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令和元年9月26日 知事議案説明(要旨)
令和元年9月定例府議会の開会にあたり、府政の課題に対する私の考え方を申し述べさせていただきます。
知事就任後、5ヶ月が経ちました。日本で初開催となったG20大阪サミットは、府民・事業者の皆様の多大なご協力により、成功を収めることができました。
大阪が世界最高峰の会議を、安全かつ安心に開催することができる都市であることを証明し、また、各国首脳をはじめ海外メディアに対し、大阪・関西のおもてなしや、多彩な魅力を発信しました。子どもや若者たちの将来にとっても、サミットを通じて得た経験は、貴重な財産です。
さらに、7月には、大阪初の世界遺産として、百舌鳥・古市古墳群の登録が決定されるなど、世界に大阪をPRするための追い風が吹いています。
体制面からも、堺市が新たに副首都推進本部に加わり、戦略的な観光振興に府と政令市が一体となって取り組むなど、大阪のさらなる成長に向けた環境が整いました。
先日、イギリスの雑誌「エコノミスト」が発表した、世界主要都市の安全性や、住みやすい都市を評価したランキングでも、ともに高い評価を得るなど、世界の中で「OSAKA」の存在感がますます向上しています。
成長・発展の大きなインパクトとなる2025年大阪・関西万博を控え、大阪は今、まさに、次のステージへの飛躍に向けたターニングポイントを迎えています。サミットで得た成果も糧に、国内外の人々を魅了する都市として、さらなる高みをめざしていかなければなりません。
万博開催を一過性のものとせず、そのインパクトを最大限に活用し、2025年のその先の将来を見据え、大阪のあるべき将来像と、それに向けた施策の羅針盤となるビジョンをしっかりと描き、一つ一つの施策を着実に進めていきます。
開催にあたっては、2025年日本国際博覧会協会による基本計画の検討と連動し、府内各地のアクセス整備や危機管理能力の向上、来阪者に対するおもてなし力の強化、先端技術の実装など、成功に向けて全力で取り組みます。
万博のテーマである「いのち輝く未来社会」は、「誰一人取り残さない持続可能な世界の実現」をめざす、まさにSDGsが達成された社会です。健康寿命の延伸や10歳若返りに向けた取組み、子どもの貧困対策やバリアフリー化の推進、サミットで共有された「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を踏まえた海洋プラスチックごみ対策のほか、ヘイトスピーチの禁止や性の多様性の理解増進に対応できる共生社会の実現など、世界の先頭に立って「SDGs先進都市」をめざします。
あわせて、新たな技術を用いて都市が抱える課題に対応し、住民生活の質を向上させるスマートシティの実現をめざします。大阪モデルのスマートシティの確立に向け、今年度中に戦略を取りまとめ、未来社会を先取りする施策を展開していきます。
民間の力や、経済界をはじめ、国、関西各府県、市町村などの様々な主体とともに力を合わせ、大阪が未来に向かって持続的に成長し、府民一人ひとりが「豊かさ」や「安全・安心」を実感できる社会へ発展させるための基盤を作り上げてまいります。
こうした、大阪の将来にわたる持続可能な成長・発展の基盤となるのが大阪都構想です。
法定協議会が再開され、新たな大阪の都市の形を議論する土台は固まりました。より良い制度案を作り上げ、府民の皆様の理解を得るとともに、住民投票により都構想が実現するように、最大限の力を注いでいきます。
そして、大阪都を核に、東西二極の一極として、日本の未来をけん引する「副首都・大阪」へと力強く前進させていきます。
2025年、そしてその先の将来を見据え、成長を加速する取組みを推進していきます。
万博とともに、大阪・関西の経済成長のエンジンとなるのがIRです。「世界最高水準の成長型IR」をめざし、実施方針の策定や事業者の公募・選定、ギャンブル等依存症対策をはじめとする懸念事項への対応など、万博前の開業に向け、他都市に先駆けた取組みを推進してまいります。
港湾・空港の国際競争力をさらに高めていきます。
港湾管理の一元化に向けた取組みを進めるとともに、万博会場やIR立地の場となる夢洲を含めた、ベイエリアのまちづくりにも取り組んでまいります。
また、関西国際空港については、先日、国に対し、防災機能の強化の推進や、発着容量拡張の可能性の検討など、空港の強化に向けた要望を行いました。関空が大阪・関西の活性化や、にぎわいづくりにさらに貢献し、世界の諸空港に伍する国際拠点空港になるよう、経済界や関係自治体、関西エアポート株式会社などの関係機関とも取り組んでまいります。
さらに、健康・医療関連産業の世界的なクラスター形成をめざし、彩都、健都での取組みに加え、中之島地区での未来医療国際拠点の形成に向け、産学官が連携し、拠点の運営法人の設立や拠点が担う機能の具体化を図っていきます。
革新的なイノベーションにより大阪産業の成長を担うスタートアップへの支援などにも力を注ぎ、国が進める「スタートアップ・エコシステム拠点都市」に大阪が選定されるよう、取組みを加速させていきます。
将来の大阪にとって、何より欠かせないのが「人」の力です。子どもたちの健やかな成長を支え、果敢にチャレンジできる、自立した人材を育めるよう、学力・体力などの課題をしっかりと受け止めて、教育力の向上に全力で取り組みます。
いじめ問題に対しては、未然防止、早期発見、早期対応により、子どもや保護者の気持ちに寄り添った支援、援助ができるよう、これまで以上にしっかりと取り組んでまいります。
大阪府立大学と大阪市立大学の統合に向け、両大学が持つポテンシャルを結集し、大阪の発展に貢献する知の拠点をめざします。人口減少・高齢化などの都市問題の解決や産業競争力の向上につながる機能の強化、森之宮におけるキャンパスの整備も含め、検討を進めます。
さらに、大阪の学生が親の経済事情や家庭の個別事情などで進学を諦めることなく、チャレンジできる機会を提供できるよう、子育て世代への支援として、府大・市大の授業料等の無償化について、詳細な制度案を固め、来年度からの入学者を対象に実施してまいります。
命を守る取組みに、より一層注力し、府民の豊かな暮らしを支え、成長の基盤となる安全・安心のレベルを格段に向上させます。
昨年は、地震、豪雨、台風など、多くの災害に見舞われました。また、先日の台風でも、千葉県で停電や断水など多大な被害が発生しています。いつ起こるか分からない災害に備え、引き続き、災害対応力の強化を図っていきます。
今議会に提案しました森林環境税条例の改正により、近年の豪雨災害などで得られた新たな知見に基づく森林の土石流・流木対策に加え、災害並みの猛暑から府民の命を守るため、都市緑化を活用した猛暑対策を実施してまいります。
さらに、府民や事業者のみなさんに対する「災害モード宣言」や、庁内の情報伝達・共有を図るツールとして、「LINE WORKS」を新たに導入いたしました。災害に対する意識向上を図り、初動段階から迅速かつ適切な災害対応につなげていきます。
虐待により子どもの尊い命が奪われることがあってはなりません。新たに設置した「大阪児童虐待防止推進会議」のもと、重大な児童虐待『ゼロ』をめざし、虐待事案の未然防止、早期発見、早期対応にオール大阪の体制で強力に取り組んでいきます。
全国で相次ぐ高齢運転者による痛ましい事故の防止に向けては、先般、国に対し限定条件付免許制度の創設などの要望を行いました。府としても、国の制度が改正されるまでの緊急対策として、高齢者の安全運転を支援する制度を検討してまいります。
誰もが自分らしく生きることができる社会の実現に向けた取組みを推進します。
重度の障がいがある方について、国の制度では、通学や通勤、営業活動などに係る外出は、支援の対象外となっていますが、子どもたちが学べる環境や、働きたいと願う方々への支援策の拡充が必要だと考えています。
重度の障がいがある方の通学や就労時の支援について、府独自の制度の検討を進めていきます。
以上、府政の課題について、私の考えを述べさせていただきました。
先日、アジア初開催となる、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開幕しました。ラグビーには、「ONE FOR ALL ,ALL FOR ONE」という言葉があります。目的に向かって皆が持てる力をひとつに結集することが大切です。
私の使命である「世界の中で躍動し、成長し続ける大阪」の実現に向けて、オール大阪で邁進してまいります。
次に、今次定例府議会に提出しました第1号議案から第43号議案まで、第1号報告から第17号報告までについて、その概要を説明します。
第1号議案及び第2号議案は、令和元年度一般会計及び特別会計の補正予算案で、既決予算編成後において生じた情勢の変化に伴い、緊急に措置しなければならないものに対応するため、1,749万円を増額補正するものなどです。
その主な内容は、IRの早期開業に向けて、選定された事業者が速やかに事業着手するため、環境アセスメントにかかる現況調査を実施するための経費です。
このほか、債務負担行為補正として新たに債務負担行為を設定するもの1件、阪南臨海地区の土地を売却するもの1件です。
第3号議案から第18号議案までは、事件議決案で、地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものです。
第3号議案から第7号議案までは、道路改良事業などについて工事請負契約を締結するものです。
第8号議案は、工事請負契約変更の件であり、都市河川改良事業に係る契約金額を変更するものです。
第9号議案は、府警察職員の職務執行に係る損害賠償請求に関し、損害賠償の額を決定し、和解するものです。
第10号議案は、大阪府立病院機構に不動産を出資するものです。
第11号議案は、無線設備規則の改正に伴い、警察無線機の更新を行うものです。
第12号議案は、府営三原台第1住宅用地の一部を売却するものです。
第13号議案は、地方独立行政法人法の改正に伴い、公立大学法人大阪運営協議会規約を変更するものです。
第14号議案は、組織再編に伴い、大阪産業技術研究所評価委員会共同設置規約を変更するものです。
第15号議案及び第16号議案は、土地の出資等及び財産の除却に伴い、地方独立行政法人の定款の一部を変更するものです。
第17号議案は、大阪府立環境農林水産総合研究所が今後4年間において達成すべき業務運営等にかかる目標を定めるものです。
第18号議案は、大阪高速鉄道株式会社の軌道敷設工事施行認可申請に係る軌道が、府道大阪中央環状線に敷設されることに対して、道路管理上支障がなく、同意する旨回答するものです。
第19号議案から第41号議案までは条例案で、新たに制定するもの2件、全部を改正するもの1件、一部を改正するもの19件、廃止するもの1件です。
その主なものについて説明します。
第19号議案は、全ての人の性的指向及び性自認の多様性が尊重され、自分らしく生きることができる社会の実現に資することを目的として、府の責務等について定めるものです。
第20号議案は、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進にかかる施策を実施し、相互に国籍や民族を尊重し合いながら共生できる社会の実現に資することを目的として、府の責務等について定めるものです。
第21号議案は、題名を改正するとともに、目的に暑熱環境の改善等を追加し、個人府民税の均等割の税率に300円を加算する期間を延長するものです。
第23号議案は、55歳に達した日の属する会計年度の末日を超えて在職する職員にかかる昇給の標準となる号級数について、2号給を0とするものです。
第24号議案は、府が実施する人権施策の推進に協力するよう努めること等、府民及び事業者の責務について定めるものです。
第32号議案は、卸売市場法の改正に伴い、地方卸売市場の開設等の認定に係る手数料を新たに設定するものです。
第36号議案は、大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画に基づき、大阪府立大阪わかば高等学校を設置するものです。
第38号議案は、道路交通法施行令の改正に伴い、運転免許試験等にかかる手数料を新たに設定するものです。
第41号議案は、卸売市場法の改正により、条例で定めることとされていた地方卸売市場の開設の許可の手続等が削除されたことに伴い、条例を廃止するものです。
その他の条例については、関係法令の改正に伴い、所要の改正を行うものなどです。
第42号議案及び第43号議案は、人事案件です。
第42号議案は、人事委員会委員 田中宰氏の任期が令和元年10月11日に満了となりますので、北市哲朗氏を新たに選任いたしたく、地方公務員法の規定により同意をお願いするものです。
第43号議案は、監査委員 岸本佳浩氏の任期が令和元年10月31日に満了となりますので、同氏を再任いたしたく、地方自治法の規定により同意をお願いするものです。
第1号報告から第6号報告までは、地方自治法第180条第1項の規定により、議会から委任をいただいている事項について専決処分にしましたので、同条第2項の規定により報告するものです。
第7号報告から第17号報告までは、法律や条例の規定により法人の経営状況などを報告するものです。
以上、ご審議を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。