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更新日:2015年8月27日

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第121回 大阪府原子炉問題審議会会議録

第121回大阪府原子炉問題審議会の概要について

  • 日時 平成27年8月12日(水曜日)午前10時~11時15分
  • 場所 國民會館 武藤記念ホール
  • 議題
    • (1)役員の選任について
    • (2)京都大学原子炉実験所の安全性等について
    • (3)京都大学原子炉実験所定例報告について
    • (4)BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)実用化推進と拠点形成に向けた検討会議について
    • (5)その他
  • 出席者 審議会委員28名中26名が出席
    (欠席委員:茂松委員、八幡委員)
  • 事務局等 大阪府、京都大学原子炉実験所、地元市町

議事に先立ち、審議会事務局担当の増田大阪府政策企画部戦略事業室参事から、議事進行と本審議会の役割について説明の後、委員の紹介が行われた。

議題1.役員の選任について

審議会規則では会長1名を委員が選任することとなっており、会長には辻洋委員(大阪府立大学学長)が選任された。

また、同規則では副会長2名も委員が選任することとなっているが、現在の副会長は山口百合子委員(関西研究用原子炉対策民主団体協議会代表)1名であるため、山本大委員(大阪府議会議員)が選任された。

議題2.京都大学原子炉実験所の安全性等について

議題2に先立ち、川端所長から、挨拶と原子炉実験所陪席者の紹介が行われた。

続いて、中島研究炉部長・臨界装置部長及び釜江安全管理本部長から、京都大学研究用原子炉(KUR)と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)における原子力規制委員会により施行された新規制基準への対応状況について資料1及び参考資料並びにスライドを用い、次の通り説明。

次いで、川端所長から、使用済燃料について資料1を用い、次の通り説明。

さらに、釜江安全管理本部長から、KURの実験設備からの重水漏洩事象について資料1及びスライドを用い、次の通り説明。

(報告内容)

  1. 京都大学研究用原子炉(KUR)の状況について
    平成26年5月26日から施設定期検査期間中のため運転を停止中。
    平成26年9月30日付けで試験研究用等原子炉施設の新規制基準への適合確認を受けるために原子炉設置変更承認申請書を原子力規制委員会に提出。
    平成27年6月末時点で審査会合は13回開催され、引き続き開催される。
    運転再開の見通しは立っていない。再開に向け鋭意努力しているのでご理解、ご協力のほどよろしくお願いする。
  2. 京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)の状況について
    平成26年3月10日から施設定期検査期間中のため運転を停止中。
    平成26年9月30日付けで試験研究用等原子炉施設の新規制基準への適合確認を受けるために原子炉設置変更承認申請書を原子力規制委員会に提出。
    平成27年6月末時点でヒアリング(KUCAは低出力炉のため公開の審査会合ではなく通常原子力規制庁によるヒアリングで対応。ただし、平成27年5月29日は審査会合で対応)が32回開催され、引き続きヒアリングが行われる。
    運転再開の見通しは立っていない。再開に向け鋭意努力しているのでご理解、ご協力のほどよろしくお願いする。
  3. KURの使用済み燃料について
    前回の本審議会で、米国が使用済み燃料の引取り期間を10年間延長(平成37年度まで)することを説明済み。
    その後、京都大学としてKURのあり方を検討した結果、使用済み燃料の引取可能期間まで運転を継続したいと考えている。
  4. 重水熱中性子実験設備からの重水漏洩について
    平成27年1月18日KURの重水熱中性子実験設備から、重水の漏洩を確認。
    漏洩の原因は、配管の継ぎ手のパッキンの不具合であったため交換。漏洩箇所以外のパッキンも予防保全のため交換済み。
    今後は、パッキンを定期交換することとし、重水漏洩の早期発見のために監視方法を強化。
    BNCT研究に用いる中性子を原子炉で発生させた後、エネルギーを弱めるため重水タンクを通過させるが、この際、重水中に、放射性物質である三重水素(トリチウム)が発生するため法令で取扱等が規制されている。
    漏水場所は放射線管理区域内で、放射性物質の濃度も法令に定める濃度限度内であり、施設外への影響はないことを確認済み。

【配付資料】

  • 京都大学原子炉実験所の安全性等について
  • 福島原発事故後のKURの状況

【発言(冨田委員)】

平成26年9月30日に設置変更承認申請書、保安規定変更承認申請書を提出し審査の最中ということだが、30年以上の原子炉には、10年に1回レビューが必要だったと思う。平成25年のこの審議会で、2年後ぐらいにこの10年レビューをという話もあったようだ。今回の申請書の審査及びレビューを並行して行わなければならないのか、その位置付けを教えていただきたい。

[説明(中島研究炉部長・臨界装置部長]

レビューは、我々では定期安全レビューと呼び、30年を過ぎた原子炉について10年に1回実施することになっており、発電炉とは少し違うが、法的には要求されている。今回は、新規制基準の施行の前に1年前倒しし、京大内部で自主的にレビューを行っている。レビューは規制の対応状況を書かなければならないが、新規制基準が施行されてすぐにレビューした場合、まだ審査中だと、対応状況がなかなか書けないということで、古い基準において、体制なり安全管理のやり方なりのレビューを前倒しで行い、終了した。今行われている審査に合格した後、運転再開1年後ぐらいに新規制基準への対応状況を含めて、再度あらためて、本来10年ぐらい間を空ければよいのだが、1年か2年ぐらいのインターバルになるが、そこでもう一度レビューを行おうと考えている。レビューについては古い基準で一回やっているという状況である。

【発言(冨田委員)】

安全が一番である。審査の項目もものすごい数で、ご苦労されているのが分かるが、レビューも並行していたら大変だと思ったが、府民の立場だと、何重にも検査しているということが大事だと思い、質問させていただいた。ありがとうございました。

[説明(中島研究炉部長・臨界装置部長)]

補足だが、昨年の申請後からKURは停止しており、長期の停止となっている。

この間、京大では普段やれないような検査を行おうということで、6年ぐらい前にも行ったが、炉心タンク内の健全性確認という数カ月くらいかかる検査を行って、特に異常がなかった。配管の健全性もこれから検査するが、このようなことをしっかりやることで、運転を再開した時に安心できるのではと考えている。

議題3.京都大学原子炉実験所定例報告について

中島研究炉部長・臨界装置部長から、原子炉の運転状況と平成27年度の共同利用研究等の採択状況について、高橋放射線管理部長から、環境放射能の測定結果等について、配布資料をもとにそれぞれ次のとおり報告が行われた。

(報告内容)

  • (イ)中島研究炉部長・臨界装置部長から、配布資料の「京都大学原子炉実験所の現状報告書(定例報告)」をもとに、次のことについて説明が行われた。
    • (1)報告対象期間(平成26年6月~平成27年5月)におけるKUR・KUCAの運転状況、役割等のこと。
    • (2)KUCAもKURともに新規制基準への適合確認審査を受けていること。
    • (3)平成27年度の共同利用研究及び研究会の採択状況のこと。
  • (ロ)高橋放射線管理部長から、配布資料の「京都大学原子炉実験所の現状報告書(定例報告)」をもとに、京都大学原子炉実験所における環境放射能測定報告(平成26年4月~平成27年3月)に関し、次のとおり説明が行われた。
    • (1)実験所では、原子炉施設の排水口及び排気口から放出される放射能の量や濃度及び敷地境界での線量評価の結果について、6ヶ月に1回、監督官庁である原子力規制委員会へ報告していること。
    • (2)これらに加えて、実験所と熊取町、泉佐野市及び貝塚市との間で締結している安全協定に基づき、実験所の周辺地域での放射線の積算線量を測定していること及び実験所周辺の環境試料に含まれる放射能の濃度を年2回測定していること。また、重水熱中性子実験設備からの重水漏洩に起因するトリチウム濃度についても排気中又は空気中濃度限度を超えることはなかったこと。
    • (3)実験所では、自然に存在する放射性物質だけでなく、それよりもはるかに低い濃度の人工の放射性物質もその核種毎に分けて測定していること。このような核種別測定の結果を一覧表にしており、原子炉施設からの新たな放出と思われる核種が検出されたり、放射能の量や濃度が増加しているようなことはないこと。また、実験所外の周辺9カ所における放射線の積算線量についても、自然放射線によるバックグラウンドレベルを示していること。
    • (4)環境試料中のうち、土壌や底質については、全国的にも検出されている核実験による放射性物質以外に原子炉の運転に由来すると思われる人工の放射性物質は検出されていないこと。また、野菜等の植物については、自然に存在する放射性物質しか検出されておらず、その濃度の変動も全国的な調査で明らかになっている変動の範囲内であること。
    • (5)実験所周辺の環境中における放射能及び放射線は、自然放射能及び自然放射線のレベルであり、一般住民の方々にご心配をおかけするようなレベルではないこと。

【配布資料】

  • 京都大学原子炉実験所の現状報告書(定例報告)

議題4.BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)実用化推進と拠点形成に向けた検討会議について

山田大阪府政策企画部戦略事業室事業推進課長から、次の通り報告した。

(報告内容)

実用化を控えたBNCTの研究課題や医療拠点についての共通認識を整理し方向性を打ち出すため、検討会議を開催。今後も世界をリードし続けるためには、研究成果を医療として実施していく医療拠点が必要であり、幅広い知見を集約できる、共同利用的な形態を有する開かれた拠点とすべきと整理され、提言(先導的な研究拠点の一層の機能強化と戦略的な施設整備が必要、研究拠点と連携した医療拠点を関西に設置すべき、関連学会等と連携しながら専門人材育成を進めること等)とともにとりまとめ、平成26年12月に公表した。

また、検討会議にも参画した大阪医科大学が中心となり、本とりまとめに沿った医療拠点を整備することが発表され、31年に開院をめざす。具体的な内容については「関西BNCT医療センター設立準備委員会」においてこの秋には関西BNCT医療センターの基本構想がとりまとめられる予定。

さらに、熊取町で開設・運用していたBNCT相談窓口の体制が強化され、医師や看護師が対応する「BNCT相談室」が開設された。

最後に、大阪府としては、医療拠点の実現に向けた研究機関等とのネットワークづくりを中心に、必要なサポートを行うとともに、京都大学原子炉実験所が担う基礎研究や人材育成機能の強化が不可欠であるとの認識の下、熊取町や新たに整備される医療拠点とも協調しながら、引き続き支援していきたい。

【配布資料】

  • BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)実用化推進と拠点形成に向けて(概要版)
  • 次世代がん治療BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の医療拠点「(仮称)関西BNCT医療研究センター」の設立について

【発言(重光委員)】

BNCTの医療拠点の設立という、関西BNCT医療センターについて、資料3-2の下の方に、(仮称)関西BNCT医療研究センター設立準備委員会とあり、もうひとつ、資料3-1の3ページに組織体制図のイメージということで運営委員会ということになっているが、それぞれ具体的にどういう風にこのあと組織が動き出すのか、その主体はだれなのか。

[説明(山田課長)]

6月24日に医療拠点の整備をするため具体的な構想あるいは計画等を検討するため、設立準備委員会の立ち上げが行われている。こちらは、本医療拠点整備の中心となっている大阪医科大学が事務局、中心となって関係各団体、医療機関、大学、研究機関、大阪府からは副知事、熊取町から副町長等に入っていただいて具体的な医療拠点の計画、基本的なコンセプト等を検討する会議。2回目は9月以降に開催される予定で、今のところ秋口までに医療拠点がどういった内容になるのかということに関する基本的なコンセプト、考え方などをとりまとめる方向である。その後、その中でということになると思うが、今後、医療拠点を運営していくための医療法人のあり方についてや、研究拠点の京都大学原子炉実験所との連携であるとか、そういった中身については、準備委員会が秋までに取りまとめる構想の中で書かれるということになる予定。

議題5.その他

特に質疑はなかった。

以上

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