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更新日:2014年8月22日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第236号)

「研修資料著作権関係文書不存在非公開決定異議申立事案」他2件

(答申日 平成26年8月22日)※別紙2~別紙10は省略

第一 審査会の結論

実施機関(大阪府知事)の決定は、いずれも妥当である。

第二 異議申立てに至る経過等

  1. 別紙1番号1の事案
    平成22年12月10日、異議申立人は、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、大阪府知事(以下「実施機関」という。)(担当部署:総務部人事室人事課(以下「人事課」という。))に対し、「職員研修資料の非開示理由(著作権関係等)の文書全部」の公開を求める請求(平成22年度受付番号第1134号)を行った。
    同年12月17日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
    平成23年1月21日、異議申立人は、この決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。
  2. 別紙1番号2の事案
    平成23年2月16日、異議申立人は、条例第6条の規定により、実施機関(担当部署:府民文化部府政情報室(以下「府政情報室」という。))に対し、「職員間(担当者間)の食い違い有るのを未解決で、構わない規定が判る文書。」の公開を求める請求(平成22年度受付番号第1455号)を行った。
    同年3月2日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
    同年3月23日、異議申立人はこの決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。
  3. 別紙1番号3の事案
    平成23年2月16日、異議申立人は、条例第6条の規定により、実施機関(担当部署:福祉部子ども室家庭支援課(以下「家庭支援課」という。))に対し、「監護養育権が、判る文書」の公開を求める請求(平成22年度受付番号第1457号)を行った。
    同年3月2日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
    同年3月23日、異議申立人はこの決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。
  4. これら3件の異議申立ては、いずれも実施機関が行った不存在による非公開決定について、これらの決定が誤りであると主張するものであることから、当審査会においては一括して審議を行い、判断を行うこととした。

第三 異議申立ての趣旨等、異議申立人の主張について

別紙1の本件各異議申立てにかかる、異議申立て及び反論書等の内容は、下表記載のとおりである。

意義申立書及び反論書等

異議申立事案の番号(別紙1)

異議申立書

反論書等

1

別紙2

別紙3

2

別紙4

別紙5

3

別紙6

別紙7

第四 実施機関の主張について

別紙1の本件各異議申立てにかかる、実施機関の弁明書における主張は、下記記載のとおりである。

弁明書

異議申立事案の番号(別紙1)

弁明書

1

別紙8

2

別紙9

3

別紙10

第五 当審査会の判断理由

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。

2 別紙1番号1の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、異議申立人が実施機関に対し、職員研修資料の公開を請求した際に人事課職員が著作権について言及したことに関連し、「職員研修資料の非開示理由(著作権関係等)の文書全部」を求めてなされたものである。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    職員研修資料の公開請求を行った際に、情報公開請求に対する決定で著作権を理由として非公開とする場合など考えられないのに、人事課職員が著作権を理由として公開できない可能性があると長時間説明した。私はそのおかげで無駄に時間を費やした。これだけ長い時間説明したのだから、何か根拠があるはずだ。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    同日付けで請求のあった職員研修資料に、研修講師個人や研修専門機関等法人が作成した資料が含まれていたことから、念のため著作権を理由に公開できない場合があることに言及したものである。この職員研修資料の公開請求について、実際には著作権を理由に非公開とすべき部分はなかったので全部公開決定を行った。本件請求に対しては、著作権に関する文書は作成していないから、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断

条例における著作権の扱いについては、大阪府情報公開条例解釈運用基準に記載されているが、これは府民の利用に供することを目的として府政情報センターで開架しており、一般に容易に入手・閲覧が可能なものであるから、条例第2条第1項ただし書により行政文書には当たらないため、公開を求めることはできない。また、その他には異議申立人の求める文書は存在しないとする実施機関の主張に不自然・不合理な点はない。よって、異議申立人の主張には理由がない。

3 別紙1番号2の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関(担当部署:府政情報室)及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、公立中学校に通学していた生徒が転校するにあたって、退学扱いとなり、未就学期間が生じた事案に関連して、異議申立人が私学・大学課、児童家庭室や教育委員会の職員とのやり取りに関し、「職員間(担当間)の食い違い有るのを未解決で、構わない規定が判る文書。」を求めてなされたものである。
なお、本件請求と同日付けで教育委員会宛にも同様の請求がなされ、不存在による非公開決定がなされている。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    公立中学校に通学していた生徒が転校するにあたって退学扱いとなり、未就学期間が生じた事案について、ある市の教育委員会の発言と府職員間の発言に食い違いがある。職員間の発言に不整合が生じていることが認められるのであれば、その根拠があるはずだ。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    異議申立人が求める規定を所管する部・室(課)が存在しないため、府政情報室が本件請求の決定を担当したが、異議申立人の求める規定は存在しないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断

異議申立人の求めるような規定が存在すると考えられる特段の事情は認められないから、異議申立人の主張には理由がない。

4 別紙1番号3の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関(担当部署:家庭支援課)及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、公立中学校に通学していた生徒が転校するにあたって、退学扱いとなり、未就学期間が生じた事案に関連し、担当部署を家庭支援課と指定して、「監護養育権が、判る文書」を求めてなされたものである。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    「監護養育権」は、児童福祉法や児童虐待防止法と関係があるから、家庭支援課がこれに関する通知文書等、何も文書を保有していないのは不自然である。「監護養育権」という用語の定義付けがされた文書が存在していなければ、実施機関が子どもの保護者、親権者が適正であるかの検討もできないのではないか。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    異議申立人の求める文書は、異議申立人とのやり取りから、民法第820条に規定されている監護及び教育の権利義務について記載された文書であると解して文書の特定を行ったが、家庭支援課は民法第820条を所管していないため、行政文書として作成・取得しておらず、異議申立人の求める文書は存在しないから、不存在による非公開決定を行った。
    なお、本件決定の通知書を送付する際に、異議申立人に民法第820条の条文の写しの情報提供を行った。
(3)判断

以上のことからすると、異議申立人の求める文書は「監護養育権」という法律上の用語の説明資料であると解される。かかる内容についての記載がある市販の逐条解説書等の資料を実施機関が保有している可能性を否定することはできないが、不特定多数の者に販売することを目的として発行されている資料は、条例第2条第1項ただし書により行政文書には当たらないから、これらの公開を求めることはできない。また、このような資料とは別に実施機関が異議申立人の求める文書を作成・保管していると考えられる特段の事情も認められない。よって、異議申立人の主張には理由がない。

第六 結論

以上のとおり、異議申立人の主張には、いずれの異議申立てにも理由がないから、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

主に調査審議を行った委員の氏名

野呂充、松本哲治、小谷寛子、三成美保

別紙1へのリンク(PDF:34KB)

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