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更新日:2015年11月5日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第249号)

試験成績書データ不存在非公開決定審査請求事案

(答申日 平成27年11月5日)

第一 審査会の結論

諮問実施機関(大阪府公安委員会)の判断は妥当である。

第二 審査請求に至る経過

  1. 審査請求人は、平成26年2月17日付けで、大阪府警察本部長(以下「実施機関」という。)に対し、大阪府情報公開条例(平成11年大阪府条例第39号。
    以下「条例」という。)第6条の規定により、(1)を請求内容とする行政文書公開請求を行い、平成26年4月20日付けで、(2)を請求内容とする行政文書公開請求を行った。
    • (1)「平成23年6月16日付で契約書が交わされている放置車両確認処理用携帯端末等機器に関する、下記全ての文書
      • ア 携帯端末2種類(タブレット・PDA)の試験成績書および取扱説明書の内、データで提供されている電磁的記録
      • イ 大阪府警版放置駐車違反処理システム携帯端末ソフトウェア2種類(タブレットPC版THW-97A404003A)(PDA版THW-97A404010A)の操作説明書の内、データで提供されている電磁的記録
      • ウ 印字機の試験成績書および取扱説明書の内、データで提供されている電磁的記録」
    • (2)「平成23年6月16日付で契約書が交わされている放置車両確認処理用携帯端末等機器に関する下記文書の、表裏表紙および空白ページを含むページ数
      • ア 携帯端末2種類(タブレット・PDA)の試験成績書および取扱説明書の内、データ版 のページ数
      • イ 大阪府警版放置駐車違反処理システム携帯端末ソフトウェア2種類(タブレットPC版THW-97A404003A)(PDA版THW-97A404010A)の操作説明書の内、データ版のページ数
      • ウ 印字機の試験成績書および取扱説明書の内、データ版のページ数」
  2. 平成26年3月3日、実施機関は、上記1(1)の請求について、同日付けで行われた他の5件及び同年2月26日付けで行われた他の1件の公開請求と併せて、条例第15条第1項の規定により、公開決定等の期限の特例を適用することとし、審査請求人に通知した。
    なお、公開決定等の期限の特例適用後の期限を同年5月30日とした。
  3. 平成26年5月7日、実施機関は上記1(2)の請求に対し、(2)のとおり決定を行い、審査請求人に通知した。また、同月30日、実施機関は、上記1(1)の請求に対し、(1)のとおり決定を行い審査請求人に通知した。
    • (1)上記1(1)の請求について
      • ア 上記1(1)ア及びウの請求(以下「本件請求1」という。)について
        実施機関は、本件請求1に係る行政文書は、取得していないため管理していないとして、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定(以下「本件決定1」という。)を行った。
      • イ 上記1(1)イの請求について
        実施機関は、上記1(1)イの請求に対応する文書として、次の文書を特定の上、条例第13条第1項の規定により、その全部を公開する旨の決定を行った。
      • (公開することとした行政文書の名称)
        • (ア)大阪府警殿向け放置駐車違反処理システム(タブレット型携帯端末)操作マニュアル
        • (イ)大阪府警殿向け放置駐車違反処理システム(PDA型携帯端末)操作マニュアル
    • (2)上記1(2)の請求について
      • ア 上記1(2)ア及びウの請求(以下「本件請求2」という。)について
        実施機関は、本件請求2に係る行政文書は、取得していないため管理していないとして、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定(以下「本件決定2」という。)を行った。
      • イ 上記1(2)イの請求について
        実施機関は、上記(2)イの請求に対応する文書として、次の文書を特定の上、条例第13条第1項の規定により、その全部を公開する旨の決定を行った。
      • (公開することとした行政文書の名称)
        • (ア)大阪府警殿向け放置駐車違反処理システム(タブレット型携帯端末)操作マニュアルの最終ページを印字したもの
        • (イ)大阪府警殿向け放置駐車違反処理システム(PDA型携帯端末)操作マニュアルの最終ページを印字したもの
  4. 審査請求人は、平成26年7月13日、本件決定1及び本件決定2を不服として、行政不服審査法(昭和37年 法律第160号)第5条の規定により、本件決定1及び本件決定2の取消しを求める審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行い、同月18日、大阪府公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、これらを受理した。

第三 審査請求の趣旨

 非公開処分の取消及び当該文書の全面公開を求める。

第四 審査請求人の主張要旨

審査請求人の主張は、概ね次のとおりである。

1 審査請求書における主張

(1)本件決定1に関する主張

非公開処分とされた本情報公開請求の内容は、平成23年6月16日付で契約書が交わされている放置車両確認処理用携帯端末等機器に関する、「携帯端末2種類(タブレット・PDA)の試験成績書のデータ版」及び「印字機の試験成績書のデータ版」である。
これら計3件の文書の存在は、「平成26年2月7日付 大阪府警察本部指令(施)第4号部分公開決定通知書」にて公開決定された「放置車両確認処理用携帯端末等機器仕様書」のページ番号8と9に以下の通り明記されている。

  • 表-3 携帯端末(タブレット型・PDA型)の構成
    (中略)
    区分 添付品
    品目 試験成績書
    数量 各2
    単位 部
    備考 日本語表記とする。
    印刷物及びデータ(CD-R)
    タブレット・PDA別
  • 表-4 印字機の構成
    (中略)
    区分 添付品
    品目 試験成績書
    数量 2
    単位 部
    備考 日本語表記とする。
    印刷物及びデータ(CD-R)

以上の通り、公文書にその存在が明記されているにも関わらず、当該文書を不存在と回答し、非公開処分とすることは隠蔽行為に他ならず不当である。

更には、本情報公開請求に対する決定通知書の発送が、大阪府警察本部が自ら設定した期限である平成26年5月30日を超過した同年6月2日に行われている。封筒の消印が不鮮明であるが、封筒表面下部の年月日記入欄に平成26年6月2日と記載されていること及び到着日が6月3日であることから、発送日は6月2日に相違ないと考えられる。

この行為は条例第14条第1項に違反するものである。
非公開処分を直ちに撤回し、該当する文書の全面公開を強く要求する。

(2)本件決定2に関する主張

非公開処分とされた本情報公開請求の内容は、平成23年6月16日付で契約書が交わされている放置車両確認処理用携帯端末等機器に関する、「携帯端末2種類(タブレット・PDA)の試験成績書のデータ版のページ数」及び「印字機の試験成績書のデータ版のページ数」である。
これら計3件の文書の存在は、「平成26年2月7日付 大阪府警察本部指令(施)第4号部分公開決定通知書」にて公開決定された「放置車両確認処理用携帯端末等機器仕様書」のページ番号8と9に以下の通り明記されている。

  • 表-3 携帯端末(タブレット型・PDA型)の構成
    (中略)
    区分 添付品
    品目 試験成績書
    数量 各2
    単位 部
    備考 日本語表記とする。
    印刷物及びデータ(CD-R)
    タブレット・PDA別
  • 表-4 印字機の構成
    (中略)
    区分 添付品
    品目 試験成績書
    数量 2
    単位 部
    備考 日本語表記とする。
    印刷物及びデータ(CD-R)

以上の通り、公文書にその存在が明記されているにも関わらず、当該文書を不存在と回答し非公開処分とすることは隠蔽行為に他ならず不当である。
更には、本情報公開請求に対する決定通知書の発送を故意に遅延させる事案が発生した。インターネットの大阪府警察情報公開ページの公開請求送信後の画面には「この公開請求があった日から起算して15日以内に、担当所属等が公開・非公開等の決定を行い、住所又は居所へ通知書を郵送します」と明記されている。

本来発送すべき期限は、請求日の翌日を起算日とした15日後の平成26年5月5日である。ところが、府警情報公開担当の○○○○氏は何ら打ち合わせをしていない別件の情報公開請求への回答があることを理由に発送を故意に怠り、回答期限を遵守しなかったばかりか、本回答書の大阪府警察本部での引き渡しを一方的に打診した。正当な理由に基づく延長決定通知書も発送されていない。

この行為は、条例第14条第1項に違反するものである。
非公開処分を直ちに撤回し、該当する文書の全面公開を強く要求する。

2 意見書における主張

(1)意見の要旨
  • ア 当該機器の全てが電波法の特定無線設備機器である以上、「試験成績書は作成していない」という事態は決してあってはならないものである。
  • イ 特定無線設備機器を、如何なる検査記録をも作成せずに製品化することは事実上不可能であり、「試験成績書は作成していない」の説明が事実であるならば、大阪府警察が不法無線局を多数運用していることを示唆するものである。
  • ウ 大阪府警察は、当方の行政文書公開請求に対して、虚偽回答、公開請求の毀棄及び改竄並びに請求内容変更の強要を行うことで、一貫して公開請求を妨害し続けている。
  • エ 不存在による非公開処分は極めて不当である。処分撤回と全面公開を強く要求する。
(2)意見の詳細
ア 理由説明書に対する反論
  • (ア)契約書の2ページ目にある「総則 第2条」に「発注者及び受注者は、この契約書(仕様書及び質問回答書を含む。以下同じ。)に基づき、日本国の法令を遵守し、この契約を誠実に履行しなければならない」と明記されている。これは仕様書は契約書と不可分であり且つ履行すべきものであることを示している。
    「実施機関は、当該文書を受領保管した事実はない」と主張しているが、これが事実であるならば、仕様書に明記された物品の一部が納品されていない契約不履行に他ならない。
    「当該文書を受領保管した事実はない」ことが事実であるならば、不履行のままとなっている契約の履行を直ちに進めるべきであり、当該文書の交付手続きを行うことなく非公開処分を下すことは、大阪府警察が当該文書の存在を隠蔽する意図を持っていることを強く窺わせるものである。
    或いは、大阪府警察は「試験成績書が納品されていないのは納品時のミスで、再交付したものを公開することは可能」と主張することも可能だったはずである。
    再交付について言及しないことも、当該文書の存在を隠蔽する意図を持っていることを示す証左である。
    「当該文書を受領保管した事実はない」の理由による非公開を認めることは、あらゆる文書の公開を拒否することを大阪府警察の権利として認めることに他ならない。これは情報公開制度の根幹を揺るがし形骸化させるものであり、極めて不当である。
    契約書類に明記された物品の存在を「受領保管した事実はない」などという文言で許されるのであれば、不要な物品を契約書に盛り込みその対価を一旦納入業者に支払い、後刻キックバックで返金を受けるといった、いわゆる裏金作りを容易に成し得ることを意味する。かような行為は断じて容認されるべきではない。
    契約書類に試験成績書と説明書が同等の扱いで記載されているにも関わらず、一方のみが存在しもう一方が存在しないことは極めて不自然であり、必要であるからこそ記載されていると解すべきものである。試験成績書が交付の対象外である旨の記述も存在しない。あくまで「受領保管した事実はない」と主張し続けるのであれば、仕様書に試験成績書が添付品として明記されている理由を明確に説明すべきである。
  • (イ)当該携帯端末2機種及び印字機は、いずれもBluetooth規格に準拠する特定無線設備機器である。Bluetooth機器は特定無線設備機器の内の免許等不要局に分類されるものであり、機器の製造販売業者が外部の登録証明機関に依頼し所定の手続と検査を経ることで技術基準適合証明の取得が可能になり、製品化が可能になるものである。
    「納入業者に対して確認したところ、納入前の打合せ時において、既に性能試験を終えていたことから、試験成績書は作成しておらず、また交付した事実もないとのことである」と主張しているが、「性能試験を終えていた」と「試験成績書は作成しておらず」は明らかに矛盾するものである。試験成績書とは試験結果の集大成であり、その試験成績書が作成されていないことは、製品開発会社の社内でさえ試験を行った事実を証明することが困難であることを意味している。即ち、試験の事実を証明できないことは、試験を行っていないことにも等しいものである。電波法に関わる外部の登録証明機関に試験を依頼しなければならず、不合格の際に再試験の費用支出と日数を要する機器としては、試験結果を記録せずして試験だけを行うことはあり得ず、またあってはならないことである。
    試験を一切行わずして当該製品を納品することは、物理的には不可能ではない。しかし試験が行われた事実が確認できない製品が電波法を遵守したものであるかどうかには疑念を禁じ得ない。仮に試験が行われた事実を証明できる文書が存在しないのであれば、大阪府警察が不法無線局を大量に運用している可能性を示唆させるには十分である。
    電波法が関わる部分であるか否かに関わらず、製品開発においてあらゆる機能の試験は行われるべきであり、同様に製品開発の記録としてその結果も記録されるべきである。如何なる試験の結果も記録していないと主張するのであれば、記録しなかった或いは試験成績書を作成しなかった理由を具体的かつ明確に説明すべきである。
  • (ウ)条例第13条第1項に次の条文が存在する。
    「実施機関は、公開請求に係る行政文書の全部又は一部を公開するときは、その旨の決定をし、速やかに、請求者に対し、その旨及び公開の実施に関し必要な事項を書面により通知しなければならない。」
    よって、「決定内容の通知については、こうした規定はなく」との説明は全くの虚偽である。
    条文が「書面により通知しなければならない」である以上、書面通知より電話連絡を優先し、未発送の事実を指摘されるまで通知を怠った行為には何ら正当性はない。
  • (エ)「決定後速やかに発送あるいは手交等の方法で通知している」との説明の内、「速やかに」の部分は事実に反するものである。
    当該行政文書公開請求書は大阪府警察のウェブサイト内の情報公開からリンクされている下記URLより送信したものである。
    http://www.police.pref.osaka.jp/cgi-bin/form.cgi?fid=lVXa7lsZAOLk0qTS
    送信完了後の画面に必ず次の文面が表示される。
    「この公開請求があった日から起算して15日以内に、担当所属等が公開・非公開等の決定を行い、住所又は居所へ通知書を郵送します。」
    記載されているのは郵送のみであり、手交には何ら言及されていない。手交に言及されていない以上、書面通知を停止してまで電話連絡に固執した理由を明確に説明すべきである。
    当該請求以前に行った行政文書公開請求においては、電話等で手交に言及されることは一切なく、通知は全て郵送にて行われていた。また請求者の居所や都合が存在することを考慮すると、大阪府警察本部で手交を行うこと自体が異常であり、手交を試みるために郵送による書面通知を停止・保留することは極めて不当である。
    また大阪府警察は、4月7日送信分の公開請求書に対し、4月16日に回答書を作成しているにも関わらず4月21日か22日にまで発送を遅らせることを既に行っており、「速やかに発送」の説明には反している。仮に4月22日に発送していたとしても、4月7日から数えて15日目であり条例に違反はしていないが、この15日の間に祝日は存在しておらず、発送を遅延させざるを得なかった理由は存在しなかったと言える。
  • (オ)「当該決定は決定期限内である平成26年5月30日になされており、同条に違反しない」と主張しているが、決定通知の文書の作成を行っていようが、その通知を行っていない以上、決定の事実及びその内容を知ることは不可能であり、請求者の立場からすると決定通知発送を保留する行為は決定自体を怠った場合にも等しいものである。電話連絡が取れなかった期間に発送を一切行わなかった行為があたかも当然の権利であるかのような主張を行うことは、かような職権乱用を正当化するものに他ならず極めて不当である。
  • (カ)「情報公開担当者が決定通知書の発送を故意に遅延させた旨主張しているが、そのような事実はなく」と主張しているが、6月2日の○○○○氏との電話での会話中で、当方から切り出すよりも先に、○○○○氏が回答期限が5月30日だった回答書を郵送ではなく手交する旨を伝えてきた。即ちその時点で未発送であったことを認めている。手交する手続きが条例及びインターネットから送信した際の確認画面にも明記されていない以上、通常とは異なる故意による異常な手続きであることは明白である。
  • (キ)「電話で連絡を取ろうと試みたものの審査請求人が不在であったため、留守番電話に伝言を残すなどしたが、連絡を取れるまで数日を要したものである」と主張しているが、このような主張がまかり通るのであれば、電話で連絡が取れないことを理由に、本来は直ちに郵送すべき通知書の発送を遅延させることを容易にすることを意味するものであり不当である。また、不在の時間を狙って電話をするなどの手段で際限なく延長する行為を認めることにもつながりかねない。
  • (ク)「審査請求人が申し出ていた別件の行政文書等複写申出書にかかる文書とともに当該決定通知書を手交した方が手続き上迅速であると判断し」と主張しているが、その行政文書等複写申出書に至る経緯において、大阪府警察の手続き自体に重大な問題があった。
    元々は、当方が大阪府警察のウェブサイトから「大阪府公安委員会」宛に請求した行政文書公開請求書に端を発するものである。内容は風適法の許可に関するものであるが、風適法の実務を行っているのは大阪府公安委員会ではなく大阪府警察であり、通常このような請求を公安委員会宛に行っても不存在による非公開決定通知書が郵送されてくるだけで終わるはずのものである。
    ところが、請求書が「大阪府公安委員会」宛だったにも関わらず「大阪府警察本部長」からの回答が送付されている。大阪府公安委員会からの回答書は今も尚送付されていない。これが行政文書公開請求書の毀棄及び改竄によるものであることは明らかである。
    請求書送信後、○○○○氏から、「請求内容が行政文書公開請求の対象外である」旨の連絡があり、同時に「行政文書等複写申出書による請求が可能であるが、本来はインターネットによる請求はできない。ただし必要とする文書を予め作成しておくことはできる」旨の提案があった。当方はこの請求対象文書の事前作成案に了承した。しかし、そもそも請求先が大阪府公安委員会である以上、行政文書公開請求書に回答すべきは大阪府公安委員会であり、大阪府警察本部がこのような便宜を図る必要は存在しない。
    これは請求への便宜を図ることを装い、大阪府警察本部へ呼び出す機会を作り出そうとしたことを強く示唆するものである。
    当方はこれ以前にも同様の行為を受けていた。2014年2月17日送信分の大阪府警察ウェブサイトからの行政文書公開請求書で、お問い合わせ番号0485と0486の内の後者である。請求の内容は両者とも概ね同じものであるが、請求先が前者が「大阪府警察本部長」、後者が「大阪府公安委員会」である。にも関わらず、双方とも「大阪府警察本部長」から回答書が送付される事態が発生した。
    これに対し、当方は同年11月17日に大阪府公安委員会宛に郵送にて概ね同じ内容の請求を行ったところ、「大阪府公安委員会」名義の回答文書が送付された。
    インターネットから「大阪府公安委員会」宛に行政文書公開請求書を送信すると「大阪府警察本部長」から回答書が送付され、同じ主旨の請求書を郵送で請求すると「大阪府公安委員会」から回答書が送付されることは、明らかに対応が矛盾している。大阪府警察ウェブサイトにある行政文書公開請求書送信フォームの最上部には「あて先」欄があり、右側に「大阪府警察本部長」と「大阪府公安委員会」のいずれかをパソコン上の操作でチェックする仕組みになっている。しかし、当該フォームが存在するインターネットサーバーのドメイン名はwww.police.pref.osaka.jpである。請求先によって送信先が分けられてはいない。このことから、当該請求フォームからインターネット経由で送信された行政文書公開請求書は、一旦全て大阪府警察本部に送信されていることが読み取れる。大阪府警察はこのことを利用し、あて先が「大阪府公安委員会」である行政文書公開請求書の内、内容が不都合であるものを毀棄した上で、当該請求書の内容を元にして、請求先が「大阪府警察本部長」である行政文書公開請求書を作成していたことが強くうかがえる。
    また、当方が大阪府警察ウェブサイトから送信した行政文書公開請求書でお問い合わせ番号が0468であるものに対する回答文書「大阪府警察本部指令(施)第6号」は虚偽である。放置車両確認処理用携帯端末等機器の説明書が存在するにも関わらず不存在と回答しており、極めて悪質である。
    当該虚偽回答の後に、部分公開が行われた仕様書に記載されているのを元に再請求したものが、2月17日送信のお問い合わせ番号が0480の請求書である。ところが再請求から数日後の2月25日に、大阪府警察本部情報公開担当者の○○氏から電話連絡があり、次の主旨の内容を告げられた。
    「あなたが請求したデータ版の説明書は存在しない。」
    「紙版であれば存在する。」
    「ページ数が多く、このまま公開請求を続けると日数がかかる。」
    その上で、「請求対象の文書を紙版に変更した上で、対象の内容(ページ)を絞り込むよう」に要求された。しかし、その時点で当該説明書の詳細な内容を知る術がなく内容を絞り込むことは不可能であったため、当方はやむなく一度はこの要求を承諾し、請求対象を印刷物版かつ、対象ページを目次と索引等にすることを承諾した。しかし本当にデータ版の説明書が存在しないのであれば文書不存在と回答すべきであり、不存在を口実に公開決定前に請求内容の変更を強要する行為自体が不当であると判断し、約1時間後に○○氏に電話連絡を行い、請求内容変更の取り下げ及び既存請求の継続、並びに印刷物版は後日請求しなおす旨を告げるに至った。既述の経緯により翌26日に再請求したものが、お問い合わせ番号が0490の行政文書公開請求書である。
    なお、説明書のデータ版に対する請求に関し、3月3日付の「公開決定等の期限の特例通知書 府民 第169号(請求第45号)」が到着したことで、「データ版の説明書は存在しない」の説明は全くの虚偽であったことが明らかとなった。
    また前述の○○氏の請求対象変更要求に関し、当方が行った印刷物版に対する追加請求では、請求対象は全ページではなく、目次等に絞った一部だけとしている。にも関わらず、当該請求に対する決定通知書では公開決定した文書の名称が「操作マニュアル」とだけ記載されており一部のみである旨の記載がなく、枚数が212と記載されている。目次と索引だけだとするにはあまりにも枚数が多い。これは、仮に行政文書公開請求書内で説明書の公開対象ページを狭めたとしても、公開決定対象を一部だけとすることが不可能な理由が存在するからに他ならない。さもなければ請求した目次等だけが公開対象となり、ページ数が削減されていたはずである。換言するならば、請求対象ページを狭めろという○○氏の要求が、公開請求にかかる日数短縮において全く意味をなさないものであったことを示す証左である。この○○氏の要求が意味をなさないことは、要求の目的が別に存在したことを示唆するものであることを意味している。大阪府警察内の何者かが○○氏に指示を行い、請求対象ページを狭めさせることで時間稼ぎを図ると同時に、当方が何の情報を求めているかを探ろうとしていた可能性が強くうかがえる。
    現に、データ版・印刷物版双方の公開決定期限が3か月に渡り延長されたため、回答内容が虚偽であった「不存在による非公開決定通知書 大阪府警察本部指令(施)第6号」に対する行政不服審査請求は請求期間の60日以内に間に合わず事実上不可能であった。
    なお、公開請求書に関わる改竄は「公開決定通知書 大阪府警察本部指令(駐)第 11号・第15号」においても行われている。希望する閲覧方法の欄を「閲覧した後、必要な部分の写しの交付を希望する」と指定しているにも関わらず、公開決定通知書では「写しの交付」に改竄されている。
    以上の経緯を踏まえ、大阪府警察の回答及び情報公開担当者の両名の行為は
    • 行政文書公開請求に対する虚偽回答
    • 請求の毀棄・改竄
    • 請求内容変更の強要
    • 公開決定通知の正当な理由なき遅延
    に他ならず、反復的かつ悪質極まりないものである。
    特に、大阪府公安委員会へのインターネット行政文書公開請求書の毀棄・改竄に関しては、その仕組み上いともたやすく実行可能であることが見て取れる。即ち、他の請求者に対しても行われている可能性が極めて濃厚であると言わざるを得ない。
    大阪府警察による「実施機関は、当該文書を受領保管した事実はない」との理由説明は到底筋が通るものではなく、これまでの行為が虚構に満ちていることから考えると当該説明も虚偽である可能性が極めて高いものである。
    当該非公開処分に関し、全面的な撤回並びに全面公開を強く要求する。

第五 諮問実施機関の主張要旨

諮問実施機関の主張は、概ね次のとおりである。

1 諮問実施機関の意見の趣旨

「実施機関の決定は妥当である。」との答申を求める。

2 本件決定1及び本件決定2に対する意見

(1)放置車両確認処理用携帯端末等機器仕様書について

「放置車両確認処理用携帯端末等機器仕様書」については、審査請求人の主張どおり平成26年2月7日付けで部分公開決定した文書であり、文書中の表-3には、携帯端末(タブレット型・PDA型)の構成として「品目 試験成績書」、「備考 印刷物及びデータ(CD-R)」の記載がなされており、表-4にも、印字機の構成として「品目 試験成績書」、「備考 印刷物及びデータ(CD-R)」の記載がなされている。

(2)試験成績書の存在について

ここに記載された試験成績書とは、納入機器をあらかじめ試験装置にて仕様書どおりの性能であることを確認してその結果を報告書にまとめた文書のことであるが、実施機関は、当該文書を受領保管した事実はない。納入業者に対して確認したところ、納入前の打合せ時において、既に性能確認を終えていたことから、試験成績書は作成しておらず、また交付した事実もないとのことであった。

(3)情報公開請求に係る通知手続について

条例第14条には、「前条第1項及び第2項の決定は、公開請求があった日から起算して15日以内に行わなければならない。」と規定されているが、決定内容の通知については、こうした規定はなく、実務上、決定後速やかに発送あるいは手交等の方法で通知している。

(4)本件手続の妥当性について
ア 本件決定1における手続について

審査請求人は、審査請求書後半部分において、決定通知書の発送が決定期限である平成26年5月30日を超過した同年6月2日に行われており、条例第14条に違反すると主張するが、当該決定は決定期限内である平成26年5月30日になされており、同条に違反しない。
また、決定後休日を挟んだ月曜日である6月2日に通知文書を発送しており、殊更に遅滞したとは言えない。

イ 本件決定2における手続について

審査請求人は、審査請求書後半部分において、情報公開担当者が決定通知書の発送を故意に遅延させた旨主張しているが、そのような事実はなく、審査請求人が申し出ていた別件の行政文書等複写申出書に係る文書とともに当該決定通知書を手交した方が手続上迅速であると判断し、電話で連絡を取ろうと試みたものの審査請求人が不在であったため、留守番電話に伝言を残すなどしたが、連絡が取れるまで数日を要したものである。しかしながら、その通話において審査請求人と公開実施に係る日程の調整ができなかったため、後日速やかに決定通知書を発送したものである。(郵送日 平成26年5月13日)
なお、本件請求2については、決定期限末日が祝日のため、平成26年5月7日が決定期限であった。

3 結論

以上のとおり、本件決定1及び本件決定2は条例の趣旨を踏まえて行われたものであり、何ら違法、不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

4 諮問実施機関のまとめ

本件決定1及び本件決定2は、公開請求に係る行政文書を実施機関が管理していないため、条例第13条第2項の規定に基づき、不存在による非公開としたものであり、その他手続も含めて違法、不当はないものと考える。

第六 審査会の判断

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。
このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第2条第1項に規定する行政文書に記録されている場合には、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。

2 本件行政文書について

本件請求1及び本件請求2に係る公開請求書の記載及び実施機関の説明等からすると、審査請求人の求める行政文書は、平成23年6月16日付けで契約を締結した放置車両確認処理用携帯端末等機器に関する文書のうち、以下に記載するものであると認められる。

(1)本件請求1について
  • ア データで提供された、携帯端末2種類(タブレット・PDA)の試験成績書の電磁的記録
  • イ データで提供された、携帯端末2種類(タブレット・PDA)の取扱説明書の電磁的記録
  • ウ データで提供された、印字機の試験成績書の電磁的記録
  • エ データで提供された、印字機の取扱説明書の電磁的記録
(2)本件請求2について

本件請求1の対象となる上記文書の、データ版のページ数が記載されたもの

3 本件決定1及び本件決定2の妥当性について

(1)本件決定1及び本件決定2について

諮問実施機関は、当審査会に対し、以下のとおり説明した。

ア 本件決定1について
  • (ア)上記2(1)ア及びウの行政文書について
    審査請求人のいう「試験成績書」とは、納入機器をあらかじめ試験装置にて仕様書どおりの性能であることを確認してその結果を報告書にまとめた文書のことであるが、実施機関は試験成績書を受領保管していない。
    審査請求人は、「放置車両確認処理用携帯端末等機器仕様書」に「添付品」として試験成績書のデータ(CD-R)が記載されており、これがなければ契約不履行になるので存在するはずだ、文書を隠蔽している等と主張する。しかし、実施機関は、携帯端末等の納入前に受注した業者と打合せを行った際に、通常、納入業者が行う性能試験よりも綿密な性能確認を行ったところ、その性能に問題がなかったことから、試験成績書の作成及び交付を求めなかったものである。実施機関としては、業者から試験成績書と同等の報告を受けたものと考え、発注した携帯端末等の納品を受けたものである。よって、試験成績書の電磁的記録は存在しない。
  • (イ)上記2(1)イ及びエについて
    本件請求1と同じ請求中で請求された上記第二1(1)イの対象文書として公開した、上記第二3(1)イの「大阪府警殿向け放置駐車違反処理システム(タブレット型携帯端末)操作マニュアル」及び「大阪府警殿向け放置駐車違反処理システム(PDA型携帯端末)操作マニュアル」に含まれているものであって、独立した文書の電磁的記録としては存在しない。

よって、上記2(1)イ及びエの文書を求める請求については、審査請求人の請求趣旨を上記第二3(1)イの文書とは別の文書を求めるものであると解し、この請求の対象となる行政文書は存在しないから、非公開決定を行った。

イ 本件決定2について

上記2(1)のアからエまでの文書が上記アのとおり存在しないのであるから、そのページ数が記載された文書は存在しない。

(2)判断

上記(1)を踏まえ、以下のとおり判断する。

ア 本件決定1のうち、上記2(1)ア及びウに係る部分について

実施機関では、地方自治法第234条の2第1項により、契約の適正な履行を確保するため、必要な監督又は検査を行うこととなっている。この検査に当たっては、契約の相手方の給付の完了について、その給付が契約の内容どおり適正に行われているかどうかを確認するもので、地方自治法施行令第167条の15第2項により、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類によって行わなければならないこととされている。
このことからからすると、携帯端末2種類(タブレット・PDA)の試験成績書の電磁的記録及び印字機の試験成績書の電磁的記録は、契約書の仕様書に添付品として記載されているものであることから、本来、契約の履行時には、納入業者から実施機関に納品されているべきものであり、契約の履行確認については、この法令の規定により適正になさなければならないものである。これらを踏まえると、実施機関が、上記2(1)ア及びウの行政文書を受領保管していないことについて、審査請求人が異議を唱えるのも一定の理解はできる。しかしながら、綿密な性能確認を行ったことをもって、業者から試験成績書を受領したものと同等の報告を受けたものと考え、発注した携帯端末等の納品を受けたとする、諮問実施機関の主張に特段不自然・不合理な点があるとまでは言えず、他の事実の存在を隠していると推測されるようなことは認められなかった。

イ 本件決定1のうち、上記2(1)イ及びエに係る部分

「大阪府警殿向け放置駐車違反処理システム(タブレット型携帯端末)操作マニュアル」及び「大阪府警殿向け放置駐車違反処理システム(PDA型携帯端末)操作マニュアル」以外に、携帯端末等と印字機について独立した取扱説明書が存在しないため、審査請求人の請求趣旨に合致する文書は存在しないとする、諮問実施機関の主張に特段不自然・不合理な点があるとまでは言えない。

ウ 本件決定2について

上記ア及びイより、上記2(1)のアからエまでの文書のページ数が記載された文書は存在しないとする、諮問実施機関の主張に特段不自然・不合理な点があるとまでは言えない。

エ よって、実施機関の本件決定1及び本件決定2は妥当である。

4 審査請求人のその他の主張について

  • (1)審査請求人は、実施機関が本件決定1及び本件決定2を行うに当たり、審査請求人に対する通知の発送を故意に遅らせたことは、条例に違反すると主張する。
    本件決定1については、条例第15条第1項の規定によると、公開決定等の期限の特例を適用した場合には、「相当の期間内に公開決定等をすれば足りる」とされており、この期間は公開決定等の期限の特例通知書には、「平成26年5月30日」と記載され、本件決定1は同日決定されていることから、同項の規定には違反していない。また、その決定日が金曜日であり、週明けの月曜日の平成26年6月2日に、本件決定1の通知書等を発送したことについて、実施機関が故意に発送を遅延させているとまでは言えない。
    本件決定2については、条例第14条第1項の規定によると、決定を「公開請求があった日から起算して15日以内に行わなければならない」とされており、本件決定2に係るこの期限は同年5月7日であり、本件決定2は同日決定されている。よって、本件決定2は同項の規定には違反していない。しかしながら、本件決定2の通知書等の交付については、別件の行政文書複写申出により交付する文書とともに、当該通知書等を手交した方が手続上合理的であると考えたとする諮問実施機関の主張は一定理解できるものの、結果的に請求者に手交できず、当該通知書等の発送が本件決定2を行った日から6日後の同月13日に発送されたことは事実であり、条例第13条第1項の規定からすると、今後、実施機関は速やかに請求者に通知するよう、注意されたい。
  • (2)その他、審査請求人は意見書の中で、本件審査請求の対象となる決定とは異なる数件の情報公開決定について、大阪府公安委員会宛の行政文書公開請求を審査請求人に断りなく、大阪府警察本部長がその決定を行った等縷々主張しているが、本件審査請求の審査の対象ではない。

5 結論

以上のとおりであるから、本件審査請求には理由がなく、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

主に調査審議を行った委員

北村和生、小原正敏、尾形健、近藤亜矢子

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