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更新日:2014年3月14日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第229号)

「人権室における決済事項不存在公開決定異議申立事案」他9件

(答申日 平成26年3月14日)

【※別紙2~別紙28は添付省略】

第一 審査会の結論

実施機関(大阪府知事)の決定は、いずれも妥当である。

第二 異議申立てに至る経過等

1 当審査会に係属する異議申立人の異議申立てについて

  • (1)異議申立人は、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、平成22年8月4日、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対して、担当部署を府民文化部人権室(以下「人権室」という。)と指定して、別紙1記載の番号1の「4月23日、6月22日の応接記録と、その決裁事項が判る文書。2件(府教委、府政情報室、家庭支援課、私学大学課)」の請求を行った。
    同年8月17日、実施機関はこの請求に対し、条例第13条第2項の規定により、「応接記録に係る部分」と「決裁事項が判る文書」の2件の不存在による非公開決定を行い、別紙1の番号1、2に記載のとおり理由を附して異議申立人に通知した。
    同年9月6日、異議申立人は、上記2件の決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、異議申立てを行った。
  • (2)上記(1)記載の異議申立て以降も、異議申立人は、複数の関係部局と2回、話合いを行ったこと及びこの話合いに派生することについて、別紙1のとおり請求を行い、これらの請求に対する決定について、いずれも異議申立てを行った。当審査会は、別紙1記載の10件の異議申立てについて一括して審査を行い、判断を行った。

これらの異議申立てにかかる請求等は、別紙1記載のとおりである。

2 異議申立てに至る経緯

当審査会が、審査の中で把握した、これらの異議申立てにかかる主な事実経過は、以下のとおりである。

  • (1)平成15年頃から、異議申立人は、異議申立人の子どもの就学問題等に関し、府民文化部私学・大学課(以下「私学大学課」という。)、人権室、福祉部子ども室家庭支援課(以下「家庭支援課」という。)、教育委員会教育総務企画課(以下「教委総務課」という。)、同委員会市町村教育室小中学校課(以下「小中学校課」という。)(以下、これらの5つの所属をあわせて「関係室課」という。)と、個別に話合いを行ってきた。
  • (2)平成22年4月23日、異議申立人と関係室課との間で、午前10時から午後1時頃まで話合いが持たれた。この話合いは、異議申立人の求めを受けて、府民文化部府政情報室広報広聴グループ(以下「広報広聴グループ」という。)が関係室課と異議申立人との日程調整等を行った上、実施されたものである。
    同日のやり取りを、広報広聴グループの職員が録音していたところ、異議申立人の要請を受け、同職員が手持資料として作成したやり取りに係るメモ(以下、このメモを「会議メモ」という。)を、同年6月22日、異議申立人に提供した。会議メモは、広報広聴グループの担当職員が録音テープを逐語録的にまとめたものであり、A4版で30ページのものであった。この会議メモは、異議申立人に提供された時点では、組織的に用いるものとして管理されていなかったため行政文書には該当しない、いわゆる「個人メモ」であった。
  • (3)平成22年6月22日、同年4月23日に引き続き、関係室課と異議申立人との話合いが持たれた。
    話合いの終了後、広報広聴グループの職員はその場で関係室課の職員に諮った上、今後、このような形で関係室課が一堂に会して異議申立人と話合いをしない旨を、異議申立人に伝えた。
    その際に、一堂に会して話合いをしないことについては決裁事項であると、広報広聴グループの職員が発言したとして、異議申立人は大阪府個人情報保護条例(以下「個人情報保護条例」という。)第12条第1項に基づき、「府政情報室の持つ、本日、関係課(府教委・私学大学課・児童家庭室・人権室)と私との間で持たれた話し合いについての決済事項の文書」の開示を求める、個人情報開示請求(以下「開示請求」という。)を行った。
  • (4)上記(3)記載の開示請求に対し、平成22年6月30日、実施機関は不存在による非開示決定を行い、この決定につき、同年8月4日、異議申立人は実施機関に対し異議申立てを行った。同年9月2日に、実施機関が、この異議申立てにつき、大阪府個人情報保護審議会に提出した弁明書(別紙2)(以下「別紙2弁明書」という。)に関連し、異議申立人は複数の情報公開請求を行った。

第三 異議申立ての趣旨等、異議申立人の主張について

別紙1の各異議申立てにかかる、異議申立書及び反論書等の内容は、下表記載のとおりである。

異議申立書及び反論書等一覧

別紙1の番号

異議申立書

反論書等

1

別紙3

別紙4

2

別紙5

別紙6

3

別紙7

別紙8

4

別紙9

別紙10

5

別紙11

別紙12

6

別紙13

別紙14

7

別紙15

別紙16

8

別紙17

―――

9

別紙18

―――

10

別紙19

別紙20

第四 実施機関の主張について

別紙1記載の各異議申立てにかかる、実施機関の弁明書における主張は、下表記載のとおりである。

弁明書一覧

別紙1の番号

弁明書

1

別紙21

2

別紙22

3

別紙23

4

別紙24

5

別紙25

6

別紙26

7

別紙27

8

―――

9

―――

10

別紙28

第五 当審査会の判断理由

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。

このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。

2 番号1及び番号2の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関(担当部署:人権室)及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。

本件請求は、第二 2(3)記載のとおり、異議申立人が平成22年6月22日の関係室課との話合い終了後、今後、関係室課が一堂に会しての異議申立人との話合いは行わないと、広報広聴グループの担当職員から言われたことにつき、この判断は決定事項であると聞いたとして、担当部署を人権室と指定して、なされたものである。

なお、番号1及び番号2の請求と同日、担当部署を広報広聴グループと指定した同年4月23日及び同年6月22日の応接記録の開示請求と、私学大学課及び家庭支援課(実施機関は知事)、教委総務課(実施機関は教育委員会)を担当課と指定した番号1及び番号2と同趣旨の個人情報保護条例に基づく開示請求が、異議申立人からそれぞれなされた。

後日、教委総務課は、上記開示請求に対して応接記録については開示決定を行い、同課が作成していた異議申立人とのやり取りの記録のうち、平成22年4月23日及び同年6月22日の記録を開示した。また、広報広聴グループは、同年6月22日に職員が異議申立人に手交した会議メモ(第二 2(2)に記載)と同一内容の行政文書を、同年4月23日分の応接記録として開示した。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    6月22日の応接終了後、今後は、私(異議申立人)と関係室課が一堂に会する形で話合いは行わないと広報広聴グループ職員から言われたが、そのような判断は、応接記録及び決裁事項が行政文書として作られていなければできないはずだ。現に広報広聴グループ担当職員は決裁事項であると私に説明した。
    行政文書は、必要に応じて作成すべきであり、決裁事項は業務に対して逐一行うべきものである。応接記録及び決裁事項が行政文書として作成されていないのは、私(異議申立人)が応接で問題にしている事項を実施機関が軽視していたからだ。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    4月23日及び6月22日の話合いは、異議申立人の子どもの就学問題等に関する話合いの場であり、人権室所管の業務について話し合う場ではなかったが、以前からの経緯で関係室課として同席をしたものである。このため、人権室では両日の話合いの記録及び決裁事項ともに作成していないため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断

実施機関の担当部署である人権室の所掌業務に直接関係していないため、記録を作成しなかったという実施機関の説明は合理的であり、実施機関が行った決定は妥当である。

3 番号3の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関(担当部署:府民文化部府政情報室情報公開グループ(以下「情報公開グループ」という。))及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。

本件請求は、異議申立人が第二 2(2)記載の会議メモが個人メモであるとの説明を受けたので、個人メモを情報提供することができる根拠を知りたいとしてなされたものである。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    広報広聴グループの担当職員から提供された会議メモは個人メモであるとのことだが、個人メモを提供できる根拠が不明であるので、これが判る文書の公開を求める。
    応接記録は通常行政文書として作成されているべきあって、個人メモを情報提供するということが理解できない。4月23日の応接記録を個人メモとして作成し、行政文書としていなかったこと自体が問題だ。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    本件請求は、個人メモを情報提供できる根拠となる規定を求めるものと解されるが、条例に基づく公開請求の対象となる文書は、条例第2条第1項に規定する「当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているもの」、すなわち組織共用された行政文書であり、条例に基づく要領等にも、個人メモの情報提供に係る規定は存在しない。このため、不存在による非公開決定を行った。
    なお、異議申立人は個人メモが根拠なく情報提供されることに疑義を感じているとも解されるが、条例等に規定がないからといって、個人メモの提供が禁止されるものではない。また、かかる主張は異議申立ての理由にはならない。
(3)判断

実施機関の説明にあるように、条例に基づく情報提供は、組織共用された行政文書を対象とするものであり、実施機関から提示された要領等を見分したが、組織共用されていない個人メモの情報提供に関する規定は存在しなかった。また、異議申立人の求める根拠は法令上存在すると認められない。よって、実施機関の行った決定は妥当である。

4 番号4の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関(担当部署:情報公開グループ)及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。

平成22年8月4日、異議申立人は広報広聴グループに対し、第二 2(2)記載の会議メモの内容の訂正を求めて、個人情報保護条例第23条により訂正請求を行い、これに対し、同年8月18日、広報広聴グループは非訂正決定を行った。

本件請求は、異議申立人が、会議メモは組織共用されておらず行政文書には当たらない「個人メモ」であると聞いていたため、個人情報保護条例に基づく個人メモの訂正請求が正式に受け付けられたと考え、その根拠を求め、なされたものである。

なお、平成22年8月4日、異議申立人は広報広聴グループに対し、同年4月23日及び同年6月22日の応接記録を開示請求し、同年8月18日、広報広聴グループは会議メモと同一内容の行政文書を同年4月23日の応接記録として開示した。

(2)当事者の主張
  • ア 異議申立書及び反論書には、個人情報保護条例では個人メモの訂正請求ができるとは認めていない、また、応接記録を個人メモにするのは府民サービスの欠如であって言語道断である、応接記録は行政文書として作成されるべきものである、等の記載があるものの、異議申立人の主張内容は明確にはならなかった。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯等について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    平成22年6月22日に提供した会議メモは、広報広聴グループの担当職員が手持資料として作成した個人メモであったが、提供後、異議申立人からその内容の修正等を求められたことから、組織共用し、行政文書として管理することとなった。したがって、同年8月4日に個人情報保護条例に基づく訂正請求が有った時点では、会議メモを行政文書として管理していたことから、異議申立人による個人情報保護条例に基づく訂正請求を適法な請求として受付し、処理したものであって、個人メモの訂正請求を受け付けたものではない。
    また、個人情報訂正請求の対象となる個人情報は、個人情報保護条例第2条に規定する組織共用された行政文書中に記載のある個人情報であって、行政文書に該当しない個人メモに記載された個人情報の訂正手続きを明文化した文書は存在しない。このため、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断

実施機関の説明にあるように、個人情報保護条例の訂正請求の対象は組織共用された行政文書に記載された個人情報に限られており、異議申立人の?める規定が存在しないことは明らかであるから、実施機関の行った決定は妥当である。

5 番号5の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。

本件請求は、第二 2(4)記載の別紙2弁明書について、異議申立人が実施機関に説明を求めた際に、職員が使用した「通常」という言葉に関して、なされたものである。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    実施機関の担当職員が別紙2弁明書の説明で使用した、「通常」という言葉の意味合いが、一般的に使用する場合と違っていた。担当職員は、私(異議申立人)が、数年間で数回程度、電話等で申入れを行ったことについて、回数が多いとか時間がかかるなどと言い、通常有り得ないと説明した。
    公職にある担当職員らは根拠のない主張はしてはならないはずであり、担当職員が異議申立人に発した「通常」という言葉の定義があるはずだ。
    担当職員は口を開けば私(異議申立人)を批判し、服務規律違反を行っている。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    別紙2弁明書に関し、異議申立人と職員がやり取りした際、職員が使用した「通常」という言葉の意味が、異議申立人の理解と異なるとして、異議申立人は本件請求を行ったものであると解される。「通常」という言葉の定義を示した文書は存在しないため、実施機関は不存在による非公開決定を行った。
(3)判断

かかる事実関係からすると、異議申立人の求める文書は存在するとは考えられないから、実施機関の行った不存在決定は妥当である。

6 番号6の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。

本件請求は、第二 2(4)記載の別紙2弁明書に、「府民の声」制度に時間制限があるような記載がされているとして、なされたものである。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    別紙2弁明書の中に、府が府民の苦情等を受ける「府民の声」制度に時間制限があるような記載がされている。「府民の声」に時間制限の規定がないなら、別紙2弁明書にこのような記載をするのは明らかな誤りだ。「府民の声」の時間制限があるか否かが分かる文書が存在するはずだ。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    異議申立人は、別紙2弁明書中に「長時間の対応を強いられることになり、通常業務に対する支障が生じる事態」という記載があることをとらえて、「府民の声」制度に府民からの苦情等を聞く際の時間制限を設けていると解し、本件請求を行ったものと解される。

しかしながら、別紙2弁明書の記載は、平成22年6月22日に異議申立人と関係室課が今後は一堂に会して話合いを行わないことを決めた事情等を説明する趣旨を書いたものである。「府民の声」とは、府民等から府に寄せられる提言、要望、意見、苦情等のことであり、「府民の声」制度には、時間制限を決めた規定は存在しないことから、実施機関は不存在による非公開決定を行った。

(3)判断

当審査会が、実施機関の提示する要領を見分したところ、「府民の声」に時間制限に関する規定は存在しなかった。また、実施機関の説明にあるように、別紙2弁明書中の記載内容は「府民の声」に時間制限があることを伺わせるものとは認められないから、実施機関の行った不存在決定は妥当である。

7 番号7の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関(担当部署:情報公開グループ)及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。

本件請求は、第二 2(4)記載の別紙2弁明書に関してなされたものである。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    私(異議申立人)が、平成22年6月22日に行った決裁事項に関する文書の開示請求に記載した「本日」は同日を指し、同日の決裁事項の文書を求めているのは明確であるのに、広報広聴グループの作成した別紙2弁明書中には、その日の事だけではなく、私(異議申立人)が、過去数年間、府に申入れをしてきた事実が記載されている。請求で求めたのは平成22年6月22日当日のみのことであるのに、別紙2弁明書中で「数年」のことを記載できるのはなぜか。弁明書中で「本日」を「数年」と変更できる根拠規定があるはずだ。
    私の虚像を生み、職務怠慢隠ぺい計るのは名誉棄損であり、不法行為である、職権乱用だ。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    異議申立人は、広報広聴グループの作成した別紙2弁明書中に「過去数年以上に亘り、異議申立人の強硬かつ再三に亘る求めに応じる形で、担当課が対応してきた」等の記載があることをとらえて、本日が数年に変更されたと解し、この請求を行ったと解される。しかしながら、この弁明書の記載は、4月23日及び6月22日の話合いが行われるに至った経緯を示すものであって、本日を数年に変更したものではないと解される。また、異議申立人の求める規定は存在しないことから、不存在による非公開決定を行った。
(3)判断

かかる事実関係からすると、異議申立人の求める規定は、存在すると認められない。また、実施機関の説明にあるように、別紙2弁明書の記載は、「本日」を「数年」に変更したものであると認められないから、実施機関の行った決定は妥当である。

8 番号8の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。

本件請求は、異議申立人が実施機関に対し、別紙2弁明書中の「強硬かつ再三にわたる求めに応じる形で、担当課が対応してきた」、「長時間の対応を強いられることになり、通常業務に対する支障が生じる事態」といった2つの記載を立証する書面他(この記載の立証に当たる「府民の声」)の開示を求める開示請求を行ったのに対し、実施機関が、平成19年7月31日以降平成22年7月22日までに異議申立人の申し入れた「府民の声」の記録等を全て、対象となる個人情報として開示したことに関してなされたものである。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    私(異議申立人)が行った開示請求に対し、実施機関が「一部の請求に全部を特定」して、開示決定を行ったのには何らかの法的な根拠があるはずであって、不存在とはならないはずだ。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    異議申立人は、別紙2弁明書中の記載の根拠の開示を求めたのに、異議申立人が府に申し入れた過去3年間に亘る「府民の声」全部を対象文書として開示決定するのは、請求趣旨と異なるものまで含むこととなり、おかしいと主張して、本件請求を行ったものと解される。

しかしながら、実施機関としては、異議申立人の開示請求に対し、請求の趣旨から対象文書であると考えられるものを特定したのであるから、異議申立人の本件請求の前提を欠いている。

よって、異議申立人が求める規定は存在しないことから、不存在による非公開決定を行った。

(3)判断

かかる事実関係からすると、異議申立人の求める規定は法令上特に存在すると認められないから、実施機関が行った不存在決定は妥当である。

9 番号9の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。

第二 2(4)記載のとおり、異議申立人と関係室課との話合いにかかる決裁文書を異議申立人が開示請求したのに対し、実施機関は不存在による非開示決定を行った。本件請求は、この不存在決定に関連し、実施機関で他の応接に関する決裁がどのようになされているのかを知りたいとして、なされたものである。

本件請求に対し、実施機関は労働組合から団体応接の要望を受け、団体応接への出席等を求めて関係部署に対して送付した文書を対象文書として決定した。本件対象文書中、非公開部分は労働組合からの要望書に記載のある、団体役員の印影及び労働組合の支部委員長及び支部の分会委員長の氏名であり、非公開理由は、団体役員の印影については条例第8条第1項第1号に該当するとし、また、労働組合の支部委員長及び支部の分会委員長の氏名については条例第9条第1号に該当するとしている。

(2)当事者の主張
  • ア 異議申立人は、労働組合の支部委員長及び分会委員長の名前を、条例第9条第1号の個人情報に当たるとして非公開としているが、公職に匿名性はないから、公開すべきである、と主張している。
  • イ 実施機関は、労働組合の支部委員長及び支部の分会委員長は公職ではなく、条例9条1号に該当し、非公開とすることが妥当である、と主張している。
(3)判断

当審査会が本件対象文書を見分したところ、非公開とされた「労働組合の支部委員長及び分会委員長」は公職には該当しないから、実施機関の行った部分公開決定は妥当である。

10 番号10の異議申立てについて

(1)請求に至る事実経過等

当審査会が実施機関及び異議申立人とのやり取りの中から把握した事実経過は、次のとおりである。

本件請求は、異議申立人が、総務部人事室人事課に、地方公務員法上の服務規律違反等にかかる規定について説明を求めた際のやり取りに関してなされたものである。

(2)当事者の主張
  • ア 当審査会は、口頭意見陳述における発言等から、異議申立人の主張を以下のとおりと解した。
    府職員の処分に係る規定について教えてほしいと求めた私(異議申立人)に対し、勉強して下さいと総務部人事室人事課の職員が発言したことは、本来なら私が求めたことに対する説明をすべきであるのにこれをせず、府民への奉仕が分からない職員が府民軽視をして発言したものであり、府民を冒涜したものである。
  • イ 当審査会が、本件請求に至る経緯について実施機関に確認したところ、実施機関の説明は以下のとおりであった。
    異議申立人は、関係室課の異議申立人に対するこれまでの発言内容や対応について不満があるとして、数次に亘って、人事課に対し地方公務員の懲戒・分限等の説明を求めており、請求のあった当日も、担当職員が地方公務員法の解説書の写しを情報提供する等したが、これに異議申立人が納得せず説明を求めるので、担当職員はこういったものは図書館などでも見ることができるので自分で勉強してくださいと発言したことを不満として、本件請求はなされたものであると解される。

しかしながら、異議申立人の求める文書は、図書館にある書籍等に記載されているものであって、条例第2条第1項但書により、公開請求の対象となる行政文書には当たらないことから、不存在による非公開決定を行った。

(3)判断

かかる事実関係からすると、異議申立人の求める文書は、不特定多数のものに販売されることを目的として発行された書籍に記載されているものであり、条例第2条第1項但書により、情報公開請求の対象となる行政文書には当たらないから、実施機関の行った決定は妥当である。

第六 結論

以上のとおりであるから、いずれの異議申立てにも理由がなく、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

別紙1へのリンク(PDF:54KB)(主に調査審議を行った委員の氏名)
鈴木秀美、北村和生、小原正敏、細見三英子

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