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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第207号)
調節池関連文書不存在非公開決定等異議申立事案
(答申日 平成23年8月31日)
第一 審査会の結論
実施機関の決定は妥当である。
第二 異議申立ての経過
- 平成22年11月9日、異議申立人は、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対し、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、次の行政文書についての公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
和田川光明台調節池設置に関し、- (1)光明台調節池(河川)の宅地用地から公共用地への都市計画変更の法手続と許可(認可)図書一切(以下、「本件請求1」という)。
- (2)同調節池の建設に伴う事業者(府)と和泉市行政機関及び地元との協議書のすべて(以下、「本件請求2」という)。
- (3)地すべり事故に伴う関係者との協議書のすべて(以下、「本件請求3」という)。
- 同年11月24日、実施機関は、本件請求1について条例第13条第2項の規定に基づき(1)のとおり不存在による非公開決定を行うとともに、本件請求2及び本件請求3について条例第13条第1項の規定に基づき(2)のとおり部分公開決定を行い、それぞれ、理由を付して、異議申立人に通知を行った。
- (1)本件請求1についての不存在による非公開決定(以下「本件非公開決定」という。)
- ア 公開請求に係る行政文書を管理していない理由
本件請求1に係る行政文書については、取得又は作成していないので、管理していない。
- ア 公開請求に係る行政文書を管理していない理由
- (2)本件請求2及び本件請求3についての部分公開決定(以下「本件部分公開決定」という。)
- ア 本件請求2又は3に対応する行政文書
- (ア)15-46-22074 光明台調整池物件調査委託 報告書11
- (イ)15-46-22074 光明台調整池物件調査委託 報告書11
- (ウ)平成12年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (エ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事後家屋調査確認書
- (オ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (カ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (キ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (ク)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (ケ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (コ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (サ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (シ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (ス)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (セ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (ソ)平成13年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (タ)15-46-22074 光明台調整池物件調査委託 報告書3
- (チ)16-46-22572 二級河川 和田川 光明台調整池物件調査委託 報告書 事後 家屋番号3
- (ツ)16-46-22572 二級河川 和田川 光明台調整池物件調査委託 土地調査報告書 家屋番号3
- (テ)弁護士への補償額についてのファックス送信記録
- (ト)平成18年度 二級河川和田川 光明台調節池整備工事に伴う工事損失補償
- (ナ)対象者からの見積
- (ニ)二級河川和田川光明台調節池整備工事に伴う騒音・振動調査
- イ 公開しないことと決定した部分
個人の氏名、住所、電話番号、居宅の状況及び補償内容 - ウ 公開しない理由
大阪府情報公開条例第9条第1号の規定に該当する。
本件行政文書(非公開部分)には、個人の氏名及び居宅の状況等が記録されており、これらは特定の個人が識別される個人のプライバシーに関する情報であって、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるものに該当するため。
- ア 本件請求2又は3に対応する行政文書
- (1)本件請求1についての不存在による非公開決定(以下「本件非公開決定」という。)
- 異議申立人は、平成23年1月19日、本件非公開決定及び本件部分公開決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対して異議申立てを行った。
第三 異議申立ての趣旨
1 本件非公開決定
この「公開請求に係る行政文書を管理していない理由」が“本件請求に係る行政文書については、取得又は作成していないので、管理していない。”とされています。しかし、この様な行政文書の不存在の理由は不適切である。よって、不存在による非公開決定通知の処分を取り消すか、適切な行政文書不存在の理由の追記訂正への決定を求める。
2 本件部分公開決定
上記枠内マル2、3項(下記注)に当る、「一部を公開することを決定した行政文書の名称」の別紙「行政文書の名称(参照添付)」一覧内にはマル2項関係の行政文書が公開されておりません。
よって、マル2項を追加公開されるか、適切な行政文書不存在の理由を明記し、不存在による非公開決定通知の決定を求める。
(注)マル2(本件請求2)同調節池の建設に伴う事業者(府)と和泉市行政機関及び地元との協議書のすべて。
マル3(本件請求3)地すべり事故に伴う関係者との協議書のすべて。
第四 異議申立人の主張要旨
異議申立人の主張は概ね以下のとおりである。
1 異議申立書における主張
(1)本件非公開決定
- ア 大阪府情報公開担当所管からの説明において、行政文書(情報)の作成及び保全は大阪府の各組織単位で行い、具体的な公開行為は各担当所管が行なうとされています。よって、今回も「土地利用変更協議担当所管の都市整備部総合計画課並びに税務室」が担当と推定されますが、当方は情報公開担当者の立会いを基に鳳土木事務所河川砂防グループ担当者(以後は鳳土木担当者と記す)と文書の特定のための協議を行なっております。しかし、他所管(税務室や総合計画課、他)にも文書特定の説明と所管業務内容等のヒヤリングなくしての不存在による非公開決定通知書(以後は不存在非公開通知書と記す)では、真摯に調査されたのか疑問である。該当案件の所管課として、大阪府のウェブ上では都市整備部総合計画課の主な業務内容で「土地利用計画に関すること。」や税務室の主な業務内容で「税務に係る総合企画及び調整に関すること。」と明記されながら、土地利用変更協議業務や市税(固定資産税及び都市計画税)の減収の強要を、税のプロ等の業務担当所管でない「鳳土木事務所河川砂防グループ」が不存在非公開通知書を提示(専門所管の意見書添付なく)されているのも、行政の公文書公開業務の説明と実態が不整合で真摯な対応とは思えない。(所管外の所管が回答するのは本末転倒であり、担当所管の業務放棄ともなり、それが理由なき業務放棄であれば、知事による庁内ガバナンスのためにも、その所管の長は更迭されるべきである。)
- イ 今回の、「公開請求に係る行政文書を管理していない理由」にも明記された「本件請求に係る行政文書については、取得又は作成していないので、管理していない。」とされています。しかし、取得又は作成していないのは単なる行為であり理由ではありません。 重要なのは、取得又は作成しなかった理由の明記(法令遵守した、河川法や都市計画法並びに府条例・規則・運用、等の何条何項によったかの記載が必須である。)を求めております。これでは、行政所管の法令遵守なき思いを行政文書公開請求者に強要されるのみである。
- ウ 文書特定時に説明しましたが、如何なる理由で、地域(和泉市)行政の行政経営財源である市税(固定資産税及び都市計画税)の減収(市税務課概算:約750万円/年)を伴う事業で、地域(和泉市)行政管理者と事業者(公共事業:光明池調整池建設事業)との協議や調整並びに地域住民(市民)への説明責任なき、実施可能事業は法治国家の地域行政(市・府)ではありえません。この事実(法令遵守なき)を肯定される地域(市・府)行政であれば、無法地帯(国家)であり地域(市・府)行政の市民及び府民への裏切りである。
- エ 当該行政文書公開請求の関連回答、平成22年12月22日付(鳳土第5404号)の別紙「二級河川和田川流域調節池に係る光明台調節池について(回答)」より。
- 二級河川和田川流域調節池(光明台調節池)として平成9年11月に建設大臣認可されたと明記されているため、その認可図書の追加公開を求める。
- 二級河川和田川流域調節池(光明台調節池)を都市施設と定めていないとされた図書の追加公開を求める。
- 光明台新住宅市街地開発事業が完了すれば、都市計画決定の目的達成し、新たな調節池の設置において、都市計画法及び新住宅市街地開発法上の制限はなく、都市計画法上の変更手続を行う必要がなかったとする。根拠図書(決裁書)及び法令条文の追加公開を求める。
(2)本件部分公開決定
本件請求事項2及び3に当たる、「一部を公開することを決定した行政文書の名称」を別紙「行政文書の名称(参照添付)」一覧の通りに開示されている。
〈異議申立ての理由その1〉
「一部を公開することを決定した行政文書の名称」から、更なる行政文書が存在すると判断されるため。
〈異議申立ての理由その2〉
趣旨に記載の、別紙「行政文書の名称(参照添付)」一覧内にはマル2項関係の行政文書が公開されておりません。
(3)本件非公開決定及び本件部分公開決定について
行政公文書不存在による非公開の理由として、法令及び条例並びに規則・要綱、等々の適合法令の提示をもって、行政公文書不存在の理由とされることが、府民の厳粛な信託によった地域(大阪府)行政である。
しかし、この「不存在による非公開決定通知書」や「部分公開決定通知書」では、大阪府鳳土木事務所河川砂防グループの一方的な思いの強要でしかありません。これでは、大阪府情報公開条例の前文及び第1条(目的)である、「行政文書及び法人文書の公開を求める権利を明らかにし、行政文書及び法人文書の公開に関し必要な事項を定めるとともに、総合的な情報の公開の推進に関する施策に関し基本的な事項を定めることにより、府民の府政への参加をより一層推進し、府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民の福祉の増進に寄与することを目的とする。」が遵守されているのか疑問である。
(4)参考
≪都市計画法の運用指針≫
<調整池の取扱い:P250参照 P248から249も参照されたい>
調節池については、都市計画法第11条1項11号の政令で定める施設の「防水の施設」として都市計画決定する。なお、調節池から流出する河川について、改修計画がある場合はその部分を河川として都市計画決定する。よって、行政及び日本国民は、日本国法のすべての法令遵守が原則であり、河川法に明記(地域行政との協議や都市計画法の遵守)なければ、他法(都市計画法に記載事項、等)を遵守しなくてよいものではありません。
≪大阪府情報公開条例の前文≫略
2 反論書における主張
(1)反論書の趣旨
大阪府知事(以後は府と記述)の弁明書は、法及び条例、規則・要綱・指針、等々の歪曲解釈と解される行政執行や立証なき論述では、府政の府民に対する説明責任が果されず、隠蔽行為ではないかと誤解されかねません。又、この様な府政の上から目線での情報公開では、大阪府情報公開条例の附則や第1条(目的)である「…府民の府政への参加をより一層推進し、府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民の福祉の増進に寄与することを目的とする。」への逆行行為である。
現状の行政実施機関の行為では、府民が求める「行政文書公開請求行為」への意識や地域生活環境改善努力への思いやりのなさは、前段の「附則の理念と第1条の目的」から遊離していませんか。
府民が住民主権の意識に基づき、行政行為の混乱しない範囲での公民共働の精神で勇気を振り絞り行政参画の道を開こうとしております。
行政実施機関は知事の方針と議会決議に基づき、府民全体に差別なく公平公正に恩恵と負担の執行お願します。この、成熟した社会では小さな行政で、多数の府民(無償行為で)が行政に参画しなければ行政運営費(多くは人件費)で破産もしくは、後世の人々に多額な負担を背負わせるだけである。
我々の様な年金生活世代は、気力・知識・判断力は少々劣化気味ですが正義感は旺盛で社会にお役にたてば、労働の対価は望まない世代です。
しかし、開示可能な範囲での行政情報なければ、地域の不平等で不明朗な事案の改善改革は不可能となります。公共公益事業の認可承認等々の情報は可能な限り開示され、行政で一番おろそかになっている結果の見直しを住民自治の範囲内から提言すべく"和泉市光明台の公共公益施設(共有権)を考える会"を組織し活動しておりますのでご協力ください。
(2)大阪府知事の弁明
省略(大阪府知事の弁明書参照されたい。)
(3)弁明書に対する反論要旨
1).弁明の趣旨への改善要求
"「実施機関の決定は妥当である。」との答申を求める。"とされていますが、その一部の決定には「詭弁と虚偽や隠蔽行為」への疑念改善を求める。
2)弁明書の"第3弁明の理由"での「詭弁と虚偽や隠蔽行為」の指摘
開示責任者である実施機関は、冒頭にあたかも公正公平に条例に基づき公文書公開を行っている論調説明されます。しかし、具体的に請求者が求める情報は、多くの場合に実施機関の歪曲解釈した視点のすり替えをされ開示いただけない(隠蔽処理)のが現実であり、大変失望させられております。
この状況を念頭に下記に「詭弁と虚偽や隠蔽行為」の状況を理解ください。
- ア.「1.本件行政文書について
本件行政文書は、実施機関の職員が職務上作成(又は取得)した文書であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているものであり、条例第2条に定めるものである。」と当然の事を論述されています。(これが、冒頭にあたかも公正公平に条例に基づき公文書公開を行っている論調説明で正当性を強調される。) - イ.「2.本件非公開決定について
弁明書文面が長文のため抜粋記述します。(比較表現が必要なため、全文必要な場合は弁明書を参照ください。)
…平成9年4月に河川法第79条第2項第2号に基づき認可申請(資料No.1参照)を行い、二級河川和田川流域調節池(光明台調節池)として同年11月に建設大臣認可されたものである。…
当該調節池事業着手時、光明池新住宅市街地開発事業は完了しており、これにより都布計画決定の目的は達成したものであって、調節池の設置について都市計画法及び新住宅市街地開発事業法上の制限はなく、都市計画法上の変更手続を行う必要がなかった。
…和田川水系の主管である鳳土木事務所長から、経緯及び法制度について異議申立人に情報提供を行い、その際に口頭説明を十分に行っている。…」と弁明されている。
これでは、異議申立書の「5.異議申立ての理由」への弁明ではなく、実施機関の思い(法令遵守なき)の、異議申立人への強要である。- 《上記弁明への疑念と法令違反の指摘を次に記載》
- イ.平成9年11月に建設大臣認可されているなら、なぜ当方請求書の「…と許可(認可)図書一切。」の行政文書を、「本件請求に係る行政文書については、取得又は作成していないため、管理していない。」との理由では、何のための行政手続として"光明台調節池事業認可申請をへて建設大臣認可行為"されながら、その証は存在しないとの抗弁となり無法国家ではありませんか。(文書特定での、口頭説明でも主張しております。)
- ロ.「当該調節池事業着手時、光明池新住宅市街地開発事業は完了しており、これにより都市計画決定の目的は達成したものであって」と弁明されておりますが、如何なる法令(何条何項)や状況で"和泉都市計画新住宅市街地開発事業決定の目的は達成"したのか根拠法令の提示や当開発事業実態(計画と現況)の確認での弁明なのでしょうか。
昭和59年3月27日の光明池新住宅市街地開発事業の完了公告はされておりますが、その実態は60.7ha(開発区域全域127.8haの47%)UR都市機構一時保留(当時住民宅地購入代金及び国の補助金で大半建設し、残余の不足費は市場を一脱した激安価格で暫定保留されている)残での完了公告されている。
建設大臣により、都市計画法第63条1項により、和泉都市計画新住宅市街地開発事業の事業計画の変更(第4回)承認(資料No.2参照)に基づき制定された土地利用計画や施行計画書届出(資料No.3参照)や処分計画書認可(資料No.4参照)も履行せず現在に至っております。 - 〈その現状〉
- 新住宅市街地開発事業法第1条に抵触している。(光明台新住宅市街地開発事業地内のまちづくりが崩壊)
- 集合住宅用地の入居予定人口が削減され、計画人口15,000人が守れない。(新住宅市街地開発事業法第2条の2の3の80から300人/haの基準すら守れない。)
- 計画的に公共公益施設の配置や規模設定してきたものが過大投資となる。(計画人口に対応した原単位で施設整備されるため。)
- 新住宅市街地開発事業の第24条で公共公益施設の建設費の負担をしている(資料No.1の処分計画書P1参照)、同造成宅地の購入者の意思に反する。(当該用地は@6、791円/平方メートルでUR都市整備機構が集合住宅の建設前提での一時保持用地を建設なく、国に82、000円/平方メートルで違法と思われる転売で、約15億円の差益収奪行為が行なわれ、光明台調節池事業が無意識に加担し、違法行為を助長していませんか。)
- 新住宅市街地開発事業法で、国家的特権(土地収用権や大幅な税負担の免除権、等の悪用)と公的資金(国の優先的な補助金、起債への国家保障)を受けながら、更なる光明池調節池整備事業での重複的(UR都市整備機構の過大な用地代金)な補助金取得への無意識加担となり、連担責任を問われる。
- 地域行政の主要経営財源の固定資産税や都市計画税の減収(市試算:約750万円)を地域行政と協議もせず、一方的な河川事業で可能な法令を示されたい。(最近の泉佐野市での関空連絡橋の国有化問題でも税問題が大混乱し協議されていませんか。)
- ハ.「都市計画法及び新住宅市街地開発事業法上の制限はなく」と簡単に弁明されておりますが、弁明書では如何なる法令を基に「…制限なく」と明確な法令根拠を示されなければ、単なる実施機関の思いである。
それは、上記のロ項に記載状況からも、法手続や協議(地域行政や地域住民と)もなく河川管理者の河川法に基づく意向のみで「集合住宅用地→光明台調節池用地」に短絡に変更する事業行為は許されるものでなく、現状では無意識に違法行為に加担しかねません。
なお、河川法に基づく当該調節池事業であっても、日本国での事業である以上、日本国憲法及び各種法令を遵守しなければなりません。
よって、前記の都市計画法及び新住宅市街地開発事業法その他法を遵守しなければ無法国家であり、無知での行為なら"木を見て森をみず"のたとえになり行政執行担当者あってはならない。 - ニ.「主管である鳳土木事務所長から口頭説明を十分に行っている。」の風な弁明されていますが、鳳土木事務所長から書面「鳳土第5404号」いただいておりますが、一度も口頭説明はいただいておりません。ただし、実務担当者による定型な協議は行っております。
- ホ.平成21年9月の「二級河川石津川(和田川の本流)水系河川整備計画」や過年度の河川技術者必携(大阪府土木部河川課策定)にも、明記されていない光明台調節池が石津川水系のどの区間の洪水対策施設なのか不明であり、説明もされておりません。本来なら石津川水系全体計画(基本構想→基本計画→基本設計→実施設計)の策定根拠に基づく協議や要望(国、地域行政、流域住民)にて、合意形成された光明台調節池設置なのか疑問である。なぜなら、石津川水系の多くの流域が堺市区域の泉北ニュータウン(光明台団地の何十倍の区域)の開発に多く影響されながら、堺市区域内で調節池を設けるのが本筋(堺市区域の都市施設の保全)だったのではないかと疑念を感じざるを得ない。(推計ですが、当該光明台調節池の投資効率より、国庫補助金の採択基準をクリアー可能に偏重したのではと勘ぐりたくなる。)
- ウ「3.本件部分公開決定について
・・・
また、本件行政文書の他に、本件請求の内容をみたす行政文書は存在しない。
以上のことから、本件決定は適切なものである。」と弁明されている。- 《上記弁明への疑念と法令違反の指摘を次に記載》
- イ.別途和泉市との協議の中で、当該光明台調節池の周囲提頂部の一部を歩道(遊歩道)として占用協議されて使用している事実がありますが、その占用願いや許可書はないのですか。(文書特定での口頭説明でも主張しております。)
- ロ.なお、上記の使用条件で、使用周囲提頂部について歩道法部の数mの草刈も和泉市が行う条件も負荷されていると聞いております。
- ハ.当該光明台調節池の余水吐やオリフスからの放流水に対する下流の2級河川管理外区間の管理者及び水利権者との放流同意書や協議書もなく、放流可能なのでしょうか。
- ニ.地すべり事故に影響したと思われる、隣接道路内の和泉市管理の埋設施設(下水道管、水道管、等々)に対する、協議書や了解同意書なく、地すべり事故の対応処理されたと言えるか疑問である。
- 以上の事項も明確に対応処理し、かつ、行政文書が必要なしとの明確な法令も示されておりません。
4.結論
数々の疑念や知らず知らずに非社会的な行為への加担など、行政機関として最も注意しなければならないにもかかわらずに行為に抵触の示唆を受けても、真摯に受止める事なく、真相究明もせず、情報隠蔽され、府民と共に改善改革する姿勢が欠如していないでしょうか。(大阪府情報公開条例の附則の理念とは、かけはなれた行政行為である。)
平成23年2月15日の大阪府橋下知事が決断発表された「槙尾川ダム建設中止での"槙尾川の治水対策について(私の判断)"(府ホームページより)」には、世代を超えた安全安心を流域住民と共に街づくりと一体での河川整備事業(河川改修)と宣言されております。この状況からも、光明台調節池事業施設は同施設のある光明台団地のまちづくりを崩壊(法令違反)してまで建設された事になりませんか。
添付資料の目録
- 資料No.1:河川法に基づく調節池整備事業(流域調節池事業)概要等
- 資料No.2:和泉都市計画新住宅市街地開発事業の事業計画の変更について他
- 資料No.3:和泉都市計画事業光明池新住宅市街地開発事業変更施行計画
- 資料No.4:和泉都市計画事業光明池新住宅市街地開発事業処分計画書
3 口頭意見陳述における主張
上記1及び2における異議申立書及び反論書における主張以外の主たる内容としては、以下のとおりである。
- (1)実施機関による所管事務の作為・不作為の説明にあたって、特に新住宅市街地開発法及び都市計画法の各根拠条文条項を明確に示さない。
- (2)暫定調節池と説明を受けていたものが、地元住民に説明も無く、いつの間にか恒久調節池となっており、素朴にその経緯・理由を知ろうとしているだけである。おかげで住民人口が減り、固定資産税収が減収し、自治会館等の施設も縮小となった。
- (3)実施機関は小出し小出しに情報を公開する。河川法上の工事認可書類についても、その一部をチラリチラリとしか見せてこなかった。どのような関係書類があるのか説明が非常に不十分だ。
- (4)配布資料の概要
口頭意見陳述において補佐人により配布された資料(表題「光明台調節池について意見」)の概要は、以下のとおりである。
大阪府鳳土木事務所の回答、大阪府知事の弁明書を読んで住民として初めて知ることが多々あり、驚いている。
大阪府は光明台住民にどう向き合ってきたのか、光明台地域のどの方に調節池について説明をしてきたのか、大阪府はUR都市再生機構(現在)、和泉市とどのような協議をしてきたのか、すべて不明であります。
現在なお、光明台調節池について大阪府の情報は閉ざされたままで、一般住民は知りません。関係資料を読んでの疑念を列挙いたしますので、住民が理解できる詳しい説明をして頂きたいと、考えています。
ア 二級河川和田川流域調節池に係る光明台調節池について(府鳳土木事務所回答)
- 地元住民として、「平成7から8年度建設省と協議、9年4月認可申請、同年11月建設大臣認可」については今回初めて知った。UR都市再生機構、和泉市、光明台地区との連携、説明内容はどうだったのか。納得行く資料提供を求めます。
- 光明池(台)新住宅市街地開発事業は、どうしたことか残余の事業があるのに、昭和59年(1984年)3月27日に打ち切るようにして完了した。不自然であった。事業が完了したとして「都市計画決定の目的は達成した」とするのは、住民側からすればあまりにも乱暴な主張である。そして住民感覚からすれば「目的未達成で事業は未完成であった」である。
イ 大阪府知事弁明書について
- 一住民として、光明台調節池は「仮の池」と聞いております。いつ撤去するのか見守ってきました。今回の関連資料を見て、恒久調節池のように感じ、びっくりしている次第です。地すべりの事実、それに伴う工事損失補償と思われる13件のことはまったく承知しておりません。大阪府は内々に処理し、UR都市再生機構、和泉市に口封じをしていたとしか思えません。
- 異議申立人が請求する「事業者(大阪府)と和泉市、地元との協議書のすべて」と「地すべり事故に伴う関係者との協議書のすべて」の公開は当然であります。
- 住民として、私自身見ていない調整(節)池物件調査委託報告書、対象者からの見積、騒音・振動調査結果の内容について知りたい。現地踏査して確かめたい。
- 情報公開しない部分(その理由)に関して。地すべりが何時おきたのか、その範囲と面積は、地すべり原因は。13件の損失補償は和泉市域だけなのか、それとも堺市側に及んでいるのかを知りたい。せめて損失補償を受けた居宅の「号」を除いた丁目と地番、それに補償総額については、税を納める府民に対し安全・安心の観点から周知すべきではないか。大阪府に再考を求めます。
※大阪府の調節(整)池用地買い取りをしたのは平成10年3月。
※個人情報を理由に情報提供をしないのは、以前ハザードマップをなかなか公表しなかったのと同じ思考が存在するようだ。
ウ 異議申立人の反論書を読んで
- 情報を閉ざす大阪府の行政行為は、この3月に制定が決まった和泉市自治基本条例の目的とも遊離している。市民(府民)が公民協働の精神で街づくりに参画する上で、大阪府の姿勢は支障になる。さっそく改めてほしい。
- 異議申立人の指摘によれば、昭和59年3月の光明池開発事業完了時、実際に工事が終わったのは53%だけ。残余の土地はUR都市再生機構が市場を逸脱した激安価格で保有した。大阪府はURが1平方メートル6791円保有した調節池土地を82000円で購入したことは事実か。事実なら大阪府はURの違法転売に加担したことになる。光明台調節池事業が約15億円からの差益収奪行為に加担したわけで、これは看過できない。(国土交通省に提出した資料によれば、府が加担した差益収奪額は多く見積もれば20から25億円になる)借金をして高額な住宅用地を購入した1住民としては、UR、大阪府の勝手な行政行為は許せません。
- 新住宅市街地開発事業法第1条に抵触していると指摘しており、建設大臣が承認し制定された土地利用計画や施行計画書届出、処分計画書認可も今なお履行されていないという。これは重い指摘である。
- 石津川(本流)整備計画に「光明台調節池」が明記されていない。位置付けがない。どういう洪水対策施設なのか不明だと指摘する。必要のない調節池なら撤去して、当初計画した集合住宅、あるいは戸建て府営住宅を建設したらいい。違法行為といえる調節池用地への変更なら、これは認められない。
エ 最後に
昨年、平成22年12月に光明台地区の自治会会員名簿(2010年版)が発刊された。巻末部分の最初に居住者名入り「光明台1丁目案内図」がある。調節池は池の形ではなく、宅地として1番、2番、3番となっている=コピー参照。この会員名簿は13号を重ねているが、2007年、05年、03年、01年、1999年、96年版……とすべて宅地地番の表示である。光明台住民は調節池としての認識はなく、やがて住宅になると思っているのではないか。
光明台南校区連合自治会の責任者をした方は、四半世紀を調節池に近いところに住んでいますが、池があることは承知しているが、地すべりについては初耳だそうです。光明台名簿が、池でなく宅地表示になっていることは確認しています。
異議申立人の指摘や主張は的を射ていると思う。大阪府は、地すべり対策を含めた調節池総工費を示し、土地購入での多額な無駄を検証し、不適切といえる国庫補助金を得た行政の姿を自ら府民に公開するべきです。新住宅市街地を良好にするどころか崩壊につながるこの施策は、正当とはとても認められません。
※添付資料「光明台・室堂町地区自治会名簿・くらしのガイド・ショッピングガイド」
第五 実施機関の主張要旨
実施機関の主張は概ね以下のとおりである。
1 本件行政文書について
本件行政文書は、実施機関の職員が職務上作成した文書であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているものであり、条例第2条に定める行政文書に該当するものである。
2 本件非公開決定について
本件非公開決定は、取得又は作成していないため、管理しておらず、非公開としたものである。
本件請求に記載されている二級河川和田川流域調整池(光明台調節池)(以下、「本件調節池」という。)については、洪水等災害時の和田川の流量を調節すべく流域調節池としての事業化に向け、建設省との協議を平成7年度から8年度にかけて実施し、平成9年4月に河川法第79条第2項第2号に基づき認可申請を行い、本件調節池として同年11月に建設大臣認可されたものである。
二級河川については、都市計画法で都市計画施設として必ずしも定める必要がないため、本件調節池についても、都市計画施設として定めていない。
本件調節池事業着手時、光明台新住宅市街地開発事業は完了しており、これにより都市計画決定の目的は達成したものであって、本件調節池の設置について都市計画法及び新住宅市街地開発法上の制限はなく、都市計画法上の変更手続きを行う必要がなかった。
よって、本件請求の対象となる文書は、取得又は作成していないため、管理しておらず、それを理由として、非公開としたものである。
なお、取得又は作成していない上述の理由に関しては、異議申立人から文書による回答を求められたため、平成22年12月22日付け鳳土第5404号により、和田川水系の主管である鳳土木事務所長から、経緯及び法制度について異議申立人に情報提供を行い、その際に口頭説明を十分に行っている。
以上のことから、本件非公開決定は適正なものである。
3 本件部分公開決定について
本件調節池については、昭和59年3月に住宅・都市整備公団(当時、現在は独立行政法人都市再生機構。)の事業として完了した光明台新住宅市街地開発事業の一環として整備されたものであり、平成10年3月に実施機関が買い取り、改修工事として調節池整備事業を行った際に地すべり事故が発生したため、地元住民に対して工事損失補償を行ったものである。
本件部分公開決定については、「15-46-22074 光明台調節池物件調査委託報告書11」外21件の本件行政文書の全部を部分公開した。
また、本件行政文書の他に本件請求の内容をみたす行政文書は存在しない。
以上のことから、本件部分公開決定は適正なものである。
4 異議申立人の主張について
(1)本件非公開決定について
異議申立人は、行政文書の不存在の理由が不適切であると主張するが、2で上述したとおり、そもそも異議申立人が求める都市計画法上の変更手続きを行っていないため、本件請求1に対応する行政文書を、現に管理していないことについて、何ら違法又は不当な点は無い。
また、異議申立人は、「都市計画法の運用指針」において、「調節池については、都市計画法第11条第1項第11号の政令で定める施設の「防水の施設」として都市計画決定する。」と主張しているが、異議申立人が示す「都市計画法の運用指針」の記載は、国土交通省「都市計画運用指針」から引用したものと推定されるが、調節池を都市計画決定する場合は、都市計画法第11条第1項第11号の政令で定める施設の「防水の施設」として決定するのが望ましいとする趣旨であり、決定自体を義務付けしているものでない。
そもそも、都市計画法や下水道法とは異なり、河川法上都市計画施設として河川を都市計画決定することは求められていない。
(2)本件部分公開決定について
異議申立人は、本件請求2に対応する行政文書が公開されていないと主張するが、本件部分公開決定において異議申立人に示した別紙「行政文書の名称」のうち、3から15及び19から21の文書(第二の2(2)(ウ)から(ソ)及び(テ)から(ニ))が請求文書2に該当し、かつ請求文書3にも該当するものであるため、すべて公開されており、何ら違法又は不当な点は無い。
5 結論
以上のとおり、本件非公開決定及び本件部分公開決定は、条例の規定に基づき適正に行われたものであり、適法かつ妥当なものである。
第六 審査会の判断理由
1 条例の基本的な考え方について
行政文書の公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では、公開することにより、個人・法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。
このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第2条第1項に規定する行政文書に記録されている場合には、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。
2 調節池に係る都市計画について
都市計画法第11条第1項第11号に規定する政令で定める施設の運用については、国土交通省「第5版都市計画運用指針」中、「ローマ数字大の4.都市計画制度の運用のあり方」の「ローマ数字大の4―2-2都市施設」の「ローマ数字第の2)施設別の事項」の「D.河川及び防水、防砂、防潮の施設」の「3.防水、防砂、防潮の施設の取扱い」において、「調節池については、(都市計画)法第11条第1項第11号の政令で定める施設の「防水の施設」として都市計画決定する。なお、調節池から流出する河川について、改修計画がある場合にはその部分を河川として都市計画決定する。」とある。
3 本件非公開決定及び本件部分公開決定の判断の妥当性について
(1)請求事項1に対応する行政文書の存否、並びに、請求事項2及び3に対応する本件部分公開文書以外の行政文書の存否について
異議申立書及び反論書等の内容により、異議申立人は、本件異議申立てにおいて、本件部分公開文書以外にも各請求事項に対応する行政文書があるとして、その公開を求めているものと解される。このため、審査会において、本件部分公開文書以外に請求事項1から3に対応する行政文書があるかどうか検討したところ、以下のとおりである。
実施機関の説明によれば、本件調節池の建設の経緯については、昭和45年から昭和59年にかけて住宅・都市整備公団(当時。現在は独立行政法人都市再生機構。)の事業として実施された光明台新住宅市街地開発事業の一環として、洪水等災害時の和田川の流量を調節すべく流域調節池としての事業化に向け、実施機関が建設省との協議を平成7年度から8年度にかけて実施し、平成9年4月に河川法第79条第2項第2号に基づき認可申請を行い、本件調整池として同年11月に建設大臣認可されたものである。
平成10年3月に実施機関が住宅・都市整備公団から買い取り、改修工事として調節池整備事業を行ったが、その際に法面の円弧すべりが発生したため、応急工事を行うとともに地元住民に対して家屋調査実施のうえ工事損失補償を行ったものである。
本件調整池については、都市施設である「防水施設」として位置付けるものであるとの国土交通省の運用指針はあるが、都市計画法、下水道法及び河川法等の関係法令において、実施機関に調節池を都市計画決定することを義務付ける規定は無く、実施機関の裁量の範囲である。また、新住宅市街地開発事業第32条但書により都道府県知事の承認を受ける必要が無く、府内の他の調節池についても都市計画決定されたものは無く、本件調節池のみ都市計画決定すべき特段の理由が無いこと、住居系用途地域として都市計画決定がされていたとしても、調節地にする際に都市計画変更は法律上必要が無いこと等の理由により、請求事項2及び3に対応する本件部分公開文書以外に現に文書を作成していないという実施機関の説明については、特段、不自然な点は認められず、本項の行政文書は存在しないと認められる。
(2)本件非公開決定の理由付記について
本件非公開決定には、「本件請求にかかる行政文書は、取得又は作成していないため」という理由が付されているが、異議申立人は、理由を述べたものとはいえないと主張するので、これについて検討する。
一般に、行政文書の非公開決定の理由付記の程度について、最高裁判所の判例(最高裁判所平成4年(行ツ)第48号・平成4年12月10日第一小法廷判決)は、単に非開示の根拠規定を示すだけでは、行政文書等の種類、性質等とあいまって開示請求者が当然知りうるような場合は別として、理由附記としては不十分であるとしている。これを本件についてみると、取得又は作成しなかった理由について、関係法令に基づいてより具体的に説明することが望ましいものの、不存在による非公開決定の理由としては、瑕疵があるとまではいえない。
(3)本件部分公開決定における公開・非公開の判断の妥当性について
口頭意見陳述において、異議申立人の補佐人が、本件部分公開決定における非公開部分である個人の氏名、住所、電話番号、居宅状況及び補償内容について公開を求めているので、検討する。
ア 条例第9条第1号について
条例は、その前文で、府の保有する情報は公開を原則としつつ、個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護する旨宣言している。また、第5条において、個人のプライバシーに関する情報をみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨規定している。
このような趣旨を受けて、個人のプライバシーに関する情報の公開禁止について定めたのが条例第9条第1号である。
同号は、
- (ア)個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報であって、
- (イ)特定の個人が識別され得るもののうち、
- (ウ)一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる
という3つの要件を充たす情報が記録された行政文書については公開してはならないと定めている。
また、「一般に他人に知られたくないと望むことが正当と認められるもの」とは、社会通念上、他人に知られることを望まないものをいうと解される。
イ 個人の氏名、住所、電話番号、居宅状況及び補償内容の条例第9条第1号該当性について
個人の氏名、住所、電話番号、居宅状況及び補償内容は、特定の個人の居宅状況及び財産に関する情報であり、上記ア(ア)及び(イ)の要件に該当することは明らかである。
次に、これらの情報が、上記ア(ウ)の要件に該当するかどうか検討するに、本件行政文書における個人の氏名、住所、電話番号、居宅状況及び補償内容は、特定の個人の居宅状況及び財産が明らかとなる情報として、一般的には、社会通念上、他人に知られることを望まない情報である。
よって、社会通念上、他人に知られたくないと望むものであり、上記ア(ウ)の要件にも該当すると認められ、条例第9条第1号の規定により公開することができないものである。
以上(1)、(2)及び(3)で述べたところにより本件非公開決定及び本件部分公開決定は、いずれも妥当であると認められる。
4 結論
以上のとおりであるから、本件異議申立には理由が無く、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。
主に調査審議を行った委員の氏名
大和正史、岩本洋子、野呂充、松本哲治