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更新日:2019年10月15日

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第126回 大阪府原子炉問題審議会 議事概要

第126回大阪府原子炉問題審議会の概要について

  • 日時 令和2年8月11日(火曜日)15時27分から16時20分
  • 場所 國民會舘 武藤記念ホール
  • 議題
    • (1)役員の選任について
    • (2)京都大学複合原子力科学研究所の安全性等について
    • (3)京都大学複合原子力科学研究所定例報告について
    • (4)その他
  • 出席者 審議会委員28名中27名が出席
    (欠席委員:加納康至委員)
  • 事務局等 大阪府、京都大学複合原子力科学研究所、地元市町

議事に先立ち、審議会事務局担当の佐田大阪府政策企画部広域調整室参事から、議事進行と本審議会の役割について説明の後、委員の紹介が行われた。

議題1.役員の選任について

審議会規則では、会長1名を委員が選任することになっており、会長には辰巳砂委員(大阪府立大学学長)が選任された。

また、同規則では副会長2名を委員が選任することとなっているが、現在の副会長は紀田委員(大阪府議会議員)1名であるため、もう1名の副会長として遠藤委員(関西研究用原子炉対策民主団体協議会代表)が選任された。

議題2.京都大学複合原子力科学研究所の安全性等について

議題2に先立ち、川端所長から、挨拶と複合原子力科学研究所陪席者の紹介が行われた。

堀准教授から「1.原子炉施設の状況等について」、中島副所長から「2.新規制基準適合性に係る設工認等の申請漏れへの対応について」、釜江特任教授から「3.イノベーション・リサーチ・ラボラトリ実験装置室での火災について」、川端所長から「4.新型コロナウイルス感染症に係る対応状況について」、配付資料をもとに次のとおり説明があった。

  1. 原子炉施設の状況等について
    • (1)京都大学研究用原子炉(KUR)の状況について
      KUR(Kyoto University Research Reactor)は、令和元年7月23日から利用運転を開始し、周辺機器や他の放射線施設の利用などを含め、延べ4,400人・日の共同利用者が実験等を行った。また、ホウ素中性子捕捉療法(いわゆる癌治療のひとつ)による医療照射の実施件数は7件。
      昨年度のKURの利用運転は、令和2年1月30日で終了し、その翌週より、年1回の施設定期検査期間に入った。本検査については、今回から新検査制度に基づく定期事業者検査という形で実施。
      なお、利用運転の開始時期については、当初の計画では7月下旬を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、10月上旬に変更。
    • (2)京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)の状況について
      KUCA(Kyoto University Critical Assembly)は、令和元年5月28日から利用運転を開始し、原子炉の安全性等に関する研究と原子力安全を担う人材育成の教育を行った。
      昨年度の利用運転は令和2年3月6日で終了した後、その翌週より、年1回の施設定期検査期間に入った。本検査については、KUR同様、今回から新検査制度に基づく定期事業者検査という形で実施。
      なお、利用運転の開始時期については、当初の計画では6月中旬を予定していたが、KUR同様、新型コロナウイルス感染症の影響により、9月下旬に変更。
    • (3)KUR設置変更承認申請書等に係る届出について
      原子炉等規制法の改正(令和2年4月1日施行)に伴い、KUR及びKUCAの原子炉設置承認申請書並びに核燃料物質使用施設の使用承認申請書の本文に施設の保安のための業務に係る品質管理に関する事項を追加し、令和2年6月26日付けで原子力規制委員会に対して届出を行った。
      従来は工事の段階において、施設の保安のための品質管理体制の整備が要求されていたが、品質管理体制の整備は施設設置の初期段階から必要であるとの考えに基づき、法改正が行われ、申請書への記載が要求されることとなった。この改正を受け、申請書本文に「試験研究用等原子炉施設の保安のための業務に係る品質管理に必要な体制の整備に関する事項」として、「品質マネジメントシステム」、「資源の管理」、「評価及び改善」等を記載した「品質管理計画」を追加。
  2. 新規制基準適合性に係る設工認等の申請漏れへの対応について
    令和元年8月21日、原子力規制庁は原子力規制委員会に日本原子力研究開発機構の研究炉(NSRR)について、新規制基準適合性に係る「設計及び工事の方法に対する認可において消火設備等の申請漏れがあったことを報告。その際、新規制基準に適合し、再稼働している国内の他の研究炉についても同様な申請漏れがないかを調査するよう指示があり、該当する事業所で調査が行われ、その結果が令和元年9月25日の原子力規制委員会で報告された。
    当研究所の2基の原子炉施設(KURとKUCA)の調査の結果として、KUR及びKUCAのいくつかの設備について、設工認の申請漏れや保安規定への記載漏れのあることが判明したため、令和元年11月22日に申請漏れのあった設工認申請及び保安規定変更申請を行い、今年の3月中旬までにすべての申請が承認された。
    なお、これら当該設備については、申請漏れが判明した時点で、原子力規制庁の熊取規制事務所による現地調査が行われ、すべて規制要求を満足しており、いずれも安全性に問題ないことが確認された。
  3. イノベーション・リサーチ・ラボラトリ実験装置室での火災について
    令和2年1月28日にイノベーション・リサーチ・ラボラトリ(放射線発生装置(加速器)を使った実験研究等のための放射線施設)実験装置室で固定磁場強収束(FFAG;Fixed Field Alternating Gradient)加速器本体に付設されている磁場補正電磁石のコイル表面の被覆材(絶縁のための樹脂)が、コイルの発熱により溶融し発煙する事象が発生。
    原因として、通常はコイル冷却のための冷却水が常時通水されている状態であるところ、今回は事象発生の前日に保守のために一時的に冷却水を止める作業を行っていたが、事象発生当日に担当者間の情報共有が不十分なこともあり、作業を開始時に通水の確認ができなかったことから、コイル通電後に異常な発熱を引き起こしたことによるもの。このため、再発防止策として、通常と異なる作業を行う際の手順書を策定すること、並びに、ハード的な対策として、万一通水されなかった場合に、コイルに通電できないようなインターロックを設置することとする。
    なお、火災発生時は加速器が停止中であり、室内には放射性物質も存在せず、環境への影響はなく、担当者も含め人的な被害もなかった。
  4. 新型コロナウイルス感染症に係る対応状況について
    当研究所では、教職員・学生・来所者の健康と安全を最優先しつつ、研究所としての重要な諸活動を継続できるよう、感染拡大の防止に最大限の配慮を行う活動方針を定めるとともに、研究活動等のレベルを5段階に分けたガイドラインに基づき、大阪府からの施設制限の要請等に対応している。
    また、原子炉施設等の安全管理業務については、国から緊急事態宣言が発出された4月7日から5月24日までの間は、緊急時にも速やかに対応できるよう適切な人員の配置と連絡体制を維持しつつ、原子力規制庁に確認のうえ、施設が休止状態であることを踏まえ「京都大学が定める休日」を今回の事態に適用し、点検頻度を下げることにより、出勤者の数を抑え、人との接触機会を低減させる措置を取った。
    6月22日以降は、正門前受付での検温及び健康状態の確認、手指消毒の実施、所内での活動時の三密回避などの感染防止対策を徹底し、全ての来所者の受け入れを開始。
    万一、研究所内で感染者が確認された場合には、本学が定めたルールに従って、保健所及び本学危機対策本部と連携し、濃厚接触者の特定や消毒作業など、必要な対応を速やかに行う。なお、発熱等の症状が無い感染者がいることを考えると、所内への感染者の入構を完全に防ぐことは不可能なため、特にクラスターを発生させないように、研究室や実験室等で三密回避の対策に徹底して取り組んでいる。

【配付資料】

  • 資料1 京都大学複合原子力科学研究所の安全性等について

【発言(松本利明委員)】

実験装置室での火災について、今回新たにインターロックを設置するということは、今までは無かったということか。また、どのような流水のデータでインターロックを掛けることになるのか。

【説明(釜江特任教授)】

本来はインターロックを設置しておくべきだったが、今まで通水は止めることはなかったため、少し抜かりがあった。インターロックをどういう情報から取るかについては現在検討中だが、一つはポンプの発停信号が想定される。

【発言(松本利明委員)】

ポンプが稼働していても通水されているかわからない場合もあるかと思うので、流量計など、更に複数でインターロックを掛けるようにお願いしたい。

【説明(釜江特任教授)】

それも含めて検討させて頂きたい。

【発言(紀田副会長)】

この実験装置を次回稼働させる時には、この二つの安全対策を行った後を考えていいか。その前に再稼働する予定はあるのか。

【説明(釜江特任教授)】

ソフト面とハード面の二つの安全対策を行った後でなければ、再稼働は行わない。

議題3.京都大学複合原子力科学研究所定例報告について

各担当者から、配付資料に基づき、原子炉の運転状況、令和2年度の共同利用研究等の採択状況、環境放射能の測定結果等について、事項ごとに次のとおり説明があった。

(報告内容)

  • (イ)堀研究炉部長から、配付資料の「京都大学複合原子力科学研究所の現状報告書(定例報告)」をもとに、次の説明が行われた。
    • (1)報告対象期間(令和元年6月~令和2年5月)におけるKUR・KUCAの運転状況、役割等。
    • (2)令和2年度の共同利用研究及び研究会の採択状況。
  • (ロ)五十嵐放射線管理部長から、配付資料の「京都大学複合原子力科学研究所の現状報告書(定例報告)」をもとに、京都大学複合原子力科学研究所における環境放射能測定報告(平成31年4月~令和2年3月)に関し、次のとおり説明が行われた。
    • (1)研究所では、原子炉施設の排水口及び排気口から放出される放射能の量や濃度及び敷地境界での線量評価の結果について、6ヶ月に1回、監督官庁である原子力規制委員会へ報告。
    • (2)これらに加えて、研究所と熊取町、泉佐野市及び貝塚市との間で締結している安全協定に基づき、実験所の周辺地域での放射線の積算線量を測定していること及び研究所周辺の環境試料に含まれる放射能の濃度を年2回測定。
    • (3)研究所では、自然に存在する放射性物質だけでなく、それよりもはるかに低い濃度の人工の放射性物質もその核種毎に分けて測定していること。このような核種別測定の結果を一覧表にしており、原子炉施設からの新たな放出と思われる核種が検出されたり、放射能の量や濃度が増加しているようなことはないこと。また、実験所外の周辺9カ所における放射線の積算線量についても、自然放射線によるバックグラウンドレベルを示している。
    • (4)環境試料中のうち、土壌や底質については、全国的にも検出されている核実験による放射性物質以外に原子炉の運転に由来すると思われる人工の放射性物質は検出されていないこと。また、野菜等の植物については、自然に存在する放射性物質しか検出されておらず、その濃度の変動も全国的な調査で明らかになっている変動の範囲内。
    • (5)研究所周辺の環境中における放射能及び放射線は、自然放射能及び自然放射線のレベルであり、一般住民の方々にご心配をおかけするようなレベルではない。

【配付資料】

  • 資料2 京都大学複合原子力科学研究所の現状報告書(定例報告)

【発言(辰巳砂会長)】

4ページの全アルファ線放出核種について、測定値が5.8×10-10となっていて、他は4.0×10-10となっているのはなぜか。

【説明(五十嵐教授)】

測定をしている試料と測定時のバックグランドの変動を比較しているが、バックグランドの変動幅で測定限界を評価している。その測定限界の値に若干の変動があったため。

議題4.その他について

特に発言はなかった。

以上

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