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平成21年度第17回大阪府戦略本部会議 議事概要
- とき 平成21年7月31日(金曜日) 16時45分から18時15分
- ところ 特別会議室(大)
- 出席者 知事、副知事、政策企画部長、総務部長
改革評価委員(赤井伸郎委員、上山信一委員、小幡寛子委員、永田潤子委員)
府政運営の基本方針について
※ 政策企画部、総務部から資料をもとに説明。
【赤井委員】
いろいろな政策を行っていく上では、財政収支が重要。この景気悪化で税収が落ち込んでいる状況を踏まえると、何らかのアクションをとらないと大変。ただ単に歳出削減をやるだけではなく、税源確保のために何かに投資するといったこと。さらに、「新たな取組みを行うというのであればそれなりの府民負担を」というか、逆に「負担をしてまで行う事業なのか」と提案をして、府民が「そうではない」と言えば、それを理由に削減を進めるといった、受益と負担の関係を明確にして議論を深めていくといったことが必要。
【知事】
粗い試算が改定して切り替ったのが、今回の資料か。
【総務部長】
- 今回の資料は、当初予算のときに示した粗い試算であって今年度の税収が6月徴収分しかないので、状況が出てきてから改定したいと思っている。
- 現在は、P7、8の粗い試算よりもさらに悪化している状況。
【知事】
あれだけ平成20年度に削減して、平成22年度に720億とか23年度に1,120億とか・・・。私は10年後、20年後を目指して取組んでいるので、ここが踏ん張りどころではあるが。
【赤井委員】
これまで取り組んでこなかったツケで、減債基金の借入れを返しているというのが逆に二重の負担になっている。そこを府民がどう認識してやっていくのかということ。
【知事】
この数字を府民の皆さんに知ってもらわないといけない。地方がこれだけやっているのに国の体質ってどうなのか。府ばかりが借金を減らしても、国は「そのまま」。
【赤井委員】
国はものすごい借金で、今回、地方に経済対策として交付金を配っているが、それも借金。
【政策企画部長】
税収がさらに落ち込む自体が想定されるというが、オーダーとしてはどれくらいか。
【総務部長】
法人二税は、当初予算では対前年度の78%で組んでいるが、年間を通じてどうなるのか、現時点では見通せないので何とも言えない。
【赤井委員】
よくなるだろうと思ってやってきて、ならずに10年が経過した感じ。中小企業を含めた経済活性化が重要になってくるとは思うが、税収の状況とのバランス。増税という言葉は厳しいが、何らかの形で府民に説明をして、歳出のカットができないのであればその部分に見合う何らかのリンクみたいな、「それは皆でやっていきましょう」という議論もあるのではないか。
【知事】
受益と負担で、「地方で借金の責任を負う」、「地方で借金をする」、「ちゃんとサービスを提供するということになれば、増税を」というお願いはできるが、国があれだけデタラメなことをやっていては、地方が頑張っていても、府民としては納得しないと思う。あくまでも大阪府のための増税になってしまう。
【総務部長】
知事の言うとおり、住民・府民の便益というものを地方自治体だけが担っているわけではなく、国もあわせて担っているので、国・地方あわせてバランスがとれているかどうかが問われる。その意味で、赤井委員の指摘はそのとおりだが、平成22年度当初予算については、財プロの期間中なので、引き続きこの財プロ路線で取り組む。23年度以降に向けては、そういった議論もしていくことが必要とは思う。しかしその際には、国も視野にいれた議論をしないと、大阪府だけで議論できる話ではないと思う。
【赤井委員】
知事の言う「大阪府をこえた国のあり方を議論しながら」という地域主権の話。
【企画室長】
赤井委員がいつも言われる役割分担、税配分の議論がベースにないと、今の議論はしにくい。
【政策企画部長】
国と地方の関係が過度に融合的になっていると思う。象徴的なのは、臨時財政対策債の話。臨時財政対策債は、本来国が交付税として用意すればいいものを、地方が地方のカウントとして借金する。将来、交付税原資は一定、上限が設定されているので、結局地方にしわ寄せがくる。
【赤井委員】
それぞれは負担感がないが、全員が借金すると結局全員が自分で返さなければならないシステム。
【政策企画部長】
もう少し、決定権の部分と財政の部分を整理していくことが必要。
【赤井委員】
国と地方の整理で、財源がないのに地方が負担しているような部分や、本来国がやるべきことを地方がやっているために、このように財政収支が釣り合わなくなっているという部分もある。逆に、地方でやればもっと効率化できるのに国の権限になっているというものもある。
【知事】
国に対し、「地方の頑張りによってメリットをつけてくれ」という話をするとしたら、大阪府の取組みは、どう評価されるか。
【赤井委員】
減債基金の借入れについてはどこもやってきたが、今まで努力されたとおっしゃるが、今までどうしようもなかったので減債基金を借り入れて今年は乗り切ろうとか、つまり、2~3年たてば景気が良くなるということに賭けて先延ばしにしてきたという感はあると思う。そのツケはきていると思う。
【総務部長】
- そこは否定しない。
- 平成10年度に財政再建プログラム(案)を策定したとき、減債基金の借入れを収支に見込んだ。前回も、今回の財政再建プログラム(案)に匹敵するような取組みをしたが、計画を作った途端に税収がさらに落ち込んだということがあった。その穴埋めをするために減債基金の借入れを行い、それを続けると減債基金が枯渇するので、借換債の増発ということに至った。ご批判は甘んじて受けなければならない。
- 昨年度は、まさに、減債基金の借入れも借換債の増発も全部ストップし、従前の計画と比べ、取組み額が大幅に拡大。歳入・歳出合わせて1,100億円の改善が図れた。そういう意味では、まだ減債基金に返していないので全部ではないが、先送りした部分を取り返すことをスタートさせたということだと思う。
【赤井委員】
逆に、その部分が二重の負担になっているということだろうが。
【政策企画部長】
減債基金の借入れという禁じ手を使わざるを得なかった理由として、歳出コントロールは自分である程度厳しくできるが、歳入については、税が景気の変動によって落ち込むことがある。それを一定水準に保つべき役割をするのが交付税であるが、交付税改革のおかげでどんどん落とされていき、地方はこれ以上住民サービスを切れないという前提に立てば、何らかのキャッシュを得るため、減債基金からの借換えを行ったと言える。
【知事】
他の都道府県はここまで苦しんだのか。
【赤井委員】
兵庫県などはもっと苦しんだ。震災の影響はあるが。
【上山委員】
大阪府はプロジェクトに失敗したという原点をきちんと確認して議論しなければならない。りんくうタウンにしても数千億円規模で失敗した。その後の努力がなかなか成果につながらないという部分については、国の制度がおかしいとか、大企業の本社が東京に行ってしまったといった理由はあるが、失敗の事実からスタートしないと、いくら国の制度がけしからんと言っても、他の都道府県から見るとしらける。
【知事】
地方分権と言うときに、国民は、「地方分権というのは首長のための地方分権であり、本当に地方に任せられるのか」という疑問を絶対に持っている。大阪の職員給与のラスパイレス指数を過去に遡って見ると、かなり高い水準にあった。
【総務部長】
- 大阪府は極端に高かったわけではないが、府内市町村は高いところもあったと思う。
- 府の場合、人事委員会制度の下で、勧告に基づいてやってきたらその水準になったということ。市町村の場合はそういう制度がないので、高度経済成長期に人材確保のために相当給料を上げたという事実はある。
【知事】
そういうことを全て棚に上げて、「地方分権、地方分権」と言ってもしらけてしまう。
【上山委員】
- 昨年は、目の前に金がなく、とにかく1,100億円削りたいということでよかった。今年は、減債基金の問題を直視しようと思っているわけで、昨年の規模では収まらないということになる。そうなると、そもそもなぜ減債基金に手をつけるようなことをしてしまったのかという議論になる。
- そのときに、「りんくうタウンが原因。バブルの頃にいろいろなプロジェクトをやり過ぎたのは失政」ということをきちんと総括しないといけない。その上で、国の制度の不備についても話をし、府民の皆さんに負担を求めることがあってもいいと思う。過去の失敗について新聞には書かれているが、大阪府自らは総括していないのではないか。
【総務部長】
総括したかどうかは評価の問題だと思うが、昨年度、財政再建プログラム(案)づくりに取り組んだとき、知事の指示もあり、主要プロジェクトの失敗について、経過の調査も含めて要因分析に取り組んだ。
【上山委員】
減債基金に手をつけてしまった背景をきちんと示すべき。税収減ということは全国どこでも同じ。金額ベースで見ると、減債基金に手をつけた額は、プロジェクトの失敗で失ったお金とほぼ同じではないか。
【知事】
プロジェクトの要因分析については、私が就任直後にお願いしてやってもらったが、結局、手遅れ、手遅れが続き、撤退するのも遅れてズルズルいってしまったという事実が出てきた。確かに、これだけ苦しい元凶は何なのかというところは、昨年度あれだけ大騒ぎしてやったのに、はっきり府民の皆さんに示せていない。
【総務部】
財政再建プログラム(案)の中で、財政危機の要因分析をやっている。それから、りんくうタウン、箕面森町などのプロジェクトについても、プログラム(案)の中で一定示させてもらっている。
【総務部長】
上山委員のご指摘は、プログラム(案)の「財政危機の要因」の中に、府のこれまで行った行財政運営のツケみたいなものが示されるべきだということ。
【上山委員】
要因分析というのは、たとえば、減債基金に手をつけた額を100とると、その内の30は税収減で、50はプロジェクトの後始末だったといったことをわかりやすく示すこと。
【知事】
減債基金からの借入れが5,000億円程度であれば、そのうち税収減がどれくらいか。
【総務部】
毎年2,000億円借り入れており、府庁全体の予算は2兆円とか3兆円であって、そこに広く薄く充てられている。
【赤井委員】
財プロで1,000億を削減するのに相当苦労したということだが、2,000億円の借入れというのは、その時の見通しはどうであったのか。
【総務部長】
中期的に借入れをしながら収支改善をして、少しずつ返済しながら、将来的に解消していく計画であったが、経済状況が好転しないので、その時点で立てた収支見通しのハードルがさらに高くなった。
【上山委員】
収支見通しを、経済状況が好転することを前提に見込んでいるのではないか。
【総務部長】
税収の伸びはかなり厳しく見積もって収支見通しをたてているが。
【赤井委員】
しかし、2,000億円も借り入れてしまうと、後の返済が相当大変である。
【上山委員】
財政再建プログラムは既に実行中で、さらにその後の状況変化があれば、通常は、そのプログラムを改定してバージョンアップするのではないか。シミュレーションを見ると、プラスアルファで別のプランを上乗せするような発想になっているが、この点が理解しにくい。プランはシンプルな方が良いと思う。
【総務部長】
今回のプログラムの成り立ちは、20年度当初は暫定予算として、その後財プロを策定して、7月議会を経て本格予算を組んだので、財プロ自体が予算原案のようになっており、21年度及び22年度の事業についても決めきっている。よって、府としてプログラムの取組みは実行するし、財プロの中で結論が出ていないものについては、結論を出していくということで、まず、財プロの取組みを着実にすすめることが大前提である。それ以外の部分については、予算編成の中で議論して、財源をどう捻出するのかという取組みをせざるを得ず、今回はこの時期ということもあって、その内容までは詰め切れていない。
【上山委員】
粗い試算は単にシミュレーションしただけのものか。
【総務部長】
その試算は今年の2月段階のもので、来年度当初の予算編成に向けては、粗い試算を改定する必要があると考えている。
【上山委員】
・それはいつ出るのか。
【総務部長】
秋頃になる。
【上山委員】
- パターン2に踏み込むのかどうかについては、いつ議論するのか。
- 減債基金を返済するかどうかの意思決定は、どんな作業をして誰がいつまでにするのか。
【知事】
それは私が政治的に判断しなければならないこと。今の説明にもあったように、減債基金の返済ありきではなく、まずもって予算編成でやってみるということ。
【総務部長】
財プロの基本的な方針は、減債基金の返済を行うとなっている。なぜなら、パターン1では28年度に実質公債比率26.4パーセントになってしなうので、そこを回避するためには、パターン2でやらなければならない。これは財プロを策定する際の方針である。そういう意味では、パターン2で取組みを進めていくという方針は既に持っているが、さらにこれより落ち込むようであれば、まず、予算編成作業のなかで積み上げは行いつつ、まず、最低でも22年度の要対応額の440億円はクリアーしなければならない。あとどの程度そこに積み上げができるかということについては、先ほどの説明にあったように、読みきれないところがある。目標として720億円があって、それに向かって取組みを進めていくことは決まっている。
【赤井委員】
行政としては厳しく見積もっているほうだと感じる。選挙が終われば消費税増税の話も出してくるだろう。地方消費税も上がるという話もある。ある程度、平成25年までの税収は見込めるかもしれないが、要は、そういうことに頼らず、自律的にこれを越えていく、乗りきる案をつくろうとしていると感じる。
【知事】
- おっしゃるとおり、収支が変われば財プロを変えていかないといけないが、そうなると、就任直後の大騒動をもう一回するのかということになるので、これは固定している。
- でも、本当はそこを変えていかないといけない。
【総務部長】
上山委員のおっしゃるとおり、財プロ通りにできていないという現実がある。そこを踏まえて、今後どうするかという議論はある。
【上山委員】
私が言っているのは単純なことで、財政再建プログラムは1本しかないということ。昨年度のものと別に、今年度のものがあるなどということはややこしい。プランはシンプルでないといけない。昨年決めた原則は維持することを明確に。
【知事】
プログラムの上乗せで取り組むのなら、どこかを削りにかからないといけない。
【総務部長】
それは実際の予算編成作業でやる。
【赤井委員】
そこは府民に発信していくことが必要。削ることが全てではないと思うが、削ることで府民サービスが低下するなら、逆に負担はしてもらわないといけないとやっていけないというメッセージで府民がどう判断するか。その上で、知事が判断される。
【上山委員】
基本プログラムみたいなものがちゃんとあって、そのときどきの税収動向などで、その発動が若干遅れたり、返済ペースが変わったりするのは良いと思うが、基本プログラムをばっちり見せて、最終的には借金がこれだけ減ると、いつも同じ図を見せて議論しないと、話が分からなくなる。我々でもわからないのだから、府民はもっとわからない。
【知事】
わかりやすい組織マネジメントをしようすれば、これ1本でカチッとしないといけないが、行政の論理では、財プロの改定バージョンにあたるようなものは予算編成でやる。
【総務部】
そうせざると得ない実務的な理由は、税収動向がわからない、地方財政制度に沿ってやらないといけない、しかも年末にならないと国の予算が決まらない、というような変動要素が多過ぎて、それまでは確定的なシナリオが府として書けない。
【総務部長】
上山先生がおっしゃるように、財プロを22年まで作って、さらにそこから落ち込んでいるということで、財プロ自体を改定しましょうという作業は理論的にはありうるが、昨年やった大作業をやれるかというと、なかなか難しいので、予算編成の中でやっていく。23年度以降どうするのかというのは、財プロに匹敵するような取組みが必要になってくるだろうと思っており、今回別立てで書いている。
【知事】
そもそも「大きな方針」と言うのは、予算の数字、枠まで決めたいという趣旨だった。しかし、地財対策などの話をいろいろ聞いて勉強したら、これはムリだなと感じた。一体いくらの収入になるのか最後のギリギリまでわからない。結局、府が責任もって、お金も調達できて、税をはじめ権限があればパチッと決められるが、やはりそれはできないという話。それでもなお、どれぐらい削るかぐらいは大きな方針を立てたい。削るなら、財プロの部分のどの分野かというところをある程度決めなければならない。予算編成過程でやるということになると、そこは大きな方針がでない。まず、440億円は絶対やらないといけないが、この内どれだけ地財で埋め合わせされるかもわからない。
【総務部】
- 今の時点では、この“粗い試算”しかない。
- 8月末に地方財政の仮収支というのを総務省が出す。そこで交付税と地方債、だいたいこのくらいという荒っぽいものは出る。これを見ると増減が見込め、秋にも仮収支が出て、最後に分かるのは年末。段階的に見通しをつけていく。
【知事】
- 予算編成過程で調整するといっても、だいたいこのあたりを削りましょう、調整しましょうというものがでないと、一律とかになってしまうのでは。
【総務部長】
全部局一律と思っていないが、ある程度、要求の上限は設定しないと。その中で、蹴りだし作業をやってもらわないと出てこないだろうと思っている。
【知事】
その中で、この分だけは絶対確保してほしいとか、確保すべきだ、というのは大枠では決めておかないといけない。
【政策企画部長】
その点は、今日で結論が出せるものではない。
【上山委員】
- 政策創造の資料で気になったのは、部局長マニフェストとの関係。この会議でも何回か議論されてきて、役所が作るものとしては相当踏み込んでおり、問題設定、中身も意欲的で、よくできていると思う。それに比べると、今日の資料は、ショッピングリストみたいになっている。政策創造のパーツは、重点政策の羅列に見える。例えば、各部局長のマニフェストの項目を大中小にわけ、それを全部洗い出して議論していくと「政策創造」になっていくのかと思う。今の作り方では、何故このリストになっているのかがわからない。ここに載ると何の意味があるのか、載らないと重点じゃないのか。
- 昨年は「大阪維新プログラム」で、知事の施政方針が具体的になって出てきた。出すだけですごく意味があった。しかし、昨年の項目と今年の項目が何故違うのか、昨年の項目はどうなったのか、部局長マニフェストとの関係はどうなっているのか、という疑問が出てくる。
- 予算編成の下準備だということであれば、来年度予算の柱となる重要施策のリストということで金額とセットになって、規模の大きいものからか、また、もし新機軸だったらそういう打ち出しもあるだろう。しかし、このリストではそのあたりがわかりにくい。
【政策企画部長】
- 大阪維新プログラムを意識して盛り沢山なものにしたが、今は予算編成に向けての項目リストの段階。これから絞っていきたい。
- マニフェストは府庁の仕事の中で、挑戦課題として1%の部分を選んでいる。そのあたりとの整合性をどうとるか。また、どう予算と関連させてリソース配分をかけていくかどうかは今後検討していきたい。
【知事】
政策創造の「論点」については、これまで私が思っていることをどんどん投げかけた内容がベースになっており、それを集約したもの。その中で下線を引いているところについては、まだ議論が深まっていないので、委員からご意見を頂きたいもの。また、必ずしも予算が必要なものばかりでもない。
【政策企画部長】
このリストに載っているもの以外にも、議会からご提言を頂いている内容もあるし、そのあたりは今後、各部局とディスカッションしながら8月中に整理していく。
【上山委員】
昨年の「大阪維新プログラム」に記載した内容の総括はどうか。たとえば、昨年は重点だったものが今年入っていないということになると、それはどうなったのかということになる。
【政策企画部】
政策面では、マニフェストで一旦シャッフルとなったという整理になる。
【上山委員】
マニフェストと今回のリストの関係を少し整理しておいた方がよいと思う。
【永田委員】
マニフェストに載っているものについては既に議論されているものなので、庁内のコンセンサスは得られており、優先順位が高いということか。
【政策企画部長】
もちろんマニフェストの評価をした上でということだが、一定の議論はなされたものと理解している。
【上山委員】
挙げられている個別の中味はなるほどと思うものだが、それがなぜ選定されたかのプロセスを明確に示さないと府民にはわかりにくい。
【政策企画部】
部局長の立場からすれば、マニフェストで目標を設定し挑戦するというものの、その達成に向けた予算が確保されているかというと、必ずしもそうではないという現実がある。
【上山委員】
そうであれば、マニフェストに沿って部局としてはこういう予算を要求したいという過程、プロセスが見えないといけないと思う。
【知事】
「府政運営の基本方針」は、「これに基づいて予算を組んでいく」という大きな方針にすべき。
【総務部長】
「政策創造」にかかるものは重点政策枠ということで予算をつけようと考えているが、一方でどれだけ歳出削減していけるかが見えてこないと枠設定ができない。また、「ここに上がっていれば予算をつけてくれるのか」と言われると総務部としては辛い。
【上山委員】
先ほど知事から「地財が見えないから枠予算ができない」という話があったが、枠予算ができないのであれば、予算がそれなりにあると仮定して、知事ではなく、部局長をはじめ職員の皆さんで議論して重点的なものを選んでいくということは可能ではないか。
【政策企画部長】
委員ご指摘の点は、「政策創造」のP1の「留意事項」*の3つ目に記載している。未調整であるが、こういうリストがあり、それを22年度にどのような政策を実施するか例示して記載するとともに、財源の重点配分を行うための仕組みを提示する。9月議会でも十分議論した上で最終的には府の重点分野や具体的取組みを絞り込んでいきたいというのが肝。
【永田委員】
これから個々に予算をはじくということか。優先順位をつけようとしても、事業一つずつ、いくらの予算が必要かということを示さないとわからない。
【政策企画部】
論理的にはそうだが、現段階では、事業ベースまで落とし込んだ必要額は出ない。
【上山委員】
むしろ、これはとりあえずの重点政策リストのような形で理解し、早く全体像を描くような流れにすべき。8月31日には、項目の立て方と全体像が大切。
【企画室長】
31日の後には9月で議会があり、それを踏まえて絞込み作業が出てくる。
【赤井委員】
それまでに知事部局としての優先順位があるのではないか。
【永田委員】
議会で議論するときに、いくらかかりそうかわからないままで議論はできるのか。
【企画室長】
それぞれについては予算要求の段階で議論される。一方で、税収や財政状況も見えてくるので熟度が高まり、だんだんとボリュームが見えてくる。
【政策企画部長】
現実にお金を入れるのは予算査定であり、どのような事業をどう執行し、財源手当てをするかで当然変わってくる。
【上山委員】
- 項目を作るプロセスの正当性が必要。知事の思いで書くか、そうでないなら、プロセスをきちんと説明しなければならない。昨年は削るのもつけるのも知事の思いが大事な年であったが、今年はチームワークで、部局長マニフェストから根ざして各部局長が、「これだけは」というのを出して喧々諤々議論し、そのプロセスを見せていく必要がある。
- さらに、大阪自体が抱えている課題は山ほどある。だいたいの指標は全国最悪のものが多い。そういう問題をどうするのかを解きほぐしていく作業もいる。
- 総論がないと、リストだけ目次でどんと出てきても、府民から見るとわからない。
【木村副知事】
府政運営の基本方針だから、「内訳」ではなく「基本となる方針」が要る。もう一つ、市町村との対話が気がかり。
【総務部長】
それについては、「分権ビジョン」でも非常に大きな課題であるとしており、市町村と政策協議の場を作るという方針を出している。この「基本方針」についても8月下旬に議論する。
【永田委員】
府の優先順位は見せた形で市町村へいくのか。メニューだけ見せられてもわからない。
【上山委員】
基本方針があってそれからリストがある。たとえば「財政再建最優先」とか、「環境問題に力を入れる」とか、その種の大きな柱のようなもの。
【総務部長】
本日お示ししたのは、財政は財政、一方で個別施策があり、これらを融合して府としては全体をどうするのかということを示す必要はある。今回はそこに至る個別のものを議論いただこうとした。
【政策企画部長】
それを作っていくのがこれからのプロセスであり、ゴールは11月を目指す。そのために市町村と政策協議をする。決定したことを示すのではなく、自由に意見交換しながら共同していろんなものを作っていくということになる。
【上山委員】
ここに書かれている課題ごとの整理は、それぞれで見るといい内容になっている。しかし、全体を通した基本思想が見えないのが問題。
【知事】
項目については、私がこれまで言い続けていたことをピックアップしてくれている。
【小河副知事】
それを将来ビジョンに基づいてメニュー化したものになっている。
【企画室長】
府の場合、経常的施策は非常に数が多いので、その中でここに書いているものは「変革と挑戦」ということで抽出したもの。
【永田委員】
これを実現するにあたっての財源は。
【総務部長】
今は金が足りないとしかいえないが。
【赤井委員】
もう少し具体的に示して、優先順位をつけてほしい。
【知事】
目次に書いている項目は、私が今まで言ってきた話をまとめてもらったもの。私が部局長マニフェストの議論の際に言ったことも付け加わっている。その後検討を指示したことも。今後これに優先順位をつけて具体化するということで進めてほしい。
【上山委員】
その前の作業が必要。たとえば、知事は、教育について、他の知事より熱心に1年間取り組んできた。そういう取組みの中で、「では、どうして教育が大事なのか」は基本思想の一つになる。教育は全ての基礎。こういうことを基本方針に書かないといけない。新エネルギーも単なる環境対策ではなく、産業・ものづくりという視点で。これが本当の基本方針。その種のことを知事はいろんなところで発言されているし、皆も頷いて聞いている。相当回数、知事は口にしているが、そういうことがきちんと書けていない。
【政策企画部】
大阪の現状を分析する中において、説明する課題はこういうこと、だから教育だということだと思う。そういう観点から、資料1にあるように「社会経済情勢・府民生活の現状と課題」を踏まえた「基本理念・姿勢」というパーツを作成する。
【永田委員】
上山委員が言ったようなものがないと優先順位はつけられない。課題の背景を聞くから、「やっぱり教育にお金がいるよね」と思う人もいれば、「いやエネルギーでしょう」という議論ができる。
【知事】
- 今回の議論はすごくよかった。一般府民向けには自分の思いをたまに話しているが、職員の皆さんとこういう議論をしていない。就任以来1年半、知事レク等で細切れに職員と話してきただけ。
- 「なぜ、教育なのか」という背景について、メディアの報道では私の考えが出ているかもしれないが、私自身、東アジアの中で、韓国とインドと中国に高付加価値の仕事が取られて日本の子どもたちには単純な仕事しか回ってこなくなってしまうという思いが非常に強いから、教育が重要と言っている。教育は根幹。ボーダレス社会になると、上海やソウルが、いい仕事を全部持っていってしまうのではないかという危機感がある。だから、私は教育というメッセージを発している。
- こういう点を今までちゃんと職員と議論していかなければならなかったかなと思う。大阪の将来ビジョンを示す中で、私だけの思いではなく、職員や皆さんの思いも込めて、「なぜ、新エネルギーなのか」などといった点を議論する必要がある。
【木村副知事】
大阪の都市格を上げるような視点も必要。
【総務部長】
そういうご指摘は、「基本方針」のうちの「基本姿勢」の部分をどう組み立てるかということだと思う。
【知事】
委員の先生方にもこういう大きな話の方が議論しやすくいいかと思う。自分がやっていることがいいのか悪いのかも含めて。個別の施策の話になると担当部局の方がプロ。
【政策企画部長】
府政運営の基本方針について、我々も考えながら、また、先生方に個別にご相談しながら策定していきたいと思う。
【上山委員】
職員も知事と同じ目線で考えて、府民に伝えないといけない。国の「骨太の方針」では、方針に役人が一文字をどのように書き込ませて予算を確保するかという議論になっている。まさに、予算獲得の草刈場状態。それでは、本末転倒。
【政策企画部長】
- リソース(予算)配分の基本的な考え方を示すことが最大の結論だと思うので、そこも考えていく。また、市町村との意見交換は8月20日を予定。できれば8月31日に戦略本部会議を開催して素案のレベルまでもっていきたい。そこに至るにあたり、評価委員のご助言、ご指導を仰ぎたいと思っている。また、各部局長と十分に議論していくという段取りでやっていきたい。
- 本日の会議コストは、1時間30分で44万5,300円。