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人権学習シリーズ あたりまえの根っこ 子どもとおとな、何が違う?/資料「子どもの権利条約」
「子どもとおとな、何が違う?」(めやす90分)
資料「子どもの権利条約」
前文
この条約の締約国は、国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎を成すものであることを考慮し、国際連合加盟国の国民が、国際連合憲章において、基本的人権並びに人間の尊厳及び価値に関する信念を改めて確認し、かつ、一層大きな自由の中で社会的進歩及び生活水準の向上を促進することを決意したことに留意し、国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、すべての人は人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしに同宣言及び同規約に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明し及び合意したことを認め、国際連合が、世界人権宣言において、児童は特別な保護及び援助についての権利を享有することができることを宣明したことを想起し、家族が、社会の基礎的な集団として、並びに家族のすべての構成員、特に、児童の成長及び福祉のための自然な環境として、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべきであることを確信し、児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、児童が、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきであり、かつ、国際連合憲章において宣明された理想の精神並びに特に平和、尊厳、寛容、自由、平等及び連帯の精神に従って育てられるべきであることを考慮し、児童に対して特別な保護を与えることの必要性が、1924年の児童の権利に関するジュネーヴ宣言及び1959年11月20日に国際連合総会で採択された児童の権利に関する宣言において述べられており、また、世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約(特に第23条及び第24条)、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(特に第10条)並びに児童の福祉に関係する専門機関及び国際機関の規程及び関係文書において認められていることに留意し、児童の権利に関する宣言において示されているとおり「児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、その出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする。」ことに留意し、国内の又は国際的な里親委託及び養子縁組を特に考慮した児童の保護及び福祉についての社会的及び法的な原則に関する宣言、少年司法の運用のための国際連合最低基準規則(北京規則)及び緊急事態及び武力紛争における女子及び児童の保護に関する宣言の規定を想起し、極めて困難な条件の下で生活している児童が世界のすべての国に存在すること、また、このような児童が特別の配慮を必要としていることを認め、児童の保護及び調和のとれた発達のために各人民の伝統及び文化的価値が有する重要性を十分に考慮し、あらゆる国特に開発途上国における児童の生活条件を改善するために国際協力が重要であることを認めて、次のとおり協定した。
外務省ホームページより引用
本則
第1条 子どもの定義 18歳になっていない人を子ども、18歳以上をおとなと言います。
第2条 差別の禁止 だれでもみんな平等。勉強が得意か苦手か、足が速いか遅いか、女か男か、背が高いか低いかなど、違いはあって当たり前。人と違うことで差別されたりしません。
第3条 子どもにとって一番良いこと 子どもに関することは、子どもにとって一番良いことが何かを考えて行わなければなりません。
第4条 国の義務 この条約に書かれた権利を守るために、国はできる限りのことをしなければなりません。
第5条 親が子どものためにすることの尊重 親や保護者が子どもたちのために教えてくれることを、国は親の責任、権利、義務として尊重しなければなりません。
第6条 生きる権利・育つ権利 すべての子どもには、命が大切にされ、健やかに育つ権利があります。その権利を守るために、国はできる限りのことをしなければなりません。
第7条 名前・国籍を持つ権利 すべての子どもは、名前や国籍を持ち、親を知り、親に育ててもらう権利があります。
第8条 名前・国籍・家族関係を守る 国は、子どもの名前や国籍、家族の関係が奪われないように、守らなければいけません。もし奪われたら、国はすぐに元通りにしなければなりません。
第9条 親と引き離されない権利 子どもは親といっしょに暮らす権利を持っています。ただし、それが子どもにとって良くない場合は、離れて暮らす権利もあります。離れて暮らしていても、会ったり連絡したりすることができます。
第10条 他の国にいる親と会える権利 離れ離れになっている家族が会いたいと思うときには、国は、できるだけ早く国を出たり入ったりできるようにしなければなりません。
第11条 よその国に連れ去られない権利 国は、子どもが無理やりよその国へ連れ出されたり、自分の国へ戻れなくなったりしないようにしなければなりません。
第12条 意見を表す権利 子どもは、自由に自分の意見を表す権利や聴いてもらう権利を持っています。
第13条 表現の自由 子どもは、自由な方法でいろいろな情報や考えを知る権利、伝える権利を持っています。
第14条 思想・良心・宗教の自由 子どもは、思想・良心・宗教の自由についての権利を尊重されます。
第15条 結社・集会の自由 子どもは、他の人たちと集まって会を作ったり、集会に参加したりすることができます。
第16条 プライバシーの保護 子どもは、おとなと同じようにプライバシーや名誉を保護される権利があります。
第17条 適切な情報の入手 子どもは、自分にとって役に立ついろいろな情報や資料を利用することができます。国は、子どもに良くない情報から子どもを守らなければなりません。
第18条 親の責任 子どもを育てる責任は、まずその両親にあります。国は、その手助けをしなければなりません。
第19条 虐待からの保護 子どもが暴力をふるわれたり、適切な扱いを受けられなかったりしないように、国は、子どもを守らなければなりません。
第20条 家庭を奪われた子どもの保護 子どもは、家族といっしょに暮らせなくなったときや、家族から離れたほうが良いときには、代わりの保護者や家庭を用意してもらうなど、国から守ってもらうことができます。
第21条 養子縁組 子どもを養子にする場合は、その子にとってもっとも良いことを考えて行わなければなりません。養子縁組を行うことができるのは、国や公の機関だけです。
第22条 難民の子ども 戦争や迫害、自国の政府と違う考えなどのためによその国にのがれた子ども(難民の子ども)は、国による保護や援助を受ける権利があります。
第23条 障がいのある子どもの権利 心や身体に障がいがあっても、その子どもの個性や権利がおびやかされてはなりません。国は、障がいのある子どもが充実して暮らせるように、教育やトレーニング、サービスが受けられるようにしなければなりません。
第24条 健康・医療への権利 子どもは、いつでも健康でいられるように、病気の治療や健康回復のためのサービスを受ける権利があります。
第25条 病院などの施設に入っている子ども 子どもが病院に入っているとき、その治療やそこでの扱いが適切かどうかを調べてもらう権利があります。
第26条 社会保障を受ける権利 子どもは、社会保障からの給付を受ける権利があります。
第27条 生活水準の確保 子どもは、食料、医療、住宅など、十分な生活水準を得る権利があります。
第28条 教育の権利 子どもには、教育についての権利があります。学校の規則は、子どもの権利を尊重して運用されなければなりません。
第29条 教育の目的 教育によって、子どもが自分も他人も同じように大切にされることや、みんなと仲良くすること、自然の大切さなどを学べるようにしなければなりません。
第30条 少数民族・先住民の子ども 少数民族や先住民の子どもは、自分たちの文化・宗教・言語を使用する権利があります。
第31条 休み、遊ぶ権利 子どもは、休んだり遊んだり、文化・芸術活動に参加したりする権利があります。
第32条 不当・有害な労働からの保護 子どもは、不当な条件で働かされることから保護されるとともに、危険な労働、教育の妨げとなる労働、健康や発育に良くない労働に従事することから保護されます。
第33条 麻薬・覚せい剤などからの保護 国は、子どもが麻薬や覚せい剤などを売ったり買ったり、使ったりすることに巻き込まれないようにしなければなりません。
第34条 性的搾取からの保護 国は、子どもがポルノや売買春などに利用されたり、性的な暴力を受けたりすることのないように守らなければなりません。
第35条 誘拐などの禁止 子どもは、誘拐されたり売り買いされたりすることのないように守られなければなりません。
第36条 あらゆる搾取からの保護 国は、どんな形でも、子どもの幸せを奪って利益を得るようなことから子どもを守らなければなりません。
第37条 拷問・死刑の禁止 どんな子どもに対しても、拷問やむごい扱いをしてはなりません。また、子どもを死刑にしたり、死ぬまで刑務所に入れたりすることは許されません。
第38条 戦争からの保護 15歳未満の子どもは、兵士として戦争に参加させてはなりません。また、子どもは戦争に巻き込まれないように守られなければなりません。
第39条 犠牲になった子どもを守る 放置、虐待、ひどい扱いなどによって被害を受けた子どもは、心身の回復や社会復帰のために適切な手当を受けられます。
第40条 子どもに関する司法 刑法に違反したとされる子どもは、適正な手続きや特別な保護を受ける権利があります。
第41条 既存の権利の確保 この条約の規定は、すでに法律等により手厚い保護を受けている権利に影響を及ぼしません。
第42条 条約の広報 この条約の原則と規定は、広く知らされなければなりません。
第43条 子どもの権利委員会の設置
第44条 子どもの権利委員会への報告義務 国は、条約に対する取り組みの状況を定期的に子どもの権利委員会へ報告しなければなりません。
第45条 子どもの権利委員会の作業方法
第46条から第54条 条約の手続き
※公益財団法人日本ユニセフ協会作成「子どもの権利条約カードブック」を参考に、簡潔で平易な表現に留意してプログラム執筆者が作成したものです。
*すべての子どもに人権を保障する法的拘束力を持った初めての国際条約。条約は、子どもにとって最善の世界を作るための国際社会による長年の取り組みの中で成立。法的拘束力を持つ国際法として、国連加盟国が共有すべき原則、即ち国家や文化、時代背景に関係なく、人類社会に生まれたすべての子どもに適用されるべき原則が成文化されたもの。
「子どもの権利条約」成立まで
- 1945年(昭和20年) 国連の設立
- 1948年(昭和23年) 世界人権宣言
- 1951年(昭和26年) 児童憲章
- 1959年(昭和34年) 子どもの権利宣言
- 1965年(昭和40年) 人種差別撤廃条約
- 1966年(昭和41年) 国際人権規約
- 1979年(昭和54年) 女子差別撤廃条約・国際児童年
- 1989年(平成元年) 子どもの権利条約
- 1994年(平成6年) 日本が「子どもの権利条約」に批准
- 2009年(平成21年)5月現在 世界で193の国と地域が条約を締約している。(アメリカとソマリアのみ未締約)
「子どもの権利条約」で大切にされていること
- 生きる権利……防げる病気などで命を奪われないこと。病気やケガをしたら治療を受けられること。
- 育つ権利………教育を受け、休んだり遊んだりできること。考えや信じることの自由が守られ、自分らしく育つことができること。
- 守られる権利…あらゆる種類の虐待や搾取などから守られること。障がいのある子どもや少数民族の子どもなどは特別に守られること。
- 参加する権利…自由に意見を表したり、集まってグループを作ったり、自由な活動を行ったりできること。