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産業廃棄物の処理委託(FAQ)
Q36 自社の工場敷地内で他社に運搬を委託する場合、委託基準が適用されるか?
A36
運搬の範囲が、公道を通過しないで自社の工場敷地内に限られるものであれば適用されません。
自社の工場敷地内で産業廃棄物を運搬する行為は、敷地内において産業廃棄物を排出場所から保管場所まで移動し集積させたに過ぎませんので、廃棄物処理法で規定する「産業廃棄物の運搬」にはそもそも当たらないことから、委託基準は適用されず、マニフェストを交付する義務も生じません。また、産業廃棄物処理基準(施行令第6条)も適用されないことから、運搬車への表示及び書面の備え付けの義務も適用されません。同様に建物の中で各部屋又は各階に置かれた産業廃棄物を建物の集積場所まで運ぶ行為も「産業廃棄物の運搬」には当たりません。
なお、自社敷地内での保管に適用される基準は、法第12条第2項(その産業廃棄物が運搬されるまでの間の基準遵守義務)に基づく施行規則第8条(保管数量の上限規制を含まない)であって、法第12条第1項(運搬又は処分を行う場合の基準遵守義務)に基づく施行令第6条第1項第1号ホ(保管数量の上限規制を含む)ではありません。このことからも、廃棄物処理法で規定する「産業廃棄物の運搬」とは、自社の保管場所から敷地外への運搬を意味するということができます。(A73参照)
ただし、自社の工場敷地内であっても、焼却・脱水など廃棄物の処分の概念に当てはまる行為を委託する場合や、自社の工場敷地内の自家処理施設(焼却・脱水など)までの運搬を委託する場合は、委託基準が適用されます。
Q37 廃溶剤の蒸留再生を委託加工費を払って委託し、再生された廃溶剤を再び自社で使用する場合、委託基準が適用されるか?
A37
いわゆる「委託加工」に該当し、処分の委託には当たりませんので、委託基準は適用されません。
ただし、自社で発生した廃溶剤を他社の廃溶剤と混合されることなく蒸留再生が行われること、再生された溶剤が自社に返却されるか自社の所有物として第三者に売却されること(この場合は、第三者に売却されるまでは所有権が自社にあること)が条件となります。
なお、蒸留再生に伴って発生する産業廃棄物(蒸留残さ)の排出者は、委託加工を行う再生事業者となります。
Q38 工場廃水のタンクローリーでの運搬を他社に委託し、自社の他工場の廃水処理施設で処理する場合、委託基準が適用されるか?
A38
産業廃棄物の廃酸又は廃アルカリ(中性の場合は廃酸と廃アルカリの混合物)の運搬の委託になりますので、委託基準が適用されマニフェストの交付も必要です。
なお、他工場の廃水処理施設での処理については、産業廃棄物の自家処理となりますが、特別法的な立場に立つ法律(水質汚濁防止法)によって規制されるものなので、廃棄物処理法の基準は適用されません。(廃水処理施設からの放流は産業廃棄物の処分の特殊な形態と言えます。)(A97参照)
また、廃水処理施設で処理後の水であっても、ドラム缶やタンクローリーで運搬して河川へ投入する行為は、河川の維持用水等有用な水である場合を除き、産業廃棄物(廃酸・廃アルカリ)をみだりに捨てたことになって投棄禁止規定に違反する場合があります。
Q39 事業者と直接の雇用関係がない者に産業廃棄物の処理を行わせる場合、委託基準が適用されるか?
A39
事業者がその産業廃棄物の処理を行うに当たって、その業務に直接従事する者が、事業者と直接の雇用関係がなくても、次の1から5の要件をすべて満たす場合は、「事業者による自ら処理」であって、委託基準は適用されません。(平成17年3月25日、各都道府県・政令市廃棄物行政主管部(局)長あて、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知。いわゆる「規制改革通知」)
- 当該事業者がその産業廃棄物の処理について自ら総合的に企画、調整及び指導を行っていること。
- 処理の用に供する処理施設の使用権原及び維持管理の責任が、当該事業者にあること。
(施行令第7条に掲げる産業廃棄物処理施設については当該事業者が法第15条第1項の許可を取得していること。) - 当該事業者が業務従事者に対し個別の指揮監督権を有し、業務従事者を雇用する者との間で業務従事者が従事する業務の内容を明確かつ詳細に取り決めること。
またこれにより、当該事業者が適正な廃棄物処理に支障を来すと認める場合には業務従事者の変更を行うことができること。 - 当該事業者と業務従事者を雇用する者との間で、法に定める排出事業者に係る責任が当該事業者に帰することが明確にされていること。
- 3及び4についての事項が、当該事業者と業務従事者を雇用する者との間で労働者派遣契約等の契約を書面にて締結することにより明確にされていること。
なお、事業の範囲としては、上記3に掲げる当該事業者による「個別の指揮監督権」が確実に及ぶ範囲で行われる必要があり、例えば当該事業者の構内又は建物内で行われる場合はこれに該当するものと解して差し支えありません。
Q40 事業者が所属する団体が個々の排出事業者に代わって契約することができるか?
A40
民法上は、代理人による契約締結は一般的に行われていますが、産業廃棄物処理の委託契約については、廃棄物処理法で定められた排出事業者責任が、安易に他者に転嫁されることのないようにするため、一定の制約が必要です。そこで、次の1から5の要件をすべて満たす場合において、個々の排出事業者が事業者団体に契約締結に関する権限のみを委任状を交付して委任するのであれば、事業者団体が個々の排出事業者に代わって契約を締結することができることとします。ただし、この場合でも、産業廃棄物の排出事業者責任は、あくまで個々の排出事業者にあることに留意してください。
- 事業者団体は、同一業種の構成員で構成される法人格を有する団体であること。
- 団体の構成員のみから委任を受けること。
- 委任状は、委託する処理業者(収集運搬業者、処分業者)、処分方法及び委託する産業廃棄物の種類を明記したうえで、契約締結権限についてのみ委任する内容とすること。
- 委任状には、団体に契約締結権限を委任しても、廃棄物処理法の排出事業者責任は個々の事業者にあることを明記すること。
- 団体が処理業者と締結する契約書には、排出事業所の一覧を添付すること。
Q41 ビル管理会社がテナントに代わって契約することができるか?
A41
民法上は、代理人による契約締結は一般的に行われていますが、産業廃棄物処理の委託契約については、廃棄物処理法で定められた排出事業者責任が、安易に他者に転嫁されることのないようにするため、すべての場合に代理人による契約締結が認められるものではありません。具体的には、テナントビル、ショッピングモール、商店街など複数の事業者が一定のエリアにおいて事業活動を行っている場合等廃棄物の排出管理が共同で行われている場合、契約締結に関する権限をビル管理会社等に委任する委任状を個々のテナント等がビル管理会社等に交付するのであれば、ビル管理会社等が一括して委託契約を締結することは可能です。ただし、この場合でも、個々のテナント等は、その排出事業者責任をビル管理会社等に転嫁しうるものではありません。
また、ビル管理会社等が産業廃棄物処理業者と締結する委託契約には、排出事業者であるテナント等の一覧を添付するようにしてください。(A57参照)
(注)ビルの共用部分から発生する産業廃棄物(し尿を含まないビルピット汚泥等)は、ビル管理会社が排出事業者になります。なお、し尿を含むビルピット汚泥は一般廃棄物です。
Q42 別法人である子会社の産業廃棄物処理について、親会社が代行して契約することができるか?
A42
排出事業者である子会社が処理業者と委託契約を結ぶ義務があります。
親会社といえども、独立した法人である別会社の排出事業者責任を代行することはできません。また、親会社が処理業の許可がないのに子会社の産業廃棄物処理の受託をすることは、受託禁止規定(法第14条第15項)に違反することになります。ただし、親会社が単に子会社と処理業者との間の委託のあっ旋を行っているだけで、実際の処理委託は子会社と処理業者との間で行われているのであれば、受託禁止規定違反にはなりません。(A14参照)
Q43 一つの契約書で複数の排出事業所の契約をすることができるか?
A43
委託契約書は、産業廃棄物を排出する事業所ごとに締結することが一般的です。しかし、電鉄会社の駅舎のように小規模で同じ事業活動を行う事業所を多数有している場合は、支社、支店等一定の単位で集約して委託契約を締結することも可能です。そのほか、フランチャイズチェーンについて、加盟店が本部に処理業者との委託契約締結の代理権を与えることにより、本部が複数の加盟店について一括して契約することも可能です。これらの場合では、産業廃棄物を排出する事業所の名称、所在地のほか、事業所ごとに委託する産業廃棄物の種類・数量等を記載することが必要です。
なお、同一の車両で複数の排出事業所から積み合わせて収集・運搬する場合でも、マニフェストについては排出事業所ごとに交付することが必要です。(A68参照)
(注)マニフェストの法定記載事項には、「産業廃棄物を排出した事業場の名称及び所在地」が定められていますが、委託契約書の法定記載事項には、排出事業所の名称等は含まれておりません。
Q44 工場長、支店長等が契約することができるか?
A44
委託契約書は排出事業者の代表者が締結するものですが、社内で代表者から契約の締結権限を委任する手続きが行われていれば工場長、支店長等が締結することもできます。
また、同様にマニフェスト交付状況等報告書の提出についても、事業者の内部組織に関する規程等によって届出行為を行う権限が付与されている者であれば、工場長、支店長等が提出することができます。(大阪府は委任状の提出は求めておりません。)
なお、廃棄物処理法に基づく産業廃棄物の排出事業者責任については、代表者が他の者に委任することはできないことに留意してください。
Q45 委託契約書を電子化することができるか?
A45
法令によって民間事業者に保存が義務付けられている書面の電子化を認める「e-文書法(「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」及び「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」)」が、平成17年4月に施行されております。
e-文書法の施行に伴い、「環境省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則」が制定され、廃棄物処理法に定められている委託契約書等についても、従来の書面(紙)による作成・保存等に代えて、「電磁的保存・作成・交付」が可能となっています。
具体的には、パソコンの文書作成ソフトを使用した電磁的な委託契約書の作成等や、従来の書面(紙)による委託契約書をスキャナーでパソコンに読み込み電磁的に保管する方法が認められています。
また、電磁的に作成される委託契約書の要件について、廃棄物処理法では委託基準を遵守すること以外に特段の定めは無く、一般的に用いられているソフトにより作成した書面、帳簿等で差し支えないとされており、「電子署名及び認証業務に関する法律」による「電子署名」は義務付けられておりません。勿論、民事上の契約の効力をより確実なものとするため「電子署名」を用いることも可能です。
なお、電磁的に作成される委託契約書には、印紙税は課されないこととなっております。
(平成22年1月5日、各正会員事務局長あて、社団法人全国産業廃棄物連合会理事・事務局長事務連絡「廃棄物処理法に定める委託契約書等の電子化について(周知依頼)」より引用)
(注)e-文書法の適用対象となる文書は、上記施行規則で限定列挙されており、産業廃棄物処理委託契約書のほか、産業廃棄物の再委託承諾書や処理困難通知の写しも含まれていますが、産業廃棄物管理票(紙マニフェスト)は含まれていないことに留意してください。従って、5年間の保存義務のある紙マニフェストをスキャナーで取り込みした後廃棄し、PDF等電子ファイル化したもののみを保存することは違法です。
なお、電子マニフェストを使用すれば、マニフェストの保存の必要がなくなるなど多くのメリットがあるため、大阪府では電子マニフェストの利用を推奨しております。
Q46 「専ら物」の処理を委託するときに委託契約書を作成しなければならないか?
A46
専ら再生利用の目的となる産業廃棄物(古紙、くず鉄(古銅等を含む)、空きびん類又は古繊維)(昭和46年10月16日環整第43号通知。「専ら4品目」と言われます。)を専門に取り扱う再生業者に再生利用を委託する場合は、有価物として売却するものを除いて、産業廃棄物の処理委託となりますので、委託基準が適用され、委託契約書の締結は必要になります。(有償売却される場合は、有価物となってそもそも廃棄物処理法は適用されません。)ただし、マニフェストの交付は不要です。
委託契約書の法定記載事項として、「受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項」が定められており、通常はマニフェストで代用していますが、マニフェストの交付が不要な「専ら物」の委託に当たっては、マニフェストに代わる何らかの書面(受入伝票など)で業者から処理終了報告を受けることが望まれます。(「専ら物」の処理確認のためにマニフェスト伝票を使用した場合でも、マニフェスト交付等状況報告書の対象とはなりません。)
また、「専ら物」を取り扱う業者は産業廃棄物処理業の許可が不要であるため、廃棄物処理法で定める産業廃棄物収集運搬業者や産業廃棄物処分業者ではありませんので産業廃棄物処理基準も適用されません。しかし、「専ら物」を取り扱う業者の施設に排出事業者が自ら搬入する場合は、排出事業者による自家運搬であって、産業廃棄物処理基準(運搬車への表示及び書面の備え付けを含む)が適用されることに留意してください。
なお、「専ら4品目」であっても、それを埋立処分や焼却処理するなど再生利用していない場合は、通常の産業廃棄物処理委託と同様に産業廃棄物処理業者に委託し、マニフェストを交付することが必要です。従って「専ら4品目」を処理料金を支払って産業廃棄物処理業者でない者に委託する場合は、それが確実に再生利用されることを確認することが望まれます。
Q47 事務所で発生する不要物はどのように分別して委託処理すればよいか?
A47
廃棄物処理法の規定に則り、通常は、「事業系一般廃棄物として市町村が定めたルール(分別区分・排出方法等)に従い市町村に処理を委託又は一般廃棄物処理業者に処理を委託するもの」「産業廃棄物として産業廃棄物処理業者に処理を委託するもの」及び「専ら再生利用の目的となる廃棄物(古紙、くず鉄(古銅等を含む)、空きびん類又は古繊維)。いわゆる「専ら4品目」)を専門に取り扱う再生業者に再生利用を委託するもの」に区分し、適切に分別して管理する必要があります。従って、事務所で発生する廃プラスチック類、金属くず等の産業廃棄物を、事業系一般廃棄物である紙ごみに混ぜて、市町村に処理を委託することは廃棄物処理法に違反します。(有価物であるものについては、廃棄物処理法は適用されません。)
1.事業系一般廃棄物として市町村が定めたルール(分別区分・排出方法等)に従い市町村に処理を委託又は一般廃棄物処理業者に処理を委託するもの
- コピー用紙、シュレッダーで細断した書類、ティシュペーパー、紙製の容器包装等の紙ごみ
(紙加工品製造業等の特定業種の事務所で発生するものについてはA33参照) - 木製の机、椅子、本棚、容器等(Q35の(22)参照)
- 事務所で飲食した食べ残しの残飯、木製の割り箸、茶がら等
2.産業廃棄物として産業廃棄物処理業者に処理を委託するもの
- プラスチック製の不要物(事務用品、弁当の容器・カップ麺の容器・ペットボトル、その他の容器包装等)
廃プラスチック類の運搬を事業の範囲に含む収集運搬業者に運搬を委託し、廃プラスチック類の処分を事業の範囲に含む処分業者に処分又は再生を委託してください。 - 金属製の不要物(事務用品、空き缶、事務机、スチールロッカー等)
金属くずの運搬を事業の範囲に含む収集運搬業者に運搬を委託し、金属くずの処分を事業の範囲に含む処分業者に処分又は再生を委託してください。 - ガラス、陶磁器製の不要物(コーヒーカップ、グラス、電球等)
ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずの運搬を事業の範囲に含む収集運搬業者に運搬を委託し、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずの処分を事業の範囲に含む処分業者に処分又は再生を委託してください。 - 廃蛍光管(Q35の(2)参照)
通常、蛍光管には水銀蒸気が封入されています。水銀を含む廃蛍光管は「水銀使用製品産業廃棄物」に該当し、「水銀使用製品産業廃棄物」として適正に処理しなければなりません(Q122参照)。
産業廃棄物の種類としては「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(蛍光物質が塗布されたガラス管)」と「金属くず(両端の電極)」の混合物になります。 - 廃乾電池(Q35の(3)参照)
「金属くず(亜鉛缶、鉄外装)」と「汚泥(二酸化マンガン、塩化亜鉛等)」の混合物として適切に委託処理してください。なお、水銀を使用していることが表示されている廃乾電池は「水銀使用製品産業廃棄物」に該当します。 - 情報処理機器、事務機器、通信機器、消火器、ユニフォーム(合成繊維製)、ボタン電池、鉛蓄電池等の廃棄物処理法の許可の特例制度(産業廃棄物広域認定制度による環境大臣の認定等)の対象産業廃棄物
産業廃棄物広域認定制度による環境大臣の認定業者等に委託するか、該当する種類の産業廃棄物として適切に委託処理してください。
3.専ら再生利用の目的となる廃棄物
- 古新聞、古雑誌、段ボール等
- 古繊維
- 空き缶等
- 空きびん等
なお、コピー機の廃トナーなどについて、販売事業者が下取りの条件(A1の1から4)のすべてを満たす場合に行う下取り行為に伴う産業廃棄物は、販売事業者が排出事業者となります。
Q48 処理料金の支払いに当たって、収集運搬業者に運搬料金と処分料金を一括して支払うことができるか?
A48
廃棄物処理法では、運搬と処分の委託は、それぞれ委託契約を結ぶように定められており、契約書には処理料金を記載することが義務付けられています。しかし、処理料金の支払い方法については、委託基準において特段の規定がありません。
そのため、委託契約書で処理料金の支払い方法について定め、その定めるところにより、収集運搬業者に処分料金も含めて一括して支払い、収集運搬業者が処分業者に処分料金を支払うことは違法ではありません。しかし、個々の業者ごとに適正な対価が支払われずに不適正処理を招くことのないようにするため、個々の契約に基づいて収集運搬業者には運搬料金を、処分業者には処分料金をそれぞれ直接支払うことが望ましいと考えられます。
また、処分業者に適正な対価が支払われず、結果的に不適正処理が起きたときには、排出事業者が措置命令(法第19条の6)の対象となる可能性があることに注意する必要があります。(A55参照)
なお、収集運搬業者が最適な処分業者を排出事業者に紹介するサービスや産業廃棄物の種類に応じた最適な処理方法をコーディネートするサービスを行う場合において、排出事業者が収集運搬業者に支払う手数料等の対価は、処理料金とは明確に区分されていることが必要です。
そのほか、商社等の第三者が排出事業者との契約に基づき、処理業者への処理料金の支払いを代行することも可能です。
Q49 委託契約書に記載する「運搬の最終目的地」とは何か?
A49
委託する収集運搬業者が最終的に運搬する施設(中間処理施設、最終処分場、積替え保管施設等)です。
- 積替え保管施設を経由しない運搬の委託(直送)の場合は、処分業者の施設の所在地
- 積替え保管を含む運搬の委託の場合は、積替え保管後に搬入する処分業者の施設の所在地
- 積替え保管施設を経由する区間委託で、区間1(排出事業所から積替え保管施設まで)の運搬の委託の場合は、積替え保管施設の所在地
- 積替え保管施設を経由する区間委託で、区間2(積替え保管施設から処分業者の施設まで)の運搬の委託の場合は、処分業者の施設の所在地
Q50 契約内容に変更が生じた場合、変更契約が必要か?
A50
会社名、代表者、本店所在地等の変更や吸収合併(存続法人となる場合)など軽微な変更の場合は、変更内容を記載した書面(覚書等)を作成し、双方が記名して契約書に添付しておいてください。また、産業廃棄物処理業の許可証の内容に変更が生じた場合は、変更後の許可証を契約書に添付してください。(収集運搬業についての政令市長の許可が、知事の許可へ一元化されたことによる変更を含む。)添付文書には、添付した日付を記入のうえ、双方が記名してください。この場合でも、契約更新時には新たな内容で契約書を締結するようにしてください。
また、法人そのものの変更、有限会社から株式会社への変更、契約期間の変更、産業廃棄物の種類の変更、委託量の大幅な変更、最終処分の場所の変更など重要な変更の場合は、契約書を締結し直すようにしてください。処理料金の変更についても、契約書を締結し直すことが望まれますが、再生利用を委託する場合に再生品の市況の変動に伴い処理料金が頻繁に変更される場合などは、委託契約書には「処理料金は別途覚書による」と記載し、処理料金が変更される都度覚書を作成して契約書に添付しておく方法が考えられます。
Q51 区間委託と再委託の違いは何か?
A51
産業廃棄物の運搬委託に際し、処分施設までの運搬を積替え保管施設を介して区間を区切って複数の業者に委託することを区間委託といいます。
- (例)1.収集運搬業者(1)に同社の積替え保管施設までの運搬を委託
- 2.収集運搬業者(2)に収集運搬業者(1)の積替え保管施設から処分施設までの運搬を委託
これに対して、収集運搬業者が排出事業者から委託を受けた産業廃棄物の運搬を、受託した範囲で他の収集運搬業者に委託することを再委託(外注・アウトソーシング)といいます。上の例では、排出事業者から処分施設までの運搬と積替え保管を受託した収集運搬業者(1)が、積替え保管施設から処分施設までの運搬を収集運搬業者(2)に委託すると再委託となります。
区間委託は、通常の運搬委託と同様であって法的に認められていますが、排出事業者が複数の収集運搬業者と別々に委託契約を締結しないと再委託とみなされる場合があるので注意が必要です。その場合、契約書に記載する「運搬の最終目的地」は、上の例で言うと、収集運搬業者(1)との契約では同社の積替え保管施設を記載し、収集運搬業者(2)との契約では処分施設を記載することになります。
一方、再委託は、無責任な業者等への再委託が処理についての責任の所在を不明確にし、不法投棄等の不適正処理を誘発するおそれがあることから、原則禁止されていますが、運搬車の故障などの場合に、再委託の基準に従った再委託は一度だけ認められています。そこで、再委託を恒常的に行う場合には、再委託が認められている趣旨に反することになりますので、排出事業者が再委託先と直接契約を締結することが必要です。
※再委託の基準
- あらかじめ排出事業者の書面による承諾を受けていること。
- 委託契約書の必要事項を記載した文書を再受託者に交付すること。
- 特別管理産業廃棄物については、排出事業者から通知された事項を文書で通知すること。
- その他委託基準の例によること。
[法第14条第16項・第14条の4第16項、施行令第6条の12・第6条の15]
(注)区間委託又は再委託の場合、マニフェスト交付等状況報告書の記載にあたっては、報告書の2行目に収集運搬業者(2)について記入し、運搬受託者欄には、「受託者の氏名・名称」とあわせて、「区間委託」又は「再委託」と記入し、区間委託又は再委託であることが分かるようにしてください。
Q52 平成22年法改正で排出事業者の努力義務に処理状況の確認が追加されたが、必ず実地確認を行わないといけないのか?
A52
排出事業者は、その産業廃棄物の処理を委託する場合に当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととされていますが、この措置を行う前提として当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行う責務を有することが明確化されました。
排出事業者が委託先において産業廃棄物の処理が適正に行われていることを確認する方法としては、まず当該処理を委託した産業廃棄物処理業者等の事業の用に供する施設を実地に確認する方法が考えられます。他にはデジタル技術を活用して確認することも可能です。デジタル技術を活用した確認の方法としては、例えば、電磁的記録による許可内容や帳簿等の情報の確認、オンライン会議システム等を用いた処理施設の稼働状況や周辺環境の確認、情報通信機器を使用して産業廃棄物処理業者への管理体制の聴取を行うことなどが考えられます。それらが困難な場合又はそれらに合わせて行う方法としては、次のような委託先が公表している情報により当該産業廃棄物の処理が適正に行われていることを間接的に確認する方法も考えられます。いずれの場合にも確認の結果を記録として保存しておくことが望まれます。
- 優良認定処理業者に処理を委託している場合は、処理業者による産業廃棄物の処理状況に関するインターネットによる公表情報
- 産業廃棄物処理施設(焼却施設、廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設、PCB関連施設、最終処分場に限る)の維持管理の状況に関するインターネットによる公表情報
この規定は、努力義務であるため刑事罰の対象となることはありませんが、処理を委託した産業廃棄物が不法投棄された場合等に排出事業者が原状回復等の措置命令の対象となる場合として、「この規定の趣旨に照らし排出事業者に支障の除去等の措置を採らせることが適当であるとき」が定められています(法第19条の6第1項)。
Q53 処理状況の確認努力義務について、中間処理業者に委託している場合は、中間処理後の産業廃棄物の最終処分場の確認まで必要か?
A53
中間処理業者が排出事業者としての立場で最終処分場における処理状況の確認を行うこととなります。
排出事業者は、中間処理業者から情報提供を受けることによって、
- 中間処理業者と最終処分業者との契約書や二次マニフェストの写し
- 最終処分業者の許可証の写し
- 最終処分場の残存容量
等の資料を確認し、必要に応じて現地確認することやデジタル技術の活用等により施設の状況を確認することが望まれます。なお、確認した資料は中間処理業者との契約書とともに保管しておくことが望まれます。(委託基準では、委託契約書に添付すべき書面とはされておりません。)
Q54 平成22年法改正で規定された処理困難通知を受けた排出事業者はどうすればいいのか?
A54
処理困難通知は、産業廃棄物の処理を受託した産業廃棄物処理業者が、産業廃棄物の処理を適正に行うことが困難となり、又は困難となるおそれがある事由※が生じたときに、適正な処理が困難となった産業廃棄物に係る委託契約を締結している排出事業者全てに通知しなければならないものです。
※困難となる事由:破損その他の事故による保管上限到達、事業の廃止、施設の休廃止、埋立終了(最終処分場)、欠格要件該当、行政処分
また、当該通知を受けた排出事業者は、速やかに処理の状況を把握し、適切な措置(生活環境の保全上の支障の除去等)を講ずるとともに、マニフェストの返送を受けていない場合は、「措置内容等報告書」を知事(又は政令市長)に提出しなければなりません。このように、処理困難通知を受けた排出事業者が講じるべき措置を、マニフェストが返送されない場合等に講じるべき措置とリンクさせたことによって、処理困難通知の制度は、排出事業者にとって委託した産業廃棄物についての結果責任につながる重要な意味を持つことになりました。これは、委託した産業廃棄物が不適正処理され、生活環境保全上の支障が生じ、又は生じるおそれがある場合には、処理困難通知を受けて適正な措置を講じなかった排出事業者も措置命令の対象とされたためです。(法第19条の5)
処理困難通知を受けた排出事業者は、例え処理料金を支払い済みであっても、処理の状況を把握し、適切な措置を講じなければなりません。
適切な措置の例としては、
- その処理業者に新たな処理委託を行わないこと。
- 委託契約を解除して他の処理業者等に処分を委託し直すこと。
- 再委託可能な場合は、その処理業者に依頼して他の処理業者に再委託基準に則って再委託させること。
などが考えられますが、具体的な措置の内容については、個別の状況に応じて異なります。
なお、その処理業者に引き渡した産業廃棄物について処理が終了した旨のマニフェストの送付を受けていない場合は、通知を受けた日から30日以内に「措置内容等報告書」を所管の行政に提出しなければなりません。
Q55 「適正な対価を負担していないとき」には措置命令の対象となる場合があるが、「適正な対価」とは何か?
A55
「適正な対価を負担していないとき」について、環境省は、「一般的に行われている方法で処理するために必要とされる処理料金からみて著しく低廉な料金で委託すること(実質的に著しく低廉な処理費用を負担している場合を含む。)をいうものである」としており、その目安としては、「その地域における当該産業廃棄物の一般的な処理料金の半値程度又はそれを下回るような料金」としています。(平成17年8月12日、各都道府県・政令市廃棄物行政主管部(局)長あて、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知「行政処分の指針について」)
「一般的な処理料金」については、処理業者の団体等から情報を入手することが考えられますが、処理業者の団体等が標準的な処理料金を提示することはカルテルになりかねず、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)に抵触するおそれがあることに留意してください。
産業廃棄物の処理料金は、一般的には、分別の状況、委託量、委託頻度、処分方法、運搬距離等によって異なります。そこで、適正処理料金について検討する具体的な方法としては、同じ地域で同様な処理方法を行っている業者の中から複数の見積もりを取るなどできるだけ多くの情報を入手するとともに、その確実性・信頼性を考慮して、地域における適正価格を把握していく等の方法が考えられます。
また、法第19条の6では、「産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に適合しない産業廃棄物の収集、運搬又は処分が行われることを知り、又は知ることができたとき」も措置命令の対象となる場合として規定しています。そのため、委託先において不適正処理が行われる可能性が高いと判断される場合や、そのような情報を入手したにもかかわらず漫然と委託を続け不適正処理を回避するための措置を何ら講じず、結果的に不適正処理を招いた場合にも原状回復のための措置命令の対象となる場合があることに留意してください。