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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第230号)
「就学事務関係文書不存在非公開決定異議申立事案」他7件
(答申日 平成26年3月20日)
【※別紙2~別紙23は添付省略】
第一 審査会の結論
実施機関(大阪府教育委員会)の決定は、いずれも妥当である。
第二 異議申立てに至る経過等
- 別紙1番号1の事案
異議申立人は、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、平成22年5月27日、大阪府教育委員会(以下「実施機関」という。)(担当部署:市町村教育室小中学校課(以下「小中学校課」という。))に対し、「在日コリアン4世が、義務教育期間に公立中学校を退学出来る事が判る文書(正し、編入学は行わない場合)」の公開を求める請求を行った。
同年6月9日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
同月22日、異議申立人は、この決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。 - 別紙1番号2の事案
平成22年8月4日、異議申立人は、条例第6条の規定により、実施機関(担当部署:小中学校課)に対し、「弁明書 教委小中第1711号の第3弁明の理由で、3行目『具体的な事例について個別に判断』と一文の根拠が判る文書。並びに意図の説明がわかる文。」の公開を求める請求を行った。
同月18日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
同年9月6日、異議申立人はこの決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。 - 別紙1番号3の事案
平成22年8月4日、異議申立人は、条例第6条の規定により、実施機関(担当部署:小中学校課)に対し、「昭和28年に『就学義務課せられない=無い』と示されている通知を求める。(文初財第74号)」の公開を求める請求を行った。
同月18日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
同年9月6日、異議申立人はこの決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。 - 別紙1番号4の事案
平成22年9月6日、異議申立人は、条例第6条の規定により、実施機関(担当部署:小中学校課)に対し、「1948(S23)、1.24文部省学校教育局長通達(官学5号)」の公開を求める請求を行った。
同月17日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
同年10月4日、異議申立人はこの決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。 - 別紙1番号5の事案
平成23年2月16日、異議申立人は、条例第6条の規定により、実施機関(担当部署:小中学校課)に対し、「就学義務は、監護養育権と関係するかが判る文書。」の公開を求める請求を行った。
同年3月1日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
同月23日、異議申立人はこの決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。 - 別紙1番号6の事案
平成23年2月16日、異議申立人は、条例第6条の規定により、実施機関(担当部署:教育総務企画課)に対し、「職員間(担当者間)の食い違い有るのを未解決で、構わない規定が判る文書」の公開を求める請求を行った。
同年3月1日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
同月31日、異議申立人はこの決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。 - 別紙1番号7の事案
平成23年3月31日、異議申立人は、条例第6条の規定により、実施機関(担当部署:小中学校課)に対し、「不就学対策通知、不就学対策委員会の議事録」の公開を求める請求を行った。
同年4月13日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
同年5月12日、異議申立人はこの決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。 - 別紙1番号8の事案
平成24年3月30日、異議申立人は、条例第6条の規定により、実施機関(担当部署:小中学校課)に対し、「官学第5号及び文初第84号の廃棄理由((不要理由)→就学事務の手引き掲載無)」の公開を求める請求を行った。
同年4月12日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、不存在による非公開決定を行い、別紙1に記載の理由を附して異議申立人に通知した。
同年5月8日、異議申立人はこの決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対する異議申立てを行った。 - これら8件の異議申立て(以下、これらを併せて「本件各異議申立て」という。)は、いずれも義務教育期間の就学問題に関するものであり、共通した背景があることから、当審査会においては一括して審査を行い、判断を行った。
第三 異議申立ての趣旨等、異議申立人の主張について
別紙1記載の本件各異議申立てにかかる、異議申立て及び反論書等の内容は、下表記載のとおりである。
異議申立事案の番号(別紙1) |
異議申立書 |
反論書等 |
---|---|---|
1 |
別紙2 |
別紙3 |
2 |
別紙4 |
別紙5 |
3 |
別紙6 |
別紙7 |
4 |
別紙8 |
別紙9 |
5 |
別紙10 |
別紙11 |
6 |
別紙12 |
別紙13 |
7 |
別紙14 |
別紙15 |
8 |
別紙16 |
――― |
第四 実施機関の主張について
別紙1記載の本件各異議申立てにかかる、実施機関の弁明書における主張は、下記記載のとおりである。
異議申立事案の番号(別紙1) |
弁明書 |
---|---|
1 |
別紙17 |
2 |
別紙18 |
3 |
別紙19 |
4 |
別紙20 |
5 |
別紙21 |
6 |
別紙22 |
7 |
別紙23 |
8 |
――― |
第五 当審査会の判断理由
1 条例の基本的な考え方について
行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。
2 番号1の異議申立てについて
(1)請求に至る事実経過等
当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、公立中学校に通学していた在日韓国・朝鮮人生徒が転校するにあたって、退学扱いとなり、未就学期間が生じた事案に関連し、「在日コリアン4世が、義務教育期間に公立中学校を退学出来ることが判る文書(正し、編入学は行わない場合)」を求めてなされたものである。
(2)当事者の主張
- ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
平成22年4月23日、同年6月22日の応接の場で、実施機関の職員が、在日コリアン4世の退学は可能であると明言しているのだから、在日コリアン4世の退学を可能とする具体的な根拠があるはずだ。 - イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等を実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
異議申立人に対し、市町村が行う就学事務に関して、原則的な考え方等を示した「就学事務の手引き」(平成5年3月大阪府教育委員会発行)のうち、「退学」や「外国人の就学」等に係る記載部分は既に情報提供を行った。異議申立人が主張する小中学校課職員の発言は、これらの文書に記載された内容を基に、在日韓国・朝鮮人の就学にかかる一般的な考え方を述べたものである。実施機関は、在日韓国・朝鮮人の退学について記載した文書は、情報提供した文書以外には作成・保管していないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断
以上のことからすると、異議申立人の求める文書は、在日韓国・朝鮮人の退学にかかる一般的な考え方を述べた文書ではなく、退学の後、他の学校に編入学を行わない場合であっても、在籍中の公立学校を在日コリアン4世が退学できることが具体的に記載された文書であると解される。
当審査会が、異議申立人の主張と関連があると考えられる「就学事務の手引き」を見分したところ、異議申立人の求める文書は見当たらず、異議申立人の求める文書は存在しないとする実施機関の主張にも特段不自然・不合理な点は認められないから、異議申立人の主張には理由がない。
3 番号2の異議申立てについて
(1)請求に至る事実経過等
当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、番号1の異議申立ての弁明書に、実施機関が「就学事務は、市町村教育委員会が自らの権限と責任において処理する自治事務であり、都道府県教育委員会が具体的な事例について個別に判断するものではない。」と記載したことに関連し、「弁明書 教委小中第1711号の第3弁明の理由で、3行目『具体的な事例について個別に判断』と一文の根拠が判る文書。並びに意図の説明がわかる文。」を求めてなされたものである。
(2)当事者の主張
- ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
実施機関の職員が、異議申立人に対して在日コリアンに就学義務がないと説明を繰り返していることから、在日コリアン4世が義務教育期間中に公立中学校を退学出来る判断の根拠があるはずだ。 - イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等を実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
本件請求にかかる異議申立人とのやり取りから、請求の趣旨を番号1の事案の公開請求と同じ文書を求めるものであると解して文書の特定を行ったが、番号1と同様、異議申立人の求める文書は存在しないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断
以上のことからすると、異議申立人の求める文書は、番号1の事案の公開請求と同一であると解されるから、異議申立人の主張には理由がない。
4 番号3の異議申立てについて
(1)請求に至る事実経過等
当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、公立中学校に通学していた在日韓国・朝鮮人生徒が転校するにあたって、退学扱いとなり、未就学期間が生じた事案に関連し、「昭和28年に『就学義務課せられない=無い』と示されている通知を求める(文初財第74号)」の原本を求めてなされたものである。
なお、文初財第74号とは、「朝鮮人の義務教育諸学校への就学について」(昭和28年2月11日付け 文部省初等中等局長通達)のことである。
(2)当事者の主張
- ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
この通知は、「在日韓国・朝鮮人問題に関する指導の指針」の根拠となるものであるから、その原本を廃棄するとは言語道断だ。国の指示もなく、当該通知の原本を廃棄すること自体、職務怠慢であるとともに不適切であり、当該通知は存在するはずだ。 - イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等を実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
文初財第74号は、昭和40年12月28日付け文初財第464号文部事務次官通達「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定における教育関係事項の実施について」により改定されたため、当該通知は業務上不要となったことから、対象文書である通知の原本は、一定期間保存された後、廃棄されたものと推測される。
よって、異議申立人の求める文書は存在しないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断
当審査会が文初財第74号及び文初財第464号を見分したところ、文初財第74号が文初財第464号により改定されたものであると認められ、異議申立人の求める文書が存在しないとする実施機関の説明に特段不自然・不合理な点は認められないから、異議申立人の主張には理由がない。
5 番号4の異議申立てについて
(1)請求に至る事実経過等
当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、公立中学校に通学していた在日韓国・朝鮮人生徒が転校するにあたって、退学扱いとなり、未就学期間が生じた事案に関連し、「1948(S23)、1.24文部省学校教育局長通達(官学5号)」の原本を求めてなされたものである。
なお、官学第5号とは、昭和23年1月24日付け官学第5号文部省学校教育局長通達「朝鮮人設立学校の取り扱いについて」のことである。
(2)当事者の主張
- ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
実施機関は当該通知を廃棄したとしているが、当該通知の廃棄理由が不明である。当該通知は「在日韓国・朝鮮人問題に関する指導の指針」の根拠であるのに、当該通知の原本を保存・管理していなければおかしい。国の通知は、保存年限を決めるにしても国の指導・指示があるはずだ。よって、当該通知は存在しているはずだ。 - イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等を実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
官学第5号は、昭和28年2月11日付け文初財第第74号 文部省初等中等局長通達「朝鮮人の義務教育諸学校への就学について」により改定されたため、当該通知は業務上不要となったことから、一定期間保存された後、廃棄されたものと推測される。
よって、異議申立人の求める文書は存在しないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断
当審査会が官学第5号及び文初財第74号を見分したところ、官学第5号が文初財第74号により改定されたものであると認められ、異議申立人の求める文書が存在しないとする実施機関の説明に特段不自然・不合理な点は認められないから、異議申立人の主張には理由がない。
6 番号5の異議申立てについて
(1)請求に至る事実経過等
当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、公立中学校に通学していた在日韓国・朝鮮人生徒が転校するにあたって、退学扱いとなり、未就学期間が生じた事案に関連し、「就学義務は、監護養育権と関係するかが判る文書。」を求めてなされたものである。
(2)当事者の主張
- ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
学校教育法施行令には、「就学の督促」が明示されており、「不就学禁止」規定もあるから、監護養育権と就学義務との関係を示す文書を実施機関は保有しているはずである。 - イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等を実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
学校教育法第16条において保護者が子に対して親権を行う者であることが規定されており、同法第17条において保護者が就学させる義務を負うことが規定されているが、異議申立人の求める文書は、作成・保管していないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断
以上のことからすると、異議申立人の求める文書は「監護養育権」や「就学義務」といった法律上の用語の説明資料であると解される。かかる内容についての記載がある市販の逐条解説書等の資料を実施機関が保有している可能性を否定することはできないが、不特定多数の者に販売することを目的として発行されている資料は、条例第2条第1項但書により行政文書には当たらないから、これらの公開を求めることはできない。また、このような資料とは別に実施機関が異議申立人の求める文書を作成・保管していると考えられる特段の事情も認められない。よって、異議申立人の主張には理由がない。
7 番号6の異議申立てについて
(1)請求に至る事実経過等
当審査会が実施機関(担当部署:教育総務企画課)及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、公立中学校に通学していた在日韓国・朝鮮人生徒が転校するにあたって、退学扱いとなり、未就学期間が生じた事案に関連して、異議申立人が行った、小中学校課の職員とのやり取りに関し、「職員間(担当間)の食い違い有るのを未解決で、構わない規定が判る文書。」を求めてなされたものである。
(2)当事者の主張
- ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
義務教育期間中の退学・編入学等に関する小中学校課の職員の説明に終始一貫性がない。また、義務教育期間中の退学・編入学等に関する、府民文化部私学・大学課や市町村の職員の発言内容とも、小中学校課の職員の発言内容は食い違いがあるから、職員間(担当間)の食い違い有るのを未解決で構わない規定があるはずだ。 - イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等を実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
異議申立人の求める規定は存在しないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断
異議申立人の求めるような規定が存在すると考えられる特段の事情は認められないから、異議申立人の主張には理由がない。
8 番号7の異議申立てについて
(1)請求に至る事実経過等
当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、在日韓国・朝鮮人の就学問題に関連し、「不就学対策通知、不就学対策委員会の議事録」を求めてなされたものである。
なお、異議申立人が求める、(1)「不就学対策通知」とは、(ア)昭和30年9月30日付け文初中第371号・厚生省文児第188号・収婦第44号 文部事務次官・厚生事務次官・労働事務次官通達「義務教育諸学校における不就学及び長期欠席児童対策について」、及び(イ)平成18年6月22日付け18文科初第368号 文部科学省初等中等教育局長通知「外国人児童生徒教育の充実について」の原本のことであり、(2)「不就学対策委員会の議事録」とは(1)(ア)に記載されている「就学等奨励対策委員会(仮称)」の議事録のことである。
(2)当事者の主張
- ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
実施機関の作成する「就学事務の手引き」には、「不就学」は不可であると記載されているのだから、異議申立人の求める「不就学対策通知」が存在しないことは不自然である。また、国からこの通知の廃棄指示もでていないはずだ。 - イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等を実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
上記(1)記載の(1)の「不就学対策通知」については、書庫等を捜索したが見当たらなかった。この通知の内容は文部科学省のホームページでも確認できるため、一定期間保存した後廃棄したと推測される。
また、上記(1)記載の(2)不就学対策委員会の議事録について、当該委員会そのものを設置していないので、議事録は存在しない。
よって、異議申立人の求める文書は存在しないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断
以上のことからすると、異議申立人の求める文書は存在しないとする実施機関の主張に特段不自然・不合理な点は認められないから、異議申立人の主張には理由がない。
9 番号8の異議申立てについて
(1)請求に至る事実経過等
当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。
本件請求は、在日韓国・朝鮮人の就学問題に関連し、「官学第5号及び文初第84号の廃棄理由((不要理由)→就学事務の手引き掲載無)」を求めてなされたものである。
なお、請求中の「官学第5号」は番号4の異議申立て事案の請求の対象文書と同一であり、請求中の「文初第84号」とは番号3の事案の請求の対象文書となっている「文初財第74号」の誤りである。
(2)当事者の主張
- ア 当審査会は、口頭意見陳述における異議申立人の発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
文部科学省は存続しているのであるから、当該通知を実施機関の判断で勝手に廃棄するのは間違いだ。 - イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等を実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
番号3及び番号4の異議申立て事案に関する説明でも述べたとおり、官学5号は文初財第74号により昭和28年に改定され、文初財第74号は別の通知により昭和40年に改定されており、両通知とも業務上不要となったので、一定期間保存された後、廃棄されたものと推測される。文書の廃棄に際し、廃棄理由を記載することとはされていないため、両通知の廃棄理由を記載した文書は存在しない。
よって異議申立人の求める文書は存在しないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断
以上のことからすると、異議申立人の求める文書が存在しないとする実施機関の説明に特段不自然・不合理な点は認められないから、異議申立人の主張には理由がない。
第六 結論
以上のとおり、異議申立人の主張には、いずれの異議申立てにも理由がないから、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。
主に調査審議を行った委員の氏名
野呂充、松本哲治、小谷寛子、久末弥生