緯等」に含まれるものとして全部非公開とされた「証人調書」については、証人の住所、氏名、年齢及び職業、関係者である個人の氏名、土地の位置関係等によって個人が特定されうる情報(答申別紙4に記載)を除く部分については公開すべきである。その他の部分にかかる実施機関の決定は妥当である。

3 本件異議申立て2について

(1)本件請求2の趣旨について

本件請求2の記載内容からすると、異議申立人が請求する文書は、以下のとおりであると解される。

  • ア 昭和23年に実施機関が購入した本件土地について、異議申立人所有地と隣接しないはずであるのに隣接することとなったことを証明する文書
  • イ 38.1.19分筆図がどの地積測量図とも形状・方位が異なっており、本件土地2が異議申立人所有地と隣接することを証明することができる文書、および本件土地2と異議申立人所有地がどの位置で隣接するか証明する文書
  • ウ 昭和47年12月27日付け賃貸借契約書(以下「47.12賃貸借契約書」という。)添付の地積測量図(昭和47年11月1日作製)(以下「47.11.1地積測量図」という。)は、47.10土地境界確定協議書添付の平面図より南北で1.56m、借地面積が20平方メートル以上大きくなっている理由等の説明文書
  • エ 49.8地積測量図記載のある「地積更正」について、地積更正をした部分が分かる文書及び地積更正の手続きの中で隣地の同意を取った証明書類
  • オ 平成13年2月23日申請の地積更正について、本件土地4が異議申立人所有地に隣接するのであれば、地積更正には隣地の同意が必要であるが、異議申立人の同意なしに地積更正していたとすれば、公文書偽造とも考えられるため、当該地積更正手続きの適正を証明する書類(「枚方方式」の存在の有無を含める)。
  • カ 平成15年5月27日に法人Kへ売却した際の境界杭の位置確認の仕方を説明する文書、及び平成16年1月15日撮影の写真(K-16)の境界杭の位置を説明する文書
(2)本件決定2の対象文書の特定及び現存しない文書について
  • ア 実施機関は弁明書2において、これらの請求に係る直接的に対象になりうる文書だけでなく、対象文書を幅広くとらえ、現に保有・管理する文書のうち、本件請求2と関連・参考となる文書を対象文書とし、決定したと主張する。実施機関説明においては、これを補充するべく、以下のとおり説明している。
    • (ア)上記(1)ア、イの対象文書について
      異議申立人は、上記(1)ア、イの請求においては、異議申立人所有地と本件土地が隣接関係にあったことを証明する文書を求めているが、この地区は地図混乱地域にあるから公図でも証明できず、客観的に証明する文書は存在しなかった。よって、答申別紙2記載のとおり、異議申立人所有地と本件土地とが隣接関係にあることを確認した[1]47.10土地境界確定協議書の写し、[2]「境界に関する詳細にわたる書類」として、本件土地に係る訴訟記録の一部である訴状、準備書面、不動産仮処分命令申請、[3]平成13年2月に行った本件土地3の分筆及び本件土地4の地積更正に関する意思決定の書類である「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」を対象文書として特定し決定した。なお、[2]の訴状、準備書面、不動産仮処分命令申請については、「枚方市地名R土地明渡等請求事件」と題された、実施機関と異議申立人父親との間の本件土地に関する訴訟記録で現存する唯一の簿冊の中から、上記(1)ア、イの請求の対象文書となりうると考えられる文書を特定して決定したものである。
    • (イ)上記(1)ウの対象文書について
      異議申立人が主張する南北1.56m、借地面積が20平方メートル以上の誤差というのは、異議申立人が保有する47.10土地境界確定協議書添付の図面には、1.56mの数字の記載がないが、実施機関と異議申立人父親とが締結した47.12賃貸借契約書添付の47.11.1地積測量図には、1.56mの記載があり、借地面積が20平方メートル異なっているという趣旨であると考えられる。この誤差の理由を説明する文書を公開することを求めるとしているが、実施機関が保有する47.10土地境界確定協議書添付の図面には、1.56mの数字の記載はあり、この理由が分かる文書というのは本来存在しないものと考えられる。
      なお、47.10土地境界確定協議書の原本は存在しない。
      よって、[1]本件土地の取得や分筆の経緯等が記載された、実施機関が本件土地3の分筆及び本件土地4の地積更正を行うにあたり、土地家屋調査士会に業務委託した報告書である「地図及び登記内容の解析」、及び[2]上記(ア)[3]記載の「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」を、答申別紙2記載のとおり、対象文書として特定し公開した。
    • (ウ)上記(1)エの対象文書について
      49.8地積測量図の時点で地積更正が行われていたとしても、これが綴られていると考えられる昭和49年度の分筆や地積更正等の登記嘱託にかかる簿冊は現存しない。昭和49年度の分筆及び地積更正にかかる文書については、保存期間の経過により、廃棄したものと考えられる。
      よって、上記(ア)[3]記載の「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」は、本件土地3及び本件土地4の地積更正登記に関する文書であるため、答申別紙2記載のとおり、対象文書として特定し公開した。
    • (エ)上記(1)オの対象文書について
      上記(1)オにかかる部分の請求は、平成13年2月の本件土地3の分筆及び本件土地4の地積更正が、異議申立人の同意なく行われたことや、登記手法である「枚方方式」等について説明を求める請求である。よって、同月の分筆及び地積更正の処理が記載された文書として、上記(ア)[3]記載の「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」を答申別紙2記載のとおり対象文書として決定した。
      また、枚方方式とは大阪法務局枚方出張所が、地図混乱地域の分筆・地積更正を行う際に、不隣接同意証明等の添付をもとに登記申請することで認めることをいうものであると考えられるが、実施機関は大阪法務局の枚方方式にかかる文書は保有していないため、枚方方式について若干記載のある、上記(イ)[1]記載の「地図及び登記内容の解析」を、答申別紙2記載のとおり、対象文書として決定した。
    • (オ)上記(1)カの文書について
      異議申立人は、本件土地3及び本件土地4のうちの一部を平成15年5月27日に法人Kに売却するために行った境界杭の位置確認等の仕方等に関する説明が記載された文書及び平成16年1月15日撮影の境界杭の位置を説明する文書を求めているものと考えられる。境界杭の位置確認等の仕方等に関する説明が記載された書類は存在しないため、[1]この売却の準備行為であった、平成13年2月の本件土地3の分筆及び本件土地4の地積更正にかかる、上記(ア)[3]記載の「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」、[2]境界杭等を映した現場写真(平成16年1月15日撮影)、[3]平成13年1月に土地家屋調査士会が作成した、本件土地3及び本件土地4について、境界杭等の位置を示す、元府有施設敷地多角境界点網図を関連・参考になる文書として、答申別紙2記載のとおり特定し、公開した。
  • イ 実施機関は、[1]47.10境界確定協議書の原本は存在しない、[2]38.1.19分筆図、49.8地積測量図等を綴っていると考えられる、当時の登記嘱託書綴りは存在しない、[3]実施機関と異議申立人父親との間の本件土地に関する訴訟記録の簿冊は1冊のみであり、現存しない文書がある旨を主張するため、当審査会は、実施機関の保有する文書の見分を行い、実施機関に文書の保存について説明を求めたところ、上記2(2)イのとおりであった。これに加え、[3]の訴訟記録については実施機関は文書の保存について以下の通り説明した。
    • (ア)実施機関と異議申立人父親との間の本件土地に関する訴訟記録について
      実施機関と異議申立人父親との間に本件土地に係る訴訟が係属していた昭和30年代から昭和40年代当時の大阪府文書管理規程(昭和27年4月1日大阪府訓令第10号)に基づく、文書の保存期間の基準では、当該文書の保存期間は「永年」とされていたが、平成5年文書保存期間改正により、「永年」の区分が廃止され、10年を超える保存期間として改めて「長期」の区分が設定された。
      現時点では、行政文書管理システムに登録された簿冊にはこれらは含まれておらず、長期保存する文書を保管する書庫を捜索したが、上記記載の1冊の簿冊以外には存在しない。このことから、実施機関と異議申立人父親との間の本件土地に関する訴訟記録の簿冊自体は廃棄の決定がなされ、当時大量に存在していたと思われる文書の多くは保存期間の経過により廃棄されたものと考えられる。現在保存されている1冊の簿冊については、昭和60年代からの異議申立人による過去に遡っての土地をめぐる疑念に対応するため、訴訟記録の中で実施機関としての説明の論拠となる文書を選定の上、簿冊にまとめたものと考えられる。
    • (イ)文書及び簿冊の捜索について
      上記(ア)簿冊については、140回以上の書庫の捜索を行い、執務室内の対象文書については、数か月かけて確認を行った。異議申立人が個人情報開示請求を行うごとに、実施機関は鋭意文書の捜索に努めたが、確認しえなかったものである。
  • ウ 本件決定2の対象文書の特定の妥当性について
    以上のことや上記2(2)ウ記載の実施機関の文書保存に関する規則等の規定からすると、直接的に対象となりうる文書で保存されていなかった文書に関する実施機関の説明に不自然な点はなく、請求に係る直接的に対象となりうる文書だけではなく、対象文書を幅広くとらえ、異議申立人の請求趣旨を汲んで、本件請求内容と関連・参考となる文書を含めて対象文書として特定したとする実施機関の主張には一定の合理性が認められる。
    また、異議申立人は、実施機関は、47.10土地境界確定協議書添付の図面と賃貸借契約書添付の47.11.1地積測量図には大きな誤差があり、これを説明していない等と主張するが、情報公開請求は、請求に対応する文書で実施機関が保有する文書を特定して公開するものであって、異議申立人の求める説明に全て対応しうるものではない。また、異議申立人は異議申立書において実施機関と異議申立人父親との間の約10年間にわたる訴訟記録全部を公開せよとしているが、本件請求2の趣旨に、全ての訴訟記録が含まれているとまで解することはできず、上記(1)ア、イに関連する文書として、保有する訴訟記録の一部を特定した実施機関の文書特定に特段の問題はない。
(3)本件非公開部分2について

実施機関が公開しないことと決定した部分について、異議申立人は、個人所有の土地の経緯等は公図の整合性を説明する必要がある場合には公開すべきである旨主張しているので、実施機関の決定の妥当性について以下検討する。

ア 条例第8条第1項第1号について

上記2(3)アに同じ

イ 条例第8条第1項第1号該当性について

上記2(3)イに同じ

ウ 条例第9条第1号について

上記2(3)ウに同じ

エ 条例第9条第1号該当性について

本件非公開部分2のうち、条例第9条第1号を適用して公開しないことと決定した箇所は、答申別紙2のとおり、個人の印影、個人の肖像、個人所有の土地の経緯等、個人所有の土地の賃貸価格等、境界に関する詳細にわたる書類(訴状、準備書面、不動産仮処分申請)である。
本件非公開部分2のうち、「47.10土地境界確定協議書」、「地図及び登記内容の解析」及び「分筆及び地積更正登記嘱託について(伺い)」は、本件行政文書1に含まれる文書であり、条例第9条第1号に該当するものとして公開しないことと決定した部分については、上記2(3)エに同じである。
以下、本件行政文書1に含まれておらず、本件行政文書2において新たに条例第9条第1号に該当するものとして公開しないことと決定した部分について、検討する。

  • (ア)「境界に関する詳細にわたる書類(訴状、準備書面、不動産仮処分申請)」について
    「境界に関する詳細にわたる書類」として対象文書とされた「訴状」、「準備書面」、「不動産仮処分申請」は、本件土地と異議申立人所有地との境界についての説明となる資料として特定されたものである。
    これらの文書には、本件土地と異議申立人所有地との境界にかかるものであることを前提として対象とされているため、一部でも公開すれば、本件土地と異議申立人所有地との間にかかる係争の具体的内容が明らかになるため、上記2(3)ウ(ア)、(イ)に当たり、また、このような情報は必ずしも一般的に公表することが予定されているものではないから、一般的に他人に知られたくないと望むことが正当と認められ、上記2(3)ウ(ウ)に当たるため、条例第9条第1号に該当する。
  • (イ)「個人の肖像」について
    この情報は、上記2(3)ウ(ア)、(イ)に該当する個人の特定されうる情報であり、また、この個人の肖像として非公開とされた部分は、公務員ではない私人の肖像であるため、上記2(3)ウ(ウ)に当たり、条例第9条第1号に該当する。
(4)結論

よって、実施機関の本件決定2は妥当である。

4 本件異議申立て3について

(1)本件請求3の趣旨について

本件請求3の記載内容からすると、異議申立人が請求する文書は、49.8地積測量図を使用して、昭和49年11月に本件土地の分筆登記を行った際に担当者が作成した起案文書及び登記嘱託書(登記済証)であると考えられる。

(2)実施機関の本件決定3の対象文書の特定及び現存しない文書について
  • ア 実施機関は弁明書3において、49.8地積測量図を使用して、昭和49年11月の分筆登記を行った際の起案文書及び登記嘱託綴については、現に保有管理されていなかったため、対象文書を幅広くとらえ、現に保有・管理する文書のうち、これに関連する文書として、法務局にて閲覧に供されている地積測量図及び登記所在図の保存管理が確認できたので、保存していた「昭和49年8月29日作製の[1]本件府有地の地積測量図、[2]本件府有地の土地所在図」を、答申別紙3のとおり、対象文書と特定して公開したと主張する。
  • イ 当審査会では、実施機関が本件請求3に対応する文書及びそれが綴られているべき昭和49年度の登記嘱託綴については現存しない旨を主張するため、実施機関の保有する文書の見分を行い、実施機関に文書の保存について説明を求めたところ、上記2(2)イのとおりであった。
(3)結論

以上のことや上記2(2)ウ記載の実施機関の文書保存に関する規則等の規定からすると、本件請求文書3の対象と考えられる昭和49年11月に本件土地の分筆登記を行った際に担当者が作成した起案文書及び登記嘱託書(登記済証)が綴られているべき、当時の登記嘱託綴が現存しないとする実施機関の主張に特段不自然な点はない。
異議申立人は文書偽造の事実の解明のポイントとなる文書を不存在として決定し、証拠隠滅のために公開すべき書類を隠ぺいしたという趣旨の主張をするが、実施機関が本件請求3の対象となる文書を隠ぺいしていると考えられる特段の事情も認められなかった。
よって、これらの請求に係る直接的に対象となりうる文書だけではなく、対象文書を幅広くとらえ、異議申立人の請求趣旨を汲んで、本件請求内容と関連・参考となる文書を含めて対象文書として特定したとする実施機関の主張には一定の合理性が認められることから、本件決定3は妥当である。

5 異議申立人のその他の主張について

異議申立人は、実施機関が、本件土地の分筆等に当たり違法行為を重ねている、公文書偽造について何ら説明がない等と縷々主張するが、情報公開制度は本来行政が保有する情報の公開を求めるものであって、当審査会は実施機関が行った情報公開決定の是非について審査を行うものであるから、異議申立人のこれらの主張は当審査会の審査の対象とはならない。

6 文書の適正な保存について

  • (1)上記2(2)イ(イ)a記載の47.10土地境界確定協議書の紛失についてみると、昭和47年度の境界協議書綴No.1からNo.3については保存期間が延長されており、現在も保存期間中となっているため、文書規則第16条により、実施機関には保存義務がある。また、個人情報保護条例第9条により各実施機関には個人情報の適正な管理のために必要な措置を講じる義務が課せられている。文書作成後、40年以上の時間の経過及び長年にわたる協議経過があるとはいえ、その簿冊に綴られているべき47.10土地境界確定協議書を紛失したことについては問題がないとはいえない。
  • (2)次に、上記2(2)イ(イ)b記載の「38.1.19分筆図、49.8地積測量図等を綴っていると考えられる、当時の登記嘱託書綴り」が現存しないことについてみる。
    現在も概ね保存されている昭和50年度以降の「登記嘱託書綴り」は、昭和50年度当初から平成4年度に至るまでは保存期間を「永年」と設定されていたと認められ、現在の行政文書管理システムに簿冊が登録され保存されている、昭和50年度以降の「登記嘱託書綴り」は、概ね、「長期」の区分で35年間の保存期間が設定されていることが認められる。
    とはいえ、平成5年度から、文書保存期間の「永年」の区分がなくなり、「長期」が設定された以降、平成15年度に行政文書管理システムにおいて長期の保存期間を35年間と定められるようになるまでの実施機関の文書管理の実務を考えると、その保存期間を「長期11年」とされた簿冊も存在した事実も認められる。よって、実施機関の主張するとおり、平成15年度に実施機関が文書の保存期間を見直した結果、38.1.19分筆図、49.8地積測量図等を綴っていると考えられる当時の登記嘱託に係る簿冊は廃棄された可能性もあると推測することもでき、実施機関の主張には不自然な点があるとまではいえない。
  • (3)また、上記3(2)イ記載の「実施機関と異議申立人父親との間の本件土地に関する訴訟記録」については、文書規則第18条で、保存期間が満了するときは、あらかじめ廃棄の決定をしなければならないことと定められており、廃棄の決定がされたものについては、速やかに処分しなければならないこととなっているため、廃棄決定した文書の中から、業務上必要な文書だけをまとめて1冊の簿冊として保存していたのであれば、その簿冊については、行政文書管理システム上の登録を行い、文書の保存期間を長期として設定すべきであったといえる。
  • (4)結論
    上記(1)及び(3)については、実施機関の文書管理及び個人情報の管理が必ずしも適正ではないため、実施機関においては、今後、文書規則等の文書管理にかかる規定類や個人情報保護条例を遵守し、行政文書及び個人情報の適正管理に努められたい。

7 結論

以上の理由により、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

主に調査審議を行った委員の氏名

北村和生、小原正敏、尾形健、近藤亜矢子

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