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平成20年度第15回大阪府経営企画会議 議事概要
- とき 平成21年2月5日(木曜日)10時5分から11時30分
- ところ 特別会議室(大)
- 出席者 知事、副知事、教育長、水道企業管理者、危機管理監、政策企画部長、総務部長、関係部局
議題 外郭団体に派遣された職員の人件費に関する補助金等のあり方について
総務部から資料をもとに説明。
【危機管理監】
補助金だけでなく委託料にまで問題が波及するのか?指定管理者に対する委託料であれば、相手が民間であっても人件費が含まれている。また、土地開発公社であれば、府が買い戻すときに一定の人件費を含んだ事務費を積んでいる。
【総務部】
委託料についても大阪高裁で係争中。近く判決が出る予定だが、難しいのではないかという感触。地裁でも敗訴している。
【危機管理監】
そうなると、各団体のプロパー職員の人件費もどこからでてくるのかということになるのでは。
【総務部】
プロパー職員の人件費は認められている。神戸市の事例は、随意契約。
【三輪副知事】
委託までダメだという理屈は確かに違和感があるが、あえて委託費として残さずとも、直接支給でいくという判断もできる。
【総務部】
リスクを避けるという意味では、直接支給すべき。
【教育長】
リスクヘッジをしようというのはわかるが、本来の派遣法の趣旨は、一定の要件に該当する場合は、堂々と府職員として派遣し、府が給与を支給すれば良いということ。その流れからすると、委託が随意契約的かどうかというファジーな基準で整理できるか。指定管理も含め、随意契約的でないから大丈夫という法論理的な理屈がきちんと成り立つのか。
【総務部】
悩んだのは、入札や公民協働で提案を受ける場合、民間は人件費も含めて額を提案してくる。それと差異を設けることが適当ではないか。
ただ、随意契約的な委託の場合、例えば住宅供給公社の管理代行であれば、人件費を含めての精算となり、まさに府職員の人件費を委託料で負担している。
【三輪副知事】
府としては、内容の精査は必要だが、安全サイドに立つしかないのでは。
時間外勤務手当を含めるかどうかについてはしっかり議論する必要がある。東京都が条例上で時間外勤務手当を対象としていないというのも、何か乗り越えられない障害があるということか。
【総務部】
執行に当たってはきっちり精査する必要があるが、時間外勤務手当も支給対象にしておかないと、いくつかの団体で対応不能になるおそれ。
たとえば、救命救急センターでは、ローテーション上どうしても時間外勤務が発生するようなかたちで委託契約を結んでいる。住宅供給公社でも同様。契約上、時間外勤務を求めておきながら、手当を支給できないという事態は避けるべき。
【教育長】
法律の趣旨が、派遣職員は派遣先団体の指揮命令に服するが給与は派遣元で支払えるというのであれば、時間外勤務手当であっても府が払うという構成にしないと仕方がないのでは。ただし、当初の自治省の条例準則で時間外勤務手当を対象外としているので検証する必要はあるが。
神戸市が高裁で係争中の案件が委託契約なのであれば、リスクヘッジという意味で、委託まで含めた方が良いと思う。
【政策企画部長】
派遣法はもともと、「団体の仕事をしているのだから給与は支給しない」というのが大原則。リスクヘッジとは言え、ほとんどの団体に給与支給ができるという結果は、これと全く矛盾する感じもある。判決が確定していない段階で、今この措置を行うということの方がリスクがあるのではないか。最高裁の判決が出るまで待てないほど、その間のリスクは大きいのか。
【総務部】
顧問弁護士の見解では、このまま放置することの訴訟リスクが高いと。
【知事】
仮に最高裁で判決がひっくり返ったとしても、僕には高裁判決の価値観が合う。府が無制限に時間外勤務手当を支払うのであれば、団体は責任感、コスト意識がなくなる。
先ほどの救命救急センターの話でいうと、当該派遣職員に独立行政法人の職員になってもらえばよいのでは。公務員身分を持ったままいくというのであれば、そこは厳格に法律の要件に照らし派遣をして例外的に給与を支給するのであれば、本給だけを出すべき。
業務内容を精査すれば派遣することができない団体が出てくるというが今回の判決。僕が個々の団体の業務を直接チェックしなくても、厳格に府の業務であるか否かを見て、府の業務でないという判断が出れば、その団体は府からの派遣でなくプロパーを雇えばよい。
派遣法の立法趣旨を厳格に解することにより、団体の側にもコスト意識が芽生えるはず。また、派遣する側も、本当にその業務が職員を派遣してまでやるべきものなのかを厳格に考えるようになる。そういう意味で、今回の判決は妥当であると思う。
【総務部長】
精査は当然していくべきと考えているし、行政の別働隊的な形で団体側に業務を委ねているものについて、府の直接執行に切り替えていく方向だと考える。ただ、時間外勤務手当分を含めて間口を広げたいと言っているのは、現状の仕組みの中で、例えば救命救急Cなどは府が委託して業務を担ってもらっており、不可避的に生じる時間外勤務については府が負担せざるを得ないのではないか。
【教育長】
身分は府職員、給与も府の負担、仕事は法人の業務、そういう「手弁当」的な日々出張の形態は非常に不透明な状態であったので、派遣法で業務が密接不可分で公共性の高いものについては地方公共団体が支給できるとされたもの。
今までは補助金や委託料が適切かどうかという財政的なコントロールを行ってきたが、今後は、職員を当該団体に派遣することが本当に適切なのかどうなのかという定数管理的な概念でチェックを行う必要がある。
ただし、実際に派遣する団体に対する条例上の手当としては、一定の用意をしておかないと、団体そのものが成り立たなくなるというような事態も生じかねない。
【政策企画部長】
派遣そのものは一定の条件を満たしておればよいが、人件費の扱いについては、団体が負担するのか本体(行政)が負担するのかをきちんと精査すべきというのが判決の趣旨。今回の事案はノーチェックで補助金として支出しているのが問題であると指摘されたのだと思う。
【知事】
派遣可能業務の概念の方が広く、その枠の中で給与支払いの概念はぐっと限定的。ところが補助金を支出してしまうと、公益性の名のもとに、派遣可能イコール給与支払い可能となってしまう。その問題点を指摘した判決であり、非常に明快。
【三輪副知事】
条例から時間外勤務手当の記載を外すということになると、支給できる可能性すら無くなってしまうので、現実の選択肢としては厳しいのではないか。
【知事】
時間外勤務に係る業務については、それを担うプロパー職員を団体が雇えばよいのではないか。
【総務部】
府の職員でないと担えない業務が存在するため派遣しているというのが我々の認識。
団体によっては100名近い府職員を派遣しており、急激にプロパー化したり、指定管理を導入したりするのは現実問題として無理である。
【知事】
絶対に府職員の派遣でないといけないのかどうなのかの精査が必要である。団体のプロパーで出来るのであれば、その分を見積もって団体に支払えば良いと思う。
【総務部】
整理の仕方として、時間外の業務を、派遣職員で対応するかプロパー職員で対応するかという議論はある。
しかし団体によっては、例えば土地開発公社のように夜間交渉があって時間外勤務が不可避というものもあり、すべてプロパーの職員で対応ということになると、規模の大きな団体でも厳しい。まして、規模の小さい団体では収入も少なく、派遣職員の時間外勤務手当は府が負担しないとなると非常に困難。
【知事】
プロパー職員なら、府として負担できる。
府の職員が団体の役職ポストを占める、また団体はコストを府に負担してもらう。大きな構造として、府と団体のそういう関係を絶って、財団としてもコスト意識をもってもらうというのが、あるべき姿。プロパー職員の士気の問題もあると思う。そういう点を整理する意味でも、高裁判決を契機にすべきではないか。
時間外勤務が課題というなら、できるだけプロパーの職員に切り替えていけばいい。派遣がどうしても必要なら、時間外勤務の必要のない職務につければいい。それが派遣法の趣旨ではないか。
【危機管理監】
それで、実際に団体として業務を運営していけるか。
【教育長】
府が時間外勤務手当を負担しないとした場合、救命救急Cはどうなるのか。府から派遣している医師に対して、どのような対応ができるのか。
【木村副知事】
私も、民間、自治体から派遣を受けた団体を立ち上げ、運営した経験がある。民間は手弁当、自治体からは人件費を補助金で受けていた。時間外勤務手当が負担されないと、結果的に、自治体派遣の人は団体の経営事情を考慮して、必要な業務でも時間外勤務の申請を遠慮してしまうことになりはしないか。
【知事】
団体の立上げ時など、府職員が必要だとしても管理職に限定できないのか。
【政策企画部長】
団体では人材確保が難しい場合もあるし、業務の永続性の視点からは、プロパー職員を多く抱えることにもリスクがある。
【危機管理監】
公社などは、公共的な業務として必要だが直営よりも効率的、民間資金の導入もできるという考え方に基づいて制度化されている。
団体の個別の状況の中で、府が派遣職員の時間外勤務手当を負担しないということにすぐに対応できるか。
【小河副知事】
土地開発公社には用地買収の専門職が多くいる。そこで、府派遣職員が管理職だけというのも、士気という点ではいかがなものか。
【知事】
派遣には団体側の同意も必要だから、プロパーが育てば派遣職員がいらないということもある。
【三輪副知事】
プロパー化を進めていく前提なら、時間外勤務手当以外も実績給は団体が負担という考え方もある。
【危機管理監】
原則はそう立てた上で、団体の状況によって例外的な扱いを考える必要がある。
【三輪副知事】
派遣職員の実績給を府が負担するとしても、時限的な扱いとするなど考える必要がある。
現実的に、4月から時間外勤務手当の府負担をカットするのでは団体が運営できないおそれがある。府の考え方を徹底させるという意味で、時限措置の間にできるだけプロパー化するということは、政策論として考えられる。
【総務部】
派遣職員で団体業務の増減を調節している点もあり、すべてをプロパー化するのは難しい。
【知事】
大きな方向性としては条例を改正するとして、派遣職員の時間外勤務手当部分を府が負担することとした場合、その違法性を問われることはないか。
【教育長】
派遣法では「条例の定めるところにより給与を支給することができる」とある。準則で、当時の自治省が時間外勤務手当などを除いている。その趣旨は確認が必要だが、労働への対価なので、条例に委ねられており、条例で定めれば違法ということにはならないのではないか。
【知事】
条例で議会のチェックを受けるという理解か。議会には、状況をよく説明する必要がある。
【木村副知事】
今ちょうど財団の予算理事会の準備時期であり、決めるなら早く決めないといけない。
【政策企画部長】
時間外勤務手当を支給するなら、府がコントロールする手法を考えておく必要がある。
【総務部長】
実際に負担するのは、極めてまれなケースと思っている。
【水道企業管理者】
運用の中に歯止めの装置をいれる必要がある。
【三輪副知事】
負担する側と、時間外勤務命令を出す側が違うということになると、ちぐはぐなことになる。
【知事】
そこをこれからチェックしなければならない。時間外勤務手当も団体ごとに何が必要なのか厳格に見ていかないといけない。
【水道企業管理者】
条例の改正理由をどう説明するか。条例上、支払う手当が増えるように見える。これをどういう風に説明し、コントロール装置をどう効かせるのかというのをいかに説明するかが重要。
【危機管理監】
前段について言えば、手当の種類が増えるというよりも、委託料を直支給に切り替えることに伴う話だという説明。
【水道企業管理者】
そうすることによるメリット、デメリットの話になったときに、団体固有のコスト縮減動機というものが薄まりはしないかという危惧に対してはどう説明するか。
現実と向き合う中で、時間外勤務が発生する例外もあるので制度の間口は広げておきたい。運用は今以上に厳しくしたい。という両方の説明が必要。
【知事】
確かに、実績給を負担するだけということであれば、大きな自立化につながらない。目指すべきところは、府の職員を一定期間派遣したとしても、プロパー職員を育てながら団体を育てて自立化させる。
ただし、すぐにはできないので、3年くらいの間で、府職員を引き上げるのか、府の職員を団体のプロパー職員にしてもらうのかを整理し、その間だけは実績給を府から払わせてもらうという方向。
最高裁で判決がひっくり返るかもしれないが、どのような判決が出ても府としてはこの方向性で。
【三輪副知事】
3年くらいで目指すべき方向を宣言してもらい、その間に努力する。3年で本当にゼロに出来るかということはあるが、見直すという意味での時限設定。
ただ、時間外勤務を命令する側と負担する側が違うというのは、実際にはやり辛く、調整・コントロールが必要。
【総務部】
時間外勤務については、どういう業務に携わったのか、実績は細かく取らないといけないと思う。
【教育長】
派遣協定にどう定めるか。
【総務部長】
では、条例改正案を用意する方向で進めさせていただく。
【知事】
まずは、補助金で出すということは止めてもらう。その上で、この間の経過をきちんと対外的に説明したいので、方針を整理してほしい。
府として給与の支給が可能な職員以外の派遣は全部見直すというような大きな方向性を出してもらって、そこへ向かう例外的な時限措置として今回の条例がある、というように位置づけてほしい。
【政策企画部長】
今日の会議コストは、34万4千円。