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更新日:2011年8月1日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第204号)

池築造工事関連文書不存在非公開決定異議申立事案その2

(答申日 平成23年4月8日)

第一 審査会の結論

実施機関の決定は妥当である。

第二 異議申立ての経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成22年4月14日付けで、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対し、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定に基づき、「大阪府寝屋川水系、東大阪市小阪・高井田・宝町調節池の工事中と完成後の周辺苦情と被害報告書、解決書と経過文書、調査費用と解決費用のすべて(個人名と地番は不要)特定の位置図は必要」(以下「本件請求」という。)を行った。

2 本件請求に係る決定及び通知

平成22年4月27日、実施機関は、本件請求に対応する行政文書(以下「本件請求文書」という。)を管理していないとして、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、次のとおり理由を付して異議申立人に通知した。

(公開請求に係る行政文書を管理していない理由)

本件請求に係る行政文書は、作成していないため管理していない。

3 異議申立て

異議申立人は、平成22年5月12日、本件決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により異議申立てを行った。

第三 異議申立ての趣旨

本件処分を取り消し、全部公開を求める。

第四 異議申立人の主張要旨

異議申立書、反論書及び口頭陳述における異議申立人の主張(本件決定に関してのみ)は、概ね次のとおりである。

  • 本件請求に係る、平成13~15年度の工事設計書に記載されている損傷調査書と工損調査標準仕様書(案)等により類似書類の存在は明らかに推定できる。
  • 宝町調節池周辺に所在する株式会社B社(原文実名)の建物前アスファルト面ヒビ割れについて、実施機関に対して被害を申し出ていると関係者から聴取しているため、関係書類があるはずである。無いとすることは、職員の業務怠慢又は隠ぺいである。
  • よって、本件決定を取り消し本件請求文書の公開を求める。

第五 実施機関の主張要旨

1 本件請求文書が不存在であることについて

本件行政文書については、一般的に実施機関が発注する工事に起因する被害が発生した場合に作成するものであるが、宝町調節池工事の場合は、工事中及び完成後も含め、被害報告が無かったため、実施機関では作成していない。

また、本件請求に記載されている東大阪市小阪・高井田調節池は現に存在しない。

2 異議申立人の主張に対する反論について

異議申立人は、工事中及び工事完了後の類似書類も含めて公開すべきである旨主張する。

実際に工事による損害があれば、実施機関において担当部署(寝屋川水系改修工営所南部工区)を統括する本部(寝屋川水系改修工営所本部)に対して被害の報告がなされるものである。

しかしながら、本件請求に関する本件行政文書は作成していないため、実施機関で現に管理していないことについて、何ら違法又は不当な点はない。

3 結論

以上のとおり、本件決定は、条例の規定に基づき適正に行われたものであり、何ら違法又は不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

第六 審査会の判断理由

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を促進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。

このように「知る権利」を保障するという理念の下であっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。

2 本件決定の妥当性について

(1)条例第2条第1項について

行政文書公開請求の対象となる「行政文書」の定義については、条例第2条第1項に「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真又はスライド並びに電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているもの」をいう旨規定されている。

「職務上」とは、実施機関の職員が、法令、条例、規則、規程、訓令、通達等により、与えられた任務又は権限を、その範囲内において処理することをいう。

「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関の職員が管理しているもの」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において、業務上必要なものとして利用又は保存されている状態のものを意味する。

したがって、職員が自己の執務の便宜のために保有する複写物や個人的なアイデアのメモで未だ組織的な検討に付されていないものなど専ら当該職員のみが利用するに過ぎないものはこれに該当しないが、職員が個人の判断で作成したものであっても、所管の組織において、複数の職員による検討に付され、その結果、これらの者が共用するに至ったもの、当該職員が関与した会議又は応接等の事務の記録であって、必要に応じて他の職員が利用することとなるものなど、実施機関の組織において業務上必要なものとして利用又は保存されているものは、「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているもの」に該当すると解すべきである。

(2)本件決定の妥当性について

異議申立人は、宝町調節池周辺に所在する株式会社B社の建物前アスファルト面ヒビ割れ等について、実施機関に対して被害を申し出ていると関係者から聴取しているため、関係書類は当然存在すると主張する。

異議申立人が主張する本件請求文書が存在しないことについて、実施機関の説明は、概ね次のとおりである。

本件工事の施工中又は完了後において、随時、周辺の近隣者から実施機関の担当者が相談を受けている。このとき、担当者は内容を聞き取るために手書きのメモを作成する場合もあるが、その相談内容が、実施機関が発注する工事に起因する被害に関するものでない場合は、聞き置くにとどまり、記録を作成しないものである。

本件工事の場合においては、工事中及び完成後も含め、株式会社B社からアスファルトのヒビ割れの事実についての申出を口頭で受けたが、本件工事を起因とした被害についての苦情と判断される申出は無く、担当者は、本件請求文書といえる記録を個人メモも含め一切作成しなかったものである。

なお、宝町調節池周辺に所在する各建物に対して工事に起因する被害の有無を確認するため実施機関が実施した各家屋調査結果内容については、現在も実施機関で保存しており、異議申立人関係部分については、すでに異議申立人へ手交しているものである。

以上の実施機関の説明について検討するに、実際に工事による損害があれば、実施機関において担当部署(寝屋川水系改修工営所南部工区)を統括する本部(寝屋川水系改修工営所本部)に対して被害の報告がなされるはずのところ、このような報告がなされていないという実施機関の主張に、特段、不自然な点は見受けられず、本件請求文書は存在しないと認められる。

以上(1)及び(2)で述べたところを総合すると、本件請求文書については、現在、実施機関においては保有していないと認められることから、本件決定は妥当である。

3 結論

以上のとおりであるから、本件異議申立てには理由がなく、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

主に調査審議に関与した委員

松田委員、岩本委員、大和委員、野呂委員

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