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施設コンフリクト(資料1-はじめに)
はじめに
人権教育のための国連10年(1995から2004年)の展開、人権擁護施策推進法の施行など、国内外において21世紀を真に「人権の世紀」とするための人権尊重の社会づくりに向けた取り組みが進められている。
こうした人権尊重の潮流の中、大阪府においても人権行政の総合的な推進体制の整備を図り、全国に先駆けて策定した「人権教育のための国連10年大阪府行動計画」の推進に努めているところである。また、昨年11月にはすべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現をめざして、その法的基盤となる「大阪府人権尊重の社会づくり条例」を制定・施行したところである。
しかしながら、人権尊重が確かな潮流となる一方、現実の社会には依然として解決すべき様々な人権問題が存在していることも事実であり、このため、昨年採択50周年を迎えた世界人権宣言の精神を再確認し、人間の命や尊厳についての認識を深めるとともに、すべての人の人権が尊重され、その個性や意欲、能力を活かして自己実現できる社会形成に向けた具体的な検討と取り組みが必要となっている。
本報告書は、このような考え方の下、早急に対応すべき課題の一つとして、福祉施設等の設置をめぐる地域住民との摩擦-いわゆる施設コンフリクト-の問題をとりあげ、庁内関係課・室で構成する「福祉施設等設置に係る人権摩擦(施設コンフリクト)検討会議」を設置し、施設コンフリクトの解決方策等について行政の役割の再評価を含めた検討を進め、大阪府としての基本的な考え方や対応策を明らかにしたものである。
なお、本検討会議においては、他の障害種別に比べ相対的に施策の立ち遅れが指摘されており、また、いわゆる安田系3病院事件で明らかになった精神障害者の人権侵害や多数の社会的入院の実態等を踏まえ、主として精神障害者に関する施設コンフリクトに焦点をあてて検討を行ったものである。