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更新日:2024年7月16日

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医療廃棄物のQ&A(FAQ)

Q84 診療所においては廃棄物をどのように分別して委託処理すればよいか?

A84
医療関係機関等において発生する廃棄物は、通常、次の3つに区分して管理する必要があります。感染性産業廃棄物を一般廃棄物として市町村の処理施設に搬入するなどの不適正処理が起きないように適切に分別して保管し、それぞれの委託先に処理を委託してください。

1 事業系一般廃棄物(非感染性)

診察室や待合室などで発生する紙くず、繊維くず等
(例)紙ごみ、血液等の付着の程度が少ないガーゼ、包帯、脱脂綿等。ただし、「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」
(以下「マニュアル」といいます。)で定められた手術室、検査室などの排出場所において治療、検査等に使用された後、排出されたものは、3の感染性一般廃棄物となります。
【処理委託先】市町村の定めるところにより事業系ごみとして市町村に処理委託又は許可のある一般廃棄物処理業者に委託(「専ら物」を除く)

2 産業廃棄物(非感染性)

診察室などで発生する血液等の付着の程度が少ない廃プラスチック類、ガラス・陶磁器くず、廃酸、廃アルカリ等
(例)血液等の付着の程度が少ないプラスチック製の容器・チューブ・手袋等、レントゲンフィルム、レントゲン廃液。
ただし、マニュアルで定められた手術室、検査室などの排出場所において治療、検査等に使用された後、排出されたものは、3の感染性産業廃棄物となります。
【処理委託先】許可のある産業廃棄物処理業者に委託(「専ら物」を除く)

3 感染性廃棄物(感染性産業廃棄物と感染性一般廃棄物の混合可)

感染性病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物(特別管理産業廃棄物又は特別管理一般廃棄物に該当)
なお、感染性廃棄物について、「2産業廃棄物(非感染性)」と別の形態、方式で処理を行う場合は、分別することが必須となりますが、分別することによる感染リスクがある場合など分別が困難な場合には、全体を感染性廃棄物として併せて処理することができます。

(例)感染性一般廃棄物
臓器、血液等が多量に付着したガーゼ・脱脂綿・リネン類
感染性産業廃棄物
注射針、メス、破損したガラス製品等鋭利なもの、血液、血液が含まれるチューブ

感染性廃棄物については、廃棄物の取扱者に廃棄物の種類が判別できるようにし、梱包やその後の処理が安全かつ適正に行うことができるようにするため、マニュアルにおいて、その性状に応じて次の3種類に区分して容器に密閉し、性状に応じた色のバイオハザードマークを付けることを推奨しています。

  • 液状又は泥状のもの(血液等):赤色のバイオハザードマーク(廃液等が漏洩しない密閉容器)
  • 固形状のもの(血液等が多量に付着したガーゼ等):橙色のバイオハザードマーク(丈夫な二重のプラスチック袋又は堅牢な容器)
  • 鋭利なもの(注射針等):黄色のバイオハザードマーク(耐貫通性のある堅牢な容器)

【処理委託先】感染性産業廃棄物の許可のある特別管理産業廃棄物処理業者に委託
参考:廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル(外部サイトへリンク)

Q85 性状の異なる感染性廃棄物を同一の容器に収納している場合は何色のバイオハザードマークを付けるのか?

A85
マニュアルでは、感染性廃棄物を、その性状に応じて3種類に区分して容器に密閉し、性状に応じた色のバイオハザードマークを付けることを推奨しています。(A84参照
しかし、感染性廃棄物の排出量が少なく保管場所が狭隘である等の理由で、性状に応じて分別保管することが困難であるため、液状・泥状のものや固形状のものに注射針等鋭利なものを混合して容器に収納している場合は、廃液等が漏洩しない密閉容器であり、かつ、耐貫通性のある堅牢な容器を使用したうえ、廃棄物の取扱者の針刺し事故を防止するため、黄色のバイオハザードマークを付けることが望まれます。

Q86 血液の付着したガーゼや包帯等はすべて感染性廃棄物か?

A86
感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物については、その定義が比較的厳密に定められています。※
しかし、感染性産業廃棄物は、その発生施設(医療関係機関等※※)は、政令及び規則で定められているものの、その定義は、「感染性病原体(人が感染し又は感染するおそれのある病原体)が含まれ若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物」という漠然とした定義しかされておりません。

※特別管理産業廃棄物の定義(例)

  • 腐食性廃酸・腐食性廃アルカリ:pHで規定
  • 特定有害産業廃棄物(廃石綿等):吹き付け石綿等を具体的に特定
  • 特定有害産業廃棄物(汚泥、廃油等):発生施設、有害物質の種類を特定したうえ、判定基準を規定

※※医療関係機関等(施行令別表第1の4の項・施行規則第1条第5項に掲げる施設)

  • 病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、助産所、動物の診療施設、試験研究機関(医学・歯学・薬学・獣医学に係るものに限る)

そこで、平成4年8月に策定されたマニュアルで感染性廃棄物の判断フローが示されましたが、平成12年12月の行政改革推進本部規制改革委員会の指摘(感染性廃棄物の判断の多くを医師等に委ねていて判断基準が客観性を欠いている等)を踏まえて、平成16年3月に感染性廃棄物の判断基準の客観性の向上等を内容とするマニュアルの改正が行われました。このときのマニュアル改正によって一定の排出場所(手術室、検査室、感染症病床等)で治療・検査等に使用された後排出されたものは、医師等の判断にかかわらずすべて感染性廃棄物に該当するものとされ、客観的な判断が可能となりましたが、それ以外の排出場所(診察室、処置室等)で発生する血液等の付着したガーゼ、包帯等については、感染性廃棄物に該当するかどうかは医師等の判断によることとされています。
マニュアルでは感染性廃棄物の該否の判断フローが示され、感染性廃棄物の判断は、「形状の観点」「排出場所の観点」及び「感染症の種類の観点」から客観的に判断することを基本としています。(別図1参照)
これによると「排出場所の観点」から、手術室等から排出されるものは全て感染性廃棄物となりますので、手術室等から排出されるガーゼ・包帯等は、血液の付着の程度を問わず感染性廃棄物となります。一方、診察室や処置室から排出されるものは、血液等の付着の程度等の違いにより、専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)によって、感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とするとされています。その際の判断の目安としては、例えば多量の血液が付着していることにより血液がこぼれ落ちて周囲を汚染するおそれがあるものを感染性廃棄物とし、血液の付着の程度が少量であるものや乾燥しているものは、非感染性廃棄物とすればよいと考えられます。なお、血液そのものは、感染性廃棄物の判断フローの「形状の観点」から感染性廃棄物となります。
なお、平成4年8月に作成されたマニュアルは、平成16年3月に改訂されましたが、血液が付着している物の扱いについて、改正前後で次のように考え方が変化していることに留意してください。

  • (改正前)
    「その他血液等が付着したもの」を感染性廃棄物としたうえ、「専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)によって、感染の危険がほとんどないと判断されたときは、感染性とする必要はない。」と規定
  • (改正後)
    「形状の観点」(STEP1)「排出場所の観点」(STEP2)及び「感染症の種類の観点」(STEP3)から感染性廃棄物の判断をするとしたうえ、「専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)によって、感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とする」と規定

感染性廃棄物の判断フロー

感染性廃棄物の判断フローの注釈

別図1 感染性廃棄物の判断フロー
出典:「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」(令和5年5月)

Q87 唾液が多量に付着した手袋やガーゼは感染性廃棄物か?

A87
マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、「形状の観点」から「血液、血清、血漿及び体液(精液を含む。)(以下「血液等」という。)」は感染性廃棄物とするとされています。ここでいう「体液(精液を含む。)」には、リンパ液や組織液、膿等が含まれるものと思われ、これらは、血液と同様に実際のリスクの程度(患者の感染症への感染の有無、感染症の種類等)にかかわりなく多量に付着しておれば感染性廃棄物となります。これは、アメリカCDC(国立疾病管理予防センター)が提唱(1996年)する標準予防策(スタンダード・プリコーション)※の考え方に基づくものです。

※標準予防策:感染性の有無にかかわらず、すべての患者の湿性生体物質(血液、体液、分泌物、排泄物、創傷皮膚、粘膜等)は、感染する危険性があるものとして取り扱う予防策

しかし、広義の体液のうち、唾液、排泄物、吐瀉物等については、血液等と比べて感染性が低いと考えられますので、専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)が、実際のリスクの程度(患者の感染症への感染の有無、感染症の種類等)を勘案して感染性のおそれが高いと判断し、かつ多量に混入しておれば感染性廃棄物とすることが適当です。

Q88 検尿コップは感染性廃棄物か?

A88
マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、「排出場所の観点」から検査室において検査等に使用された後、排出されたものは感染性廃棄物としています。ここで検査室とは、「採血を行う室、透析室及び微生物や病理学等に関する臨床検査室(検体検査を行う室)等をいう。」と定義されています。検査室には、採血室のほか、病理検査室・細菌検査室・解剖検査室・血液検査室が含まれますが、尿検査室、一般検査室は含まれないと解することが適当です。
従って、尿検査室、一般検査室において発生する尿を除去した検尿コップは、非感染性廃棄物であり、その材質によって一般廃棄物(紙製の場合)又は産業廃棄物の廃プラスチック類(プラスチック製の場合)に該当します。

Q89 ロタウィルス感染症の患者の吐瀉物は感染性廃棄物か?

A89
吐瀉物は広義の体液に含まれるものですが、血液等と比べて感染性が低いと考えられますので、専門知識を有する者(医師、歯科医師、獣医師)が、実際のリスクの程度(患者の感染症への感染の有無、感染症の種類等)を勘案して感染性のおそれが高いと判断すれば感染性廃棄物とすることが適当です。
一方、ロタウィルス感染症は、感染症法の五類感染症に分類される感染性胃腸炎の一種ですが、マニュアルでは、感染性胃腸炎の患者が使用した紙おむつは、感染性廃棄物として取り扱うこととされています。(A91参照
これらのことから、ロタウィルス感染症の患者の吐瀉物は感染性廃棄物とすることが適当です。

Q90 結核患者の病床で発生したティシュペーパー等のごみは感染性廃棄物か?

A90
マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、「排出場所の観点」から次のように定められています。

1 感染症病床(感染症法により入院措置が講ぜられる一類、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症の患者に係る病床)において、治療、検査等に使用された後、排出されたもの

結核は感染症法の二類感染症に分類されるため上記1に該当し、「治療、検査等に使用された後、排出されたもの」は、医療器材等に限らず全て感染性廃棄物となります。具体的には、病床で発生したごみ(患者の痰などをとったティシュペーパー等)のほか、寝具、給食の食べ残し、排泄物等も感染性廃棄物とすることが適当です。

Q91 紙おむつは感染性廃棄物か?

A91
未使用の状態で排出された紙おむつは、合成樹脂製の吸水材が主要部分を占めるため、総体として産業廃棄物の「廃プラスチック類」に該当します。
使用後に排出されたものは、通常、し尿が付着しているので一般廃棄物に該当します。マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、血液等が付着しているもの及び特定の感染性疾患※に係るものは感染性廃棄物に該当するものとしております。なお、病院や老人介護施設等において、日常業務の中で感染症の種類によって紙おむつを分別することが実務的に困難な場合は、すべて感染性廃棄物として取り扱うことが実際的であると思われます。

※特定の感染性疾患:感染症法に定める一から三類感染症、新型インフルエンサ゛、指定感染症、新感染症、四類感染症のうちE,A型肝炎・H5N1
以外の鳥インフルエンサ゛等、五類感染症のうち感染性胃腸炎(ノロウィルス、ロタウィルス等)・MRSA・VRE・麻しん等

Q92 新型インフルエンザ(A/H1N1)の患者に係る紙おむつは感染性廃棄物か?

A92
マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、紙おむつについては、感染症の種類によって感染性廃棄物と非感染性廃棄物とに分けられています。(ただし、血液等が付着したものは全て感染性廃棄物です。)(A91参照
紙おむつを感染性廃棄物とする感染症の中に「新型インフルエンザ等感染症」が含まれており、一方、感染性廃棄物とはしない感染症の中に「インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)」が含まれています。
平成21年に大流行した豚インフルエンザは、「新型インフルエンザ(A/H1N1)」と言われましたが、平成22年8月にWHO(世界保健機関)がパンデミック(世界的大流行)の終息を宣言し、日本でも平成23年4月1日に「インフルエンザ(A/H1N1)」(五類感染症)に変更され、感染症法上も通常の季節性インフルエンザと同様に取り扱われることとなりました。
このため、現在は、季節性豚インフルエンザ(A/H1N1)の患者も他の季節性インフルエンザの患者と同様に使用した紙おむつは非感染性廃棄物となります。(ただし、血液等が付着したものは感染性廃棄物になります。)

Q93 輸液点滴セットから針を切り離せば非感染性廃棄物となるか?

A93
輸液点滴セットから針を切り離せば非感染性廃棄物として扱うことは可能です。
しかし、輸液ルートから針を切り離す作業に伴う針刺し事故によるリスクや直接患者へ提供されたルートは、血液が逆流するおそれがあることを考えると、無理な分離は行わずにバッグを除いた輸液ルートは、一体として感染性廃棄物とすることが安全のために望ましいと思われます。
なお、輸液バッグは血液の逆流のおそれがないため、非感染性廃棄物として処理することができます。

Q94 学校の保健室や会社の医務室で発生した注射針は感染性廃棄物か?

A94
感染性廃棄物は、政令及び規則で定められた施設(医療関係機関等)※で生じたものに限られていますが、学校の保健室や会社の医務室は、現在のところ医療関係機関等に指定されていませんので、法令上は、感染性廃棄物には該当しません。しかし、注射針については、感染性廃棄物として鋭利物に準じて処理することが必要です。(A95A100参照

※医療関係機関等(施行令別表第1の4の項・施行規則第1条第5項に掲げる施設)
病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、助産所、動物の診療施設、試験研究機関(医学・歯学・薬学・獣医学に係るものに限る)

Q95 鍼灸院で発生した使用後の鍼は感染性廃棄物か?

A95
感染性廃棄物は、政令及び規則で定められた施設(医療関係機関等)※で生じたものに限られています。

※医療関係機関等(施行令別表第1の4の項・施行規則第1条第5項に掲げる施設)
病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、助産所、動物の診療施設、試験研究機関(医学・歯学・薬学・獣医学に係るものに限る)

医療関係機関等の中の診療所は、医療法では、「医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう」と定義されており、日本標準産業分類では、「はり業、きゅう業」は、「一般診療所」ではなく「療術業」に分類されています。従って、鍼灸院は診療所には含まれず、医療関係機関等ではありません。(保健所、血液センター、各種検診機関は、医師が医療行為を行う場所ですので診療所に含まれます。)
そのため、鍼灸院で発生した使用後の鍼は、法令上は、感染性廃棄物に該当しませんが、感染性廃棄物(鋭利物)に準じて処理することが必要です。(A94A100参照
なお、鍼灸院で発生した使用後の消毒綿は、血液等が多量に付着していない限り感染性廃棄物ではなく、事業系一般廃棄物となります。

Q96 胞衣汚物や手術等により生じた臓器は感染性廃棄物か?

A96
胎盤などの胞衣汚物は、有償で売却できるなど有価物に該当する場合や宗教的・社会的慣習により供養等が行われる場合以外は、マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローの「形状の観点」から感染性廃棄物となります。同様に、手術等により摘出され不要物となった臓器・皮膚等も感染性廃棄物となります。
また、中絶胎児については、墓地埋葬法では、死体を妊娠12週(4か月)以上の死胎を含むと定義しているため、12週(4か月)未満の中絶胎児については、同法の枠外にあります。環境省は、「中絶胎児については、妊娠4か月(12週)未満であっても、生命の尊厳に係るものとして適切に取り扱うことが必要」としています(平成16年9月24日、報道発表資料)が、引き取り先がない場合など廃棄物として取り扱わざるを得ない場合は、マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローの「形状の観点」から感染性廃棄物となります。

Q97 手術室の廃水を消毒せずにそのまま下水道に放流してもよいか?

A97
マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、「排出場所の観点」から、次の排出場所において治療、検査等に使用された後、排出されたものを感染性廃棄物としております。

  1. 感染症病床(感染症法により入院措置が講ぜられる一類、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症の患者に係る病床)
  2. 手術室、緊急外来室、集中治療室、分娩室
  3. 検査室(採血を行う室、透析室及び微生物や病理学等に関する臨床検査室(検体検査を行う室)等)

これは、上記の排出場所で発生する廃棄物には、感染性病原体が含まれ又はそのおそれがあるため、血液等の付着の程度や廃棄物の形状、性状の違いにかかわりなく感染性廃棄物とするものです。また、例えば手術室で発生する血液の混じった洗浄廃水は、産業廃棄物の廃酸又は廃アルカリ(中性の場合は、廃酸と廃アルカリの混合物)に該当します。そこで、上記の排出場所で発生する廃水(例えば、手術室の洗浄廃水、透析室の廃水など)であって、下水道に排出しているものについても、「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処分又は再生の方法として環境大臣が定める方法」(平成4年厚生省告示第194号)に定める「肝炎ウィルスに有効な薬剤又は加熱による方法で消毒する方法」に準じた消毒処理を行い感染性を失わせることが望まれます。
このため、現在、上記の排出場所で発生する廃水であって、感染性病原体が含まれ又はそのおそれのあるものを消毒せずに下水道に排出している場合にあっては、今後の施設整備計画の中で、当該廃水を分流させて消毒処理を行うことが望まれます。(A98参照

(注)
廃棄物処理法は、廃棄物の処理に関する一般法的な立場に立つものですから、廃棄物処理法上の廃棄物に該当するものであっても、特別法的な立場に立つ他の法律により、別制度で規制の措置が行われ、かつ、廃棄物処理法の処理の基準と同等以上の処理の基準が課されているものにあっては、廃棄物処理法に先行して、当該特別の基準によって処理がなされることになります。(例えば家畜伝染病予防法が適用される場合の家畜伝染病予防法に基づく動物の死体の処理)
しかし、下水道法による下水排除基準では、感染性の観点からの基準が設定されていません。そのため、廃棄物処理法の処理の基準と同等以上の処理の基準が課されているとは言えず、下水道へ放流している廃水について、感染性の観点から一般法である廃棄物処理法の処理基準が適用されることになります。なお、将来、下水道法又は市町村等の条例で、感染性の観点から下水排除基準が設定されることになれば、廃棄物処理法の処理基準は適用されないことになります。

Q98 血液透析における透析廃液をそのまま下水道に放流してもよいか?

A98
マニュアルでは、透析等回路については、ダイアライザーのほか回路チューブなど血液が含まれている部分については、これらに含まれる血液が分離されずに一体的に処理されていることから、感染性廃棄物に該当するものとしております。しかし、透析廃液については、ダイアライザーコイルを介しており、病原菌が透析廃液に通過することがないことから感染性廃棄物とはなりません。また、生理食塩水の残液やバッグも、同様に感染性廃棄物とはなりません。
一方で、マニュアルで示した感染性廃棄物の判断フローによると、「排出場所の観点」から、検査室で治療、検査等に使用された後、排出されたものを感染性廃棄物としており、透析室は検査室の定義に含まれています。従って、血液透析が一般の病床ではなく、感染性病原体による汚染を受ける危険性がある排出場所である透析室で行われる場合は、透析廃液(廃酸・廃アルカリ)のほか、生理食塩水の残液やバッグも感染性廃棄物となります。
このため、透析室で生じる透析廃液については、「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処分又は再生の方法として環境大臣が定める方法」(平成4年厚生省告示第194号)に定める「肝炎ウィルスに有効な薬剤又は加熱による方法で消毒する方法」に準じた消毒処理を行い感染性を失わせることが望まれます。(A97参照

Q99 在宅医療廃棄物は感染性廃棄物か?

A99
在宅医療廃棄物は一般廃棄物ですが、環境省において平成16年度に「在宅医療廃棄物の処理の在り方検討会」の報告書(平成17年3月)を取りまとめました。この報告書では、検討会の提言として、在宅医療廃棄物の処理の在り方について、今後も引き続き検討することが必要であるとしつつ、現段階で最も望ましい方法として、1.注射針等の鋭利な物は医療関係者あるいは患者・家族が医療機関へ持ち込み、感染性廃棄物として処理する、2.その他の非鋭利な物は、市町村が一般廃棄物として処理するとういう方法が考えられるとしております。
しかし、市町村によっては、在宅医療廃棄物を受入れないなど在宅医療廃棄物の取扱いが異なるのが現状です。感染性に関する正確な情報に基づき、市町村と医療関係機関が密接な連携を図りつつ、在宅医療を受ける患者の立場に立って取組むことが望まれます。

(注)
在宅医療廃棄物の処理に関するアンケート調査の結果(環境省等)
最も望ましい方法に従って在宅医療廃棄物を回収している市町村

  • 平成18年度調査:31.0%
  • 平成21年度調査:41.8%

一方、一般廃棄物の処理は市町村の自治事務と位置付けられているものであり、一般廃棄物の処理の統括的な責任は市町村が有するものであることから、市町村が自らの責任で行うべき一般廃棄物処理の取扱いについては、市町村が判断すべきものです。

参考:「在宅医療廃棄物の処理の在り方検討会」報告書(外部サイト)(外部サイトへリンク)

Q100 医療機関や調剤薬局が回収したインスリンの自己注射針は感染性廃棄物か?

A100
ペン型のインスリン自己注射の針は、使用後に針ケースに収めたうえ容器に収納して、往診医や訪問看護師に渡すか医療機関、調剤薬局、訪問看護ステーションに返却することが望まれます。医療機関で処方し、調剤薬局で販売した注射針を回収した時点で、下取り行為として医療機関や調剤薬局が排出する産業廃棄物となります。(A1参照
なお、感染性廃棄物は、政令及び規則で定められた施設(医療関係機関等)※で生じたものに限られていますので、病院や診療所が回収した注射針は感染性廃棄物に該当しますが、調剤薬局や訪問看護ステーションは、現在のところ医療関係機関等に指定されていませんので、法的には感染性廃棄物には該当しません。しかし、注射針については、感染性廃棄物として鋭利物に準じて処理することが必要です。(A94A95参照

※医療関係機関等(施行令別表第1の4の項・施行規則第1条第5項に掲げる施設)
病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、助産所、動物の診療施設、試験研究機関(医学・歯学・薬学・獣医学に係るものに限る)

Q101 感染性廃棄物を同一医療法人の別の病院に設置したオートクレーブで滅菌して非感染性廃棄物とすることができるか?

A101
別の医療法人等に滅菌を委託することは、特別管理産業廃棄物(感染性廃棄物)の処分(中間処理)の委託となりますが、同一医療法人の別の病院に設置したオートクレーブで滅菌することは、感染性廃棄物の自家処理であり可能です。マニュアルでは、「医療関係機関等の施設内における感染性廃棄物の処理」として、「感染性廃棄物は、原則として、医療関係機関等の施設内の焼却設備で焼却、溶融設備で溶融、滅菌装置で滅菌又は肝炎ウィルスに有効な薬剤又は加熱による方法で消毒するものとする。」とされていますが、これは、自家処理することができない場合に委託処理するという廃棄物処理の一般的な考え方を示したものにすぎず、適切に管理がなされるのであれば、感染性廃棄物が発生した病院とは別の病院に感染性廃棄物を運搬し、両方の病院の感染性廃棄物をあわせてオートクレーブで滅菌処理することを否定する理由はありません。
ただし、この場合は、自ら運搬するときには産業廃棄物処理基準を遵守するとともに、感染性廃棄物を排出した病院及びオートクレーブを設置している病院の双方に帳簿を備え、次の事項を記載して5年間保存することが必要です。

  • 感染性廃棄物を排出した病院
    • 運搬 1 当該産業廃棄物を生じた事業場の名称及び所在地
      2 運搬年月日
      3 運搬方法及び運搬先ごとの運搬量
      4 積替え又は保管を行った場合には、積替え又は保管の場所ごとの搬出量
    • 処分 1 当該産業廃棄物の処分を行った事業場の名称及び所在地
      2 処分年月日
      3 処分方法ごとの処分量
      4 処分後の廃棄物の持出先ごとの持出量
  • オートクレーブを設置している病院
    • 処分 1 特別管理産業廃棄物の処分を行った事業場の名称及び所在地
      2 処分年月日
      3 処分方法ごとの処分量
      4 処分後の廃棄物の持出先ごとの持出量

※処分に関する帳簿の記載と保存は、感染性廃棄物を発生した病院内で滅菌処理する場合も必要です。

また、オートクレーブの処理能力が5トン/日以上の場合、知事又は政令市長の一般廃棄物処理施設の設置許可が必要となります。(特別管理産業廃棄物のみを滅菌処理する場合を除きます。)

(注)特別管理産業廃棄物処理基準では、感染性産業廃棄物の感染性を失わせる方法の一つとして、「高圧蒸気滅菌装置を用いて滅菌する方法」が定められていますが、医療関係機関等※の中で滅菌又は消毒する場合を除き、さらに破砕する等滅菌・消毒したことが明らかとなるような措置を講じたものであることとされています。

※医療関係機関等(施行令別表第1の4の項・施行規則第1条第5項に掲げる施設)
病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、助産所、動物の診療施設、試験研究機関(医学・歯学・薬学・獣医学に係るものに限る)

しかし、マニュアルでは、医療関係機関等の施設内で高圧蒸気滅菌装置を用いて滅菌する場合も、「さらに破砕する等滅菌したことを明らかにすること」を求めています。

Q102 検査室で排出される試薬類や有機溶剤は、感染性廃棄物と合わせて処理できるか?

A102
マニュアルに示す感染性廃棄物の判断フローでは、「排出場所の観点」から「検査室において検査等に使用された後、排出されたもの」を感染性廃棄物としております。しかし、検査室で検査に用いた試薬類、有機溶剤(標本関係薬品)、ホルマリン等は、医療器材、ディスポーザブル製品、衛生材料等の感染性廃棄物とは異なる観点からの管理が必要となるため、これらの感染性廃棄物とは混合せずに、その性状に応じて特別管理産業廃棄物として処理する必要があります。

Q103 廃抗悪性腫瘍剤は特別管理産業廃棄物か?

A103
廃抗悪性腫瘍剤は特別管理産業廃棄物ではありません。
抗悪性腫瘍剤の多くは、生体に対する変異原性、催奇形性、発がん性等の細胞毒性を有しておりますが、現在、特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)となる有害物質とはされておりません。しかし、廃抗悪性腫瘍剤(使用済みの薬剤容器包装、容器に残っている薬剤、薬剤が付着したガウン・手袋・マスク・注射器等)のように細胞毒性などのケミカルハザードのあるものは、その他の廃棄物とは区分し、耐久性・密閉性の高い容器を使用するとともに、内容物が廃抗悪性腫瘍剤であることを表示して排出するとともに、委託する産業廃棄物処理業者などに十分な情報を提供することが望まれます。
また、廃抗悪性腫瘍剤の処分方法としては、焼却又は溶融することが最も適切です。

参考:平成17年度事業DNA廃棄物及び廃抗悪性腫瘍剤調査報告書(概要)(外部サイトへリンク)

Q104 水銀血圧計は特別管理産業廃棄物か?

A104

水銀式血圧計は「水銀使用製品産業廃棄物」に該当し、特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)には該当しません。産業廃棄物の種類としては、その材質により「金属くず」、「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」「廃プラスチック類」等の混合物となります。

水銀式血圧計は、水銀を回収することが義務付けられている対象品目であり、水銀を回収できる業者へ委託しなければなりません。水銀式血圧計から回収された廃水銀は、特別管理産業廃棄物の「廃水銀等」に該当します。なお、破損等により漏洩した廃水銀は特別管理産業廃棄物の「廃水銀等」には該当しません。

医療機関等においては、保管・使用中の水銀式血圧計は、注意喚起の表示をお願いします。

Q105 感染性産業廃棄物の処理委託契約書及びマニフェストには、産業廃棄物の種類を記載する必要があるのか?

A105
産業廃棄物の種類(廃プラスチック類、金属くず、廃アルカリ等)ごとに数量を記載する必要はありません。廃棄物の種類は、「感染性廃棄物」として、数量は感染性廃棄物全体の数量について記載してください。
感染性廃棄物の収納容器には、廃棄物の性状(「液状・泥状」「固形状」「鋭利物」)ごとに複数の種類の廃棄物が一体不可分に混合されています。その状態で廃棄物の種類(廃プラスチック類、金属くず、廃アルカリ等)ごとに数量を把握することは、かえって感染のリスクを高めますので、複数の種類の廃棄物が混合した感染性廃棄物として一括して数量を記載して差し支えありません。

Q106 感染性一般廃棄物についても委託契約書やマニフェストは必要か?

A106
産業廃棄物に係る委託基準やマニフェスト制度は、事業系一般廃棄物には適用されません。
特別管理産業廃棄物収集運搬業者(処分業者)のうち感染性産業廃棄物の収集運搬(処分)を行う者は、感染性一般廃棄物の収集運搬(処分)を行うことができるとされている(法第14条の4第17項、施行規則第10条の20)ことから、感染性一般廃棄物(血液等が多量に付着したガーゼ・脱脂綿・包帯・リネン類、摘出した臓器・皮膚・組織、病原微生物を取り扱った培地、血液が付着した紙おむつ等)は、感染性産業廃棄物(注射針、血液、血液等が多量に付着したチューブ等)と混合して、感染性産業廃棄物を取り扱う特別管理産業廃棄物処理業者に委託することができます。しかし、法令上は、これらの混合物のうち感染性産業廃棄物に相当する数量のみを契約書やマニフェストに記載することになりますが、感染性廃棄物の適正処理を確保するためには、感染性一般廃棄物を含めた感染性廃棄物全体について契約しマニフェストを交付することが適当です。感染性一般廃棄物のみを委託する場合にあっても同様にしてください。

Q107 感染性産業廃棄物を生ずる医療機関が置かなければならない特別管理産業廃棄物管理責任者の資格は?

A107
特別管理産業廃棄物を生ずる事業場には特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければなりません。
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格は、次のように感染性産業廃棄物とそれ以外の特別管理産業廃棄物とで異なります。(施行規則第8条の17一部省略)

  • 感染性廃棄物
    • 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師、歯科衛生士
    • 大学又は高等専門学校において医学、薬学、保健学、衛生学、獣医学の課程を修めて卒業した者
    • これと同等以上の知識を有すると認められる者
  • 感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物
    • 学歴区分及び修了課程に応じた実務経験を有する者
    • これと同等以上の知識を有すると認められる者

上記の資格要件のうち、「これと同等以上の知識を有すると認められる者」について、大阪府では(公財)日本産業廃棄物処理振興センターが特別管理産業廃棄物管理責任者になろうとする者を対象に実施する講習会を修了した者であることとしております。この際、感染性産業廃棄物については、平成19年2月以降に実施している「医療関係機関等を対象にした特別管理産業廃棄物管理責任者講習会」のコースを修了した者であることが必要であり、感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物については、「特別管理産業廃棄物管理責任者講習会」のコースを修了した者であることが必要です。
ただし、医療関係機関に限っては、感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物(例えば、引火性廃油、腐食性廃酸・廃アルカリ、PCB廃棄物)を発生する場合でも、「医療関係機関等を対象にした特別管理産業廃棄物管理責任者講習会」のコースを修了した者であれば、双方の資格を有するものとみなす運用をしております。
なお、感染性産業廃棄物については、医師等は、上記講習会を修了していなくても特別管理産業廃棄物管理責任者の有資格者となれますが、大阪府では、特別管理産業廃棄物についての知識を体系的に習得するため、上記講習会を受講されることを推奨しております。
また、医師等に特別管理産業廃棄物管理責任者の資格があるのはあくまで感染性産業廃棄物についてであり、感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物についてまで有資格者となれるものではありません。そこで、特別管理産業廃棄物管理責任者として医師等を選任している医療機関のうち、引火性廃油、腐食性廃酸・廃アルカリ、PCB廃棄物等を発生するところであって、感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物の有資格者がいないところについては、上記講習会の修了等によって特別管理産業廃棄物管理責任者の有資格者を確保することが必要です。

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